アジアの新人新人の学名は「ホモ・サピエンス・サピエンス」であり、現在の人類も同じ「ホモ・サピエンス・サピエンス」に分類される。 【東アジアの新人の遺跡】 周口店上洞人 初期形態のホモ・サピエンスの化石が見つかっている。 彼らは、精密な石器、埋葬儀礼、獣の牙の穴をあけたビーズなどの装飾品を持っていた。狩猟・採集生活を送っていたが、グループ別の分業も進んでいたようである。 彼らは、3万年前には、現代人とほぼ同じ体つきになっていた。 峙峪遺跡 中国山西省の峙峪遺跡は、河岸の段丘上にあり、人の化石・石器・動物化石が出土している。この遺跡の年代は、炭素14年代測定により、28,940±1,370年前という結果が出ている。 人骨は後頭骨で、新人に分類される。 石器は小型の剥片石器が主で、縦長状の剥片が中心となっている。石刃技法も見られるが中心とはなっていない。石器には、スクレイパー(削器)・尖頭器・鋸歯縁石器がある。 動物骨は、野生の馬が120体、野生のロバが88体で、いずれも草原にすむ動物で、集中的に狩猟の対象となっている。 下川遺跡群 中国山西省の下川遺跡群は、2か所の発掘調査地点と多くの石器採集地点からなっている。この遺跡の年代は、炭素14年代測定により、23,900±1,000年前から16,400±900年前という結果が出ている。 石器には石刃技法や細石刃技法がみられる。剥片石器は、縦長剥片と石刃がある。ナイフ形石器・彫刻刀石器・スクレイパー・尖頭器・細石刃・石斧状石器がある。また、石皿・叩き石などの植物加工具や砥石が出土している。 銅梁遺跡 中国の華南地方にあたる四川省に、銅梁遺跡はある。 石器は、礫器とスクレイパー(削器)などの縦長剥片を素材したもの。 動物化石は、パンダと剣歯象系のものである。 猫猫洞遺跡 中国の華南地方にあたる貴州省に、猫猫洞遺跡はある。この遺跡の年代は、炭素14年代測定により、14,600±1,200年前という結果が出ている。 石器は、チョッパー(■)・チョッピングトゥール(■)などの礫器と、尖頭器・スクレイパー(削器)などの剥片石器、石皿・叩き石などの植物加工具がある。 【東南アジアの新人の遺跡】 ジャワ島 ジャワ島のガンドンでホモ・サピエンスの初期形態を示している多数の頭骨がみつかった。12万年以上前のものとみられている。 また、ジャワ島のワジャクから、4万年前と推定される人類化石も発見されている。 ボルネオ島 ボルネオ島のニア洞窟からも、4万年前と推定される人類化石がみつかっている。 【参考ページ】 アジアの旧人 北京原人の化石と石器 人類の誕生 参考文献 「世界の考古学7 中国の考古学」小澤正人・谷豊信・西江清高著、同成社、1999年 「朝日=タイムズ 世界考古学地図 人類の起源から産業革命まで」クリス・スカー編集、小川英夫・樺山紘一・鈴木公雄・青柳正規日本語版編集参与、朝日新聞社、1991年 埼玉県立博物館 ≫ 人類博物館 500万年進化の旅 ≫ 世界の人類進化と道具 ≫ 石器の拡散 2002/5/12 |