アジアの旧人旧人(ネアンデルタール人)の化石は、アジアでも発見されている。 ネアンデルタール人はかつては現世人類(ホモ・サピエンス)とは別の種と考えられていたが、現在は現世人類(ホモ・サピエンス)の一亜種(古代型ホモサピエンス)とされ、学名は「ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス」に変えられている。なお、現世人類の学名は「ホモ・サピエンス・サピエンス」である。 【東アジアの旧人の化石】 大茘(ターリー)人 中国陜西省東部の大茘県で、ほぼ完全な頭蓋骨が発見されている。ウランシリーズ年代では23万年から18万年前と測定されている。 出土人骨は、骨が厚く、額が扁平で、眉上隆起が大きく、北京原人に近い特徴がある反面、吻部があまり突出しない、後頭部がやや隆起するなどの特徴があることから古代型ホモサピエンスに分類されている。 石器は小型の剥片石器が主で、スクレイパー・尖頭器がある。 丁村人 中国山西省南部の襄汾県丁村で、歯数本と幼児の頭蓋骨が発見されている。その特徴から、古代型ホモサピエンスとされている。この遺跡の年代は、古地磁気測定法により約12万年前とされている。 石器は剥片石器が主で、尖状器・スクレイパーなどがある。 この遺跡から出土する動物化石の変化から、当初は温暖湿潤な森林地帯であったものが、しだいに寒冷化し、森林が減って草原が拡大していったと考えられる。また、魚や貝などの化石も出土している。 許家窯人 中国山西省北部の大同盆地にある許家窯遺跡で、人骨化石と多量の石器が発見されている。大同盆地はかつては湖であったとみられており、遺跡は湖岸にあったものと推定されている。 人の化石は20点あまり出土しており、その特徴から、古代型ホモサピエンスとされている。 この遺跡の年代は、ウランシリーズ年代測定により12.5万年から10万年前と考えられている。 石器は小型の剥片石器が主で、スクレイパー・尖頭器・石錘のほか、多量の石球が出土している。 動物化石のほかに、草原の禾本科植物と松・杉の花粉が確認されている。これらにより、気候は乾燥した冷涼で、森林と草原の交わる場所にあったと推定されている。 馬バ人 (注)「バ」の文字は、土へんに霸[土霸]と書く。マバ人。 中国の華南地方にあたる広西省曲江県の馬バに、獅子岩遺跡がある。この遺跡から、頭蓋骨が発見されており、古代型ホモサピエンスに分類されている。 石器は、チョッパーのみで2点が出土している。 動物化石は、パンダと剣歯象系のものである。 【西アジアの旧人の化石】 シャニダール人 埋葬部の土のなかからキク科やユリ科の花粉が多数みつかっており、死体を花でつつんだらしい。 アムッド人 イスラエルのティベリアス湖北西のアムッド洞窟で発見。 スフール人 【参考ページ】 ネアンデルタール人の化石と石器 北京原人の化石と石器 アジアの新人 人類の誕生 参考文献 「ビジュアル版 世界の歴史1 文明の誕生」江坂輝彌・大貫良夫著、講談社、1984年 「世界の考古学7 中国の考古学」小澤正人・谷豊信・西江清高著、同成社、1999年 更新 2002/5/12 |