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#10000 
黒駒 2015/11/30 16:12
水木さん死去

いや、「ついに」という感じがしますね。93歳ですから、大往生でしょう。壮絶な戦争体験と戦後の貧乏生活があるわけですが、高度成長期の成功者で、幸せな後半生だったのではないかとも思います。もちろん長生きはして欲しいですが、私は水木さんとか、あと宮ア駿などは歴史的評価が定まっていくあたりまで見届けたいので、ほどほどの長生きにして欲しいなぁ、とも思います。もちろん、死を願うわけではありませんが(笑)。

水木さんといえば今日では紛れも無く妖怪の人ですが、むかしBSマンガ夜話で夏目房之介さんが指摘していた評価が面白かったですね。水木さんは妖怪という世の中の不可思議な部分にも関心が強いが、もうひとつ「悪魔くん」のような、戦争体験や貧乏時代に形成された世の中の不合理に対する「革命」のようなテーマもある。後に水木さんが成功者になって、こちらのテーマは後退していったのかもしれませんが、夏目さんは「妖怪」的な世の中の不可思議と、「革命」的な世の中の不合理に対するテーマは、戦争体験による「人間の卑小さ」という点で繋がっているのではないか、とのことでした。なんだか、こう考えると水木さんの存在も歴史的です。

しかし、「鬼太郎」は妖怪界のドラえもんとは言われていても、鬼太郎のアニメもずっとやってるわけではないですしね。手塚治虫ですら鉄腕アトムのアニメがずっと続いているわけではありませんし、水木さんも今後語り継がれていく存在になると思いますが、ドラえもん的なメジャーとは、若干差があるのかな、とも思います。



#9999 
黒駒 2015/11/30 01:10
馬の歴史

>ドバイさん
馬に関してはちょうど一年前に関心を持ち、いろいろ調べていました。ドバイさんのおっしゃる先史時代の「馬」ですが、これはウマ科の野生種を指しているのではないかと思います。

いまちょっと文献を引っぱり出さずに記憶だけで書いていて申し訳ないのですが、野生馬の原種にヒラコテリウムという動物がいて、野生馬はこの子孫にあたるわけですよね。日本列島においてこの野生馬が先史時代に出ていたかどうかはちょっともう一度調べてみないとわからないのですが、古墳時代に日本に渡来した「馬」というのは野生馬ではなく、家畜化された馬のことです。家畜化の証拠は、ハミと呼ばれる馬具を奥歯に噛ませ、摩耗している痕跡を調べることで判断できると言われています。

馬の家畜化は議論があるようですが、紀元前3500年の中央アジアと言われていますから(現在のウクライナですね)、つまりこの中央アジアにおいて家畜化された馬や、東アジア家畜馬のルーツとされるモウコノウマの系統を引く家畜としての「馬」が伝来した時期が古墳時代、ということになるのだと思います。

イヌなんかもそうですが、日本列島にニホンオオカミが生息していても、旧石器時代人や縄文人がオオカミを家畜化して縄文時代のイヌになったとは限らないわけで、イヌに関しても形態的特徴などを考察し、これはすでに家畜化されたイヌが持ち込まれたものであろうと言われています。弥生時代のブタにしても同じですね。

ですから馬に関しても、まず日本列島で野生馬が存在していることがわかってこないといけませんし、次にその日本列島の野生馬が古墳時代以降の家畜馬につながっていることが証明されないといけません。弥生時代のブタなどがそうですが、縄文時代のイノシシと比較すると明らかに巨大なブタが突然出現するので、これは大陸から持ち込まれたものだろうと言われています。ですから、現時点では古墳時代の馬は持ち込まれたと考えておくのがいちばん自然だろう、ということではないでしょうか。

最後に日本列島における馬の系統ですが、以前この話をしたかもしれませんが、これはいま研究の真っ最中のようです。今年の3月になると研究成果が出てくると思います。

ただ、古墳時代に馬が渡来して、確かに南九州も馬産地なのですが、日本列島における馬の受容状況は先進地であった九州や畿内においてまず受容され、地方に拡散していくという構図ではないようです。これも発掘調査の進展で将来的には変化していくかもわかりませんが、現在ではどうも長野県や山梨県といった中部地方の高原など東国において、畿内よりも早い時期に馬が導入されていることが指摘されます。関東地方などもそうで、古代には牧が設置され、貢馬を行う地域になりますね。

南部馬や東北の馬についてはちょっと調べが足りてないのでわかりません。そういえば最近『馬と人の江戸時代』という本が出ましたね。江戸時代の南部馬の話らしいですが、私も買っただけでまだ未読です。

と、まぁ私の知る限りでは、このようなところです。



#9998 
ドバイ 2015/11/28 00:53
Onさんへ

西アジア史を選考されたと拝見しましたので、一つ質問をさせていただければ。

重装備の騎兵がペルシァ帝国が起源と記憶しているのですが(つまりヨーロッパより古い)。
それまでのパルティアなどの騎兵が、騎射の騎兵だったのに、突然に重装備の騎兵が登場するということは、この時代にペルシァで鐙が発明されたという事でしょうか?

パンデミックと戦ったローマ軍も、騎兵は槍を使う時は「投げ槍」だったと、
塩野女史の「ローマ人の物語」に書いてありました。
騎乗して馬上から槍を持ち、密集隊形で突撃するというのは、鐙がなければ不可能なはずなのですね。鐙がなけれは飛び道具しか使えないはずと思います。物理学的に(作用反作用の法則)。
それともロープで騎士を馬上に固定するような技術があったのでしょうか?

お答え頂けると幸いであります。



#9997 
ドバイ 2015/11/28 00:30
黒駒さんへ

ひさしぶりに書き込みをさせて頂きますドバイです。
とつぜんですが、黒駒さんにお尋ねしたいのです。
私の従兄弟のアブダビの愚問への回答で、黒駒さんが動物考古学に心得がある旨を拝見した記憶がありますので。

実は日本馬の起源についててすが、
日本馬は5世紀ごろに朝鮮半島経由で日本に伝わってきたと聞きます。
ところが過日、数万年前の地層から出土されたという馬の化石の写真を図書館で観まして。
日本列島が大陸から分断されたのは、氷河期が終わって海面が上昇した1万2000年くらい前と聞きます。
それ以前に「後の日本列島」に馬類が生息していたのならば、もともと日本に馬が原産していたのではのいでしょうか?

私が不思議に思う根拠は、騎馬民族が来たか来なかったかは置いておくとして、
馬が渡来人のもたらしたものならば、
南部馬は何処から来たのか?
という不思議であります。

阿倍比羅夫が三度の東北地方遠征をした時に、蝦夷が馬上から騎射してくるのに
難儀をした…と何かで読みました。
それから蝦夷の馬(南部馬)は朝廷で珍重されるようになったそうですね。
しかし…馬の渡来が九州起源であるのならば、何故に奥地の未開人である蝦夷が
騎馬隊を持っていて、しかも馬格が西の馬よりも大きいのでしょう?

私見ですが、軍馬が巨大化してゆくのは
ペルシァ帝国が重装備の騎兵を突撃に用い出して、穀物を喰わせるようになってからだと記憶いたします。
つまりそれ以前は、馬の馬格は原種の持つ遺伝的な特徴で決まった訳でしょう?

蝦夷は農耕民でなく、狩猟採集民と聞きます。その彼らが馬格が大きくなるほどの穀物を馬に与えられたとは思えないのです。

ひょっとして、北から別種の馬が日本に伝わったか、あるいは元々、馬格の大きな馬が日本に生息していたか?
いずれかと思われるのてすが、動物考古学的には、いかように解釈をされているのでしょうか?

ご意見を伺えれば嬉しいのですが。
お願いいたします。






#9996 
徹夜城(受験シーズンいよいよ本格化の管理人) 2015/11/26 00:07
伝説の女優の訃報

 このところ時期が時期なので忙しく、その間にパリでテロはあるわ、トルコがロシア機撃墜するわと大事が続いておりますが、なかなか史点を更新できないでおります…
 そしてつい先ほど、伝説の女優、原節子さんの訃報が流れました。ついにその日が来たか、という感もありますが、すでに9月に亡くなっていて、この時期に判明したのはたぶん年賀状の忌中欠礼が親族により発送されたためと思われます。
 原節子といえば戦前・戦後にその美貌をうたわれた大女優でありますが、絶頂期のまますっぱりと引退、その後は小津安二郎の葬儀に出席したのを最後に公の場に姿を見せなくなり、各種マスコミがその動向をうかがおうとしながらまったくかわされ、とうとうそのまま訃報に至ることになってしまいました。その意味でもまさに「伝説」の人でした。
 映画の掲示板よりもこの人については歴史的存在かなぁ、と思い、こっちに書いてしまいました。

 さて、ためこんでるレスを。


>バラージさん
 上野の彰義隊といえば、先日BSでひょっこり放送していた映画「福沢諭吉」のクライマックスが上野戦争でした。映画自体は「作り手は何がしたかったんだ?」と首をかしげるばかりの出来なのでありますが。

>アブダビさん
 お久しぶりです。そうですか、従姉妹の方はパリにおられたんですね。そのユーゴ内戦の「難民」であるご夫君の言葉も深く考えさせられるものがあります。また当然ながらムスリムの圧倒的多数はテロと無縁なわけで、差別や対立があおられる結果になるとテロリストの思うつぼだと思うばかりです。
 「ゴッドファーザー」って本来その洗礼名の「名付け親」のことのはずなんですが、あの小説と映画のせいで「マフィアのボス」のイメージになっちゃってますね(汗)。「ブラック・ジャック」でも誤用したセリフがあったはず。映画の中では「ゴッドファーザー」という単語は意外に出てこないのですが、PART3でタリア=シャイアが自分の名付け親を毒殺して「眠って、ゴッドファーザー」とセリフを吐いてましたっけ。

>黒駒さん
 「太平記」出演組では、赤井英和さんが「楠公祭り」でドラマと同じ楠木正季役で出たことがあったような。
 陣内孝則&片岡鶴太郎の組み合わせは「毛利元就」のほか「軍師官兵衛」でもありました。もっとも一緒にいる場面はなかったかな。
 「太平記」放送と近い時期に鶴太郎が金田一を演じた「獄門島」がTVで放送されまして、そこではフランキー堺がメインの役で出て、鶴太郎金田一とのやりとりが円喜&高時を思わせて面白かったです。ああ、あと「陰陽師」の映画版では真田広之と柄本明の競演が見られますね。「たそがれ清兵衛」では尊氏と藤夜叉が…って、この手の話はつなげてくときりがない(笑)。

>onさん
 はじめまして。そうですか、西アジア専攻で史学科卒でいらっしゃいますか。僕の親族や知人には史学科卒が多いのですけど、西アジア専攻はいないんですよ。
 そしてその三笠宮が「史学科卒皇族」のはしりだったりしますよね(他の例は現皇太子しかないけど)。三笠宮が歴史専攻になった理由の一つが日中戦争での体験、ことに南京での体験にある、との話も聞きます。
 前回の「史点」のあと、日本の外務省がユネスコへの資料として高橋史朗氏の著作を提出し、その中で東中野修道氏の論文が引かれていた、というニュースが流れまして、分かってる人には「負ける気満々だな」とツッコむ人多数で。まさしく太平洋戦争時の日本軍みたいな、と笑うむきもありましたが、外務省の幹部レベルでそういう人選を「バランスよし」と思ってやっちゃったところに深刻なものを感じました。
 官僚レベルもそうですが、最近の猪口邦子議員の「歴史戦」活動などを見るにつけ、どうも自民党入りするとまっとうな学者も歴史感覚がマヒ、というか洗脳されちゃうんじゃないかと怖くなりましたね。そうとうにあの業界ではそういう空気が支配的なのか、と。学者ではなくタレントですが、「八紘一宇」なんて言葉を国会で肯定的に使った議員もいましたし、ものすごく時代錯誤な業界なのかも。



#9995 
2015/11/22 23:55
on

こんばんは。
初めて投稿します。自分も一応史学科出身(専攻は西アジア史)でして…
南京大虐殺の件、ふと三笠宮の自伝のことを思いだしました。否定派はこれも無視なんだろうなぁ、と。それこそ宮様に対し不敬(笑)
しかし全体的な雰囲気、空気観がものすごく嫌な感じです。

on


#9994 
バラージ 2015/11/22 16:10
太平記とは限らない

 片岡鶴太郎と陣内孝則は『毛利元就』にも出演してましたからね(井上元兼と陶晴賢)。もっともどちらにしろ武田信玄とは関係なさそうですが。
 『おんな太閤記』から大河ドラマを見てた僕にとっては、『太平記』はそれ以前の大河ドラマ出演者をスライド登板させた(出演者的には)総決算的作品という印象が強く、真田広之と沢口靖子は『独眼竜政宗』でも夫婦役(松平忠輝と五六八姫)でしたし、陣内も豊臣秀次を演じてました。後藤久美子にいたっては愛姫の少女時代が出世作。武田鉄矢は『徳川家康』で秀吉でしたし、フランキー堺は『おんな太閤記』で家康でした。ちなみに沢口と高島政伸は後の『秀吉』でも主人公の正室と弟役で、「またかよ(笑)」とネタにされてた記憶があります。
 そういえばこの頃はトレンディドラマ全盛期。上記俳優たちもトレンディドラマに出まくってた人たちですねえ(他に柳葉敏郎や宮沢りえや本木雅弘なども)。



#9993 
黒駒 2015/11/22 01:03
ひょんなところに大河「太平記」ネタ

山梨県で毎年4月上旬に「信玄公祭り」という一大イベントがあります。信玄を中心に武田二十四将の武者行列が甲府駅北口を巡るという、大きなイベントですね。こういう武者行列を伴なう時代祭も各地に例がありますが、もとは武田神社氏子が行っていた時代行列とは別に商工会が創始したというものです。オイルショックのときに一時ピンチになったのですが、いまでは半公営のイベントとなって安定して行われてますし、観光客誘致のイベントとしてうまく機能しているなと、私は思います。公営にしたので、商業主義はいかんとか問題はあるのですが。

説明が長くなりましたが、信玄役は毎年、かなり有名な役者さん(大河の脇役クラス)が出演します。最近だと松平健がやっていたのですが、昨年はがらっとイメージを変えてなんと片岡鶴太郎でした。私はこういうイベントにあまり興味が無いので見にもいかないので、どうだったのかよくわかりません。けっこう真面目なイベントなので往年のギャグをかましたりしないだろうと思うのですが(笑)、フリートークなんかではくだけた感じだったかもしれないです。

そして今年の信玄役が昨日発表されたのですが、なんと陣内孝則でした(笑)。片岡鶴太郎に陣内孝則とくればもう「太平記」ですよね。最近、大河「太平記」もかなり視聴しやすい環境になりましたから、主催者も見ているのかなぁ、などと思います。



#9992 
アブダビ 2015/11/19 00:59
ハラハラしました

従姉妹が10区のレストランで働くパティシエなもので。銃撃を受けたレストランは側でして、安否が解るまで、一族が心配してました。
幸い彼女の職場、パンやお菓子の工房は裏側にあり無事でした。
でも、直後にCRS でしたっけ、映画「タクシー」に出てくる武装警察が出てきて、パン窯の火を落として退去を命じられたそうです。
従姉妹の旦那はクロアチア人とフランス人のハーフでして、戦火で両親を失い、フランス人の叔父夫婦に育てられた。
だから、オーソドックスとカトリックとムスリムの争いの被害者なわけで、
「もう宗教で殺し会うのは真っ平だ!」
と従姉妹に泣いたそうです。
私は従姉妹の娘の洗礼式で、旦那側の親戚と二人して、娘の洗礼名を授けたゴッドファーザーです。
カトリックにとって、洗礼で名付け親になることは、「この娘の両親が亡くなったら、私が育てて生涯を育て親として護り抜きます!」と宣言する事です。
だから、考えたくないけど、従姉妹が死んだら、過労死しても私が養うか、フランス側のゴッドファーザーが引き取るのならば、過労死してでも学費と生活費は俺が稼ぐ、幸いに俺は結構、人気のあるマッサージ師だから…と瞬時に主に誓いました!
管理人さん、丁寧な返事を貰ったのに、お礼を申さずにすみませんでした。
あれから勤めていた老人の介護予防のジム(私はマッサージと運動療法を担当)が倒産して、戦後処理で忘れてました。
お詫びいたします。
どうにかならないのでさか?
トルコ人の元留学生と今でも付き合いがあるけども、フツーのムスリムはまともな人達と思うのですね。




#9991 
バラージ 2015/11/17 21:08
僕たちは戦わない

 いやぁ……またまた大変なことになっちゃいましたねぇ……。とはいえ中東ではこれまでもずっと起きていたことでもあるんですが。また、だからといって9・11の時のように過剰に過激な反応をするのも……。アルカイダやタリバンがつぶれても結局イスラム国が出てきましたし、根本的な解決にはならないと思うんですよね。うーん……。

>今後公開予定の歴史関連映画
 ついこの間、映画館に映画を観に行った際に歴史関連映画の予告編を2本観ました。
 1本はここでも話題に上がった『海難1890』。僕の感想も、つねさん・徹夜城さんとだいたい同じですね。それと、間違いなく美談ではあるんですが、その美談をストレートにそのまま映画化(でもドラマ化でも)されると、なんだか感動の押し付けをされてるようで、個人的にはちょっとなぁと感じてしまいます。ただ、出演女優の忽那汐里ちゃんはいいですねえ。デビュー作のドラマ『3年B組金八先生』の時から「この子、いいなあ」と思ってたんですが、今ではすっかり映画女優になりました。
 もう1本は『合葬』という映画。こちらは東京では9月にもう公開されてるんですね。幕末の彰義隊を題材とした珍しい映画で、チラシにも「新撰組や白虎隊に比べて、今までほとんど映像化されてこなかった」と書かれてました。原作は杉浦日向子さんのマンガだそうで、杉浦さんというと僕はNHKでやっていた舞台コメディ『お江戸でござる』の解説役の印象なんですが、あの番組は一時期結構観てました。

 もう1本、こちらは予告編はやっていませんが、ジャッキー・チェン最新映画『ドラゴン・ブレイド』が来年日本でも公開されます(香港や中国では公開済み)。歴史劇そのものではなくあくまで架空の話ですが(ただし一応最近唱えられた新説の元ネタはあるらしい)、史劇風大作となっています。時代は前漢後期(紀元前100年頃?)で、ジャッキーの役柄は政争のあおりでシルクロードにとばされた将軍。そこにやはり内戦に敗れた古代ローマの将軍たちが流れてきて……というお話で、ジョン・キューザックやエイドリアン・ブロディ共演の国際的作品とのこと。時代的にも珍しい時代の題材ですし、まあ何よりジャッキー映画なので僕は確実に観ると思います。



#9990 
徹夜城(このところシーズンのため仕事が多い管理人) 2015/11/15 00:34
そしてまたパリか。

「パリは燃えているか」なんて冗談でも言っちゃいけない感じですが…「映像の世紀」のテーマ曲が頭を流れてしまいます。パリはルパンがらみで地理も頭に入ってるから親しみもありますしねぇ。
 先ごろのアンカラでの自爆テロ、ロシア航空機の爆破(ほぼ間違いないようですね)、それに続いての今回のパリの「13日の金曜日」テロ。ISもある意味追いつめられてるのか、あるいはもうなんでもやってしまえということなのか。
 おかげで途中まで書いてた「史点」もいろいろ考えなおさなきゃいけなくなってしまいまして。
 思い起こせば今年はパリのテロから幕を開けたんですよねぇ…年末に向けてまたも、それももっと規模を大きくして、というのがかなわない。


>ついでの余談
 気が重くなってくるので別の話題も。
 いま韓国や中国の歴史ドラマを同時並行で4本くらい見てるんですが、そのうちの一つが韓国ドラマ「大王の夢」。新羅の金春秋(武烈王)を主人公に新羅・百済・高句麗が統一される過程を描くドラマなんですが、この金春秋が倭国に渡って来るくだりがあるんですね。この人、高句麗にも行ってて抑留されたりしてるんですが、「日本書紀」で来日した記録もあるんです。ドラマでは倭国に来たとたんに中大兄皇子と出会い、親百済派の蘇我入鹿ににらまれ、金春秋の目の前で中大兄が入鹿を殺しちゃう。ちょうど先日その回を見たんです。
 もっとも手近なところで調べてみると金春秋の来日はいわゆる「大化の改新」、乙巳の変より2年はあとみたい。新羅側の記録にはない話だし、どうせ近いからそのくらい「誤差」の範囲でいいや、ってことなのかな(笑)。金春秋を演じてるチェ=スジョンは以前「海神」でチャン=ボゴも演じてましたが日本に行く場面がなく残念に思ってましたが、こちらのドラマでホントに日本に来ちゃったことになります。
 ただ、相変わらずというべきかな、韓国ドラマに出てくる日本古代の考証は滅茶苦茶。部屋いっぱいの畳敷き、障子やふすま、日本刀、浮世絵らしきものまであしらって「日本」っぽく見せちゃう。古代史物は日本側も苦労するくらいで材料に乏しいのはわかるんですけど、室町以降の「和風」をちりばめられてもなぁ。先日見た「鳴梁」なんかは日本側に美術協力を要請したこともあってかなり正確だったんですけど、古代ものはやっぱりダメらしい。
 最近、中国でつくった鑑真和上のドラマもチラ見しましたが、おもいっきり江戸時代風のチョンマゲを結った日本人が遣唐使で来る始末で。まぁ日本で作る韓国中国美術がどこまで正確なのかは僕も確信が持てないですけど。



#9989 
黒駒 2015/11/06 20:13
歴史群像の南北朝記事

『歴史群像』最新号に九州情勢を扱った「南北朝九州軍記」が掲載されていました。最近コアな日本中世史ファンの間では戦国のみならず南北朝にも感心が広まっているようですし、需要はあるのではないでしょうか。『歴史読本』はついに休刊してしまいましたが、なんとか頑張って欲しいものですね。



#9988 
バラージ 2015/11/05 20:57
『ひめゆりの塔』(1995年版)

 デアゴスティーニのDVDを買おうかな〜どうしようかな〜と思ってた数ヶ月前にWOWOWで放送されたので録画しておいたものを、最近ようやく観ました。映画館で観て以来20年ぶりですが意外とほぼ内容を記憶してました。それだけこの映画の印象が強かったんでしょう。観た感想もやはり最初に観た時と同じく、いい映画だなというものでした。神山征二郎監督が端正に丁寧に撮った佳作と言っていいでしょう。
 この1995年版『ひめゆりの塔』は、今井正監督の1982年版(今井監督が自身の1953年版の水木洋子脚本をそのまま用いてリメイク。原作は石野径一郎の小説)で助監督を務めた神山征二郎が、仲宗根政善の著書『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』と1953・1982年版の水木洋子の脚本を原作として監督した映画です。おそらく沢口靖子周辺が水木脚本、永島敏行周辺が仲宗根著書だと思われますが、両者が違和感なく融合していて不自然さは感じさせません。
 第二次世界大戦を扱った日本の映画は被害ばかりが描かれ加害の面があまり描かれないということはよく指摘されますが、沖縄戦を題材とした映画は沖縄という地域の独特な立ち位置もあって、そういう批判から逃れることができているように思います。また、ひめゆり学徒隊という年端も行かぬ少女たちが死地に追いやられる悲劇もストレートに観客の心に響いてくるものがあります。
 僕としては最初に観た時と同じ印象で決して古さは感じなかったんですが、20年前の映画ということは10代の子にとっては生まれる前の映画なんですよね。よっぽどの映画ファンを除けば、自分が生まれる前に作られた映画を観ることはあまり多くないと思うんです。そう考えると、たとえリメイクであろうとこういう題材の映画を何十年か置きに作っていくことは必要なのではないかと思います。

>時代劇と歴史劇
 時代劇と歴史劇は隣接するジャンルではありますが、異なる部分も多いですからねえ。マゲ女も大河ドラマは時代劇の本流ではないと考えているようです。僕は時代劇も歴史劇もまあまあ観るという感じで(実はよく観る歴史映画は外国の近現代史ものが多いので、いわゆる時代劇・史劇とは異なる)、面白ければどっちでも良しです。テレビ時代劇は『桃太郎侍』『大江戸捜査網』『江戸を斬る』『猿飛佐助』『必殺仕事人』『御家人斬九郎』あたりは結構観てました。
 マゲ女自体は少数派でしょうが(そうでなければ時代劇がこんなに減るわけがない)、前記の「歴史に興味がない大河ドラマ視聴者」と傾向が若干重なる部分もあるように思うんですよ。史実とか時代考証はどうでもよく、ドラマとしての面白さだけが問題という考え方とか(ただし面白さの感覚が両者で異なる・笑)。僕も歴史好きではありますが、歴史を抜きにした意味での面白さもないと、ドラマに1年も付き合うのはちょっとしんどい。
 そういえば、視聴率好調な『あさが来た』も、五代才助(友厚)が重要キャラの1人として人気を博したり、大久保利通もちょこちょこ出てきたりしてますが、あくまで主人公は「実在人物をモデルとする」にとどめることによってある程度の自由なストーリー展開を保証しており、それがドラマの面白さにつながってるように思います(実際、ちょこちょこ観てるんですが面白いんですよね)。

>tomohiroさん
 多分それは「戦国」や「幕末」ではなく、「武将」「志士」に力点を置いて解釈すべきなんじゃないですかね? そういう意味では尊敬する人物として挙げるのが足利尊氏や楠木正成であろうとヌルハチや康熙帝であろうと「底の浅い人間に見られる」という意味合いは同じなんではないかと。ただ、そういう人物を挙げる人はあまりいないので例として適当ではないというだけのような気が。



#9987 
徹夜城(風邪でもひいたか声がおかしい管理人) 2015/11/02 13:48
新・映像の世紀

そうそう、この番組の話題を書き損ねてました。先週からNHKが「新・映像の世紀」を6回シリーズで放送開始してるんですよね。元祖を放送してからもう20年経つんだなぁ…その20年の間にも結構激動の歴史の映像が多々あります。
先日の放送は百年前の第一次世界大戦関係。今度のシリーズは元祖との差別化を意図してなんでしょうが、数人の「個人」に焦点を当ててストーリー仕立てにしてますね。レーニンとかアラビアのロレンスとか…それが今現在の状況に直結してるんだよ、という流れになってるわけです。分かりやすいと言えばそうなんですけど、僕なんかは最近の歴史番組に見られる傾向、「何かというと筋の通ったわかりやすいストーリーに仕立てたがる」を感じてやや斜めに構えて見てしまいました。ウソはついてないだろうけどどこに注目するかで印象がずいぶん変わりますしね。あと、元祖にはなかった新映像も出ては来ますけど、あんまり「映像」を中心に番組つくりをしてない印象も受けました。今後の展開を見ないと最終的な評価はできませんけどね。

>バラージさん
 そうそう、「マゲ女」という言葉は初めて見ましたが、いわゆる「時代劇」と「歴史劇」は違う、という議論はもう身近でいやになるほど覚えがありまして。僕は「歴史劇」寄りなんで、単にある時代を舞台にしただけの「時代劇」は敬遠するんですよ。両者に美術・演出・俳優でかぶる部分があることは否定はしませんけど、実のところ大違いと思ってます。それでも世間的にはゴッチャにされがち、という覚えもありますね。
 「マゲ女」にはお目にかかってませんが、「歴女」の急増は塾商売でここ数年間実感してます。こういうマスコミの流行用語には懐疑的な僕ですが「歴女」は確かにありました。十年以上前じゃ中高生の女の子が歴史に興味、なんてずいぶんレアでしたよ。最近じゃ戦国幕末にマニアックにうるさい女子がちらほらではありますが確かにいますからね。逆に前はたいていいた男子の戦国や三国志マニアが減ってるような印象もあります。ま、いずれにしても僕に言わせると「このミーハーめ」と言っちゃうわけですが(笑)。
 それでも最近ツイッター検索で南北朝や太平記ネタをあたってみると、結構濃い目な、というか戦国幕末三国志ではよくある観点でのマニアックな話を南北朝ネタでやってる人が男女を問わず結構目につくんですよ。多数派とは全然思いませんが、時代はまた変わって来てるのかな?



#9986 
バラージ 2015/10/30 22:52
マゲ女(まげじょ)

 マゲ女(まげじょ)とは何か? それはコラムニスト兼時代劇愛好家のペリー荻野さん(女性)が提唱した、ペリーさんのような時代劇ファンの女性=チョンマゲ大好き女性の呼称なんだそうです。歴史ファンの女性を歴女と呼ぶなら自分たちはマゲ女だ!とのことで、マゲ女はあくまで時代劇ファンであり歴史には全く興味がないとのこと。大河ドラマも観るが、それはあくまで時代劇の1つとしてであって『銭形平次』や『桃太郎侍』と同じ地平で観ており、何ならフィルム撮影が一般的だった時代劇の中で第1作からテープ撮影だった大河ドラマはむしろちょっと下に見てたんだとか。
 にも関わらず、時代劇が好きだと言うと歴女と勘違いした職場の歴史好きなおっさん上司に歴史の話をフラれて迷惑することがあるそうで(笑)。一番困るのが歴史を知ってるだろう(もしくは興味があるだろう)と思われて歴史ドラマにおけるその先の歴史展開を話されちゃうことで、あくまで時代劇として観ているマゲ女にとってそれはドラマの先の展開をばらしちゃうネタバレ行為。「この先どうなるか楽しみにしてたのに!(怒)」と怒り心頭なんだとか。
 僕はマゲ女にも歴女にも会ったことはないんですが(実際、数自体は圧倒的少数でしょうし)、歴女と間違えてマゲ女にネタバレをしてしまって怒られないように気をつけましょう(笑)。

>南北朝小説
 『異形武夫』はなぜか文庫化されないまま絶版になったんですよね(僕は未読)。高橋直樹の南北朝小説は他に「北条高時の最期」があります。高時が主人公というのは非常に珍しいですがなかなか面白かった。短編集『鎌倉擾乱』に収録されてるんですが、同短編集収録の「異形の寵児」(主人公は平頼綱)は南北朝列伝に掲載されてるのに、こちらは掲載されてなかったので一応ご紹介を(同短編集にはもう一編、源頼家が主人公の「非命に斃る」も収録)。
 安部龍太郎の南北朝小説だと短編集『バサラ将軍』収録の「兄の横顔」(主人公は足利直義)、「師直の恋」(主人公は高師直)、「狼藉なり」(主人公は高師直と土岐頼遠)、「知謀の淵」(後述)があります(あと二編、足利義満が主人公の「バサラ将軍」と、足利義持時代に日本に来たゾウを題材にした「アーリアが来た」も収録)。1番面白かったのは「知謀の淵」(と「アーリアが来た」)で、新田義興を裏切って鎌倉公方に付いた竹沢右京亮という人物が主人公。これまた非常に珍しい題材です。



#9985 
アジアのバカ大将 2015/10/30 14:25
なぜウヨッキー=歴史修正主義者になる?

 私が一番気になるのは、「南京虐殺はなかった」
「慰安婦は自発的売春婦」など頭が痛くなる言説を
年配で、学歴、職業からいって少し調べれば分かる
はずの方々が、恥ずかし気もなく言い散らせるのか
ということです。多分、次のいずれかではないか
と思います。以下は、2chのある軍事板のいい方
のまねです。
1.本当に信じている(「日ノ本軍子ちゃんは絶対処女だ」派)
2.周りや上司がそういうので(「パンツを脱いだのは皆と同じ」派)
3.書店などで、「否定本」が幅を利かしているから
  流行におくれたくない(「今時パンツ脱がないのは流行らない」派)
4.コミンテルンやGHQの陰謀に陥れられただけ(「心は今も処女」派)
 以上は感情的に理解できます。いずれにしても被害者への思いやりはゼロです。
 最後は、
5.金になるから(「商品に因縁つけるのは許さない」派)
 悪質ですね。これが一番多いように推測するのですが、いかが?
 なお、元と学会会長のSF作家山本弘氏は、精神病理学的概念として、
「色盲」が色の区別がつかないように、筋の通った論議の
できない「論理盲」という病気が存在するという仮説を自分の
ブログで披露しています。
 色盲は治療方法がないように、論理盲も治らないのであれば
安倍首相を頂点とする、現在の与党はどうしようもないという
ことになります。はやく政権から去ってもらうしかないですね。
 



#9984 
黒駒 2015/10/30 11:03
戦国というか「中世史」

前にもこういう話をしたことがあるかもしれませんが、専門家にとってはたとえ戦国時代をメインに研究していらっしゃる方でも、専門はあくまでも「中世史」なのですよね。院政期から鎌倉、南北朝を経て戦国に至る長い期間を専門としている。

戦国時代に関心があって、かなりお詳しい方でも、やはり戦国にしか関心がない方はよくお見かけします。別にそれが悪いというわけもないのですが。また、「戦国」といっても主に政治・軍事・人物史に関心があって、戦国時代史のもうひとつの大きな分野である村落論とか土地制度史、検地論のほうにはなかなか関心が向かない、ということもあると思います。こっちのほうはかなり難しい話になるので致し方ないのですが。

土地制度史という観点からすると荘園制の成立と解体がまさに中世の長い期間をかけて起こった出来事ですから、院政期から戦国まで「中世」という期間で時代を見ないと捉えられないテーマであると思うのですが。

また、「戦国」といっても関が原の戦いとか大坂の陣のような出来事はもはや「戦国大名」がいない時代なわけで、近世社会に向けての出来事でもあるのですよね。戦国好きな人も中世後期から江戸時代初期の近世にかけての移行期に関心を持つ人は比較的多く見受けられるのですが、遡って南北朝と、そっちへ向かう人は少ないようにも思えます。



#9983 
徹夜城(ただいま新田義貞の歴史小説を読書中の管理人) 2015/10/30 00:22
たまには南北朝歴史小説

 こんど安部竜太郎さんの「義貞の旗」という小説の単行本が出まして、さっそく購入して読み始めました。もともとこちらに知識があるせいか、割とすいすい読めます。
 安部竜太郎さん、以前にも「道誉と正成」も書かれてましたが、こっちは正直なところ僕は乗れなかったんだなぁ…なまじよく知ってるところだけにキャラ設定が違うと感じるともうダメ(笑)。
 なお、「義貞の旗」を読み進んでおりましたら、楠木正成を内管領の長崎氏被官でもともとは駿河方面出身の家、という設定が書かれてました。これは「道誉と正成」でも同じになっていたはず。もちろんそういう説はちゃんとあって、最近では正成を鎌倉御家人、あるいは長崎氏の家臣筋とする意見が学術的にもよく主張されるようになってるんですね。それが歴史小説にも反映してくるわけですが、むかし吉川英治もその当時の最新説、「楠木氏と観阿弥が親戚」説や「散所の長者」説をたくみに盛り込んでおりました。

 それよりちょっと前に、高橋直樹さんの「異形武夫」というのも読みました。こちらは短編連作で、楠木正成、千種忠顕、高師直がそれぞれ主役となる三篇が収録されています。とくに師直が狂言回し的につなげてます。千種忠顕が主役というのも珍しく(たいてい悪役まわりなんで)、この小説については前回の「南北朝列伝」更新の際に情報を追加してあります。


>アジアのバカ大将さん
 日本のウヨッキーな方々の自国の歴史観のトンデモぶりは今に始まったことではなく戦前から連綿と相変わらず続いているわけで…お書きになってる通り、なぜか日本には宗教対立も奴隷制度も植民地支配も階級闘争もいっさいなく、天皇の下に一君万民、連綿と変わらないと本気で主張してるんですよね。この手の思想にハマる人って、結局学歴がどうだろうと関係ないようです。
 先日の史点でも名指しはせずにちょこっと触れた、自民党議員の原田義昭氏のラジオ出演時の文字起こしに目を通しましたが、もうこういう人って何をどう説明されてもダメな気もしてきます。
 参考:http://www.tbsradio.jp/ss954/2015/10/20151022.html
 この中でも「マッカーサーは日本が自衛のために戦争をしたと議会で発言した」という一部に信者の多いヨタ話を原田氏が口にし、「それって誤訳でしょ」と荻上チキさんに突っ込まれてるくだりがあります。
 この人とは別ですが、先日ほかの自民党議員のブログで「アインシュタインの予言」が堂々と掲載されてて頭痛が…(汗)。「日本が世界の盟主になる」ってアレですよ。普通に考えてありえない話だと分かりそうなもんだし、ちったあウィキペディアぐらい調べろと言いたくなります。都合のいい「いい話」って、それも冷静に考えると変な話のほうが「信者」が出るといういい例ですね。あとマッカーサーとかアインシュタインとか欧米人に言われる(言ってないけど)と喜ぶ、という妙に卑屈なところもうかがえます。


>tomohiroさん
まぁそこまで嫌わなくても…(笑)。戦国好きの中にも敬意を表したくなるほどのレベルの方も僕は何人も見てますからね。
 「戦国や幕末の英雄を尊敬する、という人は底が浅い」という話、例えばですがすぐ「信長」「龍馬」を持ち出してよく知りもせずに(小説などイメージ先行が多い)簡単に「尊敬」と言っちゃって、実はちゃっかり自分の美化に利用している、というタイプについてはいささか覚えが(笑)。僕はとかく信長と龍馬を持ち出して気取る政治家は絶対に信用しないことにしてます。



#9982 
tomohiro 2015/10/29 20:44
戦国・幕末好きは底の浅い人間に見られるのか?

2016/17年大河の内容に怒りを覚えてなんにも言いたくないtomohiroです。
そういえば、あるフリーペーパーに書かれていたのですが、
底の浅い人間を批判する記事だったのですが、
「戦国武将や幕末の志士を尊敬する人間は、底が浅い人間に見られる」
みたいなことが書かれていました。
やはり、戦国や幕末好きは歴史好きとしても底が浅いんだなと
戦国嫌いな私は思いました。
私から見ても、南北朝時代や中国の清朝が好きだという人は通に感じますが
戦国の話ばかりしている人はちと宗教がかって見えます。
もう少し、戦国時代が好きな人はどう思われているか考えて欲しいです。



#9981 
アジアのバカ大将 2015/10/28 20:58
古田武彦氏と最新の視点

>>古田武彦氏
管理人さんありがとうございました。古田氏はこのほか、
安本美典氏が受け継いだ、(1)天皇の在位年齢を平均
して「神代」の年代を推定する(2)紀記の記述から
天皇中心主義を削ぎ落として事実に迫る(例・崇神天皇が
妻の兄の豪族から暗殺されそうになったので、逆に攻め
殺した話は、梟雄・崇神の陰謀とみる)――などの手法で
「下は」上岡龍太郎から、上はロンド大学の森嶋通夫教授
までファンが多かったようです。
>>視点=世界記憶遺産
 南京虐殺と慰安婦が歴史修正主義者のリトマス試験紙になって
いますね。
 2月末だったと思いますが「朝日新聞を糺す会」とかいうのが
、外国人記者クラブで記者会見を開き「日本の歴史上には、奴隷も
虐殺も宗教戦争もなかった」とトンデモないことを言いました。
即座に記者から「どれも戦国時代にはあったんじゃないですか?」
と突っ込まれ、まともに反論できず、記者を罵倒し続け、負けた
と思われないようにしていました。
 不思議で仕方がないのは、彼らが歴史を知らなすぎることです。
中心人物=加瀬英明は、慶大からイェール大、コロンビア大留学
という立派な学歴なのに、小学生でも知っているはずの歴史、
奴隷→奴婢(年季奉公禁止は明治初期)
虐殺→織田信長の長島一揆や徳川幕府の島原の乱鎮圧
宗教戦争→蘇我氏と物部氏の仏教をめぐる抗争
――などを知らないようでした。これはただの無知にしては
無恥すぎます。多分イデオロギー(日本は何にも悪くなかった教)
に殉じているのでしょうかね?




#9980 
バラージ 2015/10/25 20:57
史点その他

>西部劇からの連想
 銀行強盗を繰り返した無法者と聞いて僕が真っ先に思い浮かべたのが、ボニーとクライド(『俺たちに明日はない』)とかジョン・デリンジャーだったりします。西部開拓時代の終焉後に現れた犯罪者たちですが、デリンジャーなんかはギャングと表現されることもありますね。ギャング映画自体は西部劇全盛時代からありますが、『ゴッドファーザー』に始まるマフィア映画ブームは西部劇衰退後で、『アンタッチャブル』の頃に第二次ブームがありましたが、こちらも今はかなり下火になってしまいました。
 日本でギャング映画・マフィア映画に相当するのがヤクザ映画。思えばこちらも時代劇映画衰退後に鶴田浩二や高倉健の任侠映画がブームになったわけで、それが徐々に下降線となってきたところで『仁義なき戦い』の実録路線がヒットしたもののそれも長くは続かず、今はVシネマで細々と作られているのみです。
 そう考えると日米で同じような現象が起こってるとも言えるかも。

>世界記憶遺産
 「自分の意見が通らないのなら金は出さない」ってなんかドラマに出てくるイヤな金持ちみたいですよねえ。なんかバブル時代に言われたエコノミックアニマルそのままの感覚で、経済の調子が悪くなっても全然変わってねえなあと、むしろ逆効果なんじゃないかと思うんですが。主義主張を別にして当の日本人自身から見ても嫌悪感しか感じない発言だと思うんですが、そっち側の人はそうは思わないんですかね?

 韓国軍のベトナム戦争で思い出したんですが、『ホワイト・バッジ』という韓国映画がありました。ベトナム戦争の後遺症を扱った作品で、日本でも劇場公開され、DVD化もされてます。その後、便乗的に『ホワイト・バッジ2』『ホワイト・バッジ3』という邦題の韓国映画もビデオリリースされましたが、韓国軍のベトナム戦争映画というだけで全くの無関係(そもそも製作年度が3→2→1の順番だし)。さらに『ホワイト・バッジ ファイナル』『新ホワイト・バッジ』にいたっては朝鮮戦争の映画でした(後にLD化された時にそれぞれ『ソウル奪還大作戦 大反撃』『史上最大の戦場 洛東江大決戦』と改題)。
 朝鮮戦争での米軍との関係を描いた映画には、『銀馬将軍は来なかった』(ビデオ題『シルバー・スタリオン 銀馬将軍は来なかった』)という作品がありました。最近は『小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件』という映画がDVD化されてますね。

>大河ドラマ
 僕は視聴率ワースト1の『平清盛』が面白かった一方で、21世紀大河視聴率トップ2の『篤姫』『利家とまつ』も面白かったんですよ(ただし全話は観てない)。その三作が個人的な21世紀大河トップ3ですね。大河ドラマもあくまで第一義的にはドラマだと思ってるんで、多少歴史的におかしくてもドラマとして面白ければOKという考えです。



#9979 
徹夜城(岩波文庫「太平記」第四巻を斜め読みしてる管理人) 2015/10/20 14:34
ワオー、武!

>アジアのバカ大将さん
 古田武彦氏の関連論文、あるいはそれに対する批判側の論文にはさすがに目を通してないんですが…ウィキペディアの「九州王朝説」を読むとだいだいの言わんとしてることはわかるな、というとこです。以前ひょっこりご本人や関係者の古田史学のHPも覗いたことはありました。ああ、あと古田史学な方から当サイトの文章について「論戦」を仕掛けられたことも何度か。
 さて倭王・武の上奏文のそのくだりですが、学界での議論を詳しく知るわけではありません。ただそのくだりを原文で読んでみると「高句麗が邪魔するから征討しようとしていたところ、父と兄が急に死んだので…」と読むのが無難なところではないかと。古田さんは「高句麗との戦いで」と読んだということなんでしょうか?
 「父と兄が急に死んだ」というくだり、むしろ「倭王武=雄略天皇」説の補強になってると思うんですよ。「記紀」では雄略の父の允恭が死んだあと兄の安康が即位しますが在位3年目で暗殺されてます(それも妃の連れ子に「親の仇」として)。父と兄がいっぺんに死んだわけではありませんが確かに短期間で相次いで死んではいるので矛盾はないと。
 「九州王朝説」の発想は中国側の記録で「日本」と「倭」が別の国のように表現されてることから思いつかれたと思うんです。また「邪馬台国」や「倭の五王」を九州の王朝とするアイデアは本居宣長らがすでに主張してまして、そう新しい考えではありません。古田史学は大和中心の史観を「皇国史観」と批判していたように思いますが、実は皇国史観のルーツの発想に近かった、ということも言えるかと。
 中国・朝鮮における「日本」情報のあいまいさは僕の縄張りである後期倭寇時代でも時々見受けられまして、「日本」とは別の国があるような話も出てきますからねぇ…倭寇のことを調べてるうちに正確な情報がやっと入ってくるわけですけど。


>バラージさん
 なるほど、「篤姫」や「いのち」のヒットを思えば、「歴史劇」であるかどうかは視聴率的にはそう関係はないんでしょうね。濃いめの大河マニアにはボロクソに叩かれた「利家とまつ」「江」がそれなりにヒット作扱いの一方で、つくりはきちんとしていた「平清盛」が惨敗、という例もありますから…まぁ嘆いてばかりいてもしょうがないんでしょうけど。どーも最近中国・韓国の歴史ドラマでも一部にただのトレンディドラマみたいのが見受けられるから、どこも事情はおんなじなのかも。



#9978 
バラージ 2015/10/19 22:22
歴史に興味のない視聴者層

 ちょっと遅いですが、「史点」更新ご苦労様です。ただ、今回の大河ドラマネタには少々異論がありまして。といっても本論ではなく話の枕のほうなんですが……。

 『花燃ゆ』の視聴率苦戦の件ですが、主人公がマイナーなことも全く影響がないとは言えませんが、主たる要因ではないかと。全視聴者(日本国民)でそこまで歴史に多大なる興味を持ってる人なんておそらく5〜10%ぐらいなんではないでしょうか。21世紀以後の大河を見ても高い視聴率を取った利まつ夫妻や篤姫は一般的な知名度は低い人物ですし、一方で知名度の高い龍馬・義経・武蔵・新撰組なんかはいずれも視聴率的には苦戦しています。さらにさかのぼれば80年代には実在の人物が1人も登場しない『いのち』が30%近い高視聴率をあげた例もあり、やはり問題となるのは単純にドラマとしての出来と言いますか、方向性や作り方でしょう。
 今のテレビ、特にドラマの主要視聴者層はF3層(50代以上の女性)で、次いでF2層(30〜40代女性)であり、その層に見てもらえないと視聴率は取れないと言われています。多分、そういう中高年女性たちはそもそも歴史そのものにはそれほど興味がないし、最近の大河はそういう人たちにウケてないんだと思います。上記の層は朝ドラの視聴者層とも重なると思うんですが、『花燃ゆ』にしても『八重』にしても僕の事前予想と違って朝ドラ的にはなってないどころか、主人公が傍観者になっていたり出番が少なかったりで主人公らしくなってないんですよね。史実がそうだからと言われてしまえばそれまでですが、ドラマとしてはそれじゃ駄目だろうと。昔の大河でも『三姉妹』や『花神』なんかがそうだったようで、やはり視聴率的には惨敗しています。

 ちなみに僕は『花燃ゆ』の製作発表前に主人公候補の1つとして実は「長州藩の女性」を予想してました。個人名までは予想できませんでしたが、順番から行って女性、連続で戦国はないだろうから幕末、完全版が残ってない題材のリメイクという流れがあったんで長州(さすがに井伊直弼はないだろうし、勝海舟も微妙なので)、という予想でした。なのでそこまで予想外の題材でもなかったんですよね。安倍首相の要望も実際にあったのかもしれませんが、別にそれが理由で決まったわけではなく、それ以前に製作側も候補として考えていたんだと思います(『八重』は急遽の題材だったんで、それ以前に予定されていた可能性もある)。

>DVD化情報
 大河ドラマ『春日局』『山河燃ゆ』の完全版と総集編がDVD化されたようです。

>朝ドラに新撰組
 放送中の朝ドラ『あさが来た』に、今何かと話題の山本耕史演じる土方歳三率いる新撰組が登場。まあ、ちょっとだけの出演でしたが、タイミング的にも出る前からニュースになってちょっと話題になってましたね。大河ドラマ的には土方歳三が和宮と結婚ということで(笑)、おめでとうございます。



#9977 
アジアのバカ大将 2015/10/19 10:44
古田武彦氏と倭の五王

 まず、学生時代に知的興奮を与えていただいた古田氏に
哀悼の意を表させていただきます。
 次に、彼の論考の中で最も説得力があったと思われる
部分について、現在の学会での評価をご存じでしたら、
どなたでも結構なのですが、ご教示いただけませんか?
 古田説の中で、私が当時特に附に落ちたのは、九州王朝説の
根拠の一つとして、中国の史書に掲載された第一次史料である
倭王・武の中国早朝への上奏文の記述について論じた部分です。
武は「高句麗との戦いで、父と兄を失った」と述べています。
古田氏は、「記紀には対応する記述がまったくない」旨を述べ
九州王超説の有力な証拠としています。
 この主張は、古田氏のオリジナルでしょうか?
従来は五王と大和朝廷との照合は、血縁関係(親子、兄弟など)
の対応に集中していたと思います。対高句麗戦や天皇の
戦死など、宮廷外の大事件についてまで、対応していないのは
「九州王朝説」は正しいと判断する重要な要素に思えました。
 古田氏の論考は現在、学会でどのように扱われているの
でしょうか?
 ご存じでしたら、ご教示ください。



#9976 
徹夜城(ここんとこ南北朝に頭が浸かってた管理人) 2015/10/18 00:00
「南北朝列伝」更新しました。

 ここ10日間ばかり、この作業に没頭してました。「南北朝列伝」、いよいよ細川一族のみなさんを集中的に書きまくりました。細川清氏と細川頼之の「室町太平記」主役二人(?)の列伝を書いちゃったことで、かなり肩の荷が下りました。今後もまだまだ追加する人はいますけど、あんなに長い文章になるのはたぶん頼之が最後でしょう。
 最近の「列伝」の作業は「室町太平記に出した人」を基準に、ついでにその一族もまとめちゃおうという方針でやってるんですが、もうあとまとめて大勢書く一族も山名一族くらいなんですよね。一人一人はあんまり書くことがないんですけど。


>最近読んだ本
 吉川弘文館の「日本歴史ライブラリー」で鹿毛敏夫「アジアのなかの戦国大名」をなかなか面白く読みました。というか、本来はこっちが僕の専門分野のはずなんですけどね(笑)。王直や徐海ら「後期倭寇時代」の九州戦国大名側の事情がまとめられてます。「信長の野望」みたいに戦国大名はみんな「天下統一」を狙ってたわけではなく、九州大名たちみたいにアジア方面の貿易・外交に積極的な人たちもいた…というのが趣旨です。
 遣明船の話はもともといろいろ史料は見ていたんですが、長いこと硫黄が重要な輸出品だったという話は面白かったですね。あと結構中国人があちこちの都市にいてあれこれ活動していること。確か小田原の後北条氏界隈でも突然中国人が出てきたりするんですよね。
 こういうのを読んでると「俺たちゃ海賊!」コーナーの「海上史事件簿」を書かないとなぁ…とまたまた思わされたのでした(汗)。


>古田武彦氏死去。
 いろんな意味で僕も感慨深くこの報に接しました。当初は結構論理的な考察を得意とする方だったらしいんですけどねぇ…全部トンデモというわけではなく、ちゃんと評価されてるものもあったんですが、「九州王朝説」の暴走と「東日流外三郡誌」でひっこみがつかなくなっちゃったのかなぁ。「俾弥呼」はラストすごいことになってましたからねぇ。たとえ地球が滅んでも…とか。
 ミネルヴァ書房の「日本評伝選」、古田さんもう一冊くらい予定なかったっけ、と確認してみたら吉村武彦さんの「雄略天皇」でした。字面が似てるんでよく間違えられると以前小耳にはさんだような(笑)。
 今度の訃報を受けてやっぱり「俾弥呼」のアクセスが増えてしまいまして…「ヘンテコ歴史本」もいくつか候補を抱えているのですけど、寝かしてるうちにちと新鮮味に欠けてきたかな。いま怒涛の勢いで本出してる南北朝ネタの人でもやってみたほうがいいのかな。


>アブダビさん
 すいません、せっかくご指名で質問されていましたのに、返事がかなり遅れちゃいまして…まぁ本音を白状すれば最初に読んだときにどう返事したものか頭がまとまらなくなり、なんとなくほかのことにも没頭したもので返事しそびれちゃったんです。
 お説ごもっとも、と思うところはあるんですよ。戦後史においてもアメリカにさからったからじゃ…と思わせる事例がないわけではない。安倍さんサイドにかなり影響があったらしい故人の元外交官も執拗に「アングロ・サクソンに逆らってはいけない」と外交方針を繰り返してました(この方の父親の外交官が敗戦時にそう言ったらしい)。もっともそう言ってる当人はどういうわけか対米戦も含めて過去の戦争を正当化する志向が強いという矛盾がありましたが。
 だけどだからといって筋が通らん、ってことはあるわけです。「史点」で「仁義なき戦い」の「タクシー屋のおっちゃんヤクザ」が「安全保障」のために山口組広島支部の看板を掲げた事例で例えましたけど、その心情自体はわからないではないけど結果的にそれが「広島代理戦争」になっちゃったんですよね。そういう行為に「筋が通らん」という声も実際にあったわけです。それこそ僕も公民の授業で立憲主義だのなんだの教えるんですけど、これじゃなんでもアリになっちゃうじゃないか、と。
 それと歴史屋としてやっぱり気になるのは、そういう政策を進めてる政治家連中の歴史認識がどうもズレまくってるという事実なんですよね。彼らの業界から一歩出たら通用しそうにない歴史観を本気で信じてる連中がいる、というのを昨今の動きで改めて良く分かりましたし。それがどういう結果を招くのか、かなり不安になるのは確かです。



#9975 
黒駒 2015/10/15 22:41
古田武彦氏死去

古田武彦氏が死去されたそうですね。私もこちらで『俾弥呼』の著作を知り、読んでみようかと思いつつも、未だに果たしてません。私も日本史の人ですから、中世から近世、近代の本はよく読みますけど、古代史はどうしても「トンデモ」とまでは言いませんけど、実証主義的なスタンスに疑問のあるものが多くて、読む本を選択するのに手間が取るので、敬遠しがちな分野になっている気もします。

歴史学はどのような時代・地域であれ、学問であるのならば実証性を重視し、確実な史料に基いて著述し、推論の上に推論を重ねるような議論をしないということがお約束になっているはずなのですが、古代史となると史料の僅少さがどうしても埋められないので、学問として探求するのが難しい分野であるのかな、などと思います。

日本史だとやっぱり戦国時代を中心とする中世だけ異様な出版ラッシュではありますけど、中世がやはりほどよく史料が残されているというか、手付かずのわからない部分があって、ある程度、実証性に基いて研究できる余地がある分野なのかなと思います。



#9974 
バラージ 2015/10/07 22:23
『ジョン・ラーベ 南京のシンドラー』

 映画『ジョン・ラーベ 南京のシンドラー』のDVDを観ました。
 映画としてはなかなか面白かったです。『南京!南京!』ほどの傑作ではありませんが、まずは佳作と言っていいでしょう。ただ、ヨーロッパ映画(ドイツ・フランス・中国合作だが監督・主演ともにドイツ人で実質的にはドイツ映画)のわりには若干ハリウッド的なエンタメ化がされているのがちょっと気になりました。同じドイツ映画なら、『ハンナ・アーレント』より(観てない映画で何なんですが)『レッド・バロン』に近いノリというか。あくまで「南京事件に直面したラーベ」を描いているので、いわゆる“キツい”描写はさほどありません。一般的な戦争映画の範疇に収まるものばかりでした(だからこそ『南京!南京!』のような傑作たりえていないとも言えるんですが)。ちなみに僕がここ数年で観た歴史・戦争映画で「これはちょっとキツいな」と感じたのはダントツで『セデック・バレ』、次いで『キャタピラー』で、やや落ちて『野火』、さらに落ちて『南京!南京!』で、『ジョン・ラーベ』は全くの余裕です。
 史実と映画の違いなどについては付属のミニ冊子でも解説されてますが、大きな違いはラーベに敵対する人物として香川照之演じる朝香宮鳩彦王中将が設定されていることでしょう。実際にはラーベと朝香宮は面識がなく、朝香宮は南京事件にも直接的な関与はしていません。南京事件において朝香宮がクローズアップされることは日本では非常に珍しいのですが、解説によるとヨーロッパでは貴族や王族が最終的には全ての責任を全うすべきという「ノブレス・オブリージュ」が基本的な考え方だそうで、それが映画の描写にも影響しているのだろうとのこと(そういえばアニメ映画『機動戦士ガンダムF91』にもこのネタが出てきていた。さすがは富野由悠季)。これを読んでふと思ったんですが、昭和天皇の戦争責任論にも通じる考え方なのかもしれないなぁと。
 解説によると他にも、実際には南京に残る決意をかためていたラーベが、映画では帰国すべきか残るべきか迷っていたり、実際にはすでに帰国しているラーベの妻がまだ南京に残っていたりという違いがあるようです。また、パナイ号事件や百人斬り競争などラーベとは直接関係ない事件も、ラーベと関連づけられていたりしますが、大筋では史実に沿った展開となっています。

>中国歴史ドラマ
 レンタルDVD店で『フビライ・ハン』という中国連続ドラマがレンタル開始されてました。そのちょっと前から『岳飛伝』や『隋唐演義』という中国連続ドラマもレンタルされてます。そのうちどこかのBSでも放送されるかも。

>朝ドラ
 歴史ドラマや歴史映画では史実と変えている部分は多かれ少なかれありますが、ドラマや映画というのは娯楽ですし何より(広い意味で)物語として面白くなければならないと僕は思っているので、それはある意味当然のことだし、少なくとも仕方がないことだろうと思ってます。朝ドラの場合は伝記ドラマといってもあくまで「実在の人物をモデルにしたドラマ」ですが、扱う時代が現在に近いので遺族や関係者(場合によっては本人)から「事実と違う!」と抗議を受けたりしないようにあくまで「モデル」として名前を変えているのかもしれません。ちなみに確か『おしん』も、「大根飯は貧乏人の中でももう少し裕福な層の食事だった」と批判されてたような。
 前回書いた通り10年代の朝ドラは今のところ半分以上が時代劇ですが、それでも10年代を代表する朝ドラは何かと問われれば、現時点では間違いなく現代劇の『あまちゃん』でしょう。視聴率については実は時代劇に比べて特に高いわけではなかったようなんですが、社会現象にまでなった影響力を考えてもやはり『あまちゃん』しかないと思います。ゼロ年代だと何だろう? 『ちゅらさん』かな? まあ僕は8時15分からだった昔のものはほとんど観てませんが。



#9973 
五葉 2015/10/04 20:34
朝ドラの大河化?大河の朝ドラ化?

 朝ドラの話、私も乗らせてください。
 家族関係が抽象化しているという話がありましたが、私はむしろ理想化して描いてるのかなと思います。朝ドラは主たる視聴者が中高年の女性であるからというのもあるんでしょうね。今回の広岡浅子は実際にはお妾さんから生まれたのですが、その設定はばっさり切っています。「花子とアン」の村岡花子も、実際には不倫の果ての略奪愛で結婚したのに、ドラマでは旦那さんの前の奥さんが亡くなったことになっていました。朝ドラの主人公には、姑世代の人たちが理想とする家庭像が反映され、彼女たちが受け入れがたい家族関係は排除されているように思いますね。朝もはよからドラマでまで、ドロドロした家族関係を見たくない(笑)気持ちは判りますけど、「お父さんと、お母さんと、血のつながった子ども(そしてお母さんが仕事と家庭を両立させとったら最高)」の揃った家庭でなくても、それなりに楽しくやっている人は、昔も今もおるでしょうにねぇ…。もう少し下の世代が主要な視聴者層になれば変わってくるような気がしますが、そこまで朝ドラ自体が存在してるかな?(笑)
 意地の悪い見解を書いてはいますが、最近の朝ドラは準大河化してて歴史の勉強にはなるので、面白く見させてもらってます。で、タイトルに触れますが、一体どっちがどっちに近づいてんだか…。



#9972 
tomohiro 2015/10/01 19:18
ぼくのかんがえたかっこいいおんな太閤記

私の見立てでは「軍師官兵衛」、「真田丸」は1980年代の「おんな太閤記」、「大河家康」
のブームの真っ最中に描かれた「ぼくのかんがえたかっこいいおんな太閤記ないしは大河家康」
という感じの同人の小説ないしは漫画のようなイメージがあります。
「おんな太閤記」、「大河家康」の時代に受けいられた企画は食傷気味なのになぜ続けるのだろう。間宮林蔵や古代史、戦中や1960/70年代という企画をやってほしいと思っちゃう
今日この頃ですが、
韓国時代劇だってチャンヒビンのような企画をやっているから日本とどっこいですね。
チャンヒビンが登場する企画は日本の徳川家康や勝海舟が存命の頃に取材した作品の
「人々に恐れられた人斬り」、
「主人を何人も変えたモラルがない武将」
みたいに映るんですよね。
ジェンダー、時代、国が変わってもアンモラルで不気味に映る人が
いるんだなと思ってもいます。
だから韓国の李氏朝鮮に取材した時代劇映画は、そこまで怖くもないんですよね。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9971 
黒駒 2015/09/30 23:23
朝ドラ話

私は「おしん」がほんとにもう大好きなのですが、そういえば橋田壽賀子氏が引退宣言をするというニュースもありましたね。

すごいのが、もういい加減トシなのだって理由ももちろんあるのでしょうけど、主たる引退理由がもう最近の現実の家族関係やテレビドラマ界の動向にはついていけないと、あのお年になるまでついて行こうとしている意志のあるあたり。

私も渡鬼はさすがに設定をチェックするくらいでまず見てないのですが、橋田先生が時代についていけているかどうかは評価が別れるでしょうが、渡鬼ってけっこう、その時々の時代設定を積極的に取り入れてるのですよね。もうITバブルからリーマン・ショックに至るまで、島耕作シリーズを見るように最新のビジネス情報とは違いますが、時事ネタが入ってくるという。

渡鬼の最終シリーズもついに岡倉大吉が死ぬという話でありながら、もう始まって五分くらいでゴッドファーザーの死を嘆く場面は終わり、当時話題になっていた相続税改正の話になっちゃって、笑いました(笑)。

朝ドラも家族関係を描きにくいというのは、確かにあるのでしょうね。準歴史ものにすることで抽象的にしようとするような意図があるのでしょうか。大河ドラマの女性主人公ものもそうですが、やっぱり時代的な家族関係・身分制時代の人間関係などそういう家族史・女性史的な考証はかなりお粗末な印象はありますね。女性史研究者などが、これでは歴史的な女性の立場を伝えることはできないと、非難する声でもありそうなものですけど。



#9970 
tomohiro 2015/09/29 11:16
韓国時代劇への不安と恐怖

>バラージさん
私も朝ドラと特徴がかぶるから近現代史は無理なのではと考えたこともあります。
しかし、そんなことを考えたのは韓国時代劇が高麗や古代史など
日本で言う戦国幕末のような映像化を度々したがる企画以外も展開し始めたというのが
一つの理由です。
現在韓国の映画産業はさかんで、日本ドラマより人気の国もあります。
それでなおかつ古代史などやられたら、戦国幕末だらけの日本は負けを認めている
ようにも思えたからです。
ならば、近現代史や古代史も真剣に検討してはという考えがあるのです。
もし、大河が、其れを否定するならば仕方がありませんが。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9969 
黒駒 2015/09/27 17:52
南北朝大河化の布石?

私も最近の南北朝本の相次ぐ出版はどうしたことだろうと思ってました。

群馬県の郷土史研究ってなかなか活発なのですね。「真田丸」の企画で確信しましたが、NHKで企画を考えている人たちも、かなり最新の研究動向というか、論文よりも一般書の動向を注視している感じがしてます。

南北朝研究や一般書の刊行が活発化して、世の中の歴史愛好層に支持されれば、いずれは大河ドラマ化の対象になることも十分あるのではないかなぁと、思います。



#9968 
アブダビ 2015/09/27 02:38
安保改正について

つね様より政治の話題にかかわる事は、サイトを荒らさせる原因になると御指摘を受けました。
私もそう思います。
史的伝言板を守るには、それは私ら、ここで遊ばせて貰う者が考えておくぺき事であると思います。
ただ…管理人さん がプロの歴史家である以上、どうしても知ろうととして、聞いてみたい事があるのです。

文面から察するに、管理人さんは国家主義より自由を大事にする方な気がする。
恐らく今回の騒ぎも、反対する方への同情が強い気がします。

私は今回の騒ぎに対して、どっちにも与したくない組ですので、それなは何の感情も持ちません。

ただ…プロの歴史家に質問したいのです。反対する事が本当に日本の平和に貢献するのですか?

アメリカという暴君は、現代史を見るに、一つの貫徹性を持ってるように想えまます。それは…

「同盟国から離反した国を赦さない!」

という一点です。

キューバが、
イランが、どんな目に遇わされました?

キューバは西洋医学と東洋医学のコラポレーシヨンが最も進んだ先進国です。
リサイクルと有機農法が進んだエコロジー最先端国です。
何故か?

アメリカの経済制裁は、かつてキューバ国民が、平均体重が10キログラム減少する程の食糧危機を産んだからです。
薬品や医療機器の輸入はソビエト崩壊後に途絶した。
その為にロシアや中国からと大量の鍼灸師を招き入れ、東洋医学を医療現場で活用する方向に行った。
全てはアメリカの経済制裁が原因です。

かつてパーレビ国王の元のイランは、サウジを超える中東の親米国で、開かれたイスラム国でした。
イスラム革命で反米に転じたイランは
CIAの援助によるサダム・フセインの台頭で、イラン・イラク戦争を強制され、国はボロボロにされ、経済制裁が数十年に渡り続行される。
あの国が核開発を手放さないのは、そもそもがアメリカのせいでは?

つまりアメリカは傘下から自立して、出て行く国を赦さない!
徹底的に軍事、経済的に叩く!
それは二つの国の辿った苦難が実証してあると思います。

かつて東洋と西洋に股がり、同時に日本とドイツを相手にしたアメリカも、
軍事予算の膨張に耐えられなくなった。
そこで削減の為に、かつて日英同盟で
英国がロシアの牽制を日本に押し付けたように、中国の牽制を日本に押し付けようとしているのでのいでしょうか?

たとするとアメリカの国情から発した安保改正法案に逆らったら、ジャイアンはどんな暴挙に出るでしょう?
裏切った国は徹底的に叩く国だもの。

面等な事に、法案の成立は、朝鮮半島有事だの、中国だのと戦火を交えるリスクを日本に押し付けたと思います。
どころか中東あたりまで活動要請が拡大され、イスラム国とかのテロ対象にされる危険性が出てきた。

それでも…アメリカは裏切り者を赦さない国です。
自衛官が戦死しても、テロの被害に遭おうとも、アメリカを敵にまわして、
イラクやキューバの二の舞になるより、
遥かに「平和」なのと違いますか?
アメリカが裏切りを許さず、徹底的に叩く国のことは、現代史が証明してませんか?
御意見を求めます。





#9967 
バラージ 2015/09/26 23:01
朝ドラ

 来週の月曜日から新しいNHK朝の連続テレビ小説(通称・朝ドラ)『あさが来た』が始まります。主人公は実業家の広岡朝子をモデルとした人物が主人公で、朝ドラで初めて幕末が物語の始まりになるとのこと(最終的には大正時代まで行くらしい)。先日、新聞(地方誌)の文化欄コラムで触れられてたんですが、ゼロ年代の朝ドラは大半が同時代(現在)を舞台としていたのに対して、10年代の朝ドラは半数以上が明治〜昭和が舞台となっている。家族というものを描きにくい時代になってきたのか、現代だとヒロインを取り巻く環境が複雑すぎるのか……との指摘がされてました。
 確かに調べてみると、ゼロ年代の朝ドラで現在を舞台としていないものは20本中『オードリー』『てるてる家族』『純情きらり』の3本だけ。そのうち戦中が舞台に含まれるのは『純情きらり』のみで、他の2本は戦後が舞台です(しかも『オードリー』は最終的に現在にまで到達する)。これに対して10年代の朝ドラで現在を舞台としていないものは、13本中『ゲゲゲの女房』『おひさま』『カーネーション』『梅ちゃん先生』『ごちそうさん』『花子とアン』『マッサン』『あさが来た』『とと姉ちゃん』と実に9本です(現在を舞台としたものは『てっぱん』『純と愛』『あまちゃん』『まれ』)。『あさが来た』以外は全て多かれ少なかれ戦中を舞台に含んでいるのも特徴的。
 以前にもここで話題が出たように思いますが、そのうち『ゲゲゲの女房』『カーネーション』『花子とアン』『マッサン』『あさが来た』の5本が実在の人物をモデルとしています(朝ドラでは実在の人物の実名そのままということはほとんどない)。ゼロ年代では『てるてる家族』だけ(しかも原作のなかしに礼の妻がモデル)だったことを考えると、これまた10年代の朝ドラの特徴と言えるかも。こういう朝ドラが多いことを考えると、たまに言われる「大河でもまた近現代ものを」というのは、朝ドラと特徴がかぶっちゃうんで難しいように思いますね。



#9966 
つね 2015/09/26 02:59
アブダビさまへ

誤解させる書き方だったかもしれませんが、私は日本が日本人を助けるべきなのが当然だと考えています。当時は自衛隊が海外に出るのを警戒する世相だったということでしょう。震災時等でも自衛隊批判をする人たちがいるとネットでは出回ったりしますが、本当なら「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というか「火事を恐れて火そのものを批判する」面があるようです。政治関係は、掲示板が荒れる可能性があるのであまり深入りしたくはないのですが(今回は私がうっかり踏み込んだ面もあります)。

>海難1890
私も管理人さんと同じ発想で「エルトゥールル号」のトルコ語版wikiを覗きました。「トルコ語とはいえアルファベットなので何か分かるだろう」と思ったのですが、「アルファベットとはいえトルコ語なので」何も分かりませんでした。知らないアルファベットもあるし。アルファベットにもいろいろあるみたいですが。まあなんとなくイランイラク戦争の時のことには触れられてなさそうだとは思いました。全くの嘘ではないにしてもやや都市伝説が混じっている可能性はありますね。



#9965 
バラージ 2015/09/25 22:14
杉原千畝とシンドラーとラーベ

 杉原千畝の映画化を聞いた時にはついにここまで来たかと思っちゃいましたねぇ(それ以前に反町隆史主演でドラマ化もされてましたが)。もちろん杉原の行った行為は全く善きことであって、戦後不遇だったことを考えれば再評価し顕彰されてしかるべきだと思うんですが、どうもそれをする側に「自分たち日本人を褒めたい」「外国人から褒められたい」という、最近流行りの外国人が日本人を褒める(製作側は日本人なんだから、ある意味自分たちで自分たちを褒めちゃう)バラエティー番組みたいな秘かな心理が感じられて、そこがちょっと引っ掛かっちゃうんですよね。その手の日本人が自分たち日本人を褒める本はずっと以前からありましたが、最近特に流行ってるような気がします。もちろん製作側は全くの善意で作ってるとは思うんですが、この映画自体がどうこうというより、こういう日本人自画自賛みたいなのが流行る風潮がなんかちょっとねぇ。自分で自分を褒めちゃ世話ないよっていう。
 杉原を「日本のシンドラー」と呼ぶことも多いんですが、ドイツ人自身であるシンドラーと、日本人という第三者である杉原とではやはりちょっと立ち位置は違うとも思うんですよね(シンドラーは善意の人ではなく利益絡みの部分があったという批判はひとまず措く)。むしろ杉原に立ち位置が近いのは、南京事件で中国人を日本軍から救ったドイツ人ジョン・ラーベなんではないかと。ただ、杉原を褒めたい人々の中の一部には、これを言うと嫌がる人もいるかも。実は映画『ジョン・ラーベ 南京のシンドラー』のDVDを買ってしまいました。僕は基本的に映画館かレンタルDVDで観て面白かったものしか買わないんですが、このDVDはレンタルもテレビ放送も期待できそうにないんで、思いきって買っちゃいました。そのうちに観ようと思います。それにしても、この映画の邦題のサブタイトルもシンドラー。映画化される以前はほとんど無名の人だったと思うんですが、ハリウッドの、というよりスピルバーグの影響力恐るべし。

>『ピカレスク』
 あー、ありましたね、そんな作品。レンタルビデオ店で見かけたことがあります。猪瀬直樹が原作というのは全然知りませんでした。というかパッケージを見た時の河村隆一主演というインパクトが強すぎて、ああそういや河村が演じたの太宰だっけ、という印象です(笑)。



#9964 
徹夜城(さて明日から仕事の管理人) 2015/09/24 23:54
連休はずいぶん本も読みました。

 歴史映像名画座ネタのためにいろいろ映画も見たんですが、このところ関心対象を扱った書籍もいろいろ出ていたもので、この連休に目を通してます。
 気が付くとこのところ南北朝ネタの専門書が多く出てまして…つい先日「新田三兄弟と南朝」(久保田順一著)が出たばかりなのに、歴史文化ライブラリーで「新田一族の中世・『武家の棟梁』への道」(田中大喜著)なんてのが出てました。後者は新田一族の発祥から室町期までを対象にしてます。
 「新田一族の中世」で特に面白い見方だな、と思ったのが、鎌倉後期の段階で新田一族は完全に「足利一門の末」に置かれていた、という見解です。「増鏡」でそういった表現をされてることについてこれまでは「京都の公家の無知じゃないのか」との声があったわけですが、この本では新田歴代の諱に注目、「政氏」「基氏」「朝氏」と続く義貞の先代たちの「氏」は足利氏の通字「氏」を与えられたものとし、「義貞」の「義」も尊氏の兄「高義」から与えられた(「貞」の方は北条貞時)とみなして足利と新田は明白な上下関係にあった、とみるんですね。そうなると「足利高義」に「氏」がないのが気になりますが、これは北条氏が足利氏を源氏嫡流と認めて味方にとりこむ流れの中で源氏の通字「義」を名乗らせた、ということになると。高氏(尊氏)は本来二番手だったので「氏」のままなんだということになるのかな。
 全面的に支持もしにくいですが、足利と新田の関係が上下関係になっていた可能性自体は大いにあるかと。義貞の挙兵が尊氏の指示のもとにあった、という見解は以前からありますし。ただ「梅松論」で出てくる陥落後の鎌倉をめぐり足利・新田が対立したとする件や建武政権での新田氏の位置づけについても実際には足利一門としての扱い、という見方には異論も出るかと。

 建武の乱で足利・新田は全面対決となるわけですが、後醍醐は尊氏の対抗馬として義貞を引っ張り出す、尊氏は後醍醐を直接の敵とするのを避けるために義貞を「敵」に立てる、という構図は以前から言われてはいるんですけどね。まぁ義貞も鎌倉陥落の殊勲を挙げたことで野心が出たのかもしれません。
 新田氏も足利同様に「源氏の嫡流」であり、武家の棟梁を争うライバルだった、というのは主に「太平記」が描くわけですが、「太平記」自体が室町幕府の「正史」的性格をもつものであり、足利政権の正統性の「物語」を語るために義貞を実態よりも大物に見せて尊氏のライバルに仕立て上げた、というのがこの本のメインテーマといっていいと思います。いろいろと異論がわいてもくるのですが、これはこれで刺激的な著作だと思いました。


>バラージさん
 「肉弾」が「日本のいちばん長い日」と表裏一体の関係、ということはあるようですね。もともと「日本のいちばん長い日」は小林正樹監督で企画されたもので、諸般の事情で岡本喜八に交代したとき東宝幹部は「岡本は楷書の映画はできない」(だったかな?)といった発言をして危惧したという話もあります(「独立愚連隊」とか「暗黒街の顔役」の監督ですしねぇ)。また橋下忍のきっちりした脚本があるため岡本喜八としてはやややりにくい仕事だったような話もありまして、その中で近衛師団長殺害シーンだけは強くこだわって橋下さんに凄惨な描写を入れるよう書き換えさせたとか。
 で、映画はヒットしたんですが評論家受けは実はあんまりよくなかったらしいんですよ。なにせ「戦中世代」ばっかりですから、国家指導部だけを描く内容(よく見りゃそうでもないんだけど)に「あんたにとって戦争とはそんなものなのか!」的な批判が入り、そうした声への回答として自腹を切った「肉弾」を作ることになったということらしいです。

 猪瀬直樹の名前で思い出しましたが、太宰治と井伏鱒二の関係を描いた「ピカレスク」という作品も映画化されてましたよね。


>「海難…」
 僕も「黒衣の刺客」を見た映画館でこれの予告編見ました。映画の企画の趣旨から予想はしましたけど、「トルコはなぜ親日国?」的なアオリをドカドカやられると、ひねくれ者の僕なんかはかえって鼻じらみますね。先日「虚構新聞」で「日本の美徳「謙虚」を日本政府が世界に大々的にアピール」ってギャグがありましたけど、あれに通じるシラケで。

 エルトゥールル号遭難に串本の村民たちが大変な救助活動をしたのは事実ですが、幕末にプチャーチンも似たような救助活動してもらって後々まで友好ネタにされてますしねぇ。当時この遭難事件に日本でも同情の声が高まり政府も生存者の送還をするなど非常に強力的でトルコ側に大いに感謝されたのも間違いないんですが、それがイラクの一件にそんなに直結してるのか、ということについてはまだひっかかりを感じてます。
 この話自体が10年くらい前から言われだしたものだと思いますし、日本で喧伝されるほどトルコで広まってる様子も感じません。ソースとして使えるかやや問題もありますけど、例えばウィキペディアでエルトゥールルの項目をトルコ語で見ると少なくともイラクの一件には触れてないんですよね。その当時にパイロットの誰だかがそういったことを口にした可能性はあるんですが、「トルコでは誰でも知ってる」レベルなのかは…「親日」なことについてはむしろその後の日露戦争とかを考慮した方がいいんじゃないかと。フィンランドの「東郷ビール」ネタと似た感じがしちゃうんですよねぇ。日本人、耳障りのいい「いい話」に弱いからなぁ。
 あとですね。そうやって付き合いの始まった日本とオスマン帝国ですけど、正式な国交はとうとう結んでないんですね。なんでかってぇと日本が「領事裁判権」を要求したから。「一等国」になったつもりの日本としては自分は不平等条約改正に努力しながらオスマン帝国に対しては列強同様に対応したわけで、正直ほめられたものではありません。



#9963 
アブダビ 2015/09/24 01:48
つねさまへ

どうして日本が日本人を助けられないのですか?

私の父は当時に石油コンビナート建設に関わり、空港で取り残されたエンジニアの一人です。
無差別撃墜の期限が迫る中で
、日本の航空会社は拒否。空自の出動は野党の妨害で妨げられ、私ら家族は涙の想いで日本を呪いかけた。
その時に、自国民を陸路で運ばせる道を取りながら、日本人を救出の為に飛行機を飛ばしてくれたトルコ国と、トルコ国民には今でも感謝してます。
何人かの留学生を家族はホームステイさせました。
あの言葉は当時の家族の本音と一致してます。
時節柄、身構えるお気持ちは解ります。
しかし…そこには核心を突いたものがあるのでないでしょうか?






#9962 
つね 2015/09/23 17:53
歴史映画予告

昨日は「天空の蜂」を見てきましたが、それは置いといて。予告で以下の映画が紹介されてました。

「海難1890年」(エルトゥールル号遭難事件とイランイラク戦争時の日本救出劇を描く。日本トルコ合作)
「杉原千畝 スギハラチウネ」

どちらも公開は12月5日。「海難1890年」は事件後125年にかけてるみたいです。

それぞれの公式サイトは下記参照
http://www.ertugrul-movie.com/
http://sugihara-chiune.jp/

どちらも感動できる実話で、泣ける美談とは思うし、多分、見に行くのですが、こう日本人の美談が続くと少し違和感も。特に「海難1890年」の予告編で「どうして日本が日本人を助けられないのですか」というセリフは、ストーリー上出てきて当然のセリフだと思うので偶然なのでしょうが、時節柄身構えてしまいますね。
ちなみに私は安全保障法案の方向性については国際環境からやむをえないと思っています。やや性急すぎるとも思っていますが。



#9961 
バラージ 2015/09/23 13:05
またまた歴史映画いろいろ

 あー、『黒衣の刺客』、ご覧になったんですか。僕も観たいと思ってるんですが、今のところ僕の地方の公開予定が出てないんですよね〜(公開されたとしても半年後ぐらい、下手すりゃDVD視聴かな)。ホウ・シャオシェン監督初の武侠映画で主演がスー・チーと来れば観ないわけにはいかない。アン・リー(『グリーン・デスティニー』)やチャン・イーモウ(『HERO』『LOVERS』)のようにそれまでの作風からは想像できないような作品なのか、ウォン・カーウァイ(『楽園の瑕』)のようにたとえ武侠映画であろうと作風が変わらないのか……どうやら後者のようです。事前に解説なんかはなるべく観ないようにしてるんですが、どうしてもなんとなく目に入ってしまうんですよね。そんなわけで個人的には非常に楽しみ。
 歴史的要素があるとは知りませんでしたが、唐末を舞台とした歴史関連映画なら、以前紹介した香港映画『英雄十三傑』があります。古典『残唐五代史演義』を基にしたショー・ブラザーズ映画とのことで、黄巣の乱を背景としており主人公は李克用の息子。朱全忠も出てくるようです。監督は『水滸伝』のチャン・ツェー(張徹)で、なんとブルーレイも出ています。僕は未見ですが。

 『バトル・オーシャン』はねぇ……『神弓』で期待値を上げすぎましたね。僕は三国志マニアで『レッドクリフ』二部作も面白かったんですが、『バトル・オーシャン』はほぼ合戦オンリーで、ストーリーがないに等しいからなあ。ご指摘の日本人は、僕が前回挙げた日本人俳優ですね。

>戦争映画
 『野火』は最初はあんまり観る気がなかったんですよね。別の映画を観に行った時に予告編を観て、「これはちょっと凄そうだぞ」と感じて、やっぱり観に行こうと思い直したんです。大林宣彦も絶賛してましたが、常盤貴子さんも自分の出演映画の公開初日舞台挨拶で自分の映画そっちのけで絶賛してたのがニュースになっておりました(笑)。原作では神の問題が描かれているそうで、前の映画化ではその辺は避けたらしいんですが、今回のでもそこはやはり描いていません。
 樋口真嗣はねぇ……特撮監督としては優秀でしょうけど監督としてはちょっとなあ。話題の『進撃の巨人』第1部を観たんですが(原作は未読)、人物描写がとにかく薄っぺらい。犬童一心との共同監督『のぼうの城』も、犬童監督にしては人物描写が類型的だったんですが、樋口監督が足引っ張った部分もあるんではなかろうかと疑っております。

 戦争映画からの連想ですが、#9430で紹介した『少年H』で印象に残っていたことで書き漏らしたことを。
 主人公の肇少年が通う小学校の軍事教官を原田泰造が演じてるんですが、鬼教官でとにかく主人公をいびり抜き、終戦が迫ると「本土決戦だー!」と訓練用の銃で生徒たちを戦わせようとし(『日本の一番長い日』かよ!)、他の良心派教官や生徒たちの機転でそれが防がれそこに終戦の詔勅が放送されると子供みたいにわんわん泣き出すという、かなりファナティックな人物なんですが、しばらくして肇少年は戦後の闇市でこの鬼教官と偶然再会します。かつての鬼教官は街角でアジっている共産主義者の演説にうっとりと聞き入っており、肇少年にも「教官なんてやめてください、妹尾さん。今は民主主義の時代ですからぁ」などと猫なで声を出します。肇少年は戸惑い、共産主義者の演説にうっとり聞き入る教官を薄気味悪そうにその場を立ち去るんですが、この原田泰造の演技が絶品でなんとも言えないヌメッとした不快感を感じさせてくれます。謝罪も反省も後悔も当惑もなく、いともあっさりと右から左に回れ右しちゃう無節操さ。5・15や2・26や宮城事件の青年将校も案外こんな人物だったんではなかろうかという気がしました。

 もう1つちょっとだけ戦争映画の話。岡本喜八監督は『日本の一番長い日』が権力のトップだけの話だったことに不満があり、次回作で末端の一兵士の特攻を描く『肉弾』を撮ったんだそうです。

>菊池寛
 太宰の話でも芥川賞の話でもないんですが、芥川賞・直木賞を創設した菊池寛を描いた映画に、以前紹介した『丘を越えて』があります。菊池と細川葉子という架空の女性秘書(後に小説家となった佐藤碧子がモデル)と朝鮮人児童文学作家・馬海松の微妙な三角関係を描いた映画で、なかなか面白かったですね。菊池を西田敏行が、葉子を池脇千鶴が、馬を西島秀俊がそれぞれに好演。完全に池脇千鶴目当てで観た映画でしたが見事に当たりでした(特にファンというわけではないんだけど、池脇千鶴にハズレなし!だと思っている)。猪瀬直樹の小説が原作らしいんですが、それはずっと後になってから知ったこと。

>歴史映像名画座
 更新ご苦労様です。今回追加された作品のうち、すでに感想を書いたもの以外では『かぶき者慶次』をチョロッと観ました。歴史どうこうではなくあくまで時代劇でしたね。まあ木曜時代劇だから当然ですが。あ、『軍師官兵衛』がDVD化されたようです。



#9960 
徹夜城(しばらくぶりに渋谷まで出かけた管理人) 2015/09/22 00:16
珍しく世間並みに連休

 僕の商売は世間が休みの時は仕事、ってケースが多いんですけどねぇ。今年のシルバーウィークとやらでは世間並みに連休をとれてます。
 そんなわけで都内まで繰り出して映画を見てきました。台湾の侯孝賢監督の新作「黒衣の刺客(刺客・聶隠娘)です。
 …う〜〜〜ん…残念ながら僕はノれませんでした。唐末に書かれた小説が原作だそうで、唐末の藩鎮乱立時期を舞台に実在人物も出てくる話なので「歴史映像名画座」的にはやっぱりチェックしておこう、と思ったんですが、何をどうしたいのか僕にはとうとう理解できないまま「え?終わり?」ってな2時間でした。一応武侠ものでアクションもあるんだけど、一つ一つのシーンが長回しの割にサラッと流されていっちゃって、話のつながりがよくわかんない(汗)。カンヌで監督賞だし新聞の映画評で絶賛も見たんだけど、なんか僕には肌に合わなかったみたいです。

 そうそう、「バトルオーシャン海上決戦」、アマゾンでとりよせて鑑賞しました。思ったのが「三国志マニアで『レッドクリフ』が楽しめる人にはいいかな」というところ。もともとあの一戦の史実再現なんて考えてませんよ、これ。CGやらドローンやらを駆使した海上バトルアクションスペクタクルを素直に楽しむべきでしょう。日本の一部報道に「反日映画」扱いしてるのがありましたが、そりゃ筋違いもいいところで(そりゃま、日本軍は悪役ですが状況がどう見てもそうでしょ)。
 日本版DVDは20分近くカットしちゃってるらしく、それで李舜臣配下のキャラたちの動きがわかりにくい。特に気になったのは李舜臣の配下に明らかに「日本人」がいて、来島通総に「お前は日本人か朝鮮人か」と言われる場面があったことですね。役名も「俊士」(中国語ウィキペディアより)となっていて、それは個人名じゃなさそうだし。

 「経世済民の男」も全部終わりましたね。最後の「電力の鬼」はなんで1回だけだったんでしょ。敗戦直後の電力会社分割民営化の話だけに絞ってましたけど、調べてみると戦前から結構面白そう。小林一三ともつながっているんですね。
 このシリーズ、歴史上の有名人を大物俳優がチョコッと顔出し程度でやってるケースが多かった。「電力の鬼」でも大竹まことの東条英機(以前から似てる、とは言われてました)、伊東四朗の吉田茂(メイクすると結構ソックリ)といったあたりが見どころでした。ただ高嶋政伸の池田勇人は…(汗)。
 「経世済民の男」の歴史映像名画座での扱いは悩みましたが、やはり各主人公ずつ分割して扱うことにします。


>バラージさん
「野火」ご覧になったんですね。僕も原作未読ですが、どういう内容かはチラホラと聞いてますので…今度の映画は監督もずいぶんな意気込みで、たぶん壮絶な内容になるであろうとは思ってました。まぁ僕自身はキツいのは苦手なので…樋口真嗣さんが絶賛してるの、見かけたな。
 そうそう、「セルマ」の邦題が「グローリー」なのは主題歌のタイトルを生かした、ということだったんですね。まったく無関係な名前を持ってきたわけでもないと。

>黒駒さん
 なるほど、信玄堤がいかなるものか、という研究は「戦国大名」の権力研究そのものに直結するわけですね。
 「史点」の鬼怒川の件は結局簡単にまとめました。利根川の改流の件もふくめるとかなり複雑になるもんで。先日、関宿の県立博物館を見物してきましたが、詳細に工事の過程を紹介してまして、江戸時代初期なんて時期にこんな大掛かりなことを、と恐れ入ったものです。

>つねさん
 太宰がノートに「芥川ラブ」を書きまくっていたって話は先日どっかのTVでもやってました。ホントにほしかったんでしょうねぇ。
 スーパーヘンジの「半径」の件はご指摘の通りですね。言い訳しておくと、どうも僕が参考にコピペしたどっかの記事がすでにそうなってたみたい。

>アブダビさん
 「怒れ太宰」はそれなりに手間をかけたネタでしたので、楽しんでいただけたなら幸いです(笑)。当初は記事全部をパロディにする気だったんですが、さすがに無理がありすぎました。
 国会デモの件ですが、僕はそこまではネガティブにとらえてないです。また何かと比較される岸信介の時の国会デモと比べれば落ち着いたものでしたし、一部で言われてるほどイデオロギッシュでもなさそう。参加した人もピンからキリまでというか背景がバラバラ。それでも海外メディアも結構驚くほどの人出だったのは事実で、長い目で見ると何らかの流れにはなるかもしれません(まぁ同様のことは安保法制にも言えますが)。あと、世代が一巡したかなぁ、と「シラケ世代」な団塊ジュニアとしては思わされるところもありました。



#9959 
アブダビ 2015/09/21 02:48
結論

戦争をやるなとは言いません。
ただ「やるなら勝て!」
勝てないならやるな!
勝てるだけの地盤を作ってからなしろ!
です。
右も左もそんしの兵法を一読した方が良いと思います。



#9958 
アブダビ 2015/09/21 02:44
右派の悪口3

だいたいエネルギーを自給できない国が
積極的に戦争に参加してどうする?
石油がまるで自給できないくせに、戦艦やら航空母艦を作って、あげくに最大の石油輸入国に戦争した結果がどうなりました?
IHI石川島播磨重工が、藻類の高速増殖による代替燃料の試験に成功しました。
石油はエネルギーだけでなく、すべての化学産業の基礎であるので、それだけでは無理ですが。
取り合えず、「戦争できる国」を目指すのならば、それはそれで結構です。
ならば、関東平野並の藻類増殖プールを
日本に設置できれば、エネルギー輸入国から輸出国に転じる事も可能とIHIは申しております。
戦争やれる国を目指すのならば、これらの研究に莫大な予算を注ぎ込んで、エネルギー大国になるのが先でないすか?
エネルギーを自給できない国が、独自の戦争できる国になるなどお笑い草です。
戦争やれる国にしたいのならば、先ずエネルギーの自給自足を政府予算で研究すべきでないすかね?
右も左も机上の空論ばかりでヘドが出ます。



#9957 
アブダビ 2015/09/21 02:24
右派の悪口2

日本がオーストラリアへのディーゼル潜水艦技術の供与がマスコミで語られてから(今は反対の意見が彼の地で台頭してますが)、対中国包囲網の波に乗って、
軍事技術の輸出と、扮装地の復興に日本の活路を見いだす…
みたいな事を書くネト右翼を見かけます。バカでないの?
戦争が一国を潤す「ゼニ」になったのは
100万人単位の動員があった時代ですよ。
兵器だけでなく、毛布も食料も衣服も何でもかんでも必要されましたから。
ところが…ハイテク兵器の導入は、軍事派遣の規模をせいぜい10万人単位に縮めました。
てことは、日本がどんだけ軍事技術を輸出しても、せいぜい何とか重工業とかの
大企業しか潤わないて事すよね。
だいたい、世界最大の武器輸出国である
アメリカが、世界最大の民間軍事企業を抱えるアメリカが、日本の軍事輸出による大儲けなんて認める訳がないでしょう。この辺りも読みが甘いな〜
結局、右も左も自分の希望的観測に溺れているんですよ。
本当にシラケます。



#9956 
アブダビ 2015/09/21 01:15
右派の悪口も

左派の悪口ばかり書いた気がするので、
公平のために逆も。
中国の脅威とセットで一党独裁を批判する意見が伺えます。
なるほどそれは悪いな…と。
で、中国の共産党が倒れたら、その後を継いで大陸を管理する勢力はあるのでしょうか?
法輪巧の方々とかにでも頼むのでしょうか?
ぶっちゃけ、大混乱になって、日本も巻き込まれるだけでは?
中国共産党たしかに酷い。
でも、あの国が分裂、大乱になったらば
日本は酷い目に合いますよ、きっと。
今のEUの難民問題を観れば解る話でしょう?
チベットや新疆の方々には悪いけれども、共産党が適度な弾圧して国内を纏めていてくれる方が、日本人としては平和で済むのではありませんか?



#9955 
アブダビ 2015/09/21 00:57
追記2

その中のどれ程の方が考えているのか不明ですが、
中国が侵攻してきたら、赴いて辞めるように説得すると語った方々がいました。
いやあ是非ともシリアに赴いて、シリア政府やイスラム国の方々を説得して頂きたいものです。
実積を作れば、頑強な右翼も貴兄らの御意見に耳を傾けると思います。
どっちも空論を吐いているとしか思えません。



#9954 
アブダビ 2015/09/21 00:39
追記

巨大なストーンヘンジの話はわくわくでした。しかし…なんで世界中に似たようなものがあるんだろう?
石って古代においては歳月で変わらぬ素材の代表でさから、巨石信仰は普遍的なのですかね?

安保法案…自衛隊の米軍の孫請化が進んで「日本軍解体が進む」て管理人さんの意見は正しいと思います。
それと徴兵制を持ち出す人たちは勇み足だとも思いますが。
現代は高性能のドローンや無人機の活用が進み、航空母艦すら無用の長物になる時期が迫っていると言います。
歩兵が衛星を中継するレーザー照準機を持ち歩いて、ミサイルを誘導する時代。
こんな 時代に、徴兵制で集められた素人兵士など役に立たないのでは?
方陣を組んでマスケット銃で一斉射撃して、相手の陣形が緩んだら銃剣突撃…
みたいなナポレオン時代じゃあるまいし、素人あがりの兵士を大量に養成する徴兵制の時代は終わってるのでないかと
思うのです。
批判する方々も、現実の軍事について不勉強が見えましたね。
最も中国の脅威を叫べば良いと思ってるような右派の方々も同様でしたが。
どっちも「自分の嫌いな事は学びたくのい!」「面倒な事は嫌い」
という勉強嫌いの、主張したがり…が伺われて、私はシラケて見ていました。
デモに参加されたり、デモに反対の方々からすれば、無責任な言葉でしょうが…
普通の人は私みたく、どっち付かずでの
シラケムードたったのでないすかね?




#9953 
アブダビ 2015/09/21 00:13
今回の史点の感想

走れメロスの冒頭のパロディは笑いました。しかし…太宰がそれだけ粘着質の人だとも知りませんでした。

黄金列車の話、楽しみました。
最近では篠田航一という毎日新聞の記者さんが講談社現代新書から「ナチスの財宝」という本を出しており、なかなか楽しませてくれました。
この方はドイツの支局の方でしたが、中は「趣味」として続けた取材を元に書いたそうです。
ナチス・ネタは冒険小説やスパイ小説好きには古くとも受けるネタでして、そこに財宝が絡むと、犠牲者の方には不謹慎ではありますが楽しい。
歴史的な背景としては複雑なのでしょうが、その二人のトレジャーハンターは活躍したと思います。

安保法案について…
正直、反対、賛成のどちらにも与しない私ですが、
産経などの右派メディアが反対運動の過小評価を撒き散らしている…意見には
「どっちもどっち」と思いますが…
朝日などの左派のメディアも、反対運動を過大に伝えているように見えますもの。運動がまだ始まった頃に、現地で見ているのですが「公称」された人数には足らない群集だったように思えます。
TVを観ても、丁度そーですね…映画ロッキー1で、製作費の足らないスタローン達が、同じモブシーンを複数の方向から撮影して、僅かなエキストラを大観衆に見せたシーンがありました。
カメラワークの使い方や編集がよく似てる気がするんですよね。
まあ…これは若い頃に食い積めてAV撮影助手をさた者の個人的な意見ですけど。
どちらの意見にも賛同する気もない私でさが、メディアが視聴者を自分達の意見に迎合するように、現実を都合の良いように「編集」するのは常套手段であり、
右派だけが、それを用いていると言うのは幻想であると思いますが。






#9952 
つね 2015/09/20 13:13
津島君は実に美男なり

タイトルは何かというと、太宰治の高校時代のノートに落書きされていたもので、「津島」というのは太宰の本名です。ちなみにこのノートには「芥川龍之介」の名前が無数に書かれていたり、似顔絵が描かれていたりしているようなので、本当に好きだったんでしょうね。
下手に有名人になると高校時代のノートや日記が死後、暴露されてしまうから恐ろしい。

太宰にこんな話あったなと思って検索かけても元記事が見つからず2chのまとめサイトですが。

http://blog.livedoor.jp/enter720/archives/27874910.html

>スーパーヘンジ
重箱の隅をつつくような話ですが、円周は直径×円周率です。半径が500メートルだと円周は3キロになるのでは。過去記事でも円周が1.5キロなので半径が250メートルなのでしょうか。



#9951 
黒駒 2015/09/20 01:16
信玄堤トリビア

>管理人様
最近はもう「トリビア」って言わないのでしょうかね。昔ながらの「雑学」というべきか(笑)。信玄堤に関しては文献史料は限界があるので、考古学方面から新知見が得られています。授業に使えるかわかりませんが、雑学的知識としてはまず信玄が確実に堤防の築造を命じた根拠がないことと、もうひとつあります。

信玄堤のある釜無川では御勅使川(みだいがわ)という支流が信玄堤のある竜王付近で合流し、押し出された流れによって川が氾濫し、歴史的に多大な水害を引き起こしてきました。御勅使川は現在の流路から南を流れ、そのまま釜無川の水を押し出していたのですが、現在の御勅使川の流れは旧流路より北にあって、信玄堤のある断崖に激突することで流れが弱まり、合流した釜無川が南へ向かうという構造になっています。

武田信玄はこの御勅使川の現在の流路を開削し、堤防を築いたのだという「物語」ができていて、研究史的にはまだ確立期の戦国大名の権力で、そこまでの人員動員ができたのかと疑問視する説もありました。

ところが考古学の進歩により、御勅使川の現在の流路は大雨の後で自然に開削された流れであり、偶然これが信玄堤防北方の断崖にぶつかり、釜無川が南流したのではないか。そして信玄の主導した治水とは、この御勅使川の現流路と南流する釜無川の流れを固定する程度の普請ではなかったかと、このように考えられるようになってきました。

さらに3つ目の雑学として、江戸時代には釜無川の流路が南へ向かったため、信玄堤から南方の、今日の中央市域では逆に水害が多発してしまったという事情もあります。

私も鬼怒川の治水史を調べるのはさぼってますので、史点楽しみにしております。

>バラージさん
『野火』ご覧になられましたか。私は原作だけ読んでいるのですが、短いながら強烈な印象を抱く作品です。あまり読み返したくないような。お話を伺うかぎりでは、原作をかなり忠実に映像化しているのではないかという印象を持ちます。確かに食料が欠乏して危機的状況にあるはずの南方の島を極楽として描いていた情景描写があったなと、思い出しました。



#9950 
バラージ 2015/09/18 22:47
『野火』を観ました

 僕は原作未読で前回の映画化も未見なんですが、いやはや凄かった。戦争の地獄、フィリピンの地獄、飢え、渇き、ジャングル、孤独、爆撃、一斉掃射、死、殺人、人肉食……。まさに地獄絵図。「ジャワの極楽、ビルマの地獄、生きて帰れぬニューギニア」という言い回しはよく聞きますが、フィリピンもまた十分に地獄だったんだなと思わせてくれます。これが本当の戦争なんでしょう。終盤、フィリピンの美しい海や山や空の風景が長々と映されるシーンがあるんですが、明らかに地上の地獄と対比して極楽浄土を連想させるシーンで、それだけ主人公たちが死に近接したところにいることを見事に表現していました。
 塚本晋也監督はもっと大作として作りたかったらしいんですが出資してくれる会社がなく、仕方なく自主映画として作り上げたそうです(主演も兼ねてるのもそのためかな?)。でも、かえってそれが強烈なリアリティーを生んでいるように思います。リリー・フランキーも見事な怪演でした。
 人肉食の問題を差し引いても、凄惨でリアルな戦闘描写は見方によってはなかなかにグロいのですが―というか人肉食についてはさすがに直接的な描写は避けているので、戦闘シーン(というより日本兵がほとんど一方的に射たれまくるシーン)のほうがよっぽどグロかったりするんですが、今この時代を考えると万人におすすめしたい映画ですね。

>史点
 太宰が芥川賞を取りたがってたという話は以前から聞いたことがありましたが、くわしい事情が明らかになった今回の記事は僕も興味深く読みました。太宰がそこまで芥川賞を取りたがってたってのも意外です(三島由紀夫なんかはノーベル文学賞を熱望してたらしい)。芥川賞は新人(というか若手というか)に与えられるだけあって、有名な小説家でも取ってないことはわりとあって、村上春樹やよしもとばななも取ってないんですよね。

>映画
 『セルマ』や『鳴梁』じゃ日本人にはなんのことやらですから(僕もいきなりそれだけ聞いたらわからない)全く別の邦題をつけるのが当然だし、むしろつけるべきだと思うんですが、『バトル・オーシャン 海上決戦』ていう邦題のセンスがねえ。もうちょいなんとかならなかったんかい!っていう。『グローリー 明日への行進』は主題歌(アカデミー主題歌賞を取ったとのこと)のタイトルが「Glory」で邦題もそこからつけられたらしいですね。
 そういえば1回前の史点で取り上げられていた中国映画『カイロ宣言』(原題)ですが、こんなタイトルで観たいと思う人がいるんだろうか? タイトルだけ聞いたら「絶対つまんなそー」と思っちゃいそうなんですけど。中国人だとまた感覚違うのかなあ? そんなことないと思うんだけどなあ。



#9949 
tomohiro 2015/09/18 17:07
間宮林蔵/甲州人治水者

皆様が言うように、間宮林蔵の大河面白そうです。
實を言うと間宮林蔵・伊能忠敬・近藤重蔵・最上徳内が一同に登場する
大河を考えたこともあります。
あと、現代の山梨県の治水ですが信玄以降の人間が脈々と作っていったのは
興味深いですね。
余談ですが朝ドラで前畑秀子の朝ドラ誘致運動があるらしいです。
ならば、大河は渋く、彼女の生きた時代の架空の人間に取材した近現代外史など
やってはどうだろうかと思いました。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9948 
徹夜城(いま「新田一族」の本を読んでる管理人) 2015/09/18 00:29
史点が遅れてます

 実は今回の史点、鬼怒川決壊にからめて治水の歴史でも書こうと思ったら、調べるうちに収拾がつかなくなって遅れてます(汗)。他のネタは書いちゃったんだけど、そこだけまた吟味中。しかし実際えらくややこしい「自然改造」やったんですな、江戸時代に。


>黒駒さん
 甲州出身者の治水の話も興味深いですねぇ。全然知らん分野なんですけど、こういう治水技術ってやつもなかなかに深く厚い歴史があったりするものだなと。
 山梨県の明治40年の大水害というのも初めて知りましたが、被災者の北海道移民計画と聞くと、奈良県十津川村の水害被災者が北海道に移住して「新十津川」を開拓した歴史を連想させます(もちろん僕は小説&ドラマの「新十津川物語」で知りました)。
 鬼怒川の治水の歴史については「史点」で書こうとしてるわけですが、自然改造の歴史を眺めるにつけ、ひょっとして人工的にいじったためにかえって災害を起こしてる面も否定できないような、という気もしてるんですよね。小学生時代に小貝川決壊を目の当たりにしたころからそんな思いを抱いています。といって自然のままにしろってわけにも実際いかんのでしょうが。

>アブダビさん
山口組分裂はもしかして「芝居」では…という観測、一部にあるにはあるんですよ。分裂してそれぞれが小規模集団になることでさまざまな制裁・警戒対象から外れる狙いじゃないのか、って説は見かけたことがあります。ただ大方の見方は「実際にケンカ別れ」ってことみたい。「神戸山口組」側の方でしたか、内部文書で現執行部側を「利己主義的」などと近頃の流行語(?)で批判していたのにはちょっと苦笑しました。それとやっぱり「三代目の遺産をけがした」みたいな表現もあり、田岡一雄の存在は今なお巨大なものであることを思わせます。

>バラージさん
「グローリー明日への行進」は邦題をなんとかしてほしかったですね。「セルマ」って原題のまま(舞台となる町の名)では興行的にダメなのはわかるんだけど、「グローリー」なんて変なタイトルつけるから、今後南北戦争の同名映画との区別に困るじゃないかと。「明日への行進」だけには止められなかったのかなぁ。
「バトルオーシャン」のほうは、「鳴梁」の原題のままでは日本人の大半にはわかんないだろうし、ヨーロッパ系の歴史映画・ドラマでもこの手の勇まし気なアクション映画系邦題は多いですし、まぁそうヘンでもないかと。こちらはただいまアマゾンで注文してます。

>アジアのバカ大将さん
 ええ、間宮林蔵は現在の「つくばみらい市」の出身でして、今回の被災地「常総市」のすぐ隣にあります。もっとも僕なんかは合併前の「石下」「水海道」「伊奈」といった自治体名のほうがなじみがあるんですが…間宮林蔵の生家はつくばみらい市に現存してまして(移築だったと思う)、二年ほど前に訳あって取材に行ったこともあります。その取材成果をずっとほったらかしにしちゃってるんですけど、いい機会だからぼちぼち動き出そうかな(謎)。
 林蔵もじゅうぶん大河ドラマ主役は張れると思うんです。もっとも僕は「風雲児たち」を読んで、最上徳内から初めて伊能忠敬、間宮林蔵と続く「北方探検シリーズ」の大河なんていいんじゃないか、と以前から妄想してます。なお、林蔵はアイヌ女性と結ばれて子孫がいるとの話があり、そうでたらめなヒロイン創作にはならなそうです。

>阿祥さん
 「間宮海峡」ってはっきり書いてるのはたぶん日本だけなんじゃないでしょうか。似たような話で、「日本海」の呼称問題で産経抄が「日本海海戦の名前はどうなる!」とわめいたことがありましたが、実はこれも世界的には「対馬沖海戦」の方がメジャーだったりします。
 ただし「間宮海峡」の名前は日本人自身がつけたというわけではなく、林蔵の業績を知っていたシーボルトが自著の地図に「マミヤ・セト」(瀬戸=海峡)と書き込んだのが最初だったかと。ただ世界的にはそれほど広まらず、結局ロシアが作った地図の命名が世界的に普及したってことみたいですね。



#9946 
阿祥 2015/09/17 23:57
Tartar strait

間宮海峡って、何処で読んだのか、日本人の名前が、世界地図に載っている唯一の例だと憶えていたのだけれど、思いたってWIKIで調べてみたら、英語では、間宮さんの名前は使ってないんですね。Tartar strait、韃靼海峡と言うらしい。勝手な思い込みでした。



#9945 
黒駒 2015/09/17 21:58
関東の治水史

>アジアのバカ大将
そういえば、書き込み後に思い出したのですが田沼意次が印旛沼開発が江戸の治水兼開拓事業でしたね。そして水害による計画の挫折が田沼失脚の一員となっていました。江戸近郊では埼玉の見沼代用水と開墾事業などもありますが、私の生まれ故郷である多摩でも、将軍吉宗の時代に大岡忠相が地方奉行を兼ね、用水路開発を進めたことで定住が進み、多摩を直轄領化することで幕府の再建、というのが吉宗の路線でしたね。

武田氏の治水などは、治水の進展により生産力が向上し大勢力を築いたのだ、という「物語」が語れることもありますが、実は信玄が本当に治水を指揮していたのかどうかも確実な史料がないくらいで、あくまで傍証的にしか考えられていないのですよね。さらに生産性の向上というのも実証する研究は史料的制約から、なかなか難しいです。

江戸時代になると検地帳の分析から石高の増加をかなり豊富なデータで検証できますから、江戸時代はまさに治水の時代だったなと痛感します。



#9944 
アジアのバカ大将 2015/09/16 13:23
水害と大河ドラマ

今回の鬼怒川水害現場は、確か間宮林蔵の故郷の近くではありませんか?
林蔵少年が、治水工事の幕府の役人に知恵を授けて、足軽で召し抱えられる
逸話があったと思います。
間宮林蔵なら日本の最北(さらにシベリアまで)から最南端(鹿児島)まで
踏破しているので、大河ドラマの主人公にいかがでしょうか。「間宮海峡編」
「薩摩飛脚編」として、琉球まで足を延ばさせるのもいいでしょう。
最上徳内や近藤重蔵など個性豊かな人々に、実在および架空の
女性(アイヌとかロシア人、中国人も可)もからめると面白いのでは。



#9943 
バラージ 2015/09/15 23:12
いろんな歴史映画

>映画館で観た歴史映画
『グローリー 明日への行進』
 1965年にキング牧師らが行った抗議運動「セルマ行進」を描いた映画。なかなか面白かったです。こういう歴史映画は久々に観たような気がしますね。昔はよく観たけど、最近こういうタイプの映画は珍しいような気が。ただ単に僕が最近観てなかったってだけかもしれないけど。
 実話映画だから当然ですが、キングの他に女性ジャズシンガーのマヘリア・ジャクソンやマルコムXやジョンソン大統領などの有名人がちょこちょこ出てきます。フーヴァーFBI長官もちょこっと出てきてましたが、そういやデカプリオ主演の伝記映画『J・エドガー』ってのもあったなぁ。デカプリオじゃ男前すぎるけど(笑)。他にも連想してくと、似たようなテーマで1950年代の事件を扱った『ロング・ウォーク・ホーム』とか、本作よりちょっと後の時代のブラックパンサーを描いた『パンサー』、ロバート・ケネディ暗殺を背景とした架空の人物たちの群像劇『ボビー』なんてのもありました。どれも観てないんですが。
 ラストに登場人物のその後をテロップで描くシーンが出てきますが、この手法は『アメリカン・グラフィティ』が元祖と聞いたことがあります。いまや歴史映画でもその手法が使われてるんだなあと興味深かったですね。

>DVDで観た歴史映画
『バトル・オーシャン 海上決戦』
 例の鳴梁海戦の韓国映画です。『神弓』の監督なんで期待してたんですが、決してつまらなくはないとはいえ、期待したほどでもありませんでしたねぇ。合戦シーンはド迫力なんですが、ストーリー性がやや希薄。李舜臣(イ・スンシン)率いる朝鮮水軍が日本水軍を破った、というただそれだけのストーリーになっちゃってます(オリジナル版から16分カットされてるみたいなんで、そのせいもあるかもしれんけど)。映画としては『神弓』のほうがずっと面白かったかな。
 内容的には日本側も悪役ではなく、メインの敵役の来島通総なんかはなかなかかっこよく描かれてます(目張り入れすぎだけど・笑)。来島がメイン級で出てくる映画なんて初なんではなかろうか。一方で敵ボスっぽい藤堂高虎は通総を見殺しにしたりしてなかなかの悪役ぶり。しかし朝鮮軍にも李舜臣の足を引っ張る悪役(史点に出てきた人)がいて両軍ともに一枚岩ではないという描写がされており、そこらへんはバランスが考えられている感じですね。変な勘違い日本描写はそれほどありませんが、日本武将も韓国俳優が演じてる(台詞は日本語吹替)ので、やはり多少の違和感はあります。1人だけ吹替なしで日本語ペラペラの役者さんがいたんですが、調べてみたらやはり日本人の俳優で大谷亮平という人。『神弓』では口の利けない清国兵を演じてました。本作では朝鮮が日本軍へ送り込んだ潜入スパイを演じてるんですが、武士に化けて日本語ペラペラという設定で、いくらなんでも無理があるのでは?と思ったら、朝鮮軍に帰ってきても日本語でしゃべり、それを朝鮮兵が李舜臣に通訳するシーンがあったので、ああ多分「降倭(朝鮮に降った日本の武士)」という設定なのかなと思いました。

『敬愛なるベートーヴェン』
 第九交響曲作曲から晩年にかけてのベートーベンと心を通わせる架空の女性写譜士の交流を描いた映画。ヒロインを絡めた創作エピソード満載で、伝記映画とか歴史映画とはちょっと言いがたいんですが、それより何よりまず映画としていまいち面白くありません。同じベートーベンの映画なら『不滅の恋 ベートーヴェン』のほうが(こちらも創作はかなり入ってましたが)映画として面白かったですね。



#9942 
アブダビ 2015/09/15 02:02
山口組の分裂と史点

管理人さんの五輪から外されたデザイナーを「菱の新デザインに起用!」は爆笑しました。
ところで…
山口組の分裂ですが、あれはフェイクって事は考えられないですか?
80年代からハワイや西海岸に進出かていた…という山口組は、昨今ではアメリカ政府から「テロ組織指定」を受けているという話を聞きます。
アルカイダだのイスラム国だののせいで
テロ組織の「資産凍結」する法案がアメリカ議会で決まったとか、審議中とか…

日本がテロ組織の資産凍結の法案を出したり、アメリカと条約を結べば、
「テロ組織指定を受けている」山口組は
財布を封印される可能性がある。
そこで…実は、優良企業を本家から脱退させて、資産凍結から逃れようとする芝居…て可能性は有りませんか?
ただ…だとすると、
菱の代門や山口組の名称を受け継ぐ…てのも変な話ではあるのですけど。
管理人さん、如何なものでしょ?



#9941 
黒駒 2015/09/14 23:52
常陸と甲斐の治水史

「経世済民」シリーズは見逃しちゃっているのですが、小林一三は地元の郷土史と関わってくる人物ですので、多少知っております。小林一三は慶応を卒業して地元を離れてしまうのですが、山梨県では明治40年に大水害が発生しています。このときはあまりに被害が甚大で、復興計画には災害難民を北海道へ移民させることも行われました。

今回の水害でも思いましたが、人家のみならず田地や畑地にも厚く土砂が堆積してしまうと、農地として使用しなおすには一から開墾を始めないといけないでしょうね。今は土地改良が比較的楽になっているから、災害移民をさせることなく同じ土地で生活再建もある程度はできるのでしょうが。

ところで、常陸の治水といえば甲州出身者が関わっています。黒川金山の金山衆に出自を持つ永田茂衛門という人物で、彼は金山の掘削技術を応用した(?)治水技術によって那珂川・久慈川の三代堰の開発に携わっています。

永田茂衛門は私の知ってる限りでは治水よりも「利水」に関わった人物という印象がありますが、最近「甲州流」の治水技術が各地へどう伝播しているのか研究がされるようになってきておりまして、牛枠類と木型を組み合わせて内部に石を置き、水勢を弱めるという伝統的な治水技術がけっこう関東はじめ各地へ分布していることがわかってきました。

そんなわけで茨城から栃木のような北関東の治水史も興味があったのですが、その最中の大きな災害でしたね。まったく、「災害は忘れたころにやってくる」という警句が、今では災害があまりにも日常化していて、地震などは我々の警戒心が逆に弱くなってきているような自覚もあります。



#9940 
徹夜城(堤防決壊を対岸から見たことがある管理人) 2015/09/14 00:23
鬼が怒る

 今度の鬼怒川の決壊で様々な話がツイッターに流れましたが、「鬼が怒ると書いて『きぬ』と読むのよ!」という「天外魔境2」のセリフ(わかる人だけわかって)がちらほらと流れていたのが、PCエンジンユーザーとしては不謹慎ながらニヤリとしちゃうところでありました。それがまた、その話題にからめて「天外2」の監督本人までがツイートしてて…

 なお、僕も茨城南部人ではありますが、今度の災害には無縁でした。ただ母の知人レベルでは被災者もいたようで…地図見てると、ここって鬼怒川と小貝川に挟まれた、ちょっとした「輪中」みたいなところなんだよなぁ、と思いました。
 むかし僕の近所で小貝川が決壊したことがあるんですが、現場を対岸から眺めたこともあります。すぐそばの利根川はここ半世紀以上は周辺で水害起こしてないと思いましたが、水量は昨日の段階でもかなりのモンでした。


>経世済民の男
 昨日で「小林一三」編が終了。鉄道マニア的にもいろいろと面白く見ました。阪急電鉄を作り、宝塚歌劇を生み、その流れで映画会社の東宝をも作った人なんですよね。ドラマではカットされたものの、調べてみると他にもいろんな方面にタッチしてるようで。
 ドラマの中で近衛内閣の商工大臣になった小林が、戦時統制経済を進める企画院の「革新官僚」と対立、「それは共産主義だ」と罵倒し、一度は自分の手で直した法案を成立させるものの、その官僚と軍が結託して小林を漏洩疑惑で追い落とす、という展開がありました。見ていて「もしや」と思ってあとから調べたら、この企画院の官僚って、のちの首相にして現首相の祖父である岸信介がモデルなんですね。どう見ても岸のキャラなのですが、あくまでフィクションドラマだということで名前を出さないようにしたのか、やっぱり現首相への配慮?とまで勘ぐってしまったりするわけですが。



#9939 
tomohiro 2015/09/07 09:34
生き残るすべは肉体言語

のっけからふざけたタイトルで失礼します。
私が、今の幕末や戦国の繰り返ちばかり行う今の大河に関しては否定的なのは
ひとつは、韓国時代劇の企画建ての存在、もう一つは国内製作の東映特撮の有り様です
松坂桃李や福士蒼汰などを起用した昨今の東映特撮には賛否両論あるかもしれませんが
現代に生きる企画としては、大河より肯定的に見ています。
従来と違った
若手俳優の登竜門としての東映特撮の生きる道があるならば、
nhk大河もこれまで受け入れられていた企画以外もやるべきなのではと
思ってしまうのですよ。国内の人だって生き延びるすべを考えるならば
nhkだって考えもいいべきなのでは。
近現代外史、古代史、ここで話題になっている倭寇、足利義教が登場する企画、
私個人としては伊能忠敬や杉田玄白など
どれも魅力的だと思っています。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9938 
つね 2015/09/06 15:48
ドラマの主人公

何年も大河ドラマを見ていないので、ネットでの噂や評価からの判断ですが、最近は清盛とか官兵衛とかかなり主人公を悪辣に描いている部分もあるようです。もうこれまでの典型的な主人公の性格では視聴者も飽き足らなくなっているのかもしれません。
私は性格破綻者の可能性すらあるくじ将軍を個人的に押しているので、義満が多少傲慢でもOKです(笑)。
また銀英伝を引用すると「子どもに偉人の伝記を教えるなんて愚劣なことだ。狂人に学べと言っているのと同じことだからね」(記憶に頼っているので不正確だと思いますが)というヤンの言葉を思い出します。



#9937 
黒駒 2015/09/05 22:51
北条時宗

そういえば「北条時宗」って総集編しかソフト化されていないのですね。北条高時や足利尊氏もサービスで出てきますけど、なによりも元寇をきちんと映像化した点が大きい。「太平記」の前史としても見られますが、貞時政権期が欠けちゃってます。

私は正直、最後まで見てそう満足の作品でもなかったのですが(ソフト化されてないので再確認できませんが)、第一話はよく覚えています。確か「前期倭寇」につながるような外国人商人が闊歩する中世博多の風景も再現されていたと思うのですが、なによりも中国ロケを行ってモンゴルの草原の風景を見せ、北大路欣也演じる博多商人が若き日の「クビライ」に出会い、「トキムネ」の名を口にする。

前述の通り最後まで見ると満点でもないのですが(笑)、第一話は「これから何かが始まる」期待感を持てて、よくできた導入部だと思いましたね。国際的スケールを真似しろとは言いませんが、小池一夫じゃありませんけど第一話のつかみくらいはちゃんとやって欲しい気もします。

そういえば書いてて思いましたけど、最近杉山正明先生も新著を見かけませんね。杉山先生、大変勉強になったのですけど、モンゴル市は杉山先生の独断状態で、もう少し違う観点の研究者の本も読んでみたいと思いつつ、見当たらなかった覚えがあります。日本の地域史なんかでも、同様のことがたまにあるのですが。



#9936 
アブダビ 2015/09/03 03:16
次いでに

早川エスエフ文庫の「クローム襲撃」てエスエフを買ったら面白かったす。
ウエブ上の海賊て感じで。
海賊・盗賊好きの方がいたら、一読をお勧めしますよ。



#9935 
アブダビ 2015/09/03 03:12
イスラム海賊

神田で亡きリブロポートの冒険の世界史の「ババリア海賊盛衰記」て本を買ったのでふけど、面白いかったすよ〜
色々あるだろうけど海賊て面白いすね。
なんか面白い本あたら教えてください。



#9934 
アブダビ 2015/09/03 03:01
管理人さんに質問

ポーランドの黄金列車の記事に興奮してるのですが、
ポーの「黄金虫」のキャプテン・キッドの財宝みてーな、「倭寇の財宝伝説」って無いのですか?
あって欲しいなー。ダメすか?



#9933 
アブダビ 2015/09/03 02:57


ドラキュラ叢書?
みたいな子供向けのビジュアル図鑑シリーズがって、
そんなかに「海賊」本がありまして。
「40年くらい前」
海賊の図鑑に和寇が載ってました。
小学生の私は、日本にもスケールでかい海賊がいたのに感動しました。
こないだ神田の中国書籍店で、中国の海賊本を買い求め、
だったら我が国の方が上だろー!
って悔しい思いしたんすよね。



#9932 
アブダビ 2015/09/03 02:49
倭寇埜いみ

なんかこう、安保法案の騒ぎなんすけど。昔ならソ連の脅威が中国になつもてる感じがします。
ロシアも中国も、なんつーか、国境とか関係なきに、どんどん侵入してきそうな
イメージがあり、不気味です。
だから…って訳ではないんすが、
国境関係ないけど、民族とかも関係ない集団が、何となく各国の辺境を抑えていたことがあるんだよね、国家主義でなく…みたいな話は、ためになる気持ちがするんすけど。
なんかネト右翼とか、国家主義ぽいごゃないすか。それは否定はしのいんすけど、息苦しいのす。
んな国家とは関係ないネットワークの
「風の王国」な話は、スカーするんすが。如何なもんでしょ?
私、トモヒロさんも一応、認めてくれた隆慶一郎ファンすけど、
あれって国家主義でないインターナショナルてか、そういう気配があるから好きなんです。
管理人さんの和寇と塩賊の論文みても、
黒社会が国家より先にインターナショナルだった…みてーな面白さ感じたのすけど。ダメすか?




#9930 
アブダビ 2015/09/03 02:35
和寇の何が悪いんじゃい!

管理人さんへ。
もちろん大河の話でさ。
そりゃー、純日本人集団的な軋轢はありましょう。
ならバイキングのネタを話します。
キラワレテますねー。
特にキリスト教徒を圧迫した噂がありますんで。でも、中世で西欧と地中海、ビザンチンを繋いだのは彼らの力であり、
そもそも彼らが略奪に走ったのは、北欧神話の神々を祭る彼らを、シャルルマーニュが非クリスチャンとして貿易から追い出したから…て説もあります。
ロバート・アーゥィン・ハワードて作家がいまして、シュワルツネッガーの「蛮勇コナン」の原作者ですが。
この人、アイリッシュの子孫で、野蛮人戦士の話のオーソリティーなのに、バイキングが大嫌い。
バイキングは常に悪役にされてる。
ところが…
日本で末訳の「コーマック・マックアート」ものを見ますと、
バイキングに紅一点で加わったケルト(スコッチ)の話を描いていて、実はアメリカではコナン・サガに継ぐ人気シリーズなんすね。
ぶっちゃけ、先祖が支配された事に怨みを持ち、アイルランド解放の話(「灰色の神がゆく。」灰色の神とはオーディンの事)を書きながら、
それでもヨーロピアンとしては、異教徒の野蛮人であっても、その影響は隠しきれず、低い評価だけには留まれない…て
意識が伺えるのです。
和寇だって、その歴史的な意義はアナドレのいものでふよね?
鄭成功が台湾を白人から解放した時には、無数の倭人の戦闘奴隷があったと聞きます。
だいたい鄭成功の軍には、ドロップアウトした日本人戦士が少なからず加わるてたと大学の教官が言ってましたけど。
だから…鄭成功の話を倭寇から描くってのは無謀でさか?
う〜ん、管理人さん、描いてほしいな!
読書料金(けちらないすよ〜)払うから。
やっぱり海賊は男のロマンすよ〜
バイキングやカリブの海賊ばかりなのは悔しいなぁ!



#9928 
徹夜城(今度は久々に週刊状態で「史点」が書けそうな管理人) 2015/09/01 13:22
西田敏行&オダギリジョー圧死??

 なんのこっちゃい、というタイトルですが。先日の高橋是清ドラマに関連してネット上でこんなブログがあるのを見つけまして。

「記憶を刻む」
http://1923archives.blogspot.jp/search/label/07%2F%E3%83%87%E3%83%9E%E8%A8%98%E4%BA%8B

 メインテーマは関東大震災時の朝鮮人・中国人らの虐殺事件(念のため付け加えれば日本人も巻き込まれてる)なのですが、上記紹介の部分では当時の新聞に流れた「デマ」の数々。この中に「高橋政友会総裁以下二十余名圧死」という記事が紹介されています。当時高橋是清は政友会総裁で、政友会本部が倒壊したため死亡記事が出てしまったという次第。
 このブログによると他にも松方正義や山本権兵衛(なんと暗殺!)など多くの要人死亡デマ記事が流れたことが分かります。それだけでなく、東京や横浜どころか名古屋まで壊滅したとか、槍ヶ岳や秩父山脈が噴火(!)したとか、伊豆大島が沈没したとか、まー、不謹慎ながらこうして並べると笑ってしまうくらい。
 中でも傑作は、千葉警察部の報道。「新島出現す 大島が見えない」という見出しで、伊豆大島の前方に新しい島が出現した、という記事。紹介者もツッコミを入れてますが、それって単に大島が見えているだけでは(爆)。伊豆大島が沈没、って報道が流れた直後に大島を目視して勘違いしたそそっかしい人がいたんだろうな、と。
 東日本大震災時も流れたデマは相当なものでしたが、マスコミが拾っちゃったのはこれほどではなかったような…

>バラージさん
 実はその話題、次回「史点」ネタ確定しております(笑)。
 もうイランじゃ公開なんだから予告編出回ってないかな、と探したら、やっぱりありました。
https://www.youtube.com/watch?v=SrV9mos-Z5I
 ムハンマド誕生のあたりを中心に作ってる予告編ですが、なんだかキリスト誕生っぽい映像だなぁ、と(笑)。イメージ的にはおんなじなのかな?


…速報によると、五輪の例のエンブレム、使用中止決定とか。ここ二日くらいで急転直下ですな。しかしまぁいろいろケチのつくオリンピックだこと(笑)。



#9927 
バラージ 2015/08/31 21:32
ムハンマドの映画

 今日の新聞(地方紙)に載ってたんですが、イランでイスラム教の預言者ムハンマドの生涯を描いた映画が製作され、このほど公開されたそうです。タイトルは『ムハンマド、神の使者(多分原題の直訳)』で、監督は『運動靴と赤い金魚』などで国際的にも有名なマジッド・マジディ。イラン政府が製作を支援し、最高指導者ハメネイ師も撮影現場に訪れたんだとか。監督は「欧米で高まるイスラム恐怖症や誤解と戦うために製作した」と地元メディアに語っているそうで、国内最高額の4000万ドル(約48億円)をかけた大作だそうです。
 イスラム教は偶像崇拝禁止のため、『ザ・メッセージ』同様にムハンマドは顔を一切見せていないそうなんですが(演じた俳優の身元も未公表)、それでもエジプトにあるスンニ派の最高権威機関アズバルは、預言者を具現化することは許されないとして公開中止を要求したとのこと。一方で映画関係者からは「批判してる人々はシーア派のイランによる文化輸出を嫌ってるだけ」という反論もあるそうです。
 日本でも公開されるかはちょっとわかりませんが、監督が有名なだけに可能性はありそうですね。

>足利義満大河
 鈴木嘉一『大河ドラマの50年』に「藤原道長や足利義満もいつかはやりたいと思っている」というような記述があったので(当時は『平清盛』放送中)、制作側も候補の1つとしては考えていると思うんですよね。ただ、その後の男性大河は黒田勘兵衛に真田幸村とメジャー路線一直線。女性大河がどうしてもマイナーな人物にならざるを得ないんで仕方がないんですが、義満大河はなかなかに厳しそう。北条時宗が大河になった時、僕はそれ以前から時代的に抜けてるのが鎌倉中期と室町中期で主人公になれそうなのは時宗と義満しかいないだろうと思ってたんで、「あー、時宗が先にいったか。次にマイナーな時代にチャンスが回ってくるのはいつになるんだろ?」と思ったんですが、今思えばあの時こそが千載一遇のチャンスだったのかもしれませんね。時宗もあそこで大河になってなければチャンスはなかったかも。
 義満が主人公の小説だと安部龍太郎の短編小説『バサラ将軍』もあります(短編集『室町花伝』収録、同短編集は『バサラ将軍』と改題されて文庫化)。でも僕らの世代にはテレビアニメ『一休さん』の将軍様の印象が圧倒的に強いでしょうね。一休さんと本気でとんちで張り合おうとする、ちょっと子供じみたところのある将軍様でした。



#9926 
徹夜城(本日から平常スケジュールに戻る管理人) 2015/08/31 10:51
訂正功

>つねさん
 「室町太平記」…さすがに直接売り込むほどの度胸はないです(汗)。あれを書いてる時でも「ぜってーNHKには無理」という気分で書いてましたから。
 大河に足利義満を…という声は大河ネタを論じる2chスレッドその他で割とよく見かける声なんですけど、一つには「ほぼ誰でも知ってる歴史人物」の中で大河で扱われていない最後の大物、ということなんでしょう。ただそう書く人の多くが義満については教科書以上には知らないことが多い。
 そもそも小説でも義満が扱われた例が少ないんですよね。義満伝の小説というと平岩弓枝の「獅子の座」くらいかな。あとは黒須紀一郎「日本国王暗殺」なんて小説もありましたけど義満伝という感じじゃなかったな。北方健三の「陽炎の旗」、杉本苑子の「華の碑文」の脇役で出てきた…というくらいしか例がない。
 さんざん書いてることですが、義満のスケールのデカさは多くの人が認めるところながら、それこそ「生まれながらの将軍」ですし、各種逸話も傲慢さを感じるものが多く、大名や公家はては天皇上皇に対してさえ陰湿とも思える策謀や圧力の話が多い。皇国史観的なところはヌキにしても読者の共感が得にくく、主役にしにくい人ではあるんですよねぇ。だから僕もムロタイでは細川頼之を軸にしたわけで(このキャラも正反対の意味で主役にしにくく、二人合わせてちょうどよかった)。

 義満と関わる人物としては、魏天なんか日中韓協力体制で映像化してみると面白いと思いますね。中国人で倭寇により日本にさらわれ、朝鮮に渡って語学と教養を身に着け通事となり、今度は明にさらわれて洪武帝に謁見、また日本に「帰国」して義満のブレーンとなって活躍。「応永の外寇」の処理で来日した朝鮮使節に面会…と、なかなか波乱万丈です。周辺には明からの亡命者・陳外郎やら出身地不明の「天竺聖」やら、いろんな人が出せますし。

 そうそう、前回の僕の書き込みで鄭成功の映像化したら、の話のあとにすぐ続けて「原作は」と書いちゃいましたが、あれはその間でいったんテーマを切ってるつもりでした。「戦国海商伝」は鄭成功とは無関係、「風よ雲よ」は鄭芝竜時代の話。白石一郎の「海狼伝」「海王伝」も鄭成功時代より前の時代でして、王直と林鳳の時代にまたがるあたりの話です。
 鄭成功そのものを扱った小説ですと、荒俣宏さんのは読んだことはあります。

>阿祥さん
 おお、魏徳聖監督がそんな企画を。そりゃ面白そうです(テーマ的に僕の関心直撃ですね)。鄭成功がちょこっとにせよ絡んできそうではありますね。



#9925 
阿祥 2015/08/31 01:41
魏徳聖監督の台湾三部曲

セデックパレを撮った台湾の映画監督、魏徳聖さんは、この前公開された「KANO」をプロデュースした後、台湾三部曲なる大作をつくることを考えているそうです。今から400年前の台南を舞台に、漢民族、オランダ人、原住民のシラヤ族をそれぞれに主人公にする作品群らしい。この漢民族は福建人を主体とした人たちになると思うので、鄭成功も主要な役として出てくることが想定されます。物語はオランダ人の統治から漢民族の統治に移る時代となるでしょうし、今から期待している映画です。
この監督自体が台南出身で歴史にも造詣が深いのできっと興味深い作品になることと思います。



#9924 
つね 2015/08/30 23:08
そこで室町太平記ですよ

義満なら倭寇関連もできるし(少し時期が早いですが)、国際的スケールでもできますし、ぜひNHKに売り込んでほしいです。
ところで鄭成功の白石一郎さんだと私は毎日新聞掲載だった「怒涛のごとく」が記憶に残っています。他の作品は知らないのですが、同じ作者が同じ題材で描いても印象が異なるのでしょうか。



#9923 
徹夜城(もう来週からは通常日程の管理人) 2015/08/29 23:51
京成催眠の男

 あなたはスカイライナーだ…スカイライナーだ…
 じゃなくって、ドラマ「経世済民の男」の「高橋是清」前後編を見終えましたので、感想など。

 こういうのこそ大河ドラマでやれよ、と(笑)。まぁ企画上仕方ないんですけど、高橋是清の意外と大波乱な人生を二時間で短くまとめてました。まとめ方自体はうまいと思うんです。彼のプライベート部分と歴史のおおきなうねりとのバランスもいい塩梅だったと。ただいかんせん時間の都合で駆け足になっちゃってましたから、特に後編で何か議員や大臣になった、やめた、のあわただしさは否めなかったかと。
 最期の描写についてはあれはあれでいいか、と。途中の原敬や犬養毅の暗殺もその場面自体は描きませんでしたし…あ、森有礼の暗殺もありましたね。こうしてまとめてみると彼も含めて周囲に暗殺された人が多いなぁ。立場的には対立関係にあった蔵相・井上準之助も暗殺されてますし(それは「男子の本懐」でドラマ化されてます)。
 幕末に生まれ、日清・日露のころに働き盛り、晩年に昭和の軍部台頭の中で命を狙われ…という人生は、先日も話題にした鈴木貫太郎とかぶるところが多い。幕末から敗戦までってそのくらいの時間だったなぁ、と。

>アブダビさん
 倭寇でもいいのでは、というのは大河企画の話でしょうか?そりゃまぁ僕自身倭寇、とくに後期倭寇(16世紀半ば)をなんとか作品にしたいとは思ってますが、大河クラスの映像化となると国際的スケールの製作体制はとらなきゃならんでしょうし、それこそ中国と変な行き違いからトラブルになる可能性もあります。向こうの一般的な「倭寇」イメージはやっぱり純日本人集団ですからねぇ…
 せいぜい「鄭成功」が各国協力体制でやれないかな、というあたりが現実的でしょうか。原作ということでは陳舜臣さんが「戦国海商伝」「旋風に告げよ」「風よ雲よ」の三部作でやってますし、白石一郎「海狼伝」「海王伝」なんかも悪くない。
 …まぁ僕自身がなんか形にしなきゃいかんのでしょう(^^;)

 ところで石ノ森章太郎と永井豪の師弟お二人の話が出てきましたが、「009ノ1」は青年誌作品(それもプレイコミックじゃなかったかな)、「ハレンチ学園」は少年誌(それもジャンプ)なので同列に論じちゃいけないのでは。
 そういや「サイボーグ009対デビルマン」なんての、最近作ったんじゃなかったっけ。


>おことわり
 一言おわび。今回の史点、アップから一日ほど変なURLが文中にありましたよね。ふんじゃった方には申し訳ないんですが、とある成人向け動画サイトにつながるようになってました。えー、実は「欧米の映画におけるイスラムテーマ」でゴチャゴチャ動画検索やってるうちに「おや、こんなのが」と見つけて(これが70年代のアラブネタのソフトポルノで)アドレスをコピーしたら、それが使用してるHTML執筆用ソフトで勝手に貼り付けちゃう(なぜかそうなることがある)ということが起きてしまったんですね。僕も時間がないときにアップしたから校正を怠ってて、ほぼ丸一日そのまんまでした。他にも唐突に違う一文が割り込んでたところがありましたが、それも同じ原因。
 今度はアップ前にちゃんと読み返すようにしておきます。すいません。



#9922 
アブダビ 2015/08/29 03:49
アジアのバカ大将さまへ

フランソワーズとジョーのベッドシーン想いだしました。
でも、故石森御大は、ズケズケ性交渉を描いてませんか?
小学生の頃に兄貴が納戸に隠していた御大のマンガをこっそり読んでいたのですが、
009の1とか、流れ星なんとかとか、セ○クス満開でしたけど。永井豪なんかよりエロでした。
変身忍者嵐にも、母乳を武器にするヤンママの色気にヒーローが動揺するエロがあったし。
ハレンチ学園で叩かれた永井豪氏より問題のあった漫画家な気がします。なのに叩かれないんどよねー。世渡り上手いな。
どっちかつもてーと、エロより、009が、
3億円事件の犯人を抑えながら、逮捕する気もなく、
「その才能を社会に生かせ!」
といって、 放してしまう作品展の方が、少年の私には衝撃だった!
犯罪者を糾弾するよりも、その才能を社会に役立てろ!て説教は、凄く実践的な考え方に思えたのです。
悪人正気ではないけど、悪党だからこそ
社会に役立つ覚者に成り得る可能性が在るという主張は、
学級会で「廊下を走った」から、どうのこうの言う下らない担任よりも、遥かに
せっとくりょくがありました。
セック○より、こっちの方こそリアルな御大の表現な気がします。



#9920 
tomohiro 2015/08/28 07:44
隆慶一郎ですか。

>アブダビさん
なるほど、隆慶一郎ですか。私にはないけれども面白いアプローチです。
それにしても年配のクリエーターは洋楽や洋画や輸入文学の影響が強いですよね。
逆にある一定の世代より下は日本の流行品に影響を受ける人が多いようですが。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9919 
アブダビ 2015/08/28 01:17
日本のデュマ

唐突ですが…
日本のデュマでしたら、吉川英治は無論ですけど、でも、隆慶一郎は?
そもそもが仏文科の出身で、その作風はデュマを絶対に模範したものと思うのですね。小説家デビューが晩年で、故にアレですが。
「死ぬ事と見たり」なんかは、
葉隠を大衆娯楽にしてしまう豪腕です。
未完だけど、プロットは最後まで作られているし。どーすか?
まー、戦国と江戸初期に作風がまとまっていますけれども。
マンガにされて人気があるみたいですし。あと…管理人さんの専門の和寇の話とか。るそん助左ざェ門があるならば、海賊だって良くないですか?




#9918 
徹夜城(やっと夏期講習が終わって史点もアップした管理人) 2015/08/26 23:15
仕事も一段落して大河も決まり

 再来年の大河、決まりましたねぇ。井伊直虎って女性、実は僕は「女性大河候補」として2chのスレッドに名が挙がっていたんで初めて知ったんですよ(立花ギン千代もそのスレッドで知りました)。女性キャラを主役にして戦国、それも誰それの妻とか妹とかではなく…となると確かに可能性は感じました(確か「歴史秘話ヒストリア」で取り上げたから噂になったんじゃないかと)。ただ一年間やれるの?と思っちゃう主人公ではあります。まぁ素材としては目新しいので「またいつもの」観は低いですね。
 ネット上で、「大河は井伊で始まり井伊で終わった、とか言われなきゃいいんだが」なんて書き込みを見つけてしまいましたが…(汗)

 確かにNHK、一年ごとに「男女交代大河」と決めてかかっているようで。主演俳優のスケジュールの都合からおおよそ2年前には主演が内定してると思うんですよね。その時点で企画先行であれば主人公も決定してるんでしょうけど、内定後にドタバタと素材が変更になったケースも多いみたい。はっきりしてるところでは加藤剛が加藤清正役で内定していたら没になり、加藤剛自身の「やってみたい」という意向で平将門になった(つまり「風と雲と虹と」)というケースがあります。


>バラージさん
 かなり遅れたレスになりますが、映画「大日本帝国」については笠原和夫のインタビュー本でも演出への不満がちょこっと述べられていた覚えがあります。舛田利雄監督も玉砕シーンの現場で困っちゃって笠原さんに「どう撮ったらいい?」と電話で聞いたとか紹介されてたような。笠原脚本では「県警と組織暴力」でも深作欣二監督が「ホンが完璧すぎて撮れない」とぼやいたとかいいますし。

>tomohiroさん
すでに名が挙がってますが、日本でデュマ的な存在を探すとやはり吉川英治なのかな、と僕も思います。少なくとも「宮本武蔵」については吉川英治の小説が決定版になってしまい、しつこいほどに映像化が繰り返されています。国民的作家ということでは司馬遼太郎の名も挙がりそうですが、フィクション度の高さということでは吉川英治ほど「嘘のつき方」のうまい作家はいないんじゃないかな、と思います。
 日本の古典や名作のアニメ化ってのも過去に探せばそれなりにあったと思います。ただ最近はあまり見ないかな…

>つねさん
これまたずいぶん遅れたレスですが、今度の「日本のいちばん長い日」に東條英機が出てきたのには「ほう」と驚いたんですよ。開戦ドラマ、あるいは東京裁判ものでは確実に出る彼ですが敗戦ドラマに出るのは珍しい、というか僕は初めて見ました。
旧作における畑中ら軍人たちの狂気っぷりは、確かに岡本監督の「怒り」の表れでもあるんでしょう。近衛師団長殺害シーンのスプラッタぶりも橋本忍にわざわざ脚本を書きかえさせて入れたと聞いてますし、彼らの狂気っぷりをより強調しようという狙いがあったかと。あと新作では日本指導部の動きのみですが旧作では8月14日の夜に特攻に出撃する若者たち、それを見送る女性や子供たちの様子がカットバックで入っていたのが印象的でした。

>アジアのバカ大将さん
 そうですか、小林桂樹が演じたというと徳川侍従ということですか?
 なお小林桂樹はTVドラマの同テーマ作品で阿南陸相を演じてました。



#9917 
黒駒 2015/08/26 22:58
直虎大河

>tomohiroさん
私は実はけっこう、「井伊直虎」の企画に好意的な印象を持っていたりします。大河製作者も戦国は食傷ぎみな視聴者と(私もそうですが)、おなじみの戦国の話を見たい視聴者に挟まれていて、おまけに女性主人公を扱わないといけないような制約は、おそらくあるのでしょう。そういった制約のなかで、新しい趣向をやろうとする意志がなんとなく感じられて、私はこれは良いのではないか、なんて思っちゃいました。しかし世間の反応を見るとあまり芳しくもないようで(笑)、自分の感覚はずれてるのかなとも思ってしまいました。



#9916 
バラージ 2015/08/26 20:58
来ました、女武将大河

 再来年の大河ドラマが柴咲コウさん主演の『おんな城主 直虎』に決まりましたね。井伊直虎という人物については全くの初耳だったんですが、戦国の女性武将主人公というのはいつかやるんじゃないかな〜とは思ってたんで、それほど意外ではありませんでした。僕は立花ぎん千代(「ぎん」は門がまえに言。立花道雪の娘)あたりを主人公に、主演は北川景子さんか戸田恵梨香さんでやるんじゃないかなどと妄想していたんで(笑)、当たらずといえども遠からずといったところ。戦国(安土桃山)が2年連続になりますが、女性大河はここのところ幕末が続いていたからそろそろ戦国になるんじゃないかと予想してたし、またそうしてほしい(幕末はもう勘弁)とも思ってました。
 ただ、直虎の人生を見ると「女城主」ではあっても「女武将」という感じではないですね。女戦士好きの僕(日テレ大型時代劇の『鶴姫伝奇』や映画『あずみ』『花のあと』なんかが面白かった)としては、そこらへんは史実を無視して甲冑を身にまとい颯爽と馬にまたがった女武者を見せてほしいところです(笑)。戦場に出ない女城主じゃ姫主人公とたいして変わりがありませんからねえ。とはいえ女性に重い鎧を着せて馬に乗らせるのはやっぱり難しいかな〜。
 それにしても、ただでさえネタの少ない女性主人公を1年置きにやっていると早晩ネタ切れになってしまう心配が……。ここ3回連続で「大河の主役と発表されて、初めて存在を知った人」ですしねぇ。



#9915 
tomohiro 2015/08/26 18:55
なるほど、吉川英治ですか。

>アジアのバカ大将さん
なるほど吉川英治ですか。
彼の作品だったら映像化したら、アニメ三銃士を実写化したノリになりそうです。
名作文学が好きなnhkだからやってほしいところです。
>黒駒さん
私もmixiで知りましたが、あまりにもがっかりなんで何も言いたくありません。
現在朝ドラで前畑秀子の誘致運動があるらしいと新聞でチラリと見ました。
ベルリン大会ではサッカー選手も健闘したらしいですね。
大河ドラマはこの朝ドラ前畑秀子を影でバックアップする形で
架空の人間だらけの近現代外史をやってもいいのでは
ある一家が、ベルリンオリンピックの時代から1970年代の大阪万博や
浅間山荘の時代までの変わりようというのも見てみたいです。
朝ドラで描けないSiriusで怖い要素を入れながら物語を進めて欲しいです。
余談ですが、金曜時代劇「一路」の方が私の見たい大河ドラマに近いですね。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9914 
アジアのバカ大将 2015/08/26 12:24
デュマ〜に相当する日本の作家

吉川英治でしょう。
すでにいくつもの作品がNHKでTV化されていますね。
「宮本武蔵」「鳴門秘帖」「新・平家物語」「私本太平記」
「三国志」(?)。あと「神州天馬峡」は民放では2回くらい
制作済み。近年永井豪が青年向けに漫画化しましたね。



#9913 
黒駒 2015/08/26 00:38
新・花の生涯?

あれ、意外なことに一番乗りですね(笑)。2017年大河、戦国の女性領主・「井伊直虎」に決まりましたね。大河も予想もつかない題材を拾ってくるようになってしまって、本当に驚きました。戦国・幕末・女性主人公という時代的硬直からは逃れられないが、その制約のなかで新しい試みをやりたいという製作者の意志は感じられて、私はけっこう好感を持ってます。新しいものを見せてくれるきっかけになればいいなと思います。

どうも、八重の桜→官兵衛→花燃ゆ→真田というパターンを見ると、比較的著名な題材と、女性主人公で誰も知らないような題材を拾ってくる作品を繰り返す戦略があるように思えますね。

小和田哲男氏は最近の大河は女性を出さないとダメなんだと語っていたらしいですし、おそらく小和田氏に製作者が何か戦国の女性もので題材ありませんか?と訪ねて、小和田氏がこんな人もいますけどねと軽く紹介したら、それに喰らいついたのではないかと思うのですが。

あと、大河ドラマって題材が先なのか主演が先なのか謎なのですが、どうも最近は主演が先行してる気がしました。真田幸村をやりたいではなくて、いまをときめく堺雅人を使いたいという、役者のほうに重点が置かれているのではないでしょうか。かつての日本映画のようですね。

柴咲コウで井伊直虎を主人公にではなくて、井伊氏の視点から見た戦国の通史という話にして、柴咲コウさんの直虎はメインキャストの一人として出したほうが無理もなく、堅実な作品になるだろうと思うのですが、どうも主演に固執してる感じがします。

ところで最近の大奥編に突入した花燃ゆは個人的にはかなり無茶な展開を感じていて、どうも本来はもっと堅実な脚本だったのがてこ入れで、なんでもいいから盛り上げてと差し替えられたのではないかと思ってしまいます。なんだか大河ドラマって、堅実路線を失いつつあるかもなと感じてしまいますね。

私は最近、八重の桜の後編で同志社の黎明期の話で出ていた人たちについて興味が湧いてきて見返そうかなと思っているのですが、あとあとソフト化されたものを見る視聴者もいますし、あまり本放送の視聴率にこだわらないで、堅実なものを作って欲しい気もしますね。

というわけで、井伊直虎は新しいことをやろうとする精神は評価したいですけど、これで堅実な作品が作れるのかという不安はあります。



#9912 
アジアのバカ大将 2015/08/25 22:58
玉音盤を守った侍従

大学の先輩で某大学の教授が少し前、
「叔父は、終戦時に玉音盤を自宅に隠し、クーデタ
部隊による強奪から守った侍従だ」と教えてくれま
した。私はうろ覚えで「映画『日本の一番長い日』
で、加山雄三がやった役ですね」といってしまい
ました。後で調べたら、当の侍従(長)は、
小林桂樹が演じていました。加山雄三はNHKの
職員役でした。




#9910 
アブダビ 2015/08/16 16:11
感想ですが…

〉パラージさん

御指摘いただき曖昧な記憶が整理されました(笑)
歴史と関係ないのですが、沢田研二氏への評価、大いに賛成です。私は時効寸前の3億円事件犯人を演じたドラマで惹き付けられました。しかし…はんざいしゃ役が多い人でさねえ。

〉管理人さん、つねさん

観てきました。面白かったですが、事前に原作を読んでいきましたから。あまり説明のない展開にも戸惑わなかったせいでもおります。
前作も原作も知らず、戦史に知識のない人が観たらどうなのだろう?
あと…やはり時間を制限した前作の方が、サスペンスやスリラーとしての盛り上がりは高かったのでは?
もちろん歴史ドラマでありめすから!的はずれかもしれませんが。

良評価としては、割合に冷静に描かれているように見えることでした。
腑に落ちるというか…

全体としては悪くない印象でした。



#9909 
つね 2015/08/15 02:06
今日こそ「いちばん長い日」

管理人さんも鑑賞されたということで細かい部分も触れてしまいます。とはいえ、喜八版はまだ再確認できていませんが。リメイクが出ると、前作も注目が集まり、恐らく存在すら知らなかったであろう若い人たちが興味を持つだろうという点からは前作ファンでも反感だけではないのでは(笑)。

>説明不足
特に最初の4ヶ月がダイジェストだけに気になりましたね。本当に海外展開する気なのかなあ。まあ興味ある人が見るのであればいいのかな。「リンカーン」でもスピルバーグが出てきて背景の説明をしてましたが、外国に理解してもらうのは厳しいかも。ところで私が一番分からなかったのは東条と天皇の会話。東条が間接的に天皇を脅迫しているのは分かるのですが、天皇の応答が難解でした。
ところで24時間焦点の前作で東条は出てきたんでしょうか。参謀本部かなんかで「広義の忠義」と「狭義の忠義」を唱えているときに、「天皇」の言葉が出るたびに、参謀たちが「ビシッ」と音を立てて姿勢を正しているのは感心しましたが。「226」以上でした。

>描写範囲
今回のは4月から始まっている分、範囲を中央に限定したようです。前作では前線基地とか地方(確認したら横浜)から東京まで直訴に来ていた部隊まで描写していました。前作は知識不足から佐々木大尉のことが意味不明でしたが、今回は知識があってもマツケンが意味不明でした。

>解釈
岡本監督は戦争継続派に対して、当時を知っているだけに怒りを感じていて、狂人扱いしたような気がします(あくまで印象です)。原作は今読んでいる最中ですが、半藤さんが若かったからかやや冷静で、今回の映画のほうが再現度高いような気がします。
歴史は当時を知っている人と、時間をおいたほうとどちらが正しく解釈できるのでしょうか。「正しい」歴史などない、と言われればそれが正解な気もします。



#9908 
バラージ 2015/08/14 20:59
慰安婦の映画 その2

 #9689で、1974年の日本映画『従軍慰安婦』はもうフィルムが存在しないらしいという記事を紹介しましたが、月刊誌『シナリオ』9月号にその『従軍慰安婦』のシナリオが掲載されてました。また、同作でサード助監督を務めた佐伯俊道氏の「映画『従軍慰安婦』とその周辺」という解説も掲載されていて、それによると現存していないのはプリントで、「東映は「自主規制」しているのかどうか知らないが、新たなプリントを起こす気もなく、DVD化する企画もないようである」とのこと。同解説によると、#9689で紹介した他に、『独立愚連隊』シリーズや『兵隊やくざ』シリーズ、『新二等兵物語 敵中横断の巻』『いれずみ突撃隊』などといった映画に慰安婦が主要な役どころで出てくるそうです。
 同誌には今夏公開される銃後もの戦争映画『この国の空』のシナリオも掲載されていて、同作のシナリオ評には、笠原和夫が『大日本帝国』の演出について「ただ脚本だけ読んで、他には何の資料も読んでないからイメージが湧かない。だから、時代劇みたいなものになっちゃってね。本当は、もっと凄まじいホンだったんだけど。」とコボしていたというエピソードも紹介されてました。

>アブダビさん
 『太陽を盗んだ男』の監督は長谷川和彦ですよ。あれは面白い映画でしたね。『ときめきに死す』といい、このころの沢田研二のクールでニヒルでシニカルな雰囲気はなんとも言えずいいです。
 工藤栄一監督はチャンバラ時代劇専門といった感じで、時代劇衰退後はヤクザ映画を主に手がけたようですが、有名なのは徹夜城さんのおっしゃる古いほうの『十三人の刺客』と、あとは晩年の現代アクション『ヨコハマBJブルース』ぐらいでしょうか。プロデューサーと主演を兼ねてた松田優作たっての希望で起用されたそうです。僕は工藤監督作は1本も観てませんが。



#9907 
tomohiro 2015/08/14 05:59
デュマやバーネットに相当する日本の作家は

また、大河ドラマの話題ですが、nhkが実写じゃなくてアニメで
「キャプテンフューチャー」、「アニメ三銃士」、「アニメひみつの花園」
などの企画を展開して企画によっては話題をとった事實がありますが、
名作文学と世間的に言われている企画をアニメにして話題にしているならば
其れにちなんで大河枠で日本文学で実写ドラマで名作文学から
取材したドラマを作ってもいいんじゃないでしょうか?
民放が視聴率が取れないと思ってやらない名作文学の映像化という
姿勢は、もっとnhkは大切にするべきだろうと思います。
取材するとなると夏目漱石か森鴎外あたりだろうか・・。
この話題は、別サイトで話題に就ったので、面白いと思って
私もこのプランには共感しています。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9906 
徹夜城(一日に同じタイトルの映画を二本続けて見た管理人) 2015/08/14 00:47
ちょいと早めの「いちばん長い日」

 やっと本日(もう昨日か)原田真人版「日本のいちばん長い日」を見てきました。なるほど、リメイクと言っても半藤原作の再映画化、という方が適切なのかもしれませんね。全体として重厚な出来ではありますし、旧作になかった昭和天皇や女性キャラたち、阿南陸相や鈴木首相の家族描写など、新たな視点を加えたところなどは前作との差別化という意味もあったでしょうね。
 前作と同じ素材だから当然ですがまったく同じシーンも何度かありました。その解釈の違いがまた面白くもあります。前作以降に出てきた資料などを基にしてるんでしょうが、阿南陸相の行動が「陸軍内部の暴発を抑えて終戦を実現させるための表向きの強硬姿勢」となっていて、前作の三船敏郎の強硬一本槍な感じ(よく見ればそれなりに葛藤してるわけですが)とはだいぶ違っています。
 旧作では黒沢年男が陸軍強硬派の狂気をそのまま体現する名演を見せた畑中健二役も、今回の松阪桃李になるともっと冷静な信念、って感じでもあり…前作では凄惨な流血スプラッタシーンとなった森近衛師団長殺害シーンもずいぶんおとなしかった気がします。阿南の切腹シーンも含めて原田演出ではどぎつさは抑えがちなのかな。まぁ旧作は白黒だから見てられる、ってこともありそうですが。

 そして山崎努の鈴木貫太郎。前作では笠智衆がひょうひょうとした好々爺的に演じてましたが、今回は役者のクセもあってでしょうが、かなり「とぼけた策士」的な描かれ方。前作でも印象的だった、阿南との別れのシーン、「阿南君はいとまを言いに来たんだね」のセリフもずいぶん受ける印象が違います。
 そして、監督がやけに今作の「目玉」のように言ってた昭和天皇ですが…事前にそう聞いてて身構えていたせいか、拍子抜けするほど出てないじゃん、との感想を抱いてしまいました。英語タイトルも「エンペラー・イン・オーガスト」なのにねぇ。これじゃそれこそ「天皇のいない八月」じゃないの、と。

 ついつい帰宅後に旧作のDVD引っ張り出して見始めたら最後まで見ちゃいましたが、やっぱり傑作ですよ、これ。もともと小林正樹監督での製作が予定されていて、岡本喜八監督に交代した経緯があり、橋本忍脚本を尊重して演出したこともあって岡本監督作品中では異色の存在なのですが、喜八映画特有の映像リズムが最後まで心地よい。
 原田監督版については、これはこれで力作、という評価でしょうか。前作ファンからするとどうしてもあれこれ言っちゃうのですが、最初にこちらを見た人はまた印象が違うでしょうし(個人的には鈴木貫太郎は原田版の解釈が真相に違い気がします)。ただちと話が三万で説明不足な印象は受けちゃうんですよねぇ。
 説明不足、ということでは楠木正成の例えが何度か出てくるのが気になりました。はじめ本土決戦を主張する軍人たちが「正成」をその模範として口にするわけですが、ラストの方では切腹直前の阿南が「本当の正成の気持ち」についてちょこっと言及する。これ、正成が正行を戦場へ同行せずに帰らせた「桜井の別れ」の解釈の問題なんですが、全然説明がない。もちろん当時の人には説明不要なんだけど、何とか現代の観客にわからせる言い方はなかったものか、と。どうもそういう点がいくつか目につくんですよね。


 ところで、実は一昨日、車で野田市関宿(利根川と江戸川の分流地点に近い)の「鈴木貫太郎記念館」までひとっ走り行ってきたんですよ。敗戦70周年と映画にからめて特別展やってるとのことだったので。
 鈴木貫太郎が晩年を過ごした旧宅を改造したものだそうで、実にこじんまりとしたもの。展示品も生前の使用品や書など、それから二・二六事件や聖断の御前会議n場面を描いた大型絵画(複製でしょう、たぶん)を並べて鈴木貫太郎の生涯が簡単に追えるようになってます。海軍軍人で日本海海戦にも参加、二・二六事件で殺されかかり、総理になって終戦を実現、と並べてみるとなかなか劇的な人生の方ではあるんですね。
 特別展といっても特に目立つ展示はありませんでしたが、今度の映画にからめて過去に鈴木貫太郎を演じた俳優たちについての説明が掲示されてました。岡本版「日本のいちばん長い日」の笠智衆、「226」の芦田伸介、テレビドラマ「そして戦争が終わった」の森繁久彌、そして今度の映画の山崎努と並べてました。二・二六事件を描いたものなら1シーンのみでも結構出てる気がします。
 実はNHKの「坂の上の雲」でも1シーンだけ出てたんですよね。演じたのは赤井英和。バルチック艦隊の行方が分からず悩む本木雅弘演じる秋山真之に「参謀がそんな顔しちゃいかん」と明るくたしなめるだけの出番。それから40年後には山崎努になっちゃって、本木さんの方は天皇にご出世しちゃうわけですが(違)。


>つねさん、アブダビさん
「終戦の日」の未明に起こった「宮城事件」を扱った映画には、東映だと「八月十五日の動乱」というのがあるようです。ただ工藤栄一監督ではなかったはず。工藤栄一監督というと「十三人の刺客」が代表作で、あとは特に…とつい言ってしまう監督さんです。

>tomohiroさん
いや、アジアのドラマや映画を見下していたとしても、歴史ものの素材に戦国幕末以外を選ばない動機にはならないでしょう。単純な話、視聴率がとれるかどうかはやはり大きいわけで、見る側も「知ってる話を見る」志向が強いのがまず大きいと僕は思ってます。

>阿祥さん
「八月の砲声」は名前だけよく聞いているけど未読の一冊。ますます興味がわいてきました。
確かにドイツ軍人たちも普仏戦争の成功以後の経緯があるからそんな気分だったかもしれませんね。そしてそのドイツに仕込まれた部分が多い日本陸軍はなおさらそうなったのかも。

>バラージさん
 おお、「鳴梁」、DVD出るんですね。それなら買ってでもチェックしようかな。タイトルが素材不明になっちゃうのはまぁ売る側として考慮しちゃうかなぁ。「不滅の李舜臣」はそのままだったんですけどね。



#9905 
バラージ 2015/08/11 23:47
鈴木貫太郎一家

 安倍政権がろくでもないことをしてる影響か、今年の敗戦70周年戦争映画についての特集が結構いろんな雑誌で組まれてますね。『日本のいちばん長い日』の原田監督のインタビューが『キネマ旬報臨時増刊号』や『週刊金曜日』に載ってるんですが、それらによると映画会社から出された企画というわけではなく、原田監督自身が以前から作りたかったとのこと。原田監督は18歳のころに前の映画化作品を見たそうで、その感想は「不完全な映画」というものだったそうです。その後、半藤一利の原作を読んだら昭和天皇が前面に出てきていたので、時代的に仕方がないとはいえ昭和天皇を描かないならこの原作を映画化する意味がないのでは?と感じたと語ってました。なので前作のリメイクというよりは、原作の再映画化という感覚が強いようです。また、ロシア映画『太陽』については、昭和天皇を主人公にしたのは画期的だが、イッセー尾形の昭和天皇は全然良くないと感じ、ますます俺が映画化しなきゃと思った、とも言ってました。海外展開についても明言してました。あ、ちなみに僕は映画は見てません。
 似たような話で「悩める陛下」を加藤剛が演じているテレビドラマを子供のころに観た記憶がおぼろげながらにあるのですが、調べてみたら『そして戦争が終った』というドラマだったようです。加藤剛の昭和天皇が終戦について思い悩んでるシーンしか覚えてないんですが、主人公は森繁久彌演じる鈴木貫太郎とのことで、ひょっとして……と思ったらやはり原作は半藤一利の『聖断』という作品でした。森繁さんも吉田茂や高橋是清などいろんな人を演じてますねぇ。

>DVD化
 以前ここで話題になった韓国映画『鳴梁』が、『バトル・オーシャン 海上決戦』という邦題でDVD化されるようです。まあ少なくともDVDスルーにはなるだろうとは思ってました。テレビドラマ『不滅の李舜臣』だってちゃんとDVD化されてますからね。邦題はどうにもこうにもですが、ともかく見れるんだから我慢しましょう。
 また、『ジョン・ラーベ 南京のシンドラー』も3月にDVD化されていたようです。こちらは販売専用ですが、買うかどうか迷うなあ。レンタルにならないかなあ。



#9904 
阿祥 2015/08/11 00:56
The guns of August

“The Emperor in August” という英語のタイトルを見て、僕は“The guns of August”日本語訳は「八月の砲声」という作品を思い浮かべました。第1次世界大戦の始まりの1月を詳しく描いた作品で、1963年ピューリッツァー賞を受賞しています。

ついこの間読み終わったのですが、その当時のドイツのあり方が、僕には第二次大戦時の日本軍に重なって見えました。普仏戦争に勝利し、自らの軍隊に絶対的な自信を持っていたこと、そのために外交も政治も軍の主導になり、フランスとロシア、ひいてはイギリスも敵にするという外交的失敗をしでかし、それがひいては戦争の失敗に結びついていくこと。クラウゼヴィッツが戦争論で軍事はあくまで外交/政治に従属すべしと説いたそのお膝元のドイツでさえこんな失敗をするのだから、政治と軍事いうのはよほど難しい問題なのだろうと感じました。



#9903 
アブダビ 2015/08/10 22:54
つねさまへ

私の間違いでした。
岡本監督の作品でした。工藤監督は「太陽を盗んだ男」の方だったような…
ちなみに岡元監督は「独立愚連隊」の人でもあったような…ぜんぜん時代が違いますね。すみません。
映画を楽しみにしていますが、あの玉音放送の原盤を奪おうとする将校たち、敗戦を阻止した。
てどうするつもりだったのだろう?
前作は25年前に名画座で、「アルジェの戦い」と二本立てで見たのですが、
映画の迫力に押されながら、戦後生まれの私には、徹底抗戦派の動機がいまいちピンときませんでした。
現代のリメイクでは、どのような解釈となるのか興味津々です。



#9902 
tomohiro 2015/08/10 18:08
お年寄りの考え

私事ですみませんが、私の母は韓流ドラマやアジア映画に対しては
発展途上だと思って全く認めない性格です。
逆に、アメリカのホームドラマ世代のせいか、ハリウッド映画やアメリカンドラマには
やたら甘い評価をします。
で、何を言いたいかと言いますと、くだんのホームドラマ世代などのアメリカやヨーロッパ
の映画にやたら弱い世代のお年寄りたちのモノサシが日本の映画やサブカル
の制作現場で支配的に存在して、日本の映画やドラマと欧米映画という比較論が
根強く存在し、アジア映画の動向は無視されがちなのではと思います。
だから大河ドラマで近代外記、伊能忠敬、杉田玄白、古代史などという
戦国や幕末以外の話題ができないのではと仮説を立てております。
もし、アジア映画が脅威だとしたら、もう少し戦国幕末以外もレパートリーに
増えていたのではと思います。

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