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#10600 
徹夜城(人並みに盆休みはとれた管理人) 2017/08/11 22:25
昨日今日と涼しいですが暑中お見舞い申し上げます

 いつものことですが夏期講習のおかげでもうヘロヘロ。書き込む気力も更新する気力も出ませんでした。ようやく盆休みになったので、いろいろ書きたいとは思ってますが、いろいろ見たい映画もありまして…ああ、そうこうやってるうちにまた仕事再開になっちまう(汗)

>「観応の擾乱」読了
 亀田俊和さんの新刊、中公新書の「観応の擾乱」をようやく読み終えました。夏期講習の合間に電車で読んでたもんで時間がかかってしまい…
 南北朝マニア、ことに足利家・幕府側側マニアな方(いえね、南北朝マニアで南朝マニアってのは昔からいるわけで)は必読でありましょう。南北朝マニアでも説明に苦労するあの大混戦の展開を結構すらすら読めるようにまとめた力量はさすがだと思います…それって僕がもともと展開を知ってるから、ってことかもしれませんが。
 この本を読む方は、まず前提としてそれまでの通説を知っておく必要はあるんじゃないかなぁ。実際本文中でも「南北朝研究の金字塔」として佐藤進一「南北朝の動乱」がたびたび言及されてます。あれを読んで基礎知識と流れをつかんだうえで読むのがベストと思います。そrが面倒な方はその「南北朝の動乱」の観応の擾乱の説明を明らかに下敷きにしている大河ドラマ「太平記」の後半戦を鑑賞しておくということで(著者の亀田さんも高校時代に見てらしたそうです)。

 亀田さんの今度の本では佐藤進一さんの先行研究にして「通説」になっている観応の擾乱の説明にいくつもの疑問をつけ、史料の新たな読み込みによってまた別の読み解き方をする、という書き方が多いんですね。例えばこれまで高師直派=新興武士勢力・革新派、足利直義派=鎌倉幕府をひきずった保守派、的な色分けがなされましたが、実のところそうでもない、と。特に師直の「執事」という立場がいかなるものであったか、という解析はなかなか面白いです。
 またしばしば引用される「天皇など木か金物で作っておけ」という師直の発言についても、それはあくまで「太平記」の中で直義腹心が直義に「讒言」するくだりで言及されるものであり、「太平記」自身が「讒言」と書いてるのにそれをそのまま史実とみなすのはおかしい、という指摘にはなるほど、と思うところも。
 尊氏についても、師直の御所包囲は実は尊氏と師直が示し合わせてやったこと、との「通説」(大河でもそうなってた)にも疑問をとなえ、やはり尊氏の計算外のところがあったのだと。他にもこれまで「尊氏の策謀」と説明されがちな事例を「そうでもない」と次々ひっくり返してます。この本は全体を読み通すと結構「尊氏賛歌」な印象もありますね。
 尊氏と言えば一度直義に敗北した直後、直義派の細川顕氏が訪問してくると「降参人の分際で何しにきた」と追い返し、顕氏が恐怖した、という逸話があります。この話もやはり佐藤進一さんが紹介し、尊氏の奇怪な行動の一例としているのですが、亀田さんはこれを180度変えた見方をしています。この件は洞院公賢が日記に記しているのですが、原文では尊氏が「降人の見参は恐れあり」として面会しなかったとなっており、ここでの「降人」とは尊氏自身のことではないか、というんですね。「見参」という言葉が気になりますが目上が目下に会う場合にも使用例はあるとのこと。確かに上京からすると亀田説の方が不自然ではなく、「尊氏変人説」(笑)に大きな疑問を投げかける指摘だと思います。僕はまだ決着とは見てない(前後の状況と完全には合わない気がする)と思うのですが、ずいぶん前に出た「通説」がそのまんまほったらかしにされたところはかなりあるんだろうな、と。佐藤進一さんの本では足利家の精神異常遺伝みたいなことまで書かれていて、これは問題では、とは以前から思ってはいましたけど。

 その他にも直義の実子如意丸、尊氏実子にして直義養子の直冬、一時南朝方についた気配のある佐々木道誉や赤松則祐の動向など、マニア的に楽しめるところは多かったです。いちいち書いてられないくらい。著者本人も書いてましたけど、南北朝概説書はいろいろあるんですが「観応の擾乱」のテーマだけで一冊書いちゃった例はないですから内容が濃いのも当然。
 そういえば「観応の擾乱」という歴史用語はいつから使われてるんだ、と僕もひそかに疑問に思っていた件についても考察がありました。佐藤進一さんなんかは使ってないようなんですよね。

 売り上げのほどは分かりませんが、先ごろの「応仁の乱」の異例のヒット(だったらしい)に続けということなのか、新聞などでの広告展開が結構強気のような…ネット上では新書の売り上げランクに食い込んでたとの話も見かけます。
 「応仁の乱」効果なのか、初心者向け歴史本や歴史ムックなどで室町時代を扱う者がこのごろ急増してます。そこから南北朝にも手が及んできているようで、昨日アマゾンでチェックしたら9月にかけて何冊か初心者向け南北朝本が出るみたい。「プレ戦国」な扱いは相変わらず目につきますけど、少しでも関心を持ってくれる人が増えればうれしい。
 そのせいかどうか知りませんけど、最近当サイトの「南北朝列伝」のアクセスがバカに好調だったりします。「史劇的な物見櫓」を超す勢いだったりしまして。



>アジアのバカ大将さん
 だいぶ遅れたレスですいません、早川タダノリさんの「トンデモ決戦生活」「日本スゴイのディストピア」の二冊は大いに爆笑しつつ、今も相変わらずなところがあることに戦慄もする、という複雑な楽しみかた(?)をしたものです。作者の意図も明らかに現代への警鐘にありますよね。先ごろの「パン屋→和菓子屋」騒動なんか思い合わせると…そうそう、その本も含めて紹介される「戦時中の上半身裸授業」ですが、最近どっかで実行してて話題になったような…と検索したらつい2年前のことでありました。

 関連話になるんですが、僕は以前から「ヘンテコ歴史本」の企画案として「中国崩壊本の世界」ってのを考えてまして。毎年のように出版される「中国崩壊」テーマの本を一同に集めて論じ居たらかなり面白いんじゃないかと思った…のですが、実行するとなるとエライことになります(笑)。冊数が半端じゃないんだもん(ただしいずれもアマゾン中古で1円扱いなので費用はそう問題にならない)。
 先日、ネット上で僕と同じような問題意識でこの件をとりあげる方がいて、「もう10年くらい出てるんじゃ?」とつぶやいてましたが、「いやいや、もう30年くらいです」とレスがついてました。そーなんですよ、ほぼ「平成」時代を通してコンスタントに出てるんです。

 最初は天安門事件、そして冷戦終結とソ連解体を受けての90年代はじめに続々と出てます。ソ連解体のあとだけに自信満々で出たわけですが、そうした本の書き手たちはそもそもソ連消滅を予測できなかったわけで(笑)。
 次のピークがケ小平死後です。強力な後ろ盾をなくした江沢民が失脚、中国崩壊というシナリオでえすね。これも政権交代で何も起こりませんでした。続いて北京五輪の前後で「北京五輪は開催できない」あるいは「五輪が過ぎればバブル崩壊」といった調子の崩壊本があまた出てます。それも過ぎさり、しばらくすると2013〜14年ごろの景気後退を受けてまた「崩壊!」本が次々と出ましたが、これもピークが過ぎちゃったみたい。アマゾンであたってみたら2013年に「あと3年で崩壊」という本が出てますな(笑)。まーそもそも毎年「年内もたない」という話が再生産されてるわけで。
 もっともここ1、2年で見ると「なぜ崩壊しないのか」というテーマの本でもぽつぽつ出ており(売れるのかなぁ)、「崩壊本業界」にも変化が出てるのか、どうなのか。、

 というわけで企画実行はなかなか困難なんですが、アマゾンで「中国崩壊」で検索して眺めて面白がったりはしてるんです。そしてその一番古い例はなんだろう、と調べてみたら、1936年の本がヒットして驚きました。高橋亀吉という人物が書いた「支那経済の崩壊と日本」という本があるんですね。日中戦争勃発の前年ですよ!中身は読んでみないと分かりませんが、時期的になんとなく察しがつくような…お値段もちょいとするので迷ってるところです。
 この高橋亀吉という人の他の著書を調べてみると経済学者のようで戦後もあれこれと経済学本を出していますね。戦中にこの人が何を言ってたのか、やはり興味のわくところなのですが…



#10599 
アジアのバカ大将 2017/08/04 18:15
「日本スゴイ」のディストピア

 ご無沙汰しておりました。暑中お見舞い申し上げます。
 以前に管理人さんが言及しました書籍「『日本スゴイ』のディストピア」
について、一くさり、無駄話を申し上げます。
 表紙で一目瞭然のように戦前戦中の全国の小学校が「安倍晋三記念小学校」
状態だった時代の書籍、雑誌、政府広報誌、高官演説記録などのトンデモ
ぶり(著者・演者らの本来の主旨とは別にツッコミを入れて楽しめる点)を
楽しく書いた快作です。作者・早川タダノリ氏が、お笑い芸のテクニックで
「愛国芸業界」を切っている点がトンデモ本ファンとして、おおいに賛同
できます。
 たとえば「天才帝国日本の飛騰」(池崎忠孝著)。作者は元々文学者=
文芸評論家で、こうした言論活動で名を売り衆議院議員、文部参事官に
なります。内容は、「日本の領土は数十年で四倍になった。このままいけ
ば世界帝国も夢ではない」と中二病丸出し。お笑いの「出落ち」よろしく
題名で笑いがとれる本が多いところが、愛国業界の特徴にほかなりません。
 早川氏の他の著書は「神国日本のトンデモ決戦生活」「愛国の作法」も
同趣旨ですが、内容にダブりがなく、楽しめます。なお「デビュー作」の
「神国日本〜」が、貴重な写真も多く一番内容豊富です。
 同書では特に、靖国神社での戦没者追悼式で、遺児たちを「謁見」する
東条英機の写真が圧巻です。にこにこして、遺児の一人のアゴをしゃくっ
ている東条は、人買いの親玉にしかみえません。キャプションはズバリ
「現代の山椒大夫」です。ちなみに、遺児たちは全員ひきつった表情を
しています。あこがれの偉い人に会えた嬉しさなどは、微塵も感じられ
ません。目の前にいる偉そうな軍人が父親を死に追いやった側の親玉で
あることが分かっていたようです。
 また当時、小中学校で奨励されていた乾布摩擦と「裸体授業」(上半身
はだか)に写真もはなはだ興味深いものです。小学校高学年がふくらみは
じめた胸をさらして授業を受けている、マルキ・ド・サド的悪夢のような
風景が現実にあったことに驚きます。趣味でやっていないようなので、
救いはまるでありません。

 





#10598 
つね 2017/08/04 08:34


>サラマンサさん

情報ありがとうございます。確かに決まりというよりは指針で、かなり自由みたいですね。まあ日本語で外国の人名・地名を正確に表記するのは無理があるので、多少の融通は必要なんでしょう。



#10597 
サラマンサ 2017/07/31 21:46
26のラテン文字で表記できる言語は殆どないということに最近になってきづきました



>つねさん
 マスコミなどではどうなってるか分かりませんが、外来語の表記については文部科学省のHPに指針が掲載されています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19910628002/k19910628002.html
 

 これによると仮名の一覧表を2種類提示したうえで以下の方針を掲げています。

1 第1表に示す仮名は,外来語や外国の地名・人名を書き表すのに一般的に用いる仮名とする。
2 第2表に示す仮名は,外来語や外国の地名・人名を原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いる仮名とする。
3 第1表・第2表に示す仮名では書き表せないような,特別な音の書き表し方については,ここでは取決めを行わず,自由とする。
4 第1表・第2表によって語を書き表す場合には,おおむね留意事項を適用する。

 で、件のVやWの表記は第2表に含まれ原つづりに近づけようとする際に使用しするとしたうえで以下の留意事項を挙げています。

「ウィ」「ウェ」「ウォ」は,外来音ウィ,ウェ,ウォに対応する仮名である。
〔例〕 ウィスキー ウェディングケーキ ストップウォッチ
ウィーン(地) スウェーデン(地) ミルウォーキー(地)
ウィルソン(人) ウェブスター(人) ウォルポール(人)
注1 一般的には,「ウイ」「ウエ」「ウオ」と書くことができる。
〔例〕 ウイスキー ウイット ウエディングケーキ ウエハース ストップウオッチ
注2 「ウ」を省いて書く慣用のある場合は,それによる。
〔例〕 サンドイッチ スイッチ スイートピー
注3 地名・人名の場合は,「ウィ」「ウェ」「ウォ」と書く慣用が強い。

「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」は,外来音ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォに対応する仮名である。
〔例〕 ヴァイオリン ヴィーナス ヴェール
ヴィクトリア(地) ヴェルサイユ(地) ヴォルガ(地)
ヴィヴァルディ(人) ヴラマンク(人) ヴォルテール(人)
注 一般的には,「バ」「ビ」「ブ」「ベ」「ボ」と書くことができる。
〔例〕 バイオリン ビーナス ベール
ビクトリア(地) ベルサイユ(地) ボルガ(地)
ビバルディ(人) ブラマンク(人) ボルテール(人)

 以上のことから見ると「ヴ」の使用は慣例となっているもの以外は適宜自由ということになると思います。

 ところで人名表記法として図書館の目録作成のための規則が存在します。国会図書館のHPにも「書誌データ作成ツール:個人名標目の選択・形式基準」として掲載されています。ここで面白いのは 中国人名(漢字形で表されるモンゴル人名、ベトナム人名、チベット人名を含む)と韓国・朝鮮人名にやや特殊な規則が適用されています。例えば中華民国成立以前の人物は諱を著者名として記載し、読み方は日本読みとする、韓国人名は漢字表記を優先し読みは韓国音を採用する、等です。それ以外は原則現地の慣例に沿うように記載するとしています。
 自分が以前、たしか朝日新聞がだしている人名辞典では韓国人名は大韓帝国以前の人物は日本読み、以降は韓国読みとなっていたと思うのですが、ちょっと自信ありません。




#10596 
つね 2017/07/23 13:13
名前の日本語表記

ふと気になったので、ジョコビッチ選手の綴りを確認したのですが、
英語では「Djokovic」ですね。
なんとなくvだと「ヴィ」、bだと「ビ」のような感じがしますが(Beethovenはベートーヴェンとか)、このあたりは何か決まりがあるのでしょうか。実際の発音に近いようにしているのかな。



#10595 
バラージ 2017/07/22 22:58
いろいろ

・『栄光への脱出』
 僕はこの映画はポール・ニューマン主演ということぐらいしか知らなかったんですが、去年観た映画『トランボ』でオットー・プレミンジャー監督が偽名で活動中のダルトン・トランボに脚本を依頼するエピソードが出てきたんで、興味を持って調べてみて初めてどういう映画か知りました。『トランボ』では、「いい本なのか?」と聞くトランボに、プレミンジャーが「良くはないが売れてる」というようなことを答えるやりとりがありました。本当にそんな会話があったかは知りませんが。『スパルタカス』のカーク・ダグラスとほぼ同時の依頼となったため、お互いにこっちを優先しろと取り合いになってましたね。

・日本海軍といえば
 陸軍に比べれば良識派というような扱いを受けますが、日中戦争では山本五十六・米内光政コンビが第二次上海事変や渡洋爆撃を推し進め、戦線を拡大させた側面もあり、陸海軍はどっちもどっちのようです。

・ジョコビッチ
 まあテニス選手は1年のうち10〜11ヶ月は大会で世界中を飛び回ってて、実家には少しの間しかいられませんからねえ。しかもジョコビッチは選手としての拠点も確かドイツでしたし(ちなみに錦織君も選手としての拠点は米国フロリダ)。



#10594 
徹夜城(また多忙な夏が来たと思う管理人) 2017/07/21 00:34
しばしご無沙汰

 どうも最近、こういうタイトルで書いてることが多いような。話題がなかなかないとか、忙しいとか、単に気が乗らないとか(笑)で伝言板への書き込みがどうも減ってしまってます。
 最新「史点」ももう三日も前にアップしてるんですが、ついついこちらには書き込んでなくって…あの「史点」自体、ズルズルと書くのが遅れちゃったんですよねぇ。その代わりの小ネタ特集になってるわけです。

>最近見た歴史映画
 ずいぶん前に確か秋葉原の売り場でDVDを他の何本かと一緒に購入したものの、ついついほったらかしになって数年、という映画を昨日ひょっこり見ました。2時間くらいだろうと思って見始めたらなんと3時間20分。まぁ秋はしませ飽きでしたが、いろいろと問題点もある作品で。
 それは「栄光への脱出」という邦題のアメリカ映画。原題は「エクソダス」。最近も同名のがありましたが、旧約聖書のモーセによる「出エジプト」を指す言葉です。そしてこの「栄光への脱出」の方はその故事になぞらえてイスラエル建国を描く映画なんですね。買っておいてついつい見なかったのはそういう作品だからでもあります。
 監督はオットー=プレミンジャー、主演はポール=ニューマンとエヴァ=マリー=セイント。原作小説があるそうで、それでなくてもユダヤ系が多かったりするハリウッド製ですから映画も基本的にユダヤ人、イスラエル側の視点で描かれます。大戦後にパレスチナへ大量のユダヤ人が移住してくるんですが、それを妨害するイギリス軍が前半の敵。パレスチナ分割によるイスラエル建国後はアラブ人が敵となります。
 ウィキペディアで読んだ話ですが、原作はもっと露骨に反英・反アラブだったようですが、一応映画の方はそこそこマイルドにはしてます。特にアラブ人についてはイスラエル建国前からパレスチナ育ちの主人公と幼なじみのアラブ人隣人が登場し、友好的共存がそれなりにできていた様子も描かれます。しかし主人公たちの悲願であったイスラエル建国が実現するとその幼なじみは「我々は自由を失った」と悲し気に去ってゆき、やがてユダヤ人・アラブ人の隣村同士で武力紛争が…というかなり後味の悪い結末に。一応将来両民族の平和共存を願うメッセージを打ち出して終わってはいますけど、アラブ人側に元ナチスとしか思えないドイツ人軍事顧問(?)が「ユダヤ人絶滅」を口にするとか、アラブ人の攻撃をホロコーストの延長上のように描いてるとこなんかはかなり疑問も感じます。この点、「アドルフに告ぐ」を連想しましたが、あれは立場逆転みたいな描き方でしたよね。


>黒駒さん
 僕もサンマ漁の制限の話題、ネット上で画像が出回っていたので見ました。フジテレビの夜のニュースで示されたもののようですが、昨年の各国の漁獲量と、日本が提案した各国の「割り当て」のあまりのギャップぶりに「こんな虫のいい提案が通ると思ってるのか?」という意見が散見されてました。日本が昨年漁獲量の倍以上に「割り当て:になる一方で台湾がやや像か、最近増えて来たとはいえ日本よりずっと少ない中国の割り当てが昨年漁獲量より少ない、などグラフを見ている限りでは確かに妙な提案には見えました。これまでの漁獲量などを勘案して、ということらしいんですが、そもそも日本みたいにやたらにとりまくっていた国ってあんまないんですよね。

 以下、軍艦と漁業の話が並んで出てたんで、連想した話。つながりはほとんどないですが。
 太平洋戦争の転換点となったミッドウェー海戦で致命的大敗北を喫した日本海軍ですが、この大敗を国民にどころか陸軍にも漏らさなかったとか。戦争計画について開戦直後から陸軍海軍でケンカが絶えず対立していたため、海軍の失態を陸軍に知られるわけにはいかん、ということなんですね。陸軍側が「異変」に気付いたのは、それまで戦況についてああだこうだと口うるさかった海軍首脳が海戦後は「アリューシャン列島方面でのサケ・マス漁」の話ばかりし始めたことにあったとかで。後に海軍は「台湾沖航空戦」の時も「大戦果」と誤認して大々的に発表、真相を悟った後も陸軍に黙っていて、その「大戦果」に基づいてレイテ沖海戦が計画されるというアホみたいなことをやらかしてます。
 いよいよホントに更迭されるような話もある今の防衛大臣と防衛省内のやり取り見てると、どうも「日本軍」の体質はそう変わってないんじゃ…という気もしちゃいます。

>バラージさん
 「史点」完走どうもです。ロイヤル詐欺師の話題は先月末にネットでチラッと見かけていたんですが、いざ書くためにネットで調べだしたらいろいろ面白いことになってた、というやつです。御本人のHPまでちゃんとあるんだもんなぁ。
 そうか、ジョコビッチって考えてみりゃ「同じ国」レベルに近いとこの出身だったんですね。それでも分からないんじゃイタリア人も騙されるか。
 最近の中国に関しては実際に「大東亜共栄圏」を実現しようとしてるんじゃ、なんて話はありますね。

 京都新聞の義満に関するその記事は未読でしたが、義満が宗教界にも君臨しようとした、という見解自体は以前からあったように思います。例の「簒奪計画説」にからんでくるものですが、公家および寺社の人事を握る「叙任権闘争」をやってたとか、「国王」として独自の祭祀を行おうとしていた、といった話はありました。ただどこまで「その気」だったのかは当人のみぞ知る、って話になっちゃうようで。



#10593 
バラージ 2017/07/20 20:57
史点など

・ロイヤル詐欺師
 こんなところでジョコビッチ(テニス誌・一般紙ともに「ジョコビッチ」表記で、「ジョコヴィッチ」表記は見かけません)の名前が出てくるとは。テニス誌にもそのニュースは載ってなかったですねえ。ジョコビッチはセルビア人なんでモンテネグロはお隣というか同じ国でしたが、まあわからんもんですよね、そういうのは。

・劉暁波氏死去
 こういうこと言っちゃうとあれなんですが、最近の中国を見てるとちょっと戦前の大日本帝国に似てきたなあと思うことがあります。国境付近での挑発というか示威行動なんかもかつて大陸で日本軍がやってたことに似ているような気が。

・都議選自民党大敗
 豊田議員の暴言騒動はテレビ的に面白くて取り上げられてましたが、基本的には彼女個人の資質にとどまるものなんで、都議選にはそこまで影響はなかったんじゃないかと。それより安倍首相が直接かかわるってことで加計(&森友)のほうがやはり大きかっただろうと思います。それと稲田大臣。この人の失態は何度も何度も起こるんで、そのたびにかばう安倍首相にもボディーブローのように効いていったかと。あと都議選の場合は小池都知事という受け皿がいたことも大きくて、もともと自民党は劣勢でした。

・日本ラーメン史
 これは僕も「へえ〜」となっちゃいました。なかなか面白いニュースでしたね。

・足利義満、「法王」を目指す?
 これは史点では取り上げられてないニュースですが、5月24日の京都新聞(web版)に出てた記事です。
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20170524000075
 オーストラリア人研究者による説で、義満が入念な都市計画を基に室町殿(花の御所)や相国寺や北山殿(現金閣寺)を建て、同時代の東南アジアの仏教王朝のような宗教と政治の頂点に位置する「法王」を目指したのではないか、というもの。ちょっと無理があるような気もしますが、なかなか面白い説ではあります。

・歴史映像名画座の掲載情報について
『鶴姫伝奇』……「興亡瀬戸内水軍」というサブタイトルがついています。
『二百三高地』……テレビドラマ版もありました(DVD化もされています)。
『項羽と劉邦 その愛と興亡』……最初に公開されたのは138分の国際編集版でVHSはこちらのバージョンのみ。後に185分のオリジナル完全版も公開され、DVDはこちらのバージョンのみ(DVDが182分なのは多分再生速度の誤差ではないかと。DVDやBRにはそういうことがあるらしいので)。
『ラストエンペラー』……最初に公開されたのは163分。オリジナル全長版は219分。
『孫文』……本国公開版は170分で、日本公開版はそれを117分に編集したもの。VHS・DVDともに日本公開版のみ。
『アラビアのロレンス』……最初に公開されたのは207分。完全版は227分。
『スパルタカス』……最初に公開されたのは184分。復元版は197分。
『アマデウス』……最初に公開されたのは158分。ディレクターズ・カット版は180分。
『ルードヴィヒ』……最初に公開された際の邦題は『ルー「ドウ」ィヒ 神々の黄昏』で184分。完全版は邦題が『ルー「トヴ」ィヒ』で237分。
『トルーマン』……VHS邦題は『プレジデント・トルーマン』でした。



#10592 
黒駒 2017/07/20 00:02
思いつきに近い話題なのですが

北太平洋の日本を含む関係諸国のサンマの漁獲枠交渉というニュースがありました。中国・台湾でサンマの漁獲量が拡大しつつあり、現状では日本の漁獲枠のほうがはるかに大きいのですが、競合し資源が枯渇する前に多国間で漁獲資源の管理をしようという話ですね。私はサンマとか鮭とかサバとか焼き魚大好きなので、けっこう心配なのですが(笑)。

このニュースを聞き、なんだか「ワシントン海軍軍縮条約」を想起してしまいます。日本の海軍力を抑止するために、じゃあ大国が全員で艦船の数を制限しようと。

北朝鮮の核問題なども、オバマの「核なき世界」という構想はただの理想ではなくて、核保有国がいくらでも他国にミサイルを向けているなかでお前だけ放棄しろというのは相手も聞く耳を持たないだろうと、現実的な方策のようにも思えます。

地球温暖化問題の温室効果ガス排出削減なども似たような構図がありますかね。梅雨明けでいよいよ真夏に突入するこの時期、今より平均気温が1〜2度上昇する未来など戦慄しますし、同盟国の大統領の判断は正気の沙汰とは思えません(笑)。



#10591 
バラージ 2017/07/02 21:30
歴史が呼ぶ深い物語

 なんか今の政局を見てると、山本薩夫監督の映画『金環蝕』を思い出しちゃう今日この頃。

 村上春樹の小説『騎士団長殺し』を読み終わりました。発売時に買ってはいたんですが、他の小説を読んでたんで、そのまま読むのを先延ばしにしていて、今頃になっての読了となったわけです。
 ドイツのオーストリア併合や南京大虐殺など第二次世界大戦前夜の歴史が濃密に絡んでくる物語で、そういう部分も含めて『ねじまき鳥クロニクル』(ノモンハン事件に大きなウェイトがあった)と似た系統の作品でしたね。いやあ、すごい小説でした。個人的には村上の長編小説では『羊をめぐる冒険』『ねじまき鳥クロニクル』と並ぶ傑作です。そういえば『羊をめぐる冒険』も第二次世界大戦前夜の中国が少し絡んだ物語だったなあ。別にそこで気に入ったというわけではないんですが。まあ、ともかく『騎士団長殺し』は素晴らしく面白かったです。

 それからこないだ近所の大型書店に久々に寄ったら『足利義稙 ―戦国に生きた不屈の大将軍―』(山田康弘、戎光祥出版「中世武士選書33」)という本が出てて、思わず買っちゃいました。僕はこの2度将軍になった室町第10代将軍がなぜか結構気に入ってまして、義稙の本なんて2度と出るかわからんし買っちゃえ!と(他には確か今谷明『中世奇人列伝』で1節が義稙だった)。

・新たに見つけた歴史映画
『ホッファ』……全米トラック運転組合委員長を務めたジミー・ホッファを主人公とした米国映画。ジャック・ニコルソン主演、ダニー・デビート監督。DVD化されていません。昔ビデオで観ましたが、まあまあの出来。



#10590 
バラージ 2017/06/20 01:12
僕も

 『真説 楠木正成の生涯』は本屋で見かけて、手に取ってちょこっとだけ読みましたよ。古代や戦国以降に比べて人気のない鎌倉・室町って、こういう少々柔らかめの本が出るのは珍しいから見かけるとつい手に取って見ちゃうんですよね。
 これは、まえがきみたいなところを読んだ時点で「ああ、こりゃやべえやつだな」とわかっちゃいました。僕もやっぱり念のため『梅松論』のエピソードのあたりを探してみたんですが、やはりなしでしたね。建武の新政における後醍醐の失政もこれまたほとんど記述がなく、後醍醐ではなく周りの公家どもが全部悪いという論調で「ああ、これはだめだな」と(笑)。
 よくよく考えると宝島社新書ってところもねえ。最近なぜか別冊宝島はやたらとウヨッキーなムックばっかり出してるんですよね。宝島って昔からこうだったっけ?

・新たに見つけた歴史映画
『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』……18世紀のデンマーク王国を舞台に、精神疾患を持つ国王クリスチャン7世と、その侍医で政治改革を進めるストルーエンセ、そして王妃カロリーネの三角関係を描いたデンマークの歴史映画。
『嘆きの王冠 ホロウ・クラウン』……シェークスピア原作のイギリスのテレビミニシリーズらしいんですが、それの再編集劇場版のようです。「リチャード二世」「ヘンリー四世 Part1」「ヘンリー四世 Part2」「ヘンリー五世」「ヘンリー六世 Part1」「ヘンリー六世 Part2」「リチャード三世」の7作が順次公開中とのこと。



#10589 
アジアのバカ大将 2017/06/17 13:11
横光版封神演義への不満

 横山御大は、物語冒頭でミスっています。
「殷周伝説」は封神演義の冒頭場面を踏襲、
殷の紂王が、人類創造の女神・女禍(本当
は女へん)の像にセクハラして、女神の怒
りをかう話から始まります。妖妃・妲己の
妹分の琵琶の妖怪が、太公望のために正体を
あらわさせられる、つまり人間の姿から
琵琶に変身する場面もあります。
「伊賀の影丸」のようなリアル時代劇
に忍術(マジック+武術)合戦を味付け
にした作品としては、この冒頭で躓いて
います。
 また少年漫画なのでエロはなしですね。
殷の宮中で、女官たちに相撲をとらせる
場面があるのですが、着衣のままなので
まったく色っぽくありません。
 同じ雑誌に連載した諸星大二郎の
「太公望」では、いわゆる酒逝肉林の
一部として、主人公が裸体の女官たち
にもてあそばれる場面がありました。
エロは必然性があればOKだったと思
います、ましてや横山大師の作品です
から、好きなことができたはずです。
 もうひとつの不満は、キャラ造形に
新味がないことです。たとえば、殷の
紂王は気弱な王様、大将軍の聞仲は
文弱そうな老人で新味がありません。
妲己も上品な王妃で、妖艶さはまった
くなしです。
 同じ周王朝創業の物語の香港で90
年代に大ヒットした「天子伝奇」に負
けています。天子伝奇は、物語を周武
王の幼年時代(西岐侯公子の姫発)、
妲己の色香に迷った紂王の苛斂誅求に
諸侯や庶民も苦しんでいました・・から
始めるリアルな舞台設定です。ただし紀
元前1千年くらなのに仏教や少林寺的な寺
院が出てくるなど、時代考証はいいかげん
です。
 キャラ設定は、姫発少年にナタ太子的
な活躍をさせて、封神演義の魅力を保持。
紂王は魁偉な偉丈夫で武芸や法術も絶倫、
女暗殺団数人を瞬く間に返り討ちにした
りします。妲己も実に妖艶です。
 また西岐侯暗殺を狙う紂王(妲己?)の
刺客が、姫発の侍女をSEXでたらしこん
で利用しようとしたりエロの味付けもあり
ます。
 この天子伝奇は、リアルな絵柄で基本的
に武術、戦争漫画、つまり池上遼一が、
ドラゴンボールを描いたみたいな作品です。
「周王朝編」に続き、「秦の始皇帝編」
「漢の高祖編」から「蒙古テムジン編まで
計8作あります。
 なお池上遼一は、香港の漫画界では
神様です。同地の漫画家の修行は、彼
の絵を模写するところから始ります。
これは天子伝奇の出版元で日本漫画
の版権輸入契約担当者(日本人)から
聞きました。



#10588 
徹夜城(平日日中の方が比較的ヒマな管理人) 2017/06/15 23:44
太平記関係小旅行

 旅行というほどのものでもないので「旅行で南北朝!」コーナーには追加せず、ここでさらっと書いておきます。
 今日、横浜市は金沢文庫へ出かけてきました。ここの県立博物館金沢文庫で展示会を先月からやってたからです。特に金沢文庫と深く関わる金沢貞顕の肖像画が展示されると聞いて、最大目標はそれを見ることでした。北条氏金沢流の実時・顕時・貞顕・貞将の四代の肖像画がズラッと並び、なかなか壮観。実時は「北条時宗」でピーターこと池畑慎之介が、貞顕は「太平記」で児玉清が演じております。貞将も「太平記」に登場しましたが、俳優さんは…「南北朝列伝」でお確かめください(汗)。

 ま、とにかく金沢貞顕というと児玉清さんのイメージで僕も固定されちゃってるわけですよ。北条一門の中の穏健派文化人、足利貞氏とは義兄弟(貞顕の妹が貞氏の正室)ということでドラマでは親足利的立場の「いいひと」な位置づけでしたが、高氏の出陣に警戒もしますし、新田義貞が挙兵したら「関東の図面はどこじゃ!」とパニックに。東勝寺での集団自決でも自害ができず息子の貞将に自身の心臓を一突きさせるという、決してかっこよくはないけど感情移入しやすい人を名演してました。あくまでドラマの貞顕、ということですけどね。ぢ十四代執権に就任するけど一か月で辞任に、という細かいシーンもありました。
 貞将の肖像画なんていつ描いたんだ、と思ったらどうやら鎌倉幕府滅亡後、南北朝動乱が一時的におちついた時期に十三回忌ということで作成されたのだそうで。展示物のうち唯一の南北朝時代のものでした。

 展示では貞顕の個人的な書状もいくつか現物が並べられてまして、ああ、これを児玉清が、じゃなくて貞顕本人が書いたんだなぁ、と思うと感慨深いものが。誰かにあてた手紙で「貞将はいま病気療養で湯本(おそらく箱根)に行ってる」なんて書いてて、この頃すでに箱根で温泉治療やってたんだと分かりましたし、貞将の人事について江間時見がゴネて出家したと噂に聞いたが本人に会ってみたらまだ俗体だったよ、なんて書いてる手紙も面白い。政治的な威容なので末尾に「読んだら火中に投じること」なんて書いてあるんですが受け取り手は指示に従わなかったわけです。
 金沢文庫のおかげで貞顕は大量の書状を残しているわけですが、金沢文庫裏手の称名寺の庭園も貞顕時代に作ったものだそうです(今見られるやつがそのままというわけでもないんだろうけど)。寺の境内の隅には貞顕の墓もあります(ただし二つ並んだどちらか、という話で)。


もひとつ太平記がらみ。
宝島社新書から家村和幸著「真説楠木正成の生涯」なんて本が出てたのでついフラッと買ってしまいました。作者名で気づくべきだったなぁ…以前にも正成を兵法の天才とか絶賛する本出してる人だったんですよ。
ぱらぱらっと目を通すと「太平記評判理尽鈔」を完全に「史料」扱いしてその内容を全面的に信用、エピソード紹介しちゃってるのがもうアウト。これ平凡社の東洋文庫に入ってるんで僕も買って読んでみましたけど、これ、明らかに「太平記読み」つまり講談師たちの「タネ本」ってやつなんですよ。戦国末から江戸前期まで「太平記」が大人気で、ことに楠木正成が人気者になったため、「太平記」本文だけでは商売上物足りないので思いっきり話をふくらませた「補注」みたいなもんがついてるんですね。正史「三国志」についた注に似てるとも思えますが、こちらは明らかに史料的価値はなく、「話を面白くするため」だけにくっつけられたものなんです。これを史実として無批判に引用してる時点でダメダメです。

 この作者、元自衛官で自衛隊の教官もやってた人なんだそうですが…こんな程度の頭で「兵法」を説いてたとなると自衛隊の実力が不安になってきちゃいます。全部読み通してはいないんですが少数で大軍を破るのをやたらに強調してるところも日本軍の悪癖を連想させます。
 水木しげるの「総員玉砕せよ!」に「この地形が湊川に似てると思わんか」と部下に言って華々しい玉砕へ勝手に突き進む指揮官が出てきますが、あれをまた再現する人が出て来やしないかと…
 正成の年齢をはっきり書いちゃってるのも変ですね。彼の正確な生年はいまだに不明で、頼山陽が「日本外史」で勝手に設定したものが流布してるようです(頼山陽も何か元ネタがあるかもしれない)。
 あとチェックしてみてやっぱり、と思ったのが、高氏を一度九州へ敗走させた直後に正成が後醍醐に「尊氏と結んで義貞を誅すべし」と意見したという逸話がスルーされてます。足利よりの「梅松論」など信用しねぇ、ということなんでしょうねぇ。さらに言えば「太平記」でも美談とされる尊氏が正成の首を妻子のもとへ届けてやった話も、「理尽鈔」記事に基づいて足利川の策謀みたいに書いてます。教科書から正成が消えたことをもって「こんな教育でりっぱな人間が育つはずがない」なんてことも書いちゃってますし、傾向が知れちゃいます。鎌倉幕府御家人説を受け入れてるあたりは最近の研究動向を少しはかじったみたいですが…最近は御家人ではなく北条氏家臣の御内人説が有力のようですけど(最新の正成小説でもその設定がめにつく)。



#10587 
バラージ 2017/06/13 22:15
訂正

 『封神演義 逆襲の妲己』の原題が変換されてませんでしたね。うっかり簡体字をそのままコピーしてしまいました。正しくは「封神榜之武王伐紂」でした。



#10586 
バラージ 2017/06/13 22:12
僕は実は『封神演義』をよく知らないんですが……

 中国の実写テレビドラマでは、2006年の『封神演義』(原題:封神傍、別原題:封神傍之鳳鳴岐山)、2009年の『封神演義 逆襲の妲己』(原題:封神榜之武王伐&#32419;)が日本でDVD化されてますね。前者は妲己役がやたらと史劇映画&ドラマに出まくってるファン・ビンビンで、日本版DVDパッケージだと彼女が主演みたいに見えるんですが、僕は予告編しか観てないんで本当にそうなのかは不明。『逆襲の妲己』はその続編らしく、主要キャストがほとんど総入れ替えとなり妲己役もルビー・リンに。やはり日本版DVDパッケージだと彼女が主役みたいに見えますが、これまた予告編しか観てないんで本当にそうなのかは不明。まあ、どっちも彼女たち以外はほとんど知らない役者ばっかりなんですが(笑)。

 現在公開中の中国・香港合作映画『封神伝奇 バトル・オブ・ゴッド』(原題:封神傳奇)は僕の地方では公開されてませんが、前も書いた通り3D映画で、予告編を観ると最近の中国映画流行りのCGてんこ盛り超大作(上記ドラマでもCGは使われてますが、やはり映画は桁が違います)。でもこういうのは正直もうお腹いっぱいなんだよなあ……。しかも本場中国ではどうも評判がよくないみたいだし。姜子牙(太公望)がジェット・リー、紂王がレオン・カーフェイ、妲己が上記ドラマでも演じたファン・ビンビンと配役もやたら豪華なんですが、どうもこの3人の出番はさほど多くないらしい(笑)。ジェットは数年前から甲状腺の病気を患って、激しい運動ができないようですからね。

 変わり種では、1975年の香港のアニメ映画『ドラゴン水滸伝』(原題:封神傍)があります。日本でも1980年に公開され、ビデオ化もされましたがDVD化はされていません。香港発のカラー長編アニメ映画とのことですが、楊&#25129;(ようせん)という神様?がなぜかブルース・リーそっくりで悪者どもをカンフーやヌンチャクで倒してしまうという珍作。僕はジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー 香港国際警察』が公開されたころに出た香港映画ムックでその存在を知ったんですが、当時は『封神演義』などほとんどの人が知る由もなく(もちろん僕も知らない)、ブルース・リー関連の珍作として紹介されてました。



#10585 
徹夜城(横山漫画は思えば結構いろいろ読んだ管理人) 2017/06/13 14:15
横山中国史漫画

>アジアのバカ大将さん
いやあ、「戦国獅子伝」の名前が出るとは…僕は横山三国志にハマった直後、中学生の時に友人が「こんなのあるよ」と貸してくれたんですよ。お年頃としてはやや刺激が強かったような(笑)。でもそこは横山光輝、割と上品に書いちゃうんですよね。
 辻真先さんが原作で、連載漫画的面白さに満ちてました。しかし当時借りたのは途中まででして(もしかして完結してなかったのかな?)物語の最後まで読めたのはほんの数年前のことです。

 横山光輝の中国史ものでは「水滸伝」「三国志」「項羽と劉邦」「史記」なんかは王道でありますが、「ウイグル無頼」(厳密には西域ものか)とか「長征」(中国共産党のアレ)とか変わり種もありますね。この二つは作者は意欲的だったんでしょうけど打ち切りになったのが明らかなんだよなぁ…
 遺作となった「殷周伝説」はもともと「封神演義」のコミック化のつもりで始めたんだと思いますが、早い段階で方向転換、ファンタジーではなくかつての「伊賀の影丸」的超能力合戦(バビル二世的ともいう)になり、そう開き直ったことで僕は面白く読みました(「項羽と劉邦」が今一つだったのでよけいに)。
 横山さんの死は急でしたから、次回作の予定として「孫子」なんかが構想されていたみたいですね。

>バラージさん
 なるほど、どちらも完全版が一応出てはいたんですね。




#10584 
アジアのバカ大将 2017/06/12 21:25
封神もの

 以前に封神演義についてのカキコを目にしましたので、
書き込ませていただきます
1.中国のテレビでは古典小説「封神演義」(また封神榜)
  を原作とした時代劇が毎年のように作られます。
  歴史物+神怪物ということで視聴率が取りやすいから
  ではないでしょうか。
  例によって、女優が美女ぞろいです。
2.日本では90年代のジャンプ連載漫画とアニメで
  知られています。中国でも「ナジャ伝奇」など
  ナタ太子を主人公にした連続アニメもあります。
  これは日本でも一部地方で放送されました。
3.横山光輝の遺作「殷周伝説」も封神ものでした。
  実は横山師の最高傑作「戦国獅子伝」風を期待
  したのですが、「獅子伝」のような原作者に
  めぐまれず中途半端だったのが残念です。
  歴史ものでもファンタジーでもなく、まして
  エロはなしでしたから。
4.ジャンプ連載の方は、原作が「超訳」だった
  せいで、さらに自由に解釈して、ほとんど
  原作の風味はなくなっていましたね。まあ、
  あんなのもありでしょう。



#10583 
バラージ 2017/06/11 00:24
追記

 その後さらに調べてみたところ、どうやら『項羽と劉邦 背水の陣』5巻組(全10話)、『三国志 諸葛孔明』パーフェクト・バージョン7巻組(全14話)は、ビデオ&レーザーディスクともに通販のみの販売だったようです。どうりで存在を知らなかったわけだ。ビデオはシネマ・ルネサンス、LDはパイオニアLDCから発売だったようです。



#10582 
水師提督 2017/06/10 09:40
カリギュラ シリーズ

ご無沙汰しております。

じつは、「カリギュラ」はシリーズ化していて、
3作目の「新・カリギュラ」は、クラウディウスの皇妃メッサリナが主人公となっています。
劇中では、女剣闘士メッサリーナとして描かれ、カリギュラの愛人に加わり、やがてクラウディウスの后におさまるが・・・という筋です。
一昔前のトンデモ時代劇のノリですね。

なお、こんなことを書いていますが、パッケージを見ただけで、本編は未見であります。



#10581 
徹夜城(日本の古文書はあまり読めない管理人) 2017/06/10 00:14
一次史料となると

 イギリスの総選挙、前倒しも異例でしたが結果が当初予想と思いっきり食い違った(選挙直前に風向きが変わった)ことでも歴史的だったように思います。このところのイギリスは前回の総選挙、ブレグジット国民投票と「思わぬ展開」になるケースが続いてますな。つい先日、高齢の贋作サミットやりましたけど参加者の一人が早くも辞任か?と思いましたが、とりあえず続投表明のようです。


>黒駒さん
 僕は南北朝研究はあくまで「趣味」であり、本来は門外漢なので一次史料にはほとんど目を通してない、というのが実態ですね。そうした一次史料を読み込んで研究されてる専門家の方たちの本や論文に目を通すことで間接的に触れている、という程度のことで。
 「太平記」はあくまで軍記物語ですから一次史料とは言えないでしょうね。明治以後その史料的価値を全否定するような意見もありましたが、一時史料と突き合わせて補足すれば結構使える史料だ、というところでしょうか。角川文庫「太平記」の解説には「太平記」本文に対応する一次史料がいちいち提示されているので便利です。
 あと、近頃では日記史料もgoogleブックスの検索でかなり本文が読めるんで、それも重宝してます(さすがに全部は見せてくれてませんが)。あと「群書類従」収録史料は国会図書館のデジタルライブラリーであたることができますし近頃はアマチュアでもその気になればいろいろ調べられるいい時代になったもんだと思うばかりで。

 僕が専門分野で当たっていた一次史料は全部中国の漢文資料でしたからねぇ…地方志もずいぶんあたりましたがあれは「一次」とは言い難いかな。僕が読み込んだ資料は基本的に刊行物(明清代の)ばっかりでしたし。ああいう史料、デジタル化は進められているのかどうか、確かめたことはないけどやってくれてると便利になりますね。


>バラージさん
 「三国志・諸葛孔明」は最近中国の動画サイトでノーカット版を見てます。日本のビデオはかなり編集してたみたいですね。その勢いで「項羽と劉邦・背水の陣」(淮陰侯韓信)もどっかに転がってないかと探してるんですが、中国でもソフト化していないのか、いまだに見つかりません。
 日本発売のビデオも実はまだ全部見てないんですよ。三巻構成(天の巻・地の巻・人の巻)だったのですが最寄りのツタヤには「天」「地」の二巻しかなかったんですよ。だからまだ結末は見ていないのでして…「大漢風」でその辺は見られたんですけど。
 そんなわけでストーリーも同じままにしてるんです。一応韓信主役の話ですから、有名な「またくぐり」のくだりが時間をかけて強調してたのが記憶にある程度でして…。「項羽と劉邦・愛と興亡」と「大漢風」はホントにほとんどおんなじ(フィクション部分含む)ストーリーと言っていいです。

 「カリギュラ」は以前から知ってはいるんですけどねぇ(汗)。そのむかし「週刊朝日百科・世界の歴史」の連載コラム「映画の中の世界史」(川本三郎)ってのが大好きで歴史映像名画座につながっているんですが、その「映画の中の世界史」で紹介していたんじゃなかったかな。正直なところ紹介以前に見るのもいささかキツそうな内容のようで。
 日本でも「エロ将軍と二十一人の愛妾」なんて家斉ネタ映画がありますな。



#10580 
バラージ 2017/06/08 23:41
『項羽と劉邦 背水の陣』と『三国志 諸葛孔明』

 歴史映像名画座の中国前近代史(1)にある『項羽と劉邦 背水の陣』と『三国志 諸葛孔明』ですが、ヤフオクに次のようなビデオとLDの出品情報がありました(オークション自体はすでに終了)。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u134866477
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f214689997
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b259353370
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/r157773953
 それによると『項羽と劉邦 背水の陣』は全5巻、『三国志 諸葛孔明』は「パーフェクト・バージョン」というもので全7巻であり、一般的にレンタル店に置かれていた全3巻バージョンのビデオとは異なる完全版のようです。僕はその存在を初めて知りました。
 ところで、名画座の『背水の陣』のストーリーですが、『項羽と劉邦 その愛と興亡』『大漢風』と全く同じものですね。『その愛と興亡』と『大漢風』は同じでも構わないと思うのですが、『背水の陣』は韓信が主人公ですしあのストーリーではちょっと違うのでは? 僕は未見なので確信を持っては言えませんが……。

・新たに見つけた歴史映画
『カリギュラ』……カリギュラを主人公としたポルノ映画。まあ紹介するのはちょっとあれかもしれませんが……。
『恋のページェント』……激安史劇映画DVD10枚組の中にあった、エカテリーナ二世の半生を描いた米国映画。マレーネ・ディートリヒ主演、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督。
『提督の艦隊』……英蘭戦争でオランダ艦隊を率いたミヒール・デ・ロイテルを主人公とした、つい最近のオランダ映画。



#10579 
黒駒 2017/06/08 00:07
南北朝の一次史料

前々から疑問に思っていたのですが、「太平記」は二次史料ですよね。管理人様はやはり「南北朝遺文」のような南北朝時代史の一次史料集にも目を通されているのでしょうか?あるいは関連自治体史の中世史料編ですとか。



#10578 
徹夜城(常日頃南北朝関連本情報をチェックしている管理人) 2017/06/07 23:16
「観応の擾乱」が出るそうで。

 昨日から情報が流れましたが、7月に中公新書で「観応の擾乱」という本が出るそうです。著者はさきごろ「応仁の乱」が歴史本異例のヒットとなった亀田俊和さんということでも注目されてます。
 「応仁の乱」は一応「戦国時代の入り口」ということで知名度や関心もある程度あるんですが、「観応の擾乱」にいたっては南北朝マニアしか知らんのではないか…と。それでも「応仁の乱」だってヒットしたのが驚きでしたから、その「次回作」ということで注目を集めてくれると嬉しいところです。
 「観応の擾乱」というタイトルながら、たぶん扱われると思うのですけど、「正平の一統」とその崩壊、南朝軍の一字京都占領なんて一般にはほとんど知られてない劇的展開ですよね。


>サラマンサさん
 いやぁ、何事にも歴史ありといいますか…面白く拝読しました。そんな人の存在自体も知りませんでしたが、まだまだいろいろ面白くて知らない話というのはあるもんだなあと。
 翻訳の世界ってのも、原作どおりかというとそうでもなくって…って話は「怪盗ルパンの館」でもずいぶん書いてます。昔はそんなのアリなのかと思うような「翻訳」ばなしもありますが、話には忠実でも訳文によってまるっきり印象が変わる、という問題は今でもありますね。



#10577 
サラマンサ 2017/06/05 21:27
「原作レイプ」の用例

 「原作レイプ」という言葉について一筆。

「原作レイプ」そのままではありませんが、同じ表現は割と早くから使用されていました。私の知る限りでは戦前(時期が不分明ですが多分昭和になっていたとおもいます)に夏目漱石の弟子である小宮豊隆の用例が古いものです。
 外国文学の翻訳を語る文章の中で曰く、ありきたりな日本語は西洋語の表現を翻訳するには貧弱に過ぎる。西洋語の表現力に迫ろうとする努力なしにする翻訳は「原作」をVergewaltigenするということだ云々。
 Vergewaltigenはドイツ語で暴力をふるうとか強姦するとかいう意味で、小宮豊隆は現代の原作レイプと同じ言い方をして当時の翻訳を批判しています。小宮はドイツ文学者で貴族趣味でエリート風ですからわざわドイツ語で言っていますが、探せば同時代に同じような表現が有るかもしれません。案外外国のほうに典拠があるのかも。

 小宮豊隆は色々文章を書いていて一遍全部読んでみたいのですが、内容が広く浅くといった風だからか夏目漱石関係以外は殆ど復刊されません。まれにテーマ別評論集みたいなものに収録されることはありますが、全体からしたら微々たるものです。豊隆自身は漱石一派の全集や著作集の編集を多くなし、閲読の便をもたらしましたが、本人の仕事はさっぱり分からんようになっています。戦前の文化人の評論として結構おもしろそうなんですけどね。今年漱石生誕150年だとかでいくらか復刊があるかと思いましたが音沙汰もなく、当面難しいかもしれません。



#10576 
徹夜城(ここ一か月ばかりネット上で動かなかった管理人) 2017/06/05 00:16
ちょいとご無沙汰してました。

 特に理由もないんですが(五月中はやや多忙ではありましたが)こちらにも書き込まず、更新作業も怠っておりました。今日になってようやく「史点」は書き上げてアップしましたが、書くのが遅れてズルズルやってた、というのが実態でして。
 では、以下に昨今あった歴史関連ばなしなぞ。

>杉本苑子さん死去。
 歴史作家の杉本苑子さんが91歳で亡くなられてました。この方の作品で読んだのは「風の群像・小説足利尊氏」と「華の碑文・世阿弥元清」の二作しかありません。もちろんどちらも南北朝ものだから読んだんですけど。
 杉本さんは吉川英治の直弟子で、「私本太平記」でも資料集めを手伝っています。そもそも杉本さんは以前に短い作品で尊氏を主役にしていて、「私本」を書くことに決めた吉川英治は「君がやってるのに悪いね」というようなことを言ったようです。そもそも「私本」に決まるまでは西遊記という案もあり、吉川英治に相談された杉本さんは「西遊記の世界でお遊びになっては」と勧めたと書いていました。
 「風の群像」は現実とは思ったけど尊氏主役のはずなのにタイトルどおり群像劇で、今一つ話の焦点がまとまってない印象を持ってます。「華の碑文」はいろいろな意味で強烈な印象がありましたが(特に稚児愛シーン描写がたっぷりで)、世阿弥の弟の視点から描いたのが成功だったかと。
 ところでこの「華の碑文」では観阿弥が楠木正成の甥であるという、あの説を採用しています。正成の孫の世代の楠木一族も登場して世阿弥たちと交流したり、観阿弥と今川範国が同日に死去している事実を使って話をさらに盛り上げるのですが、今ではこの説、否定的に扱われることが多いようです。杉本さん、何かでこの史料は本物だと力説していた覚えがあるのですが。

>週刊モーニング
「バンデッド」をチェックするために、意外に豊富な他の歴史もの連載も目を通してます。そのうちの一つで結構楽しんでいた大和田秀樹さんの「疾風の勇人」が唐突に終わってがっくり。連載当初からしばらく後まで話題になっていたように思うんですが、人気が出なかったのか?一部に岸信介がかなりの悪役ぶりで登場(そりゃまぁ昭和の妖怪ですから)したことで政権から圧力?説までささやかれたようですが、さすがにそれはないだろうと。編集部は当初からその辺で終わりと決めていた、と取材に答えてましたが、これはこれでちと納得できないんですよね。
 最終回は吉田茂内閣の退陣、鳩山一郎内閣の成立で、主役の池田勇人が本当の意味で主役を張るのはまだまだこれから、という段階。「小説吉田学校」映画版もこの辺で終わってるのでありますが、あれはあくまで「吉田学校」の話ですからね。
 最終回では麻生太郎やカストロ、ゲバラ、ケネディといった大物ゲストが特別出演。後ろの三人については池田と後に関わり合う…ということで強引に出した感もありました。そして「俺たちの戦いはこれからだ!」といわんばかりのジャンプ打ち切り作品風な終わり方で。さて、この続きが書かれることがあるのだろうか?

 なお、「バンデッド」の方は一気に話が進んで元弘の乱に。笠置山攻防戦はかなりの割愛で正成を中心に赤坂城の戦いが描かれ、前回で落城してました。これまでじっくり話を進めていたのが急にピッチがあがったので、これは読者がついてきてないのかな?との危惧も覚えます。
 あと、どうしても気になるのが主人公の「石」。立ち位置がまんま大河「太平記」の柳葉敏郎状態になって来てるんですが…


>かなり出遅れたレス
大河「武蔵」の話ですが、僕も「歴史映像名画座」に書いてたと思いますけど「バガボンド」便乗企画だったのは明らかでしょう。「バガボンド」自体、数ある吉川武蔵のアレンジの一つであるわけですが。
大河「武蔵」は総集編を眺めた程度なんですが、オリジナル展開となった巌流島以後もかなり話に無理がありましてねぇ…第一回で「七人の侍」をパクったと黒澤プロから訴訟起こされたりしましたし。裁判自体はNHK側の勝ち(そもそも「七人の侍」も武芸者本からアイデアを拝借してる)になったのですが、なかなかソフト化されない一因にはなってるように思います。

 そうそう、「原作レイプ」という言葉の話ですが、僕はこの言葉、アニメ関係ではなく黒澤明監督の「八月のラプソディー」について初めて見た記憶があります。当然それ以前からあった言葉なんでしょう。特にアニメファンが使う言い回しというわけでもなさそうです。
 原作の映像化には常につきまとう問題ではありますね。吉川英治「武蔵」の映像化最高傑作とされることが多い内田吐夢監督・中村錦之助主演版五部作だって、決して忠実な映像化ではありません。そもそもラストが、原作を全否定するような改変になってます。



#10575 
バラージ 2017/06/02 23:44
続・観てない大河ドラマの話

 『おんな城主直虎』もやっぱりちょっと前から観なくなってきちゃいました。大河はいつも途中で飽きてきちゃうんだよな。
 来年の『西郷(せご)どん』の追加キャストも発表されましたね。『篤姫』で小松帯刀を演じ話題になった瑛太が今度は大久保利通ってことで、やっぱり30年も前の『翔ぶが如く』より、10年前で21世紀最高視聴率の『篤姫』を意識しているのか(笑)。その篤姫役が北川景子さんで西郷とのロマンス描写もあるとか。


 すっかり忘れてましたが(笑)、観てない大河ドラマの話の続き。今回は安定期の70〜80年。

『樅の木は残った』……平均視聴率21.0%。前にも書きましたが、伊達騒動という題材よりも山本周五郎の原作で選ばれたんでしょうね。原作は『青葉城の鬼』のタイトルでそれ以前に映画化もされてるらしく、ドラマ化としても大河が2度目。
『春の坂道』……平均視聴率21.7%。前に書いたとおり、原作は書き下ろしで後に『柳生宗矩』と改題。
『新・平家物語』……平均視聴率21.4%。総集編を視聴。合戦シーンもすべて室内セットで、演劇的表現を狙ったらしいんだけど、海戦シーンなんかコントにしか見えないんだよなあ。あと、いくら仲代達矢が名優とはいえ10代を演じるのは無理があるような……。
『国盗り物語』……平均視聴率22.4%。人気の信長ですが視聴率は大して高くないですね。司馬原作は6回も大河化されますが、実はいずれも視聴率があまり高くありません。
『勝海舟』……平均視聴率24.2%。主役の交代や脚本家の降板など舞台裏ではいろいろとごたごたがあったようなんですが、視聴率は意外と悪くありません。00年代の『篤姫』に抜かれるまで幕末大河では最高の視聴率でした。
『元禄太平記』……平均視聴率24.7%。2度目の忠臣蔵は柳沢吉保が主人公という変わり種で、原作は前も書いたとおり書下ろし。『赤穂浪士』ほどの高視聴率とはなりませんでした。以後も2度忠臣蔵は大河化されますが、やはりいずれも視聴率はさほど高くありません。
『風と雲と虹と』……平均視聴率24.0%。加藤清正が没になったんで急きょ選ばれた題材ですが、逆を言うとそういうハプニングでもなければ平将門の大河化はなかったと考えると、源平以前の題材はやっぱり難しいんだなあと痛感。
『花神』……平均視聴率19.0%。70年代で唯一平均20%を切ってしまった不人気大河。理由はよくわかりませんが、幕末の複雑な政争がわかりにくかった、誰が主人公なんだかわかりにくかった、そもそも主人公が大村益次郎ってのが地味、などでしょうか。
『黄金の日日』……平均視聴率25.9%。これはNHKと原作者と脚本家が協議して大まかなストーリーだけ決め、小説と脚本をそれぞれ別に執筆したとのこと。日本企業の東南アジア進出を美化する作品との批判もあります。
『草燃える』……平均視聴率26.3%。総集編を視聴。原作は永井路子の複数の作品の組み合わせで、どっちかというと北条政子のほうが主人公。現代語を多用し始めた作品で、コミカルな作風も随所に取り入れられたそうなんですが、あんまりそういう風には感じなかったなあ。永井の歴史解釈や新説はちょっとしっくりこないんですよね。特に北条義時と三浦義村を高く評価しすぎ。
『獅子の時代』……平均視聴率21.0%。『三姉妹』以来の架空人物主人公で、初の原作なしオリジナル作品。

>初期大河の原作
『赤穂浪士』……大佛次郎の原作は架空の人物である浪人の堀田隼人が主人公で、彼の目から見た赤穂事件を描いてるんだそうですが、映像化される際には大石内蔵助が主人公にされてしまうことが多く、大河も例にもれず普通に大石が主人公の忠臣蔵です(笑)。
『太閤記』……吉川英治の原作は前述のとおり小牧長久手の戦いあたりまでしか描かれていないそうです。吉川が秀吉の晩年の行動を嫌ったためだそうですが、司馬遼太郎の『新史太閤記』も同じ理由で小牧長久手あたりまでらしい(笑)。大河ではそれ以降もオリジナルで描いてるとのこと。
『三姉妹』……当初は大佛次郎に原作の書き下ろしを依頼したらしいんですが断られ、代わりにすでにある複数の自作小説を原作とすることを提案されたとのこと。

>武蔵とバガボンド
 『武蔵』は脚本家というよりも企画段階から『バガボンド』を多分意識してたでしょうね。宮本武蔵をやろうとすれば吉川英治を原作にせざるを得ないし(そもそも一般的な武蔵のイメージが吉川の小説で作り出されたもの)、現代的に改変することもそれ自体は自然な選択だろうとは思いますが。ま、『バガボンド』の人気も武蔵とかましてや吉川英治ではなく、『スラムダンク』の作者の次の連載だったからってのが大きいでしょうけど。ちなみに『篤姫』なんかもその5年前に放送された菅野美穂主演のフジテレビ版『大奥』を明らかに意識していたでしょう。



#10574 
ろんた 2017/05/27 10:54
「着ながし奉行」

BSフジ、夕方(月−金 17:00-19:00)で時代劇が連続放送

05/29 「着ながし奉行」
05/30 「樅の木は残った」(変更の場合あり)
05/31 「十三人の刺客」(変更の場合あり)
06/01 「地獄の掟」
06/02 「宮之原警部・こころの事件簿1京都高瀬川殺人事件」

と思ったら、最後のは二時間サスペンスでした(汗)。ちなみに「1」とうたってますが、「2」は無い模様。全部主演が仲代達矢なので、そっちの方の特集でしょうか。いずれもBSフジで何度か放送されたもので、時代劇の方は1980年代前半にフジが持っていた二時間時代劇枠用に制作されたもの。「樅の木……」「十三人の刺客」はリメイク。「地獄の掟」は江戸湾の島を根城に抜け荷を行う悪党たちのピカレスクロマンで、原作は山本周五郎。

個人的に注目なのは、見逃していた「着ながし奉行」。御城下の悪所「濠外」と対決する、昼行灯的町奉行・望月小平太の活躍を描く山本周五郎『町奉行日記』を、岡本喜八が監督と共同脚本。どこかで聞いた風な話なのは、市川昆「どら平太」と同じ原作だからです(こちらの方が早い)。しかもちょい役で無名時代の役所広司(市川昆版の望月小平太)も出演。もちろん、岡本組の怪優たちも出演しております。





#10573 
バラージ 2017/05/21 00:54
伝説の映画が映す台湾現代史の闇

 台湾映画『[牛古]嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』([牛古]は牛偏に古)4Kレストアデジタルリマスター版を観ました。
 台湾ニューシネマの1人だった故エドワード・ヤン監督の1991年の映画で、日本では1992年に公開されましたが、僕の住んでた地方では公開されずビデオもレンタル店になかったんで、確か数年後にNHK-BSで放送されたときに観た記憶があります。その後、権利関係の複雑化により再上映やソフト化がずっとされなかったんですが、諸問題がクリアされ236分のデジタルリマスター版が映画館で再公開される運びとなったようです。

 1961年に実際に起きた16歳の少年による15歳のガールフレンド殺人事件をモデルとしており、当時同世代で同じ学校にいた時期があり、事件に大きな衝撃を受けたというエドワード・ヤン監督による青春群像劇。
 東西冷戦下の60年代初頭、国共内戦に敗れ逃亡してきた国民党政府による長期戒厳令下の台湾の首都台北の一角で吹き荒れる不良少年たちの抗争劇。そんな閉塞した社会状況の中で、少年はなぜ恋愛関係にあった少女を殺してしまったのか? 冷戦期戒厳令下の国民党政権による白色テロという出口の見えない息苦しさの中にいた当時の台湾の空気を見事に映し取り、光と闇の中に描き上げた傑作と言っていいでしょう。
 映画は実際にあった事件をモデルとしてはいるものの、ほぼフィクションで実話映画ではないんですが、背景となっている60年代台湾における戒厳令下の閉塞した空気感は非常にリアルに表現されてたように思います。エドワード・ヤンはこの作品以外はほぼすべて現在を舞台とした映画を撮ってるんですが、それだけに自らの青春時代に起こったこの事件は特別なものがあったのだと思われます。

 個人的に第二次大戦後の現代史についての映画は“偉い人”を描いた政治史的映画よりも、一般庶民を描いた社会史的映画のほうが興味深く感じます。同じ台湾ニューシネマのもう一方の巨匠で、エドワード・ヤンの盟友でもあったホウ・シャオシェンの現代史三部作『戯夢人生』『悲情城市』『好男好女』はこの映画より前の時代(日本植民地時代、日本敗戦〜国民党逃亡、50年代の白色テロ)を描いており、また一昨年に観た台湾映画『GF*BF』はこの映画より後の時代(戒厳令下80年代〜2012年)を描いています。いずれも必ずしも歴史が主題ではない映画ですが、当時の風俗や社会状況がわかって興味深かったですね。



#10572 
アジアのバカ大将 2017/05/20 13:53
Musashiはテレビ版バガボンドを狙ったのでは?

憶測ですが、Musashiはテレビ版バガボンドをねらったのでは
ありませんか?Musashi放映は2003年で、漫画バガボンド(井上雄彦作)
連載開始の5年後でした。どちらも吉川英治原作です。脚本家は当然、
バガボンドの人気(単行本各巻100万部発行)を知っていましたから、
それに便乗し、視聴者を獲得しようとしたのではないでしょうか。
そのため、バガボンドに近い現代的な演出になったのでは?
実は、Musashiを全然みていないのでまったくの憶測で、すいません。



#10571 
バラージ 2017/05/16 00:05
原作からの改変

 大河とか歴史とかだけではなく、一般的に小説やマンガの映画化・ドラマ化・アニメ化などにおける原作からの改変については、原作ファンから文句が出ることはよくあることで、僕もこれはちょっとなあと思うことが時々あるんですが、その一方で原作を読んでないとき(というか正直原作を読んでないときのほうが圧倒的に多い)は映像作品そのものの出来のみが問題で、原作からの改変については「読んでないから別にそんなの知らねえし」となってしまうこともまた事実なんですよね。
 村上春樹の短編を市川準が映画化した『トニー滝谷』なんかは、最初に観たときは原作からの改変部分が気に入らなかったんですが、数年後にもう1度観たらそれはそれとして単独の映画作品としてはすごく良い作品だと感じた、なんてこともあります。

 『武蔵』はちらっとしか観なかったし原作も未読なんですが、有名な作品なんで大まかなあらすじは知っています(たぶん漫画とかの二次作品で読んだりしたんじゃないかと)。何しろあまりに何度も二次作品化された作品なんで、改変の出来や方向性はともかく、改変自体は仕方がないと思うんです。そもそも原作は太平洋戦争中の小説で、さすがに古くなってきて現代人の感覚とは合わなくなってきている部分があると思うんですよね。大衆小説は純文学に比べて時間の経過とともにどうしても古びてきてしまいますから。
 『功名が辻』もちらっとしか観てないし原作も未読。なのであまり多くは言えないんですが、自由奔放に娯楽性を追求したオリジナル脚本の『利家とまつ』に比べて、どうにも物語が上手く弾んでいかない感がありました。原作に縛られて自由にお話を転がしていけない不自由さがあったんじゃないかなあという気がします。



#10570 
つね 2017/05/14 21:15
大河ドラマの原作レイプ

(誤操作でタイトルだけで書き込みしてしまいました。)

まず思いつくのが、吉川英治原作の「武蔵MUSASHI」かな。
いろいろとストーリーや登場人物に改変がされて、特に巌流島以降も付け足されて、なおかつ悪評でしたから。時代劇に限らず、実写だと芸能事務所や役者の都合優先だったりするので、アニメとは別の事情がありそうです。大河ドラマはそういう影響からは最も遠いとは思うのですが。





#10569 
つね 2017/05/14 21:11
大河ドラマの原作レイプ





#10568 
アジアのバカ大将 2017/05/14 12:29
原作レイプ

アニメファン(おたく?)用語です。原作の設定や、主要登場人物のキャラが大幅に変えられていることをいいます。最近では、「サイボーグ009 Reサイボーグ」がそれです。ヒロインが可憐な美少女から、セクシーな容姿の押しの強い性格になるなど、その他のキャラも変更が多々ありました。
 実際は、漫画のアニメ化の場合、原作者の合意は得られているので「和姦」ですが、第三者の原作をファンには耐え難いということです。歴史小説のドラマ化でも、こういう例ってありましたっけ?



#10567 
黒駒 2017/05/12 19:17
司馬原作など

書き忘れたのですが、比較的近年の原作大河として司馬原作の「功名が辻」がありました。私は中学生くらいのときに司馬をよく読んで、それからずっと離れていたのでブランクがあり、大河「功名が辻」を見た時は妙に懐かしいというか、古臭い戦国時代観なのでしょうけど、昔読んだなと思い出したものです。

司馬原作は「坂の上の雲」でも渡辺謙が原作を朗読したり、確か映画化された「御法度」も司馬の台詞をビートたけしがそのまんま声に出して、妙な違和感があった記憶があります。これはご遺族や著作権管理団体の縛りでしょうかね。



#10566 
バラージ 2017/05/10 22:36
オリジナル脚本

>脚本家にとっては、原作ありのほうがありがたいだろうなあ、と。

 脚本家にもよると思います。80年代に大河史上最大のヒットメーカーになった橋田壽賀子は原作を使わない自らのオリジナルを要求したそうですし、『花の乱』の市川森一も同様にオリジナルを要求したという話です。ジェームス三木も最初の『独眼竜政宗』こそ原作付きでしたが、後の2作はオリジナル。むしろ原作を気にせずに自由に作れるほうがやりやすいという可能性もありますし、ま、ケースバイケースかと。



#10565 
つね 2017/05/10 18:03
大河の原作

レスありがとうございます。

原作ありといっても、確かにメディアミックス的なものもあり一概に言えませんね。
原作ありの場合、その時点で評価済みなので、「ヒロインがやたら史実に口を挟んでくる」とか「当時の足では不可能なくらいワープする」とか、「ファンタジー」呼ばわりされるような要素がなくなるのではと思ってました。
あと、脚本家にとっては、原作ありのほうがありがたいだろうなあ、と。メディアミックスで、原作の出来が遅いと逆効果ですが。



#10564 
バラージ 2017/05/08 23:06
大河と原作とオリジナル

 連休関係ない仕事なんで後でと思ってるうちに、皆さんに先にあらかた書かれてしまいました(笑)。
 僕も90年代以降はオリジナル脚本の他に、企画が発表されてからの原作書下ろしというパターンが多かった印象です。『秀吉』や『北条時宗』もそうですし、80年代以前でも『峠の群像』『黄金の日日』『元禄太平記』『春の坂道』なんかがそのパターンのようです。来年の『西郷(せご)どん』もそのパターンですね。『毛利元就』や『義経』なんかは原作の主人公が別人のようで(それぞれ『山霧 毛利元就の妻』『宮尾本 平家物語』が原作)、そうまでして原作を使わんでも……とも思いましたね。
 企画を決める経緯もさまざまと思われ、『樅の木は残った』なんかは題材よりも原作で選ばれたんだろうと思います(原作無関係に伊達騒動をやろうという話になるとは思えない)。題材にしても忠臣蔵ものなんかは歴史的な題材というよりも人気の時代劇題材という理由で選ばれてるでしょうし。
 また、有名な歴史小説でも古くなってきて時代に合わないという場合もあるんではないかと。

>歴史映像名画座
 これは別に文句とかそういうのではないんですが、『龍馬伝』は放送前に確か4人のヒロインをリレー的に登場させる(平井加尾(広末涼子)→千葉佐那(貫地谷しほり)→楢崎龍(真木よう子)→元(蒼井優))という謳い文句だった記憶があり、DVD裏のあらすじを読んでもそういう展開になってるんで、キャストで二番手に真木よう子さん(おりょう)が出てくることにちょっと違和感があります。当初1番話題だったのは創作作品初登場で、地元高知出身の広末さんが演じる平井加尾だった記憶がありますし、NHKの大河ドラマ50作公式サイトでも載ってるのは上記4人のうち広末さんだけです。



#10563 
徹夜城(GWはやっぱり特に何もしなかった管理人) 2017/05/07 22:43
大河な話

 またNHK大河ドラマの話題が続いてますので、僕も参加。

>除名嘆願
 よくやっちゃう誤変換ですが、実際に大河ドラマ史上で「早く殺せ」との視聴者の要望が殺到したという伝説があるのが、「新平家物語」における小沢栄太郎演じる信西だったそうで。小沢栄太郎といえば数々の悪役で名を馳せ、特に山本薩夫監督の映画なんかではもう、憎らしいったらありゃしない名演を見せてます。こういう人には「除名嘆願」など勲章のうちでしょう。
 余談ながら、先日更新した「南北朝列伝」に追加した人物の中に「澄俊」という僧侶がいます。宗良親王の執事をしていて元弘の乱序盤でとっつかまるだけの人なんですが、調べてたら信西の本物の子孫だったんでビックリ。そういう代々血脈で継いでいく僧位というのは浄土真宗以外でもあったんだなぁ、と。

>原作あるなし
 原作つき、といっても結局はTVドラマですのでまず原作の忠実な映像化とはいかない例が昔から多いはず。企画が先にあって「原作」を後付け(拍付け)にしたようなケースもみられます。「風と雲と虹と」なんかは当初の企画が土壇場で平将門に変更になり、海音寺潮五郎が「平将門」を書いていたからそれと合わせて新たに原作を書いてもらっていたはず。「義経」の宮尾登美子さんもこのケースに近かった気がします。
 「琉球の風」「炎立つ」はドラマ企画と原作が同時スタートで「原作」というよりメディアミックスな感じでした。これも「炎立つ」では「原作」の執筆が遅れたためにトラブルになってましたよね。
 有名原作の大河ドラマでも実質オリジナルに近い、ということも多く、「山河燃ゆ」は前半部分がほとんどオリジナル。「翔ぶが如く」も原作が明治以後だから前半を他の司馬作品から寄せ集め(これは「国盗り物語」「花神」でも部分的にやってました)。
 当サイトとはかかわりの深い「太平記」も吉川英治を原作としつつもほとんどオリジナル脚本に近かったです。ただ原作の「いいとこ」をそのまんま踏襲してるところもあり、特に「鎌倉炎上」の回、北条高時自害の名場面、あるいは楠木正成自害の場面なんかはかなり吉川創作を忠実に映像化してました。これは力のある原作があったればこそでしょう。

 「風林火山」は原作未読、大河のはあまり見てなかった…なので比較論がしにくいんですが、そもそも原作は長編とは言え一冊ぶん。過去に映画やスペシャル時代劇で何度も映像化されたように2〜3時間にまとまる内容なんですよね。それを一年間やっちゃう、というのはどうなのよ、と当時は思ってましたが、歴史ドラマ好みの間では結構好評だったみたいですよね。
 2010年代に入ってからの大河が原作なしのオリジナルばかりなのは、まぁ一つには人気ジャンルで大河化できそうな原作が使い切られた感もあること(だいたい素材自体使いまわしが目立って来てます)、女性主人公に原作もないほどマイナーな人が続いてること、などなどが考えられますが、そのうち新たなジャンルに挑む時に「原作」を求めるようになるかもな、と思ってます。

 南北朝なら北方健三さんの「武王の門」なんかいいんじゃないかなぁ、と思うんですがね(地域的に熊本応援企画にもなるんだけど)。
 あとは飛鳥時代とか、古代史大河が実現したときは黒岩重吾なんか使えると思うんですが、単発ドラマでやったのは全部オリジナルでしたねぇ。



#10562 
黒駒 2017/05/05 23:02
原作もの大河

私は宮尾さんなどは苦手な作家ですので「義経」や「篤姫」はどうなのか判断できないのですが、「風林火山」はけっこう原作の要素を入れてましたね。諏訪滅亡の際に由布姫が自害を拒むあたりはいかにも最近の現代的アレンジなようでありますが、井上靖の原作通りであると知って驚きました。

初期の大河ドラマは司馬にしても吉川英治にしても、周五郎さんにしてもまだ同時代の作家でしたからね。最近の原作もの離れは、最近の歴史小説がいまいち映像の原作になりにくいということなのかなぁとも思います。最近の歴史小説動向を良く知らないので、別に水準が低いという意味ではありませんが。

あと、あまり史実に忠実であるべき風潮になると、どうしても学術的な歴史の専門家ではない歴史小説は不利になるかもしれませんね。



#10561 
つね 2017/05/05 02:14
原作の有無

バラージさんの書き込みに便乗しますが、原作の有無とドラマの出来とは関係があるのでしょうか。
wikiの歴代大河ドラマの一覧ですが、2010年以降、やけに原作なしが目立っています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%B4%E4%BB%A3%E5%A4%A7%E6%B2%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

感覚で言うと、原作ありのメリットは
・筋が確立している
・原作ファンがつきやすい
デメリットは
・原作ファンからの反発の可能性が高くなる

というくらいでしょうか。
最近の原作なしの多さの原因はなんでしょうね。源平、戦国、幕末と時代が偏っているにしても枯渇したわけではないと思いますが。



#10560 
バラージ 2017/05/04 20:55
誤字

 「助命」嘆願、でしたね。
 すいません。



#10559 
バラージ 2017/05/02 23:24
観てない大河ドラマの話

 以前自分が観た歴代大河ドラマについて書いたことがありますが、『花の生涯』についてもちょっと書いたことだし、他の観てない大河ドラマについても一言ずつ書いてみようかなと。まずは黎明期編。

『花の生涯』……平均視聴率20,2%。実はあまり高くありません。当時は平均20%超えれば合格点だったそうなんで、ぎりぎり及第点といったところ。
『赤穂浪士』……平均視聴率31,9%、最高視聴率は大河最高の53,0%。これは今後も破られることはないでしょう。このメガヒットのおかげでもう1年やろうということになったわけですが、前年と同程度だったら今まで続く大河ドラマの歴史はなかったでしょうねえ。
『太閤記』……時代劇の延長で良い江戸や幕末と違って戦国は金がかかるってことでギャラの安い若手を集めたとか。このドラマですごいのは高橋幸治演じる信長の除名嘆願が殺到し、それで本能寺が2カ月も遅れたというエピソードですね。そのためかWikiによると淀殿と秀頼は最終回にようやく登場したとか(もっとも原作自体、小牧長久手までしか書かれてないそうですが)。全くの推測ですが高橋信長の除名嘆願をしたのはおそらくほとんどが女性だったのでは。そう考えると最初期からすでに大河は女性支持に大きく影響されていたと言えるでしょう。平均視聴率31,2%とこれまた高視聴率で大河を毎年やることに。
『源義経』……これまた尾上菊之助演じる義経の除名嘆願が殺到。結局義経は自害した高館に入るところで終わり、死のシーンを直接的に描くことは避けられたとか。平均視聴率23,5%。
『三姉妹』……大河初の架空主人公で複数主人公。しかもなぜか三姉妹以外の青江金五郎という人物が事実上の主人公的狂言回しらしく、そういうわかりにくさがあったのか平均視聴率19,1%と合格点を切ってしまいます。なぜか大河ではこういう誰が主人公なんだかわからんドラマが時々作られるようですが、当然ながらいずれも低視聴率です(『花神』『八重の桜』など)。
『竜馬がゆく』……原作は有名ですが、平均視聴率14,5%と大惨敗。90年代に『花の乱』に破られるまで最低記録でした。『大河ドラマの50年』(鈴木嘉一、中央公論新社)を読むとどうもドラマの内容に問題があったようです。2年連続の低視聴率に大河打ち切り論も発生したとか。また幕末は視聴率が取れないというジンクスも生まれることに。
『天と地と』……人気の戦国に初のカラーで起死回生を狙い、見事に平均視聴率25,0%と打ち切りを防ぎました。

>徳川光圀の試し斬り
 光圀がした辻斬りというか試し斬りについては、以前紹介した『本当はブラックな江戸時代』(永井義男、辰巳出版)に載ってました。元ネタは『玄桐筆記』という光圀を顕彰するために編まれた書物に載っている話だそうです。それによると、光圀は当初は乗り気じゃなかったが、「ビビったんですか?」という連れの挑発に乗って試し斬りをしてしまい、結局後悔してその連れとは絶交した、という話。ただ、その後水戸藩と町奉行所がもめたって話はありませんでしたね。



#10558 
徹夜城(GWは特に予定もない管理人) 2017/05/02 13:31
南北朝列伝更新ほか

 つい先ほど、およそ一年以上ぶりに「南北朝列伝」を更新しました。今回は「太平記」巻2登場人物を網羅、さらについでにその一族などで項目を立てています。調べてて面白かったのは公家の「今出川家」とか「豊原家」(音楽関係の話が多い)、法律家の「中原氏」あたりでしょうか。特に中原氏は後醍醐に討幕計画を打ち明けられるも反対し、口封じでヒットマンに殺されちゃうという悲劇の人が出てきます。そしてその息子たちが仇討ちをするというなかなか劇的な展開です。
あとは坊さん連中が多いんですが、「悪僧」いわゆる荒法師たちも何人か。書くことなくて困る人も若干いますが、調べてくといろいろ面白い話題が出てくる人もいます。毎度ながらこの作業は僕自身驚くことが多いです。


>リアル水戸黄門
 辻斬りはさすがに知りませんが…八切さんと聞いちゃうとなぁ(汗)。ただ光圀が若いころ、「カブキ者」的な派手な格好をして町を練り歩く不良少年だったという話はどっかで聞いたことが。老人になってからも綱吉の時代に焼肉パーティーやってる人ですから、「不良」っぽさは持続していたんでしょうね。
 そんな彼が学問、ことに歴史に目覚めちゃったのは「史記」を読んで感激したからだそうですが、楠木正成称揚も亡命明人・朱舜水の示唆を受けたものだったりと結構中国の影響が強いってのが分かりますね。ついでにいえば朱舜水にはラーメンを食わされたという話もあったりして(笑)。

>昔の「日本人スゴイ」ブーム
 そこから連想する話ですが、最近読んだ本で「八犬伝」の馬琴が本居宣長批判をやってた、というのを初めて知りました。上田秋成が似たようなことを言ってたのは知ってたんですが、要するに宣長は純粋に「国学」「大和魂」を追求していくと結局「からごころ」の中国由来の文化を否定的に扱うようになります。儒教もその対象となったんですが、馬琴は「日本は武の国、中国は文の国」と位置付けて日本に足りない「文」の部分、漢字や儒教を導入したんだ、という文章を書いてたそうなんですね。まぁ「八犬伝」自体モロに儒教ネタなわけですが。
 最近やれ漢文をやめろだの儒教の国はダメだのと言って日本を持ち上げる言説がまた流行ってるようですが(ケント・ギルバートの新書が書店で売り上げトップになってたりする)、それって日本文化自体の否定になっちゃうんだよなぁ。

 それと関連することですが最近、早川タダノリさんの
「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜」
という本を読みまして。同じ著者の「神国日本のトンデモ決戦生活」も読んでたんで、いつかは手を付けなきゃと思っていたところでした。
 満州事変あたりから異常に内向きで同時に異常にプライドだけは高い「日本絶賛」風潮が日本に吹き荒れるわけですが、その中で特に笑える「日本スゴイ本」を集めて解説したものです。「日本人は魚を食うから強い」だの「納豆を食うから強い」なんてのもありますし、電車マナーの広告(今でも言われる電車内のマナー違反は戦時中もあったことが分かります)が「大東亜の盟主としてふさわしい行動を」とかうたってたりする。他にも「ああ、今もこういう言説あるよね」というのがそろってまして、昨今の風潮が何やら似てるのでは、と怖くなってもくる(もちろん作者はそれを狙っている)本でもあります。
 もう一つ怖いことを書くと、こういった現在では「トンデモ本」というしかない日本スゴイ言説の著者の中には戦後もケロッと生き残って「文化人」やってた人もいるってことなんですよね。



#10557 
アジアのバカ大将 2017/05/01 00:05
リアル黄門ふたたび

昔、週刊プレイボーイで「徳川光圀は非行青年で、辻斬りまでやった挙句、犯人引渡しを要求する江戸町奉行所と水戸藩江戸屋敷との紛争になり、水戸藩が断固拒否。このため数年間、町奉行のなりてがいなくなった」という話を読みました。これは本当でしょうか?執筆者は、八切止夫氏でした。
 飲む打つ買うだけでなく、辻斬りまでとは・・サディストだったとすれば、晩年も嗜虐の血が騒ぐと、恪さんやお銀(?)らを鞭うったりしていたりして。これがホントの、「水戸ごうもん」。無理やりなダジャレ落ち失礼。



#10556 
バラージ 2017/04/28 23:20
今度は封神演義

 今度は5月に『封神伝奇 バトル・オブ・ゴッド』という、『封神演義』を映画化した中国・香港合作映画が日本公開されるようです。僕は『封神演義』はよく知らないんですが、殷周革命を背景とした古典神怪小説とのことで、『西遊記』に近いノリでしょうか。90年代後半になんか突如話題になり始め、「なんで?」と思ったら、週刊少年ジャンプで漫画が連載されてそれが大人気になったらしいですね。映画の方はファンタジー作品だけに、またも中華圏映画で大流行りのCGてんこ盛り3D大作のようです。まっ、これも東京の方でしか公開しないだろうけど。

>最近の中国史関連映画
『ブレイド・マスター』
 明末期を舞台に、皇帝の代替わりに起こった権力者の交代に伴う政争の陰謀に巻き込まれた錦衣衛(明朝の秘密警察みたいな組織)の下っ端たちがたどる悲劇的な運命を描いた中国のアクション時代劇。非常に珍しい時代が舞台で、失脚した悪徳宦官・魏忠賢や最後の皇帝・崇禎帝が登場し、ホンタイジや李自成も劇中で言及されますが、映画のストーリー自体は全くのフィクション。主演のチャン・チェンとヒロインのリウ・シーシー以外は知らない俳優ばかりで監督も全く知らない人(デビュー3作目とのこと)だし、この手の中華圏映画は飽和状態なんでどうなのかなあと思ったんですが、群像劇的ストーリーが練られてて飽きさせないし、ワイヤーやCGを最小限に抑えたアクションも面白くて(最近の中華圏時代劇のCG過多にはちょっとうんざりしてたんで)、意外な当たり映画でした。

『フライング・ギロチン』
 講談などで清の雍正帝が作った秘密組織とも彼らが使った武器ともされる「血滴子」をネタとした香港のアクション時代劇。70年代に同名原題の映画(『血滴子』。邦題『空とぶギロチン』)がヒットし、便乗作品もいくつか作られたらしいです。本作はリメイクではなく、ヒントにした作品ていう感じでしょうか。次の乾隆帝の時代が舞台で、そもそも血滴子自体がほんとにあったかどうかもわかんないものなんで、当然ながら全くのフィクション話。武器のほうの血滴子ことフライング・ギロチンが活躍するのは冒頭だけで、あとは民衆の側に立つ滅満興漢組織との戦いの中で時代遅れの存在として権力から切り捨てられていく暗殺組織の悲哀を描いた、ひたすら暗い映画でした。新たに導入された銃砲の前では血滴子など無力というリアルさですが、さすがにちょっとカタルシスがなさすぎるような……。主演とヒロインがイケメンでも美人でもなく華がないのもどうもねえ。



#10555 
ろんた 2017/04/26 01:23
水戸黄門の逆襲

>リアル系水戸黄門
個人的に"リアル系水戸黄門"というと、塩野干支郎次『ブロッケンブラッド』(少年画報社)に出てくる架空の時代劇「光圀公江戸日記」を思い出してしまいますが……。
「ハレンチ黄門……」はOVAになってますね。現在でもDVD、DL版、ストリーミング版が手に入るようです。ただし「良い子は見ちゃダメよ」なアニメなので、どうぞご注意を。
実写では(こっちは良い子が見ても大丈夫)、テレビ東京の12時間ドラマで、亡くなった団十郎主演の徳川光圀一代記がありました(「天下の副将軍水戸光圀 徳川御三家の激闘」)。虚実入り交じった娯楽作でリアルとまでは言えないかも知れませんが、漫遊はしてなかったはず。
藤井紋太夫のお手討ち事件も、取り上げられていますが、実は「水戸黄門」にも出てくるエピソードだったりします。

>石坂黄門と森繁黄門、そして遠山の金さん
石坂黄門は、そもそも「水戸黄門」にリアルを持ち込んでもなぁ、と一本も見てません。石坂版は再放送されてるかな? そういえば石坂さん、柳沢吉保も当たり役にしてましたね。うん、やっぱり水戸黄門にはそぐわないや。
その石坂さんが柳沢吉保を演じたのが大河「元禄太平記」。そこでの光圀役が森繁。その森繁が西郷輝彦版「江戸を斬る」で演じたのが、遠山金四郎の舅である烈公・斉昭。でも史実では金四郎の方が7歳年上だったりして。「時代劇時代」恐るべし(笑)

>水戸黄門をネタにしたトンデモ文化論
こんなの見つけてしまいました。
『水戸黄門』の復活が、あまりよろしくない理由(ITmedia ビジネスオンライン 3/21(火) 8:07配信)

水戸黄門の復活によって日本社会の「謝罪至上主義」病が悪化する、というのが趣旨で、いろいろ変なところはありますが、<土下座=謝罪>となったのは時代劇のせいだ、というあたりからついていけなくなりました。確かに時代劇には土下座というのはよく出てきますが、それらは、実は著者も正しく認識しているように、庶民など卑賤な者が貴人に対し敬意を示す礼なわけで、「謝罪至上主義」とは何の関係もない。時代劇が関係しているとすれば、「土下座」という礼を現代まで保存しているという点でしょうか。なにしろ現代の庶民は天皇にだって土下座しなくていいんですから、とっくに滅んでいても不思議ではありません。園遊会で出席者が天皇を土下座して迎えた、とか見たことありませんしね(笑)。
「謝罪至上主義」については様々な観点から分析が可能でしょうが、著者には、大統領罷免騒動で明らかになった"日本よりひどい韓国の「謝罪至上主義」"とか、ちょっと前の「FRIDAY」に載っていた"土下座させられる台湾のクロネコヤマトの人"とかも論じてもらいたいものです。「水戸黄門」とどんな関係があるのかな?



#10554 
バラージ 2017/04/20 23:34
歴史映像名画座

 更新ご苦労様です。
 今回追加されたもので観たのは映画『真田十勇士』と、大河ドラマ『真田丸』をところどころのみでした。
 ビスマルクの映画ってあったんですね。僕もビスマルクの映画ってないのかなと思ってちょっと探してみたんですが、日本で公開されたものは見当たりませんでした。第二次大戦中の映画じゃ、いくら同盟国とはいえ極東の日本くんだりまで輸出する余裕はドイツにはなかったでしょうし、戦後は戦後でナチス時代の映画が輸出される可能性も、日本が輸入する可能性もなかったでしょう。



#10553 
黒駒 2017/04/17 22:48
古戦場

私もたまに史跡を歩くのですが、中世など同時代の遺構よりも、やはり近世・近代の碑などが多く目につきますね。碑が現場では解読できないことも多いのですが、著名な政治家であるとか地域の名望家、撰文した漢学者など著名人を発見することもあり、実は近代史散策なのかなぁと考えることが多いです。



#10552 
徹夜城(今年はGWが休めない管理人) 2017/04/17 12:38
またちょこっと更新。

 先ほど「歴史映像名画座」を更新しました。半年ぶりですね。
今回は10本追加でして、ソフト化情報もいただいたものを中心に記述を追加してます。調べてみると古い史劇映画は著作権切れもあるからでしょうが激安でいろいろ出ているようです。
 今回ドイツ史に追加している「ビスマルク」もたぶん著作権切れではないかなぁ…ネット上某所で英語字幕付きで鑑賞しましたけど。探せばいろいろあるもんだ、ということです。

>アジアのバカ大将さん
永井豪さんのその漫画は知らなかったなぁ…眼光鋭い爺さん水戸黄門というのは、確かに実像に近い描かれ方かもしれません。なにせ綱吉の時代に焼肉パーティーやるような人ですし(笑)。
ちょこっとしか見ませんでしたが、石坂浩二「水戸黄門」も序盤だけ「史実系」でやろうと試みはしたんですよね。石坂浩二といえばホントにいろんな人を演じてますが、歴史ものでは「ポーツマスの旗」の小村寿太郎が妙にハマっていた気がします。

>バラージさん
 僕も今回の旅行で思い知らされましたが「古戦場跡」というのも、当たり前ですがなんもないんですよねぇ(笑)。記念碑だけおったててるけど戦場も広いだろうにどうしてそこに建てた、ってのが多い。神社とか建物がある方がまだマシかも…
 そうそう、安部龍太郎さんは南北朝人物もいろいろ書いてるのは聞いてましたが、まだ未読でして…新田義興もあったんですね。そろそろ手を出してみようかな。

>南北朝本
このところ「ラッシュ」になってる観もありますね。
先日森茂暁さんの「足利尊氏」が出たばかりですが、亀田俊和さんが「征夷大将軍・護良親王」を出してきました(戎光祥出版「シリーズ実像に迫る」)。このシリーズは先ごろ「楠木正成・正行」も出てましたし。ミネルヴァ日本評伝選も「足利直義」「護良親王」そして「大内義弘」と連打気味です。
漫画ではなんつっても「バンデット」ですが、ただいま「正成出づ」となっております。



#10551 
バラージ 2017/04/15 21:13
歴史旅

 僕はほとんどそういう旅をすることはないんですが、かなり昔に1度だけ秋田県の錦神社というところに行ってみたことがあります。なんでそこに行ったかというと、奥州藤原氏4代目の藤原泰衡の遺体が埋葬されたという言い伝えがあると聞いたからでして(首は中尊寺金色堂にありますが、体のほうがそこに埋葬されたんだとか)。とにかくド田舎にあるちっちゃな神社で、駅から田んぼ(だか畑だか)とまばらな家に挟まれた一本道をてくてく歩いて行ったんですが、初春の強風吹きすさぶ日だったためとにかく寒かったことを覚えています。神社自体はほんとにちっちゃくて5分もいたら何もすることはないんですが、周りにも何もないため他にすることもなく、とぼとぼと駅に帰ったのでした。

>新田義興
 義興が登場する短編小説に、安部龍太郎の最初期の作品「知謀の淵」があります(『バサラ将軍』(文春文庫)所収)。といっても主人公は義興ではなく彼を裏切った竹沢右京亮という人物。非常に暗く陰鬱な作品ですが、小説としての完成度は高くなかなか面白かったです。

>尚巴志のドラマ
 へえ〜、そんなドラマが作られてたんですね。僕も「島津氏の侵攻」「ペリーの琉球来航」の次に琉球史の映像作品を作るとしたら「琉球三国志」の時代しかないよな、と考えたりしてたんです。ただこのドラマについてはそれよりも地方テレビ局がオリジナル時代劇を作るってことのほうがびっくり。そういや沖縄のテレビ局はご当地特撮ヒーロードラマ・ブームの火付け役『琉神マブヤー』も作ってたしなあ……と思ったら同じ放送局なんですね。

>徳川光圀のドラマ
 実像に近い光圀だと、主人公ではありませんが大河ドラマ『峠の群像』で光圀が家老を手打ちにするエピソードが描かれてた記憶があります。僕は『峠の群像』はほとんど観てなかったんですが、なぜかその回だけ観た記憶がありまして。

>大河ドラマ原作の大河以外の映像化
 『花の生涯』の大河以外での映像作品に触れたんで、ついでに他の初期大河ドラマの原作の大河以外での映像作品についても触れておこうかな。
『赤穂浪士』は戦前に2度、戦後に2度映画化されており、テレビドラマ化も大河を含めて4度されています。大河は2度目のドラマ化。戦後の映画2作はDVD化されています。
 『太閤記』は3度映画化された(最初の2作はシリーズ)他、テレビドラマ化も3度されています。やはり大河は2度目のドラマ化。大河以外はソフト化されていません。
 『源義経』は2度映画化(シリーズ)された他、日テレ年末時代劇でドラマ化されており、日テレ時代劇がDVD化されています。
 『竜馬がゆく』は5度ドラマ化されており、大河が2度目のドラマ化。大河以後の3作品はいずれもDVD化されています。



#10550 
アジアのバカ大将 2017/04/15 01:19
実像に近い水戸光圀、お色気ギャグ漫画に登場

 実像の黄門徳川光圀は、身長六尺、晩年でも家老を自ら刺殺したように気性の激しい人だったようです。この実像に近い黄門さまを、脇役で登場させた漫画があったのを、トンデモ漫画研究家の新田五郎氏の同人誌「ぶっとびマンガ大作戦Vol.14」(2009年12月発行)で以前に知りました。同同人誌は、たしかトンデモ本大賞の発表会で入手したものです。
 その漫画は永井豪作で、題名が「ハレンチ紅門マン遊記」(週刊漫画ゴラク連載、単行本1996年刊)。これだけで分かる、脱力お色気ギャグ時代劇です。主人公は、黄門が晩年にもうけた紅姫。この姫が男装して、町人姿の武士2人をお供に諸国を漫遊するというストーリー。葵の紋所は印籠ではなく、姫のふんどし(笑!)に染め抜かれています。
 登場するご老公は、白髪の眼光鋭い偉丈夫です。実像に近い黄門が登場する「水戸黄門もの」って他にありますでしょうか?一回だけ演じた石坂浩二が身長だけは、実像と同じだったはずですが、あのとおりの優男です。



#10549 
徹夜城(数日前に旅行記を久々に書いた管理人) 2017/04/11 11:26
ちょこっと更新してました

 もう何日も経ってますが、こっちに告知するのを怠ってましたので今さらですが改めて。
「旅行で南北朝!」コーナーを実に5年ぶりに更新してます。名付けて「新田父子関連武蔵野小旅行」で、ホントに手軽なゆかりの地めぐりです。「小手指ヶ原古戦場」「分倍河原古戦場」「新田神社」と回ってきました。
 以前から分倍河原駅前の義貞銅像は直に見てみたかったんですよね。あれだけカッコいい義貞像は故郷の地にもないですからねぇ。義貞最大の名場面である「稲村ケ崎」にも銅像はありません。一説に義貞に恨みのある鎌倉市の意向が戦前からずっとあるんじゃないかと(笑)。世界遺産却下された一因も義貞が鎌倉を焼いちゃったから(実際どの程度かはわかんないけど)という話もあったりして。

 では、ためこんでるレスを。

>サラマンサさん
ベトナム人人名の話、興味深く拝読しました。やはり姓のバリエーションはかなり限られるんですね。その辺の事情は韓国とも似ています。
それにしてもタイ国王が漢名を持っている、というのは初めて知りました。いつからやってる習慣なんでしょうねぇ。まぁ日本でも最近の天皇は「漢風」の贈り名をつけてるから似たようなもんでしょうか。文化人の「号」とか僧侶や死者の「法名」だって「漢名」といえなくもない。
 一部で報じられてますが、来年に決定しなきゃいけない新元号も中国古典や日本古典、漢学者などに候補の諮問をしてるようですね。結局今度も中国古典由来ってことなんでしょうか(まぁ昔からの伝統ですけど)。最近僕の身近な人で元号が中国古典由来と初めて知ってビックリしてた(それじゃ中国の属国じゃない、とまで言いまして)こともあり、一般には知らない人が圧倒的に多いんだろうなぁ、と。

>バラージさん
 ま、廉子の大河ドラマ化ぐらいできるようでなきゃ大河ドラマに未来はないな、と思ってます。
 「項羽と劉邦」と「アニメスペシャル三国志」の件もどうもです。「三国志」のアニメは僕は内容結構よく覚えてるんですが、基本的に吉川英治三国志の序盤の内容ですからね。当時僕は横山光輝という漫画家を認識はしてたはずですが絵が全然その系統じゃなかった記憶があります(少なくとも張飛はまるで違ってた)。この辺は製作事情を詳しく知りたいところです。
 まぁ「金曜ロードショー」のアニメ三国志のように「横山光輝原作」と銘打ちつつまるで別モン、というのもありますが(笑)。

 「歴史映像名画座」はただいま作業中…なのですが、先月末にこんなものが琉球放送で放送されていたことを知りました。
「琉球歴史ドラマ・尚巴志」
http://www.rbc.co.jp/tv_program/shouhashi/
うわっ!これは見たい!予算的に厳しそうな気はするけど、貴重なテーマだと思います。なんとかこっちでも放送するとかソフト化とかしてくんないかな。

>田沼や井伊
これは盛り上がってるのを横目で見ている内に書きたいことはあらかた書かれてしまいました。
僕も「風雲児たち」ファンではありますが、田沼と松平定信のあたりの描写はちと「ひいきの引き倒し」な印象は持ってます。もっとも、これは以前杉山正明氏のモンゴル帝国評価の話でも出ましたが、それまで否定的評価、イメージが流布しているものを評価しようとする場合、あえて「引き倒し」ぐらいの勢いでやんなきゃいけないと意図的にやる、ということもあるかもしれません。
田沼意次も大河でも単発ドラマでも一回史実ベースで作品作ってみるといいと思うんですよね。田中角栄みたいな感じになるかもしれませんが。

「花の生涯」が原作未読ですし映像化作品もほとんど見てないのですが、NHKでドラマ化する以前にすでに映画化されていて原作もベストセラーのヒット作。当時のNHKとしては映画にまけない時代劇大作を、と考えた時に当時人気のあった素材を素直に選んだつもりだったかもしれません。
以前NHKの大河特番で中井貴一さんが語ってましたが、佐田啓二を口説き落とすためにNHKのドラマスタッフがほとんど日参していたそうで…スターとしては来た客はむげにできないから高級酒をしこたま飲ませていたとかなんとか。結局佐田啓二自身がアメリカのテレビ事情を調べてこれからはテレビだと確信して話に乗ったそうなんですね。

>平賀源内
先日行きました「新田神社」は平賀源内ゆかりの地でもありまして…旅行記にもちょっと書いたのですが、阿野神社で平賀源内が「矢を魔よけアイテムとして売る」というアイデアをだしたことが「破魔弓」の由来である、ということになってたんですね。源内さんもいろんなことの由来にされがちだからどこまでホントかわかりませんが…少なくとも「竹とんぼ」は古い時代に存在していたことが確認できるそうです(大河「炎立つ」で劇中に登場したため時代考証の研究者が調べさせてます)。
 「翔んでる!平賀源内」は第一回かそこらだけ見たのを覚えてます。時代劇もおんなじネタばっかりやってたんで、作り手も新機軸を、と狙って作ったようなんですが、田沼描写にしても保守的姿勢から抜け出せなかった(見る側もそうなんでしょう)という印象で、結局シリーズ化には至りませんでした。



#10548 
2017/04/11 04:10
on

50年前に古道具屋で購入二年前に、漸く読んだ!で大河ドラマに合わせて発表。直虎男説新資料とされるこの資料の鑑定はいまだにないから本物がどうかわからない。まるで朝日の慰安婦捏造状態!

on


#10547 
2017/04/11 04:04
on

二年前に、漸く読んだ!で大河ドラマに合わせて発表。この資料の鑑定はいまだにないから本物がどうかわからない。まるで朝日の慰安婦捏造状態!

on


#10546 
つね 2017/04/11 02:46
平賀源内

郷土の奇人ではあるのですが、あまり詳しくは知りません。一般的にも「エレキテルの復元者」「『土用の丑の日』の発案者」くらいでしょうか。
個人的には銀英伝の「何をやっても一流の一歩手前まで行けた男」という印象を持っています。

>「翔んでる平賀源内」
そのドラマの存在は知っていますが未見です。通常、田沼は平賀源内の理解者・支援者のような位置づけなので、「賄賂好きのガハハ高官」というのは意外。一度、植え付けられた印象を覆すのはなかなか難しいのでしょう。

>山師
こちらのレス忘れてました。平賀源内は結果はとにかく、人をだますような意図はなかったと思うので、山師(=詐欺師)というのとは違うように思います。「山師の横行」というのは一般論で、特定の誰かを指したのではなかったように思います。

>TDLで言う「シンデレラ城」
ぴったりの表現です(笑)。ふと思ったのですが、お城好きは洋の東西を問わないようですが、アメリカは歴史が新しいせいか「お城」がありませんね。アラモとかサムター要塞がそれにあたるのかな。




#10545 
バラージ 2017/04/10 23:56
『劇画ドラマ 項羽と劉邦』と『新春スペシャルアニメ 三国志』

 歴史映像名画座の中国前近代史(1)にある『劇画ドラマ 項羽と劉邦』ですが、テレビドラマデータベースに情報がありました。
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-19976
 それによると1983年の90分ドラマのようです。

 歴史読本のバックナンバーにも記事があるようで、以下の国立国会図書館サイトに目次情報がありました。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/7975323?tocOpened=1
 記事そのものはインターネット公開をしておらず、直接国立国会図書館に閲覧しに行かなければならないようです。

 また、『新春スペシャルアニメ 三国志』について、以下の個人サイトに情報がありました。
http://cte.main.jp/newsch/article.php/4027
 そこではこの掲示板における情報についても触れられており、そのうえで「横山光輝・原作」については疑問が呈されています。芙蓉姫の声は山本千鶴さんで、85分のドラマのようです。



#10544 
ろんた 2017/04/09 22:05
安土桃山文化村

ホームページ、確認させてもらいました。要するにTDLで言う「シンデレラ城」だったんですね(笑)。ただ番組では「文化村」の名前はなぜか出てきませんで、観光地図みたいなヤツにも「安土城」としか書いてなかったんです。で、施設を見ると忍者関係のものが多いので、ひょっとしたら「安土桃山文化村」というのも、

伊勢→三重県→伊賀→忍者→戦国→安土桃山

という連想ゲームが働いた結果かも。あと伊勢だからか、山田奉行所がありますね(笑)。ホームページには、大岡越前守が……、とあるんで分かっててやってるんでしょうけど。吉宗がお白州に引き据えられる「大岡越前」の第一回を再現したりするんでしょうか。

と、ここまで書いてきて思い出したんですが、「ぶらタモリ」では鉄筋コンクリート造の桃山城が出てきたような……。


>時代劇ドラマに見る田沼意次
田沼を評価しているのは「天下御免」「栄花物語」「大江戸風雲伝」など例外的で、「老中・田沼意次の悪政を正そうと……」というのが一般的みたいです。ただ最近は「剣客商売」の影響か、田沼のイメージが良くなってきているようで、この正月に放送された「陽炎の辻 完結編」でも、ラスボスながら開明的な政治家という側面が描かれていました。でも、佐野善左衛門の系図はパクっちゃう(笑)。



#10543 
アジアのバカ大将 2017/04/09 13:57
TV時代劇の田沼意次の変化

連投失礼。
1970年代はじめに、金曜日夜8時からNHKから放映されて視聴率30%
を誇った時代劇「天下御免」は、多分最初に田沼意次を善玉にした
時代劇だったはずです。仲谷昇が田沼を演じていました。二枚目で
時代の変化に政治を合せようとする有能な高官として描かれています。
愛人の芸者を演じた太地喜和子が艶麗かつ貫禄もあって、画面に華を添
えました。
 その後、89年放映の「翔んでる平賀源内」(西田敏行主演)では、
藤岡琢也が田沼を演じました。元の木阿弥で、賄賂好きのガハハ高官
に戻っています。こちらが、大衆に受けるという脚本家、製作者の考え
を反映したのでしょう。一般の田沼観が変わらなかったようです。



#10542 
アジアのバカ大将 2017/04/09 13:05
インドと水戸黄門

 インドと「ご老公さま」にどんな関係があるのか?と興味
を持たれる方がいると思いますが、限りなく関係ありません。
 唯一は、雑誌「ウィークエンドスーパー」の企画です。同
誌編集長(現・白夜書房編集局長)の末井昭編集長が黄門、
イラストライター南伸坊氏と僧侶兼演劇評論家の上杉清文
氏が助さん・恪さんの扮装で、インドへ行き、「葵の印籠は
世界に通用するか?検証する」という、意味がありそうで無
いパフォーマンス企画でした。
 葵の印籠はインドでは「子供に食べ物だと思われてもって
いかれ、取り返すのに苦労した」そうです。
 ちなみに、助・恪の衣装は「お前さんたちブータンから?」
と見られたそうです。確かにブータンの民族衣装に似ています。



#10541 
つね 2017/04/08 03:37
もろもろレス

レスありがとうございます。
個人的には私利私欲でなければ、結果が誤っていても同情的になるところです。評価が固定される・されないの違いはどこにあるのやら。

>コピペ
人物論や歴史に限らず、学問というのは、先人の研究に+αされていくものだと思うので、一概に否定されるようなものでもないように思います。先行研究を無視してすべてオリジナルと主張したり、+αの部分が0なら別ですが。

>花の生涯
大河ドラマも一つの歴史になっていますから、今から見ると、最初から「大河ドラマの代一作」のつもりだったように思えてしまいますが、当事者は当然、違う認識だったのですね。指摘されると分かりますが、なかなか気づけません。

>天守閣
伊勢にある安土城は、安土桃山文化村ですね。

http://www.ise-bunkamura.co.jp/azuchi.html

なぜ伊勢なのかという疑問は残りますが、一度がっかりしに見に行きたいところです。個人的には宮上氏の復元案よりも内部に吹き抜けや宝塔がある内藤氏の復元案のほうが好みです。どちらがより正しいかは分かりませんが。
以前は建築基準法などの問題で、木造高層建築ができなかったようですが、最近は逆に文化庁の方針で、旧跡に天守閣を復元しようとすると、当時の設計図などをもとに当時の後方でないと許可が下りないようです。名古屋城なんかは木造天守閣の予算が許可されたと最近ニュースになりました。名古屋城も熊本城も本丸御殿が復元されるなど「天守閣なんて飾りですよ」というところでしょうか。「素人(私含む)にはそれが分からん」のですが。



#10540 
水師提督 2017/04/06 08:32
田沼意次とコピペ史論?

田沼意次の積極的評価というのも、大石慎三郎氏の評伝で一気に広まったものの、その後はこれといった進展がない、というのが現状ですね。
しかも、大石氏の田沼論も、じつは辻善之助の著作の丸写しで、オリジナル部分は賄賂政治家としての評価を否定しただけ、という批判を藤田覚氏が投げかけていたりします。但し、その藤田氏の田沼論もやはりコピペ気味というブーメラン現象を起こしていまして、人物論の難しさを示しています。

とある歴史漫画にて、「決して揺るがぬ己があってこそ、人を評するという畏れ多いことができる」という台詞がありますが、そういうことなのかもしれません。



#10539 
バラージ 2017/04/06 01:52
いい直弼、悪い直弼、普通の直弼

 第1回大河ドラマの主人公がなぜ井伊直弼?という疑問はよく語られるし、僕もそう感じたんですが、もともと大河ドラマは当初は2年(2作)だけの予定だったんで、「歴史ある大河の1作目」という考え方がそもそも違うんだと思います。当初はあくまで2年限りのスペシャル時代劇企画って感じだったんではないかと。
 もともとNHKは当初は「大型時代劇」と言っていたらしく、「大河ドラマ」というのはずっと後になってからの他称で、NHK自身も後にそれを取り入れたというものらしいです(それを知って大河が近現代路線になった時の『宮本武蔵』とかをなぜ「新大型時代劇」と言ったかがようやくわかりました。なんで「新」なの?とずっと思ってたんですよね)。その「大型時代劇」という呼称から推察するに、NHKがやりたかったのはおそらく「オールスター時代劇映画のテレビ版」みたいなものだったんじゃないかと。2作目の『赤穂浪士』なんてそれこそオールスター時代劇の定番だった忠臣蔵ものですし(そしてそのメガヒットがきっかけでもう1作『太閤記』が作られることになり、さらにそれもヒットしたんで毎年やることになった)、『花の生涯』も歴史要素の部分ではなく単にオールスター時代劇にしやすい題材として選ばれたんではないかと思います。
 なお『花の生涯』はそれ以前に松竹で映画化されており、ビデオ化もされましたがDVD化はされていません。また大河以後に2度ドラマ化されてますが、こちらはソフト化そのものがされていません。
 ちなみに『花の生涯』については、直弼を時代を見通したが凶刃に倒れた悲劇の宰相として描き、当時国会を取り巻く反対運動の中で新日米安保条約を強行採決した岸信介になぞらえた、体制応援作品(原作も)とする論があります。NHKは当時から最も体制寄りのテレビメディアと言われてたようです。

>田沼政治
 「あくまで江戸幕府主体で救民という視点は欠けていた」というのは田沼の政策全般をさした評価でしょう。田沼に限らず、吉宗にしても定信にしても水野忠邦にしても当時の幕閣は当然ながら「あくまで江戸幕府主体で救民という視点は欠けていた」と思うのですが、田沼の場合は「救民を目指した」という過大評価がなされてるので、そのような批判が出ているということでしょうか。



#10538 
ろんた 2017/04/05 01:34
知らない間に安土城が再建(?)されていた話

週末、溜まってた録画の消化をしておりまして、その中に伊勢をめぐるロケ番組がありました。お定まりの伊勢神宮の内宮、外宮、PPAPするセイウチ、赤福、伊勢牛などが紹介されたんですが、その中に「安土城」というのが出てきました。頭の中を疑問符でいっぱいにしつつ見ていると、それは例の天主風の建物(多分鉄筋コンクリート)。タレントさんは、回りの土産物屋で忍者刀風の傘とか買ってました(伊賀−甲賀ってことでしょうか あと雨模様でしたし)。

近年はともかく、大坂城も名古屋城も小田原城も会津若松城も鉄筋です。そこは責めますまい。熱海城ってのもありますから、観光用の城ってのも小うるさいことは言いますまい。お城があると盛り上がりますからね。でも最初に感じた疑問は解けないままです。


なぜ伊勢に安土城????????


近江八幡市が安土山におっ建てたってんなら、ある意味、筋が通ってる気がするんですけど……。それに伊勢国の住民は、信長に恨みこそあれ、城を建ててやる義理はないと思うんですけどねぇ。七不思議に登録したい気分です(笑)。


>田沼意次
田沼が直面した天変地異は、ヨーロッパでルイ王朝をひっくり返したヤツですから「救民思想がない」とか言われるとかなり切ないモノがあります。実際、「鎖国」政策を一時停止して食糧を緊急輸入するぐらいしか手はなかったでしょうが、そんなことが出来るはずもないわけで。でも儒教思想(易姓革命論?)では、天変地異自体が天命の革まる兆しなわけで、当時の価値観からすれば責められてしかるべきってことになるんでしょうか。で「山師」って平賀源内のことですか?(笑)


>井伊直弼
さすがに「花の生涯」は見てませんし、舟橋聖一の原作も読んでおりませんが、日本の開国に命を賭けた信念の人として再評価した作品ではなかったかと。確か同じ観点で、横浜港には銅像とか顕彰碑が建てられていたと思います。実際の直弼は、ゴリゴリの攘夷派だったらしいですけど(笑)。



#10537 
黒駒 2017/04/04 23:24
田沼

「風雲児たち」は今でも好きで読んではいますけど(今月の「乱」に平田弘史氏との対談などがありましたね)、若干懐疑的に思う部分も最近はあったります。以前に詳しく書いた記憶があるので繰り返しませんが田沼や蘭学者の系譜の人物を善玉とし、松平定信など弾圧したり蘭学に無理解な系統の人物を悪玉にしているあたり、寛政期以降の事情を学んでいる中で思えてきました。

田沼治世の後半が水害や飢饉、浅間山噴火など自然災害に見まわれ「天人相関」説のもと田沼批判に直結したのは確かに気の毒に思えますが、しかし田沼でなくとも近代より以前は「天人相関」説が常識であり、どのような政権であろうとも政治と天災を関連させて批判の矛先を向けられていたことは考慮するべきだろうと思います。「真田丸」でも描かれましたが、天正期なども自然災害が頻発した時代でしたね。

田沼の重商主義的経済政策や蘭学振興などは現代から見れば非常に合理的であり評価したくなる当然ですが、しかしそれがいかに既存の身分制や秩序を弛緩させ、さらにそれが幕末へ向けた災害頻発、農村荒廃、異国船来航など幕末へ向けた社会不穏と連動し反動となるのも必然であるなぁと、思うところです。



#10536 
つね 2017/04/03 02:58
補足

田沼については、災害が多い時代で、それを悪政(天罰)のせいにされたのは不運のように思っています。

>自分のミスを棚に上げての要望
掲示板に書き込むときに、一度、「この内容でよろしいですか?」みたいな読み直す機会はないものでしょうか? 書き込む本人が気を付けるべきとは重々承知しています。



#10535 
つね 2017/04/03 02:33
歴史的評価

最近、みなもと太郎の「風雲児たち」を読み始めています。桜田門外の変→その後の公武合体→大塩平八郎の乱→江戸幕府開幕→田沼時代というふうに順不同で読んでいてまだワイド版8冊+幕末編6冊+解体新書という段階ですが、やはり目立つのは田沼評価ですね。以前から「賄賂政治というのは政敵の宣伝で、当時では常識範囲」「江戸時代で政治家と呼べるのは吉宗と田沼の2大巨頭」とは以前から聞いていたのですが、興味を持って調べたネット評価では「あくまで江戸幕府主体で救民という視点は欠けていた」「印旛沼干拓は後の水野の代でも失敗したように当時の技術では賭け」「商人の台頭を招き身分秩序を崩したたため、継続すると幕府崩壊が早まった」「新しもの好きで山師の横行を招いた」という論もあります。みなもとさんの価値観では(「当時の価値観では定信が圧倒的善」と描いていますが)、「民衆の側に立ったほうを善とみなす」という価値観があるようですが(田沼については贔屓の引き倒し的な面もあるかもしれませんが)、現代の価値観で当時の人を評価するのはどうなんでしょうか。断罪するほうは戒める方向にあると思いますが、評価するというのは、人を誉めるのはいいことなので見過ごされているような気もします。

>大河ドラマの主人公
大河ドラマは見なくなって久しいのですが、私は以前からくじ将軍を押しているくらいなので「悪役上等」と思っています(笑)。価値観というのは主観的・客観的で異なる(はず)ので、尊氏も(客観的ではなく)後醍醐視点から悪役に描くのも面白いかもしれません。
しかし、初代大河ドラマの主人公が井伊直弼だったのが不思議ですね。当時から現在まであまり好評化される人物ではないと思うのですが。



#10534 
バラージ 2017/04/03 01:13
阿野廉子ですか!?

 う〜ん、大河の主人公にするにはいろいろとクリアしなきゃならないハードルが多い人という気がしますけどねえ。
 まず第一に、大河の主人公は「好い人」である必要があります。日曜8時で中高年主婦層も観る大河でピカレスクってのはあり得ないですから。廉子は正直言ってその生涯を見てもとてもじゃないけど「好い人」とは言えないんで、その辺を大幅に改変する必要があります。まあ過去には北条政子や日野富子でさえ主人公として「好い人化」されてますから決して無理なことではありませんが。
 第二に、夫婦ものと考えれば女性主人公の夫もまた基本的には「好い人」である必要があります。つまり後醍醐天皇を「好い人」に描かなきゃならない。ここがちょっと引っかかるところ。これは次に述べる第三の点ともかかわってきます。
 第三に、ドラマにはやはりある程度悪役が必要なんですが、ざっと見たところ足利尊氏しか該当しそうな人物がいないってこと。他で廉子と対立する悪役に設定できそうな人物に西園寺禧子や護良親王がいますが、いずれも建武の新政前後で退場してしまいます。その後の南北朝動乱期にも生きてる悪役が必要になりますが、北朝と戦ってる時期に悪役が南朝内部にいるんでは展開が難しいと思われ、しかし後醍醐が「好い人」で尊氏が「悪役」だと皇国史観の復活みたいになってしまうため、この点で問題が発生します。
 第四に、これは第一の点とも関連しますが、特に女性主人公の場合は「戦争を好まない平和主義者」に描く必要があります。中高年女性は女性主人公にそれを求めますし、そもそも女性を主人公にするのは女性視聴者を取り込むためなんですから、第一の点と合わせてこれはマストの条件でしょう。したがって南北朝動乱期にも廉子は戦争反対という描写にしなければなりません。まあ、これもドラマ的には決して無理ではありませんが、こうなってくると史実派の人たちは目くじら立てるかもしれないなあ、と。ちなみにこの場合、廉子と対立する好戦派になりそうなのは北畠親房あたりで、後村上天皇も「不肖の息子」に描く必要があるかも。

 僕は赤橋登子のほうがわりとストレートに大河の主人公にしやすそうな気がします。秀吉の妻のねねみたいなもんで。個人的には足利直冬の母が単純にドラマの主人公として魅力的なんですが、史実ほぼ不明だから1年の大河ドラマ主人公は無理でしょうな。


>1つ前の史点
 僕なんかは「聖徳太子(厩戸王)」だったら別にいいんじゃないかと思っちゃいますけどねえ。「聖徳太子」が全く消されて「厩戸王」だけになっちゃったらそりゃ問題だろうけど。聖徳太子って名前は、他に人は「王子」とか「王」なのにこの人だけ「太子」なの?と感じちゃうんですよね。
 まあ、個人的には体育の「銃剣道」のほうがびっくりしちゃいますが。そんなマイナーな武道、初めて聞いたよ。



#10533 
サラマンサ 2017/03/31 23:12
ベトナム人名 続々

 ベトナムの姓について。ベトナムの姓は全体の91.2%をしめる十四大姓氏と残りの10%以下を占める約180程度の姓があります(極少数のものも入れれば更にあるでしょう)。最大は阮姓で全体の30%以上を占めています。それから陳、黎と続きこの3姓で60%を超えます。何れもかつての王族の姓ですが阮姓の中には、13世紀に陳朝が成立した後、前王朝である李朝の一族が改姓するといった形の同一起源ではない集団も含まれています。本筋の阮氏は東晋時代の阮敷という人物が交州刺史であった時分に形成されたともいわれていますが定かではありません。ちなみにこの阮敷という人物は『晋書』に1回だけ登場するだけで林邑国の王范佛と戦ったという以外記録のない人物です。

 上記の姓氏は中国系も含みますが、基本的にベトナムの主要民族であるキン族によって構成されます。ただベトナムは歴史的にチャンパ王国や真臘等の諸地域を取り込みながら形成されていったため、一概に性格を規定するのは難しい。たとえば裴姓はキン族では少数派ですがムオン族では多い姓です(ムオン族はキン族と言語的には近しいが文化的には異なる民族です)。そのほかにもクメール系やタイ系、ラオス系等もいて
彼らの名前はまた別システムであることもあります。
 
 そういえば書いてて思い出したのですがタイ国王は漢風姓名をもっているんですね。確認してみたらプミポン王が鄭固で今のラーマ10世が鄭冕、「王様と私」のラーマ4世が鄭明といった形で。

 中途半端ですが長くなってきたのでこれくらいにしておきます。



#10532 
徹夜城(毎年恒例行事準備に苦しむ管理人) 2017/03/29 00:16
長大大河をようやく見終え

 先日書きました、韓国大河ドラマ「龍の涙」全159話をようやく見終えました。BSフジで放送されたのを録画して鑑賞したんですが、なんだかんだで2年近くかかっての完走でした。
 僕はこれより多い全200話の「太祖王建」も見てますからねぇ。ただあちらはもともと「三国志」並みの素材で話は豊富、戦乱の連続なのでそう退屈もしなかったんですが、「龍の涙」は陰湿と言えば陰湿な権力闘争・粛清の嵐の展開ばかりなのでキツかった…(特に終盤)という感想でした。半分とは言わないけどもう少し短くできたんじゃないかなぁ。
 なおこの「龍の涙」を含め、韓国でもこの手の長大歴史ドラマは「大河ドラマ」(テハドラマ)とハングルで明記されてることが多い。これは明らかに日本からの輸入語ですね。


>黒駒さん
「光圀伝」については水戸で大河ドラマ化運動があったはず。作者が新聞沙汰になったりしたんで一時運動停止をしてた記憶がありますが…

>バラージさん
 「直虎」、ようやく「おんな城主」になりましたが、正直なところ話に無理があるなぁ…と思いつつ見ております。女性大河ってことなら戦国以外で素材探した方が面白いのがいるように思うんですがねぇ…南北朝だったら確実に筆頭は阿野廉子です。
 ネットで一部見たものとして、中国の女性主役歴史ドラマでは明の洪武帝朱元璋の草稿の妻・馬皇后を主役にしたものが少し昔にあったようですね。
 ファン・ビンビンは楊貴妃にもなってましたか…暇がとれたらその映画もチェックしてみましょうかね。

>アジアのバカ大将さん
 なるほど、そういや空港の名前には歴史人物つけるケースが結構あるんでは。ケネディ空港とかドゴール空港とか。日本だと最近ではありますが高知の龍馬空港が…
 そのボースとガンジーの「戦え」「殺すな」もいい小咄ですね。レインボーマンの「憎むな殺すな許しましょう」とふと連想しましたが、あれも一応インドネタでした。

>サラマンサさん
 我がサイトの掲示板はどこも欧州文字をうけつけないんです。20年も前の素朴なプログラム(一応僕が改造してます)そのままなので…何か方法はあるんでしょうけど、今から勉強するのもおっくうでして。「怪盗ルパンの館」でもフランス語が文字化けするのはちょっと困ってるんですよね。
 今回の事件の被害者の「レェ」は僕も「黎」だろうな、と思ってました。ベトナムの名前事情はまるで知らないのですが、韓国同様にあまり姓のバリエーションがないように思うんですが、どうなんでしょ?



#10531 
サラマンサ 2017/03/28 00:28
文字化け

文字化けが出てしまいましたすみません。



#10530 
サラマンサ 2017/03/28 00:27
ベトナム人名 再び

 我孫子氏のレェ・ティ・ニャット・リンちゃん殺害事件が報道されました。
 以前ベトナム人名について書き込んでいたのですがその際「個人のアイデンティティを表す名前は、基本的に最後の一音」と説明しました。しかしちょっと不正確だったかなと思っていたところ事件が発生しました。事件をだしにするようでどうかとも思ったのですが、いい機会なので少し補足しておこうと思います。

 wikiでも書かれているのですがベトナム人の名前は姓、ミドルネーム、個人名から成り立っています。基本的にそれぞれ一音なのですが二音節以上になることも有ります。

 今回のレェ・ティ・ニャット・リン(L&#234; Th&#7883; Nh&#7853;t Linh)はレェが姓(恐らく黎)、ティはミドルネーム(漢字で書けば女性を表す氏の字)、ニャット・リンが個人名です(意味は不明ですがもし漢字音であるならニャットは日、リンは鈴、齢、聆、霊などではないかと思います)。
 新聞では「リンさん」「リンちゃん」と呼称されていましたので、、ベトナム側の記事を調べましたところ、「ニャット・リン」「リン」の両方が使われていました。「ニャット・リン」の方が地の文でよく使用されているのでこちらが呼称として例に沿ってると思うのですが、「リン」の使用も少なくない。ただ「リン」を使用する際は修飾語があったり、インタビューの発言引用部分だったりで何か規則が有ると思うのですがこれは判断できませんでした。

 ニャット・リンさんのように中国式とやや異なる名前の例として阮朝大南国最後の皇帝、保大帝を挙げておきます。彼の最初の姓名は阮福永瑞でした。阮が姓、福が王室を表すミドルネーム、永瑞が個人名で、前にある永が阮朝二代目の明命帝が定めた世代を表す輩行字の一種です。

 以上以前の書き込みを補足してみたつもりですが不備も有るかもしれません。もしあった場合はどうかご容赦ください。



#10529 
アジアのバカ大将 2017/03/27 13:06
安倍晋三小学校以外の人名の付いた施設

 インド亜大陸へは、コルカタ(旧名カルカッタ)からはいりました。以前ダムダム空港といっていた空港からです。税関やイミグレの態度が最悪なので、頭にきた客が銃を乱射しそうな空港名でしたが、「チャンドラー・ボース空港」に変わっていました。
 ボースさんは、依然人気があるようで、アッサム州の2都市で大きな銅像を目撃しました。確か小野耕世のインド旅行記に、現地の学生にどうして、ボースが現在も尊敬されているか会話する場面がありした。記憶では、次のようです。
 「戦え、って教えてくれた人だから」
 「マハトマ・ガンジーは?」
 「殺すな、って教えてくれた人」
 すばらしい答えですね。



#10528 
バラージ 2017/03/22 00:21
主人公は女性

 韓国ドラマはほんと話数が多いですねえ。159話とは僕なんかには気の遠くなるような話数です。大河ドラマの50話でさえ、まとめて観るのはちょっとなあ、となっちゃいますし、40数話の中国ドラマ『曹操』ですら半分くらいで挫折してしまいました。

 中国ドラマと言えば、チャンネル銀河でまた新たな中国歴史ドラマが。『秀麗伝 美しき賢后と帝の紡ぐ愛』というドラマで、光武帝の奥さんが主人公。ちょっと前に武帝の奥さんが主人公の『賢后 衛子夫』っていうドラマもDVD化されてましたが、いずこの国でも近年は女性ものが人気なのはいっしょか。光武帝ドラマがないなあとは以前から思ってましたが、まあ地味だし仕方ないかとも思ってたんですけどね。

 また、映画では『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』という中国映画が公開中。主演はこの手の映画やドラマに引っ張りだこのファン・ビンビン。連ドラで以前も楊貴妃を演じ、近年は武則天も演じております。監督はチャン・イーモウ、ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)、シー・チンの3人となってるけど、イーモウや田壮壮がこの映画取ってたって初耳だなあと思って中国版wikiを見ると、メインの監督はシー・チンで二人は監督捕という位置づけのようです。と言ってもいつものごとく東京と大阪でしか公開されません。映画板にも書きましたが、近年は特に若者の洋画離れが激しく、中でももともとシェアの低かった中華圏映画は特に苦しいのです。



#10527 
黒駒 2017/03/21 00:13
武田鉄矢さん

時代劇の「水戸黄門」のようですね。最近「光圀伝」という作品も流行りましたけど、私は鈴木暎一氏の『徳川光圀』などを読み、幕末の水戸藩事情も興味を持ちぽつぽつと勉強していますので、史実の苛烈な光圀も武田鉄矢に演じてほしいです(笑)。龍馬や勝海舟のような「英雄」よりは、そっちのほうが合ってると思うのですよね。

光圀もいいですけど烈公徳川斉昭も合ってると思います(笑)。



#10526 
徹夜城(今また南北朝列伝追加の作業をしてる管理人) 2017/03/18 22:41
そうそう、南北朝ネタといえば。

 いつも何かネタをひとつ書き忘れてます(汗)。

 何の話かといえば、武田鉄矢さんが水戸黄門になるとの話で。歴代水戸黄門に新たな歴史、ということになるんですが、なんつっても武田鉄矢さんといえば楠木正成。水戸黄門こと徳川光圀は楠木正成を大忠臣として大絶賛、南朝正統論と合わさって後年正成が民族英雄みたいに祭り上げられる原因を作っています。正成演じてた人が光圀を演じることになるというのは南北朝マニア的には面白い符合なのであります。

 さらについでの話をしますと。
 先日、映画監督の鈴木清順さんが亡くなりましたが、以前NHKの歴史番組(タイトル忘れた)で、兄の清順監督と、弟の鈴木健二さんの二人が出演し、それぞれ尊氏・直義の立場を擁護する形で番組を進める、というのがあったんですよ。南北朝ネタ自体が珍しいのに、実際の兄弟で兄弟対決論をやるという試みが面白かったで于。まぁ内容自体は特に記憶に残らないものでしたが。




#10525 
徹夜城(真田太平記で歴史ドラマ好きを自覚した気がする管理人) 2017/03/18 00:01
真田信之、李元昊、藤原秀衡…

 昨日のニュースですが、俳優・渡瀬恒彦さんが亡くなりました。
 とにかくいろんな作品にいろんな役で出ていた方なので「代表作」を決めるのが難しいのですが、僕は感受性の強い時期に「真田太平記」にハマっていたもので、しかも渡瀬恒彦という俳優を覚えたのがこれということもありまして、やはり渡瀬恒彦といえば真田信之、なのです。同様に真田昌幸といえば丹波哲郎で。
 渡瀬さんとの「初対面」が「真田太平記」の信之だったし、その後の出演作でも比較的落ち着いた、あるいはコミカルなキャラが多かったのでそんな印象を持っていたのですが、その後若い頃のアクション映画やヤクザ映画を見たらずいぶん印象が分かりましたね。暴れ者の多い東映京都撮影所で誰もが「あれにはかなわない」と言ってたのが渡瀬さんだったそうで。
 歴史ものだと、映画「敦煌」の李元昊がありました。西夏語を話す場面も多いですが、「宋の言葉」として日本語を話す(最近の「沈黙」でもポルトガル語が全て英語で表現されたりしてますね)のですが、「わしの宋の言葉はどうじゃ」と佐藤浩市に聞いて「大変お上手」と言われるんですが、そりゃそうだろうと(笑)。「歴史に名を残すのは、お前じゃない」という決め台詞も印象的でありました。
 大河「炎立つ」で藤原秀衡を演じてましたが、これ、確か北大路欣也降板による代役なんですよね。あと東映のアニメ映画「三国志」の第三部で曹操役をやってますがこれも前二作で曹操役だった渡哲也さんの代役、ということのようです。

>最近読んだ本
 半藤一利・出口治明の対談本「世界史としての日本史」(小学館新書)をそこそこ面白く読みました。「日本史を特殊な歴史ととらえてはいけない、世界史の中の一つとしてとらえなくては」という趣旨に大いに賛同して買ったですが、その趣旨はあるにはあるものの話が近現代
ことに明治から敗戦までに集中してるのであまり貫徹されてなかったような。むしろ「日本のここがダメ」という話が多くなるので(その指摘のほとんどは実に納得ですが)かえって「日本特殊論」の方向になっちゃってるようにも思えてしまい…
 最近の日本で目立つ「日本凄い」テーマの本やTV番組には「情けない」と強く批判してましたね、読んでると戦前と戦後、日本人の変なクセはあまり変わってないんじゃないかと怖くもなります。

>南北朝ネタ
「バンデット」、新田義貞も高師直も登場しました。次から次へと南北朝スターたちが登場するので南北朝マニアとしては毎回たまりません(笑)。次回以降、鎌倉を舞台に北条一族が登場しそうです。
 なお3月末に森茂暁先生の「足利尊氏」が発売されます。尊氏の伝記本というのも案外珍しいんですよね。


>バラージさん
 毎度、お調べくださりどうも。結構ソフト化されたものも多くなりましたね。
 動画配信はソフト化よりはハードルが低いのか、ソフト化されてない作品を鑑賞する手段としては期待できそうです。
 「歴史映像名画座」は春のうちには更新しようかな、と。いま全159回の韓国ドラマ「龍の涙」(太祖李成桂から太宗李芳遠の朝鮮王朝建国期を描く)をあと数回のラストスパートに入ってますんで、それを見終えてからにしようと。



#10524 
バラージ 2017/03/13 16:10
DVD化情報

 連続書き込みになってしまってすいません。またAmazonで調べてみたところ、歴史映像名画座の作品で新たにDVD化されているものがいくつかありました。#10429で触れたものとまとめて記述させていただきます。

『原始人100万年』『ジンギスカン(1965年の映画)』『ピラミッド』『ワーテルロー』『1000日のアン』『シャイアン』(以上、復刻シネマライブラリーよりDVD化)
『ジュリアス・シーザー(1970年の映画)』『コンスタンチン大帝』(以上、激安DVD10枚組パックでDVD化)
『ノアの箱舟』

同様にAmazonで調べたところ、DVD化はされてないものの過去にビデオ化されたことがある映画。
『戒厳令下チリ潜入記』

またテレビドラマのDVD化作品については以下の通り。
『経世済民の男』(3作品とも、BOXもバラ売りもあり)
NHK大河ドラマ『春の坂道』最終話、『勝海舟』総集編、『春の波涛』完全版、『いのち』完全版、新大型時代劇『武蔵坊弁慶』完全版



#10523 
注進者 2017/03/13 04:20
神田の古書の動向

神田で「大観園の解剖」て本を万札叩いて買ったのですが。戦前のハルピンの阿片窟の満州国治安機関の極秘文書の復刊本ですが。
戦前の日本の麻薬戦略に関わるような本を購入しようとすると、やたらと売れていて値段が高い。
里見甫と関わって阿片を売っていたフィクサーが安部総理の親族ですよね?
別に総理が買い占めているとは言いませんが、アパホテルとか怪しいな。



#10522 
バラージ 2017/03/12 23:07
動画配信

 映画板の方にも書いたんですが、DVD化されてない映画で動画配信がされているものがあるのを最近知りました。映画.comで作品検索すると作品情報の中に動画配信情報もあるので非常に便利です。
 歴史映像名画座収録作品では、『卑弥呼』『火の鳥』『紅顔の密使』『紅顔の若武者・織田信長』(←映画.com他の映画サイトでは『織田信長』というタイトルになってますが、ポスター類では『紅顔の〜』になってます)『徳川家康』『荒海に挑む男一匹 紀の国屋文左衛門』(←こちらが正しいタイトルのようです)『竜馬を斬った男』が動画配信されています。結構多いなあ。時代は動画配信に向かっているのでしょうか。
 以前紹介した名画座未収録歴史映画だと、『富士に立つ若武者』『曽我兄弟 富士の夜襲』が配信されてます。また、これはDVD化もされてる映画ですがたびたび紹介してる『真田風雲録』も動画配信があります。DVDレンタルはほとんど見かけないんで、DVDを買うよりは価格的にはるかにお手軽でしょう。
 それから『水戸黄門海を渡る』がついに4月にDVD化されるようです(こちらはいまのところ動画配信はないようです)。



#10521 
バラージ 2017/03/11 20:59
あれから6年

 まだ6年。

>大河ドラマDVD
 『琉球の風』と『武蔵』は前記のとおり総集編のビデオ化もされていません。近現代史三部作や『秀吉』『徳川慶喜』もビデオ化がされず、長くDVD化もされませんでしたが、その頃NHKにメールで聞いてみたところ、「出演者・スタッフの中にソフト化に同意しない人がいる」という回答でした。ということは『秀吉』『徳川慶喜』はその後同意が得られたってことなのかなあ? 近現代史三部作がそろって同意が得られてなかったというのはちょっと怪しい気もしますが。
 『琉球の風』の出演者でその後刑事事件に関わった人がいると言われて、そういえばと思い調べてみたら2人ほどいるんですね(って2人もいるのかよ)。ただ、1人のほうは最近完全版が出た『元禄繚乱』にも出てるんで問題ないでしょう。もう1人がいまだ服役中のようで問題はこちらか。そういやこの人『北条時宗』にも出てたな。出番は少しだったんで総集編には出てないという理由でそっちだけDVD化されてるのかも。もっとも事件を起こす前のビデオ時代にも『琉球の風』はビデオ化されなかったんで、それだけが理由ではないとも思われます。まあ需要に関しては残り5作品と近現代史三部作で大した違いがあるとも思えないし、上記のような問題がなければ完全版も順次DVD化されるんじゃないかと思いますけどねえ。
 あ、『春の波涛』は前に書いたとおり、難しい字の「濤」ではなく簡単な字の「涛」が正しいようです。

>史点
 森友学園については僕もだいたい同じ意見です。ただ僕はその存在を今回の件まで知らなかったんで、最初にニュースで運動会の選手宣誓の映像を見た時は驚きとともに、第一印象としてまず何より「幼稚園児に何やらせてんだ」という気持ち悪さ―生理的不快感・嫌悪感を感じました。そう感じた人が圧倒的大多数でしょう。なんかそのうちに「日本良い国、清い国。世界に1つの神の国」とか言わせ出しそうな雰囲気ですし。逆に言うとこれが幼稚園児じゃなかったらここまで世間は反応してなかったかもしれないなあとも思います。
 一口にウヨクといってもピンキリで、その立場もそれぞれ微妙に違ってると思うんですが、その中でもかなりレベルの低いものが最も露骨で醜悪な形をとって現れたという感じでしょうか。とはいえこういうウヨクさんが珍しいわけでは決してないんだよなぁ。ただ映像でわかりやすく出たから目立ったってだけで。

 トランプ大統領は基本的にはめちゃくちゃな人ですが、時々わりとまともになることがあり、その意外なブレの大きさがこの人を読みにくくしているように思います。
 『1984』は日本では村上春樹の『1Q84』がベストセラーになった時にその影響で売上が上がったという話がありましたね。



#10520 
つね 2017/03/11 02:07
史点感想

お疲れ様です。

いくつか感想を。

>マサオさん
たしか空港で突撃インタビューされ(この身軽さが命取りになってしまいましたが)、「日本語は分かりますか?」と日本語で質問されたのに対し、流暢に「分かりません」と答えていたのが、ネットでは話題になっていました(笑)。しかし素人を使って逮捕されたり、空港の監視カメラに捉えられたり、やたら証拠が残る暗殺で、組織の低レベル化を感じます。最近の北朝鮮を見ていると、自分の足を食うタコを思わせるところがあります。

>信長
歴史上の人物というのは、有名な分、後の政権でイメージ化されているところもあり、評価が難しいところです。残虐性は強調されているところもあり(無から有ではないでしょうが)、「意外と」優しいエピソードがあったりもします。宮仕えしにくい人ではありそうですが。本能寺の変の時期は、真言宗と対立しており(高野聖を処刑していた)、高野山では「仏敵調伏」の祈祷をしていたころで、効果てきめんだったようです(笑)。さすが密教。まあ宗教との対立も、今の日本の無宗教化の一因と評価する人もいます。本能寺の変は当日や事後の動きを見ると、どうも陰謀めいたところは感じませんね。光秀の衝動的な行為と私も思っています。

>政権批判
私はリベラルに批判的なところがあります。ブレグジットやトランプ政権誕生にも批判的ですが、そうした事象の原因は「行き過ぎたリベラル」にあると思っています。「1984」が売れているというのは初耳。昔、読んだことはありますが、「ニュースピーク」とか「ダブルシンク」とかが「オルタナ・ファクト」と被るのかなあ。トランプさんは分かりやすい人なんで、かえって暴走を妨げられている面がありそう。これがより紳士的な人物で、黙々と政策を実行していくほうが怖い。ヒトラーがまさにそうで、シュペーアなんかの知識人がやられてしまってました。

「アベは独裁」とか叫んでいる人を見るたびに、「そう言えてるんだから独裁ではないだろう」と思います。皮肉な言い方ながら批判があるのは健全な証拠でしょう。ある種の人はツイッターで、「森友のような事件が起こるたびに、北朝鮮のミサイルや地震が起こるのは、アベの陰謀」と叫んでいました。右も左も極端な人は滑稽な存在です。



#10519 
徹夜城(自分の周辺では受験期も過ぎた管理人) 2017/03/10 23:56
ご無沙汰してます

 管理人のくせにご無沙汰してます。まぁここ一か月は時期が時期ですし…「史点」もさんざん遅れて昨夜にやっと更新。伝言板も眺めてはいたんですがレスがズルズル遅れました。いま、まとめてレスさせていただきます。さて、どのへんからいきましょうか…


>アジアのバカ大将さん
 お久しぶりです。前の書き込みにレスしないうちに次の書き込みになってしまいました。
 旧インド方面にお行きになったとか。僕も正直よく知らない地域なので、面白いお話がありましたらうかがいたいところです。インパール作戦といえば、僕の祖父はビルマ方面まで出征して九死に一生を得て帰ってきたと聞いてます。以前軍の編成などから祖父がインパール作戦に参加したかどうか調べてみたことがありますが、とりあえずそっちにはいってないみたい。ただ深刻な飢餓状態は体験したと幼いころの僕の父に語ってはいたそうです。
 アマゾンのレビューについては分からないですねぇ…都合の悪いのを消すこととかできるんでしょうか。僕も投稿はしたことないんでなんとも…
 ただ貴方が挙げておられた一連の方々の著作の大ざっぱな目次と内容紹介くらいは話のタネに目を通していて、投稿こそしないけどバカにはしてます(笑)。
 最近僕の興味の分野で気になってるトンデモ本がありましてねぇ…時間がとれたら久々にヘンテコ歴史本で扱おうかな、と思ってます。

>森友学園ネタ
 onさん、アジアのバカ大将さんが触れておられる例の森友学園の話題ですが、僕も昨日「史点」ネタにしております。そっちでだいたいのことは書いたんですが…今日になって小学校の認可取り下げへ急転直下、なにやらこの一日の間に何か「風」でも吹いたかな、と。
 「史点」でもあの森友学園理事長の主張に「オリジナリティがない」と書きましたけど、昨日のどこぞのインタビューでは「私はヘイト発言なんかしてない、八紘一宇の精神で…」と言い出し、「ああ、それもやっぱり来るか!」と(笑)。「八紘一宇」を世界諸民族仲良く、と説明する人に限って民族差別を露骨にするという実例がまた一つ。「オレは人種差別と黒人が嫌いだ」みたいな発言であります。

>ベトナム人の名前
 ろんたさん、サラマンサさんのお話、僕もかねて興味を持ちつつ良く分からなかった件でして、納得させていただきました。
 ちょうど先日、天皇・皇后がベトナムを訪問し、「東遊運動」で知られるファン・ボイチャウの記念碑を訪問してましたが、それを奉じるニュースでも略称は「チャウ」となってました。

>応仁の乱
 黒駒さん、孟きょうさんが話題にしてる「応仁の乱」、口コミで意外なヒットになってるそうですねぇ。僕はまだ読んでませんが、戦国マニアもその発端である「応仁の乱」自体は気になってた、っていうこともあるんでしょうか。入門にちょうどいい?のかと思ったりしましたが、ネット上で聞く所では結構専門的という話ですよね。切り口が面白いという話もあります。ま、そのうち読んでみます。
 この本のヒットで「大河になるんじゃ」なんて声もネットで見かけましたが、「花の乱」の存在じたいを知らない人が多いようで…

>注進者さん
 ご報告ありがとうございます。単行本第一巻が出たということですよね。
 モーニングの連載のほうはたまに飛ばしつつチェックはしております。赤松円心から始まり、護良親王(まだ尊雲ですが)と後醍醐の確執と正中の変、そして物語は下野国足利荘に移り貞氏・高氏・直義が登場。そこへの途中で佐々木高氏(のちの道誉)も登場…と毎回ワクワクさせられてます。
 最近ではなんと!「足利高義」が登場という事態に、「やられたっ!」と(笑)。いや〜僕もこの高義って実は重要だと思ってて、ひそかに企画してる創作物でも重要なキーにしてたんです。「バンデット」にこの点は先を越されたな、と。

>バラージさん
 DVD情報、どうもです。「春の波濤」も完全版が出ましたか。あれも盗作疑惑があったりとトラブルつきなのでソフト化が遅れたようにも思ってましたが。「武蔵」もそのクチではないかと思ってますが、完全版出したところで需要は…とそれこそ思ってしまいます。そうそう、それ以来の大河出演になるそうですな、市川海老蔵さん。
 「琉球の風」はビデオの総集編だけでしたっけ。需要ウンヌンもあるかもしれないけど沖縄では売れると考えられますし。出演者の方の問題かなぁ…重要人物を演じてる人にその後刑事事件に関わっちゃった人がいますし。



#10518 
アジアのバカ大将 2017/03/10 12:11
個人名を冠した学校

「安倍晋三記念小学校」が政治問題化していますが、
個人名を冠した学校って世界的にも珍しいんじゃないですか?
日本では、確かか福沢諭吉や大村益次郎が学んだ「適々斎塾」
(適々斎は塾長、緒方洪庵の号)と松下(幸之助)政経塾くらい
ですか。
 安倍首相とその取り巻きの発想は、日本の伝統から少しずれ
ていると思っていましたが、これは大ズレですね。
 海外で有名なのは「キムイルソン総合大学」。籠池理事長は
これに習ったのではないでしょうか。運動会の選手宣誓での
「安倍総理がんばれ」は、「宣誓、われわれは偉大な
安倍晋三思想にのっとり」まであと二歩くらいの気がします。



#10517 
バラージ 2017/03/06 21:36
DVD化情報

 今日の新聞に広告が載ってたんですが、大河ドラマ『春の波涛』の完全版がDVD化されました。これで近現代史三部作のDVD化が完了。さらに『春の坂道』の最終話もDVD化とのことで、NHKはDVD化できる大河は全部するつもりなのか?
 これで完全版がDVD化されていないのは『北条時宗』『峠の群像』『八代将軍吉宗』。総集編すらDVD化どころかビデオ化もされてないのが『琉球の風』『武蔵』。後者はキャストかスタッフにソフト化に同意しない人がいるのかもしれませんが、前者は単に需要がなさそうと思われてるんでしょうか。



#10516 
孟きょう 2017/02/28 20:21
応仁の乱関連

「応仁の乱」売れてるみたいですね。書店のポップを眺めて驚きました。
東洋史畑からは内藤湖南氏が時代の転換期と評価したものの、日本史の他の時代と比べて頭の整理が必要だったり、室町幕府が不人気で軽蔑され気味でどこか忌み嫌われている感のある時代ですよね(結構あとの時代がメジャーすぎるのもあるけど)。当時世俗な雑誌類で叩かれまくっていた「花の乱」の低視聴率が印象的だった歴史題材ですが個人的には好きな時代ですのでもう少し人気が上がってほしいですね。
 有名媒体での映像化も挑戦はなかなか難しいと思いますが上手な演出を絡めて、もう1本、もう2本勇気を振るって企画を通していただいて21世紀中旬までに映画なり連続ドラマなりで鑑賞できれば嬉しいのですが・・



#10515 
注進者 2017/02/28 00:26
太平記マンガを見つけました。

徹夜城さんへ。講談社モーニングコミックス
「バンデッド」という太平記のマンガ単行本を見つけました。珍しいので注進いたします。



#10514 
黒駒 2017/02/26 23:52
応仁の乱

中公新書の「応仁の乱」が口コミにより広まり、18万部のベストセラーだそうですね。中公新書は新書のレーベルの中でもグレードが高いですし、それでいて専門書に比較すれば安価で手に取りやすい事情もあるのでしょうが、やはりテーマのマイナーさからすると驚かされます。「花の乱」は当時最低視聴率でしたし。

私は応仁の乱は前々から興味を持って本も読んでいますが、南北朝などと同様に畿内だけでなく全国規模で展開してきますし、人名の把握などに非常に労力を使います。応仁の乱の状況との関係する室町後期から戦国に入る東国の情勢なども、足利・上杉・長尾などの人名が大量に出てくる非常に把握するのが大変です。家が分かれてくる上杉などは特に。

ふと思ったのですが、こういう一般にマイナーな人物が出てくるような話は三谷幸喜のような人にキャラクターの性格付けをしてもらえば、上手く映像化できるのではないかなぁと思います。



#10513 
ろんた 2017/02/26 18:55
ご教示感謝

>サラマンサさん

ああ、少なくとも今回の報道では、ベトナムの習慣に則っている、ということですね。有難うございます。

でもそういうことなら、ちょっとメディアでも解説なりしてくれれば良かったのに。まあ、見逃し、聞き逃ししていたんでしょう。

で、連想ゲーム式に思い出した話。中国人言語学者・趙元任(Chao Yuen Ren)が自伝で、自分の名前を欧米式に"Y.Chao"と表記すると中国では100万人の"Y.Chao"が出現するが、"Y.R.Chao"とすると600人に激減する、と書いているらしいです。姓の種類が少ないのが原因でしょうが、ベトナムでも同じような事情があるのかな? っていうか、向こうからすれば、日本人の姓が多すぎるんだと思いますけど(笑)。



#10512 
サラマンサ 2017/02/25 17:42
ベトナム人名のこと

>ろんたさん
 ベトナムの人名は漢字表記が可能ですが中国式とは仕組みが少し異なります。個人のアイデンティティを表す名前は基本的に最後の一音のみです。
 またべトナミ人名を呼称する際にはフルネームや姓ではなく、最後の個人名のみを使用します。報道での呼称がどんな基準になっているかは分かりませんが、件の人物をフォンと呼ぶのもまったく根拠のないことではありません。
 



#10511 
ろんた 2017/02/25 11:09
気になって仕方がないニュース

「フォン容疑者」って連呼してるけど、ドアン・ティ・フォンがフルネームだったら、「ドアン容疑者」が正解じゃないのかなぁ。ホー・チ・ミンが胡志明と書けるように、ベトナムもフランスの植民地になるまでは朝鮮同様、中華文化圏の一員だったわけで、名前も中華式になっているはずだけど。フォン容疑者って聞くと、アン・ジュン・グンをグンさん、ホー・チ・ミンをミンさんって言ってるような、変な心持ちになる。それともあのフルネーム、わざわざ姓名をひっくり返しているんだろうか。


これだけじゃアレなんで、時代劇特番の話など(詳しくはBS朝日へどうぞ)

「新陰流 上泉伊勢守信綱」(BS朝日 2017/03/03 19:00-20:54)
スタッフ→脚本:石倉保志/監督:金佑彦/
出演→上泉伊勢守信綱:村上弘明/長野業政:田中健/武田晴信:原田龍二/長尾景虎:山田純大/文五郎:石黒英雄/愛洲移香斎:勝野洋/正子(長野業政の娘):高島礼子/ほか
あらすじ→上州侵略を狙う武田、北条軍に対抗し、長尾景虎の援護を受けながら箕輪城主・長野業政の下で、国を守るため一騎当千の活躍を続ける信綱。しかし、関東管領・上杉憲政の失策と長野業政の死去により武田軍に敗れた信綱は、死を覚悟で武田晴信に新陰流を広めるため京に上ることを願い出る。

テレビドラマデータベースによると「群馬の地元住民らが中心となって設立した番組制作実行委員会の後押しでドラマ化」となっています。箕輪城址、大胡城址を撮影に使わせるなど、かなり協力しているみたい。となると「新陰流を広めるぞ!」「お〜〜〜っ」と上州を出たところで終わりかな? 人質籠城事件解決とか「それは悪しゅうござる」とかはやらないんでしょうか。しかし、それより気になるのは高島礼子の娘役だったりして(笑)。



#10510 
2017/02/24 23:47
on

こんばんは。さてニュースで話題になっている国有地問題の某学園。海外等で教育方針が報道されていたみたいです。
言わずもがなですが印象は・・・
芥川ではないですが、ただぼんやりとした不安という言葉が現れては消え(^^;

on


#10509 
バラージ 2017/02/21 22:38
黒駒さんへ

 ああ、なるほど。つまりガンダムみたいに創作されたオリジナルの作品内史が存在する作品ってことですか。だとすると、やはり「準歴史もの」という表現はちょっと違うような気がします。「歴史もの」と表現すると、どうしても実際の歴史を連想してしまいますからね。適当な表現が思いつかないんですが、「作品内史が存在する作品」という直接的な表現が適当なように思います。



#10508 
黒駒 2017/02/21 15:40
バラージ様

「精霊の守り人」ですが、私は「歴史映像と言えば間違いなく違う」と断った上で言ってますのであしからず。「精霊」が系譜小説的な作品なのか存じませんが、アイザック・アシモフやスターウォーズを「歴史もの」と形容しているだけの話です。



#10507 
バラージ 2017/02/20 22:51
『謀略』と『風雲録』

 映画『真田幸村の謀略』をDVDで観てみました。
 ある意味では予想通り、ある意味では予想と違いましたね。『柳生一族の陰謀』からの流れの作品なので作風はそっちに近く、『真田風雲録』とは全く違うだろうな、というところは全くの予想通りでした。この作風の違いをどう表現すればいいのかな?と映画を観てる間ずっと考えてたんですが、パッと思いついたのが漫画評論家の夏目房之介が著書『消えた魔球』の中で漫画の作風として表現していた「本気派」と「テレ派」です。前者の代表を梶原一騎、後者の代表を手塚治虫としてるんですが(あるいは個人的な考えでは本宮ひろ志と永井豪に置き換えてもいいかもしれません)、『柳生』『謀略』を本気派、『風雲録』をテレ派と表現するとピッタリなんですよね。また、漫画的表現で言えばエログロナンセンスのうち、ナンセンス満載だがエログロはない『風雲録』と、エログロ多めでナンセンス少なめの『謀略』というのも対照的だし、役者の芝居も『風雲録』の軽妙な演技と『謀略』の東映時代劇的重厚演技がこれまた対照的。『謀略』は物語上のアイデアや舞台・道具立てで『風雲録』を参考にしたところはあるかもしれませんが、出来上がった作品はほとんど別物と言っていいと思います。ちなみに『風雲録』は映画『ジャズ大名』やドラマ『仮面の忍者 赤影』に影響を与えたなんて説もあるようです。どっちも観てないからほんとかどうか知らんけど。
 予想と違ってたのは、しょっぱなから飛ばしまくってた『柳生』に比べるとそれほどのトンデモ時代劇ではなく、夏の陣前の終盤まではわりと普通の忍者時代劇だったところ。出てくる忍法とかも古典的忍者時代劇ではさして珍しくもないもののように思います。ただ、なんというか前記の通り、作風がこてこての時代劇なんだよなあ。特に秋野暢子演じるジュリアおたあ(後に三好清海入道)が幸村に頬を引っ叩かれて惚れちゃうという一昔前のベッタベタなエピソードは苦笑もの。今だったらあんなのありえないよ(笑)。あと、猿飛佐助の設定や目的や位置づけが中途半端というか、わけわかんないんだよなあ。自分のことを「草の者」とか言って過剰に思い入れもあるようなのに、実は宇宙人であっさり宇宙に帰っちゃうとか意味不明。まあ、それでも最後まで退屈せずに観ることはできます。『風雲録』の足元にも及ばないし、『柳生』ほどでもないけれど、それでもまあまあ面白かったです。

>精霊の守り人
 僕は去年の第1シーズン?をちょろっとだけ観て、あとは雑誌記事とかで読んだだけですが、「大河ファンタジー」と銘打ってることからもわかる通りファンタジードラマです。もともと原作小説があり、アニメ化やマンガ化もされてるようですね。ファンタジーですので現実世界ではなく異世界(架空世界)を舞台としており、準歴史ものと呼ぶのは難しいかと。
 一方、武侠小説はものすごく単純に言ってしまうとアクション時代小説。もともと中華圏発祥で、それを映画化・ドラマ化したものが武侠映画・武侠ドラマなんですが、近年では映像オリジナルのものもあります。韓流にはくわしくないのでよくわかりませんが、武侠ものはアジア全域で人気なのでオリジナルものを作ってるのかもしれません。



#10506 
アジアのバカ大将 2017/02/18 23:54
旧インドから帰ってきました

 お久しぶりです。旧インド(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ)に仕事で短期駐在してきました。日本人には、おなじみのインパールはじめ第二次大戦の故地について、機会があればお話ししたいと思います。
 なお、皆さんのお知り合いで、Amazonのブックレビューに出入り禁止になった人はいませんか。小生、昨年末に過去のレビューやコメントを、すべて消去されてしましました。さらに新に書きこめなくなりました。
 主にウヨ本(著者・田母神俊雄、倉山満、青山繁晴、長谷川慶太郎、水間政憲ら)の「ギャグ」に突っ込みをいれて、笑いものにしていただけなのです(例:田母神俊雄の本について、「(田母神曰く)核を持たないと一等国になれない←北朝鮮は一等国だったんだ!」。ぜひ特定機密保護法で罰してほしいものです。日本空軍のトップがこれだけ頭が悪いという重大な国家機密を公にしてしまったのだから等々)
 Amazonの規約にも公序良俗には反していなかったはずです(そもそも過去5〜6年間問題なし)。「と学会」本や歴史の専門書(「義和団運動の起源」など)もすべて消されました。
 もし、知人友人またはご自身に、同様の経験のある方は教えていただけませんでしょうか。
 荷物を整理しましたら、またちょくちょく寄せていただきます。



#10505 
黒駒 2017/02/18 23:05
精霊の守り人

「精霊の守り人」の今日放送回を見ました。まったく見てないので話はさっぱりわからず、絵面だけチェック。うーん。これって韓流とか中国歴史ドラマなどの「武侠もの」っぽいのかな?と思ったのですが、どうでしょう?

最近、大河「清盛」なども再見しているのですけが、画面をちょっと汚くし、船や市場などセットを作りこんで「世界観」を演出し、セットを活用した大アクションをする・・という感じでしょうか。

韓流などあれだけヒットしてますから需要はあるわけで、なんとか日本のドラマでああいう市場を開拓できないかと目論んでいる印象があります。

「精霊の守り人」は歴史映像かと言えばそりゃまったく違うのでしょうけど、NHKの大河ドラマスタッフや出演役者が出ていますし、準歴史もの・・とも言えなくもないかもしれません。



#10504 
バラージ 2017/02/13 22:36
幸村と家康の顔合わせ

 『真田丸』終了から1ヶ月も経って今さらの話なんですが、ふと思い出したことがあるもので。
 最後の天王寺の戦いで信繁(幸村)と家康が対峙する場面は映画『真田幸村の謀略』(僕は未見)のオマージュではないか?という話があったんですが、確か『真田太平記』でもそういう場面があった記憶があります。対峙というか、逃げて休憩している家康の眼前まで幸村が肉薄し追いつめるが、家康の周りに兵が徐々に集まってきたのを見て討ち取れないと悟り断念する、というシーンだったように記憶しています。幸村が主人公の場合はやはり最後の戦場で家康と面と向かう場面があったほうがドラマ的に盛り上がるんでしょう。去年の映画『真田十勇士』でも、主人公は猿飛佐助にも関わらず、幸村が佐助とともに家康とお互いの顔が見えるところまで迫っています(ただし、この映画では幸村はもうぼろぼろで家康のほうは余裕綽々でしたが)。一方、大河ドラマ『徳川家康』『葵 徳川三代』ではそういう場面はありませんでした。
 では、一部に『謀略』のルーツ?という意見もある『真田風雲録』はどうかというと、そもそも家康が出てきません。この映画、徳川方で固有名詞で出てくるのは服部半蔵と坂崎出羽守ぐらいでして、あとは名もなき兵と忍者の皆さんだけ。主人公は猿飛佐助で幸村は脇役ですし(……って過去の書き込み見直したらそこに触れてなかった・笑)、どっちかというと夏の陣が始まるまでがメインストーリーで夏の陣自体はさらっと終わってしまいます。まぁもともとこの映画は上記作品群とはテーマがちょっと違いますからね。観ないで言うのも何なんですが、『謀略』とも部分的に似てるところはあったとしても、作品の核となる部分は全然違うんじゃないかと。『謀略』はいまいち観る気がしなかったんですが、松方さん追悼の意味も込めてレンタルDVDで観てみますかね。

>大河ドラマとか土曜時代劇とか
 『直虎』ですが、僕は早くも3、4話を見逃しちゃいまして。WOWOWでテニスの全豪オープンを生視聴&録画してたもんですから。ちょうど裏の時間帯でフェデラー対錦織の4回戦、そしてフェデラー対ナダルの決勝という決して見逃すことのできない試合があり、両試合とも期待にたがわぬ名勝負。特に決勝は歴史に残るであろう死闘でした。そんなわけで個人的には子供時代をあっという間にすっ飛ばし(笑)、柴咲コウさんになってからの2話を観ましたが、僕はわりと普通に面白いですけどねぇ。だからといって毎週欠かさず観たいというほどでもありませんが。僕は朝ドラ的大河も嫌いじゃないというか、朝ドラ自体も作品によっては結構観たりしてるんで(全話観たりはしませんが)。
 土曜時代劇『忠臣蔵の恋』も先日初めてしっかり観たんですが、なるほどこういう話でしたか。主人公が四十七士の恋人というだけの話かと思ってたんですが、主人公は後の月光院(六代将軍家宣側室、七代将軍家継生母)という設定なんですね。中盤で討ち入りが終わっちゃったみたいで、なんで?と思ってたんですよ。忠臣蔵かぁ……と思って敬遠してたんですが、観たらNHK時代劇は作りがしっかりしてるし、出演者もきちんとそろえててやっぱり面白い。武井咲ちゃんも上手くなったなあ。もうほとんど最終回なんですが、最初から観とけば良かった。
 一方、テレ東の『石川五右衛門』も東京より遅れて始まったんですが、こちらはまぁこんなもんかなぁという程度。個人的には高月彩良ちゃんぐらいしか見所がありません。



#10503 
ろんた 2017/02/12 17:42
追悼番組は辰兄と共演

なかなか反応できなくて申し訳ないです。

>松方弘樹
BSで流れてた追悼番組の番宣。やっぱり「釣り」かよ(笑)。「ファミリーヒストリー」は再放送を録画してまだ見てませんが、冒頭、品川隆二さんが出てきたのは嬉しかった。お元気そうで何より。元嫁さんとは「勝海舟」で知り合ったのかな? 海舟に手を出されちゃう、勝家の女中役だったけど(笑)。

>目黒祐樹
ミドルの猫 さんのおっしゃるような事情もあるかも知れませんが、本名の「目黒」姓を名乗っていることもあるかも。しかし、テレビで喋るんだから、wikiで下調べぐらいしろよ、と言いたいわけです。それにあの番組のレポーターは、とんでもないデタラメを喋っていることがあります。冥王星格下げの話題で「太陽系のはじっこだから"冥王星"と名付けられた(訳された)」と言ってまして、惑星名がローマ神話から付けられてるの知らなかったという。同じテレビ局の番組では去年の夏、「"七人の侍"がハリウッドでリメイクされる!」ってニュースを流してました。出演者やスタッフは、しっかり"The Magnificent Seven(荒野の七人)"って言ってたのに(笑)。

>「栄花物語」
バラージさん、わたしもTBSと言われて納得してましたから(笑)。「天下御免」もあったなぁ、と検索してみたら出てきたわけで、森繁というと何となくTBSって感じがするのはなぜなんでしょう。で、わたしも間違いを訂正。2時間のレギュラー枠(「時代劇スペシャル」)ではなく、特番だったようです。時代劇専門チャンネルについては、おっしゃる通りですね。ただ放送後に、フジ制作のものはBSフジでも流してるみたいです。

>「桃太郎侍」
元ネタはミドルの猫さんのおっしゃっている番組です。言われて見ると最後の殺陣の衣裳には葵の御紋が付いてます。高橋英樹版は多分、原作の後日談で、双子のお兄さんも時々出てきたと思いますが(大目付だったかな?)、毎週毎週、大名屋敷や旗本屋敷に押し込んで皆殺しにしているので、将軍の御落胤ぐらいじゃないとマズイ、というスタッフの配慮でしょうか(笑)。

>「大江戸捜査網」
わたしもどちらかと言えば、里見さんの印象が強いですね。里見さんはさわやかなイメージ、松方さんは色気があるというか、エロい感じがします(笑)。それにしても最近、BSで主演ドラマが放送されると訃報が伝えられる例が多いような。

>殺陣
「たけしの……芸能史」では殺陣師の方が、藤田まこと、三船敏郎、勝新太郎の三人を、殺陣が美しい、と挙げていました。三船と勝新は言わずもがななんですが、驚いたのは藤田まこと。言われて見ると腰が上下に動かず、達人感がハンパないです。とても「てなもんや三度笠」の人とは思えません。そういえば高橋英樹も出身は現代劇なんですよね。

>大河
「高橋幸治がなかなか死ななくてねぇ」という緒形拳のインタビューを見たことあります(笑)。ただ「直虎」の場合、井伊と今川の確執をしっかり描かないと、グズグズになっちゃう気がするんですけどね。あとこのドラマ、本当に朝ドラそのものじゃないか、という気もしています。朝ドラといえば、明るいしっかり者がヒロインで、男キャラは基本的に頼りなく、逆境を打開するのは決まってヒロインの無茶苦茶な行動、というのが定番だと思うんですが、そのまんま。ということで五回分の録画は削除いたします。

寿桂尼といえば、永井路子『姫の戦国』(文春文庫 上下巻)の主人公らしく、「直虎」じゃなくてこっちで良かった気がします(笑)。義元も氏真のその後は割愛して、義元左文字を次世代へのバトン代わりに、「志は信長、秀吉、家康に受け継がれた!」とか感動的に最終回を盛り上げればいけるかも。「黒衣の宰相・太原雪斎」という手もあるか。

>トランプ
素面なのに、あんなに顔が赤いのはなぜ? という疑問はともかく、驚くほどものを知らないことといい暴言癖といい、個人的にあの人は「アメリカの石原慎太郎」だと思ってます。石原さんも「支那」を連呼しているくせに語源を知らなかったり、「三国人が新宿で悪さをしている」なんていうのは明らかに「三国人」の意味を知らないですからね(あの年代の人としては信じられない)。まあ、大統領の方は「弟の七光り」は無いわけですが(笑)。



#10502 
黒駒 2017/02/04 01:25
トランプ政権など

私も今年はすごいスタードだなと最初のひと月からすっかり翻弄されてしまい、新聞とテレビニュースとネットで確認する速報は欠かせないニュースマニアになってしまいました(笑)。論壇誌のほうもいくつか。

「隠れトランプ支持者」というか、私は基本的にトランプ氏に共感するべき点は多いですし、自国の国益が第一であり、自国民の雇用を守り、不法移民やテロリストを追放すると、その理念自体はまるで間違ってはいないだろうと思います。不法移民は「不法」であればそれは追放されて当然です。もちろん一般のアメリカ人の多くもそう思っているはずで、世論も拮抗するわけですよね。

しかしトランプ氏はいくぶん乱暴で、雑草が生えているところをブルドーザーで軒並み踏潰すようなところがあります(笑)。

甘利明元大臣などはあれだけあっさりとTPPを葬り去る同盟国の「裏切り」に腸煮えくり返っているのではと思ったのですが、取材した映像を見たら意外と余裕で「永久に離脱ってあの人永久に大統領やられるおつもりかしら」と言っていました。

TPPの是非はともかくとして、おそらくトランプ氏のような政策の具体性に乏しく、ブルドーザーで踏み潰すようなやり方が長続きするはずがないと、見越しているのではないかと思いました。対してTPPは長い間議論して精緻に組み上げたシステムですから、それを起動させればきちんと機能するはずで、4年後かそれ以降か、いつか戻ってくるに違いないと。そう思っているように感じました。

日本の国内政治でも野党は反対ばかりで対案や修正案をなかなかを出さないと。移民でも安全保障でも共謀罪なんでもそうですが、必要性が存在しているからこそ法案が提出されるわけで、政治というのはやる/やらない、賛成/反対ではなくて、やるとしたらどういう法体系を組み上げるか、やらないとしたら代案としてどういうシステムを考えるかと。どちらにしても精緻な法体系を組み上げることが政治の役目、だと思います。

ですから、トランプ政権も移民を入れるにしろ入れないにしろ、やることは同じかなと思うのですよね。考古学で行われる土壌洗浄という手法で、メッシュの網の目を何ミリにすれば細かい遺物だけ採取できるか考えるように、篩の目をどのくらいの大きさにして、不法移民やテロリストだけ排除するかと、本来はテクニカルな議論になるべきだと思っています。



#10501 
明彦 2017/02/04 01:13
『沈黙』原作も是非

こんばんは。また久々にお邪魔します。
『沈黙』原作は「重厚な純文学でありながら無茶苦茶に面白く」(筒井康隆御大)という定義が当てはまるのでお薦めします。
「歴史小説」としては、「主人公の上司がヴァリニャーノで恩師がフェレイラ」という、年代を超越した確信犯設定が突っ込み所ですね。
で、映画ですが・・・「重厚な面白さ」を堪能しました。中村嘉葎雄がどこに出ていたか分からなかったのですが。
長崎周辺にちょっといただけに、「オール台湾ロケなのに何となく長崎っぽい風景」なのも楽しかったです。
で、塚本巨匠の熱演ですが・・・(以下ちょっとネタバレ)。
http://www.nishinippon.co.jp/nlp/get/article/301468
「全て実写」と見えて心配にさせる所が、技術と演技力ですね。



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