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#7298 
電羊斎 2006/12/11 22:53
ハーロック・ショーメス

21世紀になって新作が発見されると言うのもある意味「ルパン」らしい話かも(笑)

私はルパンといえば小中学生のころ南洋一郎版を読んだだけです。
しかし原作にないエピソードが結構付け加わっていたとはねえ。ぜんぜん知りませんでした。

あと、「ルパン対ホームズ」といえば、大学時代に友人のホームズファンが「ホームズはあんな間抜けやない!」と力説していたのが忘れられません。


http://honin.spaces.live.com/


#7297 
徹夜城(ルパン未読の作品を読んで感激している管理人) 2006/12/09 01:26
ルパンの歴史がまた1ページ…

 どっちの掲示板に書いたもんだか分からなくなってますが、まぁ管理人の暴走(宣伝こみ)ということで(笑)。

 実はこのたびルブラン作のルパンもので本邦初訳の作品を含んだ新訳が刊行されたのです。ただし小説ではなく戯曲なんですが。
 論創社の海外ミステリシリーズの新刊として「戯曲アルセーヌ・ルパン」がこのたび刊行されたのです。ルパンの原作者ルブランが手がけたルパンものの戯曲三作(うち2作は劇作家との合作)を収録したものです。
 一番長い4幕もの作品「アルセーヌ・ルパン」は日本では英文ノヴェライズを翻訳した「ルパンの冒険」「王女の宝冠」「消えた宝冠」などですでに紹介済みのものですが、原典どおりに戯曲の形で出版されるのはおそらく大正時代以来(驚)。
 2作目の「アルセーヌ・ルパンの帰還」は90年代に児童向け全集で翻訳が出ていたのですが長らく入手困難だった代物で(僕は市立図書館で借りて読みましたが)、今回は完全版として新訳されたものが収録されました。これは一幕ものの、しかも試作品に近いものなんですけどね。

 そして最大の目玉が三作目。これは正真正銘ルブラン自身が書き下ろし、当時のルパン役者アンドレ=ブリュレが主役を演じた「アルセーヌ・ルパンのある冒険」という一幕もの短編劇です。これ、上演されたことは分かっていたのですが脚本が長らく発見されなかった幻の作品で、21世紀になってからルブランの遺品から研究者が原稿を発見、ついにフランスで2005年に刊行された最新ルパン全集に収録されたといういわくつきの一作。当然日本でもこれが初訳となります。
 因業な芸術家が借金のかたに公爵夫人から取り上げた首飾りを、ルパンが一味とともに潜入して頂戴しようとするが、そこへ警察が踏み込んできて…という、短いながらもなかなか面白い戯曲です。実は「怪盗ルパン」シリーズといわれながら、作中でルパンが泥棒の仕事をしている描写が見られるケースはまれでして、かなりの新鮮さがありました。どうも読んでいて、「ルパン三世」に近いノリが感じられまして…(笑)。
 
 それにしてもこの時期になってルパンの未読の新作が読めるとは…と感激。
 この本、解説がまた凄まじく、ルパン研究家・住田忠久氏の詳細きわまる「ルパン史」が大長文で収録されていて、これまた大感激。「日本ではルパン本に対して出版社が冷たい!」と嘆いておられましたが、やはりまだまだ「怪盗ルパン」に対して誤った、偏った先入観を持つ人が出版業界でも多いのは確かなようです。それだけに今度の論創社の翻訳は大変な偉業なのだと思います。
 またこの解説ではルパン研究の最新動向も書かれていて、ルブランが晩年に書いていた(家族が手伝ったらしいですが)未発表の草稿が見つかっており、フランスで近々出版されそうだ…という情報には驚きました。これまで最後の一作とされ「ルパン最後の事件」の邦題もつけられた「ルパンの大財産」よりあとの、本当の意味でルパンが冒険に幕を引く注目のストーリーらしいのです。その名も「アルセーヌ・ルパン最後の恋」だそうで、どうもルブラン存命中に書きあがってるらしいのですよ。ルパンの祖先がナポレオン軍に従軍していたとか、ルパンに実の娘が2人いるとか、マニアもビックリな情報が出ていて、早く翻訳しろ!と叫ぶ僕でした(笑)。
 本国フランスでも知られていなかった幻の短編作品が最近見つかって翻訳(日本では昨年雑誌掲載)されるなど、ルパンワールドはまだまだ終わらない…というところでしょうか。ハヤカワミステリがようやく文庫版ルパン全集にとりかかって刊行中なのですが、これら新発見作品も含めて「完全版」を目指してほしいものです。


>マルクスの恋人さん
 お書き込みを拝読して、「そういえば『怪盗』って言葉をルパンにかぶせたのは誰だ!?」と根本的な疑問を抱きました。ルパンコーナーに掲載してある僕が作ったリスト(これも最近新情報が続々入ったので近日中にバージョンアップ予定)を見ればお分かりのように、ルパンシリーズ翻訳の立役者である保篠龍緒氏の訳では「怪紳士」「怪人」といった訳で、大正期の他の役者も「強盗紳士」と訳しているのです。
 で、とりあえず僕のリストで「怪盗ルパン」という題名が最初に出てくるのは1951年刊行の「講談社・少年少女世界名作全集」収録のものになってます。これ以前にタイトル以外で使われていた可能性大と思いますけど、確かに「怪盗」って子供向けに配慮した訳なのかもしれません。

 なお、昨年日本で公開されたフランス製作の映画の英語版予告編というものを先日見たのですが、そこでは「Gentleman-burglar」と出てました。これも「強盗紳士」ということです。
 などと調べていたら英語版「怪盗紳士ルパン」の全文を掲載しているサイトを発見してしまった…
http://www.authorama.com/extraordinary-adventures-of-arsene-lupin-1.html
 すげぇ、ホントに全文が英語訳されて掲載されています。原典を英語で読んでみるのも一興かと。ありゃ、問題の「おそかりしエルロック=ショルメス」がずばり「シャーロック・ホームズ」になってますな(笑)。
 なおこのサイトにも掲示が出てますが、ルブラン作品はすでに死後60年を経ているため著作権フリーということのようです。この辺、厳密な話をするとうるさい部分もあるようですが、著作権消滅を機にこれまで翻訳が出てなかった国でルパン出版ブームが起きているということもあるようです。



#7296 
マルクスの恋人 2006/12/08 19:51
神風強盗ジャンヌ

怪盗強盗一字の違い〜♪と言いますが、フランス語じゃ区別がないらしいと聞いて軽くショックを受けたことがあります。
まあ確かに、正体を明かしたり探偵に追いつめられたりすると拳銃取り出す怪盗は珍しくない(事後強盗罪)けどね。
Gentleman Cambrioleurを「怪盗紳士」と訳したのは(「強盗紳士」の訳もあるけど)名訳だったと言えるでしょうか。

少女漫画の「神風怪盗ジャンヌ」がテレビアニメ化されたとき、CM入りと明けのアイキャッチが
「Jeanne, de la cambrioleur!」であるのを聞き取ったときは、さすがにショックでしたよ。



#7295 
tomohiro 2006/12/08 08:47
そう。それ故に欧米人の主張を聞いてみたかったですねぇ。

>徹夜城さん
そうなんですよ。ボンド俳優ってイングランド人俳優をあまり起用しないんですよね。
制作している英米の映画会社の大人の事情もあるのでしょうが、
意図的に非イングランド人を多く起用しているのでしょうね。
それ故に、uk/アイルランドの民族の違いを出版して欲しかったです。
余談ですが、スター・ウォーズにて若き日のオビ・ワンの役に扮している
ユアン・マクレガーもスコットランド人です。




#7294 
ひで 2006/12/07 19:58
歴史映画4題

久しぶりに書くネタがこれでいいのかはさておき・・。

(1)キングダム・オブ・ヘブン ディレクターズカット版が出た
リドリー・スコット監督作品「キングダム・オブ・ヘブン」のディレクターズカット版が最近出ました。公開時にカットされた50分の映像を追加したヴァージョンですが、物語の展開上かなり重要なシーンをカットしてしまっていたことがよく分かりました(何で一介の鍛冶屋があそこまで戦えるのかも一応納得いきました)。ただ、海外では4枚組なのに日本版は2枚(本編が2枚に分かれてます)ということで結構文句を言う人はいるみたいですが。

(2)今度はクレオパトラ
ここのところ一段落付いたような感じの歴史映画ですが、ソニーがクレオパトラで映画を撮ろうとしているとか。映画に使うのが現在執筆中の伝記というのがちょっと微妙な気がします。それが書けなかったら映画もぽしゃってしまうんでしょうか。どんな感じの映画になるのかはまだ分からないようです。監督とかも全く決まってないし。

(3)スコセッシ、歴史映画を撮る?
現在、ローリングストーンズのドキュメンタリーを撮っていて、次は遠藤周作の「沈黙」を映画化するらしいスコセッシ監督ですが、中世ヨーロッパの映画を撮る可能性もあるようです。なんでも中世フランスの決闘を扱った歴史書の映画化権を買ったとか。映画化権を買ったと言うだけで即映画化されるわけではない(映画化権を買ったという話が出てからいつまで経っても映画化されたという話を聞かないものもありますし)とはいえ、どんな映画を撮るつもりなのか、ちょっと楽しみ。

(4)最近「麦の穂をゆらす風」を見た。
今年のパルムドール受賞作ですが、題材はアイルランド独立闘争とアイルランドの内戦を題材にした映画です。あくまで一般人目線で書いているため、有名人が登場するわけではありませんが、「マイケル・コリンズ」とちょうど時期的に被ります。マイケル・コリンズは名前だけしか登場しませんが、こんな映画もある、と言うことで。


http://pezetairoi.hp.infoseek.co.jp/


#7293 
景虎 2006/12/06 22:08
秘密結社NATTO

『定吉七番』とは、またなつかしい。
PCエンジンのゲーム版を持っていましたよ。

確か、東京の秘密結社『NATTO』と、『大阪商工会議所』が、秀吉の黄金を手に入れるために争うという話だったような・・・。
秀吉の黄金といえば、埋蔵金伝説を信じて探している人が、今もいるらしいですね。
本当にあるのかどうか分かりませんが、見つかったら大騒ぎになるのでしょうねえ。



#7292 
徹夜城(今度の007新作って昨年のルパンとコンセプトが一緒と思う管理人) 2006/12/06 15:37
ルパンとウィルヘルム2世その2

 ルパンとウィルヘルム2世の話をちょっと続けます。
 第一次大戦後のウィルヘルム2世ってどうしてたのか詳しくは知らなかったのですが、ウィキペディアで当人の項目を読んだら1941年6月没なんですね。この時点でヒトラーのナチス・ドイツはフランスを占領しており第一次大戦の報復をすましており、ウィルヘルムも喜んで祝電を送っているとか。
 実はこの年の11月にルパンの生みの親であるモーリス=ルブランも亡くなっています。晩年のルブランは「我が家にルパンが来る」といって警察を呼んだりしていたという逸話もあるんですが、彼の最後の作品「アルセーヌ=ルパンの大財産(邦題:ルパン最後の事件)」が単行本になって出たのもこの年。ドイツを敵視する内容を含むルパンシリーズもナチス占領下では禁書扱いになっていたという話もあり、晩年は暗澹たる気分だったかもしれません。以前NHK衛星でやったルブラン番組で映してましたが、彼の訃報もナチス占領下の新聞にひっそりと「ルパンの父死す」と出ていたそうです。
 
 つねさんがお書きのように、ドイルとルブランはなんだかんだで守備範囲が似ておりまして(笑)、歴史小説もどきも書いておりますし、愛国心高揚の戦争小説も書き、さらにはそれぞれ代表的なSF小説も書いています。ドイルの「失われた世界(ロスト・ワールド)」は有名ですが、ルブランのほうは今ひとつかなぁ…「三つの眼」というなかなか面白い異星人コンタクトものがあるんです。ほかに「ノーマンズランド(驚天動地という邦題が多い)」というSFパニックものもありますが、僕は未読です。

 肩書きの所に書いた話ですが、今度の「007カジノ・ロワイヤル」ってジェームズ=ボンドが00ナンバーになる時期のお話だそうで、主人公の「仕事始め」を描くという点では昨年公開された「ルパン」とコンセプトが一緒。しかもどっちもヒロインを演じてるのがエヴァ=グリーン、ってなるとちょっと偶然とは思えないんだよなぁ(笑)。
 そもそも「ボンドガール」じたい、ルパンシリーズで物語ごとに違うヒロインが登場するのとおんなじですよね(結婚すると必ず死んじゃうあたりも同じ)。

 で、tomohiroさんの話題とつながってくるんですが。
 その007ことジェームズ=ボンドを演じた俳優たち、「イギリス」諜報部員の役なんだけどなぜかイングランド人があまりいない、という面白い現象があります。初代のショーン=コネリーはスコットランド(しかも独立運動家だったりする)、一回でお払い箱になったジョージ=レイゼンビーはオーストラリア、ティモシー=ダルトンはウェールズ、前ボンド役のピアース=ブロスナンはアイルランド、といった具合。今度のダニエル=クレイグはロジャー=ムーア以来の生粋イングランド人ということでかえって話題になってます。
 まぁ日本人からすればどうもこの辺の違いはわかりにくいのですが、日本だって関西と関東じゃずいぶん違いますし…などと書いていたら、東郷隆「定吉七番(さだきちせぶん)」を思い出してしまった。大阪商工会議所の殺し屋兼情報部員、『殺人許可証を持つ丁稚』ってアレです(笑)。



#7291 
tomohiro 2006/12/05 21:26
スコットランド人の真っ赤な本当だ

皆さんこんばんは
数年前マクミラン・ジャパンなる会社で
“~人の真っ赤な本当”なる本が出版されていたのを御存知でしょうか。
形状としては新書版ほどの大きさで、100ページ弱ほどの薄い本でした。
欧米人が執筆している本で有りましたので、
多くの欧米諸国人の気質を執筆しておりましたが、
欧米以外の地域の人間としては
アジア人に関しては中国人と日本人がありました。
欧米人の作品だからアジアに対してはこのぐらいだろうと思って読みましたが、
その跡が、いけないです。
シリーズでイングランド人とウェールズ人にたいしての言及編が有ったのに対して、
スコットランド人に対しての言及編がありませんでした。
その代償に日本人向けに韓国人と台湾人に対しての言及編が出版されました。
欧米人が執筆した物であれば、原作のシリーズに忠実に有って欲しいと思った私は、
是非とも出版して欲しいと当時は思いました。
 今思い思い起こしてみたのですが、日本人は欧米人ほどスコットランド人とイングランド人の違いに対しては鈍感なのでしょうか?
欧米であれば、「ブレイブハート」に代表されるスコットランド人とイングランド人の対立の歴史を
描いた映画やテレビドラマ、小説が沢山制作されて居るぐらい敏感なんですがねぇ。






#7290 
パパゲーノ川崎 2006/12/05 19:05
お宝デイズ(続き)

徹夜城さま>

確かにKBS京都でも放映していますね。気が付きませんでした。。。
地元なのに(汗)
もうすぐ終わってしまうようなので、早めに観ておかないと。。。
それにしても、ローカル局独自で製作の番組はあまり多くの人が
観ることもないことが多いので、もったいないですね。




#7289 
tomohiro 2006/12/05 08:35
翻訳文学に対しての私の考え

徹夜城さんがルパンの翻訳を仰っておりましたが、
日本における輸入文学の翻訳の歴史自体改作/怪作のオンパレードなんですよね。
それ故に日本文学至上主義者にとっては、翻訳/輸入文学は
資料にしかならないという攻撃の根拠になっているのではと考えてしまいました。
日本文学はきれいでピュアな文章と考えたいのでしょうね。

http://resutoa.exblog.jp/


#7288 
つね 2006/12/05 01:15
行き違い

書き込んでいる間に管理人さんのコメントが入っていました。
チェックありがとうございます。
皇帝との会話があったのも覚えていますが、創作シーンだったのか。
「悪いこともしたが・・・」も怪しいな。
「覚えている」といっても、創作シーンばかりではねえ。

昔、弟が偕成社のルパン全集を揃えていたので(彼は読んではいないはず)、
年末に実家に帰ったときに、少し読みふけることにしよう。



#7287 
つね 2006/12/05 01:09
非歴史小説の歴史的背景

レスありがとうございます。
さっそく、あちらの掲示板にも投稿してきました。
レスに対する再レスは、また今度、あちらに書き込みます。

 たしかに、小説などの歴史的背景というのは、子どものとき分からなくても
大人になったとき、あらためて読んだ時に新たな感想を与えてくれますね。

 そういえば、ドイルもホームズを殺すくらいに、ルブラン同様(それ以上?)に
歴史ものを書きたがっているので、どこか似たものどうしだったのかもしれません。



#7286 
徹夜城(児童書コーナーでの立ち読みはちょっと気が引けた管理人) 2006/12/05 00:51
ルパンとウィルヘルム2世

 怪盗紳士淑女掲示板ではなくこちらで話題を書く以上、一応管理人としては歴史ばなしにからめまして…(笑)。

>つねさん
 その後、書店で南洋一郎著の児童向け全集版を立ち読みしてチェックしてきました。つねさんがお書きになっていた「アルザス・ロレーヌを象徴する女神像」が出てくるシーンは、「ルパンの大作戦」という長編のラストに確かにありました。ただし、このシーン、南洋一郎氏による完全な創作なのです。

 「ルパンの大作戦」の原典はルブランが第一次大戦真っ最中に書いた長編戦争&スパイ小説「砲弾の破片」というものでして、本来ルパンシリーズですらない形で発表されたものです。読者サービス心の旺盛な作家であったルブランは愛国心大爆発のお話を書いちゃいまして、ドイツ人がこれでもかとばかり悪役としてこきおろされてます。
 その後出版社からの要請があったようで、物語の中盤にアルセーヌ・ルパンが突然現れ主人公に謎解きのヒントを与えるという1場面が追加されて結局ルパンシリーズになってしまいました。ただしあくまで1場面だけ、しかも主人公の夢うつつのところに登場するので「夢だったのかも」って感じで片付けられてます。
 なお、「砲弾の破片」は現在入手できる忠実な全訳では「オルヌカン城の謎」というタイトルで統一されています。

 南洋一郎はこの「オルヌカン城の謎」を子供向けに改変するにあたってルパンを主人公に書き換えちゃってるわけなんですが、ついでに大戦終結後のエピローグまでつけてしまい、ここでくだんのアルザス・ロレーヌの女神像が出てくるわけです。
 原作にはないこのラストで、なんとルパンとウィルヘルム2世が語り合うという場面があって驚きました。この二人、原典では「続813」で顔を合わせているので、「再会」という形になります。ルパンが「陛下」と呼ぶと、ウィルヘルムが「わしはもう皇帝ではない。ただの一市民だ」(大意)といったセリフを吐くところなぞ、なんだかしみじみいいシーン。

 南洋一郎はこのほかにも大幅な原作改変、あるいはまるまる創作しちゃった長編・短編がいくつかあるのですが、戦前以来のルパン翻訳の大先達である保篠龍緒もこの手のことをいっぱいやっておりまして…現在講談社青い鳥文庫から出ている久米みのる訳「ルパンと地底の王国」ってのも実は「オルヌカン城の謎」の大改作だったりします。
 ホント、ルパン翻訳史というのはルパン並みに変幻自在・神出鬼没な世界なのであります(笑)。これにくわえて「ルパン三世」の影響がデカすぎて、「怪盗ルパン」の誤ったイメージがずいぶんと広まっているわけでして、そこらへんを啓蒙しなきゃ、ってのがあのコーナー最大の趣旨だったりするわけです。
 まぁシャーロック=ホームズもいろいろ誤解されたイメージが一人歩きしてるところが多いんですけど。



#7285 
徹夜城(最初に読んだルパンが「奇岩城」でホームズが「銀星号事件」の管理人) 2006/12/04 00:02
死して屍拾う者無し

 昨日でしたっけ、森前首相が「復党」に反対する「刺客議員」たちに対して、「刺客は相手を殺して自分も死ぬもの」とかおっしゃってその動きを批判したとか。う〜ん、確かに相打ち覚悟で行く『史記』刺客列伝の連中だとそういうイメージではありますが、刺客全部にはあてはまらないと思うんですが。だいいち「復党」したら殺した相手が生き返ってくるわけで、自分だけが死ぬというバカを見る事になりかねない(笑)。
 本音のところ話題になった「刺客議員」たちは嫌いなタイプが多いのですが(刺された方もイヤなタイプが多かったですが)、そんな騒ぎの最中の片山・佐藤のマドンナ刺客がそろって「委員会欠席問題」を起こして厳重処分されるってのも凄いタイミングなんですが…


>つねさん
 どうも、ルパンコーナーへのご意見ありがとうございます。いやぁ、本音を申せば閑古鳥が鳴いてるあちらの掲示板に書いていただきたかったところでしたが、こちらの方が来客も多いし宣伝効果もあるというのも分かっておりまして…ご面倒でなければ両方に投稿していただいても結構です。

 さて、お感じになった2点につきまして。
 負傷したワトソンに対するホームズの態度ですが、「金髪の美女」ではベッドでうなるワトソンが水を求めると、「わかった」と水を取ろうと立ったホームズがその瞬間に事件を解く鍵を思いつき、そのまま考えに夢中になって飛び出して行ってしまい、ワトソンがうらめしそうにコップを眺める…という場面があるのです。あとルパンを逮捕して意気揚々と列車に乗るホームズが、骨折した腕を愚痴るワトソンに「そのぐらいどうした」と言ったりするんですね。ただ、これらの描写も訳文によってずいぶんニュアンスが違いまして、訳者によってはワトソンがホームズに丁寧語を使い、ホームズはワトソンを目下のように扱うようなセリフになっているものもあるんです。
 「ユダヤのランプ」ではワトソンは瀕死の重傷を負ってしまいますが、この場面でホームズは相手に対し「もし彼を殺したら、私がお前を殺してやる!」と叫んでます。まさにご紹介の「三人ガリデブ」とソックリなセリフで、恐らくはルブランはホームズ譚を読み込んだ上でそう叫ばせているのではないかと。

 もう一つの人妻の浮気問題、そういやぁ「第二の汚点」はそれでゆすられる話でしたね。この辺はイギリスとフランスでの感覚が微妙に違うかも、とも感じるのです。女性関係にまるっきり関心を持たないホームズと、毎回違う美女に恋しまくるルパンとの、あまりにも隔絶したキャラの違いもある程度国民性を反映しているんでしょう。「ユダヤのランプ」では女性問題にあまり配慮がない(?)ホームズをルパンが揶揄してるように見えるところもあります。

 つねさんがご記憶の「ルパン最後の冒険」というのは全訳版では「カリオストロの復讐」というタイトルになっているもので、ルパンの息子(と思しき青年)が登場します。昨年公開された映画でもラストにちょこっと使われておりました。ただ「悪いこともしたが…」ってセリフはあったかなぁ?アルザス・ロレーヌを象徴する像の話も僕には記憶に無く、もしかすると全部南洋一郎の創作かもしれません。ルパンの義賊イメージを広げた張本人でもありますし、まるまる一冊勝手に作っちゃったものもシリーズには存在します(現在刊行の版では排除されてます)。

 いま「ルパンの冒険」「奇岩城」「813」あたりの執筆作業をしてるんですが、僕がやるからには、と歴史解説に力を入れようと試みております。ルブラン自身が歴史趣味だったようで、どの話でも歴史話がかなり絡んでくるんですね。「奇岩城」なんてカエサルからロロ、ウィリアム征服王、ジャンヌ・ダルク、ルイ14世に鉄仮面、ルイ13世にマリ・アントワネットまで総登場ですから。子供の時はまるっきり意味不明でしたが、こうして歴史オタク化してから読むと実に味わい深い話が多いです。
 「ルパンの冒険」でもヒロインがロシア人で、父親は革命運動家だったためにシベリアで流刑死…なんて設定ですし。「813」では実名こそ出してないけど明らかにドイツ皇帝ウィルヘルム2世が登場しちゃうし。第一次世界大戦のドサクサにルパンがモーリタニアを征服しちゃうなんて話は現在ではかなり問題視される部分ですが、これもまた時代を象徴しているということで、まぁ当時のニュースネタも今となっては歴史ばなしです。


>奥野さん
「タイムボカン」ですか〜これはリアルタイムでは見てないんです、僕は(笑)。その後のシリーズはいくつか見てるってだけなんで。「ゼンダマン」の主題歌がまだ歌えます(笑)。
「静かなるドン」と聞くと、日本でも漫画化・ドラマ化が…っていいんですかね、あれ(笑)。
「戦争と平和」なんかは大長編映画よりは大河TVドラマにしたほうがいいんじゃないか、とは思えますね。でもまぁ、あのボンダルチュク監督の映画版の大スペクタクルの再現なんざ、もう不可能でしょうねぇ…



#7284 
奥野 2006/12/03 19:24
アンドロメンタマ号あやつって…

ご無沙汰しております。今年のモスクワは12月に入ってもなかなか寒くならず、泥濘のシーズンが続いています。

ちょっと乗り遅れ気味かもしれませんが、最近ここで取り上げられていたタイムスリップものについての話題など。
この手の作品で僕が思い出してしまうのは、「戦国自衛隊」よりはやはりタイムボカンシリーズですね。特にオタスケマンなどは「正しい」歴史の攻防自体がストーリーの軸になっていて、考えてみれば随分と思い切ったテーマです。まあ、「紀伊國屋 文左衛門が運んだのはミカンではなく菜種油である」というようなスケールの小さい改竄もあったりしますが。
しかし、子供向けにこんな作品を提供しているのだから、考えてみれば日本のタイムスリップ業界(?)も随分と裾野が広いものなのかもしれません。紀伊國屋 文左衛門のミカン伝説など、かなりマニアックと言っていいようなネタまでも使われていますし。

あと、オタスケマンのエンディングテーマの「アーウー・オジャママン」は、当時の大平首相の口癖を取り入れたものなんだそうで、これ自体が「歴史」になっている感があります。

もう1つ、歴史映像について。
最近ロシアでは、ショーロホフ原作の「静かなドン」の映像化作品が、テレビシリーズで放映されました。監督は「戦争と平和」などで知られる巨匠セルゲイ・ボンダルチューク。もちろん、ボンダルチューク生前に撮影されたわけだから製作開始は1991年と古く、しかもイタリアのプロデューサーとの合作という形で作られたものです。そのため言語は英語で、俳優もロシア人だけでなく外国人が起用されています。ところが、イタリア側のパートナーは映画の完成前に破産、ボンダルチュークも1994年に亡くなって、結局この作品は劇場で上映されないまま長い間お蔵入りとなっていました。それを、今になってテレビでの放映用に編集し直し(その作業はボンダルチュークの息子で自らも映画監督であるフョードル・ボンダルチュークが担当しています)、初めて公開されたわけです。
で、僕自身は見ていないのですが、ロシア人の間ではたいそう評判が悪かったようです。僕の知人も「ボンダルチュークほどの巨匠でもあんなものを作ることがあるんだね」、などと言っていました。特に、ドン地方のカザーク(コサック)の末裔たちは盛んに文句を言っているようです。作品としての出来云々よりも、最初から「西側の市場を当て込んだ」性格が強すぎるのが嫌われた原因なのかもしれません。

しかし、最近のロシアではテレビシリーズとして歴史大作を映像化するケースが珍しくないようで、現在ではトルストイの「戦争と平和」の製作が進んでいるとも聞きました。やはりロシアと複数の国々が組んだ合作で、最初からロシア以外の国でも公開を予定しているそうです。また、しばらく前にはブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」もテレビで放映されました。「歴史物」とは言えないかもしれませんが、スターリン時代のモスクワが舞台であるため、歴史的な意味でも興味深い映像でした。歴史映像ファンにとっては、映画ばかりでなくテレビ作品もチェックしておく価値があると思います。



#7283 
つね 2006/12/03 00:14
ルパン対ホームズ

「ルパンの部屋」にも掲示板ありますが、こちらのほうが使い勝手が良いので・・・。

ホームズは一時、はまったことがあって、「緋色の研究」以外は一通り読んでいます。
(我ながら変わっていますが。)
ルパンも子供向けの全集を読んだことがありますが、ほとんど忘れてますね。
「ルパン最後の冒険」で我が子を救い、最後に「悪いこともしたが、少しだけ
良いほうが多かったと言われたい」というところや、第一次世界大戦後、
アルザス・ロレーヌ地方を意味する女神像(だったような気がする)を
覆っていた幕が取り払われるのを見て涙を流すところなど、一部一部だけ
頭に残っています。

さて、今回の「ルパン対ホームズ」ですが、管理人さんの解説を読んで
2点ほど思ったこと。
1.ワトソンの怪我に対しホームズが冷たい、ということですが、
確かにワトソンは重傷を負ったことはなかったと思いますが、「三人ガリデブ」で、
かすり傷を負ったときにかなり動揺して、犯人に対し「ワトソンが死んでたら、
生きては部屋から出られなかったぞ」と言っています。
まあワトソンが非常に感動していることからも、ホームズがそんな表情を見せるのは
ワトソンにとっても意外なことではあったということですが・・・

2.「ユダヤのランプ」で南洋一郎さん訳による夫人の動機が、
「少女時代にちょっとつきあっていときの手紙」によるものだということですが、
ホームズの「第二の汚点」がまさにそういう理由で、外務大臣の夫人が機密文書を
盗むというものだったはずなので、ここにヒントを得たのかもしれません。
浮気が背景の「ボール箱」も単行本への収録は延期になったりしていますし、
浮気に対する嫌悪感は今では考えられないくらいだったのかもしれません。

・・・やっぱり、ここでは場違いかな。いやそんなはずはない。



#7282 
徹夜城(水滸伝DVD全巻セットを買ってしまった管理人) 2006/11/30 22:47
ふと気がつくと

 今日、近くのハードオフなどを覗いていたんですが、そこになぜか中国電子台製作「水滸伝」DVD完全版セット(もちろん日本で販売されたもの)が…しかも中古とはいえ定額の半分以下の価格で売られており、たまたま財布内に支払えるだけのお金があったこともあり、思わず衝動買い(笑)。TSUTAYAにあったビデオ版は途中まで見たのに撤去されちゃったからなぁ。
 なお、「水滸伝」DVDセットは108人が集まるところまでしか収録してないバージョンも存在しておりまして、このあたり原典の120回本と71回本の問題を思い起こしてしまいます。
 完全版DVDではしっかり宋江の死まで描かれますが、異民族との戦いなどはあっさりカットされ(現代中国ではさもあろう)、方臘との戦いだけしかありません。完全版セットではおまけの一枚があり、ここでは好漢たちの名場面紹介映像なんかがあったりします。一度聞くと耳から離れないあのエンディングテーマがちゃんと最後まで聞けるのも嬉しいところ。

 それにしても怪盗ルパン、水滸伝、倭寇…と自分の趣味を並べてみるとみんな「賊」というキーワードでくくれることに気がついたりして(笑)。


>お宝デイズ
 とりあえず番組公式HPは見つけました。
http://www.kbs-kyoto.co.jp/tv/otakara/index.html

これによるとKBS京都やTVKでも放映してるみたい。産学協同製作というのも良く分かりませんが、青春ドラマっぽい感じですね。それにしても楠木正成ってあたりは神戸ならではなのかな?



#7281 
パパゲーノ川崎 2006/11/30 20:56
謎の番組”お宝デイズ”

神戸にある”サンテレビ”というテレビ局が製作、放映中の番組
なんですが。。。

なんか、ローカル局のしょうもないバラエティー番組かいなー、と
思いきや、ちゃうちゃう!
(なんだか、ローカル局が製作したくだらないバラエティー番組ですかね
と思いきや、ちがうちがう!)

”楠木正成の霊が現代によみがえり、やる気のない女子大生に歴史の
勉強をさせる。”
という内容らしい。(なんじゃそりゃっ、どんな番組なんだ!!)

悲しいことに私の地域ではサンテレビが受信できません。
ごらんになった方はおられますか。。。?



#7280 
tomohiro 2006/11/30 19:45
台湾新幹線又延期だそうです。

台湾新幹線、また延期のようですね。
方々の新聞やインターネットなどを見ているのですが、
なぜだかと考えてしまいます。
同じようなシステムの鉄道をやっつけ仕事ながら、
運行させている韓国の方が、評価してしまいます。
反韓派、反中派の方々であれば、
台湾の事だからしょうがないと、擁護すると思うのですが、
私は台湾のちゃらんぽらんさが出ているようにも思えます。
でも、台湾を韓国よりも応援している側面もあるのですが。

http://resutoa.exblog.jp/


#7279 
徹夜城(久々にあちこち更新してる管理人) 2006/11/29 23:31
歴史映像に追加

 本日付で「歴史映像名画座」に5本追加してあります。
 先週放送していた李方子と李垠夫妻のドラマ「虹を架ける王妃」も素早く収録してしまいました。録画を見終えたのは今日なんですけどね。
 以前他局でやった大型ドラマ「流転の王妃・最後の皇弟」とコンセプトがウリ二つと感じてしまいましたが、まぁもとの話が時代も重なるしシチュエーションが似てますからね。岡田准一さんの李垠さんはカッコ良すぎでしたが(笑)、まぁそこはドラマですので…ドロドロさはほどほどにおさえて綺麗にまとめてる印象でしたが、日本の朝鮮半島における植民地支配のあり方、関東大震災の際の虐殺事件などフジサンケイグループの製作としてはかなり描きこんだと言っていいでしょう。というか、フジテレビって以前から韓国とのつながりが深いようで(これもそのグループだからってことみたいですが)これまでにも協力製作のドラマや映画を作ってまして、韓国側にかなり配慮はしてるんでしょう。
 歴史再現映像としては、冒頭で幼い李垠が伊藤博文と一緒に大磯の海岸を歩く場面に「ああ、『映像の世紀』のまんまだ!」と感心(笑)。ホントに瓜二つに再現してました。ハルピン駅での安重根による伊藤博文暗殺シーンもあり、僕は映像として見るのは北朝鮮映画「安重根と伊藤博文」、韓国映画「ロストメモリーズ」に続いて三度目でした。

 本日の「その時歴史が動いた」は平安時代の国風文化誕生の話でしたが、そこかしこに「太平記」の映像が流用されていてついついツッコミを(笑)。柳葉敏郎の石、根津甚八の義貞、片岡仁左衛門の後醍醐なんかがバッチリ映っちゃってました。そういや「後」がつかないほうの醍醐天皇の時代の話でしたな。
 先週の話になってしまいますが、先週の「その時」は真田昌幸がテーマで、予想通り「真田太平記」の映像が使われまくり。そのものズバリのテーマで撮った映像ですから便利なもんですが、昌幸が領民たちと触れ合うシーンは良く見ると渡瀬恒彦演じる信之が上田に別れを告げる場面の流用だったり、微妙に違う場面を使いまわしてました。毎回の主人公は別の無名の俳優さんによる新撮りで処理するのですけど、この回では顔こそぼかしてあるけど丹波哲郎の昌幸が何度も映っちゃってました。
 まぁ「真田太平記」も予算の都合もあって「徳川家康」の映像をずいぶん使いまわしてましたが…先日の「功名が辻」の関ヶ原もほとんど「葵・徳川三代」の映像でしたね。


>ルパンで更新。
 こちらでもさりげなく宣伝(笑)。長らくほったらかしだった怪盗ルパンコーナーをここ数日立て続けで更新中。「ルパン対ホームズ」の記事を全部アップしました。
 以前からこの「ルパン対ホームズ」の年代については研究者の手になる年表などで見てはいたのですが、文中に現れる「○月○日○曜日」という記述からネット上の万年暦で年代が特定できたのは楽しかったですね。ルパンとホームズがパリを舞台に対決した日程や場所がだいたい確定できてしまうというのも、ルブランちゃんと考えてるな、と恐れ入るところでした。
 なお、異論も出そうですが全部「ホームズ」と「ワトソン」で通しましたんで(笑)。


>スパイなお話なぞ。
 いろいろ更新してるくせに「史点」は手間もかかるのでまだ更新できる見込みがないのですが…例のロシア元情報部員「毒殺」ネタはスパイネタ大好きの私としては「史点」で書きたかったところですねぇ。ちょうど「007」も新作が公開されますし(ついにシリーズで初めて時間軸を戻して若い頃の話になるんですってね)。
 他にもオーストリアが「オーストラリアと混同されるからオーストリーにしてくれ」と言った話なんかも「史点」ネタですよねぇ。1969年の映画「日本海大海戦」では「オーストリー」って言っていたと思うんですけど。



#7278 
孟きょう 2006/11/28 13:35
大清帝国


 >大清帝国
 ブレードランナー→ハリソンフォード→インディアナ・ジョーンズ→魔宮の伝説の冒頭シーンの上海でヌルハチの骨が狂言回しに出ている(石橋崇雄氏より引用)・・・いやあ、うまいことつながりましたなあ♪(そうでもないか)   色々な思いが脳裏をよぎり、様々な相反するが如きイメージが錯綜、ぶつかり合う時代ですね。「阿片戦争」「挙兵以来、200年近く組織も外部も成長、躍進を続けた政権」「満州風のラーメン風辮髪」「ヌルハチ」「日清戦争、西太后」「康熙大帝」「ラストエンペラー」・・・何しろ長いスパンの王朝ですから・・。石橋氏が著本で大清帝国のフレーズを、「褒め言葉でもあり、嘲りの言葉」とコメントしたのは、正にいいえて妙だと思います。



#7277 
tomohiro 2006/11/26 16:29
清朝という準漢民族王朝

清朝の魅力って何でしょうか?
やはり、異民族王朝でありながら、"準・漢民族王朝"の要素が
強いことです。
同じ異民族王朝の元が絵に描いたモンゴル王国という雰囲気だったのに対して、
秦・漢から引き続いてきた中華圏の律令政治の正当なる後継者的な側面が強いですね。
幼い頃、清朝って漢民族王朝だと思いこんでおりました。
この王朝、前代の明朝と比較して、名君が多いと考えられているのは
結構皇帝も真剣な態度で仕事や政治に向かっていたのかもしれません。
それ故に、律令政治を否定した今日の中華人民共和国でも評価が高い所以かも。
そして、今日伝統的な中国文化と中華圏で考えられている物の多くは
清朝時代に始まった物も多いんですよね。
ある、唐王朝を舞台にした映画のセットを某評論家は
この建物のセットは、清の乾隆様式だと述べていたのを思い出したなぁ。



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#7276 
モンロ 2006/11/24 12:56
重戦車

tiger1は構造が、5号戦車やtiger2戦車よりメカが単純
だったようで故障が少なかったらしく、その信頼性が伝説に
効いていたのかもしれません、5号戦車は機動性では勝って
いましたが機関部が複雑で故障が多く実戦での運用に難が
多かったとか。5号戦車は産みの国ドイツは実戦で使いこなせず
終戦を迎えましたが、戦後しばらく第三世界では5号戦車を
長く使っていた国が、いくつかあったようです。
tiger1戦車は、 独ソ戦でのライバル戦車T34
初〜中期型よりは火力や装甲で圧倒していましたが機動性で
特に砲塔旋回は最初は手動だったようで、戦車の砲塔が
手動とは我々には、ちょっとピンとこないかもしれませんが
ろくろ機構で動かすようで同時代のT34ですら砲塔は
電気動力で動かしていたのだから、あれですね。
もちろん、今の時代の主力戦車で砲塔が手動旋回のものはない
でしょう、砲弾を自動で装てんするのが多いですし。
さすがに機関銃みたいにフルオ−トで連射するものは
ないですが、戦車砲の場合、そこまでする必要がないし
120o砲が重戦車の主砲の限界だろうという説が有力と
なっています。
毎年、軍事年鑑機関が世界各国の現用戦車のトップテンをランキング
していますが、そのランキングが始まってから毎年ずっと
ドイツのレオパルド・シリ−ズが首位の牙城を形成し続けている
ようですが、湾岸〜イラク戦争での実戦経験からの改良が効いて
アメリカのM1戦車が首位に肉薄しているランキング傾向だとか。
ただしM1はガスタ−ビンエンジンなので他国への売り込み
としてはガスタ−ビンエンジンを運用できる国の軍隊という点で
難点があるとか。
いがいなのは今年のランキングは3位が日本の自衛隊の戦車
ということです。




#7275 
tomohiro 2006/11/24 11:09
なるほどねぇ。

>モンロさん
 なるほどねぇ。互角には戦えませんですか。
前述の小説を読んでいるときt-34/85は高機動ですが、ソフトスキン過ぎるので
現用戦車と戦った場合完全に負けるのは目に見えているのでつまらないと
思ったからです。先日の旧ユーゴスラビア戦争において
t-34/85が現用気味の戦車に混じって戦っておりましたが、
おそらくは簡単に現用戦車に撃破されたかもしれない事を考えると、
それよりはタイガーと現用を戦わせた方がと思いましたが・・・。
でも一回小説などで拝見したい企画です。

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#7274 
モンロ 2006/11/24 05:48
互角に戦えません

>tiger戦車
うわさがうわさを増幅し無敵戦車みたいな伝説に
なっていますが現用戦車と互角、は買いかぶり過ぎ
第二次大戦で、戦車装甲での工夫といえば装甲を
厚くするか被弾傾斜しかありませんでしたが
現代ではハイブリットア−マ−、リアクティブ
ア−マ−、モジュ−ルア−マ−など開発が
しのぎを削っています、戦車砲弾も撤甲砲弾いがいで
モンロ−成形砲弾、ウラン劣化弾、タングステン砲弾
など多彩、例えtiger戦車が現用戦車を先に照準に
捉え88o砲を発射しても現用戦車の装甲には効かず
120o砲をヒットされて撃破されるのがおちでしょう



#7273 
孟きょう 2006/11/24 00:18



 >電羊斎様
 そうなんですねよねえ・・「蘇州」での記述には著者の譬えのコメントで確かにあったんですよ。本がどこかいってしまい現在捜索中なんですが(泣)。著者が中国の都市と都市、地域のエリート研究を本題としてるんで、たしか都市の風景、都市のインフラ整備に絡めてその引き合いが出てきたと記憶してるのですが・・  
 >タイムスリップ
 私なら南宋代の臨安、明州に一週間行きたいですね。日本からの物産を見物したり当時の料理に舌づつみをうちたいなあと(笑)・・・
 >明代のポジション
 そうなんですよね。室町幕府と同様、「時としてふがいない」というイメージもあり、ハラハラドキドキと人を落ち着かせない時代でもあります。私が幼少期に明という王朝を初めて知ったのも日本史を通じてでして。同時代という事もあるのですが変な言い方をすれば「室町幕府に明を紹介された」ようなものなんですよね〜(笑)
 しかし両政権に対する国内での無関心、偏見は続くもので、現在も政権首脳部に珍妙なご意見を送っている「国民の〜シリーズ」の某著者の記述には怒りというかあきれはてましたよ。室町時代を「暗黒時代」とののしったりと低評価、バッシングを続け、「このようなどうしようも無い時代を成敗するため、弥生(?)の香りのする信長公、秀吉公、家康公らが登場してきたのだ」みたいな記述をしていまして・・。典型的な、「室町時代=戦国時代、織豊政権の引き立て役」的見解になっているんですよ(後漢がイマイチ低評価で、人気の高い後漢末の動乱や三国時代の引き立て役になっているのとけっこう似てる)。しかしああいう主張をしておられる、一般的に「保守」とされる方々なんですが、歴史と伝統文化の格調高い室町政権をあんなに批判、否定しているようでは、古い王朝美と歴史と文化を愛する真の意味での「保守」にはまだまだ至れないような気が・・・近代国家を生きるには向いていてもあれでは年配にしてはまだまだ青すぎる感じがしないでも・・若すぎるというか・・。脱線して失礼致しました。



#7272 
tomohiro 2006/11/23 19:57
タイムスリップ小説に対する一考察

タイムスリップ小説といえば、
自衛隊が、1945年頃の満州に行く
「満州決戦1945」なる作品がありまして、
その中で自衛隊の現用戦車である90式戦車と
当時の旧ソ連戦車t-34/85が衝突する小説を檜山良昭氏なる方が
執筆しておりました。
私としては90式戦車などの世界各国の現用戦車とドイツ軍のTigerが
激突する小説や漫画が読みたいと読んでいる当時思いました。
Tigerであれば現用戦車と互角に戦えるはずです。
軽いミリヲタのtomohiroでした。

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#7271 
景虎 2006/11/23 07:18
奥様は・・・

>「過去から現代へのタイムスリップ」
確か、「奥様は魔女」で、そういうネタがあったような気がします。
誰だったか忘れましたが、独立戦争の頃の人が、魔法で現代に連れてこられて、「イギリスが来るぞ〜」と叫びながら、馬で走り回っていたような記憶があります。

他には「時空警察」で、石川五右衛門が現代にタイムスリップ、豊臣秀吉が島原の乱にタイムスリップ、等がありましたね。



#7270 
電羊斎 2006/11/22 21:18
タイムスリップなどなど

社会主義国では映画はまさに国家事業ですからね〜。
ソ連初め社会主義国は大衆への宣伝手段や国威の発揚のため、映画をことのほか重視してましたし。
(でも、何気に「不思議惑星キン・ザ・ザ」なんて作ってたりしてますが)

ソ連の「ヨーロッパの解放」みたいな大スケール戦争映画は今後はもう絶対実現不可能でしょうね。私、「ベルリン陥落」とセットになっているDVDボックスを家宝にしてます。


>タイムスリップ
うーん、さすがに自衛隊が中国に行くのはまずいですな。

詳しくは見ていませんが、中国のタイムスリップものではドラマ『尋秦記』というのがあります。
時間旅行が実現した未来世界。ある男が秦時代を見に行こうとしますが、トラブルで少し手前の戦国時代へ落ちてしまいます。
その世界では秦が史実より弱く、贏政(後の始皇帝)がずっと趙の人質になっていて、主人公は歴史が狂うのを防ぐため贏政と秦のため奮闘するという話らしいです。
SFと武侠ものを合わせたような感じですかね。

自分も清代にタイムスリップしてみたいもんです。一週間だけなら。

>「過去から現代へのタイムスリップ」
たしかにあまり見かけませんねえ。
私の記憶では、ドラえもんに「二十世紀のお殿様」というエピソードがありました。殿様の暮らしを見に行ったドラえもん、のび太と入れ替わりに現代に来てしまうわがままな殿様の話です。

http://honin.spaces.live.com/


#7269 
徹夜城(ようやく歴史テキストの執筆が戦後まで到達した管理人) 2006/11/22 13:41
戦国人民解放軍(笑)

 中国ではさすがに作ってないのかな、タイムスリップものは。
 春秋戦国時代に人民解放軍がタイムスリップ!孔子批判!帝政打倒!とかやったらムチャクチャですな。などと言いつつ案外当時の権力に利用されて人民弾圧にまわるんじゃないかと(笑)。

 タイムスリップとは別に、日本製作の映画「敦煌」では実際に人民解放軍の兵士たちが動員されています。スタッフロールを見ると「人民解放軍第○○部隊」がズラリ。騎馬部隊があったらしいんですな。ちなみにこの映画公開直後に天安門事件が起こってしまいまして、TV放映時にスタッフロールの中国人の名前の一部がモザイクで消されておりました。どういう人が消されていたのかは未確認ですが。
 社会主義国の戦争大作のみならず歴史大作にも軍隊動員というのはお約束で、集団行動を叩き込まれた軍隊ならではのモブシーンを見せてくれたものです。ソ連の第二次大戦ものの超大作の数々、「戦争と平和」「ワーテルロー」などの歴史ものでもこのメリットは遺憾なく発揮されており、モンゴル映画「マンドハイ」もその一例。その後社会主義体制が崩壊してからはこの点に関しては寂しい状況です。日本の金と俳優でチンギスハーン映画作るんだもんなぁ。

 タイムスリップに話を戻しますと、わっぷさんもお書きのような、「過去から現代へのタイムスリップ」ってなんかあるんだろうかと。「戦国自衛隊1549」では自衛隊と入れ代わりに戦国武士が現代に来ちゃってましたけど…
 僕の知る限りそういう逆パターンはなかなか無くって(ドラマとして作りにくい)、未見ですが栄耀映画伝言板に先日Кискаさんが書き込まれていたロシア映画「イワン・ワシリーエヴィチ、職業を替える」の存在を知るのみです。なんでもあのイワン雷帝本人がソ連時代のイワンさんと入れ代わりのタイムスリップをして現代に降臨してしまうというお話だそうで。


>ブレードランナーつながり
 「ブレードランナー」「エイリアン」のSF傑作2作から「1492コロンブス」「グラディエーター」「キングダム・オブ・ヘブン」のような史劇大作まで手がけちゃう映像職人監督のリドリー=スコット、その長編映画デビュー作「デュエリスト〜決闘者〜」を昨日DVDで見ました。これも一応歴史もの(時代もの)です。
 ジョゼフ=コンラッドの原作小説があるんだそうですが、ナポレオン時代のフランス軍人二人がささいなことから決闘となり(というか一方が一方にストーカーよろしくからんでくる)、それが15年にわたって何度もくり返されるという一風変わったお話。物語の舞台と時代背景はナポレオンの勃興と全盛、そしてロシア遠征からの没落、百日天下といった具合に挿入されていきますが、ナポレオン本人はとうとう登場しません。歴史人物ではフーシエがちょっとだけ登場しました。



#7268 
わっぷ 2006/11/21 18:06
タイムスリップ第二次・太平洋戦争

タイムスリップって過去へ行くのばかりな気がするから
未来へ行ったののほうが斬新でいいんじゃないですか?
戦艦大和が現代にタイムスりップして、また在日米軍に
攻撃されかかり、戦艦大和を見捨てるか、助けて
米軍を敵に回すか自衛隊が悩むでしょうね。



#7267 
巫俊(ふしゅん) 2006/11/21 01:47
自衛隊より

人民義勇軍か何かにした方が穏便な作品になると思いますが(笑)
だってそれじゃ自衛隊が中国を侵略する映画になってしまって、笑うに笑えなくなるかと。
人民義勇軍だったら正統性があるのか?というとやっぱりおかしいですけどね(^^;



#7266 
電羊斎 2006/11/21 00:26
歴史ネタからは外れますが

>ブレードランナー
この作品は世界観については原作のものを借りていますが、ストーリーは原作と大きく異なりますので「二次創作」と言っても差し支えないですね。
ただ結果的にはそれが良かったのかもしれません。中途半端に原作をなぞろうとするあまり、大失敗した映画も数多く存在しますので。
それにしてもあの未来都市のビジュアルは忘れられません。

>宋代研究の伊原弘氏も著本の中で(「蘇州」だったかな〜?)この作品の名を引き合いに出していた記憶があります。
う〜む、いったいどこでつながるのやら?なんだか蘇州とは対極のイメージにあるような(笑)

>明朝のポジション
たしかに室町時代と扱われ方が似ている気がします。
昔は「つまらん」と思うてましたけど、今はどっちもおもろい時代やと思いますな。

>戦国自衛隊
そうですね〜
私なら、なぜか西夏にタイムスリップする「敦煌自衛隊」とか、中国の戦国時代にタイムスリップして圧倒的兵力を誇る秦軍相手に戦う「元祖戦国自衛隊」がいいかなあ(「墨攻」みたいな感じで)。

http://honin.spaces.live.com/?mkt=zh-cn


#7265 
パパゲーノ川崎 2006/11/20 20:21
戦国自衛隊はもっとグローバルに

戦国時代の日本を飛び出して、世界史に進出して欲しいですが、
海外派兵かな^^;

ローマ帝国軍とガリア軍団の戦いに、突如自衛隊が出現とか
ジャンヌダルクを助ける自衛官とか
すんごく絵になりそうな。。。

(アジア近代史はやばいので、そういうところには出現しないように!)



#7264 
徹夜城(ダイナミックプロ作画のルパンを今読んでる管理人) 2006/11/19 23:00
世の中、知らないことはヤマとある。

 タイトルのようなことを思ったのが、先ごろ千島列島で起こった地震による津波に関する報道でした。津波そのものの被害は大きくはなかったのですが、警報解除後だいぶたってから押し寄せた地域もあり、その原因に関して説明する報道の中に、
「天皇海山群に反射した可能性も」
 という文を見つけて慌てて調べ、「へぇ」ボタン押しまくったりしていたのです(笑)。海の底にそんなもんがあるとはこの年まで知りませんでした。

ウィキペディアの「天皇海山群」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%9A%87%E6%B5%B7%E5%B1%B1%E7%BE%A4

 桓武だの雄略だの明治だの推古だのといった名前を冠した海山があるんですなぁ。ということはもしかして「後醍醐海山」とかもあるのか。南朝系・北朝系の山列があって正統性の問題があったりしないかとか妄想がふくらんでしまう(笑)。

 さてその後醍醐に関してですが、北方謙三「楠木正成」を先日ちゃんと読み終えました。いえね、白状すると実はちゃんと全部読んではいなかったのですよ。ラストだけ確認してたんです。
 北方南北朝小説の最後となったこの作品は正成の若き日から始まり、悪党としての成長、赤松円心ら各地の悪党達との接触、そして護良親王らと共に幕府軍と戦う日々、その結果として出来た建武新政への絶望…といった内容になっており、以前書きましたように「湊川」はあえて描かれていません。尊氏を九州に追うがその後の新政崩壊を予感しつつ死に方に思いを馳せる正成を描いて物語は終わります(ネタバレってほどでもないでしょう)。

 正成というキャラは戦後の歴史小説においてはその確立がかなり難しく、北方さんも苦労してるなぁ、と思いましたね。
 吉川英治は当時の研究にもとづいて悪党・散所の長者としての正成像を描き、そこに実は戦争ぎらいの平和主義者であったという解釈を加えて「七生人間」を皇国史観とは全く別の角度から描いて見せました。大河「太平記」の金八正成(笑)もこの路線をさらにつきつめた形になっていました。
 しかしそれだと幕府の大軍相手にムチャな戦いを挑んだ動機が説明しにくい。北方さんはそこはハードボイルド作家、正成が武士も公家も否定し「悪党が生きられる世の中」を夢みて戦う、とまぁそんな感じになっております。ここらへん、読んでいてちとつかみにくい感じもしたのですが、悪党らの軍事力による朝廷直属軍構想みたいなのが語られます(円心も同意見だったりする)。悪党達による幕府打倒は結局力およばず、武士の棟梁である足利尊氏がかっさらっていく形になって、彼らの夢は破れていく…というような描き方です。
 面白いのが護良親王を好意的に描く割に後醍醐天皇が露骨に「暗君」として描かれること。政治的才能も構想力もないのに権力への執着心だけはやたらに強いイヤな奴として終始描かれます。対照的に足利尊氏は武家の棟梁の家に生まれたからその運命を受け入れてるが、実は正成の夢をもっとも理解する人物として描かれ、正成と尊氏の対話と心の交流がかなり印象的に描かれます。
 こういう尊氏像、「道誉なり」でも感じたのですが、なんとなく大河ドラマで真田広之が演じた尊氏像を連想させるんですよね。

 九州に海洋独立王国を夢みる懐良親王を描いた「武王の門」、やはり東北の山の民たちとの国づくりを構想する北畠顕家を描く「破軍の星」など、北方南北朝の真髄は「夢にかけ敗れていく男のロマン」なのでありましょう(笑)。
 このノリで北朝方を描くなら、直義なんか面白いのが書けそうな気がするんですがね。


>明朝のポジション
 時代的に重なることもありますが、どうも中国史における明代と日本史における室町時代って扱われ方が似ている気はしています。その後の清代・江戸時代に比べてどうも政権に落ち着きが無く、混乱ばっかり起こっていて国力も小さそうな…と思われがちのような。室町幕府だって将軍は15代、なんだかんだで240年は持ちこたえてるんですけどね(笑)。最近の研究動向からすると、まるっきり実力が無いと言われていた戦国期の室町将軍だって権威としてはかなりの影響力があったとされていると思います。


>「ブレードランナー」
 これは映画板で話すべきなんですが(笑)。ま、話の流れで。
 僕もこの映画は大好きで実はSF映画マイベスト1に挙げています。一般的にSF映画史上の傑作という評価は動かないところかと。もっともいわゆる「カルト映画」でもありまして、以前アメリカの映画評論家の評を見たら星5つ満点で星2つと低評価だったりもしましたね。アメリカ人的にはあの暗い話は好まれないのかも。
 ハードボイルドなアクションあり、その後の映像作品に圧倒的な影響を与えたビジュアルあり、そして哲学的なテーマあり、と素晴らしいバランスの名作です。バージョンがいくつもあるのはその当時としては前衛すぎる内容に興行的な追加がいろいろ入ったこと、一部の残酷表現がアメリカ版でカットされたこと、その後テーマを明確にする追加シーンを加えた「監督版」が作られたこと…などなどがありまして、こういうところも「カルト映画」なのでありましょう。
 ちなみに原作者のディックは気に入らなかったらしいという話が。主演のハリソン=フォードもこの映画に関してはいい思い出ではなかったようです。



#7263 
孟きょう 2006/11/18 16:15



 >電羊斎様
 たしか「ブレードランナー」ですよね。 私も映画歴が浅いのでまだ観た事は無いのですがもう何バージョンも出ているみたいですね。ものすごい名SFのようで、宋代研究の伊原弘氏も著本の中で(「蘇州」だったかな〜?)この作品の名を引き合いに出していた記憶があります。
 >NF様
 そうですね、確かに金VS南宋の図式のイメージも当てはまると思います。三国志も金宋時代ともに日本でも有名な時代でありますし。そもそも中国史の中で「落日、劣勢の王朝の中で善戦し、所属している王朝にそれなりに貢献した(もしくはそう考えられた)」武人、文官像が長い年月を越えて日本でも受け入れられ、愛され、ヒーローになってきたところがありますから。もう涙腺ゆるゆる、メンタルにスーッと入ってくるイメージの面もまた、あるんですよね。楠木正成や正儀、北畠親房に諸葛亮のイメージが日本では結構つけられていましたが南朝側のごく一部の人達だけに限定すると、「尊王攘夷」や「都を奪回が宿願」「不利な局面の中善戦」「山城にこもり善戦」「忠義」等のキーワードから連想すると唐代からは張巡、南宋からは岳飛、南宋末からはモンケの軍をしのいだ王堅、襄陽を守るため矢ネズミになった張順など、張巡は別として南北朝時代好きな方々には(私も含めて)感情移入、イメージをシンクロさせやすい時代、群像が出てくる時代、舞台なんです。でもそうなると正成、正行戦没後の楠木正儀ら楠木一党は少しだけ、金、南宋、モンゴルの間をさまよった李全らの軍閥に似ているんですよね(笑)



#7262 
tomohiro 2006/11/17 18:55
管理人さん及び常連さんへ

管理人さん及びここにこられる他の常連さんの
発言を見ているとsfにしろミステリにしろ、輸入/翻訳文学に対する
愛を感じます。
人間中庸がいいですよね。海外の物も、日本の物も・・・。
さて、私自身台湾に対して辛辣な事を言いますが、
その反面韓国も褒められた物ではありませんね。
先日小生が渤海国の話題を切り出したところ
徹夜城さんが、
韓国がこの国を「あの国は我が朝鮮民族国家だ。」
と言ったことを批判しましたが、
私も同感です。
だから、韓国も批判するし、親日的でありながら
日本のことを考えていないようにも見える台湾も
不信感があります。
私が台湾に対して物心ついて抱いたイメージは
「香港とつるんでしょうもない映画を制作している国」
です。親日国というイメージではありませんでした。
台湾も韓国も肯定すべき側面と批判する側面があるということで
発言を御開にしたいと思っております。



#7261 
電羊斎 2006/11/17 16:05
明朝などなど

>tomohiro 様
ディックは最近読んでませんが、好きな作家です。
私のハンドルネームも『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』から取りました。最初は「電気羊」だったんですが、使っている人が非常に多いので今の名前に変えました。

>孟きょう 様
確かに、明は清の引き立て役になってるところがありますねえ。
特に、清朝前半期は明の滅亡をいわば反面教師として諸制度の整備や綱紀粛正を実行してきたので、そういう見方が今でも尾を引いているのかもしれません。

私も明中期以降のタガの緩んだ、よく言えば自由闊達な雰囲気が好きです。この時代はいろいろな人物や思想家が出てきてとりわけ面白い時代ですね。

>朱元璋を不倶戴天の敵と憎みきっている杉山センセ
清朝史専攻の私は、孫文と袁世凱が不倶戴天の敵(笑)だったりして。
私も中国人によく冗談で「あの乱臣賊子が!」と言ってます(あくまで冗談)

>NF 様
>明の強さは、傑出した人物のカリスマによる強さではなく、(言い方は悪いですが)凡人達が頭をそろえてその場その場を上手く乗り切るのに長じた守りの強さでしょうね。

私もその点は同感です。
傑出した人物はそれほどいませんが、明という国は凡人が力を合わせてその場その場を乗り切れるような構造の王朝であり、社会システムだったと思います。300年近く続いたところから見ても、明朝の制度や社会システムはかなりの柔軟性と強靭さを持っていたと思います。ある意味「柔構造」ゆえの強さなのかも。

確かに「地球連邦」かもしれませんね(笑)

>徹夜城 様
「父親たちの星条旗」見たくなってきました。
2月、3月に一時帰国するのでそのときにDVD出ないかなあ。


http://honin.spaces.live.com/


#7260 
徹夜城(久々に劇場で戦争映画を見た管理人) 2006/11/17 12:02
親父たちの星条旗

↑間違い探し(笑)。

 さて、タイムスリップもので話題に出てきた「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」ですが、シナリオでは実在の映画監督にからむ歴史オチがあったらしいんですが、完成版ではカットされてるらしいんですね。そんなわけで、なるべく歴史事件や人物とからむタイムスリップものを並べてみようという趣旨のあのコーナーでは今のところ除外してあります。
 この映画でマイケル・J・フォックス演じる主人公が「クリント・イーストウッド」と名乗ってしまい、「荒野の用心棒」のネタバレパロディまでやってしまうわけですが、その元ネタの方が今回「父親たちの星条旗」を監督しているわけです。なお、ご本人は今作では監督に徹していて出演はしていません。

 「父親たちの星条旗」、昨日自宅から車で30分ほどのところにある郊外シネコンで鑑賞してまいりました。時間の都合で吹き替え版になりましたけど。
 戦闘場面に関しては「プライベート・ライアン硫黄島編」といったところです。CGで再現された島に押し寄せる大艦隊、艦砲射撃の嵐、飛び交う戦闘機など迫力はさらに増しております。上陸後の凄惨な戦闘シーン、こちらも「プライベート〜」以来慣れっこになってしまったのでしょうか(汗)、それほどショッキングでもなかったような。若干グロい描写も出てまいりますが、イーストウッド監督の上品さでまとめられてる感じがします。
 映画のメインとなっているのはあの有名な「星条旗を掲げる写真」をめぐる物語。あまりに綺麗な構図の名作写真でありますが、実際にはどのように撮影されたものだったのか、またあれに映っている兵士たちのそれぞれの運命はどうだったのかがかなり辛らつに暴き出されていきます。特に生き残った兵士三名が「英雄」として戦時国債募集のキャンペーンに駆り出され(そういやトルーマン大統領が出てきた)、茶番きわまる政治利用がこれでもかとばかりに描かれていきます。
 この手の話は21世紀の現在の戦争でも再生産されてるなぁ…と思うばかりの映画でありました。

 「シン・レッド・ライン」とか「ウィンドトーカーズ」でも思いましたが(「父親たち〜」のインディアンの俳優の方は「ウィンドトーカーズ」にも「出征」してた人だった)、アメリカ兵の視点から見てると日本兵って不気味なまでに強いんですよねぇ。なんか猛獣とかモンスターとかを相手にしてる感じで。見ていてアクションRPGの群がり来るモンスターが似てるなぁ、などと変な感想を持ってしまいました。
 その日本兵側の視点でしっかりもう一本作ってしまったのが凄いところ。無名に近い俳優ばかりで兵士たちを中心にしたアメリカ側に対し、日本側は栗林中将(渡辺謙)をはじめ中村獅童・伊原剛志・加瀬亮など濃い目なスター俳優をそろえてのドラマになるようです。前評判を聞く限りではこちらもなかなかの出来の映画となっているようで、期待しております。

 ところでこの手の映画はロケ地が気になるところ。ごく一部のシーンは硫黄島で撮影されてるそうですが(現在の状況とかそんな部分ぐらいでは?)、戦闘場面のロケはアイスランドの火山地帯で行われたそうです。ちなみに「プライベート・ライアン」のノルマンディーはアイルランドロケだったような。

 昨日見てきた劇場の近日公開作品にも気になるのが多いですねぇ。
ソフィア=コッポラ監督による「マリ・アントワネット」。日本の小説・漫画を原作として中国メインに韓国俳優まで混ぜて製作された「墨攻」なんかは歴史映像マニアとしてはおさえておかねばならんでしょうな。


>tomohiroさん
 すでにNFさんに書かれてしまってますが、僕は「怪盗ルパン」のファンサイトやってまして(笑)。しばらく更新しておりませんが、ぼつぼつと作業はしております。最近ウィぺディアのルパンの項目から外部リンクが張られてしまい、アクセス急増しちゃったもんで。「翻訳」ということではルパンシリーズの翻訳の歴史をまとめたコーナーも作ってますので、ご参考までに。
 で、他の翻訳ミステリとなると実はあまり読んでない(笑)。そりゃまぁ宿敵ホームズは読みましたし、エラリー=クイーンの「X」「Y」「Z」の悲劇シリーズ、クリスティの一部作品とディクスン=カーの一部作品なんかは読んでますけど、ミステリマニア定番作品は案外読んでおりません。最近になってルルーの「黄色い部屋の謎」を読み終え、今は「ブラウン神父」シリーズにようやく手を付けたという段階です。
 SFに話を飛ばしますと、アシモフのファンサイトやってる割には他の作家のはあまり読んでないんですよねぇ(笑)。ディックも短編をちょこちょこっと。映画「ブレードランナー」は大好きなんですけどね。


>南北朝
 そうですねぇ、離合集散は確かに面白いのです。「三国志」だって前半そうじゃないですか(笑)。
 あとNFさんも書かれていることですが、僕は南北朝ならではの乱世の面白さをアピールして行きたいな、とも思ってます。戦国と同じようなアピールしちゃダメなんですよ。天皇・公家・武士・悪党・寺社・海賊・非農耕民などなどあらゆる階層が乱戦状態になるところも南北朝ならではの魅力かと。



#7259 
Q世代 2006/11/17 06:15
傍目からは離散集合は面白いし

 架空戦記物と言うかパラレルワールド物というか、実は近未来ものなんですが、諸星大二郎の『マンハッタンの黒船』があります。「ドンマイ・ダンス(ええじゃないか)」と言えば思い出す人も多い作品です。
 
>南北朝問題
 この掲示板ではやはりいちばん盛り上がる話題ですね。
 孟きょうさんが書かれているとおり、話が進むほどにグダグダ。観応の擾乱なんか、知らない人にひとまとめで語っても何がなんだか分らなくなると思いますよ。「ここまで来ておま…今までやってきたことはなんだったんだよ!」みたいな状況ですから。南朝は寿命延ばしちゃうし。『平家物語』は「滅びの美」みたいな観点から語れますが、『太平記』はなにしろ滅びもしないんですから(笑)。『私本太平記』も赤橋守時が準主役のような鎌倉幕府滅亡編に最も筆が走っているように感じるんですよね。むしろあれで終わっておいた方がめでたいくらいに。
 ただ人物本位で見ると、楠木正儀みたいな興味深いキャラクターもいますし、離散集合の様は同時期の百年戦争に全然負けてません(こちらは30年戦争ですが、なんの、応仁の乱が控えておるわ)。「日本もこのころ面白いよー」とフランス人やイギリス人に自慢したいくらい。
 なので列伝。もしくは事件ごとに細かく割って、1エピソード完結方式でものすごく面白く書いてゆくことは可能だと思うんですけどね。



#7258 
NF 2006/11/17 02:00


>tomohiro様
翻訳ミステリ…。徹夜城様はルパンシリーズのファンでいらっしゃいます。因みに僕はクリスティやクィーンといったメジャー所は嵌っていた時期があるのですが翻訳ミステリファンと言えるレベルではない気が。

>電毛羊様、孟きょう様
明の強さは、傑出した人物のカリスマによる強さではなく、(言い方は悪いですが)凡人達が頭をそろえてその場その場を上手く乗り切るのに長じた守りの強さでしょうね。一丸となってまとめることは出来ないが不測の事態に踏ん張るのは得意。
「絶えず党争やクーデターが続き、しょっちゅう国が揺れ動いている」
「普通なら王朝が二度三度滅んでいてもおかしくはないんですけど、そのたびに立ち直ってます」「なにやら不思議な復元力」
…何だか、地球連邦みたいですな。って、とあるガンダム本の受け売りです、すみません(苦笑)。



#7257 
NF 2006/11/17 01:37
南北朝って案外「男の子」向き?

>十一郎様
レスが遅れましたが、ありがとうございます。「屋根裏の遠い旅」でまちがいないです。

>南北朝問題
最大の問題は「時代全体を一本貫く筋がはっきりしない」という事でしょうね。時代全体の流れとしては、地方豪族や有力権門連合体から商業・貨幣経済の発展に伴い集権的・専制的な国家へと変貌する過程ではあるが、それを完遂できるだけの力はまだ誰にもなく試行錯誤段階。中途半端な軸が多数あって主軸らしい主軸が見えない。つまりいくつかの視点から見ないとすっきり見えてこない、という訳で列伝形式がよいというのには賛同です。僕自身も、政治的志向を明らかにするため後醍醐天皇・尊氏の両巨頭に始まり、悪党代表で正成、後醍醐没後の南朝を代表し親房、北朝首脳代表として師直、そして南朝皇族大宝として宗良、九州政権を菊池氏で代表させて列伝を作った覚えがあります。有力守護代表・後期政治情勢代表として道誉を書こうとして何だかんだで果たせず。
しかしそうしても、尊氏の場合は尊氏自身より直義や師直、義貞の話が多くなった記憶が。戦には強いんだけど、気づけば何故か勝っている感じ。形は主役なんだけど寧ろ狂言廻しめいた感じが。
ドロドロした欲望などが正面に出る時代、暴力的な時代、濃い面子が多数(しかし主役の影は薄い)で列伝を連ねた形が良さそう…。何だか長谷川マジックとの相性は良さそうな。「ナポレオン」が無事完結したら(あれもナポレオン自身の影が薄い時期が長かった)南北朝やってくれないかなあ、いつになるかは分からんが。
…十一郎様の仰るとおりですな、北斗の拳みたいな嘗ての少年ジャンプ的な漫画には合いそうだ。さいとう太平記が上手くまとまるわけだ。そういや、北斗もゴルゴも主人公が狂言廻し的な性格が強いですな。

>南北朝と三国志
僕は寧ろ近代ナショナリズムに利用された面も含め金VS南宋を連想したのです。どちらも劣勢な方を正統としその悲運を嘆く、そちらに忠義を尽くす「民族英雄」がいる(ついでに日中ともに素性が胡散臭い傭兵隊長)し悪役もいる…。中国で蜀正統が広がった一因として六朝・南宋など南に追いやられた政権が自らと重ね合わせたという話が思い出されますね。



#7256 
孟きょう 2006/11/16 12:21



 >電羊斎様
 確かに明は創業者以来の暗いというかおどろおどろしいイメージがありますよね。明清時代とひとくくりにされるもの、清が高評価されれば自然と引き立て役となり、「大陸の様々な資源(人も人材も)を使いこなせず、近代人から見れば領土拡張の成功とすれば今一歩」というイメージもありますし(康煕帝のキャラが強烈だしな〜)。
 ただまあ、猥雑な感じが多分にあるんですが、華南が特ににぎわっているんいるんですよね。湖広エリアは米を作りまくるし各都市は爛熟の域にたって倭寇さんもお呼ばれになるし。王朝を強固に長続きさせるシステムも明清といよいよ完成されてきた感があるし。300年近く続くのだって人間の寿命にたとえれば100歳みたいなもんで十分すぎるほどで。
 朱元璋を不倶戴天の敵と憎みきっている杉山センセも「中盤以降の明社会はタガが外れて面白い時代」といってますし(笑) 



#7255 
tomohiro 2006/11/15 23:42
P.K.ディックですか。

フィリップ・k・ディックですか。
なかなか趣のある趣味ですね。
私はそのディック以外にもミステリを中心に輸入文学が好きですね。
「ミステリベスト100」なる
早川書房の本が私の輸入文学好きに拍車をかけました。
 しかし、小説を書くのが好きな私ですが、そういう同好の士だった
人間の中で、日本文学至上主義者の団体がおりました。
「輸入文学は資料にしかならない、日本の小説を書くものは、日本文学だけを
読め。」
とのことです。
私は輸入文学を始めとした、洋物を盲目的に崇拝する洋ヲタも嫌いですが、
こういう日本文学至上主義者も苦手ですなぁ。
ちなみに、ここに翻訳ミステリファンはいますかねぇ。

http://resutoa.exblog.jp/


#7254 
十一郎 2006/11/15 06:19
藤子F短編作品は、『ノスタル爺』も良かった

先日、映画側の掲示板も読みました。『ウインズオブゴッド』等を外したのは意図的だったのですね、すみません。
さておき、シリーズ物では『バックトゥザフューチャー3』も西部開拓時代にタイムスリップしていたような。歴史描写がどうだったかは記憶に残っていませんが・・・

>「超兵器ガ壱号」

かなり乾いた皮肉あふれる作品で、けっこう好きです。ガリバーを受け入れる側の視点で描いていたのも面白い。ファーストコンタクト物としての基本も押さえていて、ブラックな部分抜きでも楽しめました。
ガリバーがうとまれるようになる所は元ネタ通りですが、最後の最後のオチは、ひょっとして大日本帝国という自称と二流国家であった現実との落差をも皮肉っているのではないかと考えてしまいました(たぶん、考え過ぎですが[笑])。

※『ガリバー旅行記』自体、日本が登場したりと仮想歴史物的ですし、ディストピア描写もユートピアSFの先駆であったと思います。原作にほぼ忠実な翻訳を学生時代に読んで、馬の国のエピソードでかなり陰鬱な気分になりました。



#7253 
徹夜城(DVDとかTVの録画とかかなり溜め込んでる管理人) 2006/11/15 00:31
史実と映画の微妙な関係

 例の「歴史教科書」の執筆の合間に、買ったまま放置していたDVDを2本鑑賞。

☆「青島要塞爆撃命令」(1963年東宝、古澤憲吾監督・円谷英二特技監督)
 「あおしま」ではなく「ちんたお」ね(笑)。日本映画としてはかなり珍しい第一次世界大戦ものです。ドイツの青島要塞を攻略するため、まだ創設されたばかりの飛行機部隊が活躍するというお話ですが、はっきり言って戦記映画とは言いがたい、戦争アクション映画といったところ。東宝映画に詳しい方は主演が加山雄三・佐藤允・夏木陽介のトリオ、監督はクレージーキャッツ映画の古澤憲吾と知った時点で本格戦記映画とは思わないと思われます(笑)。
 岡本喜八の中国戦線アクション映画に近いノリでもありますが、複葉ヒコーキ映画としても見所多し。飛行機の戦争利用の草創期を描いているため、空中戦は拳銃OR機関銃で、爆弾投下は出刃包丁で、と時代を感じさせる描写はなかなか。ただし史実にはほとんどこだわらず、「ナバロンの要塞」を意識した要塞攻略ものになってまして、後にボンドガールとなる浜美枝が中国人スパイを演じてたり、インディ・ジョーンズを思わせる(こっちが先だけど)吊り橋アクションなど、まぁ盛りだくさんでありました。
 この戦闘で捕虜になったドイツ兵の話が先ごろ公開されていた「バルトの楽園」になるわけですが、結局こちらはまだ見ておりません。


☆「若き日のリンカーン」(1939年20世紀FOX、ジョン=フォード監督)
 前から見よう見ようと思っていた映画で、DVDで鑑賞しました。タイトルのまんまのちの大統領リンカーンの若き日の弁護士時代を描く映画で、ヘンリー=フォンダがハマりすぎの名演を見せてくれます。「古きよき西部」を描いて定評あるジョン=フォード監督ならではの人情話でもありますね。あのエイゼンシュテインはこの映画見て大感激、ファンレターをジョン=フォードに贈っちゃったんだとか。
 これ、リンカーンの青春記な映画でもあるんですけど、メインはアメリカ人の大好きな殺人事件の裁判劇。ある兄弟とチンピラ一人(といっても副保安官)がもみ合ううちにチンピラがナイフで刺されて死んでしまう。現場を見ていたのはその兄弟の母親だが、どちらが刺したかの証言は拒絶する。なぜなら片方を生かして片方を死刑にしてしまう証言だから。しかしこのままでは二人とも有罪で死刑になってしまう。この難事件の弁護を担当したのは駆け出し弁護士時代の若きリンカーンだった…というお話。

 推理モノの要素がかなり強く、終盤にどんでん返しがあったりするのでネタバレは避けます。見終えてまず気になったのは「どれほど史実の元ネタがあるのか」という点でして、「リンカーン 弁護士」でネット検索してみたところ一発で元ネタ発見。いやぁ、ホントに昨今のネットはたいがいのことが見つかるもんです。
 下のサイトにこの映画のモデルとなった裁判についての詳しい話が出てます。結構有名なエピソードだったんですね。映画を見る気があってネタバレされたくない人は回避しておいてくださいな。

 高岡法科大学 法律雑学講座
 http://www.takaoka.ac.jp/zatsugaku/008/niwa_1.htm

 上記のページでは映画についての言及は一切ありませんが、映画を見てから読むとグンと楽しめる内容です。映画がどのへんをいじってドラマを盛り上げてるのか、またキモの部分ではしっかりと史実(というより伝説ですな)に忠実に作られていることも分かります。ことに、いかにものちに歴史的大統領となるであろうと思わせるリンカーン弁護士像を作り上げた脚本・演出・演技の妙は見事というほかないです。
 ジョン=フォードとヘンリー=フォンダといえば名高い「OK牧場の決闘」を描いた名作「荒野の決闘」がありますね。以前にも「ワイアット・アープ」という映画の感想で触れましたが、この「荒野の決闘」もかなり史実からは乖離してより面白く話を作っちゃってます。

 ところでエイブラハム=リンカーンの愛称といえば「エイブ(ABE)」。現在の日本首相もあちらでネタにされてそうな気がしました(笑)。


>タイムスリップもの、仮想歴史もの
 いろいろと上がってきますね。アニメや漫画のほうまではあまり追いかけてないからなぁ…映画よりもそっちのほうが作りやすいので多いとは思っていたんですけどね。「ドラえもん」なんてずいぶんそれをやっちゃってますし。

 アメリカが負ける太平洋戦争といえば藤子・F・不二雄さんのSF短編で「超兵器ガ壱号」ってのがありました。宇宙から来たガリバーが日本軍に加わり形勢逆転、原爆もガリバーが途中で奪ってアメリカの都市に落としてしまい、アメリカが降伏してしまうという話。しかしそこは日本軍(笑)、ガリバーを警戒して…と、かなりシニカルなオチになる話でした。

 「日本に敗れたアメリカ」の話を見ていて思い出しちゃったのが、仮想歴史とはやや違いますけどソ連に占領されたアメリカを舞台にしたアメリカTVドラマ「AMERIKA」ってのがありました。いや、実は見てないんですけど、近所のTSUTAYAが何を勘違いしたのか、それとも高度なシャレなのか、アメリカの歴史ドラマのコーナーにこれを置いてまして(笑)。今にして思うとソ連崩壊までたいして年月がないころに製作していたような。ちょっと調べてみたら他にも同様の設定の映画とか小説とかあるみたいですね。



#7251 
電羊斎 2006/11/13 20:50
パラレルワールドその他

久しぶりに書き込みます。

少々話題に乗り遅れた感はありますが。
>「ファーザーランド」
こういうパラレルワールド物で自分が印象に残っているのは、P.K.ディックの『高い城の男』ですね。
第二次世界大戦で日本とドイツが勝利してアメリカが東西に分割されている世界で、これだけならよくある設定です。しかし、ストーリーは夢と現実、本物と偽者とが複雑に絡み合うもので、ディックらしい一筋縄ではいかない作品になっています。
面白いのは、日本の傘下に入っている西海岸の描写。これがまんま戦後日本なんですよね。日本に反感を抱く一方で、やたら日本人を崇拝し媚びへつらうアメリカ人。アメリカの古きよき文化にエキゾチックな憧れを抱く日本人。そして、アメリカが勝利する「架空戦記」(史実の展開そのもの。これが物語の鍵になってくる)が流行っていたりします。
一方東海岸はバリバリのナチズム。
こんど実家から送ってもらって読み返してみます。

>南北朝
確かにドロドロしてますし、突出したヒーローもいないまま、やることなすこと巧くいかず、だらだらした印象があります。ただ、孟きょうさんも書いておられたとおり、私も大人になると逆にそれがリアルに思えてきて、面白くなってきましたね。

少し話は飛びますが、中国史では、時代的に重なる明代にも似たようなイメージがあります。
暗君や佞臣がぞろぞろ現れ、絶えず党争やクーデターが続き、しょっちゅう国が揺れ動いている印象がありますが、逆にそれが魅力に思えてきたり(笑)。
ただそれでも、名君が多かったといわれる清朝と同じぐらい長期政権を保ってるんですよね(276年、南明も含めれば約300年弱)。
普通なら王朝が二度三度滅んでいてもおかしくはないんですけど、そのたびに立ち直ってますね。
なにやら不思議な復元力というか自浄能力を感じます。


http://honin.spaces.live.com/


#7250 
徹夜城(確か劇場で最初に見た映画が「さらヤマ」か「999」の管理人) 2006/11/12 23:41
夢と時間と南北朝

 あら、ここでも「999」盗作(倒錯?)騒動の話題が出てしまいましたか(笑)。直接的には歴史と関係ないですけど、まぁ世間話の多い掲示板でもありますから。
 
 個人的体験から話し出しますと、最初にCMであの歌詞が流れてきた時、僕はてっきり松本氏とのコラボ歌曲だと思いました。松本氏が「999」再開以来しつこいほどに「時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切ってはならない」というフレーズを漫画のみならず講演・インタビュー等で連発してたのは事実で、確か「プロジェクトX」だと思いましたがゲスト出演時にやはりこのフレーズを強調して番組を締めていたのを目撃してます。僕は松本作品のファンでもあり、その言わんとしていることはよく分かるつもりですが、そのあまりの連打っぷりには正直なところ「くどい」と思っていたことも白状しておきます。

 そんなわけでCMであの歌を聴いたときはまさかこういう騒動になるとは思わなかったんですよね。まぁやり取りを見ていると槙原氏側は少なくとも「盗作した」という自覚はないのかもしれません。松本氏が大いに騒いだのち事態を収拾しようとしたので「それじゃ盗作と決められちゃうじゃないか」と反撃を始めたというわけですが、松本氏も強気だからなぁ…今日どっかのTVで会見見ましたが「漫画家をなめるな、この野郎」といささか乱暴なお言葉遣いをされておりましたが…ヤマト騒動で鍛えられちゃったのかしらん。

 ただ「盗作かどうか」を裁判で判定するのは難しいんじゃないかなぁ…「証拠がある」って発言もあったようですけど、どういう証拠なのか。「偶然」と言い切ればそれまでという気もしなくは無いです。ただ個人的意見として「夢」と「時間」だけのかち合いならともかく、「裏切らない」がついてくること、そして言葉を入れ替えたフレーズをくり返すこと、といったあたりは「酷似」と思われても仕方ないかと。
 ともあれ「あんただって宮沢賢治パクッてるじゃないか」という反論はお粗末すぎるでしょう。「999」は当然「銀河鉄道の夜」を念頭に置いたSFファンタジーであるわけで、一応宮沢賢治の遺族側に断りは入れているという話も聞きます。


>南北朝問題(笑)。
 日本史上の不遇な乱世「南北朝」のファンを増やそうという努力をささやかに続けてるわけですが、なかなか大変なのですよねぇ。ゲームでも例のコーナーに挙げてるのしかないぐらいですし。
 戦国と比較した場合、南北朝は「立身出世譚」「国盗り物語」といった日本人好み(?)のパターンがほとんどないのが痛いです。楠木正成がかろうじて…とも思えますが、結末がああいう次第ですし。
 「天下をとった」ことになる尊氏だって最初っから大大名で「出世」要素がありませんし、むしろそのあと苦悩の人生を送ってしまうわけで…大河ドラマ「太平記」のとき、便乗本の一つに「足利尊氏〜天下を取った男〜」ってのがありましたが、僕ですら「そりゃ違うぞ」と思ったもんです。当時の出版界も扱いに困ってる感がありました。

 比較の対象として僕はしばしば「三国志(演義)」を挙げるんです。あえて南朝びいきに構えて南朝を蜀の連中にあてはめてみると、最終的にみんな悲劇的に死んでズルズルと滅亡へ行くラストなぞは意外と似ています。そして尊氏と足利軍団は曹操的ポジションに置いて「悪役」としちゃえば結構面白い構図にはなるのです。戦前の皇国史観においては案外こんな感じで楽しんでいたんじゃないかと。
 ただ現在となってはそうもいかず、また尊氏ってのが「逆賊」の観念的レッテルを外すと「悪役」としては実に物足りないと言うか(笑)、三国演義における曹操みたいな「悪の魅力」すらも出してくれない人なんですよね。南朝びいき視点での物語構築がこの点でも難しいのであります。

 こうして考えていくと、南北朝の厄介さの一つが「足利尊氏」というキャラのとらえにくさに象徴的に現れてるんじゃないか…と思えてくるんですね。快男児的にやろうとして結局は複雑な感じになった「私本太平記」、ややワル的に描いたような気がするけど中途半端な「新太平記」、完璧に極悪人にした「足利尊氏」ってのもありましたねぇ(笑)。どうも時代の主役なんだけど主役とするにはとらえどころがない、小説家泣かせのキャラなんですよ。北方謙三氏は尊氏は脇に徹させて、どこか茫洋としてとらえどころがないが妙に魅力のある人物として描く(「道誉なり」に顕著)ことにある程度成功していると思いますが。



#7249 
孟きょう 2006/11/11 12:29
南北朝問題

 
 >十一郎様
 そうですね、さいとう・たかを氏の「太平記」全3巻は、やっぱり頑張ってると思うんですよ、南朝の有名人物がほとんど死亡して一般読者の集中力が落ちていきそうな時点でなおも100ページを越える枚数を描き、観応の擾乱の顛末まで描くというのが非常に勇気のいる事であると思います。「太平記」後半に展開される日本史の中でも屈指のややこしさとドロドロさ、そしてバイオレンス性がさいとを・プロの作風に比較的マッチしていたのでしょうね。
 >Q世代様
 そうなんですよ、好きになってしまった今となっては全然気にならないのですが、南北朝の不人気、企画の困難さは「合戦の末、統一されたかと思えばそうでも無く決着がなかなか着かず、南朝陣営の有名人がほぼ全滅しただけでも腹がたっているのに勝ち気味の足利尊氏やその一味はグダグダしてるし悪さするしグダグダ内紛起こすし、全然ハッピーエンドじゃないじゃないか!不毛な戦いじゃ!」という一般的感想なんですよね鎌倉幕府は滅ぼすし、尊氏の孫の義満は嫌われるわで、とにかく日本人の比較的多数派や右よりっぽい方々の激怒を食らうような結末、内容てんこもりなイメージなんんですよ。私自身子供の頃は日本史の中ではやっぱり戦国時代が好きだったし、観応の擾乱付近は違和感を感じまくりましたね。多くの日本人が勝手なイメージで抱いている「偉大なる信長公や秀吉、家康公は統一を成し遂げ、明治の元勲は国家をつくりあげたし、頼朝公は何だかよくわからんが偉大らしいのに南北朝は爽快感が無い。他の時代は一事が万事事が上手く運ぶのに、この時代はやる事なす事上手く行かず、勝利者側は情けない群像じゃ!」という嗜好といいましょうか、起承転結のはっきりした漫画を求めるような感情に人間はどうしてもはまってしまうんですよね(大人になるとこの時代のドロドロさにリアルさを感じ、好きになってしまいもするのですが)。  



#7248 
にっき 2006/11/11 11:12
あ〜それは、たぶん

マンガは興味範囲なんで、失礼して書かしてもらいます。
松本零士さん、が特に怒っているのは、最初に
槙原ちゃんの所属事務所が
銀河鉄道999は槙原が好きなジャンルの漫画じゃないので
読んでいないだろうから、盗作ではありません。
と声明を出したのが、まず、かちん、ときたのでしょう。
好きなジャンルではない、とは、一種、作品を間接的に
けなしているようなものだし(笑
「銀河鉄道」というのも、な〜んか商標がらみで微妙ですね
宮沢賢治はSF作家でもあるわけですけど、銀河鉄道という
ネ−ミングは、外国に、そういう奇特な名前の鉄道があった
のをききおよび和訳して使ったとか何とかという話を
聞いたような聞かなかったような〜



#7247 
十一郎 2006/11/11 08:01
正確には

長期を描いている部類、程度ですね。
古典太平記をわりと素直に描いているから、自然と長期作品になったわけですが。

ついでにタイムスリップ映画を一つ(微妙にネタバレ)。
『映画ドラえもん のび太のパラレル西遊記』という作品があります。原作者が病気になったため、西遊記という題材だけを与えられ、初めてアニメスタッフがオリジナルストーリーで制作した長編ドラ映画。現実の三蔵法師の時代に行ったのび太たちが歴史改変をしてしまい、西遊記が史実になりかけるという展開。時間移動描写で、子供向けらしからぬきっちりしたつじつまあわせをやろうとしています。
歴史物として面白いのが三蔵法師の描写。西遊記では孫悟空達に助けられるため、弱々しい人物というイメージで描かれる作品が多いですが、この映画では長い旅を何度も行った宗教者らしく心身ともに頑強で、包容力ある立派な人物として描かれています。

※実は三蔵法師は同じ藤子F作品の『TPぼん』に元ネタとなる話があります。男らしくも穏やかな顔立ち、旅の共をする少年の描写等、映画スタッフが参考にしたのでしょう。



#7246 
十一郎 2006/11/11 07:46
北や南の旦那様

南北朝をフィクションにする事についてですが、大長編漫画ならばむしろ日本史で最も向いている時代の一つなんじゃないかと思います。別の所でも書きましたが。

多勢力が入り乱れる戦闘が多いから適度にアクションで楽しませるし、キャラ立ちした人物も多いから漫画に向いている。
裏切りや勢力移動も、少年漫画雑誌に連載されている漫画でさえ珍しくない。所属変更は長期連載漫画のカンフル剤として使われている観すらあるので、読者も馴れているでしょう。
同様に、混沌とした状況や終息間際のグダグダ感も、人気が出過ぎて延長されて間延びした漫画みたいなので違和感がない(笑)。
外伝で別視点から語ったり、スピンアウトしたりも漫画では珍しくない。
人物の心情がわかりにくいところも、漫画なら内面を描かずにすませやすい。

実際、過去ログでも話題になっていた古典を漫画化するシリーズで、太平記を三巻にも渡ってさいとうたかお氏が漫画化していますが、アレンジ無しで相当に内容をはしょっているのにダレてない。
ちなみにこの漫画は湊川以降に一巻をさいており、南北朝を題材にした作品では何気なく最長期を描いております。

※鎧武者や乱戦を丁寧に描写し、やたら多い人物を書き分けるにはかなりの技量が必要ですが。

>ブッチャ−3世さん
>銀河鉄道って宮沢賢治が版権じゃん

あくまで松本氏は、私の影響を認めてくれたら許すし訴訟もしないという立場なので、松本氏が宮沢賢治の影響を否定したのでなければ筋違いの反論ですね。
何より、槙原氏も「雨ニモ負ケズ」という歌を発表しているので(笑)。

もっとも、松本氏関連で著作権をめぐるいざこざは今に始まった事ではないので、難儀な人だなあとも思います。



#7245 
ブッチャ−3世 2006/11/10 18:55
裁判にしなきゃならない程の物?

おひさ、です、ロムを読んでないので、重複するネタかも
わからんですが、松本零士・画伯VS音楽家・槙原、みなさん
どう思われます?裁判なしでナシをつけるかと思っていたのに
槙原氏が、なんだか反撃を始め、銀河鉄道って宮沢賢治が版権
じゃん発言で松本画伯、激怒って週刊誌ネタですが(笑
こじんてきには「時間」と「夢」という2つの言葉で
こだわりの紛争をせねばならないものなのでしょうか?
やはり、たった2つの言葉の使い方でもア−ティストには
譲れない、こだわりなのでしょうか?



#7244 
Q世代 2006/11/10 18:20
南北朝小説について

 印象論なんですが、南北朝モノの魅力も弱点も、あの「誰が主人公なんだか良く分からず」「物語の終了条件がはっきりしない」ところにあるんだと思います。楠木正成が死んでも、後醍醐天皇が死んでも、足利尊氏が死んでも、なんだかまだグズグズと話が続いて……ありゃりゃフェードアウトして終わっちゃったよ、みたいな。要するに総花的に描くとむしろカタルシスが得にくい。
 裏を返せば主人公に足る人物が沢山いて、その関係性で全体像が出来ているという点で、極めて歴史的に正しい取り組み方ができる可能性があるわけですから、徹夜城さんがおっしゃるように、北方さんの列伝的形式が最も効果的であると私も思います。
 リレー小説形式で、何人もの作家が一人一列伝を書き進めて行くプロジェクトなんかあると面白いなんて考えちゃいました。なぜリレーかというと、そうしないとリンクの整合性がとれなくなるからで、後で書く人ほど縛りがきつくなって苦しいんですが(笑)。



#7243 
十一郎 2006/11/10 08:02
戦争に関係しない仮想歴史映画は少ないですね

>徹夜城さん
>タイムスリップ歴史映画コーナー

見させてもらいました。
ところで日本テレビ版の『戦国自衛隊 関ヶ原の戦い』は今ひとつどころか、怪作と呼べる出来だったと思います。あまりにも安易な現代兵器攻略法とか、最後のサトエリの意味不明ポーズとか(苦笑)。

タイムスリップ物では、『映画クレヨンしんちゃん アッパレ戦国大合戦』がお勧めです。タイムスリップした先は架空の春日国ですが、なかなか戦国時代初期の雰囲気が出ていました。小国を舞台にしているためか、普通は見られないような細かな戦闘描写が見られます。公開時やTV放映時に時代考証の正確さが話題になっていました。
2時間ドラマでは、テレビ朝日の『ウインズ オブ ゴッド』や、TBSの『僕たちの戦争』が。前者は同名演劇を原作とし、神風特攻隊に2人のお笑い芸人が乗り移る話で、たしか米国で映画化もされてます。後者は同名小説を原作としているらしく、回天の乗組員と現代の若者の意識が交換される話。

>仮想歴史ものというコーナーを作ろうかな〜という迷いもあったのです。
>しかしそれ以上は集まらないもので…

『帝都物語』なんてどうでしょうか? 映画が2作、アニメが4作あります。映画は立派なスタッフを集めて予算も使いながら微妙な出来でしたが、意外とアニメ版が良い出来でした。アニメ版は原作のかなり多くの要素を映像化しています。・・・どちらかというと伝奇物かな。
『るろうに剣心 追憶篇』というオリジナルビデオアニメもあります。幕末から明治維新にいたる時代を舞台にした人斬りの、数々の歴史上事件とつかずはなれず展開する、漫画原作アニメ(漫画の大半は明治初頭を舞台とした内容で、TVアニメ化もされましたが、歴史事象とは関係薄いです)。映像の美しさはかなり高いレベル。主人公は漫画原作らしく異様に強いのですが、歴史の流れに翻弄されるという展開なため、架空主人公を狂言回しとした幕末物と見る事ができます。・・・どちらかというと架空主人公時代劇?
『人狼』という押井守原作のアニメ映画も架空史作品でしょう。第二次世界大戦の敵国をアメリカからドイツに変更した結果、ドイツ的な治安機構が成立した日本における、史実より苛烈な安保闘争といった内容。架空歴史的な要素は設定を一部共有する『立食人物伝』の方が多いようですが、まったくの未見なので。
『キングコング(リメイク版)』も歴史物的な見方が出来そうですね。
『天保異聞 妖奇士』というTVアニメも土曜18時のTBS系で始まりました。妖怪に似た敵を倒す必殺仕事人的な内容ですが、天保の改革が根底にあり、各所に実在人物も配置されています。今の所は話の展開ももたついておすすめできませんが、毎週のように登場人物が歴史豆知識をわざとらしく語る演出と、湯屋やお台場等のTV時代劇では予算的に難しい要素も描写されるところが歴史好きのツボをくすぐるかも。

※紹介作品がアニメに偏っているのはすみません。おそらくアニメは史実そのままを映像化すると地味ととらえられるため、どこかに架空的な要素を設定してしまうのでしょう。たとえば、三国志登場人物の性別を変えたり(笑)。

>ひでさん
情報ありがとうございます。
ううむ、日本での公開予定は現状では無しですか・・・

>NFさん
那須正幹作とは、おそらく『屋根裏の遠い旅』ですね。かなり古い書籍らしく、残念ながらネットのレビューでしか見た事がありません。
そういえば『ズッコケ三人組』にはタイムスリップSFがありました。時間を旅する美女という設定から絶望的な真相が明かされ、暗い結末へ至る内容は、かなり本格的なものを感じました。



#7242 
十一郎 2006/11/10 07:59
あまりにも長いので別けます

日曜洋画劇場で『信長の棺』なる原作つき歴史ミステリーをやっていました。
正直、歴史もの的な面白味は薄かったですが、意欲的なCG・美術セットは感心しました。
しかし、『風林火山』と同じく松岡の起用は失敗だったかと(苦笑)。若手では悪くない役者だとは思いますが、信長を演じるにはまだ流石に風格不足。

>徹夜城さん
>どれもどこか構造が同じ、というところがありました。

それが、そもそも実質デビューと受賞デビューにあたる『川の深さは』と『Twelve Y.O.』からして話の構造が同じで、それが審査員からも少し問題にされていたんです。そしてさらにまた同じ構造の『亡国のイージス』を書くという禁じ手をやり、驚くべき事に成功してしまったわけで(笑)。

日曜洋画劇場で見たので、持っていた『亡国のイージス』のムックも読めましたが、阪本監督はあえて自分が苦手なジャンルに挑戦する気持ちで制作したらしいです。プロデューサーからオファーが来てからの仕事であり、制作に参加した時はすでに検討稿が出来ていたそうで。阪本監督は自作品で脚本を兼任する事が多く、そればかりでは「どこか似てきてしまう」ため、違う制作体制に挑戦したとの事。

ちなみに一連の福井原作映画はどれも原作を読んでいません(なぜかどれもムックは読んでいます)。
しかし個人的な感想では、娯楽的な部分のみ抽出してイージス艦を舞台としたダイハードに仕立て上げたらしい『亡国のイージス』が、逆に一番良くまとまっていたと思っています。劣化『劇場版パトレイバー2』な印象もありましたが・・・
『ローレライ』は画面の構図にこだわり、売れる要素を集めていたものの、監督の俳優演出経験不足と絵面を最優先した結果、リアリティを損なってしまった感が強いです。終戦工作以前に、ローレライを渡そうが渡すまいが関係なく第三の原爆が落とされるという展開にも首をひねりました。
『戦国自衛隊1549』はあまり多くを期待しないと、そこそこ楽しめた作品だと思います。逆に、一番こじんまりとしてしまったとも。

なお、福井氏はけして嫌いではなく、前回の書き込みはどちらかというと大河ドラマ話への長い前振りです(笑)。
ただ、資料を駆使して無駄ない描写で緻密な虚構を作り上げるタイプではなく、実際は文章量を多くして読者を幻惑して勢いで読ませるタイプの小説家なのではないか、と思ったのは事実で。



#7241 
徹夜城(自分でも南北朝小説書いてみてもいる管理人) 2006/11/09 10:42
ラムちゃん辞任だっちゃ

 さて中間選挙の結果を受けてラムズフェルド国防長官辞任。「戦犯」ということでは先日死刑判決が出たフセイン氏といい勝負という気もするので辞任で済むぐらい安いもんだな、と。阿南惟幾のことを思い起こすと「腹を切れ」と言いたくなりますが「日本のいちばん長い日」の見すぎでしょうか(笑)。
 そういやこのラムちゃん、かつてそのフセイン大統領と握手してニッコリ、という写真がありましたな。


>森村太平記
 これ実は映画化の話があったんですよね〜「天と地と」に続く角川映画の超大作として。結果から言えば流れてよかった(角川春樹氏が捕まったりしたため)のですが、南北朝ものの大作映画が見られるチャンスを逸したことは残念ではあります。現在角川春樹氏は同じ森村氏原作であるチンギスハーン映画を製作中なわけですが、めぐりめぐって「太平記」に再チャレンジなんてことは…

 森村太平記で他に気になったのは古典にも出てくる「聖徳太子未来記」がそのまんま登場し、正成がその予言を知ってその成就と阻止のために行動することになってるところです。現代の歴史小説でそれをそのまんまやるというのは…と思いましたし、他にも古典太平記のシーンをそのまま引き写したような場面・設定は目に付きます。まぁタイトルに「太平記」ってしてるんだからしょうがないかもしれませんが…
 菊夜叉以外のオリジナリティとして、六波羅探題の北条仲時の妻が生きながらえて登場を続ける(兼好の厄介になってる)、後醍醐暗殺計画に失敗した高時の弟・北条泰家がやはり兼好の家に厄介になる、など、どうも北条がらみが目に付きます。そういや北条時行の処刑シーンがちゃんと描かれた南北朝小説なんてこれが初では。

 南北朝時代小説は数そのものが少ないので比較論が難しいのですが、森村版「太平記」、南北朝時代を総合的に描く群像劇としてのスケール感は確かにあります。特に誰が主役と決めずに多角的に描くところも南北朝ファンとしては楽しめます。ただあまり工夫が無いと言うか、人物造形に深みが足りない気がしますね。
 かなり細かいところまで書いている作品でもあり、吉川英治「私本太平記」が息切れしてしまった湊川以降も長い。でもやっぱりこちらも内容的に「息切れ」してる感じがします。なお、尊氏の死で事実上物語は終わってまして、「そのあとも面白いのに」と思ってる僕などにはかなり不満のある書き方をしています。
 山岡荘八「新太平記」も義貞戦死で終わりですし、今東光「太平記」なんて護良親王逮捕で終わり。どうも建武の新政崩壊以後はみんな書く気が失せちゃうらしいんですな。北方謙三「楠木正成」も湊川は描かれず先行きを暗示する形で終わっちゃうし…
 そういや楠木正儀を主役にした「吉野朝太平記」ってのがあるんですよ。まだ読んでないんですけど、いま手に入るかなぁ…大河ドラマのときに今東光版なんかと一緒に文庫本で出ていた記憶がありますが。こういうこともあるから大河化・映像化ってのはありがたいんですけどね。

 南北朝小説では北方謙三さんがやったように各キャラごとの「列伝」形式にするのがいいのかも、とも思うんですよね。懐良親王の「武王の門」、北畠顕家の「破軍の星」、赤松円心の「悪党の裔」、佐々木道誉の「道誉なり」、「武王の門」の続編となり義満も登場する「波王の秋」…となかなかのラインナップだったんですが、「楠木正成」で打ち止めとなり、その後の北方さんは「三国志」「水滸伝」と吉川英治みたいになってきちゃったのが残念。南北朝ってこんなに面白い人たちがいるんですよ、とよく分かる点でもいいやり方なんですが…主役はれる人、いくらでもいますしね。誰か足利直義とかで小説一本書きませんかねぇ(笑)。
 などと言いつつ、「南北朝」世界を総合した「太平記」級の作品を見たいのも事実。僕もひそかにこころみてコツコツ書いたりはしてますが…やってみるとなかなか大変だと分かります。「ムロタイ」はその後半部分の構想をまとめたもので、ホントは1320年代からスタートする大長編の続きという位置づけなんですよね。


>景虎さん
 新田一族の二刀流…というのは僕は初耳でした。しかしNFさんも書いておられるように、義貞の「鬼切」「鬼丸」の二振りの刀の話は「太平記」にもあって、これが元ネタということなのかもしれません。
 湊川撤退戦での義貞の二刀流奮戦は確かに彼の見せ場なのですけど、どうもこの人、鎌倉攻略戦以外では「負け戦で大活躍」な場面が多い気がします(笑)。古典「太平記」では箱根・竹之下合戦の敗北中に一族の奮戦が描かれてますし、それから東海道を西へ逃げる時も浮橋を破壊せずに足利軍のために残していく、とか…こういうことしてるから批判もされるんでしょうけどね。


>歴史映画情報!
 数年前からプロジェクト進行中とは聞いていたスティーブン=ソダバーグ監督&ベニチオ=デル=トロ主演のチェ=ゲバラ映画、どうやら本格的に製作スタートらしいです。

http://www.eiga.com/buzz/061107/02.shtml

 デル=トロとソダバーグの組み合わせは「トラフィック」ですでにやってますね。それにしてもゲバラを二部作でとはずいぶんな力の入りようです。
 ところで最近JRの駅でよく見かける「夜のピクニック」って映画の主人公はゲバラのTシャツ着てますね(笑)。



#7240 
NF 2006/11/09 00:25
二刀流

>景虎様
「太平記」で記されていた話ですが、湊川合戦で退却する際に義貞は鬼切・鬼丸の太刀をそれぞれ手に持ち雨の如く浴びせられる矢を切り払ったというエピソードがあります。これを知った時、「凄い、義貞強い」と思ったのですが二刀流と結びつける発想はありませんでした。このエピソードから二刀流の話が出たのか、逆に新田氏に二刀流の伝統がありその中からこの話が生まれたのかはわかりませんが。

>徹夜城様
「現代的感覚の例え」は僕もよくやるので余り偉そうな事はいえなかったりしますが…。現代と比べて何がどう違い何が変わらないかを見抜く力が要るので、実はかなりセンスを求められる高等技術なんでしょうね、本来。
しかし、「無名の高校が甲子園の決勝戦に進んだような衝撃」てのは確かにどこからどう突っ込んだらいいのか困惑させられますね。
しかし、森村太平記は押さえておくべきかどうか悩んでます。そういや、柘植久慶「逆撃 楠木正成」もネタとして一度は目を通した方がよいか迷ってますが、金を出して買うのは気が進まない現状です。

ところで、上泉信綱のエピソードは話としておいしいんでしょうかね、それだけ使われると言う事は。「キン肉マン」でも拝借されたのですが変わり果てた上になんだか変な話になってしまったことが(本筋から逸れるので詳細は述べませんが)。落語「館林」も「立てこもった強盗に上手く近づいて取り押さえた武芸者の」話ですし一つのパターンなんでしょうかね。

>「ファーザーランド」
未確認情報ですが、日本を舞台に似たような設定の作品があるとか。那須正幹氏(ズッコケ三人組シリーズの作者)が、日本が第二次大戦を生き延びたという世界に主人公たちが迷い込む話を描いているそうです。その世界の日本は軍国主義体制が続いており中国や東南アジア諸国との紛争が慢性化しています。70年代までその戦いが泥沼化した状況で日本は…。…現実世界の日本がたどってきた道は、ベストではないにせよベターな選択ではあったのじゃないかと改めて思ってみます。



#7239 
景虎 2006/11/08 13:09
新田伝説

>古典「太平記」そのまんまのホラー描写(笑)
ふ〜む、面白い話ですね。
新田義貞といえば、他にも興味深い伝説があったりします。それは、二刀の開祖だという話です。

何でも、宮本武蔵系の流儀の伝書に、そういう伝説が書かれているのだとか。
まあ、後世に作られた伝説だろうと思いますが、荒唐無稽な伝説と言い切っていいかどうかも、疑問だったりします。
武蔵が武芸の後継者として選んだ、寺尾勝信、信行兄弟という人たちがいますが、この二人、何と新田一族だとか。新田一族に家伝の二刀技術があったからこそ、武蔵はこの新田兄弟を後継者にしたのでは?という推測をする人もいます。
仮に、新田一族に二刀があったとしても、義貞が創めたかどうか分かりませんが、面白い話ではあります。

こういう面白い伝説を宣伝すれば、南北朝物も増えるんでしょうかねえ?



#7238 
tomohiro 2006/11/07 13:32
渤海のことにレスをつけて下さった方どうも。

渤海国についてレスをつけて下さったかたどうもです。
前近代の国家にいろいろ現在の政治を持ち出すのは馬鹿馬鹿しいですよね。
それゆえに、渤海国は面白いと考えております。



#7237 
徹夜城(久々に長編歴史小説を一本読み終えた管理人) 2006/11/05 22:46
森村太平記読了。

 先日も話題にしておりました、森村誠一「太平記」、読了しました。
 南北朝ファンだから最後までちゃんと読めた…って感想ですね。南北朝時代を素材にかなり細かいところまで描いた大作としては注目はしますが、はっきり言ってつまんなかったです。序盤は正成や護良親王のエピソードなどけっこう細かく書き込んでいたんですが、どうも作者自身が終盤に行くにつれやる気を失ってしまっているような…文庫本で全6巻ですが、6巻なんてただただ年表を文章化して読まされてるような感じでした。
 あと、これは歴史作家に限らず使う人は多いのですが、なじみのない歴史事件や状況を分かりやすく説明しようとして現代的感覚の例えを持ち出すことが多いのには困りました。これが上手い例えならいいのですが、どれも苦しい、というか無理ありすぎと思うことが多く…北畠顕家の「謎の伊勢方面転進」でレイテの栗田艦隊を持ち出す、後醍醐天皇の事故神格化ぶりを批判するくだりでヒトラーやら軍国に本やら北朝鮮やらを持ってくるのはまだいいほうで、多々良浜の大逆転で足利軍が東上するとの報に接した後醍醐たちの印象を「無名の高校が甲子園の決勝戦に進んだような衝撃」とやっちゃうのは明らかにヘン。「鎧袖一触」という四字熟語がよほど好きなのかやたらに乱発するのも気になりましたし。
 高師直の若いころのエピソードとして挿入される話で、「子どもを人質に立てこもった盗賊を握り飯を渡そうとして刺し殺す」というのは、上泉信綱のエピソードをそのまんま拝借していてビックリなんてことも(「七人の侍」も拝借してますけどね)。

 最大のオリジナリティは北条高時の愛妾「菊夜叉」が陰の主役として全編にわたって登場する(南北朝合体時まで健在)ことですが、これも何やら歴史展開を既に知っている「現代人」の感覚で何ごとも全てを見通してしまうキャラなんですよねぇ。この女性、北条時行をかついで北条家復興のために戦うわけですが、全てを見通してるわりには周囲の無理解で失敗ばかりしてるのがかえって不自然で。
 なお、この菊夜叉、楠木正成が「最初の男性」であり、あの文観の女信者でもあったという設定になってたりします。

 「私本太平記」もこころみていた、「徒然草」の兼好法師の登場もありました。ネタバレしますが、森村太平記では「二条河原の落書」の作者が兼好さんになってます。まぁかなり学があり文のたつ者が書いたのは間違いなさそうなので、ありえそうなフィクションとは思えます。
 あ、あと直義は尊氏に毒殺されたのではない設定になっております。なんでわざわざそうしたのかよく分からない創作ではありましたが…。

 南北朝ものを読むときにいつも注目しちゃうのが尊氏のライヴァル・新田義貞の描かれ方。う〜ん、やはり森村さんも義貞にはかなり辛いですな。義貞戦死のくだりで「太平記」や「神皇正統記」がかなり義貞に冷たい書き方をしてることに触れて、頼三陽「日本外史」が義貞を弁護している事を紹介していたのは目を引きましたが。
 しかしその義貞戦死シーンで、義貞が首を自らかき切り、首のない体が自分の首を泥の中に埋めてその上に首を隠すように倒れたという、古典「太平記」そのまんまのホラー描写(笑)をさしたる疑問もなく書いちゃうのはいかがなものでしょうか。


>tomohiroさん
 渤海国の件では、以前から韓国と中国の間で歴史認識上の対立があり(というか韓国側が「あれは韓民族国家」と一方的にかみついてる感が強いですが)、それが高句麗の扱いにまで発展して韓国マスコミが「高句麗捏造問題」とまで騒ぐということまでありました。僕に言わせれば近代国民国家・民族国家以前の国家について現代的な感覚から「○○民族の国だ!」と決め付けてしまうこと自体がナンセンスだと思うんですが。
 自分の専門でもある「倭寇」でも似たような問題があるもんで、渤海について「どちらか」と聞かれると「いろんな要素があるわけだし、決める必要もないのでは」と答えることにしています。


>つねさん
 「ファーザーランド」ですか、それはまだ知りませんでした。今度探してみます。
 実際の歴史とは異なる展開をした世界をえがくパラレルワールドな舞台設定の映画としては、今度「タイムスリップ」に分類した韓国映画「ロスト・メモリーズ」もそうなんですよね。安重根による伊藤博文暗殺を阻止するかどうかで歴史が変わる仕掛けで、タイムスリップもあるのでそっちに分類しましたが。
 あとタイムスリップということで迷ったのが「ゴジラVSキングギドラ」でした(笑)。太平洋戦争中の太平洋の孤島にタイムトラベルして水爆実験以前のゴジラ(の原型の恐竜)に会うというシーンがあり、一度はゴジラが出現しない歴史展開(それは歴史なのか?)になるんですね。まぁタイムトラベルものとしては穴だらけな脚本でしたが、勢いで見せちゃう大法螺映画として僕は愛好しております(笑)。
 「ゴジラ×メガギラス・G消滅作戦」はゴジラ第一作のあと大阪に首都が作ったというパラレルな日本を舞台とした異色作でした。しかしそれなのにお台場にフジテレビがあるのがヘンでしたが(笑)。と言いつつこれもシリーズ中では結構好きだったりして。



#7236 
tomohiro 2006/11/05 19:34
渤海考

この、文章を読んでいる皆様、
渤海という国が東アジアの中国東北部にあったことを御存知でしょう。
この国をある人は朝鮮史の扱いにしたり、他の人は中国史の扱いで見ることが多いです。
どちらなのでしょうか。
私自身、高句麗以上に中国の要素が強いようにも思います。
私が一番信じたくないのは主にrussiaの学者が唱えている、極東少数民族の部族国家説です。


http://resutoa.exblog.jp/


#7235 
つね 2006/11/03 00:29
訂正

調べてみると「ファーザーランド」でした。
うろ覚えはろくなものにならないですね。



#7234 
つね 2006/11/03 00:14
父の国

ごぶさたです。

仮想歴史なら「ファーザーズ・ランド」があります。
ナチス・ドイツが第二次世界大戦を生き抜いていたらという仮想もので
(ただしソ連とは長期戦になっている)、アメリカと講和を結ぶために
ユダヤ人虐殺をひた隠しにするというもの。
ベルリンはシュペーア設計の世界らしいし(バス・ガイドがそういうだけ)、
白髪のヒトラーも出てきます。(本当はつるっぱげになるはずですが。)
アメリカの大統領はケネディ・パパ。

原作は読んだことがないのですが、やや原作とは違うらしいです。

10年位前にたまたまレンタルしただけで、入手困難かもしれませんがぜひ。



#7233 
ひで 2006/11/02 01:03
The Last King of Scotland

アメリカで公開中(しかし限定公開だとか)のアミンの映画は原作があります(ジャイルズ・フォーデン著(武田将明訳)「スコットランドの黒い王様」新潮社)。アフリカの話なのに何故スコットランドなのかは読んでからのお楽しみと言うことで。
ただ、訳者の方のブログをみると、この映画は日本公開は未定なようです。
http://masaaki-takeda.tea-nifty.com/swiftiana/2006/09/post_76c0.html
(トレイラーはここ)
http://www.apple.com/trailers/fox_searchlight/thelastkingofscotland/hd/

http://pezetairoi.hp.infoseek.co.jp/


#7232 
徹夜城(久々に歴史関係で更新した管理人) 2006/11/01 23:08
タイムスリップコーナー、作りました。

 だいぶ前に予告していたことですが、「歴史映像名画座」のタイムスリップ歴史映画コーナー、今日公開しました。
 現時点で8本収録。ちょうど話題に出ております「戦国自衛隊」がそのうち3本を占めてますが(笑)。韓国映画も2本。探せばまだまだあるんでしょうけど、僕が見たものとしてはこんなところです(まだ何かあったような気がしてしょうがないんだけど…)。)。「ジパング」のアニメ版はほとんど見て無いので今回はパス。
 実はタイムスリップとは別に仮想歴史ものというコーナーを作ろうかな〜という迷いもあったのです。これをやると「ローレライ」なんかも範疇に入ってくるわけでして。しかしそれ以上は集まらないもので…アニメの「紺碧の艦隊」はFXのゲームでしか見て無いし(爆)。


>パリ症候群
 ルパンファンとしてはパリへの訪問は一度はしてみたいところですが。何度も書いてるネタですけど、大学のフランス語の先生は「フランスはいいとこですよ〜フランス人さえいなけりゃ」とジョーク(エスプリ)を飛ばしてましたね。
 鉄道写真家の南正時さん(ちなみに「ヨーロッパ特急」と言う映画で武田鉄矢さんがこの人をモデルにした主役を演じてます)の話だったと思うんですが、フランスの田舎で鉄道写真を撮ってると「こらこら、そこは撮影禁止だ」と嫌がらせにくるオジサンがよくいるんだとか(笑)。日本語でまくしたてて反撃すると引き上げるそうです(笑)。


>十一郎さん
 福井氏、「亡国のイージス」が大当たりしちゃったもんだから、「ローレライ」「戦国自衛隊1549」と原作を立て続けにやることになっちゃったんですが、どれもどこか構造が同じ、というところがありました。もっともご本人はその後立て続けの映画化に関わってあんまりいい思いはしなかったようなことを書いてましたが…(表現にかえって限界があるとかなんとか)。あと「歴史はよく知らない」とは「戦国自衛隊」の時に何度か発言してました。自分でそう言ってるほど知らないのかは怪しい気もしましたが…
 「ローレライ」、映画化を前提にした原作の方は評価が高いようなんですよ(僕は未読ですが)。映画のほうは発想は悪くないんだけど終戦交渉のところにあまりにも史実との乖離(というか無頓着と評されてたな)があって、それが終盤をつまらなくしている感もあり。
 「亡国のイージス」、僕は原作読んでから映画を見ましたけど、ずいぶん違うものになっちゃったという感想でしたね。



#7231 
十一郎 2006/11/01 05:46
坂の上の蜘蛛

というタイトルの小説が愛媛県松山市主催の小説賞に応募され、最終選考まで残っていました。
元ネタの大河ドラマ化をまだ諦めてないんでしょうかね(変化をつけるためにもドラマ化は望むところですが)。

さて、ようやく『ローレライ』見ました。あまり歴史要素はありませんでした。物語は今年にTBSでやった二時間ドラマ『僕たちの戦争』の方が良かったかな。
とはいえ、その2作品はSFに近いからさておきます。『亡国のイージス』が今週の日曜洋画劇場に登場したのも横に置きます。先日、『戦国自衛隊1549』のムックを読んで、ちと思ったこと。
福井晴敏って本質的な部分ではマイケル・ベイと似たようなクリエイターなんじゃないか、と(笑)。

戦闘が始まるまでの青春パートが長いと旧作映画をインタビューでくさしているところとか、半村良原作小説をムックインタビュー時にいたっても読んでないこととか、そういう細かい所じゃありません。歴史の知識に関するところに、ちょっとどうかと思う点が多かったのですよ。
たとえば、井沢元彦との対談で、長尾景虎が実在しているかどうかを知らなかったと語る所とか、歴史が好きじゃない観客向けにマイナーな人物が重要にならないような展開にしたとか、けして歴史が好きではないんだろうなという雰囲気がにじみ出ていました。
同じ対談で、どんな題材でも作れるが源氏物語をやるならばまんまじゃなくて大がかりなスペクタクルがほしいと語った辺りは、映画や小説を興行として見ているんだなあ、と逆に感心したくらい。

※ムックとは別に、『アニメ・マンガ・戦争 安彦良和対談集』という書籍の収録された対談も興味深い。安彦歴史漫画を非常に面白いと持ち上げた後、「NHKの大河ドラマ観て、歴史はつまらないと思っていましたから。」と発言しています(笑)。それに対して「いや、あれで歴史好きになった子もいるんじゃないかな(笑)。」と安彦氏のフォローは入っていますが。

ムック自体は、どうしてこういうスタッフからああいう映画が出来たのかという経緯が何となく感覚できて、楽しく読めたのですが。
それと、特撮メイキングはもっと画像多めにしてほしかったな。薄いムックのわりに、映画と直接関係ない福井インタビューに枚数を使ってしまってるんですわ。
あと、用語辞典に見られる「〜と思われ。」みたいなネット独特の言い回しもやめてほしい(苦笑)。

>大河ドラマについて
大河ドラマって、歴史ファンには派手で人気が取れる戦国時代ばかりやっているという印象がありますが、不評な一般意見を見ると本当は派手な時代を地味に描写しているという感想が多い気がします。その辺りを考慮した方が良いかもしれません。

また、上に書いた『アニメ・マンガ・戦争 安彦良和対談集』で、司馬遼太郎『竜馬が行く』を大河ドラマ原作になるような大衆小説と馬鹿にし、大江健三郎等の純文学をメインカルチャーと思い込んでいた青年時代を安彦氏が語っていました。安彦氏は、自身の世代ではよくある考えだったといっていましたが、どこまで一般的だったのでしょうか?

※そういえばテレビ朝日系でも『太閤記』が始まりましたね。流し見た印象ではさほど悪くなかったですが・・・

>NFさん
>…でも、考えてみたら宇宙世紀も最近の若者にとっては過去の「古典」になりつつあるような気が(涙)

ガンダムは、専門漫画誌を見る限り、未だに主流は宇宙世紀にあるでしょう。
何より、福井晴敏の手で宇宙世紀を舞台にした新しいガンダムの企画も発表されましたし。

※それにしても、UC(宇宙世紀)だからと「ユニコーンガンダム」と命名するネーミングセンスは・・・。



#7230 
十一郎 2006/11/01 05:37
人を食った大統領

最近のアレやコレではなく、アミンの事。
最近、映画が作られましたが、けっこうアミンのカリスマ性が描写されていたようで。

>カスパーさん
>馬渕直城著「わたしが見たポル・ポト」

WEBで書評を見つつも、書籍自体は読んでいない者としては、興味深い内容そうではあっても、それ一冊で通説が書き換わるような内容ではないだろう、という感触です。
歴史は科学や数学ほどの確実性はないとはいえ、通説や定説が固まるには相応の議論や史料が積み重ねられるもの。全体を俯瞰できたわけではない一個人の証言で即座に覆るような事は滅多に無いでしょう(あったとすれば旧石器捏造事件関連のように、一個人に資料のほとんどを依存した例くらい。ポル・ポトにも南京事件にも当てはまりません)。
逆に、たとえば最近の「富田メモ」なども、大発見ではありますが、すでにさまざまな状況証拠などが積み上げられて通説となっていたところの駄目押しにすぎなかったともいえます。

ちなみに下記は南京事件肯定派ブログの書評。
tp://d.hatena.ne.jp/Apeman/20060923
「例えば軍紀に関しては各派のなかでも一番厳正だった、といった評価もある」という所は、アフガニスタンの各政治勢力の中でタリバンが最もマシだったという話を思い出しました。良い側面があったからといって、問題を起こさないとは言い切れないというわけです。

>類例として、南京虐殺について、当時の将校に聞き取りを行ったが、全く見た人はいないという本

その本を何か推測した上での考えですが、大虐殺全体を見たという証言はなくとも、個々の証言を子細に読めば不法殺害の存在を示す記述があったりしますね。
これもまた、事件の規模が大きすぎると、一個人の視界では全てをとらえる事が難しいという事です。



#7229 
NF 2006/11/01 02:58
新旧の文化の融合

話題は変わりますが、日本は近代以降、生活様式の大きな変化もありそれまでの伝統文化へのなじみが薄くなってしまったのは否めません(って、別に日本に限った話ではないのですが)。能・狂言、歌舞伎、講談…、これらの優れた文化が廃れるのは忍びない。そこで、古い文化と現在の優れた文化を融合させる事が出来れば、新たな生命を注ぎ込む事が出来る。…散々あちこちで聞かれた文句な気はしますが、こうした試みがあるようで。
http://www.asahi.com/culture/stage/koten/OSK200610110019.html
「『アニメとは違うのだよ』 旭堂南半球がガンダム講談」

…でも、考えてみたら宇宙世紀も最近の若者にとっては過去の「古典」になりつつあるような気が(涙)。



#7228 
NF 2006/10/30 01:30
史上最強の童貞に乾杯

>「獅子の時代」
>徹夜城様
お気に召したようで、何よりであります。史実からの逸脱とかSF風味とか問題はあるわけですが、華やかなあの時代の光と影、動乱の世に生きる人々の狡さ・強かさ・逞しさを上手く描いていると思ってます。アベル=ガンス監督の無声映画「ナポレオン」、仰るとおりなら確かに共通点は多そうですね。この漫画の方も「フランス革命史」という性格はかなり強いですから。そしてナポレオンを彼らの志を継ぐものとする視点がある点も似ているような。現時点でも「アウステルリッツ」「フランス革命史」「若き日のナポレオン」が描かれているのでナポレオンものとしては十分贅沢なのかも知れないけど、何とか全生涯を描き切って欲しいですね。
>若水様
まあ、現段階では歴史ものとして「これもあり」な範囲内に収まっていると思うので。…といいつつ、この手のお馬鹿な暴走が決して嫌いではなかったりするのですが。僕は結構ゲテ物食いなのかもしれない(苦笑)。「アラビアンナイト」、電子書籍が使えないので古本屋で探してみます。
>民本主義者様
大河ドラマでも似たような例があったような(苦笑)。この漫画では逆パターンの逸脱もいくつかあるようで…。三国演義なんかでも例があるし勘弁して欲しい、とは思うけど歴史を知る上ではやっぱり問題ですね…。

ところで、少し話は変わりますが以前にこの伝言板で「真のエリート」についての議論がでましたけど、「真のエリート」のイメージの原型の一つとしてロベスピエールが挙げられるような気がします。

>パリ症候群
>民本主義者様、Q世代様
パリのイメージと現実のギャップという話題について。
パリといえば、
・長い間、都として文化の中心として栄えてきた歴史があり住民にもその誇りがある
・その間に政争や戦争に幾多巻き込まれ人々は生き残るために強かで用心深く、また余所者に対しては排他的な面も持つ
・洗練された文化や女性の美しさに定評あり
・歴史を考慮して都市景観に気を配っている
…こう書くと京都と被っているような。ただ、パリの場合は未だに首都だったり移民で多様な民族が入り込んだりで上記の動きが現在進行形であるということでしょうね。店で挨拶をしないと印象が悪いというのも、治安に不安を抱えているので挨拶をする事で「胡乱な者じゃないよ」とアピールする面もあるとか。

>カスパー様
はじめまして。この問題には詳しくないので余り突っ込んだ事を申し上げるのは避けますが、この手の話題は「虐殺事件」には必然的について回るもののようですね(南京事件もそうですが、ホロコーストに関してもそうした話はありますし)。現場は混沌にあって実態を正確に把握するのが難しい上に、敵味方双方のプロバガンダが飛び交って事実の判断が余計に難しくなる。虐殺した側がそれを自己申告してる例は古代アッシリアや一向一揆鎮圧時の信長とか位のもんですし(苦笑)。古代より虐殺事件の規模などの実態をつかむのは難しいようですが、近現代のそれは現在の国際関係と密接にかかわるので一層デリケートですよね。



#7227 
徹夜城(久々に歴史漫画を堪能した管理人) 2006/10/29 23:09
北斗的ナポレオン、読みました

 近所の書店では置いてなくてですね〜通勤途中の大型書店でようやく1〜3巻だけ買いましたよ、長谷川哲也「ナポレオン獅子の時代」。
 なるほど、これは読ませますねぇ。なかなか重厚、本格的な歴史劇画となっていると思います。それにしてもやはり感じてしまうのが「北斗の拳」的なノリ(「ジョジョ」っぽいところもあるかな)。絵の類似もさることながら、カッコいい奴とカッコよくない奴の露骨な落差とか、芝居がかった名セリフ、かなりブラックなギャグ、人体破壊描写…etc.で。読む人を選ぶ気もしますね。まぁ戦争だの革命だの、歴史って奇麗事じゃないんだよ、っていうのはよく伝わってきます。

 この漫画を読んでいてやはり連想したのはアベル=ガンス監督の無声映画「ナポレオン」(1927年製作)ですね。これ、恐らくナポレオンの全生涯の映画化を計画したのだと思うのですけど、ナポレオンの誕生からイタリア遠征までで終わっています(それでも3時間!)。ちょうどこの漫画と同じ時期が描かれていることもあり、比較ができて面白そう。映画のほうもだいぶ見てないので見返してみないと…
 この1927年「ナポレオン」、「歴史映像名画座」にも書きましたが、どちらかというとナポレオンの目から見た「フランス革命史」な映画となっておりまして、マラー・ダントン・ロベスピエールといった面々が革命の過程で悲劇的に死んでいく様子をきっちりを描いています。誰も居ない議場に一人入ったナポレオンがマラー・ダントン・ロベスピエールの幻影(亡霊?)と「対話」し、その志を継ぐようなことを口にするシーンが印象的です。

 ナポレオン一代記を全部映像化しちゃうと大河ドラマの総集編みたいなダイジェストムービーになっちゃうんですよねぇ。過去に2作見てますが、どれもあまり出来はよくありません。
 むしろナポレオンが脇役として登場する「戦争と平和」(ソ連版・伊&米版あり)、エルバ島脱出のシルエットしか登場しない「会議は踊る」、最後の決戦を描いた「ワーテルロー」、そして先日紹介しました「征服」のような、ナポレオン伝説の一部に注目した映画だと出来がいいというところもあります。


>大河ドラマ
 九州ネタと北条早雲はそのうちやるんじゃないか…と言われてますね。戦国地方武将で残ってるのはそのくらい(一年もつという条件で)。ただ九州ですと、島津をやるか大友宗麟をやるかと悩む事になるかと。いっそ「九州三国志」なんて声もありますよね。
 正月の単発時代劇の素材が大河になる、というケースもありまして(「利家とまつ」が一応そうでした)、それでいくと大友宗麟は松平健主演で数年前に正月ドラマでやってるんですよね。もっともそれを言うなら飛鳥時代ドラマも正月時代劇でした。


>カスパーさん
 僕もその馬渕氏の本の書評だけなら見ております。その内容の真偽については僕としては何とも言えんなぁ…としかいいようがないですが…直接現地でポル=ポトをはじめとする関係者に取材してる人ではありますからね。現地取材をした人にしか分からないことはいろいろあるとは思います。ただこの人自身がポル=ポト派に明らかにシンパシーを抱いているらしいので(この人がそうかは知りませんが、いわゆる左派ことに極左系で文革中国シンパの人は昔から「キリングフィールドはでっちあげ」と主張してはいました)、その辺は割り引かないといけないかな、と。さすがにあの大虐殺を全部ベトナムのでっち上げみたいに主張するのは無理があるんじゃないかなぁ、というのが読んではいない段階での僕の印象ではあります。
 一方でベトナムは正義、みたいに語られることに対する反駁という面は無視できないかと。歴史はどの局面でもさまざまな人間集団の複雑な事情や思惑がからみあうもので、どっちかが正しいと断定してしまうのはやはり危険です。


>映画情報
 いや、まだ見てないんですけどね。
 イーストウッドの「父親たちの星条旗」、小林信彦さんが週刊文春の連載で絶賛しちゃってます。「この映画の前ではコッポラの『地獄の黙示録』は遊園地みたいなもの」とまで言い切るんだから大変です。これはぜひ見ないと。小林さん、この映画が良すぎたためにこの戦いを日本側から描く「硫黄島からの手紙」の出来が心配、とまで言ってます(笑)。



#7226 
カスパー 2006/10/29 15:19
ポルポト派の虐殺の有無

歴史は本当に素人です。御寛容願います。本掲示では、特段の政治的主張を行う意図はありません。
さて、馬渕直城著「わたしが見たポル・ポト」によると、同派に従軍取材した著者は、
政権下、意図的な大虐殺はなく、ベトナム等の宣伝によるものとされているようです。
何かこれについて、御知見のある方はおられますでしょうか?
類例として、南京虐殺について、当時の将校に聞き取りを行ったが、全く見た人は
いないという本が出ましたが、これは、左右の対立が激しそうなので、触れません。
そこで、この馬渕氏の本について、各位の御意見を頂ければと思います。
http://www.amazon.co.jp/08f05f05704c%C2%898b05f0dd0eb0fb0dd0c8-150ad0ea0f30b00d50a30fc0eb0ba092%C2%99c605106c05105f%C2%9752f25-%E9%A6%AC%E6%B8%95-%E7%9B%B4%E5%9F%8E/dp/4087753670/ref=sr_11_1/250-3215474-3886665

http://www.amazon.co.jp/08f05f05704c%C2%898b05f0dd0eb0fb0dd0c8-150ad0ea0f30b00d50a30fc0eb0ba092%C2%99c605106c05105f%C2%9752f25-%E9%A6%AC%E6%B8%95-%E7%9B%B4%E5%9F%8E/dp/4087753670/ref=sr_11_1/250-3215474-3886665


#7225 
tomohiro 2006/10/28 18:59
九州を舞台にした大河ドラマについての一考察

どうも、皆様方。
私が出入りしていた、
「大河ドラマ廃止」という
スレッドを立ち上げた、某サイトにて
「九州を舞台にした大河ドラマ」
というスレッドが立ち上がって、比較的肯定的なレスがつけられていました。
なかなか面白いかもしれないなと思っております。
戦国時代を題材にするのであれば、私は肯定します。


http://resutoa.exblog.jp/


#7224 
Q世代 2006/10/28 02:27
有給のタイが

どうしたと言うんだろう。「悠久の大河」と打とうと思ったら最初の変換が面白かったのでそのままタイトルに。

 「大奥」なんか家康の時代から始めて、和宮あたりまで1年で行っちゃうわけですから、「超訳」大河ドラマですよね、ある意味。それならば鎌足をプロローグに、不比等から始まる藤原氏年代記なども、エピソードを上手く取捨すれば面白いんじゃないでしょうか。平安時代は斬った張ったがありませんから、意外と現代的な政争が描けるのではないかと。てゆうか日本の政治の原点ですよね。兼家の前後なんか特に面白い。

 で、最終回の2回前に保元の乱、1回前に平治の乱をやって、藤原氏の天下の終焉を描き、最終回にエピローグとして近衛文麿を置く、という構成はどうでしょう。やっぱ1年じゃ無理かな。

>パリ
 行ったことありますが、その前にさんざん「フランス人は意地が悪い」とか悪口を聞かされていたためか、行ったら普通に親切だったので印象悪くないです。観光都市ですから観光客には親切なんじゃないでしょうか。ただしお店に入ったときに「ボンジュール」言わないと、変な目で見られるかもしれません。向こうの人から見ると、挨拶しないのは印象悪いみたいです。

>十一郎さん
 レスありがとうございました。



#7222 
若水 2006/10/27 22:44
長谷川さんの根っこはSFなんでしょうね

>NFさん
>長谷川マジック
「ナポレオン」でもやってるんですか、ファンタジー&SF混入!
…やはり「地」なんでしょうね、長谷川さんの。

私だってSF好きだし(なんといっても藤子信者ですし)、ファンタジーだって嫌いじゃないです。
でも「食い合わせ」とか「混ぜるな、危険!」そういう場合もあるわけで…

「TPぼん」とか横光先生の「時の行者」みたいなSF仕様なら全然OKなんですがね。

>「アラビアンナイト」
たった3巻で未完状態ですが、一応単行本化はされています。
古本屋を回れば見つかるかも(3巻目は難しいと思います)
ただ電子書籍化されてるようなので、ご利用なされているなら是非お勧めします。


>大河ドラマ
「花の乱」も「琉球の風」も「炎立つ」も個人的には好きだったんですがね…
まあ「花の乱」と「炎立つ」、観てる当時から「こりゃ広くは受けないな」とは思ってましたけど。
来年井上靖をやるのだって、「風林火山」以外にいくらでもあるのにねえ。

http://zyakusui.web.infoseek.co.jp/index.html


#7221 
孟きょう 2006/10/27 22:28


 
 >大河ドラマ問題
 ここ4・5年の大河ももはや学芸会の域の感がややありますからねえ・・(汗)。
「花の乱」もなかなか意欲作だったと思うんですが、設定の時代が日本で好かれていないため不評で、無責任なマスコミにケチョンケチョンにバッシングされていた記憶があります。そんなこんなで「もう無難に豪快に信長じゃー!秀吉じゃー!」てな事になるんでしょうね・・
 同じ時代ばかり見るのは飽きて苦痛だという人のためにもも、いや戦国絶対主義だという人のためにも、織豊ものの鮮度を上げるのを目的として「今後10年間は大河ドラマで織豊ものは一切やらない」というのはどうでしょうか?(笑)・・んな愚かな事をしたら大河が潰れます・・



#7220 
民本主義者 2006/10/27 00:02
フランス妄想2題

>パリ症候群
パリ症候群については、実はすでに研究書が出版されております。
http://www.lib.city.yokohama.jp/cgi-bin/Swwwsvis.sh?0+8280+6+1+0+190406217+0+1+5+0+1+1+1
「書名   :パリ症候群
シリーズ :TRAJAL books
著者名  :太田博昭/著
出版者  :トラベルジャーナル
出版年  :1991.8
ページ数等:293p
大きさ  :19cm
NDC分類:493.79
件名   :精神衛生 , 日本人(外国在留) , パリ
目次(BOOK):1 海外渡航者の「心」が危ない;2 パリ症候群;3 なぜ、パリに多発するのか?;4 「国際化」への診断書
要旨(BOOK):日本の精神的・心理的トラブルがなぜ、パリで多発するのか―。精神医学的ア
プローチによる新しい「異文化間コミュニケーション」論。
ISBN :4-89559-233-2
書誌番号 :190406217」

私がこの本の題名を初めて見たときには、パリの魅力を諧謔として病気に例えているのだろうと思っていましたが、中身は結構まじめな精神医学の本だったのでめんくらったことがあります。

長谷川哲也の『ナポレオン 獅子の時代』は私も愛読しているのですが(管理人様が未読のようなのでネタバレは避けます)、サン・ジュストに関して、それはないだろうと言いたくなる史実からの逸脱がありまして…。
クートンがテルミドールの反動の際に逮捕部隊を迎え撃つシーンなんかは、いかにも漫画らしい荒唐無稽さで好感がもてるのですが車椅子でどうやって迎え撃つのかは読んでからのお楽しみということで。
私が注目しているキャラは画家のダヴィドと作家のマルキ・ド・サド。どちらも表現者として作者の分身的役割を担っています。これにサン・ジュストがからむんだよなあ。
子供が読んだら史実と勘違いするぞ、ほんと…



#7219 
NF 2006/10/26 03:45
入れ違いだったみたいで

>若水様
お久しぶりです。
「ナポレオン」、ネット上ではかなり好評なのですが(ロベスピエールのAAを時々見かけたり)、あまり本屋では見かけない…。売り上げには反映していないようで。「ヘルシング」と同じ雑誌だけあって「知る人ぞ知る」存在になっているんでしょうか。長谷川先生、結構絵柄が変わる事で有名みたいです。そういやこれとは別にナポレオンものをやっていたけど、それとも絵柄が違う。「アラビアンナイト」は僕は知らなかったのですが、単行本化されるのでしょうか?しかし仰っている事を「ナポレオン」に当てはめると、
>絵はまあ好み、題材は大好物、キャラも中々いい
これは全くその通り、なんですが…
>話はファンタジーな方向へ。
>SFも混じってきて
…一応大筋は歴史からそれてないと思うけど、そうした傾向が既にチラホラ(まあ、そこも魅力のうちだったりしますが、この作品の場合)。ファンからは「長谷川マジック」なんていわれてます。
>迷走の末の未完ぶり
展開の遅さも考えると十分ありえる結末な気がする。どうにか乗り切ってワーテルローまで何とか…。
こう考えると「ナポレオンものとしては『正統派』」と申し上げたものの、ナポレオンものというジャンルが懐が深いだけかも、という気もしてきました(苦笑)。

ナポレオンがようやく名実とも主人公になったことだし(そういえば池田理代子「エロイカ」はこの辺りから始まっている)、頑張って盛り上がって欲しいもんです。



#7218 
NF 2006/10/26 03:23


>景虎様
戦国でまだ手がついていなくて視聴率が取れそうなものといえば、やはりその辺でしょうね。原作は池宮彰一郎「島津奔る」(この人の「遁げろ家康」も小心で滑稽な家康像や泥臭く強欲な家臣団が捨てがたい)辺りで。後は、キリスト教布教と絡めて大友宗麟(大河系じゃないけどあるサイトでそうした企画をやってました)とか。あとは、本願寺が主役というのは宗教が絡むだけにどこかから抗議が来そうでアウトだし、他は前田慶次とか柳生一族とか歴史と言うより伝説の世界の人の話になりそうな。結構難しい(苦笑)。



#7217 
若水 2006/10/26 00:11
「アラビアンナイト」の怨念

どもども、毎度お久しぶりです。(変な日本語)

>NF さん
「ナポレオン」評判いいみたいですね。
わたしゃまだ読んでないのですよ。

ですが作者の長谷川哲也さんが6年ほど前に連載していた「アラビアンナイト」は読んでおりました。
(このころと比べるとずいぶん絵柄が変わったなあ)
「アラビアンナイト」は題名には関係なく、後ウマイヤ朝の初代、アブドル・ラフマーンが主役です。
渋い雰囲気で中々の本格的歴史大河漫画でした・・・最初のうちは!

絵はまあ好み、題材は大好物、キャラも中々いい、と期待していたんですが
話が進むにつれて、古代バアルの神々とか話はファンタジーな方向へ。
終いにはSFも混じってきて(マンスールがピストルぶっ放してる!?)迷走の末の未完ぶり!

>案外この漫画はナポレオンものとしては「正統派」
この言葉を聞くと
「アラビアンナイト」のアブドル・ラフマーンなんてマイナーな題材なんだからひねらず素直に書いて欲しかった・・・  
と未練がましくも恨めしく思ったり・・・

それとも逆にアブドル・ラフマーンが題材では売れないから、ファンタジーやSFを無理に付け足したのかな?
題名も関係ないところから引っ張ってるもんなあ。

>NHKと歴史大河とアニメ
「TPぼん」を是非やって欲しい!
・・・日テレ板は黒歴史の方向で・・・

http://zyakusui.web.infoseek.co.jp/index.html


#7216 
景虎 2006/10/25 20:54
NHKの大きな河

>大河ドラマ
私も、最近の大河は好きじゃありませんが、何とかがんばってほしいですね。
戦国物やるのであれば、後北条氏とか、島津氏とかやってほしいものですが。文禄、慶長の役だけで一年(というか東アジアもの?)やってみるとかも、面白そうな気がしますが、無理なんでしょうね。

大河といえば、時代劇専門チャンネルで『独眼龍政宗』をやっていますが、同じ戦国物でも、最近の大河より面白いような気がします。



#7215 
NF 2006/10/25 02:23
大陸軍は世界最強ォォーッ?

>徹夜城様
「ネタ切れ」と申し上げたのは、視聴率が取れそうな手ごろな原作がそろそろ見当たりにくくなってきたのではという意味で。古代は確かに記憶している限りではやってないですね。「漫画原作」案も生かしやすいし、一度やってみて欲しいところではあるのですが。少女漫画の傑作原作だと作品・作者の固定ファンが見ないかなあ。海外ドラマは確かにこれはこれでやって欲しいですね、衛星放送でもいいので。
>「ナポレオン」
是非是非。男臭さ、熱さ、台詞のセンスが僕好みです。ただ、難を言えば展開の遅さ。現在単行本6巻まで出ていますが、次の7巻でようやくイタリア遠征に入るという状況です。…ちゃんと完結できるのかなあ。ところで、海外の映画について調べてると、案外この漫画はナポレオンものとしては「正統派」なのかもという気もしてきました。



#7214 
巫俊(ふしゅん) 2006/10/25 00:20
講談社学術文庫『紫禁城の栄光』

副題が「明・清全史」でして、
今まで手に取った明清史の概説書のなかでは一番分かりやすい内容でした。
分かりやすいだけでなく、奥が深いようにも感じます。
数十ページくらい読み進めるだけで、南朝明に対する北朝北元の歴史のあらましが分かってしまうので、驚異の一冊です。
唐宋もおぼつかないのに、明清の本まで手が出ない・・・という人にお薦め。
徹夜城さんたちにとっては、よく知ってる内容だとは思うんですが。



#7213 
徹夜城(マイナー素材の大河なら見そうな管理人) 2006/10/25 00:10
なまじ「看板」なのが辛い

しばし多忙のために書き込みがストップしておりました。

>tomohiroさん
 NHKの大河ドラマにつきましては、大河ファンの掲示板でもさんざ議論したことでもあるんですが…まず結論から言っちゃうと僕自身は大河擁護派なんですね。やはり国産の大型歴史ドラマが作れるという枠はNHKでしか維持できないでしょう。中国が大河ドラマみたいのを作ってますが、あれだって国営だから可能なわけで。
 ただNHKにとって大河は紅白と同じような「看板」ということになってるらしく、何やら「失敗は許されない」という重い空気が漂っているのが気になります。そうして変に人気取りに走って失敗しちゃうということを繰り返しているわけですが(笑)。

 視聴率のことを考えれば戦国〜安土桃山をやっておけば大丈夫、というのは哀しいかな事実でして(歴史ドラマ視聴者というのもかなり保守的なものなのです)、そればっかやってしまうことになる。たまにマイナーなジャンルにチャレンジすると視聴率が悪くてなまじ看板なだけにマスコミにあれこれ叩かれる。これがますます大河の閉塞感を高めているような…大河が近現代に走っていた時期に代わりの水曜時代劇枠の「準大河」の作品「宮本武蔵(役所広司版)」「真田太平記」などがかえって低予算で肩の力が抜けたいい作品になっていたという例もあります。それで時代劇大河に戻ったら「政宗」「信玄」と戦国ものヒットを連打することになったわけで…「太平記」もその流れの中でチャレンジできたものだと僕は思ってます。

 大河は一年間やらなきゃならない、というのもネックになってると僕も思ってるんですが、それで「一年」ルールを外してやったのが「琉球の風」「炎立つ」「花の乱」の三作で、視聴率的にはやっぱりコケたので今後これを試みることは当分なさそうだなと思ってもいます。この時の三作にはマニアックなファンは案外いるのですけどね。

 タネ切れは絶対してない。いくらでも魅力ある素材は歴史に埋まっているわけですが、いざ実行するとなると作り手は大変ですし、視聴率がとれなかったらボロクソに言われちゃうし、でプロデューサーとしては安全策をとることになってしまう…というのがここ数年露骨に続いている、という感じがしますね。
 来年が「風林火山」で、単発ドラマでは何度もやったし映画化もされている作品で新鮮味はなく、しかも一年やろうってんだから実質「武田信玄」のリメイクになっちゃう。渋い戦国ドラマでまとめるならそれなりに見ごたえはあるかもしれませんが…一年はやっぱ辛いですよ。最悪の場合「武蔵」(大河史上の黒歴史)みたいなことをやっちゃったりしやしないかと不安。
 その次が「大奥」の企画便乗じゃないのかと疑われる「篤姫」ですが、これも半年だよなぁ、せいぜい。

 とにかく大河には早いとこ平安以前の古代にチャレンジしていただきたい。前から言ってる冗談企画で「奈良の大仏」を実物大セットで一年がかりでホントに作る「プロジェクトX」風味の大河というのもありますぜ(笑)。これに「天平の甍」(これも井上靖)を加えてなんとか一年まとめちゃえば結構見られると思うんですけどね。

 海外ドラマに関しては大河とは別に、とくに歴史ものでジャンジャン輸入していただきたい…とは思ってます。NHKぐらいしかそういうことなかなかできないのも事実でして。もっとも最近はTV放映以外でもいろいろ見られる機会も増えましたけどね。


>NFさん
 ご紹介の「ナポレオン」、ここまで言われてはやはり手を出さないといけないんだろうなぁ。そのうち読んでみます。
 ロベスピエールがカッコいい、といえば無声映画時代の名作「ナポレオン」のロベスピエールも印象的でしたよ。確か監督自身が演じていたような…


>ところでフランス革命つながり。
 CNNのサイトを見ていたらこんな記事が。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200610240019.html
なんか日本人観光客がネタにされてる気もしなくはないのですが(笑)、なんだか凄い人が途中で出てくるので…



#7212 
NF 2006/10/24 23:21
NHKはアニメも結構がんばってたと思います(笑)

>tomohiro様
NHKの海外ドラマ…。ミステリー(「名探偵ポワロ」「シャーロック・ホームズの冒険」とか)はよく見た記憶があります。ただ、やっぱり自国で作った作品を出来ればメインにおいて欲しいとも思うわけで。幸い、アニメも評価の高い作品が多いですし、「ナディア」とか「カードキャプターさくら」とか(ってどうしてこういうチョイスになる)「忍たま乱太郎」とか。昔にさかのぼると「名犬ジョリー」「子鹿物語」「スプーンおばさん」とかもあったし。年長者向けに(と言っても別に「大きなおともだち」向けと言う訳じゃなくて(笑))質の高いものを、良作歴史漫画を原作に作って見て欲しいと思うわけで。

>核実験
今にして考えれば、以前から分かってた筈の事なんですよね(溜息)。核開発してる事も、恐らく平気を作成してる事も。今回の事態は、少し古い言い方をするなら本来は「想定の範囲内」でないといかんわけで、どう動くべきか何が出来るのか、予め詰めて冷静でいないといかんのだけど…。動揺したり興奮したり、成る程我々は平和ボケですな、と自戒を込めて。



#7211 
tomohiro 2006/10/24 07:37
海外ドラマはnhkの18番なんですよね。

>NFさん
海外ドラマを大河ドラマの代わりに放映しようと考えたのは、
nhkが海外ドラマをよく放映するテレビ局だからです。
nhkによってハマった海外ドラマとしては
ビバリーヒルズ90210、頑固爺さん孫3人、ジェシカおばさんの事件簿などを
みました。そこまで放映するのではあれば、大河ドラマを廃止して
海外ドラマを放映してもいいのではと考えたのであります。

http://resutoa.exblog.jp/


#7210 
NF 2006/10/24 03:33
読書の秋ということで(ったって漫画じゃねえか)

>tomohiro様
最近の大河ドラマは、何だかホームドラマみたいになってますもんねえ。スケールが小さいというか何と言うか。もうネタ切れなのかもしれませんな。個人的には、外国のドラマも良いかもしれないけど、前にも書いた覚えがありますが、漫画原作で場合によってはアニメでやるのも良いかもしれないと思ったりします。結構隠れた良作が多いと思うし(少女漫画に結構、日本古代やら西洋ものやらの傑作が多い気がする)、歴史ものは余りアニメ化には恵まれない気がするので。少年漫画でも「花の慶次」とかやって欲しい、「SAKON」はどうかと思うけど(笑)。西洋史ものではもし無事完結したら長谷川哲也「ナポレオン 獅子の時代」を希望したいけど、打ち切りになる危険性がないとは言えない…。
>徹夜城様、ひで様
マリア・ヴァレフスカは、概要はお二人がすっかり述べられたので僕が書く事はないんですが、漫画では池田理代子の「栄光のナポレオン エロイカ」(ベルばらの続編という形式をとったナポレオン一代記)や「天の涯まで ポーランド秘史」(ポニャトフスキ元帥を主人公にポーランド独立運動を描いた)で結構詳細に描かれています。…長谷川版「ナポレオン」にもいずれ登場するんだろうか。北斗の拳や男塾を思わせる絵柄や熱い硬派なストーリーのせいで、どうしても想像できない(苦笑)。

強引に話をつなげてますが、「ナポレオン 獅子の時代」、男臭い絵柄や話の筋、下品だが生命力溢れた民衆や漢たち、インパクトある台詞が非常に気に入っているのですが、今ひとつマイナーみたいで打ち切りになりやしないかとヒヤヒヤ。歴史ものということもあるしここでちょっと真面目にプッシュさせてもらいます。ベルばらで身に着けたフランス革命のイメージを良い意味で壊してくれます、ロベスピエールが格好良いです。…史実と対比すると何か暴走気味ですが、そこはご愛嬌ということで(苦笑)。



#7209 
tomohiro 2006/10/22 17:41
昨今の大河ドラマ、私も興味はありません。

ここの管理人
徹夜城さんも
おっしゃっていましたが、ここ5/6年ぐらいの大河ドラマには興味が持てません。
いわゆるやっつけ仕事をして現場が疲弊しているように思います。
私自身2ch以外のサイトで
「大河ドラマ廃止」
のスレッドを立てたことがあります。
結果は戦国時代大河ドラマ推進派によって大ブーイングでしたが、
私としては設立して良かったと思っております。
昨今は廃止という過激な手段よりも多少ソフトに、
変容しながら存続してもいいのではないかと思っております。
一つは、単発の2時間ドラマのような形で存続させる。
あるいは1/2年ほど放映を休ませて、
頃合いを見計って再開させる。
それまでは、これまで放映されてきた大河ドラマに類似した海外の
雍正王朝や紅はこべのような史劇を放映するか、
tbs/フジのトレンディドラマ枠のように現代劇を放映する。
大体一クールから半年ぐらいがいいでしょう。
内容としては民放のそれに対抗して若者向きよりも大河ドラマのコアな支持層に
うけそうな渋い大人のドラマです。
来年、再来年の大河よりは面白いかもしれないと私は思っております。



#7208 
十一郎 2006/10/20 01:00
将軍、月に吠える

遠吠えの金さんというギャグには笑いました(笑)。この核実験が目に入らぬか、と。
もちろん、あちらが言うほどこちらははっきりと見えないわけですが。

>北朝鮮核実験
全ての核兵器に反対な立場として当然のごとく反対ですが、あまりにも普遍的すぎて今さら口にするよりは別のアクションを取るべきかもしれないな、と思ったり。被爆者団体も反対声明を出していましたが、少しも盛り上がらず。彼らの言葉ほどの力がない自分が何かするなら、別の方法を取るしかないだろうな、と。

さて、世界の動向に対しては、北朝鮮にとっての核実験は米国に対する逆襲・制裁であるかのような側面を主観そして口実として持っている。だから日本側の制裁も北朝鮮側から見れば挑発であるかのように受け取られる事は考慮して行動しなければならない・・・ってくらいしか感想がないです。
しかし、この程度の話すら感情的な反発がされるのが困ったところ。特に、制裁に難色を示す日本野党や韓国に対して、差別感情丸出しで難癖つける人々がいるのは(予想された事なものの)閉口しました。
正論である事と、それを相手が政治的に受け入れるかどうかは別問題ですってのに。

>新国連事務総長
予想通り、あっさり本決まりになったみたいですね。
最有力候補が潘基文氏と報道された直後、ネットで「もともと国連は日独制裁のための機関だから、脱退しよう」とかいう意見を見かけてズッコケたのがすでに懐かしいです。
どこまで本気なのか「常任理事国にもなれない国連なんて脱退するべき」なんて意見も複数存在する昨今、「半世紀前を再現したいなら北朝鮮にででも行ってやってくれ」と内心で思う。・・・真面目な話、北朝鮮の政治体制が戦前日本をベースにしている説は有名ですし、国際社会のわたりかたも相似している面を感じます。
逆に考えると、北朝鮮が崩壊する時期によっては、金正日自体は免罪されるという可能性もあるかもしれません。父親がある程度の英雄である事も確かで、金正日は拉致等を把握してなかった等の責任逃れな発言もそこかしこでしています。考えすぎなら良いのですが。

>Q世代さん
>いかんせんどうにもTVフレームというか画面が狭いなぁ、という感想もぬぐえないわけで

たしかに、冒頭の河原がいきなりスタジオセット丸出しであったり、温和な妖怪達との出会いもかなり狭い絵面でしたね。
樋口コンテの特撮シーンとの落差で、より強調された感もありました。

>尾鳩さん
>「フォーブス」って、どっかのロビイストか、もしくはロビイストの息がかかっているんですかね。

中国の政治家が海外でロビー活動をしているのは確実なので、その影響はあるかもしれません。
ただ、欧米からすれば日本の歴史修正主義が中韓への反発を越えて、東京裁判全否定や大東亜戦争肯定までも主流になろうとしているよう見えたのなら、待ったをかけるのは自然ではないでしょうか?

少なくとも、米国の懸念もしくはロビー活動の影響は、一雑誌の範疇にとどまるものではないでしょう。
つい最近も靖国神社付属の博物館に対し、米国に関連する記述を修正させたり、親日とされる米国議員が従軍慰安婦を改めて批判する行動に出ていたりしましたし。



#7207 
ひで 2006/10/19 21:50
鉄炮伝来その他

最近、佐倉の歴史民俗博物館に行き、「歴史の中の鉄炮伝来」という企画展示を見てきました。あそこに務めている宇田川武久先生の研究の集大成のような展覧会で、各地に残されていた色々な形をした鉄炮や弾丸が色々見られて面白いですよ。最近出た「真説 鉄砲伝来」(平凡社新書)等の著作を読んでおくとまた面白く見られると思います。

>ヴァレフスカ
ナポレオンとヴァレフスカの間の息子アレクサンドル・ヴァレフスキはフランスで外交官になり、ナポレオン3世の第2帝政時代には外務大臣になっています。見た目・声ともにナポレオンそっくりで、ナポレオン3世を知らない外国人が見るとヴァレフスキのほうを皇帝と勘違いしたと言うくらいにナポレオンそっくりだったとか。ナポレオン3世が伯父と全く似ても似つかぬ容貌なのとは全く対照的です。

http://pezetairoi.hp.infoseek.co.jp/


#7206 
徹夜城(一気に幕末まで歴史テキストを書き終えた管理人) 2006/10/17 23:24
こんな映画もあったのね

 仕事に追われているうちに、しばし間が空いてしまいました…
 今日で一つ仕事が上がったし、と買い込んだまま見てなかった映画DVDを一本鑑賞。「征服」という白黒映画でして、グレタ=ガルボ主演の1937年製作という古さ。
 ガルボが演じる主人公はマリー=ヴァレフスカ。ご存知の方もおられるでしょう。ナポレオンの愛人となったポーランド貴族の美女であります。ナポレオン本人を主役とする映画はあまりに大作になっちゃうためかあまり多くは作られていないのですが、ナポレオンをとりまく女性たちについてはそれぞれ一本ずつ映画があるんじゃなかったかな。

 この映画の存在を知ったのは最近でして、それも怪盗ルパンコーナーの執筆作業を通してでした(まだアップはしてませんが)。「ルパン対ホームズ」の1話「金髪の美女」でルパンが盗み出す何の変哲も無い骨董机があるんですが、これが実はナポレオンがマリー=ヴァレフスカに贈ったプレゼントであったという「なんでも鑑定団」みたいな話があるんですね(笑)。それでちょっと彼女について調べていたらそういう映画があると知ったわけで…かくしてまたしてもルパンのおかげでフランス史関係(これはポーランドがらみですが)に詳しくなれた私でした。ルパンシリーズも読み込むと歴史ネタがいっぱい出てきまして、ルパンもなにげに歴史趣味でもあるんですな。

 映画「征服」に話を戻しますと、ガルボのマリー、シャルル=ポワイエのナポレオン(激似!)の屈折ラブロマンスでさらりと小粒にまとめてみました、って感じですね。最初は人妻に言い寄ってくるナポレオンに拒否反応を示しもするマリーですが、「お国のために」と周囲から言われ、さらには本人もひそかに歴史的英雄への憧れもあり…それに加えて一人の男として孤独なナポレオンがさらけだされ、マリーはドンドンのめりこんじゃっていくわけです。
 ご存知のとおり、ナポレオンはジョゼフィーヌと離婚してハプスブルグのマリー=ルイーズと結婚しちゃいますが、それでもヴァレフスカの愛は変わらず、最後はセントヘレナへ流されるナポレオンを息子(もちろんナポレオンとの子)と見送ることになります。まぁまぁ史実どおりに追いかけたナポレオン裏話メロドラマというところですね。

 パッケージ解説によると当時MGMがサイレント版「ベン・ハー」に次ぐ巨費を投じたというのですが、見たところそれほどスペクタクルな場面もなく出演料にかかったんと違うか、と思っちゃったり(笑)。アメリカでの興行はイマイチでしたが出演者がヨーロッパ系ということでヨーロッパでは受けたんだとか。


 ところで北朝鮮の核実験、ようやく一週間経ってアメリカも公式に確認したわけですが、それでも失敗らしいという話も流れてます。とかなんとか言ってるうちに「宣戦布告だ」だの第二の核実験だのと一方的にあっちが騒いでるのは滑稽な観もあり。
 週刊朝日の山藤章二さんの「ブラックアングル」の「遠吠えの金さん」には受けました(笑)。


>尾鳩さん
 レスが遅れましたが、さりげなく書いた「ライオン仮面」ネタに反応してくれたのは嬉しい(笑)。
 あの一話、ドラえもん的SF発想の代表作だと僕は思ってまして。



#7205 
tomohiro 2006/10/13 10:15
台湾も韓国もどこも一長一短ですね。

先日、台湾を批判したようなカキコをしましたが、
私はそこまで台湾が嫌いなわけではありません。
私自身台湾の親日的な部分は気に入っております。
逆に韓国の行き過ぎた反日は病的なものを感じます。
私自身が某所で台湾のテレビドラマの批判を初めて以来、
台湾のおかしな部分について興味を持つようになりました。
そして、韓国も台湾も光と陰が両方存在するのだなと
感じるようになりました。
そして、台湾が日本の漫画を原作としてドラマを作ってくれるからこそ、
愛を感じて日本での嗜好をはずしている台湾を諫める感覚で
台湾ドラマの批判を始めたのです。
台湾を擁護する人間はある一時期北朝鮮を擁護した人間が
あったように、それに近い感じがします。



http://resutoa.exblog.jp/


#7204 
mozawa 2006/10/13 09:29
ななさまへ

 私も、男尊女卑傾向が高まったのは江戸〜明治期と永井路子女子の著作で読みました。
 徳川幕府が、林大学頭などを登用して儒学を重用してからではないかと・・・。
 
 話は変わりますが、私現在、オーストラリア人と仕事をしております。
 日本の歴史・週間に大変関心がある人で、新書サイズの英語版日本の歴史を呼んで勉強しています。対訳が付いているので読んでみたのですが、かなり正確かつ簡潔に纏められていて、日本人が読んでも大変わかりやすい日本史ダイジェスト版、と言う感じです。(六波羅探題が載ってたのには驚きました)
 その彼に、「日本人はどうして、こんなにもアメリカナイズされ、アメリカが好きなのか?原爆を2つも落とされたのに?」と聞かれたときは、答えに詰まってしまいました。。



#7203 
尾鳩 2006/10/13 00:55
駄々をこねる子供を必要としている国もある・・・かもしれませんよ

まあ、すでに限界を超えてしまったかもしれませんが。次は、きついお仕置きですか。

誰も書かないときにこそ、書く価値がある(笑。
ってなことで、こちらではお久しぶりです。

>天軍
その韓国映画、非常に興味深いですね。ドラえもんの「ライオン仮面」、いいですねぇ(笑。お獅子仮面の後が、どうなったのか、非常に気になる(笑。
私は、むしろ「ターミネーター」を思い出しましたけどね。

>北朝鮮
ま、もういろんなところで書き込まれたネタなんで、今更何も書く必要が無いのかも。
米の金融制裁がよほど堪えているということに尽きますね。
今日とある北朝鮮専門家にお会いして、今帰ってきたばかりなんですが、あの核実験、国内向けの側面があるということを忘れちゃいけないなんてことをおっしゃってました。
一回、一部の北朝鮮海軍がクーデターを起こしたことがあり、北朝鮮当局もかなり国内統制に気を遣っているということですかね。
あれだけ、好き放題やって生き延びている国際情勢も、北朝鮮はちゃんと計算に入れてるんでしょうね。韓国の「太陽政策」だって、北朝鮮の混乱を避ける「延命策」でもあるわけですし。混乱が生じて困るのは、周辺国だってことですかね。韓国は、東西ドイツの統一後の混乱をちゃんと学習しているなあと思いますよ。
マスメディアのインタビューでは、韓国の人たち、「統一万歳」を叫んでも、韓国のビジネスマンあたりと話すれば、皆口をそろえて「統一?とんでもない!」ですからね。

>安倍さん訪中
私個人的には、安倍さん急いだなあと思いますよ。待ってても折れてくるのは、中国に決まっているのに・・・。この話を知り合いの外交官の前で話していたら、「私も安倍さん訪中を準備した一人なんですよ(^^;」なんて言われて、気まずい思いをしました^^;。

ところで、別のチャイナウォッチャーから聞いたんですが、最近、英語版「フォーブス」で世界の危険地域なる特集が組まれていたとか。私も自分で読んだわけではないので、詳しくは書けないのですが、特にアフリカ諸国が挙げられている一番最後に何故か「Japan」とリストされていたそうで。「ハイパーナショナリズム」が云々・・・^^;。
「フォーブス」って、どっかのロビイストか、もしくはロビイストの息がかかっているんですかね。そのことを考えれば、今の訪中は良いタイミングと言えるかもしれない、とそのチャイナウォッチャーの方はおっしゃってましたが・・・。
日本のナショナリズムって、そんなに懸念するほどなんですかねぇ・・・と、わざと振ってみたりする^^;。




#7202 
徹夜城(六本木を初めて歩いた管理人) 2006/10/12 23:33
「天軍」襲来!

>ななさん
 どーも、こちらではお久しぶりです。
 確かにこのところ、世間の話題が多い割にはこの伝言板は静かですね。僕自身も書いてませんし…こちらはこちらで忙しいもんですから、いろいろと。
 それにしても北の「核実験」については当人が「やりました、成功しました」と騒ぐ一方で米・日・韓はまだ未確認と慎重で、報道も「北朝鮮が核実験に成功したと発表した件について…」という間接表現を使ってます。冷静さを呼びかけるというのとはどうも違うんですよね。実験はしたけど失敗したんじゃないか、って話もアメリカからかなり早く出ましたし、「二度目の実験」の誤報騒動もギャグの種にされる始末。
 まぁどっちにしても北朝鮮は「アメリカとの二国間対話を!」って必死にくり返すだけなので足元見られてる感じがあるんですよね。何を考えてるのか分からないことが多いこの国ですけど、今はとにかくそれ以外は考えてないように見えます。

 さて、この騒ぎの中でタイミング最悪(?)に公開された韓国映画「天軍」を見てまいりました。早い話が「戦国自衛隊・韓国バージョン」といった内容です。東京は六本木の映画館でひっそりと公開されておりまして、僕も初めて六本木なるところを歩きました。ヒルズもついでに見てきたりして、しっかりおのぼりさんです(笑)。
 何がタイミング最悪かといいますと、この映画、話の発端が「南北共同で極秘に核開発をやっていたのがアメリカにバレる」というものなんですね(笑)。バレたんでコリアン特製核弾頭「飛撃震天雷」(なんちゅう名前だ)は南北政府の判断でアメリカに引き渡されることになるんですが、これに反発する北の軍人が核弾頭を盗んで逃走、これを韓国軍人たちが追ううちに彗星の影響で400年前にタイムスリップ!という発端なんです。

 正直なところ核弾頭が話にからむ必然性が最後までない(一応ちょこっとはありますが)ので、唯一の被爆国な立場から見てるとやっぱり違和感がありますな。登場人物たちも「核を持つ」ことにかなり肯定的です。「侵略を受け続けた民族の歴史を変える」だの「イスラエルが中東に存在できるのは核を持ってるから(まぁ持ってるんでしょうけど正確には否定も肯定もしてない)」だのといった言葉が節々に出てくる。この映画は南北共同で核を持つという設定ですが、今度の北の実験を受けて韓国でも核保有に肯定的な意見が6割ぐらいあったという世論調査をさっき見まして、映画内容と符合する面も。なおこの映画を韓国で製作・公開したのは昨年の話で、今年だったらやらなかったんじゃないかと思えます。
 平日の真昼間のB級韓国映画…とはいえ13人しか客がいなかったのは現在の状況も多少影響してるんじゃないかと。

 ま、その辺は話の発端に使われてるだけで、気にはなりましたけど映画の本筋に入ってくると、これがなかなか面白いんですわ。歴史タイムスリップものの王道を行ってる、といいましょうか。以下、ネタバレはなるべく回避します。
 南北の軍人達がタイムスリップするといきなり朝鮮北辺で女真族が侵略してくる場面に遭遇、持っていた銃器や手榴弾でこれを撃退したために人々は彼らを「天軍」と呼びます(冒頭に「朝鮮王朝実録」の原文が出るんですが、どうもそんなような記事は実際にあるそうで…明軍が来たものと解釈されてるそうですが)。
 ここで南北の軍人たちは一人のコソ泥と係わり合いになり、一緒に役所に突き出されます。そのコソ泥が名乗る名前が「李舜臣」。「大そうな名前だな」と現代人たちは最初笑いますが、出身地や経歴を聞くとまさにあの李舜臣(笑)。ちょうど武科挙に落第して腐っていたころの李舜臣という設定なのですな。泥棒だけでなく人参密売で一儲けをたくらんでいるという「民族英雄」の若き日の実態を知ってギャップに驚く現代人の反応が面白い。
 映画を注意深く見てると分かりますが、南の軍人は李舜臣を崇拝してなにくれと世話をしようとし(次の武科挙合格を目指して特訓までする!)、北の軍人達はそれほど彼に関心を持ちません(そもそも全く知らない軍人もいる)。北の軍人のリーダーなんか「李舜臣なんて南が作り上げた偶像ではないのか」なんてことまで言います。ええ、これ実はある程度事実でして、李舜臣が民族英雄と持ち上げられ神聖視されたのは韓国の軍事政権下のことなんですね。一方の北にとっては「民族英雄」とは金日成以外の何者でもないわけです(笑。北朝鮮が作った安重根の映画にもそんなフシがあった)。
 こういうところにさりげなく李舜臣の評価をめぐる温度差を感じて面白かった。さらにいえば、韓国においても「情けない李舜臣」像を描くことが可能な時代になったのだ、とも言えるのです。

 ま、そこはお約束と言うもので映画の後半で李舜臣は「目覚め」ちゃいまして、女真族相手に名作戦を展開。作戦指示を受けた現代軍人たちが「鳴梁海戦の作戦だ!」とか喜んじゃったりして(笑)。他にも李舜臣のサインをちゃっかりもらっちゃったり、軍人達が李舜臣の漢詩を歌うのを聞いて「いい詩だな。作者は誰?」と当人が聞くといったドラえもん的タイムスリップギャグ(「ライオン仮面」の一話を連想しました)も多いです。
 ただ「戦国自衛隊」と決定的に違うのが、現代人たちが持ち込んだ武器が銃器類と手榴弾しかないことで…そのため戦闘ではそう有利でも無いんですな。戦車やヘリを持ち込んだ元祖「戦国自衛隊」だって武田軍相手に苦戦してたぐらいで、こっちはもっと肉弾戦状態になってしまってました。
 敵として出てくる女真族の考証が正確なのかはちと気になります。セリフは女真語(満州語)になっていると思われ、ハングル字幕が表示されてました。そうそう、ラストで鳴梁海戦突入のシーンが入りますが(背景にTVドラマ「壬申倭乱」の映像を使っているような…)、日本武将もちゃんと登場します。ちゃんとした戦国武者スタイルの鎧など服装考証は「壬申倭乱」の頃よりずっと上達していましたが、いかんせん韓国の俳優さんに日本語しゃべらせたために発声が悪くて聞き取れません。ハングルだけでなく日本語の字幕もほしかった(笑)。「あんな少ないボロ船で戦おうというのか!?」と言っていたんでしょう、たぶん。

 これで「歴史映像映画座」に入れる映画が一本増えました。ええ、近日中に「タイムスリップもの」という分類を新設する予定なんです。



#7201 
なな 2006/10/12 00:19
GRATIA

ご無沙汰してます…って、どのくらい久しぶりか、自分でも忘れたわ。

北の核実験で、さぞかし祭りになっているだろうと覗きに来たんですが、静かですね?
というかこの頃はBBSの回転が遅いんですか?
燃料投下役がいないのかな。

まぁ、細川ガラシャでは燃料にはならんでしょうが、今日の「その時、歴史が動いた」は興味深く見ました。
「細川ガラシャとオペラGRATIA」という題材は以前にも見たことがあり、今日のはてっきり過去放送分の再放送かと思ったんですが、公式サイトを確認したら違っていました。
私が見たのは「その時、〜」の前身の歴史番組で、だったようです。まさに光陰矢のごとし。

儒教の価値観とキリスト教の教えを対比させるような番組構成でしたが、「女は父→夫→息子に従え」というような社会的価値観って戦国時代でも当たり前だったんでしょうか?
ちょっと朱子学と陽明学の歴史をやりまして、日本の女性が儒教的男尊女卑思想に圧迫されるのって、意外と後の時代(江戸後半〜明治期)じゃないか…と思ったので。
「女主人として留守宅を明け渡すわけにはいかない」と、番組の最後の方でようやく「お袋様」=正室の地位と職責(?)に触れていましたが。

マリアテレジアやマリーアントワネットがどのくらいGRATIAの物語に影響を受けていたのか、知りたいんですけどねぇ…。



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