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#8900 
バラージ 2011/05/09 21:14
ゲームで室町!?

 お久しぶりです。こちらの板では初めましてですね。

 実は私、岩手県在住でして。今回の地震は人生最大の規模でなかなか大変でした。とはいえ私の住む内陸部は、津波に襲われた沿岸部にくらべれば被害は軽微。死者や家屋倒壊などもほぼなく、ライフラインや物流などもほぼ復旧しております。沿岸部はまだまだひどい状況のようですが。

 さて、今回はこちらの「ゲームで南北朝!!」のコーナーを見て、「懐かしーなー」という気持ちになりまして書き込みをした次第でございます。僕も昔ボードシミュレーションゲームにはまっておりまして、『太平記―血戦楠木正成―』も「あ〜、そういうのあったな〜」と懐かしくなりました。買わなかったのでやったことないけど。その後、コーエーなどのコンピューターシミュレーションゲームもいくつかやったりしましたが、持ってたのがスーファミとプレステだったため、これまた南北朝ゲームはやらずじまいでした。

 さて、実は南北朝ではなく、なんと室町時代を舞台にした(?)コンピューターシミュレーションゲームがあります。それは……『チンギスハーン 蒼き狼と白き牝鹿W』! PC版の拡張セット「パワーアップキット」に1370年を舞台としたシナリオが入ってまして、日本の君主が足利義満なんですよね(他に中央アジアにはティムール、中国には明の朱元璋)。義満でプレイできるシミュレーションゲームなんてこの先もう出てこないんじゃないだろうか? プレステ版にはPC通常版のシナリオ(1189年……チンギス・ハーン、源頼朝。1271年……フビライ・ハーン、北条時宗)しか移植されていないんで、PCの通常版に加えてパワーアップキットも購入しなければプレイできないんですが、まあどっちにしろもう絶版か。ちなみにパワーアップキットのもう1本のシナリオは1229年。オゴタイ・ハーンや北条泰時でプレイできます(これも珍しー)。通常版の1271年シナリオでは時間経過とともに足利尊氏・楠木正成・新田義貞が在野武将として登場するようです。でも僕はやったことなかったりする。当時はPC持ってなかったし、プレステ版はシナリオの少なさがネックでした。『蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史』の源平シナリオは散々やりましたが。



#8899 
徹夜城(今日も普通に仕事がある管理人) 2011/05/06 10:12
史点をアップした後に

 今回の「史点」では当然ながらオサマ=ビンラディンの話題をとりあげてるんですが、アップした直後にこんな話題が。

【山本長官機の撃墜と同じ 米長官、殺害の正当性強調】(ワシントン共同)
ホルダー米司法長官は4日、上院司法委員会の公聴会で国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者殺害について「敵の指揮官を攻撃目標にすることは合法だ。例えば、第2次大戦中に山本(五十六・連合艦隊司令長官の搭乗機)を撃墜した時も行った」と証言し、殺害が正当だったと強調した。

いかにも「史点」的に美味しいネタだけに、アップ直後に報じられて悔しいのでここに乗せておきます(^^;)
まぁ911直後も何かと「リメンバー・パールハーバー」と言ってましたからねぇ…



#8898 
徹夜城(GWもあまり休みにならない管理人) 2011/04/30 21:54
「南北朝列伝」に歴代天皇伝アップ

 先ほど、「南北朝列伝」に歴代天皇列伝をズラッとアップしました。ええ、「列伝」です、本紀じゃありません(笑)。さらに言えば南朝も北朝もそれぞれ「第○代」とカウントする日本史上初の事例です(笑)。
 南朝・北朝の歴代はもちろんのこと、さかのぼって持明院統・大覚寺統の歴代も作っておきました。一応原因を作った後嵯峨天皇まで作ってあります。「南北朝列伝」はどこまでを範囲とするのかやや悩む問題でもあるのですけど、一応南北朝の原因にからむ人までは入れたほうがいいかな、と。逆に「その後」でも関わりのある人は伝を立てるか、と考えてます。
 今後は何を基準に追加していくかな…と構想中。

>英国王室映画
 ウィリアム王子のご成婚記念、ってことらしく、今週のNHKの衛星映画は「エリザベス・ゴールデンエイジ」「クイーンヴィクトリア至上の恋」「クイーン」と女王映画三本立て。このうち「クイーン」は未見だったので、これ幸いと録画して見ました。
 映画はトニー=ブレアが首相となるところから始まり、新首相と女王が宮殿の一室で一対一で面会するところがなかなか興味深い。女王が「あなたで十人目よ。最初はチャーチルだったわ」などと言うので恐縮しちゃうブレア。話が終わったので「もうおしまいかな?」という顔でぽかんとするブレア、あわてて気付いて女王の前にひざまづき「任命」を受けるという一幕も。日本でも天皇が任命する形式ではありますが、ああもざっくばらんではなさそうですね。
 そして映画のメインはダイアナ妃事故死直後のイギリス王室の対応。ずいぶん近い時代の王室一家内幕ものでして、エリザベス以下王室一家がほとんど俳優に演じられて登場してます(あ、もちろんブレア一家もね)。まぁ、みなさんそこそこ似てる。なんつってもヘレン=ミレンが演じるエリザベスは当人にしか見えなくなる瞬間がしばしばあるほどのなりきりぶり。正式に「女王様」然としているところと、普通のおばあさん然としているところとが見事に共存して演じられてます。
 エリザベス皇太后やエジンバラ公フィリップが「死んでも迷惑な嫁だ」とぼやいてましたが、確かに当事者にしてみればそうでしょうな。この映画の放映翌日の昼間にテレビ東京で「ご成婚記念SP」と銘打って「プリンセス・ダイアナ最後の一年」などという劇映画を放映していて、こちらは直後の製作のせいもあってか完全にダイアナ寄りでまさに「聖女」のごとく扱われてましたが、客観的にみると持ち上げられすぎのような…ですが「クイーン」でも描かれますがその死が劇的だっただけに国民もフィーバーしてしまい、王室は読みを誤ったところはあるようです。
 それにしても「英国王のスピーチ」って映画もありましたし(まだ見てない!)、歴代ネタの尽きない王族であります。チャールズとカミラだって十分将来映画になりそうなカップルですしね。


>あがたしさん
 高岡といいますと、僕はまず「藤子不二雄」が頭に浮かぶんですよ(笑)。トキワ荘関係の本を読むと、あの人たちは関西弁的な話し方をしていたようですね。
 鉄道がらみでは、実は僕は中学時代にわざわざ北陸方面へ鉄道乗りまわしに行ったことがあり、高岡の当時の加越能鉄道(加賀・越中・能登にまたがろうというスケールのデカい名前ですが要は高岡の路面電車)に乗ったことがありました。

>民本主義者さん
 おお、なるほど、僕も「出会い系サイト」の話にはひっかかりがあったんですが、まさにそれかもしれませんんね。テレビに「出会い」の広告を流しちゃうのか…
 ふと映画「史上最大の作戦」で、ラジオ放送にレジスタンス向けの暗号メッセージ(詩の一節)を流していたのを思い出しました。



#8897 
民本主義者 2011/04/29 23:16
中東の「出会い系」

「ニュースな史点」最新作にある、リビアの反政府勢力が「出会い系サイト」を利用して連絡をとりあっていたという件について、「おそらくはこれではないか」と思われるものを、『イスラーム世界の論じ方』(池内恵著 中央公論新社)43ページから「アラブ・メディアは中東政治を変えるか」を引用します。アル・ジャジーラなどのアラビア語衛星テレビに関する論説です。

「また、広告収入以外の収入源として、携帯電話会社と提携して得るSMS通信料収入が伸びている。ドバイでの調査では、SMSメッセージの放映を導入した各局は、毎月平均二〇〇〇万ディルハム(約六億円)の収入を得られる計算だという。音楽チャンネルを中心に、SMSからの収入への依存が進み、画面の下部のバーに流れるメッセージは、局によっては二段、三段で表示されるようになっている。元来は一方向的なテレビが、掲示板のような機能を持つメディアとして変質している例も見られる。ここに流されるメッセージは、日本で言う「出会い系」のものである場合が多いとされ、倫理規範の逸脱として規制を要求する声も上がっている。」

携帯電話に打ちこんだ恋人募集メッセージが、衛星テレビの画面に流れ、それがテレビ局の収入源になっているみたいです。暗号を使って広範囲に散在する同志に連絡するには、たしかにぴったりの方法ですね。ハイテクとローテクとの無骨な組み合わせが、いかにも現代の中東、という感じがします。




#8896 
あがたし 2011/04/23 09:59
そばうどんは「ちゃんぽん」

徹夜城様:ごめんなさい,高岡のそばうどん異種格闘技麺丼の名前は「ミックス」ではなくて「チャンポン」でした.最初に高岡出身の人から「ミックス」と教えられ,ウソだろ?と思って行ったら本当にあったのだけど,名前はチャンポンでした.記憶がごっちゃになっていたようです.失礼しました.

現在でもあるかどうかは分かりませんが少なくとも2007年にはありました.また,「高岡 今庄」で検索するといくつかヒットします.

かつて富山の城端で仕事がよくあり,上野発のボンネット型車両急行能登(今は臨時列車のみでしたっけ?)で早朝に高岡に着き,とりあえず駅前を散歩.大伴家持像に挨拶して,この「今庄」が開店したらさっそくチャンポン(卵入りを注文)を食べると「ああ,また高岡に来たな」と実感したものです.

(最初大伴家持像を見たときには,へえ高岡ゆかりなのかと驚きましたが,すぐ後に国文出身の知人からそんなのは常識だと怒られてしまいました.親族揃って歴史好きで兄は中国史専門・妻は中世日本文学−それこそ南北朝時代を含む,というかメイン!−が専門なのだけど,私自身はあまり詳しくなかったのです)

気動車(キハ47やDE10など)がたくさんいて味のある高岡駅車庫を見ながら南口へ.徒歩15分で国宝瑞龍寺に行くとちょうど午前第一回目のガイドツアー開始.宗教の場でありながら軍事の場としての性格も非常に強かったこの広大な寺のガイド説明口上には,当然歴史的な人物が勢揃い.寺の参道「八丁道」は前田利長公墓所へと続く美しい道です.

気動車の城端線に乗ると,地理の時間に必ずやった(今はやるのでしょうか?)「散村」の典型例「砺波平野」を車窓に眺め,ディーゼルエンジンの音を聞きながら50分,これまた立派な寺のある終点城端に着きます.

というわけで高岡は「歴」で「鉄」で「食文化」な人を満足させる街なのでありました.



#8895 
徹夜城(最近はGyaoで毎日追われるように韓国時代劇を見てる管理人) 2011/04/20 23:24
レスため込みまして

 どうもすいません、ほぼ一週間書きこみをしてませんでした。

>民本主義者さん
 ご報告どうもです。ご紹介の作者様のブログからサンプル読みました。
 なるほど、後醍醐…そうきちゃいましたか、って感じですね(^^;)。後醍醐天皇からあのイメージはまったく思いつかなかったなぁ(大魔王みたいなのはありましたけどね)。かなりビックリ。
 「マンガで南北朝」コーナーはいずれ他の作品ともども更新せねば…と思っているのですけど、なかなか果たせず、という状態で。いずれは「小説で南北朝」というコーナーも、と思ってるのですけど、こちらはなおさら大変です。
 とりあえず現在は「南北朝列伝」をもう少し充実させようと、まずは歴代天皇(持明院統=北朝・大覚寺統=南朝)を網羅しようと現在作業中です。後嵯峨から始まって、花園までは書き上げまして、あとは南北朝後半の両朝天皇たちですね。

>黒駒さん
 原発と皇室ネタの「もしも」を考えない、考えたがらない、という共通点にはなるほどと。確かに男子誕生でひとまず「冷温状態」で「先送り」になっただけなんですよねぇ。半世紀もすりゃまた問題になるわけで。といって側室制度を復活させるわけにもいかん、ってことになると「男系」を重視して旧宮家を復活させろってことになるわけですが、これだって小泉政権の諮問機関が言ってたように六百年も前に分かれた親戚(それも事情は南北朝がらみ)の子孫だからかなり無理もある。「いや、女系でも近いぞ」という声もありましたが、それって南北朝マニア的に例えて言うと天皇の母方のいとこである足利義満(もちろん男系で天皇の子孫でもある)が皇位継承してもいい、って理屈にもなるんですな。
 石原シンちゃんと言う人はいろんな意味で矛盾のかたまりでありまして…先日も最近の日本はポピュリズムが蔓延とか「おまえの口から言うか?」ってことを嘆いておりましたし。マンガ規制の議論でも彼が昔書いた作品がどれだけの内容のものだったかさんざんネタにされた通り。そしてこの人、その昔自分の子供に対してスパルタ教育するような本を書いておいて、のちに書いた本で「ぜんぜんそんなことはしてない」と暴露するという妙な人でもあります。
 それでいてこの人、バカではないんですよね。これ以上いくとヤバい一線を越えない、というかよく言えば慎重、悪く言えば臆病なところが確かにある。かつて中国と国交を結んで台湾と断交することに怒って血判までして反対することにしていた青嵐会にあって議決時にしっかり賛成起立をしていたことをハマコーがずっと根に持ってますし(笑)、尖閣上陸をしようとして直前にマスコミにバレたらブーたれつつ逃げたこともあります(一緒にいた他のメンツは上陸したんですよね)。日ごろの言動からすれば北京五輪の開会式なんて出てるのもヘンなはずなんですが(おまけに中国人ボランティアを絶賛しまくった)、それも東京でオリンピックを開くため。よく言えば柔軟なんでしょうかね。そういえば今回も再選されたとたんに「オリンピック」には急に慎重な物言いになってきました。

>つねさん
 「七人の侍」ハリウッドリメイクの話はだいぶ前から聞こえてるんですが…さすがに実行が難しいんじゃないかと。西部劇はもう有名なのがあるし、SFにでもするしかないんじゃないでしょうか。そういえば「用心棒」が一時SF映画でリメイクとの報道がありましたが、実際に出来上がってみたら20世紀初頭ギャング映画でした(ブルース・ウィリス主演「ラストマン・スタンディング」)。
 「生きる」のリメイクドラマが日本でありましたが、これも長らくハリウッドリメイクが噂され続けてるんですよね。
 モーツァルトの小ネタはなんだか落語みたいですね(笑)。どうもやりかねない父子ではあったようですが。

>あがたしさん
 ほほー、それは初耳。そばとうどんの「ミックス」があるとは。僕もどうも「そば・うどん境界線」が高岡あたりだとは聞いておりまして、実際にそんなメニューがあるとなるとまさにそれを絵にかいたような…と書いて考えたのですが、もしかするとそれは「境界線」であることを知った店主がわざと作ったメニューだったりしないでしょうか?
 ずいぶん前のこの伝言板過去ログにもありますが、「タモリ倶楽部」のスペシャル版で新幹線各駅の駅そばの「そばつゆの濃さ」調査では、東京を出発して静岡県に入るとかえって濃いめになり、三河安城あたりから劇的に薄くなり、米原では完全に関西風になる、という結論でした。
 近頃首都圏の駅そばの一部ではうどんを注文すると「関西風つゆ」を頼めるようにしてる店もありますね。



#8894 
あがたし 2011/04/20 07:39
そばうどんMix

史点にあった

>そばとうどんの注文比率(これ、正確に覚えていないのだが北陸では富山県の真ん中で劇的に変わると聞いた)

ですが,富山の真ん中ちょっと西の高岡で,駅そばにミックスというメニューがあります.そばとうどんが半々です.せいろだと相盛りの形でたまに見ますが,暖かいそば・うどんが同じ丼に半々に入っているこの「ミックス」はちょっと珍しいかも.このあたりが確かにそば・うどん戦の最前線なのかもしれません.





#8893 
つね 2011/04/14 00:06
恥ずかしい手紙

>エイプリルフールネタ
返信ありがとうございます。勘違いしてました。

>ハリウッドリメイク

昔、こういう記事を見ていて「やめとけ」と思ったことがあったのを思い出しました。
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/04/17/034/index.html
後日談を聞きませんが、ぽしゃったんですかね。

>恥ずかしい手紙
今回のベートーベンネタでモーツァルトの手紙を思い出しました。モーツァルトの手紙は下ネタが多いことでも有名ですが、こんな手紙もあったと記憶しています。

モーツァルト「パパ、コンスタンツェ(後の奥さんですが、まだ恋愛相手もはなくただの下宿屋の娘)が、ぼくのあそこが小さいとからかうんだよ」
これに対するモーツァルトパパの返信
「そんなこと気にするんじゃない」ここまではいいのですが。
「私は隣のおじさんと温泉旅行に行ったことがあるが彼のは小指くらいしかなかったぞ」
何もしてない隣のおじさん、えらい迷惑です。200年以上たってまで記録に残ってしまってます。
ただ、一度立ち読みでこの話がやたら印象に残ってから、ときどき探してみても探し当てられないんですよね。記憶違いではないと思うのですが。本腰入れて「モーツァルトの手紙」をあたってみるか、というには時間が惜しいし・・・



#8892 
黒駒 2011/04/12 11:31
原発・皇室・石原慎太郎

なんだか、原発事故と皇室問題に共通点があるなと思ってしまいました。原発事故と皇位継承問題、どちらも現実的にありえる事態ですが、「もしも」のことを考えるのがタブー視されていたように思います。原発事故も今起こっている炉心溶融よりも先のパターンをあらかじめシミュレートできていたら、対応がもう少し違っていたのではないでしょうか。皇室問題も同様に、皇族に皇位継承者がいなくなるかもと「もしも」の事態になりかけて、はじめて女系相続も考えるべきでないかと対応が検討されはじめる。あれは親王誕生で「冷温停止」となりましたが。

日本的な「縁起でもない」という価値観といいましょうか、「もしも」の事態をシミュレートすること自体をタブー視してしまう傾向はありますね。そんなときに、ここではけして評判は良くないであろう石原慎太郎都知事が再選されました。

ただ、石原慎太郎という人は面白くて、先の大戦で日本が敗戦した理由を、論理よりもセンチメント(感情論)の優先という点であることを指摘している。誰しも気づくことですけど、石原慎太郎本人がセンチメントな人でありますし、何よりも感情論的な勇ましい発言で支持基盤をつくってきた人であります。

あの人の都政の業績は無きに等しいと正直思いますし、個人的にもけして好印象ではなかったのですが、ただ80の老人にしてはあまりに闊達ですし、話すことも論理的でもある。のに敢えて、あの人は感情論的な発言を用いてきたのではないか、と思ってしまいました。ひねくれたじいさんではありそうですし、「天罰」発言に代表されるように戦後日本・日本人に対する複雑な感情はありそうです。

再選はされましたけど、俺なんか勇ましい発言してるだけで、なんにもしてないのに。君たちまだセンチメントでしか考えれずに、俺なんかを支持してるの?と、本心ではそう思っているのではないかと深読みしてしまいました。



#8891 
民本主義者 2011/04/11 21:29
「マンガで南北朝」の新ネタを御注進!

以前にご紹介した政治的にもヤバい漫画『朝霧の巫女 平成稲生物怪録』(宇河弘樹 少年画報社)の最新刊である第七巻が、突発的に時代劇になりました。
以下の作者のブログから、一部を読むことができます。
http://blog.goo.ne.jp/tacho_g/

楠木兄「妹」の近親相姦的な愛情も、南北朝の対立の原因を神話時代に求める壮大な歴史観も、正成と尊氏が戦場でまみえた時に交す政治哲学的な会話も大変に魅力的なのですが、ここに描かれた後醍醐天皇像にシビレました。

是非是非、「マンガで南北朝」で徹夜城様の評論をお読みしたいと思って、お知らせした次第です。



#8890 
徹夜城(古い大河ドラマの映像は記録映画みたいと思った管理人) 2011/04/11 12:47
大河ドラマ初期10作

 先週土曜からBSプレミアムで「大河ドラマ初期10作デジタルリマスター」なんてものを放送開始しているのですが、この伝言板をご覧になってる方でどれほど見ていらっしゃいますかねぇ?
 先日の第1回では「花の生涯」「赤穂浪士」「太閤記」の1話ずつが放送されました。「花の生涯」は第1回、「赤穂浪士」は「討入り」の回(吉良を打ち取る寸前で終わり)、「太閤記」は「本能寺」の回でした。それぞれこの1話ずつしか保存されておらず、あとは「花の生涯」なら桜田門外の変、「赤穂浪士」なら松の廊下、といった場面が断片的に残っているだけだそうです。
 しかしテレビドラマもこれだけ古いと、見ていて「当時の記録映像」に見えてきてしまうような(笑)。以前古い無声映画時代の歴史映画でそういうことを感じる、って書いてましたけどね。
 「太閤記」の本能寺は以前何かで見たことがあったのですけど、他の二つは初見。「花の生涯」のオープニングタイトルだけは見ていまして、そこで「渡辺崋山」「高野長英」の役が出ていたので「どういうふうに出るんだ?」と長年思っていたのですが、先日の放送でようやく謎が解けました。渡辺崋山は切腹シーンまであったとは。


>つねさん
 いや、「四月馬鹿史点」はとくに時事ネタと絡めるというルールがあるわけではありませんで…よその同種企画でもそうですが、時事ネタに絡めたほうが毎年ネタ枯れしないで済むってだけの話です。四年前の初回から見ていただければわかりますが、時事ネタと絡めるのはいつも半分ぐらいなんですよ。
 今回も川中島のネタと道真ネタは時事ネタと絡めて2月段階で決まっていました。ハリウッドネタのやつはちょっと時事ネタが入ってますが、特に意識したわけではありません。どのネタも「途中までは実話」という形をとるようにしてはいましたが(ハリウッド「忠臣蔵」の話はネタじゃないですからね)。
 「知恵袋」は当然例の話ですが、「梅乃花」は有名な和歌にからめようというだけで(正直苦しかったですが)、特に時事ネタというわけではありません。



#8889 
つね 2011/04/10 23:29
元ネタプリーズ

エイプリルフールネタは歴史ネタと時事ネタが上手い具合にミックスされていて
好きなのですが、今年は以下の点で分かりませんでした。
あまり元ネタ披露はされないと思うのですが、教えていただければ。

>梅乃花
「yahoo知恵袋」だろうとは思うのですが、直接繋がらなかったので。

>インダス文字
最近、話題になりましたっけ? 検索したらこんなのがひっかかったりしましたが。

http://bogusne.ws/article/118083427.html

こちらが上記の元ネタでしょうが。
http://scienceplus2ch.blog108.fc2.com/blog-entry-496.html



#8888 
徹夜城(最近すっかり「ムロタイ」を自分で読み返していた管理人) 2011/04/09 23:27
「南北朝列伝」更新!

 よーやく、予告しておりました「南北朝列伝」を更新しました。
 今回の目標は「大河ドラマ太平記で劇中言及された人物を網羅」することでした。チビチビと進めてまいりましたが、最後の大物・足利義満が難航。この人話題が豊富すぎるんですよね。そんなわけで「室町太平記」を自分で読み返しつつ(結構忘れているものです)「義満伝」をまとめてみました。

 もちろん「南北朝列伝」がこれで終わりであるわけはなく、今後も実在人物、フィクションの架空人物とりまぜてどんどん追加してゆきたいと思います。
 今回一部氏族について「系図インデックス」をつけるという試みもしてみました。ご覧いただければわかりますが、たとえば「あしかが(氏)」というところには足利氏略系図が載っておりまして、そこから見たい列伝に飛べるようにする、といったものです。まだ一部の氏族しかやってませんけど、自分でも作ってて面白かったですね。
 この系図を足がかりに「列伝」の充実を図っていくという手もあるかと。とりあえず手始めに南北両朝の歴代天皇はちゃんと作っておこうかと思ってます。

 なお、今回の更新と同時に「史劇的伝言板過去ログ」および「ニュースな史点」過去記事に追加編集をしてあります。



#8887 
徹夜城(久々に新宿まで出かけていた管理人) 2011/04/06 22:26
科学的なものの見方

 本日は海外一部メディアで「死の町」とまで表現された(笑)という都内まで映画を行ってきました。少なくとも昼間はまるっきりいつもとおんなじですな。
 しかし国内でも、茨城県神栖沖の魚を銚子漁港が水揚げ拒否したというニュースなんかには(両者の位置関係を地図をお調べください)他国の報じぶりを笑えなくなってきます。

 さて本日見てきた映画は「アレクサンドリア」。珍しくスペイン映画です。ただし内容は古代ローマ帝国末期、4世紀末から5世紀あたまあたりの話。主人公は実在の女性科学者ヒュパティアです。「アレクサンドリア」は邦題でして(確かに全編この都市が部隊ですが)原題は「アゴラ」、すなわちギリシャ都市国家における中央広場、演説や学問の場とされた場所の名前になっています。
 ギリシャ、ヘレニズム以来の伝統を守る図書館で科学的なものの見方を大切にしているヒュパティア、この映画では地動説から慣性の法則、はては楕円軌道の惑星運動まで「発見」してしまうのですが(どうせ詳細は分からないのでこの辺は自由に作ってます)、それが当時国教化されつつあった狂信的なキリスト教徒らによって迫害されてゆく、とまぁそういう話です。僕も詳しくは知らなかったのですが、ポピュラーといえばポピュラーなヒロインではあるそうです。
 テーマがテーマだけにキリスト教徒がほとんど悪魔集団のように描かれますが、映画的に分かりやすくしているのはわかるものの、もそっと描き方に工夫がほしかった気も。「どうしてそうなったのか」というところが肝心なんじゃないかなぁ。宗教の不寛容、という言葉だけでは片づけられないテーマとも思えます。


>マルクスの恋人さん
 偶然にも我が家はメインの大型TVがぶっこわれましてね。地震発生から数日後だったから因果関係は不明ですが。しかし修理を頼んでもソニーのほうで部品調達などいろいろ問題があるらしくいまだに修理に来てくれません。日数がかかりそうだとは言われたんですけど、もしかして数カ月単位じゃあるまいな。
 ま、テレビがないとレコーダーにためこんでる映画も歴史ドラマも見られないので…

 ところで間が悪いというか、変な意味でタイミングばっちりというか、という話が。
 フジサンケイグループで「地球環境大賞」ってのをやってるんですけどね、その今年の授賞式・記念レセプションが昨日予定されていたんですけど、地震の影響によりキャンセルになったんだそうですよ。
 http://www.fbi-award.jp/eco/

 今後の日程については後日改めて、ということだそうですが、よりにもよって、この賞のグランプリを今年獲得したのは…
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110225/trd11022505010002-n1.htm

 ま、震災前の段階で決めたことではありますけどね。今見ると悪い冗談にしか見えない。



#8886 
マルクスの恋人 2011/04/06 20:00
愛に国境はない。放射能にもない

ジャッキーが、期待に応えてくれました。

香港で4月1日に開催された、香港スター総出演の東日本震災救援イベント「愛心無国界311燭光晩会」を、総合プロデューサーとして仕掛けてくれました。ジャッキー個人で義捐金300万HKD、制作費にも100万HKD個人の懐から出してくれたとか。

圧巻は、香港スター総出演で、宮沢賢治(岩手出身ですね)の「雨ニモマケズ」に曲をつけてわざわざ日本語で歌ってくれたテーマソングです。
http://www.youtube.com/watch?v=aeKT--u13q8&feature=related
失礼ながら、ジャッキー・チェンとアンディ・ラウ以外は私の知らない人ばかりですが、こういうときには地位の高低や所属事務所に関係なく、当然のように結集して当然のように行動を起こす香港スターたちの精神を心の底から羨ましく思いました。チャリティーってのは西洋人の専売特許じゃないんですね。

翻って、日本のスターたちは何やってるんでしょう? 誰々がいくら義捐金出した、あるいは被災地慰問した、大勢手配して炊き出しに行った、自らトラック運転して避難所に物資届けた、あるいは献血した、とか個人の単発行動は散発的に聞こえてきましたが、芸能人ならもっと芸能人らしい行動をとったっていいじゃありませんか。それに近いことをやろうとしたスキマスイッチを、暴徒だかチートだかいうならず者が偉っっそうに罵倒してやがりましたが、こんな輩がでかい顔でのさばり続ける日本の芸能界の決定的な劣化を見た思いです。てめえはいくら義捐金出してんだよ。年収比で一覧表出してみろ。原発礼賛プロパガンダにも参加してやがって、いくら電事連からふんだくってやがったんだ? そうか、だから原発も電力会社も罵倒しないんだな。あいつは強い者には媚び諂うだけで、反撃手段のない者(求心力の落ちた政治家含む)だけを専門に踏みにじって金儲けして来たヤクザ野郎だからな。

最後になりますが、皆さん。原発に怒りがあるんなら、少しは行動を示しましょう。私は普段から、原発利権に噛んでいる電機会社の製品は家電から乾電池にいたるまで決して買わない(少々高くても他の電機会社の製品にする)ようにしていましたが、いよいよ原発安全プロパガンダでさんざん(特に、反対派を偉っっそうに見下して!)金儲けしてやがった御用文化人どもの犯罪性を追及する時が来たと思います。

みなさん、もし今回の震災でテレビが破損したのなら、いい機会ですよ。これっきり捨てましょう。部屋だけじゃなく、心まで拡がって、財布は逆に窮屈になるんです。ラジオがありゃ充分でしょ。NHKの集金に「俺、テレビ持ってないよ」と言ってやるのは快感ですよ。

長くなりましたので、今回はこのへんで。皆様の明るい明日と、御用文化人どもの悲惨な末路を心から願っています。



#8885 
黒駒 2011/04/01 20:34
ご無事でなによりです。

管理人様、ご無事でなによりです。

今回の震災の公式名称が「東日本大震災」になったとのことですが、主要被災地が東北地方沿岸部でありつつも千葉・茨木も被災地といっていいくらい影響があったようですし、原発事故も相まって首都圏への電力・経済的影響、風評や恐慌など含めて、確かに東日本一帯に影響を及ぼした特異な災害であったと思います。これまでは関東大震災・阪神淡路クラスにしても局所的災害でありましたし、産業・生活の根幹たる電力を突き崩した点が大きいと思いますが、ここまで広域に影響を及ぼした災害は類例が無いでしょうね。

わたしの地域は長周期でゆっくりの揺れで、原発のほうも辛うじて放射性物質が微量に検出される程度ですから蚊帳の外ではあるのですが、まだまだ予断を許さぬ状況のようで、ご不安もあろうかと思います。

戦後原発行政はあまり知りませんが、戦後裏面史的なにおいがぷんぷんとしますね。ここに来てアメリカ、フランスが周旋しているのも核をもつ戦勝国と彼らに管理される戦敗国という関係を想起しますし、私も日本の技術は大したものと思ってはいたものの、こと原子力に関しては違うかもと痛感させられました。自衛隊が活躍してはいるものの右往左往ぎみで、別に日本が核兵器をもつべきとは思いませんが、核兵器や原潜・原子力空母を保持している英米であれば専門の部隊がいて、こういった事態のときに対処できるのだろうなと思いました。

政府が繰り返す「直ちに影響はない」と同じくらい「これからは○○の時代」と核融合だのクリーンエネルギーだのガスタービンだの水素だのと代替エネルギー案も聞いている印象があるのですが、けっきょく今に至るまで原子力に代わる新エネルギーを見いだせていないあたりに、「戦後」や「20世紀」からの連続性を感じます。まだまだそういったことを考える精神的余裕もないですけど、戦後史のみならず20世紀現代史的な観点からも考えられそうな出来事ですね。

私の地元は東京電力の前身たる東京電燈株式会社の経営陣を輩出しておりますが、若尾逸平は明治初期にこれからの時代は「明かりと乗り物」だと言いました。かれらは横浜開港で蓄えた養蚕資本を電力や鉄道、産業につぎ込み、甲州系資本の小林一三は文化事業のほうにも着手して、電力があって産業が成り立ち、ゆとりが生まれ娯楽にも興じられるとう、現代に至る近代社会の基礎を作った連中でありました。

しかし、その基盤たる電力を突き崩されてみるみるうちに産業社会が緩んでいくのを見るとは思いもよりませんでした。テレビやTDLなど娯楽は「自粛」をといいますが、自粛できるうちはまだ余裕があって、電力、産業とピラミッドが崩れていけば、やがて娯楽どころではなくなってきてしまうはずですよね。歴史性も含めて、いろいろなことを考えてしまう出来事でありました。



#8884 
徹夜城(今年も恒例行事はちゃんと果たした管理人) 2011/04/01 13:24
自粛ムードもナンですからね

 どっかの都知事は花見をやめて同胞の痛みを分け合え、とか言っておりましたが、同じ口で「天罰」だのと言うんですからねぇ。というわけで、こちとら自粛することなく毎年の恒例行事を今年も果たしました。
 この恒例行事も今年は自粛する動きが広がっているようですし、へそ曲がりの僕としては断固としてやる、と決めておりました。

 なお「南北朝列伝」の作業もかなり進んでおりまして、ただいま最後の大物「足利義満伝」を作成中。それを含めた「大河太平記関連人物完全版」を近日中に公開できると思います。もちろんその後も大河に関係なく人物は追加してゆく予定です。


>ミッキーさん
 「史点」2連発その他で多忙のため反応が遅れましたが、その津軽・南部ネタは初めて知りました。南北朝時代のあちら方面のネタは最近調べていて多少は知っていたのですが…
 まぁ僕も茨城・千葉近隣で覚えがありますが、そういう近隣の「○○は△△」ってネタはどこでもありますね。日本国内の狭い領域ですらその調子ですから(市町村や地区レベルの場合だってありますし)、なるほど世界中で民族紛争が起こるわけです(汗)。逆にいえば大半は思い込みってことなんですが。



#8883 
ミッキー 2011/03/25 04:41
被災者に支援物資が

支援物資がなかなか届かない大変なことになってますが。物資がたくさんあるのに。とくに岩手は旧南部なので心配です。ナンテ冗談です。私の住んでる八戸は南部藩発祥の地です。ちょっと過激な表現をすると「津軽のホラ吹き、南部の人殺し」などと物騒な伝説?が青森にはあるんです。それぞれの気性を表してるわけで。津軽人は饒舌で思ったことをハッキリ言うが中身がないとか。南部人は寡黙、くちベタで気が弱い、ひたすら忍耐するがプッツンすると過激に走る危険があると。前半は私にも当てはまるかも?これは幕末にあった相馬大作事件から生まれたらしいです。ご存知だと思いますが南部藩士の相馬大作が津軽藩の殿様を暗殺しようとした事件です。私は子供の頃に親父に聞かされた話ですがローカルなもので有名だとは思ってなかったんですがいろいろ調べたら幕末には勤王派の人達に持ち上げられて評価されたとか。なぜですかねー?なんか明治以降も講談や芝居で人気があったようです。不思議です。今で言えば政治テロですが、その影響で明治の廃藩置県で津軽と南部八戸藩が同県になるとまさに皮肉です。それ以降は終戦後まで何十年も対立が続くわけですが。まぁ、今はないですが。ちょっと話が変わりますが戦前まで人気があった曽我兄弟の仇討ちや相馬大作事件は忘れられて忠臣蔵だけが今までも人気があるのは何故でしょうかね?あ、いやヒガミじゃないですよ、誤解しないでください。では、失礼します。



#8882 
徹夜城(ようやく物書きをする気分にもなった管理人) 2011/03/23 23:51
本日ようやくガソリン入れ

 今週ぐらいから関東でも解消しそうだ、と言われていたガソリン不足。なるほど、今日になったら僕の近所ではウソみたいに解消してしまっていました。一週間ばかり車を極力使わず「ガソリンの一滴は血の一滴」などと冗談を飛ばしておりました。もっとも「国難」だとか「集団疎開」だとか、さらには「玉音放送」までありましたし(さすがにこの表現を使ったところはなかったけど)、なんだかある世代には懐かしささえ感じてしまうかもしれません。

以下、まとめてレスさせてください。

>ミッキーさん
 ミッキーさんの書き込みの翌日ぐらいに被災地での「空き巣」増加が全国レベルでも報じられてましたね。三宅島の噴火の時もわざわざ島に渡ってそういうことをする手合いがおりましたし、即座にそういうことを考えて実行する人ってのが一定数いるもののようです。とりあえず気仙沼の信金から4000万円の入った金庫が盗まれた、というのが最高額でしょうか。

>NFさん
 残念ながら風評被害は避けられないもののようで…といって公表しないでいると余計に風評が広がるってこともありますからねぇ。僕のいる茨城なんて県全体で風評被害化しそうな雰囲気(実際、千葉の勤め先でそれに近いこと言われましたし…利根川の向こうすぐだってのに)。宮城の親戚からも原発はそっちに近いだろう、と言われました(苦笑)。
 しかし世界に目を向ければもう日本全体が風評被害状態でして。韓国人の対馬旅行が激減したので高速船を半年停止、ってニュースには苦笑しました。放射能は国境線で止まるとでも思ってるんでしょうか。だいたい対馬なんて韓国に近いぐらいなのに。
 ですが、思い返すと日本人だって他国で何かあるとその調子なんですよね。


>奥野さん
 そうですか、サハリンにいらっしゃるんですね。そういえばロシアのどこぞの新聞のコラムか何かで「この際北方領土を返還しちゃどうだ」なんて意見が出た、なんて報道にちょっとビックリしたんですが。
 その「同胞」の話には僕も暗澹としてしまいます…実際、過去にも日本で凶悪事件が起きるとすぐ「外国人か」と勝手なことを言う人が多かったものです。捕まえてみると日本人だった例も多いのになぜかそういうことはすぐ忘れます。似たような話をすれば凶悪犯罪そのものが増えているという「錯覚」が多いという指摘もありますね。

 なお、予測されていたことではありますが今度の震災ではネット上で善意悪意とりまぜて多くのデマがとびかってます。ただ予測されたことでもあったので熱心な方々がネット上デマの検証・否定の作業を進めておられます。たとえばよくまとまってるブログとして、

震災に関するデマにご注意ください
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/22220316/p1

を紹介しておきます。僕がネット上で見かけたもの、ここで初めて知ったものといろいろありますが、ほんとによくまぁいろいろとあるものです。「外国人が強盗」のデマもここで紹介され、ちゃんとした情報源により否定されてます。
 そこでも書いてますし、僕も改めて思ったのですが「メディアでは報道されていないが実は…」で始まる情報はほぼデマと疑っていいと思います。もちろん報道機関等がすべてを報じてくれるわけではないですが、この手のデマは冷静に考えると報道機関が飛びつかないはずがないセンセーショナルなものが多く、報道されない理由が説明できない。そもそもツイッター等で情報を流した最初の発信源の人はなんで警察やメディアに通報せずにネットに拡散を図るのか?と。

 あと海外における報道もかなりいい加減。僕がよく読んでるこのコラムの今回分が非常に興味深かったです。
http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/world/newsengw-20110322-01.html

 今日の報道によるとアメリカの世論調査で「日本政府は情報を隠している」と思ってる人が79%もいるそうで。その原因の一つに向こうの報道もある気がします。
 そういった海外での報道がフィードバックされて日本人の一部に「真相が隠されている」と考える人がいるようですが(上のコラムでも指摘してるように欧米の報道は正しいと思う人は結構いる)、首都圏に住んでて先日久々に仕事に出た僕からすると、首都圏の日本人、ぜんぜんパニクってないんですな。まぁ今度の水道水では多少ビビるかもしれませんけど…でも案外みんな冷静だなぁと思ってます。それとも天災にあったときに日本人が見せるという「諦観」なんでしょうか。
 ふと「日本人は戦争と天災の区別がついてない」という、とある説を思い出したりして。



#8881 
奥野 2011/03/23 19:38
向こう岸より

こんばんは。

何の因果か、出張先のサハリンで今回の大災害の報に接することとなってしまいました。月末までは帰れず、テレビやネットでニュースを見るだけです。相当やきもきしています。
幸いにも東京の家では被害らしい被害もなかったのですが、今日になってすぐ近所の浄水場で放射性物質が検出されたという話。パニックになる必要はない、と自分に言い聞かせつつも、やはり恐ろしい感触が拭えません。

ただ、地震と津波、原発事故に注目しているのはこちらサハリンも同じことです。多くの人からお見舞いの言葉をかけてもらう一方、放射線の脅威は非常に深刻に受け止められています。日本から来る飛行機や船はチェックの対象になっていますし、輸入品に対する検査も厳重化される見通し。距離が距離なので無理もないことなのでしょうが。
通常、「国境を越える」という言葉は肯定的な意味合いで使われる場合が多いのですが、考えてみれば放射性物質にだって国境はないんだよなあ…などと考えてしまったり。IAEAだとかアメリカやヨーロッパの反応も大切なのでしょうが、「近い外国」に与えているインパクトについても、もうちょっと考えた方がいいのかもしれません。一衣帯水というのは、こういう時に思い起こすべき言葉なんだろうと思います。

あと、「外国人が被災地で略奪事件を起こしている」という噂を聞きつけてきた人がいました。言うまでもなく真偽は全く不明としか言いようがないのですが、僕が驚いたのはその噂に対する「やっぱりそういうことをするのは外国人だよな」「日本人なら絶対にそんな真似はしない」という反応。平気で、というかむしろ嬉しげにそんなことを語る同胞たちを見て暗澹たる気分になりました。いつから我々はこうなってしまったのか、いや、実は関東大震災の頃のメンタリティからほとんど変わっていないのではないか、等々といろいろ考えさせられます。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/6218/


#8880 
NF 2011/03/21 23:37
遅くなりましたが、とりあえず御無事で何より

御無沙汰しております。遅くなりましたが、お見舞い申し上げます。こちら(関西)はこの震災では幸い被害を受けずにすんだのですが、そちらは原発やら農作物から放射性物質やらえらい事になってますね。後々、風評被害が残らないで欲しいものですが…。
(他国との比較はともかく)「略奪がない」云々は、皆『北斗の拳』みたいな状況を念頭においてるんでしょうね、多分。
文明社会の突然な崩壊に加え放射能云々ですから、無意識にしろ連想したとしても不思議ではない気がします。『北斗の拳』は大げさにしても、歴史的非常事態でテレビもそれ一色、時に地震警報が報道される辺り、準戦時体制のようなものを感じたわけで。
まあ「行儀のよさ」に関しては「道徳」が行き届いているという事でそれ自体は胸を張っても良い気はします。もっとも、その裏でミッキー様が仰ったような空き巣といった形で悪行がなされている辺り、「さかしらな道徳は上っ面を糊塗する役にしか立たず、人の内面を考慮しない限り巧妙化・陰湿化するだけだ」という賀茂真淵の言葉が連想されたりもしますが。
 安全なところから好き勝手を申し上げた格好なので、ひょっとすると御不快な事も行ってしまっているかもしれません。その場合は削除していただいて結構です。では、改めて一日も早い復興と犠牲者の方々の冥福をお祈りして締めくくらせていただきます。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8879 
ミッキー 2011/03/19 02:19
略奪がないとか

久しぶりです。いつも拝見してます。歴史の話しじゃないけど。私は青森の八戸在住です。今度の津波の被害のあった場所ですが。三陸地域より被害は少ないのですが数百件程度の被害があります。ところで津波で全壊した家屋と違い床上程度の浸水被害ですんだ家も多いですが夜間の盗難が多くなってます。テレビやゲーム機器など。停電と断水で住人は避難所にいるから。昨日だけで二十件以上とかローカルニュースでやってました。本当に困ったもんですよ。



#8878 
徹夜城(今日も余震に揺らされている管理人) 2011/03/17 23:34
入れ、入れ風呂

>マルクスの恋人さん
 一瞬その元歌がわからなかったのですが、一時期「入れ、入れ風呂、入れ風呂〜♪」の空耳で知られた歌ですね(笑)。水道が止まって二日風呂に入れなかった当方としてはますますそう聞こえます。

 そうですか、いま国外にいらっしゃるんですね。国外だとなおさら日本が危険な状態のように報じられているんじゃないかなぁ(東海村の事故の時、茨城県内への遠足も中止になったりしたのを思い出します)。そりゃまぁ完全に安全だとは申しませんが、関東に住んでる人間の大半は特にあわててない気もします。電車がごちゃごちゃすることには文句も多いようですが、計画停電だって割合素直に受け入れてるようにも見えます。
 略奪行為がない、列に並んでお行儀がよいということについては実際海外でかなり報道されてるようではあります(それを喜んで日本マスコミがとりあげる、という構図はありますけど)。ただ被災地に関しては津波という事情も勘案しないといけないんじゃないかと(インド洋津波の時もどうだったっけ?)。あとは日本人の「他人(身内)の目を気にする体質」が多少影響してる気もします。ま、いい話ばかりではなく震災に便乗した詐欺や泥棒、デマ、その他の犯罪行為もしっかり起こってますけどね。
 略奪こそないけど商品の買い占め行動は起こっていて商品不足(とくにガソリン)は我が近所でもはっきり現れてます。なんか話に聞くところの石油危機の雰囲気に似てるような。

 マルクスの恋人さんもご存じで書いてるんだとは思いますけど、「我が国の人は略奪なんてしない」と持ち上げておいて「津波は天罰」とほざいた奴がその国の首都のトップにいるんですよねぇ。しかも偶然ではありますが震災のその日に突然出馬表明し、対抗馬もすぐに降りちゃって当選はほぼ確実視されている、ってのがなんともはや。まぁそれがまた民度というものなんでしょう。



#8877 
マルクスの恋人 2011/03/16 01:18
♪廃炉、廃炉、しろ、廃炉しろー♪

♪廃炉廃炉しろ、ほっほー♪
「二度と造るなよ」

こういう時だからこそ、少しは笑えるネタを、と思い書き込ませていただきます。
なお、気に障るというのなら徹夜城殿の判断で削除されても異議ありません。

私は現在偶然にも国外にいます。
金曜日はサウジの「怒りの日」に世界の注目が集まっていたところに、あの歴史的大地震です。
アルジャジーラに繋いだら、トップが予想外の話で「何だコリャ?」と思ったら、信じがたい話の連打でさすがの私もパニックを起こしかけました。さらに、原発が爆発と聞いて、もう二度と家族に会えないのかと一度は絶望しかけました。

翌日からスタンドの各新聞は、大衆紙も高級紙もみんなこれ一色。1日目だけは津波が注目されましたが、いまや原発が最大の注目の的です。BBCもCNNもアルジャジーラも! 中東から注目が一気にそれました。それを見計らったかのように、サウジ国家警備隊がバーレーンに進駐したという情報が。リビアでもカダフィ政府軍が戦車とジェット機で総反攻を展開中、装備が劣る反乱軍は退却を重ねているとのこと。

確か去年「最もチャリティに熱心なスター」と呼ばれたレディガガをはじめ、各地の著名スターが早速救援運動に行動を起こしています。華流スターや韓流スターたちも。「ざまあ見ろ天罰だ」的発言をする手合いは、元々誰からも相手にされないゴロツキぐらい。しかも、そんなやつには「何考えてやがる馬鹿野郎!」と非難の大合唱が向かっています。

いやー、民度の高い人たちですね。自国を賛美するためにわざわざ外国を貶めるような、例えば「外国ならこんな時略奪暴行が起こるのにわが国じゃ起こらない。なんて素晴らしいんだ」みたいなことを得意げにほざく恥知らずどもと大違いだ。

最後になりますが、被災された皆さん、そしてとりあえず被災はしなかったが不安に震えている皆さん。世界は決して皆さんを見捨ててはいません。ですから、皆さんが自分で希望を捨てないで!
ジャッキー・チェンが2年前の四川大地震直後に緊急発表したチャリティソングを紹介させていただきます。当日北京にいたジャッキーは、刻々入る被害報道にいたたまれなくなっていたところに、被災者を勇気付けるチャリティソングを作詞した人がいて、それに著名な作曲家が賛同したと聞き、自分に歌わせてくれと志願、3日目の夜には中国全土のラジオ局が一斉に放送していました。ジャッキー本人もありったけの救援物資をかき集めて現地に向かい、重傷者の入院先を慰問して回ったそうです。「すげえ! やっぱりジャッキーはスーパーヒーローだったんだ!」と私は年甲斐もなく感動しました。きっと今回も、ジャッキーは行動を起こしてくれるはずだと私は信じています。
http://www.youtube.com/watch?v=iHddMdgO_BE




#8876 
徹夜城(そろそろ神経が疲れてきた管理人) 2011/03/14 16:38
三日たち

 地震発生から三日が経ちました。宮城県内にいる親戚たちとはようやく連絡がとれ、ひとまずみんな無事の模様。ただライフラインはさんざんなようであります。
 こちら茨城南部在住ですが、水道は一日半ほど止まってました。小学校に設置されていた災害用給水設備で初めて「給水」なるものも体験しました。どうにか昨日の午後から水道は復旧、風呂にも久々に入れましたが、近所のスーパーでは客が殺到していろいろと物資不足も起こっているようです。ガスコンロ・ガスボンベが一気になくなったのは停電を見越してないんでしょうな。
 計画停電も今日から始まりましたが、東電も初めての経験に混乱している模様。結局僕のいるエリアは今日はなし、ってことになったんですが当初は一日で6時間停電って話もありまして。それと交通機関がかなり止まっているため仕事先にも物理的に行けません。もっとも停電の事情がよく分からないので塾としてもしばらく様子見になってしまいますけど。夜に電気止められたらアウトだもんね、この業界は。


>ひでさん
 原発のニュースにはやはり神経をとがらせてしまいますね。なんだかどんどん事態が悪くなっている感もあり…
 他のニュースがまったく流れてこなくなってしまいましたねぇ。リビア情勢もカダフィ側の大攻勢のようですが、対する「国民評議会」側は少なくとも日本におくやみを表明してました。
 そんなこんなで「史点」更新も手につかない状況です。

>tomohiroさん
 そういう人たちについては放置しておけばいいと思うんです。気にしすぎてませんか?こういう事態のときにまでここに繰り返し同じ話題を書き込まれましても…



#8875 
tomohiro 2011/03/14 16:24
聖なる台湾の援助ならばok?

地震の話題
今回の援助は韓国の援助が多かったと聞きます。
反韓・反中主義者たちは
聖なる台湾の援助ならばokだと述べていましたが
私は台湾は信用していません。
台湾の人は日本人は閉鎖的だとか述べていて、
あまり日本人を信用していない人々が多いように思います。
親日国として台湾を崇拝・片思いには余り与したくありません。
誰が正しいとも最近は思えなくなっています。


http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#8874 
ひで 2011/03/12 22:38
一難去ってまた一難

ご無事で何より…、ということを書こうと思ったら、今度は近隣でかなり危険な事故が発生…。ご愁傷様です。スリーマイルとかチェルノブイリとかああいう大惨事にならなければいいのですが。

今回の地震、津波で数多くの犠牲者が出ていますが、家、船、車が次々に流されるところや、農地や住宅地がみるみるうちに濁流に飲み込まれる映像を毎回見ていてトラウマになる人もいるんじゃないかなあ。

と、この地震が起きている間にフランスはリビアの空爆を検討中とか。こちらはこちらで、いったいどうなるんでしょうかね。「世間と違う俺最高」みたいなナルシストなゴミ記事ではなく、まっとうな分析を読みたいです。


http://historia.web.infoseek.co.jp/


#8873 
徹夜城(余震におびえる茨城南部在住の管理人) 2011/03/11 20:10
揺れた、揺れた

 いやぁ、ほんとに揺れました。地震多発地帯で幼少より過ごした僕ですが、生涯最大の揺れだったのは間違いない。震度5ぐらいまでは経験済みなんですが、ありゃ震度6はあったでしょうねぇ。
 たまたま、いつも常駐しているパソコン席から離れている時に地震が来まして、デスクの上にあるプリンターが墜落、そのままいたらかなり危険な場面でした。うっかり近くで横になっていたりしたら、本棚からの本雪崩に巻き込まれていたでしょう。DVDを詰め込んだ棚の一つは見事に倒れてしまい、ただいま我が部屋は本とDVD、CDの洪水状態です。しかしいつまでたっても余震が収まらず、片付けもままならない状態です。
 幸い停電にはなってないんですが、水道が止まってます…

>マルクスの恋人さん
 ずいぶん書かれてしまったので、「史点」のカダフィネタが書きにくくなってしまったような(汗)。もっとも地震の後始末で更新どころではなくなってきてしまいました。

>黄昏特急さん
 情報有難うございます。
 僕も「フォックス」については当然興味を持っておりまして、見に行こうかなと思いつつ、なんですが、ここしばらくは受験産業のほうで忙しくって。



#8872 
黄昏特急 2011/03/11 19:01
映画『太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−』について

太平洋戦争末期のサイパン島での実話をベースにした、大ヒット上映中の話題の戦争映画『太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男』の感想を投稿した、富山県の「黄昏特急」であります。

さて、この映画は、実話をベースにしていますが、一部、史実、ならびに、原作のノンフィクション小説(ドン・ジョーンズ氏の『タッポーチョ 「敵ながら天晴れ」 大場隊の512日』)とは違う部分もあるのですが、クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作を意識した作風になっていて、最近の日本の戦争映画のなかでは、かなり良い出来の映画となっているのではないかと思われます。
つきましては、この映画を本サイトの管理人様がご覧になりましたならば、管理人様の視点から、この映画を論評して下さると幸いでありますが、如何でございましょうか。

合わせて、『歴史映像名画座』のページに、映画『太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−』の追加も、よろしくお願い申し上げます。



#8871 
黄昏特急 2011/03/11 17:52
映画『太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男』を観てきました。

皆様、初めまして。富山県の「黄昏特急」と申すものであります。


さて、2月19日(土)と3月5日(土)に、高岡市のイオンモール高岡内のTOHO CINEMA 高岡で、話題の戦争映画『太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−』(配給:東宝)を観てきました。

この映画は、第二次世界大戦(太平洋戦争)の末期に、圧倒的な兵力を誇る米軍との戦闘により日本軍が全滅(いわゆる「玉砕」)したサイパン島において、生き残った将兵を率いて米軍を相手にゲリラ戦を展開して奮戦するとともに、約200人の民間人を守り抜き、終戦から約4ヵ月後の1945年12月1日に、最終的に生き残った47人の部下とともに、堂々と米軍に投降した、大場栄陸軍大尉の実話を映画化したものです。ちなみに、「フォックス」というのは、この大場大尉に対して米軍将兵が名付けたニックネームのことです。なお、大場大尉役を演じているのは、竹野内豊さんです。

この映画は、サイパン島にて、実際に大場大尉の部隊と戦った米海兵隊の兵士であったドン・ジョーンズ氏のノンフィクション小説が原作で、日米双方の視点・立場から、大場大尉たちの512日間の戦いを描いた作品となっています。ちなみに、アメリカ軍側の主人公であるハーマン・ルイス大尉役を演じるのは、ショーン・マクゴーウァンさんです。

最初は、他の多くの日本軍将兵と同じように、日本軍の最後の組織的総攻撃で玉砕しようと考えていた大場大尉ですが、総攻撃の際に図らずも生き残ったことから、同じように生き残った兵士たちの指揮官となり、無駄死にをせず勝利のために戦うことを決意します。そして、彼らと同じようにタッポーチョ山のジャングルに潜伏した民間人(日本人)たちの集団の居住地が米軍の爆撃を受けて犠牲者が出たのを目撃したため、ただ単に勝利するために戦うのではなく、ジャングルに潜伏している約200人の民間人を米軍から守り抜くために生きて戦うことになりました。その神出鬼没の戦いぶりに、やがて、大場大尉は、米軍から「フォックス」と呼ばれて畏敬されるようになりますが・・・・・・。

この映画は、本当は泣ける映画とは違うかもしれませんが、いくつかのシーンでは、本当に泣けました。特に、タッポーチョ山のジャングルに潜伏している兵士たちや民間人たちに米軍への投降を促すために拡声器を使って「椰子の実」の歌を流すのを、大場大尉たちや民間人たちがジャングルの中で聴いているシーンや、ラスト近くの、上官であるパガン島の天羽馬八陸軍少将からの降伏命令書の文章が読み上げられた後、集まってきた47人の部下たちの前で、「私は、諸君とともに戦えたことを誇りに思う。諸君は、決して恥じる必要はない。堂々と山を下りて、米軍に投降しよう」と決意するシーンなどでは、感動して涙が出てきました。
軍歌「歩兵の本領」を歌いながら隊列を組んでタッポーチョ山を下り、米軍に投降するシーンも素晴らしかったですし、その後の米軍のルイス大尉から「あなた方の戦いは、立派なものでした。最終的に約200人の民間人を守り抜きましたね」と賞賛された時に、「私は、それ以上に大勢の者の命を、この手で奪いました。私は、この島では、決して褒められるようなことをしていません」と返したシーンも、大場大尉を決してヒーローとして描いた作品ではないという面から、とても良かったです。

あと、米軍からのビラで東京が空襲を受けて焼け野原になったということを知らされた大場大尉が、収容所の日本人(捕虜となった兵士や民間人)に会って情報を得るために深夜の収容所に潜入した後、部隊に戻るために収容所から脱出するシーンでは、夜空を見上げると、B29重爆撃機の大編隊が、サイパン島の基地から次々と離陸していくシーンがありましたが、このシーンは、日本本土を空襲するためにB29の大編隊が離陸していくのを見ても、何もすることができない、大場大尉(というか、サイパン島で生き残って戦闘を継続している生き残りの日本軍将兵)たちの無念さが表現されている名シーンではなかったかと思いました。
それから、チョイ役と思っていた井上真央ちゃん(家族を米軍に殺されたため、米軍ばかりでなく、自分たちを守ってくれなかった日本軍をも憎んでいる看護婦役)が、意外と重要な役を担っていたのには、とても驚きました。



#8870 
マルクスの恋人 2011/03/10 18:32
「奴らの強欲には、心底うんざりさせられる」

ロンドン大学経済大学院の学長が辞任したという報道は皆さん記憶しておられるでしょうか。
カダフィ大佐の次男、セイフ氏はここに留学し、博士号(有名人向けの名誉学位じゃなくて正規の)を授与してもらってますが、それがセイフ氏が一時総裁を勤めたカダフィ国際開発基金からの莫大な寄付金の見返りだったんじゃないのという疑惑が浮上したのです。私が注目するのは、仮に留学や学位論文に特に不正がなかったとしても、大学当局や同窓会なんかに「リビアの御曹司」へのコネを作ってオイルマネーを引っ張り込んで金儲けの種にしたい、という下心があったんじゃないのか、という点です。ロンドン大学経済大学院といえば、ハーバードやケンブリッジのと並んで、金融業界へのコネが強そうなとこです。そうそう、投資を受けた企業には、フィナンシャルタイムズの親会社なんてのまで名前が挙がってます。不自然な提灯記事がなかったか確かめる必要がありますね。FTがリビアを絶賛すれば、西側の大企業は事業に参入しやすくなる。少なくとも株主は騙し易くなるでしょう。

資産凍結といったって、まさか「ムアマル・カダフィ」なんて個人名義口座なんかねえだろうと思ったら、どうやら「リビア投資庁」の名義のようです。「え? リビアにもあったの?」と思い、検索してみたら、出るわ出るわ。2年ぐらい前の、リビア投資庁が本格始動した頃の記事が。リビア投資庁は始動が遅かったのでリーマンショックの波をあまり被らず、あれで大損した世界の大銀行がなんとかそこの資金を引っ張り込もうと必死だと。アメリカの銀行口座にある何億ドルというのも、それですね。

もしかしたら、経済制裁解除・国交回復の条件に、どこの銀行にいくら預金するなんて裏取引してたのかも知れない。セイフ氏は各国を精力的に立ち回ったんだそうで、さぞロンドン大学の学閥は役に立ったことでしょう。

近頃は軍服や西洋服などでなく、民族衣装を着ているカダフィ大佐ですが、セイフ氏ら息子たちが常に西洋紳士服で人前に出るように、大佐本人はともかく息子や他の高官たちは実利優先の冷徹なビジネスマンです。セイフ氏はダボス会議でも注目されていたとか。検索すると、来日時のインタビューなんてのまで出るわ出るわ(もちろん、名のある新聞社や雑誌社のサイトなど、出所に一応信頼が置けるサイト限定です)。

そこには、リビアの内政状況、特に近頃急に喚き出した自由だ人権だとかいう姿勢は微塵もありません。そう、今年に入るまで、ムバラク大統領を誰も独裁者呼ばわりしてなかったように。ほんと、気味悪いほど。

なお、ハーバード大学教授が設立したコンサルタント会社とリビアとの癒着が次は注目されており、ジョゼフ・ナイなんて名前さえ挙がっています。ジュリアン・アサンジ氏も言っているように、巨額の収賄だの国富の着服などといった権力経済犯罪が、欧米の金融資本の協力なしでできるわけがないのです。連中は資産凍結だとか抜かして、次は何をするつもりなんでしょうか。リビア投資庁が株主になってるイタリアの企業が、議決権どころか配当受給権まで停止するとか一種の債務踏み倒し宣言してますが、そんなことしてその分の金どうするつもりだ? 

武装した護衛を従えて夜中にヘリで砂漠に降り立つ外交官なんてのが大英帝国には存在するそうですが、どんな権威も恐れずあらゆる国家も民族も超越した大泥棒のほうが実在して欲しいものですな。インターポールが最優先で目の敵にしそうだけど。つくづくそう思います。



#8869 
マルクスの恋人 2011/03/10 17:27
「私はカダフィ大佐だ。テロリストにより石油施設が破壊された」

カダフィ大佐といえば、カーネルサンダースと並ぶ世界3大大佐の筆頭(最後の1人をムスカ大佐やゾル大佐やファンファン大佐が争ってる)として、そしてマイケル・ジャクソンと並んでその奇行で世界を魅了したスーパースターでもあり、私も少なからぬ興味どころか敬意を抱かずにいられない人物でありました。

ゴルゴ13と共演した「河豚の季節」や、ルパン三世Yへの凛々しい登場は、まさしく往年のイメージの反映といえるでしょう。

チュニジアの政変直後に、その彼が「戦々恐々としている」という報道を聞いて、「え? あそこは大丈夫でしょ? 石油の輸出で潤ってるんだから」と思ってたら(実際に、革命は1度は素通りしてエジプトに向かった)、やがてリビアでもデモ、そして警察が発砲、軍隊が寝返って内戦勃発というあまりにも性急な展開に、私自身の洞察力のなさを痛感して恥じ入りつつある毎日です。

確か週刊朝日だったかに、カダフィ大佐と直に会って長時間インタビューした経験者が寄稿していましたが、かつての彼は狂人だの暴君だのいう気配は皆無で、精悍なカリスマ指導者であり、イスラエルに立ち向かうパレスチナの味方だったそうです。その寄稿者はもちろん好印象を抱いていたのですが、やがてブッシュに屈し、どんどん変節して、ついに市民に対してあんな挙に出た姿勢にすっかり幻滅したと。あんなんなら、最後の最後まで誇り高くブッシュに立ち向かったフセイン大統領のほうがよっぽど英雄らしかったと。

そういえば、私だけでしょうか。反乱者をテロリストと決めつけ、近代兵器で武装した大軍で都市を包囲して、爆撃機まで動員して焼夷兵器を市街地に投下し、女子供も病院も救急車も平気で攻撃して威張りかえるその姿勢に、ファルージャを攻撃したブッシュ一味との数え切れない共通点を見るのは。インターポールはあの時何をしてましたか。アサンジ編集長にはあれほど迅速に動いたくせに。そうそう、国際刑事裁判所の設置を「わが国の兵士が政治的理由で訴追される」という理由で執拗に反対し続けてたのがどこの政府か皆さんご存知ですか?

私が今、注目すべきだと思っている点は、リビアの対外資産です。
「カダフィの資産を凍結!」「スイスの銀行口座に何億ドル!」「アメリカの銀行にも何億ドル!」「イギリスの銀行にも!」という連続報道を聞いて「え? そんなものあったの!?」と驚いた人は多かったのではないでしょうか。恥ずかしながら私もその1人でした。いろいろ調べてみると、恐ろしく醜悪な癒着構造が見えてきました。

長くなりましたので、次に回します。



#8868 
徹夜城(また雪の日に出勤しなくちゃいけない管理人) 2011/03/07 12:58
カダフィ、カダフィと陣取り合戦

 そんなスポーツがインドにあったような(笑)

>民本主義者さん
 ご紹介のブログ、読みました。まぁカダフィさんが変人で妙な言動が多いことは承知でしたけど、こちら方面でもそうなんだなぁ、と。そのブログでも触れてますが欧米が彼をイスラム原理主義者みたいに扱ったのも曲解なんですよね。最近は妙に愛想がよくなっていて欧米諸国のウケがよかったのですけど、今度の事態でまた手のひらを返すように(笑)。
 そんなこんなの話題を次回「史点」用に用意しているのですけど、なんだか長期戦の様相を呈してまいりましたので、「革命待ち」せずに明日あたりにもアップしておこうかな、と(他の話題が古びてきてしまいまして)。

>NHKの番組2題
 昨日で全4回の放送が終わりました「日本人はなぜ戦争に向かったのか」。第3回が当時のマスメディアの大衆・軍部迎合と扇動の問題、そして昨日の第4回が開戦直前の指導者たちのセクショナリズムのムラ社会日本らしい優柔不断状態がとりあげられてました。
 それぞれよくまとまってますし、なかなか面白く見たんですけど、時間の都合もあってかややツッコミが足りない気もしましたね。総じて戦争突入がこれまでよく言われていたような「軍部や一部の人間の暴走」だけでは説明がつかない、という点を強調しているのは大いに買うのですけど。
 マスコミの戦争煽り報道の回については、満州事変の直後の「爆弾三勇士」狂騒曲なんかがいい素材になったと思うんです。あれは軍部主導ではなくまさに大衆迎合のマスコミによる煽りでしたから。そしてそれに乗ってしまう大衆の側もそれを望んでるんですよね、怖いことに。あとは五・一五事件の時の犯人同情論の盛り上がりとか。
 昨日の指導者の問題の回では「指導者たちが国民には受けないが勇気ある決断をすれば…」ってことになっちゃうのですけど、証言者の一人が「首相が三、四人死んでもいいという気でやれば」みたいな発言をしていたように、その決断をするとマジで殺された可能性も高い。昨日の番組は指導者層や冷静に「戦争やったら勝てない」と考える人々を中心にまとめてましたが、実のところ軍部の中間層や国民の一部強硬派の突き上げは相当なものがあったはず。それと太平洋戦争開戦ばかりに注目がいっちゃいますけどそもそも日中戦争泥沼化の状態にしたのが間違いだったわけで。
 ま、いろいろ言いつつもこういうテーマで地味に番組作れるのもNHKならではです。ただ開戦70周年というテーマでやるなら戦争を連想する8月か開戦の12月にでも放送したほうがよかったんじゃないかなぁ(たぶん夏に再放送すると思いますが)。

 一方、先週から教育テレビの「歴史は眠らない」で「海がつなぐニッポン」が始まりました。先週の第一回は対馬の倭寇問題で、僕の専攻を直撃。村井章介先生出ずっぱりでした。とくに目新しい話は出ませんでしたが、初めて知る方には結構驚きの内容かも。「太平記」「琉球の風」の映像があちこち使いまわされておりました(笑)。
 明日の次回は村上水軍がテーマとなるそうです。



#8867 
民本主義者 2011/03/06 17:43
知られざるカダフィ

ニュースな史点でカダフィを扱うなら、これを参考にしてくれると幸甚に存じます。

http://52133480.at.webry.info/201103/article_2.html

カダフィのイスラム教解釈が無茶苦茶だというのは、あんまり知られてない事実なので。



#8866 
mozawa 2011/02/26 19:26
老けメイクと現実の老け方

渡辺謙氏もかつての朝ドラ「はね駒」で中年を演じたときのメイクが現在とそっくりで、驚いたことがあります。額の後退具合がぴったりでした(笑)。

人事を尽くして天命を待つ・・そうですよね。あとは本人次第ですし。
私は塾講を辞めてしまったのでイマイチ実感はないのですが、昨年まで教えていた子たちには桜サクとなればよいなと思ってます。



#8865 
徹夜城(数か月ぶりに東京さ行ってきた管理人) 2011/02/26 00:28
先日は柴田勝家が出ていたそうで。

>mozawaさん
 どうも、お久しぶりです。
 実はもう「人事を尽くして天命を待つ」状態でありまして、今日は久々に完全オフ、東京まで行っていろいろ書籍(新刊古本ごたまぜ)を買い込んできました。
 南北朝にからむ本としては細川重男「鎌倉幕府の滅亡」(歴史文化ライブラリー)がありました。
 ああ、あとみなもと太郎「風雲児たち外伝」単行本が出ていたことに気づいて、あわてて購入。幕末ではなくそのルーツの戦国武将ネタを集めた一冊で、なかなか面白く読みながら帰ってきました。

 スタジオパークはいつもノーチェックで見逃すんですよねぇ。ちょっと前に藤村志保さんが出たときは「太平記」裏話盛りだくさんだったそうで悔しい思いをしたものです。
 つい先日は「江」で柴田勝家をやっている大地康雄さんが出演され、「太平記」の映像もちょっと紹介されたとか(ネット上で知りました)。ただし話題になっていたのは「太平記」のすぐ前に「病院にいこう」で真田広之さんと共演していたということだったそうです。
 常盤貴子さんの「太平記」ネタは以前にもスタジオパークでやったはずで、大河ドラマ史上最大ともいえる「お宝映像」…というか、「下剋上」の実例になっているわけですな(笑)。もっとも単なる「侍女」のくせにクレジット表示の扱いはいいんで(セリフがある回はともかく最終回はセリフもない)、あるいはすでに有望株だったのか。
 「太平記」終盤の真田広之の老けメイクは、ちょうど現在の真田さんとぴったり合ってまして、メイクってすごいなぁ、と変な関心をする今日この頃です。


>史点はまた「革命待ち」
 リビア情勢を待っております…が、どうも待ち切れずに書いちゃうことになりそうですね。



#8864 
mozawa 2011/02/25 18:48
常盤貴子の太平記映像

お久しぶりです。ご無沙汰しておりました。
管理人様は県立校受験直前でお忙しいところでしょうか?

さて、本日のNHKスタジオパークのゲストが常盤貴子さんで、件の太平記ワンシーン出演映像が披露されてました。でも、全然オーラが無いから言われないと本当に分からないんですよね。映像中に矢印が挿入されてたくらい(笑)
それより、薪を割る真田さんの老け演技に見入ってしまいました。



#8863 
徹夜城(ガクジツ的な本を読みこんで少々疲れた管理人) 2011/02/18 00:00
観阿弥と正成の…

 このところ南北朝人物が続いて取り上げられているマンガ日本史ですが、最新号は「観阿弥・世阿弥」です。その作者が「ゆづか正成(まさなり)」であるのにはちょっと「例の説」を連想して苦笑してしまったのですが、実はこの号の欄外豆知識に「観阿弥・楠木正成親戚説」が紹介されています。ただし「近年では偽物とする説が一般的です」となってますが。

 実は最近ネット上で存在を知りまして、読んだ本が二冊あります。

梅原猛「うつぼ舟II観阿弥と正成」(2009)
表章「昭和の創作『伊賀観世系譜』梅原猛の挑発に応えて」(2010)

 の二冊です。前者は例の「上島文書」の示唆する「観阿弥は正成の甥説」を真実と評価し、観阿弥を伊賀出身と強く主張して、その見解を完全否定する能楽史研究者を「観阿弥の故郷を奪うな!故郷を奪うのは殺人にひとしい」とまでこきおろし、「八十を過ぎた老人同士の命をかけた戦い」とまで言って挑発する内容でして、表氏の本はその挑発に激怒して徹底反撃した一冊。命をかけるというのは本当だったようで、この本出版直後に表氏は亡くなられてします。

 で、二冊を読み比べてみた感想ですが、正直表氏のほうに軍配をあげたい気がします。
 「上島文書」は江戸時代後期の書写とされる文書なのでもともと一級資料ではないのですが、その内容が江戸時代には知りえないはずの能楽史ルーツに関わるものであったために「ある程度確度の高い伝承をもとにしている」との見解があったわけです。ですが表氏をはじめ能楽史研究者は「これは能楽史の秘伝書が一般向けに刊行された明治以後の贋作」とみなしており、本書ではさらに突っ込んで「昭和20年代以降の作」とまで言い切ります。梅原氏が基本的に「フィーリング」な主張をしているのに対して表氏はあくまで史料の批判的解読にもとづくものなので、読んでみた限りでは表氏のほうが説得力があるんですね。
 ただ、表氏は「日本史学会は完全に認めていない」と胸を張ってるんですけど、僕の知る限りでも二、三人ほど日本中世史研究者でこの史料に好意的評価をしてる人がいたはず。他にも何点か表氏が日本中世史研究者とまるっきり連絡をとってないんじゃないかと思わせるところがあり、アカデミズム業界の「縦割り」ぶりを感じたりもします。
 観阿弥と正成が伯父・甥かどうかはともかく、正成や悪党研究者からは楠木氏と伊賀の関係を予想する声はあるんですよね。大河ドラマでもやってましたが、楠木正成が最初に挙兵した時、足利高氏が率いる幕府軍の一隊はなぜか一見関係のない伊賀へ侵攻しています。他にもいくつか傍証と言えそうな史料もありまして、それもあって正成研究者はこの史料に割と好意的なんです。

 表氏の本ですべて決着か…というと、まだちょっと全面否定するにはひっかかりもあるんですよね。解決するには上島家が所蔵文書を全部公開し、それを再調査するしかないんですが、なぜか昭和40年代以降上島家は公開を拒絶しています(最後に直接見たのがあの平泉澄だったりする…)。これでは「偽物とばれるのを恐れている」と言われてもしょうがない。


>NFさん
 いやぁ、またまたいろんなネタを…ちょうど正成関係のことを書こうとしたら、それが北斗の拳ワールドにつながっていくとは(笑)。
 「やる夫」ネタの中で触れている「後藤久美子が北畠顕家をやった」という話ですけど、改めて考えてみるとずいぶん無茶を、というか「遊び」をやったなぁと思いますね。近年の大河に比べて昔は…なんて「太平記」も古典並みに扱われちゃう今日ですけど、当時の感覚ではかなりトレンディな人やアイドルを集めてお遊び要素もあるドラマなんですよね。実際「太平記」ではないですけど、その次の大河が「学芸会」扱いされてたの覚えてますもん。


>黒駒さん
高師直のクーデターは参考になりますかどうか…あれって、大河ドラマ「太平記」でもそうなってたんですけど、直義を失脚させるために尊氏と師直が示し合わせた「自作自演クーデター」という見方が当時から強いんですよ。



#8862 
NF 2011/02/15 23:04
南北朝関連と言えなくもないあれこれ

 楠木氏の先祖・子孫に関する興味深い新説らしきものが。
http://raoh.info/diary/archives/285.html

 話変わって、南北朝漫画関連について。古本屋で小学館の『人物日本の歴史』シリーズの『悪党の活躍』を発見したのですが、子供向けとは思えないほどの内容の濃さですね。黒田荘や太良荘を中心にしているところからして渋いですが、『峰相記』にある悪党略史やら御内人に使われ不満な御家人、守護の追討使と悪党がグルなところ、戦場を出入りして使者を弔う時宗僧…。本当に盛りだくさんです。感心すると同時に、子供には面白くなかったろうなあとも痛感してしまいましたが(ドラえもんシリーズとして再び人物日本の歴史が登場した際にこの巻はなかったようなので)。
 そういえば、『ヤングキングアワーズ』3月号を見ると『朝霧の巫女』最新巻は湊川編だとか。これも南北朝漫画に入るのでしょうか?…「ショタな正季」はまだ大人しいほうかもです。

 再び話変わって、歴史ドラマといえば、ネット上でアマチュアが行うものも侮れないようで。以前、アニメキャラのアイコンを用いた「歴史劇」のサイトがここで話題になった事がありましたが…。現在の動向について言えば、「やる夫」というキャラクターを中心にアニメ・漫画等を含めた様々なキャラクターのAAを用いてストーリーを組み立てるのが数年前から流行っているようで、歴史ものも多数あります。「やる夫」主演で様々なキャラクターが「俳優」として歴史人物を演じる(なので人を選ぶ面は否定できません)大河ドラマ形式と言えなくもありません。(主にアニメ、漫画由来の)美少女キャラクターが男性人物を演じる事も多々ありますが、『太平記』で後藤久美子が北畠顕家を演じたようなものと大目に見てもらえればありがたいところ。アニメキャラ等が原形のキャラを用いている関係上、時代考証はいかんともしがたいですが、時代背景の考察は下手な時代物ドラマよりしっかりしているものもちらほら。ただ、いずれもかなり量が膨大なのが難点ですが。

評価の高いものの例として

ヒトラー
http://snudge.blog38.fc2.com/blog-entry-182.html

後漢光武帝
http://yaruokansatu.blog44.fc2.com/blog-category-54.html

徳川家康
http://yaruomatome.blog10.fc2.com/blog-category-9.html

あたりが上げられます。
 ただ、残念なお知らせが一つありまして、「やる夫」シリーズでも南北朝は鬼門らしいです。足利尊氏・楠木正成・佐々木道誉を主人公にしたものがあったこともあったのですが未完のまま長らく更新されていないようです。
 個人的な一番のお気に入りかつお勧めはこちら。

鎌倉幕府成立
http://oyoguyaruo.blog72.fc2.com/blog-category-23.html

足利義兼・義氏父子を主人公に頼朝挙兵から鎌倉時代前期まで。作者が元来は南北朝好きとのことですが、既にやられていたのと足利家の行動原理を歴史的に探ってみたいという動機から鎌倉幕府成立まで遡っただとか。そのせいか、早くから「140年後」を見据えた伏線も多々あって南北朝ファンにもうれしい一品です(足利家に欠かせない「あの文書」が早くからちょろっとだけ出てたり、「ある人物」の先祖である可能性があるというだけのチョイ役の人物に大物キャラをあてたり)。終盤に入り、伏線回収にかかって「プレ南北朝」な性格を更に強めてきた感があってなおさらうれしい限り。『太平記』成立後に『前太平記』という書物が出来たそうですが、これはたとえるなら足利氏中心なので『前梅松論』といったところでしょうか。
 因みにこの作品を通じて知ったのは、尊氏より先祖である義兼の方が生涯に軍勢を率いて移動した距離では長いこと。平家との戦いでは範頼の副将格として中国地方を下って壇ノ浦までいき一時は九州に上陸していたりします。そして奥州藤原氏攻めでは実質上の総司令官として活動し、後に残党が挙兵した際には奥州各地を駆け回って追尾しているとか。南北朝の武将達の大規模移動もさることながら、源平期の人々も負けてませんねえ。思えば義経、義仲などの軍勢移動距離も相当なものでしたから。

 …適当に書き散らしただけの内容ですみません。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8861 
黒駒 2011/02/15 00:15
本能寺と高師直クーデター事件

江の本能寺は、変の後に森蘭丸が信長が実は光秀を目にかけているという真意を伝えるという「創作」でしたね。信長は光秀を実は目にかけていて、光秀も信長を討ってしまったことを悔い、江も光秀を赦すという、なんだかこの女性脚本家さんは登場人物に優しいなぁと思ってしまいました。

ところで、私は信長まわりはよく知らないものですから、そもそも光秀は本当に信長を討とうとしたのだろうか?と考えてしまいました。本能寺は近年黒幕説が囁かれますが、わたしもあれは明らかな政変でしょうから、光秀個人の心情に理由を求めるより、なにかしかの政治的背景を考えるほうが自然であろうと思っていたのですが、そういえばもうひとつ、近年の戦国時代史研究で取次論の研究があります。

甲斐武田氏でも、信玄後期から勝頼の頃になると領国がすっかり拡大してしまったものですから、譜代家臣は城代として領域各地に赴任してしまい、当主側近に人が居なくなるという事態が起きてきました。そうなると譜代子弟の新興側近が力をもって、武田家では『甲陽軍鑑』において否定的に描かれる跡部勝資であるとか、文書上からも朱印状奉者を独占的に務めている新興側近層の存在が浮かび上がってきます。『甲陽軍鑑』といえば個別の逸話類は信用ならんの評価ですが、あの中で描かれている新興側近(出頭人)と譜代宿老の対立構造は、たしかに武田家の中にあったのでは?という考え方も出されています。

これは、戦国大名を経て織田政権・豊臣政権・江戸幕府と中世から近世に至る武家政権の構造としてあるのでしょうね。江戸幕府では側用人政治になりますし、豊臣政権では石田三成がまさにそれ、織田政権では森蘭丸なのでしょう。ですから、江が森蘭丸と光秀の交流を描いていたものですから、そんなことを連想してしまいました。

そこでさらに連想するのが『太平記』。そういえば観応の擾乱で高師直が尊氏邸を包囲するクーデター事件という類例(?)をみつけました。私も高師直クーデター事件ってどんな経緯だっけと記憶が曖昧なくらいですから考察は管理人様にお任せしてしまいますが(笑)、武家の当主側近層の権力基盤と親族・譜代家臣との関係と高師直クーデターや本能寺のような事件というのは、同一フレームで考えられる構造ではないでしょうか?

ふと、思いついたままに書いてしまいました。



#8860 
りくにす 2011/02/14 20:51
逃がした魚を数える・・・・・

管理人様こんばんは。人気しだいではチョン・ヤギョンの活躍がもう少し見られたかもしれなかったとは。韓国のテレビ界も大変ですね。
「イ・サン」はむりやりのハッピーエンドでしたね。チェ・ジェゴン(初登場がすごく老けていた気が)の死やパク・チェガのその後とか、キリスト教禁止の話も出ませんでしたし。(あちらのクリスチャンは位牌を焼いたりと、やることが徹底してて過激)都合の悪いことを隠すのは日本の大河ドラマと同じですね。
壮勇営を探していたら、こんなページを見つけました。「真実の正祖」

http://rekijonoblog.seesaa.net/article/126708022.html

彼は当時の常識であれば武力を背景にした「独裁者」なんですね。あと20年生きていればアジア初の絶対君主になるんでしょうか。それでもついて行くんでしょうか。現代韓国のみなさんは。

さて、ゆうべの大河ドラマで、江が明智光秀に会いに行くというとんでもない展開に。「突撃!戦国リポーター江」我々に代わって謀反人にインタビュー、という趣でしょうか。動機は?黒幕は?
光秀は「自分でも分からない」風な答えをしています。現実世界の無神経なレポーターを見るようですが、光秀的にみんなが納得する答えができるのか。
仮に誰か黒幕がいるとしても話すわけないですし。
次回はいよいよ母親が再婚するらしいです。「戦国リポーター」は今後も続くのでしょうか。

話は変わりますが、最近戊辰戦争中の会津・庄内両藩がプロシアと外交交渉していた事を示す資料が見つかりました。幕府に与えられていた北海道の領地を売って、武器を購入するというものです。

http://www.asahi.com/culture/update/0205/TKY201102050167_01.html
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201102070075.html

この「売国的行為」は米沢藩の早すぎる降伏に絶対関係あると私は勝手に思っておりますが、この辺の事情を書いた本を知らないので、あくまで推測です。「ロシア」と「プロシア」を間違えた、といった小学生並みの早とちりだったらどうしよう。
戊辰戦争では「わが春」は来ないものらしい。



#8859 
徹夜城(また一本韓国紙ドラマを見終えて一息つく管理人) 2011/02/14 11:04
イ・サンも終わりました

>りくにすさん
 「イ・サン」とうとう昨日で終わりましたね。第一回から一年半ぐらいかかったんでしたっけ?実は僕は第一回から十数回まではまじめに見てたんですが、途中かなりさぼったんです。どうもノれなかったといいますか…正祖が即位に至る権力抗争あたりからまじめに見ていました。
 この正祖の時代というのは人気があるようで…正祖の「改革」が進んでいれば朝鮮は「近代化」したかもしれない、という心理が影響してる気もするんですよね。そのため正祖の急死を「暗殺」と見る声も多く、過去にもそうしたテーマのドラマや映画が作られてます(僕が見たものでは「永遠なる帝国」。直接的ではないが暗示していた)。今回のドラマは作りがNHKごのみにまじめなせいか(笑)、暗殺説にはちっとも触れませんでした。
 ドラマ前半の重要人物であるホン=グギョン(洪国栄)が主人公の「王道」というドラマも存在します。以前BS日テレで放送していたのを録画して半分ぐらいまで見てるんですが、あたりまえだけど「イ・サン」前半と同じ話も多く出てきます。ただこちらは製作時期が古いようで(90年代初頭かな?)フィルム撮影とビデオ撮影が混在し、主演のキム=ヨンチョル(「太祖王建」弓裔、「世宗大王」の太宗など重鎮役多し)が若い若い。
 「イ・サン」はどうもラスト5回ぐらいがえらく慌ただしくて…聞くところによると韓国の歴史ドラマは人気の様子を見てストーリーどころか回数そのものが大きく変化するようで、そのためにラストがやや構想倒れになることが多い気がします。最終回だっていきなり王子が出てきて、え?いつ生まれたの?と(笑)。

 それにしても「イ・サン」のタイトル、主演の「イ・ソジン」、ヒロインの「ハン・ジミン」と続くオープニングは、なんだか日本語ダジャレ連発みたいで面白かった(笑)。


>黒駒さん
 佐竹氏が転封に際して領内の美女を全部連れてっちゃったから「秋田美人」が発生し、水戸周辺は……なんてな俗説もございますね(笑)。
 クニマスの話は矢口高雄さんの「平成版釣りキチ三平」で取り上げていたので事前に事情は知ってました。こうして実際に出てくるとますます感慨深いものが。

 NHK公式の大河50周年のムックは確かに豪華ではありましたが、パラパラと見た限り僕にはもう一つの中身で…ま、僕の好みや関心がマイナー方向に行きすぎるのであって、一般的商売としてはあれでいいんでしょうけどね。
 それにしても「江」は強引に主人公が歴史的大事件に絡み続けるというかなりの無茶をやってますなぁ。主人公が幼少期だからそうでもしないと、ってことなんだろうけど。女性主人公にするとどうもこの手のことが起こりやすい。
 南北朝なら阿野廉子という素晴らしい素材があるのですけどねぇ(笑)。もう自ら積極的に歴史的事件に飛び込んでいく女ですから。後醍醐ともども隠岐や吉野までつきあいますし、最後には実質的に南朝の女帝です。実は彼の兄が幕府滅亡直前まで鎌倉にいて脱出したという史実もあるそうで、「スパイをしてたんじゃないのか」という歴史家の指摘もあり、実は廉子の存在は見かけ以上のものがあったかもしれないんです。



#8858 
りくにす 2011/02/12 17:06
NHK・BSのイ・サンが終わってしまう・・・・・・

とうとう最終回ですね。面白かったのですが、長かったのか短かったのか。
最近、仮に、の話ですが、「ホン・グギョンが世子にしようとした完豊君(ワンプングン)を認めて、サンが理想とする跡継ぎにできていたら歴史はどうなったろう」と、妄想を膨らませてばかりおります。(外戚としてのホン・グギョンがうるさすぎるというなら同年代の他の王族でも可)実子による相続を待ってなんかいられません。どうせ独裁者だと言われるんだからとことんやるべきじゃなかったのか。

ドラマの方に戻りますと「チャングム」に比べてコミカルなシーンに絡んでくる庶民キャラの設定に無理が多くなったと思います。内官のおじさんはあんなに簡単に復職できていいのか?図画署にはあんなに女性がいるものなのか?何で道端にコスモスが揺れているのか?気にするのは野暮だと分かってますけどね。
関連の特別番組があるみたいですが、さみしくなりますね。



#8857 
黒駒 2011/02/10 13:46
クニマスが結ぶ縁

秋田県田沢湖で絶滅していたと考えられていた国ますが昨年、山梨県の西湖で移入個体群が生き残っていたというニュースですが、なんだか甲斐と佐竹という点で縁を感じてしまいます。佐竹といえば管理人様のお膝元ですが、佐竹と甲斐武田は新羅三郎義光の系統の同族ですね。江戸時代には秋田へ転封されていますが、これは新羅三郎義光が後三年の役で東北平定をしている歴史的由緒があるからでしょうか。武田も存続していたら、おたくも遠祖の地にお移りなされよと東北転封になっていたかもしれませんね。

クニマスは江戸時代の佐竹藩主家の日記にもちらほら出てくるようで、藩主への献上品や贈答品として用いられていたようです。西湖に放流されたのも、もしかしたら佐竹と武田の義光流源氏の縁を考えていたのかもしれません。

武田勝頼は滅亡ぎりぎりの段階で佐竹と同盟してますし、意外と縁のあるものだなぁと思います。

>太平記20周年
そういえばamazonで大河ドラマ50周年の記念ムックがレコメンドされていました。何か目新しい情報はあるのでしょうか。大河ドラマも歴史を扱っているだけではなく、その時代その時代の歴史観であるとか、時代そのものを象徴していたりもするのでしょうね。

これだけ連年のように女性主人公になってきたのも時代だなぁと思いまし、まだ宮沢りえの時代にはいくらなんでも彼女が主演の大河はありえなかったのではないでしょうか。江は、のだめを踏襲した「あほ」とか「天然」のような類型をやりたいのかなぁって思いますし、女性主人公はこれまで聡明とか気丈とかの類型でしょうから、新たなる1ページではあるのでしょうね。



#8856 
徹夜城(また南北朝列伝の作業を始めた管理人) 2011/02/09 23:15
いま私たちは激動の時代を生きている…

↑大河「太平記」第一回のオープニングは、このナレーションとともに「ベルリンの壁崩壊」の映像がかぶせられていました。奥野さんもおっしゃる通り、この年の暮れにソ連が解体されるのですよね。
 その年末に公開された怪獣映画「ゴジラVSキングギドラ」で、23世紀の未来人が自分の時代にある国家として「ソビエト」という言葉を口にしており、公開直後にそのソ連がなくなっちゃうというSFも予想できない展開になっちゃったのでした(笑)。
 もっともその後のロシアが現在のようになると予想した人だってほとんどいないでしょうな。


>奥野さん
というわけで、改めてお久しぶりでございます。こちらもそちらにはかなりご無沙汰しておりまして…
 20年後の宮沢りえ。確かに当時は想像もできませんでしたが、すったもんだがあった末にまた大河で堂々と十代の役で出ております(爆)。いわゆる「淀どの」になってからが見どころかもしれませんね。

 確かに近頃は検索かけて調べごとをしていてもウェブサイトはブログ形式ばかりで、僕のところのようなHPってスタイルはクラシックになってますね。ただ僕は随時の情報発信よりもデータベース化されたものを提供したいというスタンスなんで、こういう形式のほうが向いてると思うんですよ。もっとも今にして思えば「史点」なんてブログなるものが出現する以前からあったブログもどきのものでした。


>マンガ日本史
 「楠木正成」に続き、今度は「吉田兼好」です。テーマがページ数にちょうどあったというべきか、なかなか上手くまとまってます。大いに笑って、不覚にも感動しちゃいましたよ。ちと兼好が漫画的にカッコよすぎますけど、徒然草のエッセンスをうまいことまとめたもんだと思います。
 時期的には鎌倉末期の段階でとめてまして南北朝時代には入ってないのですが、「帝が謀反を起こす世の中」と後醍醐天皇に触れる発言は出てきます。
 このマンガシリーズで「後醍醐天皇」を扱ったらどういう風になっちゃうんだろう。



#8855 
奥野 2011/02/09 21:50
Двадцать лет без...

大変ご無沙汰しております。いつも読ませていただいてはおりますが、書き込むのは数年ぶりとなってしまいました。
管理人様もご多忙な中、精力的にサイト更新を続けられているようで何よりです。前にも同じことを書いたような気がしますが、全般的にブログやツイッターへ客が流れがちな昨今、こちらのように「クラシックな」作りのサイトと掲示板を見ると何故かホッとしてしまいます。勿論、ブログやツイッターが悪いというわけではないのですけれども。

しかし、「太平記」放映から20年ですか…月並みな言い方ですが、道理で僕も年を取るわけです。あの当時は、宮沢りえが20年後にちょっと老け込んだ姿で茶々に化けている姿など想像もできませんでした。というか、20年後の宮沢りえなんて空想上の生物にしか思えなかったですね。もう一度「太平記」が見たくなりました。

ちなみに20年といえば、今年はソ連崩壊から20年目の年でもあります。リア・ノーヴォスチ通信などでは「ソヴィエトのない20年」などという特集を組んでいたりしてなかなか面白いです。エリツィンもガイダルもチェルノムィルジンもいなくなり、そろそろポスト・ソヴィエトの群像も歴史の範疇に入りつつあるような感じですかね。
しかし、「太平記」放映とソ連の消滅って、実は同じ年の出来事だったのか…そう考えると改めて感慨深いような。


http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/6218/


#8854 
徹夜城(お仕事がシーズン大詰めの管理人) 2011/02/08 21:47
20年

>ぴこにゃんさん
 どうも、はじめまして。ちと多忙でして、レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
 言われてみて気付きましたが、「太平記」放送からもう20年目になるんですねぇ…「太平記大全」を最初にアップしてからぼちぼち10年経つってことですか。ひえぇぇ。
 20年目だからかどうか知りませんが、つい先日スタジオパークに藤村志保さんが出演された時には「太平記」の裏エピソードがいろいろと語られた、との情報を聞いております。ドラマ中で清子が尊氏に渡す地蔵像は藤村さんが個人的に作ってもらった物で、ご本人の提案で劇中で実際に尊氏役の真田さんに渡すことになったんだとか。それがドラマの小道具として使われ、直冬の手にまで渡ることになっちゃったみたいですね。
 スタジオパークは大河マニアには要チェックの番組で裏話が明かされるケースが結構多い。佐々木道誉役の陣内孝則さんが道誉が楠木正儀に屋敷を明け渡す際にもてなしの用意をしておいたというエピソードをいたく気に入っていた、という逸話もここで明かされたものだそうです。と言いつつ僕はちっともこの番組をチェックしていないのでネット上で間接的に聞いてるだけなんですが。

 先日BSで大河50年番組をやったら「太平記」がなんと人気投票で7位につけた、との話も聞いてます(これも見てなかったんだよな)。マイナーな時代を扱ってますし見た絶対数も少ないはずですが、見るとハマっちゃう人が多いんだろうな、と推測しております。こちらの「太平記大全」を見て感想送ってくれる方もみんな熱いですからねぇ。
 いつの間にやら中国語訳が作られていて(さすがにドラマ本編の部分だけでしたが)、台湾・中国でもそれを参考にあのドラマを見ている方が結構いるようでして。僕も思うんですが、南北朝時代って日本人よりあちらの感性にウケるんじゃなかろうか、と。

 「太平記出演組」の大河出演は「秀吉」でもかぶりが多いんですが、今年の「江」もなにげに多いですね。大地康雄さんの大河出演はかなり珍しいのでは。今回も宮沢りえとの絡みが多いというおまけもあります(笑)。
 トヨエツさんは「太平記」で一回限りのチョイ役であるのは確かですけど、その割にオープニング表示の扱いはいいんですよね。すでに注目株だったということなんでしょう。このあと「炎立つ」で悪役まわりではありますがメインキャストに昇格してます。

 …それにしても南北朝時代が再び大河になる機会はいつ来ることやら。なんとなくですが、「正成」の可能性がかなり高いんじゃないかとこのところの動きで思ってるんですが、数年当たってません(笑)。
 佐々木道誉だって「元祖バサラ」ということで十分話題性もあるのになぁ、と思ってるんですが今年の「江」で滋賀県ネタをやってしまったために当分遠のいた形です。


>大聖堂
 BShiで放映したイギリス中世ドラマ「大聖堂」の第一回を見ました。
 う〜〜〜〜ん、原作がどうなってるのか知らんけど、話がえらくスピーディー。というか、ポンポンとやたらに場面と時間を飛ぶので落ち着かない。登場人物も多くて関係が入り乱れているので誰が誰やらという感じで第一回が終わってしまった。知ってる俳優さんもドナルド=サザーラントしかいないし(しかしこの人も外見はかわんないな)。
 時代はヘンリー1世のあとの後継者争いの時代「無政府時代」を背景にしてます。と書きつつ、僕もこのドラマで初めて知ったという体たらくですが。そんな時代を舞台に大聖堂を作ろうとする人たちの話…ってことでいいのかな。実在キャラ、架空キャラが半々ぐらいの群像ドラマですね。



#8853 
ぴこにゃん 2011/02/05 23:33
2/2のヒストリア観ました

>徹夜城様
はじめまして。ぴこにゃんと言います。
中1時にリアルタイムで観た大河ドラマ「太平記」にはまってから南北朝時代に興味を持っていて(歳がバレバレですが)、こちらのサイトも度々拝見させていただいてます。

2日のヒストリア、僕も観ました。特に番組内で紹介されていた隠岐配流と還御時の
エピソード、個人的には初見だったので「へぇ〜」の連続でした。
でも各地に皇子を派遣したエピソードのところは一見すると、義良親王も死んでしまったの?と視聴者が錯覚してしまうような印象を受けましたが(^^;

1月に藤原頼長が取り上げられたときは、来年の大河のプレ番宣かなと思うのですが、今回後醍醐帝を取り上げたのは、今年が「太平記」放送から20年というメモリアル
イヤーであるのをNHK側が考慮してくれたからでしょうか…(もしそうであれば、
せめて今年は南北朝時代をもっと取り上げてもらいたいですね)。
しかし「太平記」ではチョイ役にすぎなかったトヨエツがいまや信長とは、時の移り変わりを感じますね(他方で、大地康雄さんが久しぶりに大河に出演されたのには感激しました)。




#8852 
徹夜城(最近南北朝ネタが続くなと思う管理人) 2011/02/05 20:56
マンガ日本史「楠木正成」

 朝日ジュニアシリーズ「マンガ日本史」の最新号、みなもと悠著「楠木正成」を買ってみました。
 まぁ短いページ数ですので、エッセンスしかまとめられないのは百も承知なんですが、このシリーズって結構やり手の漫画家さんを使うので一筋縄ではいかない「作品」が多いんですよねぇ。以前の「足利尊氏」も相当なものでしたが、今回の「正成」もそう。
 赤坂城奪回の奇策から始めるあたりはなかなか上手いところ。彼の「悪党的戦法」を強調するのはこれまでの正成漫画も共通してやったところですね。しかしちょっとひっかかったのは千早城の「藁人形の奇計」が三国志演義の「十万本の矢」とゴッチャになってるような気がしたことでしょうか。
 こういうスタイルの漫画だからしょうがないかとは思いつつ、楠木正季がビックリするほど美少年(ショタ系)。最初は正行だと思った。大河では赤井英和だったんだぞぉ(笑)。あと足利尊氏もかなりそちら系の美少年キャラになっております(直義がちょっと悪役まわりかな)。
 建武の新政後の展開はかなり慌ただしく、尊氏が挙兵→一時敗北、正成が義貞を退けて尊氏と和睦せよと提案して拒絶され、湊川へ(戦死シーンはなし)という形でまとめられています。
 新田義貞は陰険そうな雰囲気でちらっと出ただけ。どうもいつも扱いの悪い人です(笑)。


>マルクスの恋人さん
 そういやぁ、ジリアン=アサンジとウィキリークスをノルウェーの議員がノーベル平和賞に推薦したんですってね。さすがに受賞はなさそうに思うけど、あの賞もわかんないからなぁ。

>tomohiroさん
 「ダークエイジ大聖堂」は僕も番宣見てまして、注目しておりました。ヨーロッパ中世ものってありそうでないですし。原作については全く知りませんが当初映画化という企画を原作者が「2、3時間では描けない」と拒否、それなら8時間のテレビドラマで、という運びになったんだとか。確かに本格的にカネかけて作ると歴史物って映画よりドラマのほうがいい出来になることがあるんですよね。
 BShiで今夜第一回を放送。たぶんいずれ地上波でもやるんじゃないかと思います。



#8851 
tomohiro 2011/02/03 20:02
差し出がましいようですが

>マルクスの恋人様
 貴殿が紹介成されたスクール☆ウォーズのテーマは、
洋画フットルースで使われた音楽です。ボニー・タイラーという人が歌っていました。
余談ですが、リドリー・スコットがスタッフになるダークエイジ・大聖堂
という英米ドラマがnhkで放映されるようですな。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#8850 
マルクスの恋人 2011/02/03 18:39
ジュリアン・アサンジのバラード

http://www.youtube.com/watch?v=7VQNWZa68aU
見つかりました!YouTubeで!
日付を見ると、アサンジ氏がロンドンの獄中にあった頃の発表です。
いや〜すごい時代になりましたねー。
他にないかと探したら、ルパン三世ではなくてスクールウォーズのテーマと合わせたのを発見。
既存曲だってのに、(英語の原詞の内容が)気味悪いほど現実にマッチ。
http://www.youtube.com/watch?v=E7FMEpDEdqw&feature=related



#8849 
徹夜城(エジプト情勢はむばらく様子をみようと思う管理人) 2011/02/02 23:33
ヒストリアで後醍醐

 さて、本日の「歴史秘話ヒストリア」で「折れない、負けない、くじけない後醍醐天皇」を放送したわけですが。とにかく南北朝時代は歴史番組でとりあげられることすら少ないのでかなり貴重な回。ましてテーマが後醍醐本人だというのは初めてですしね。

 まぁ40分しか時間がありませんから、表面をダイジェストでなぞって紹介した、って感は否めませんね。でも全然知らない人には結構ビックリなんじゃないかと。生涯に脱走劇をあんなに繰り返した天皇はいませんからね。
 番組でとくに力を入れてるように見えたのが隠岐に往復する道中あちこちに残る「後醍醐ゆかりの地」。それでいて名高い「児島高徳」に全く触れませんでしたけど。ただ意地悪なことを言いますと、あの手の南朝がらみのゆかりの地やらゆかりの物品って、南朝人気が出た江戸時代以降のものが多いんだろうなぁ、と思って見てました。
 「皇子派遣作戦」もずいぶん簡単にまとめてましたけど、宗良親王に着目したのはちょっと意外。いや、なかなか面白い人生の人なんですけどね(詳しくは当サイト「列伝」参照)。それでいて動向を取り上げているのがおもに義良親王(=後村上天皇)で、伊達政宗の先祖がいたとか関ヶ原の近くで戦ったとか、なんとか戦国ファンの興味を引こうと涙ぐましいこともしておりました(宗良の件も井伊氏が出てくるからかな?)。ああいう大軍の大長征があるところが南北朝の醍醐味なんですけどねぇ、自称歴史マニアでも結構知らないんですよ。

 ラストは天竜寺で、尊氏が後醍醐を懐かしんだ文章できれいに締めてました。あの願文なら「温柔の叡旨なお耳の底に留まり(その優しいお声は今も耳に残り)」という部分を引いたほうがいいのになぁ、などと思いつつ見てました。
 大河「太平記」からの映像は意外と少ないかも。山岳戦の描写はあのドラマにしかないので千早・赤坂の攻防戦の映像が楠木正成の部分だけでなく名和長年のところでも使いまわされてました。

>南北朝関連情報
なお、確か今週発売だと思いましたが、朝日新聞社の「マンガ日本の歴史」で最新号が「楠木正成」です。

>連想で思い出したこと
そういえば「コミック乱」の最新号の「風雲児たち」、ついに吉田松陰の最期が描かれました。あの漫画で主役級の扱いの人が亡くなったのは久々です。
少し遅れて単行本の17、18巻も買ったんですが、シーボルトの再来日のシーンには、この漫画の長期連載ぶりを思い返し、シーボルト、お滝、イネの再会にはなおさら熱いものがこみあげますねぇ。別れのシーンを書いたのはもう何年前なんだろう。漫画中ではぴったり三十年が経過しているわけですが、執筆時間でも十年以上は経ってるはずだし…



#8848 
tomohiro 2011/02/01 11:40
風林火山は名作か

最近迷走を続けるnhk大河ドラマ。
その中ではここ最近の大河では名作の誉れ高いのが
「風林火山」
と言われていますが、
私からしたら、名作とは思っていません。
前作の「巧名が辻」の延長と放映当時思っていませんし、
何よりも戰國時代大嫌い人間なので、名作という評価は
疑問に考えています。
しかし、世間的には名作と考えられているようですね。
是に出演した内野聖陽氏、市川亀治郎氏などが
jinに出演するなどして、各種マスコミへの露出も多くなりましたし・・・。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#8847 
民本主義者 2011/01/28 20:41
さあ横になって××よう

>徹夜城さまへ
了解であります。やっぱ入れ込み過ぎるといけませんな。エジプトはねえ…。エルバラダイがええかっこしいだからなあ。

>まさ様へ
>テーブルが無く、地べたに座る、というのもありましたっけ

ありましたねえ。映画「パッション」はリアルさが売りだったのに、最後の晩餐のシーンで、イエスとその弟子たちが椅子とテーブルについていて、だめじゃん、という話でした。あの時代の人々は食事の時は横になって手づかみで食べていたのです。古いフレスコ画に描かれた「最後の晩餐」などではそうなっています。バーナード・ルドフスキー著の『さあ横になって食べよう』(鹿島出版会)が、さまざまな図版が載っていて興味深いです。
以前この話題について論じた時のログは↓です。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~tetuya/REKISI/bbs/kakolog/log49.html



#8846 
徹夜城(親父ギャグが結構好きな管理人) 2011/01/28 12:25
誤解をよぶダジャレはスンナ

>民本主義者さん
 えー(汗)、もちろん後から気付いたほうの解釈が真意です(笑)。そんな難しいことをお考えになるのは深入りしすぎてるからですよぉ(^^;)。
 しかしエジプトはマジで大変なことになってきてますな。

>まささん
 いやいや、僕も三国時代の武具や風俗には初心者同然ですので。「レッドクリフ」の服装や甲冑などのデザインが「それっぽい」と感じるのは、単に感覚的なものにすぎません。ですが、それ以前の大河ドラマ「三国演義」の甲冑デザインが明らかに日本映画「敦煌」そのまんまだったり(これは宋代の話ですし)、どう見ても日本の鎧からデザインしたとしか思えないところもあったりしたのに比べれば、ちゃんと考証している感じがする、ということですね。
 最近の中国歴史ドラマを見ていると全体的に考証がしっかりしてきたように感じるのです(あくまで感覚的ですが)。古代においてはイスとテーブルの生活はしていませんで、最近の唐代以前のドラマではこれが徹底されています。「レッドクリフ」で諸葛亮が呉に行くシーンで「靴を脱いであがる」妙に印象に残るカットがわざわざありましたが、これももしかすると考証してるのでは、と感じます。
 いま昨年中国で製作された「三国」を見ていますが(日本ではやっぱり「三国志」のタイトルになってリリース)これはガチガチに考証やりすぎたんじゃないかと思っちゃうほどデザイン面ではすこぶる地味。室内もおそらく本当にこんな感じだろうと思うぐらい薄暗い場面ばっかりですしね。


>韓国歴史ドラマ
 昨日のBSフジで「善徳女王」最終回(第62回)を見届けました。フジテレビが買ってくる歴史ドラマシリーズはあちらの民放にあたるところが作ってるせいか自由奔放な作りが多く、「朱蒙」「風の国」はイマイチ僕はノレなかったのですけれど、「善徳女王」は話の構造がある意味「王道」でして、無茶な創作も多いんだけど(なんせ主人公がタクラマカン砂漠で成長し、男装して新羅にやってくる筋書き)面白かったのは確か。かえって彼女が女王に即位して史実と融合をはからねばならなくなってからがつまらなくなった気もします。ラスト5回はあわただしくまとめすぎた感があるなぁ。



#8845 
まさ 2011/01/27 23:43
レッドクリフ2で

初心者じみたレスですいません。
先日、テレビでレッドクリフPart2を見ました。
そういえば、だいぶ前に甲冑などは(テーブルが無く、地べたに座る、というのもありましたっけ)、2世紀ごろのものを再現しているだろうという話題がこの掲示板にあったと思いますが、なぜそう思えたのか教えてください。
歴史考証で、甲冑や風習に関する当時の資料があるのでしょうか?
発掘されたものとか?
曹操軍の重鎮たちがかぶっている兜が、石をつなぎ合わせたようなもので、かわいく見えました。
ドラマ「三国演義」の甲冑は、明代のものを参考にしているらしいですが、中国の甲冑といえばあういうものを想像してしまいます。
かなり基本的な質問でお恥ずかしい限りですが、長い間あった疑問を思い出したもので。



#8844 
民本主義者 2011/01/27 22:45
祝!史点復活!毎週必ず(略)

ニュースな史点の新作「「革命」は飛び火するか」に「焼身自殺はスンナ」とありますが、これはおそらく「焼身自殺はハラーム」の間違いではないかと。ハラームとはイスラム法が認めないという意味で、「豚肉を食うのはハラームだ」という具合に使います。スンナとは一般に預言者ムハンマドの慣行を意味し、「食事前に手を洗うのはスンナだ」という風に用います。ハラームの反対がハラール。「ハラール食品」という言い方を最近はよく見かけるようになりました。スンナを重視するのが、イスラム教徒の多数派、スンニー派(スンナ派)です。
焼身自殺とイスラム教の教義に関してはこんなブログがあります。
http://52133480.at.webry.info/201101/article_2.html
http://52133480.at.webry.info/201101/article_3.html

近いうちにこのブログは、ハディース(ムハンマド等の言行録)の特定の箇所を普通に解釈すれば自爆テロだってハラームになるんじゃないの?という趣旨の論考が載る予定。
それをなぜ私が知っているかというと…まあ、お察しください。

と、ここまで書いて、ハタと気が付いた!「焼身自殺はスンナ」とは「焼身自殺をするな」という日本語の口語表現ですか?だとしたら余計なことを言ってすいません。ここ数カ月、イスラム教関係の書物にかかりきりだったので、つい。ただ、「スンナ」とはイスラム教的には上記の意味があるので、誤解を防ぐために、書き変えた方が無難かと。「焼身自殺はすんな(スンナじゃないよ)」とかなんとか。よけいややこしいか。



#8843 
徹夜城(ルパン漫画の第二回をついさっき読んだ管理人) 2011/01/26 13:30
最近は南北朝関連のページかな

時節柄忙しく、レスをためこんでしまいました。一挙にまとめて。なお2か月ぶりに「史点」も更新しております(12月中に一度書くつもりだったんですが結局流れました)。

>黒駒さん
 そうですか、「歴史秘話」で後醍醐天皇を…NHKの歴史番組で南北朝を扱った例は本当に数えるほどしかなく、ほぼすべて見ている自信があるのですが(笑)、後醍醐天皇故人をとりあげるのは初めてだと思います。特に目新しい話は出ないだろうと思いつつしっかりチェックしたいと。

 アクセス解析の話ですけど、特に目立った変動はないのでコーナー化はちょっと…ただ、昨年の北朝鮮の砲撃事件のあとしばらく映画「世界大戦争」の感想ページへのアクセスが急に増えたという現象はありました。
 あと、最近微妙にではありますが南北朝関連ページのアクセスが増えてます。その原因だという証拠はないんですが、ちかごろ携帯小説で護良親王を主役にするものが女性ファンを呼んでるとのうわさを聞きつけておりまして…設定を聞くとなんとなく「鬼国幻想」っぽくもあるような。


>みなみさん
 その脚本集については「太平記大全」の参考文献にも挙げています。僕もそんなものが発売されていたとは「大全」コーナーを作るまで知らなかったほどなのですが、なんとその編集にかかわった方が当サイトをご覧になってまして、校正段階のバージョンを頂戴してしましました(そのため各所に誤字・書き込みあり)。
 脚本集を読みますと映像化されなかった(あるいはカットされた)部分もかなり見つかり、非常に興味深いものがありますね。大河の脚本そのものが出版されることはかなり珍しく(「独眼竜政宗」はあったはず)、貴重な一冊だと思います。しかし残念ながら売れ行きがよくなかったのか(?)予定されていた後半の出版は見送られたとのことです。


>マルクスの恋人さん
 アサンジ氏、もう映画化の話題ですか。まぁフェイスブック創業者がもう映画になってますしね。日本の話題では「はやぶさ」の映画化がもう決まっていたりして。まぁ旬のうちにやらないと興業上よろしくないですし。


>りくにすさん
 植民地経営といってもピンからキリまでなんですよねぇ。どうも日本では欧米の植民地経営を単純に「資源搾取」キーワードでばかりでとらえがちなので日本はそれとは違う、って論法にされがちなんですが。NFさんもお書きでしたけど、日本の朝鮮台湾における植民地経営はとくに資源もないところですし、自国防衛の防壁という意識が強かったかと思います。また文化的に親和性が高い国や地域の支配ということではイギリスのアイルランド支配とか、ロシアのバルト三国支配といったものを連想しなくもないです(バルト三国の話でも旧ソ連が「持ち出しが多かった」論を出した覚えが)。
 そこいくと満州経営のほうがもっと露骨に「植民地主義的」ではあるんですよね。もっとも石油の開発が出来なかったことがその後のことを考えるとかなり痛かったようです。ターチン油田の開発が戦時中だったら…という想定は面白いものがあるんです。それをなにげにネタにしていたのが韓国西部劇「グッド・バッド・ウィアード」でした。これ、満州西部劇というハチャメチャな設定に見えつつ、意外にしっかりと時代考証をしてるところもあるんですよね。


>tomohiroさん
 キムタクさんは「ヤマト」に続いて「南極物語」か…思えば「華麗なる一族」もありましたし、70年代大作のリメイクばっかりに出てるような気もしてきます。


>NFさん
 だいぶレスが遅れてしまいましたが、思えば日本の歴史上の政治組織構造じたいが「下剋上」的ですよね。天皇がいて朝廷もあるけど、将軍に率いられた軍人組織が非常大権をふりまわして実権を握っているのが「幕府」という見方もできますし。その幕府の中でも将軍から執権、さらには得宗、内管領とどんどん実力者が下にさがっていく不思議は戦前軍部も同じだったかもしれません。
 あと、前回の書き込みで触れなかったことですが、例の番組で自己保存本能がものすごい官僚組織としての陸軍にもスポットを当ててましたね。それこそ「仕分け」にはものすごい抵抗を各セクションごとにするわけで。陸軍内部のみならず海軍でもその手の主張が強く、第一次大戦後も「軍縮」なんてまるっきりできない状況だったようで。

 日本になぜイスラムが入らなかったか…は確かに言われてみると興味深い問題ですね。遣唐使時代でも接触した様子がないですし。やはり広東方面以南に行かないと接触がないからでしょうか。琉球王国は東南アジアにどんどん行きましたが「官製貿易」なので文化的接触を避けたということはあるかもしれません。
 ザビエルが日本に来て喜んだのは「イスラム教徒がいない」ってことだったって話もありますしね。



#8842 
黒駒 2011/01/25 14:56
歴史秘話ヒストリアで南北朝

2月2日の放送が「後醍醐天皇」だそうです。この番組になってからの南北朝ネタははじめてでしょうか。大河もそうですけど、歴史番組もけっこう保守的で、あまり研究動向の紹介などはしてくれませんが。

最近、自分のブログ記事のアクセス解析をみていたら、最近妙にニホンオオカミ関係と葛飾北斎関係記事へのアクセスが多いことに気づきました。北斎は今年が生誕250周年だそうで、ニホンオオカミはオオカミ再導入論で何か具体的な動きがあったようですね。

管理人様もときどき話題になされておりますが、自分のサイトがある程度データベースとして充実してくると、アクセス解析を見るのが楽しいものです。

ぜひ、最近はどのような記事への集中があるのか、専門コーナー化していただきたいのですが(笑)。

http://kurocoma.cocolog-nifty.com/blog/


#8841 
みなみ 2011/01/25 12:42
脚本

太平記の脚本が古本屋にありぶっ飛んでしまいました。
残念ながら前半だけでしたが、後半も出たんでしょうかね?
学研発行、コンビニにのみ売ってるマンガのような紙質ですが。



#8840 
マルクスの恋人 2011/01/21 23:22
特報

ジュリアン・アサンジ氏の半生が映画化決定!
http://www.guardian.co.uk/film/2011/jan/21/wikileaks-movie-biography-julian-assange

早くもYouTubeには予告編のMAD映像が花盛りです。
あの、黒のスーツに赤ネクタイの肖像写真見てると、「Lupin'78」が聞こえて仕方がない。
誰か、ルパン三世の映像でやってくれー。

(カリ城の映像と007カジノロワイヤルの音声で作ったMADは既に実在。あれはすごかった)



#8839 
りくにす 2011/01/21 23:07
アジアの解放。それでも植民地が好き?!

NF様レスありがとうございます。朝鮮植民地の経営が持ち出しだったとは初めて知りました。(朝鮮総督府の事業は赤字だった、ということですか?)
愛国的な方々には怒られそうですが、「ナチスのユダヤ人虐殺と同じくらい割に合わない話」ですね。現地の人に嫌われて、それでも「いいことしたんだ」と自分では思っている。やっている本人はまさしく「無私の奉仕」だったのですね。
あらゆる資源を略奪していって、なお赤字になる植民地経営ってどうかと思いますが、これこそ「欧米列強からのアジアの解放」という使命感のなせる業なのでしょう。
その「無私」であったはずの日本の海外進出が、さまざまな謀略に彩られているのはなぜなのでしょう。(それが欧米ではなく朝鮮や中国に向けられていること)
イギリスBBCが二重被爆された方をコメディのネタにして日本大使館から抗議されていましたが、日本の帝国主義の偽善もコメディにしないのでしょうか。
あ、大英帝国には無理か。



#8838 
tomohiro 2011/01/19 17:55
浅井三姉妹よりコシノ三姉妹

http://bit.ly/eG3u7I
上記の記事を拝見したのですが、
こちらの方が、松山ケンイチ主演の平清盛より燃えますし、萌えます(笑)。
私はアイドルや若手人気俳優を使うなとは言わない。
でも、使い方だと思う。
アイドル上がりの人を使って、面白そうな素材に挑戦している。
それも近現代史という所が良いです。
nhkは2011年の秋クールからコシノ三姉妹の母親を朝ドラでやるようです。
これも期待してます。
面白そうな素材を、現代劇枠に丸投げをするnhkはもう少し、大河の素材を
考えてみては如何でしょうか?


http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#8837 
NF 2011/01/19 06:15


たいへん遅くなり松の内も過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

>日本に特有ではないかと思われる組織論
阿祥様のお話とも繋がるのですが、昔から良くも悪くも日本人は「強力なリーダーシップ」による「長期的な見通し」は苦手としており現場レベルの寄り集まりでやりくりしてきたという事でしょう。秀吉の朝鮮出兵を分析して荻生徂徠も「日本の軍は、専ら士卒の智惠をかり候て軍を致候事に候。依之敗軍の將、罪科無之候。」といっているそうですから、余程筋金入りと見えます。現場の個人的力量に頼った非組織的な側面が強いため、第二次大戦の時には現場の暴走を止めにくい、という最悪の形で出たという事でしょうか。
 「リーダーシップの欠如」自体は古来から抱えている問題のようですから、克服しようとしても出来るものではないかもしれません。むしろ、それを認識しつつそれを前提としてどうするかを考える方が建設的なのかもですね。

>りくにす様
>欧米諸国がどうして植民地を放棄して平気なのか
恐らく、「植民地全土を統治するのは案外割に合わない」というのが大きいかと思われます。インドのような生産力が高い地域は別として、大部分の植民地は「生産拠点や交易拠点を確保」しその防衛のため「後背地を獲得」、更に「後背地を求める」という具合で広がった面があると聞いた事があります(どの程度信憑性が置けるかは分かりませんが)。日本の朝鮮半島支配が終始赤字であった事も考慮に入れると、広範な植民地の支配そのものは経済的な効率が必ずしも良くないのかもしれません。
ならば、権益は残しつつ統治は現地の人々に委ねて独立させ(旧宗主国が統治責任から逃れると見る事も可能)、新政府と良好な関係を保持すれば手間なく利益はある程度確保できると見たのではないかと。経済構造が旧宗主国に依存する体制のままなら、(宗主国にとって)うまくやれるでしょうし。イギリスやフランスが植民地の独立を手放していったのにはそうした側面もあったのでしょう。勿論、他にも経済的に内需重視の体制へと切り替えることが可能だったせいもあったと思われますが。

 ところで、話は変わるのですが日本に大陸との交易を通じてイスラームが定着した形跡がないのは不思議な気がするのですが、どなたかご存知の方がおられたら御教示いただけないでしょうか?中国の主要貿易港にはムスリム商人が古くから定住し(日中貿易の主要港だった)寧波にも唐代から清真寺があったらしいですから接触がない方が不自然な気がするのですが。貿易立国だった琉球にもイスラームが入り込んだ様子がないですし、何とも不思議に思うのです。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8836 
徹夜城(受験の谷間でちょっと暇が出来た管理人) 2011/01/18 23:06
「戦争へ向かったのか」第二回

 先日も話題に出たNHKスペシャル「日本人はなぜ戦争に向かったのか」の第二回が日曜日に放送されました。ちょっと間が空きましたが、その感想など。

 今回のテーマは「陸軍の暴走」で、内容的にはこれまでにも同様のテーマを扱った番組や書籍があったこともあり目新しい話はあまりなかった気がします。しかし改めて満州事変にしても日中戦争にしても、上層部の「国家の意思」ではなく現場の佐官クラスの連中が勝手に行動を起こし(しかも多くが自身の手柄をたてるため)、それを周囲が追認してしまうという、どうも日本に特有ではないかと思われる組織論が展開されておりました。いわば「下剋上」の構造ですね。
 以前NHKで作った「ドキュメント太平洋戦争」でもこの問題が「インパール作戦」をテーマにとりあげられていたんですね。このインパール作戦も今度の番組で盧溝橋事件のくだりで出てきた牟田口廉也が立案実行したもので、牟田口当人の口から「この戦争は俺が始めたんだからこの作戦でけりをつけないと」と言っていたという話があります。このインパール作戦がまた補給をほとんど度外視した無茶な作戦だったんですが、「無茶」と言った補給担当らは左遷され「実行可能」と言ったやつが重用される、実行してみたら結局無茶で現地では命令無視の撤退に踏み切る部隊も出てくる始末(事実上の反乱)になるのですが、作戦を立てた牟田口が処罰されないのはもちろんのこと、陸軍組織全体の問題になるってんでその命令無視の撤退をした軍人も罰せられない。このあたりを見ていくと本当に鬱になってきちゃうんですよねぇ。
 「坂の上の雲」なんかだと「明治の軍人・軍部はまともだったが昭和は…」という描き方があって、いわゆる「司馬史観」と重なるわけなんですが、実のところ僕は日露戦争も「たまたまうまくいった」だけであって、組織的問題はすでに見えていたんじゃないかという疑惑を持ってるんですよね。

 以前文春新書で出た「昭和史の論点」という本を引っ張り出して改めて読んで番組に臨みました(笑)。この本、あの「諸君!」連載だったんですけど、保坂正康、半藤一利、秦郁彦、坂本多加雄という組み合わせの座談会ということもあり内容的にはかなりまともです(最後の一人だけちょっとヘンなことを口走って他の三人から否定されてる観もありますけど)。
 この本でも出てくる昭和7、8年あたりからの日本国内の異様なムードが番組の次回のテーマ(メディア論)になるんですね。放送は2月だそうですが、ここにも注目してます。


>大河ドラマとかその他の話題
 訃報が相次ぎましたねぇ。まず細川俊之さんで、歴史ドラマファンには「関ヶ原」の直江兼続、「真田太平記」の大野治長、「葵・徳川三代」の大谷吉継といった顔が思い浮かびます。あれ、みんな豊臣方だ(笑)。もちろん他にもあって、大内義興とか徳川家宣なんかもあるんですけど。
 もう一つの訃報が和田勉さん。まぁ歴史ドラマにはあまり縁がない人なんですが、大河史上の低視聴率と言われた「竜馬がゆく」の演出を途中から交代で担当したことで知られます。唯一残っている「脱藩」の回を見るとみんなえらく早口で驚くのですが、これは脚本のセリフが長めで45分枠に収めきれず(そのために前任者が降板したらしい)、交代した和田さんは俳優たちに早口でしゃべらせることで解決したとの話。今回の訃報を受けて竜馬役だった北大路欣也さんが追悼コメント出してました。

>三国志
 気が付いたら中国が最近作った三国志ドラマ「三国」が、先週からBSフジで放送されていました。「三国志・群雄割拠」と題して「全18回」とあったので呂布が死ぬことまでしかやらないみたい。実質レンタルで出てるDVDの宣伝のようですね。第2回を見たんですが日本語吹き替えになっていて、張飛の声が「三国演義」のNHK版とおんなじでした(笑)。
 これ、ネット上あちこちで中国語版が見られまして、中国語字幕がついてるおかげである程度分かる人にはほとんど問題なく見られるんですが、僕も今日ようやく呂布が死ぬあたりまで見終えました。貂蝉の扱いがこのドラマではこれまでとはずいぶん異なるのがポイント。意外に人形劇三国志に近かったりして。吉川英治だと董卓死後にすぐ自決しちゃいますが、これはいかにも日本的感覚なのかもしれません。



#8835 
tomohiro 2011/01/17 18:41
失礼しました

今回の書き込みは私です。
なにやら、おかしな事が多くてつい書き込みしてしまいました



#8834 
2011/01/17 18:40


最近何が神聖で何が巨大で危険な存在か解らないのです。
昨今にぎわしている右傾化や保守化。
反対派はオーバーに書き立て、これらの存在が空前の恐怖をまき散らしている
といって、自分はこいつらは恐ろしいと感じました。
次に、台湾の事。
肯定派は神聖な土地として、親日国として崇めねばならないといいます。
でも、前者は思ったより卑小な存在を大きく反対派は取っているし、
何故、批判するのにそこまでセンセーショナルな行動が必用なのか解らなくなりました。
後者については、あまり日本のことを考えておらず、中国大陸や香港とは
うまくできるような印象を受けます。そして日本人の閉鎖性を口にする人が多くて
あまり日本人とは相容れない部分を持っているのかもしれないと思いました。
なにやら理念を強く持っている人々の主張って、偏っているのかもしれませんね。




#8833 
りくにす 2011/01/15 14:45
満州問題で「うまくやる」?

「なぜ戦争に向かったのか」は私も見ました。言いたいことは大体も阿祥さんが言って下さいましたが、「日本人の領土観は鎌倉時代から変わっていないのかも」というのが私の感想です。もしそうであるなら、日本人に領土の放棄を納得させるには、戦争で負かすしかない、ということになり、日本の外交はこれしか「正解」がないわけです(我ながらヘンな事書いてます)
もし軍部と外務省の外交方針に一貫性があれば、戦争突入という「失敗」はなかったかもしれませんが、「満州奪還を誓う記念日」を90年間もやって、隣国から気持ち悪がられるでしょう。
番組では触れられていませんでしたが、欧米諸国がどうして植民地を放棄して平気なのか、それも気になるところです。領土にしなくても利権を確保できるうまいやり方ができたのかもしれない。日本もそれに乗っていれば国際連盟脱退は免れたかもしれません(それでも利害が対立すると別な口実をつけてたたかれたでしょうね)。
私は日本が侵略国家であることを恥じるものですので、そういう方法は想像もしたくありませんが。



#8832 
阿祥 2011/01/14 11:42
「なぜ戦争に向かったのか」を見て

NHKの「なぜ戦争に向かったのか」は僕も興味深くみました。
新たな資料を発掘し、それにより実証的に組み立てられた番組構成に好感が持てます。先の“龍馬伝”や“坂の上の雲”でも、興味深い知見がいくつも見られたので最近のNHKのドキュメンタリーや歴史系番組はよく見ています。今回の“江”ではあまり期待できそうにありませんが。

ところで、番組の中でいくつか気になったところがありました。
まず、松岡洋右が国際連盟脱退に関して、上(天皇)の意向で、「満州の利権に影響を与えない範囲で、出来るだけの譲歩をし、交渉の妥結を図るように」という指示を受けていたという点です。番組の中では松岡洋右が交渉決裂に向かってゆく仮定を丁寧に説明していましたが、僕はこの中の前提条件、“満州の利権に影響を与えない範囲で”というのが非常なポイントだったのだと思います。おそらく、国民はもとより天皇でさえ、満州の利権は守らなければいけないと考えていたということです。
イギリスの示した満州における譲歩案は、日本の優先権を考慮した日本にとって受け入れやすいものだったと番組では説明していましたが、仮にこの交渉がテーブルにのったとしても、その妥結にはかなりの難問が残っていたに違いありません。戦後に、イギリスがインドの独立を認め、アメリカがフィリピンを解放した後では、あの時日本は満州を放棄すべきだったと言えるかもしれませんが、あの時点の日本の国情では、満州における利権をなんらかの形で放棄するという選択を、国民に納得させるのはほとんど不可能だったのではないでしょうか。 “満州”を取るか“戦争”をとるか、という究極の選択を、仮に天皇に求めても、国民の血で勝ち取った満州の地を放棄することは出来ないということになったのかもしれません。
そんなことを思うと、番組の中でイギリスの研究者が言っていた、「日本は、帝国主義的な考え方がだんだん時代遅れになっていたとういう時代の潮流を読み違えていた」という指摘が非常に的をえていたように思います。イギリスでは第二次世界大戦の前後において、植民地を放棄しなくてはならないと言う議論を政策的にしていたのでしょう。インドの独立は戦後すぐになります。遅れてきた帝国主義者であった日本では、そんな議論はたとえ行われていたとしてもマイナーなもので、現実的な政策となることはなかったでしょう。

もうひとつは、次回以降のテーマになるという“リーダーシップ”の問題。今回の番組でも取り上げられた、“長期的なビジョンなし”の“場当たり的な内向きな対応”が、結果として悪い方向に事態を進めていったという点です。
第二次世界大戦の際の批判としてはよしとして、幕末から明治維新における変遷はまさにリーダーシップとビジョンの欠如こそが、逆に結果として時代のニーズにうまくマッチした政体を生み出したということも言えるのじゃないかと思っています。
明治維新を推進したリーダーシップを誰に求めるかと言っても、なかなか特定の個人を特定しにくいと思います。坂本龍馬が明治の政府の考え方を先取りしていたと言えるかもしれませんが、“龍馬伝”に描かれたように彼が時代を引っ張って行ったというのは史実ではないでしょう。かといって西郷、大久保や木戸、岩倉が、幕末の段階で維新後の政府のビジョンを持っていたかというとそれも疑問です。五箇条の御誓文が検討されたのは慶応4年と言われています。実際は明治政府の誕生する直前になって新政府の綱領が話し合われています。うまくいったからいいものの、失敗していたら“泥縄”だと批判を受けかねません。そもそも“尊皇攘夷”で動いていた時局が、なぜ明治後“富国強兵”“殖産興業”となってしまったのか?明治維新の革命政府には長期的なビジョンが無かったと言えるのではないでしょうか。

社会人として働いていて思うのは、会社組織にはリーダーシップの非常に薄い、それでいて一般の社員が自発的、柔軟に業務に臨んでおり、結果として会社全体としてはアクティブに生き生きと動いている、そんな組織体もあるということです。日本の社会にはそういう組織が非常に多いように思います。そんな中でリーダーシップの欠如を声高に叫び、会社のトップがいらぬ波風をたてるのは、現実的な批判、提言として意味があるのでしょうか。(民主党による“政治主導”も同じような感じを受けます。)
日本的な組織のリーダーシップの欠如をそのまま受け入れて、その上で弾力的に組織を運用し致命的なミスを犯さない、そんな考え方が必要なように思います。トップダウンとボトムアップ、両方向からの意思決定をバランスよく考えるというのが有効なのでしょう。

いろいろ考えさせられる番組でした。



#8831 
徹夜城(今日はあっちゃこっちゃの掲示板にレスしまくる管理人) 2011/01/12 23:45
今年がルパンイヤーだといいんですけどねぇ(笑)

 昨日、1月11日は「2011年1月11日」と1並びでして、今年創業111年目になる牛丼の吉野家がそれを記念して値下げキャンペーンをやっており、それに対抗してすき家、松屋も値下げキャンペーンを同日からやってるなんて話題がニュースになっております。
 その吉野家が創業した1899年にアルセーヌ・ルパンは最初の逮捕をされるのですね。で、偶然にも同じ1月11日発売の「イブニング」にその顛末が載ってるわけです(爆)。
 というわけで、半ば宣伝ではありますが、皆様「アバンチュリエ」をよろしく。
 えー、実は当サイトの「怪盗ルパンの館」の「怪盗紳士淑女掲示板」には作者さまもいらしておりまして、興味のある方はぜひいらっしゃいませ。

>小覇王さん
 最近の大河は硬派で近寄りがたいのと現代的で親しみやすいのの交互製作って感じになってきてますね。

>黒駒さん
小泉政権の外交方針ってのは確かにある意味わかりやすく、敵味方とも方針がとりやすいってことはあったでしょうね。もっとも日独伊三国同盟なんかははっきりさせちゃったがために後戻りが利かなくなったわけですが。
あと、吉田茂が言ってたことですけど、怖いのは実は「国民」だったりするんです。前回のその番組でテーマにとりあげられた国際連盟脱退にしても、松岡洋右は脱退なんか本来したくなかったというのが真相。そして脱退と言うことになってカッコよく退場なんかしてみせましたが内心では忸怩たるものがあり帰国後袋叩きにあうのではと恐れていたとも聞きます。ところが国民・マスコミは大フィーバー、松岡をすっかり英雄扱いで迎え入れたわけです。吉田茂はポーツマス条約と国際連盟脱退の例をあげて、「国民が熱狂する外交は失敗、国民に袋叩きにされる外交はあとから思えば成功」という趣旨のことを言ってまして、それは自身のサンフランシスコ平和条約&日米安保についても重ねてるんですよね。

>たまさん
いきなり消すのは控えますけど、24時間程度たったら削除させていただきます。
内容ウンヌンのことではなく、あっちこっちにコピペされているものを何の断りもなくここに唐突にコピペすること自体、正直感心しません。



#8829 
小覇王 2011/01/12 01:22
初回色々

今頃ですが、新年おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
さて、始まった大河ドラマ「江」ですが、僕も一応初回は見てみてその後どうするか決める感じですね。で、その感想はと言うと「篤姫」「天地人」の現代の価値観をそのまま戦国時代にダイレクトに持ち込んだダメな大河という感じですね。初回はお市の方の嫁入りから小谷城の落城まで総集編かと思うくらいのダイジェストだったので判断はもう少し待ちますが、映像的にも前回の「龍馬伝」に比べると普通な感じで特に新鮮味は・・・家にいれば見るけど録画してみるほどではないかな、という感じですね。
 
こちらでいいか迷ったんですが「イブニング」ルブラン原作のでルパンの漫画「アバンチュリエ」が始まりましたね。初回は「ルパンの逮捕」でした。結構忠実な漫画化のような気がします。

http://d.hatena.ne.jp/susahadeth52623/


#8828 
黒駒 2011/01/10 04:44
外交と信頼

私がいちばん良くしってる「外交」は戦国期武田氏を巡る外交事情なのですが、江の第一回でさっそく没落した将軍足利義昭は、実は近年着目されている人物ではあるのですよね。武田氏の外交も基本は室町将軍体制を基本としたものですし、近年は駿河今川領国への侵攻やいわゆる「西上」も将軍義昭の動向と連動していることが指摘されています。

ところが江の第一回で義昭はさっそく没落してしまいましたし、私は最近、武田氏の滅亡原因には室町幕府の滅亡により、外交方針の方向性がつかみにくかったことがあるのではないかと考えています。勝頼期の外交は、北条との同盟を基本にしつつ上杉との同盟を試みてみたり、北条と手切れとなると佐竹ら関東の中小勢力と同盟してみたり、しまいには信長との直接和睦を試みてみたりと、場当たり的な印象があります。

近代史は疎いのですが、同様のことが言えるのではないでしょうか。昨年から民主党外交の失敗が言われていますけど、おそらく外交の世界では単純な同盟関係ほど信頼性が強く、全方位外交のような中途半端などっちつかずの外交をやってしまうと、いちばん信頼を失って失敗しやすいのではないのかなと考えます。最近の例でいえば小泉外交のような、靖国何が悪いの強行で対中国外交は捨てて、イラク戦争についていくアメリカべったりの極端な外交をやった結果、安定を確保できたことは言えるのではないでしょうか。



#8827 
黒駒 2011/01/10 04:20
江に見る近世社会

近世御家騒動史研究で知られる福田千鶴氏が中公新書で「江の生涯」という評伝を書いてますけど、なかなか新説展開で面白かったです。

信長まわりはポピュラーなようでいて地域史的には地道な研究が行われているようですね。大河ドラマは史実との相違や主人公の美化が批判されがちですが、個人的には大河って極端な史実無視もしなければ、最近の知見を取り入れた冒険もしないので、第一回の感想は、相変わらずおなじみの戦国時代が、わかりやすい現代語で語られはじめたなぁという印象でした。

史実と違うぞ違うぞは今年も言われると思うのですが、最近は史実に忠実な歴史なんて無味乾燥であるし、人をこれっぽっちも幸せにしないと考えてます。それよりも、天璋院篤姫の気丈な生き方や坂本龍馬に感動したり、日露戦争を戦った明治日本を誇りに思ったり、そういう役割のほうが大事なんじゃないかなぁと思い始めています。アカデミズムは私も好きですが、実証的な論証過程は楽しいのですが、論証された歴史というのは、興味深くはあってもあんがい無味乾燥でつまらないものだったりするのですよね。

橋田壽賀子脚本であるとか、むかしだったら女性史を描くのでも「家」がテーマになるものですけど、「江」は第一回を見ても、あと予告でどうやら江は信長に恋するみたいですから、やっぱり現代的恋愛観への引きつけを感じましたし、それは視聴者にとって後者のテーマを描いたほうが需要があるわけで、家庭の解体が進んでいる現代の時代を反映したものとして、歴史ドラマにも同時代の歴史性があるなぁと思ってしまいます。

個人的には、市や三姉妹のような織田家の人間という意識が強かったのではなどと考えます。浅井家もけっきょく再興されていないわけですしね。

福田氏の前掲著では、家光や東福門院が江の出子でないのではないかとか、けっこうショッキングな新説も展開されています。ただそれも、福田氏はよく知られている保科正之のことも含めて、俗説では江は嫉妬深い人物として語られがちだが、背景としては大奥は秩序維持のため将軍御台所の体面を再重視するという原理があったとしていて、個人的にはこのあたりが身分・格式を基調とする近世社会への移行だなと考え興味深かったです。

そして、江戸時代というのはこうしたタテ社会の原理が社会の隅々にまで至っていたものであり、去年の大河で坂本龍馬が打破しようとしていたのは、そういう社会であるのですよね。考えてもみれば、昨年は近世社会の解体を描いて、今年は構築過程を描くのですね。



#8826 
徹夜城(まだ冬期講習ボケが治らない管理人) 2011/01/09 23:12
さて、今年の大河も始まりました。

 今年の大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」が本日から始まりました。習慣として新規大河の第一回はつきあって見ることにしております。
 時任三郎の浅井長政、第一回でお役御免ですか。仕方ないんだけどもったいない気も。もったいないといえば久々の大河登場の和泉元弥の足利義昭も第一回でお役御免でしょうか。いろいろとあったこの人ですが、なにげに絶妙な配役という気もしただけにちと惜しい。
 「太平記」出演組が第一回から三人もいるとは(笑)。大地康雄さんの大役は久々の気がします。

 「江」の宣伝番組として土曜夜に大河50年の歴史を振り返る番組もやってましたが(それのもっと拡大版をBSハイビジョンで放映したそうなんですが見逃しました)、「太平記」は「対決シーン」のなかで闘犬との格闘シーンと直義毒殺のシーンが紹介されてました。
 その番組内で、かねてより噂に聞いていた江守徹ご自身が自宅で録画したという「元禄太平記」の映像が紹介されてました。NHKにもない映像を、出演していた当人が全部録画していると発言したとかで、全部本当にあるのかどうか気になるところ。そのほかにもNHK内でよく探してみたら見つかったという初期大河の一部シーンも紹介され、なかなか貴重な番組になっていたと思います。

 NHKってのはやはり強みがあるなぁ、と思わされたのが今夜大河のあとに放送した太平洋戦争70周年の「なぜ戦争に向かったのか」という検証番組。よく言われていた「軍部の暴走」だけでは片づけられないあの当時の日本の情勢、分岐点を検証するという趣旨はちょうど僕がいま関心を持っているところにストライクでした。
 今日は「外交」がテーマ。当時の日本の外交方針が外務省・軍部・政府でてんでんばらばらだったというのはすでに知っていましたけど、国際連盟脱退の経緯がより詳しく説明されて面白かった。「脱退しちゃえば経済制裁をくらわないぜ!」というウルトラCというより場当たり的な思いつきだったんですな。日本の外交や軍事・政治がいちいち「甘い観測」を優先してしまう傾向は以前「ドキュメント太平洋戦争」でも強調されていたことでした。
 このシリーズ、以下「陸軍」「メディア」「リーダー」とテーマを続けていくそうですが、僕はいまちょうど「メディア」に興味のあるところでして。つい最近「軍神」(中公新書)という本を読みまして、昭和に入ってからの「爆弾三勇士」ですとか「真珠湾の九軍神」ですとかのメディアの異様な盛り上げよう、それにあおられ熱狂する国民、しかも実はそれは軍部の扇動では決してなかったという検証がなされていて、なぜそんな異様なことになっちゃったのか、という点に興味がわいたんですね。「特攻隊」の発想は決して追い詰められた末期に出たもんじゃないということも実感しましたし。



#8825 
徹夜城(寝正月の末に今日から仕事始めだった管理人) 2011/01/04 19:59
いまさらですが、謹賀新年

 いささか遅れ気味ではありますが、あけましておめでとうございます。実は本日で僕は仕事始めだったのでありますが。
 それまでの三が日はひたすらボーッと寝正月。合間にPCエンジンの某RPGを攻略していたという調子でした(笑)。なんか何も更新する気が起きませんでしたね。

 歴史映像名画座なり、南北朝列伝なりを更新しようという気もあったのですけど…「列伝」も実はアップしてないだけで「懐良親王伝」とか大物数人ぶん書きあげているんですけどね。
 ともあれ、今年もよろしくお願いいたします!



#8824 
ひで 2011/01/01 00:49
明けましておめでとうございます。

何かと多難な1年がおわりましたが、今年もなんか世の中は大変そうな感じです。
大河ドラマには正直期待はできそうもないし、映画もなかなか見る暇がなかったり、本は読む時間を何とか確保していますがなかなか思うように進まなかったりと、いろいろあったりしますが、まあ、何とかやっていくしかないわけですが。

本年もよろしくお願いします。

http://historia.web.infoseek.co.jp/


#8823 
つね 2010/12/29 00:34
恩智左近

調べてみたら(googleで検索かけただけですが)、
まささんご指摘の恩智神社の近くには恩智城というのがあり、
恩智左近が建てたことになったりしているようですね。
(当地の石碑は恩地城となっているようですが)
左近の墓なんかもあるようです。
まあ架空の人の墓なんかはときどきありますよね。神武天皇とか・・・。
あと架空ではないけど日本にキリストやら徐福やらの墓があるとか。
墓があっても存在証明にはならないようですね。

ただ恩智という豪族はいたんじゃないかとか、
講談のような活躍はしてないけどモデルになった人物はいたんじゃないかとか
(山本菅(勘)助みたいな)、そんな気はしますね。



#8822 
まさ 2010/12/28 01:16
恩智で

恩智ネタで乗っからせていただきます。
小生の仕事柄、いろんな方とお会いする機会があるんですが、数年前に恩智姓の方とお話しする機会がありまして、もしかしてと思い太平記の話を切り出したところ、先祖は恩智左近とのこと。
そして、毎年元旦に大阪府八尾市の恩智神社にお参りするという、しきたりがあると教えていただきました。
でも、恩智左近て架空の人物のはず…
何と考えたらよいのか…(汗)



#8821 
徹夜城(師走は本当に走り回る管理人) 2010/12/27 23:17
「太平記」ばなしは久々かな

 どうも、レスが遅れまして。ただいま冬期講習中なので多忙を極めております。

>Gくんさん
 どうもはじめまして。「太平記大全」をお楽しみいただけて何よりです。これを機会に南北朝にハマっていただければ望外のの喜びです。
 さすがに現時点では大杉漣さんの出演場面はこちらも確認しております。あの「大全」の文章を書いた時点でも薄々「この人じゃないか」とは思っていたので本文中でも単なる報告場面をやや強調して書いています。大杉さんが映画やドラマで目立ち始めたのはあれから数年後ぐらいからではなかったでしょうか。
 「太平記」でちょこっと出る大物としては豊川悦司と常盤貴子が有名ですね。

>つねさん
 ご指摘を受けて確認したのですが、吉川英治の小説、およびそれを原作とする大河「太平記」では「恩智」なんですけど、実は元ネタとなった「太平記評判理尽鈔」では「恩地」表記になってるんです。地名で「恩智」があるとすると吉川英治はそれを根拠に「恩智」にしたのかもしれません。まぁどっちみち架空人物のようなのでどの表記が正しいかはあまり問題ではないとも言えますが。



#8820 
つね 2010/12/25 16:49
おんちさこん

久しぶりの書き込みで、重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが、
「おんちさこん」は「南北朝列伝」では「恩地」となっていますが、
地名や大河ドラマの役名だと「恩智」のようです。
私のPCでは「恩地」で変換されますが。



#8819 
Gくん 2010/12/25 11:57
「太平記」大全第35話大逆転

初めまして! 管理人の徹夜城様
ただ今、NHK大河「太平記」をDVDでみています。「大全」の解説も併せて読んでおります。たいへん勉強になります。
もう気が付かれているか、誰かが告知しているかもしれませんが。
表題の35話「大逆転」で、NHK「ゲゲゲの女房」の父親役などでおなじみの「大杉漣」さんがどこで出演しているかですが、義貞に義助の敗戦を「足利…尊氏にござります!」と伝える武将役ですね!顔が泥で汚れてわかりにくいのですが、声でわかりました。



#8818 
NF 2010/12/18 21:50
まだまだそんなものなのかもしれません

>徹夜城様
>史学史レジュメ
よろしくおねがいいたします。

 ところで、漫画に限らず、しかもいわゆる「保守」に限らず、娯楽文化全般に対する認識がそんなものなのかもしれません。家永三郎さんの「日本文化史」でも化政期の町人文化に対しては「人生と真剣に取り組んで、内的情熱を傾けて創作に当ろうとするまじめさをもっていなかった」とバッサリ切り捨て個々の人物・作品についても人物が類型的で勧善懲悪の型にはまってるとか刺激的な残虐場面で見るものの末梢神経に訴えているだの美人画は個性がないとか否定的な評価が並んでいた覚えがありますから。まあ、昔の著作だからというのはありますが、どちらかといえば革新的な側に分類されるであろう人が過去の古典と化しつつある文化を評価してこれですから、現在進行形の文化に対しては言うまでもないのかな、と思うわけで。とはいえ、癪に障る展開なのは変わりませんが。
 まあ、漫画が文化の王道じゃないのは別にそれでよいと思うのです。この国の場合、文化の王道として扱われた時は実際には文化としては死につつあるときですから(逆に文化として牽引力がなくなったから「王道」として祭り上げられるようになるのかもですが)。海外でもまともな文化としては実は扱われず「負け組」御用達みたいになってるとの話もありますが、それもまた大いに結構。現実世界でままならぬ人々の魂の慰めになっているのなら、元来の存在意義を果しているといえるでしょうから。

>室町幕府論
面白そうですね。書店で探して呼んでみたいと思います。「征夷大将軍」「幕府」と一口でまとめられてはいても、「鎌倉=中世、有力豪族連合体」「江戸=近世、集権的専制政権」と大きな違いがありますし。良くも悪くも「室町=過渡期」といったところでしょう。そういや、今谷明さんの初期の作品だったと思いますが、禅寺の所領は実質的には中央政権の直轄領的な性格があったそうですね。ただ、実際に領地経営していたわけではなく禅寺に委任して金の要り様な時に色々な口実で供出させる「打ち出の小槌」扱いだったと聞いています。かつては独立した権門として先進的技術や広大な所領を有していた寺院をある程度組み入れつつあり広大な所領も手に入れつつある一方、直接領地や人材を把握しているわけではない辺り、いかにも過渡期っぽい感じがすると思ったものです。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8817 
徹夜城(一応漫画描きのはしくれのつもりの管理人) 2010/12/14 23:42
世の中まだまだそんなもの?

>民本主義者さん、NFさん
 都の条例、明日にも本会議で可決という流れですが、漫画界・出版界はとことん抵抗を示さなきゃいけないでしょうね。今後どう運用されるかが問題なわけで、強く声をあげて監視していないと「さらに次」がある可能性も高いですから。
 正直なところこれで即座にコミケがつぶされるとか、一般漫画に規制がかかるとまでは思ってないんです(すでに成年指定されてるものより一般のほうが危ないとは思ってますが)。条例の条文じたいがあいまいさを残してますんで、そこを逆手にとって強く声を上げることで実質ザル法にしちゃうしかなかろうと。とにかく油断しないことですね。
 …あの志布志事件のときの県警本部長がこの件の旗振り役、なんて聞くと空恐ろしくなりますが。

 しかし今度のことで改めて思ったのだが、なんだかんだ言われつつ、漫画ってのはある意味「日蔭者」なんだなぁ、と。今度の条例は露骨に漫画だけを狙い撃ちですからね。政治力がないってことでもあるんでしょうが。
 ま、もともとメジャーで王道を行く文化ではなく反体制的・ゲリラ的要素(南北朝風に言うと悪党(笑))で突き進んでナンボの文化かもしれません。日本の世界に冠たる文化とかなんとかおだてられてましたが、今度の件でのマスコミや政治家も含めた反応のにぶさ(有名マンガ家もかなり発言をしたんですがねぇ)には、まだまだ世の中そんなもんかい、と思っちゃいました。
 石原都知事はもともとあんな人ですから特に驚きはないんですが(それにしてもかなりの問題発言をしてるはずなのに、やっぱマスコミって彼には甘いな)、僕がかなりがっくりきたのが猪瀬副知事のほうで。漫画ファンの抗議の声を「ネトウヨ」だの「人生行き詰まり」だのと決めつけ、「本物の女性のほうがいいぞ」と的外れな発言もしてました(この人にしてこういう偏見なんだと)。取材しようとした漫画評論の人に「夕張へ雪かきに行ったら受ける」とわけのわからない反応をしましたし(オタクどもは肉体労働を命じれば黙ると思ってるらしい)。この人、仮にも「作家」で漫画の原作もやったことがあるはずなんですが…かつて「無駄な公共事業」を叩く急先鋒のイメージがありましたが(そのころから不思議と石原好きでしたけど)、東京オリンピック誘致の急先鋒になっちゃったのには呆れたもんですが、ここまで頭の古いお方だったのかと驚きもしました。これがもしかするとポスト石原?などと言われてるわけで。


>NFさん
 実は「てこ歴」、次もその次も竹田日恵さんの本の予定です(爆)。最近こんなのもあったのか、という本を見つけましたので…もうお亡くなりになったそうなんですが、こうしてネット上でネタにし続けるのも供養になるというものでしょう。

 南北朝史学史はこれから読ませていただきます。もっとも僕も専攻じゃないので(ご存じのように、「倭寇史」で東洋史畑ですから)どこまでちゃんとしたことが言えるかわかりませんが。
 そうそう、昨日書店で早島大祐「室町幕府論」という本を買いました。まだ半ばまでしか読んでませんが、これまで弱体政権のイメージで語られがちだった室町幕府を財政・宗教面などから再検証する内容で、少なくとも前半においてはかなり強力な政権だったというアプローチをしてます。少なくとも鎌倉・江戸幕府とは評価の観点を変えなきゃいかんでしょうね。
 この本で初めて知ったんですが、後円融天皇の生母の仏事で義満が金銀をばらまくという派手なパフォーマンスをやって後円融のメンツをつぶしたという一件があったんだそうで…うーん、これは「室町太平記」で使いたかったところですな。結構知らない話っていろいろあるもんです。



#8816 
NF 2010/12/12 16:58
色々吐き出してしまいました(汗)↓

大変ご無沙汰しております。その間に「史点」も数回、「てこ歴」にも竹田日恵先生が再臨とは。何というか、「時空を超えてあなたは一体何度―――我々の前に立ちはだかってくるというのだ!!陳寿!!!」って感じな「解読」ですねえ。まあ、南北朝ものの方が斬新さでは上だった気はしますけど。

 ところで、南北朝研究関連の歴史を史学史っぽく以下↓でまとめてみました。
ttp://trushnote.exblog.jp/14546771/
つきましては、僕は歴史学をちゃんと修めた人間ではありませんので、おかしな解釈やら見落としやらをしてそうな気がします。もしよろしければ、おかしな点がないか等を御教示いただければありがたいのですが。

>ウィキリークス
何だか、我が国の防衛機密漏洩の話題が一気に吹っ飛びましたね。人間のやる事は意外にどこも隙があるもんだなあ、という気が。徹夜城様が
>暴露するネタはそれなりに選んでる
とおっしゃってましたが、確かにそうかもしれません。今のところ、驚天動地なネタはなく「ああ、やっぱり」とか「なるほど、そんなところかも」といった話ばかりな気がしますので。まあ、下手なものを漏洩させて戦争の火種になられても困りますから。

>都青少年条例
 とうとう通ってしまうのですね。出版の拠点を一箇所に集中させるのは危険ですねえ、どうやら。東西南北の中心都市いくつかに分散させた方がよいかも。南北朝研究を例に取ると、皇国史観が東大を席捲して冬の時代に突入した際にも京大である程度自由な気風が残っていたので枯死を免れた前例もありますし。それにしても、都知事や副都知事はある意味正直というか、同性愛やら漫画やらに露骨な差別感情を撒き散らしてくださったのには何というか。…歴史的に見ると日本は同性愛には寛大というかそれこそ「野放図」(朝鮮通信使を呆れさせた前歴あり)だったんですがねえ。彼ら「保守」の人たちが前近代を否定して西洋化された近代を崇拝してるのは知ってますが、それなら「武士道」を鼓吹するのはいかがなものかと。武士道と男色は切っても切りはなせない関係にあるわけですし。で、最も濃ゆくそうした傾向が煮詰まった薩摩(維新期、明治天皇にお供した際に天皇に懸想する歌を歌ったという話も)によって近代日本が作られたので、その影響を受けた軍や学生を中心に…。すみません、話が下品な方向に流れましたので少し話題を転換しますと、副都知事曰く「漫画好きは人生が行き止まりな人が多い」との事でしたが、順序が逆でしょうに。人生がままならないから、物語に一時の救済を求めずにはいられないのだと思いますが。現実世界での恋愛経験の有無に関係なく。まあ、結論しますと近代を含め彼らが理想とする「日本」なんてどこにもなかったんですけどねえ。彼らが大好きであろう、日本海海戦を支えた英雄の一人は漫画オタクでしたし。
 ちなみに、物語を道徳やら何やらで云々する事に関して本居宣長は「紫文要領」で「物語や詩歌は人間の自然な感情を表現し描き出すためのものであるから、道徳的に見て『悪い』人でもよい人として描かれうるし道徳的に見て問題ない人でも悪い人として描かれる事はある。物語には物語の、道徳には道徳の役割があるのだから物語に道徳の物差しを持ち込むのは間違いだ。たとえるなら美しい花を咲かせる桜の木を切って薪にするようなもので、愚か極まりない事ではないか」という内容の事を言ってます。日本精神を生涯追い求めた宣長先生が、この「保守」な条例を見たら何とおっしゃるやら。

 すみません、久々だというのにやたら長文になってしまいました。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#8815 
民本主義者 2010/12/11 12:51
「不当に賛美」って何やねん

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101211-00000006-mai-soci
「<都青少年条例>民主も賛成、成立へ 付帯決議で配慮
(略)改正案は11年7月1日施行の予定。強姦(ごうかん)などの刑罰法規に触れる性的行為などを「不当に賛美・誇張」した漫画やアニメの描写を18歳未満に販売することを規制する。」(引用終了)

じゃあ、正当に賛美すればいいのか?と、誰か突っ込まなかったのかな?
これでコミケがさびれたら、どこかの財政破綻した自治体が「非実在青少年特区」としてコミケを誘致するなんてことが起きるかも。旭川で夏コミ、冬はどこか南方で、とか。

真面目な話、「18歳未満に販売することを規制」に異議はないんですよ、どこかに歯止めはなきゃいけませんからね。しかしそれを審査するのは第三者機関にするべきだろうと思います。
都知事がかつて書いた小説も漫画化したら、確実に引っ掛かりますね。
以下のSF作家・と学会会長の山本弘氏のブログを参照してください。
http://hirorin.otaden.jp/e95490.html



#8814 
徹夜城(今年の漢字をさっき見届けた管理人) 2010/12/10 14:26
今年の漢字は「暑」だそうな。

 12月の今頃言われてもピンとこないなぁ…この手の「今年の〜」ってのは記憶の新しい秋以降の話題がよく選ばれるもんですが。確かに猛暑だったけど、「今年の漢字」に選ばれるというのは正直以外。


>マルクスの恋人さん
 お互いネタと分かったうえで…とも思うのですが、読んでる人でも誤解があるといけないので補足しておきますと、「違法行為を不当に賛美」ってのは例の都の健全育成条例の問題部分をネタにしてからめた表現ですので、僕自身がウィキリークスを「違法」ととらえているわけでも、マルクスの恋人さんが「不当に賛美」してると思ってるわけでもありません。
 今度のアサンジ氏の逮捕の件でロシアのプーチン首相が「欧米だって民主主義などと言えた義理か」という趣旨の皮肉を言ったそうですが、まぁ確かにそんなところはあります。

 ところでその都の条例のほうは、ここ数日間の漫画関係者のアピールにも関わらず、どうやら都議会民主党も賛成に回って可決の方向、と報じられております。成立したら即座に何か弾圧が始まるとは思いませんが(どっちにも拡大解釈は可能なので)、山中恒さんも言ってたように戦中の警察による「公序良俗に反する」という口実による出版物弾圧の前例もあるわけで、ほんと油断してると日本だってよその国のことなど言ってられないかもしれません。


>前回の書き忘れ
 「龍馬伝」の龍馬暗殺が通説通りの「見廻組」になったことでの連想ですが、先日新聞の書評欄で「龍馬史」という最近出た本について読みました。この中で作者は龍馬暗殺の背後に薩長を見る声が強いのは龍馬を大物にしたいという願望があるから、と指摘してるそうで、もう龍馬をそこから解放してやったらどうかという趣旨を書いてるらしいですね。
 信長に関しては僕はあまり大きな背景はなく、限りなく「事故」に近いという印象を持ってまして…本能寺の変の黒幕探しっていうのも龍馬と同じで信長を大物化したいという願望の表れってところがあるでしょうね。



#8813 
マルクスの恋人 2010/12/10 04:20
神出鬼没、驕った巨悪は足下すくう、それが彼ら、ウィキリークスだ!

すいませんが、私の書き込みのどこに「違法行為の不当な賛美」があったのでしょうか。
ウィキリークスが不法行為を働いていると、具体的にどんな法律や条約のどんなところに反していると、具体的な告発をした検察官や弁護士が、世界のどこかにいるのでしょうか? チンピラ以下の凶暴な因縁をつけている輩なら、北米大陸あたりに大勢のさばっているようですが。暗殺や拉致の脅迫が違法行為であることぐらい子供でもわかるでしょうに。そして、脅迫犯に対し、自国民を護るどころか逆に迎合しているジラード労働党政権の態度もまともでないことが。

http://www.theaustralian.com.au/in-depth/wikileaks/dont-shoot-messenger-for-revealing-uncomfortable-truths/story-fn775xjq-1225967241332
出頭直前にアサンジ氏がジ・オーストラリアンに託した声明文です。
http://longtailworld.blogspot.com/2010/12/dont-shoot-messenger-for-revealing.html
和訳している人も見つけました。

ウィキリークスが違法行為(例えば、米外交官へのスパイ活動の指示)を暴いたことはあります。が、ウィキリークスがどんな違法行為を働きましたか? 百歩譲って、違法行為だとしても、それは、例えばナチス支配下のポーランドでユダヤ人を匿う行為みたいなものだと私は断言します。

「白鳥の首のエディス」風に言うなら、ウィキリークスの暴露が、投資銀行家、アメリカの軍人、はでな暮らしのうさんくさい芸能人、資本家どもにだけ忠誠を誓った法律事務所に向いているのならば、称賛しないわけにはいきません。

深刻になるので余り詳しく書きませんが、投資銀行やその手下どもがリーマンショックの前後に何をやったか、私は香港で被害者同盟のデモに遭遇してショックを受けた経験があるのです。何が違法なんだ? 何が悪なんだ? ということを真剣に考え込まざるを、そして、あの人たちの力になれない自分の非力さと、貧乏人が一生かけて貯めた虎の子を騙しとって大威張りしている連中への憎悪を憶えざるを得なかった。

ですから、そんな連中に一撃食わすことができそうなウィキリークスには私は全面的な期待と称賛を送るのです。



#8812 
徹夜城(三世のお爺さんの方の研究サイトをやってる管理人) 2010/12/09 23:51
違法行為の不当な賛美?(笑)

>マルクスの恋人さん
 なんかすっごくハマってますねぇ(笑)。山田康雄の声で脳内再生されちゃいましたよ。
 ですがルパン三世が「泥棒」であるように、“違法行為”を不当に賛美しますとどこぞの都知事と副知事がムキになってる条例に今後ひっかかる恐れが(爆)。あれでいくと「ルパン三世」だって十分ひっかかるわけで。まぁ実はアニメ制作スタッフも「盗みが失敗するオチ」を多くすることで配慮はしていたという話は聞きますし、外国ではルパン一味を無理やり「探偵」に設定を変え、セリフを変更して放送している例もあるそうです。
 実は元祖の「アルセーヌ・ルパン」だって本国フランスでは「犯罪小説」であるために学校の図書館はダメだとか、いろいろ事情はあるんだそうで。フランスとカナダで製作されたアニメ「アルセーヌ・ルパン」も泥棒をするシーンは一切なく「バットマン」みたいなノリになってました。
 ま、日本でも南洋一郎のポプラ社版はルパンをあくまで「義賊」と位置付けて「悪い金持ちから奪って貧しい人々にほどこしたり慈善事業に寄付する」というオリジナル設定をつけくわえてましたからね。原作では「他人のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」と堂々とおっしゃるかなりのワルなんですが(笑)。

 次回「史点」でウィキリークスの件は取り上げようと思ってるのですけど、なかなか書けないうちに次から次へと新暴露が出て、とても追いつきません(汗)。とりあえず身柄は拘束されたようですが容疑が下半身がらみなのが「いかにも」的であります。そのうち本当に消されたりしたら今日昼間にBSで放映していた山本薩夫の映画「金環蝕」みたいなオチになってしまいます。
 まぁ面白いっちゃあ面白いですし、アメリカの外交官もけっこうアケスケに公電を打つんだなぁ、などと思っちゃいましたが、あれでも暴露するネタはそれなりに選んでる気もしますね。


>黒駒さん
 かなりレスが遅れてしまいましたが、実は「龍馬伝」、ラスト2回だけは見ておりました。暗殺シーンは思いのほかアッサリでしたね。「愛媛県知事選」のテロップが話題をよんだぐらいで(笑)。
 岩崎弥太郎も甲斐源氏、という話題で思い出しましたが、板垣退助は武田信玄の家臣として有名な板垣信方の子孫ってことになってたような。


>小覇王さん
 こちらもブログを拝見しました。実はテロップの件でのギャグはほぼ同じことを考えておりまして…(笑)。愛媛に和歌山ですもん、できすぎですよねぇ。
 「太平記」の「湊川の戦い」におけるテロップですが、当時の気象警報のたぐいでして、地域によって出た時間帯が異なるようです。僕が持ってる当時の録画では「茨城県に暴風波浪洪水警報」というテロップが「桜井の別れ」のシーンでかぶさってます。



#8811 
マルクスの恋人 2010/12/08 18:43
♪You are SUPER HERO,the hero of today,Yeah!

「俺の名はジュリアン・アサンジ。かの名高き内部告発サイト、ウィキリークスの創始者だ。
 世界中の巨悪が俺に血眼。だが、ひるまないんだな、これが。
 俺の仲間たちを紹介…できない。今のところは。
 さあて、世界中から集った仲間たちに囲まれて、今週はどんな機密を暴露してやろうかな…」

彼のような存在に、子供の頃から憧れていました!
暴力と財力を嵩に着て、エラそうに威張り散らしながら裏で人民を踏み躙る巨悪どもに敢然と立ち向かう天才ハッカーとその同志たちなんてこれほど燃える存在が、劇映画の世界にすら存在したでしょうか?
もうルパン三世も霞んじまうよ。もう長いことルパンはつまらんヤマしか踏んでないし。インターポールもどえらい評判を下げて。それとも先祖帰りした(前大戦中はナチスの下部組織)のか?

「Super Hero」の出だしのコーラスの「♪ LupinLupinLupin the Thir〜d」のところを「♪ JulianJulianJulian Assa〜nge」にできないか、そのことばかりが頭を離れないんです。



#8810 
黒駒 2010/12/03 04:17
岩崎弥太郎も甲斐源氏であるそうな

>小覇王様
ブログ、拝見させていただきました。なかなか手厳しいですね(笑)。私は前述の通り好意的だったのですが、いま思えばあれはNHK的な手法にも思えますね。NHKのドキュメントとか、やっぱりあれも偏向であると批判されちゃいがちなところであるのですが、私はNHKの中立性だと思うのですよね。相反するような立場があった場合、真実を探求して番組側で妥当な方を提示するのではなくて、証言者のプライベートに落としこむとでもいうのでしょうか、なんとかさんはそのときなぜそうしたのか、そう思ったのかを、具体的なディティールで紹介するような感じですかね。大河でも今井信郎さんという「証言者」がおりますから、今井さんはなぜ竜馬を・・とNHKのドキュメント的なように思えちゃいました。

陰謀説よりも逆にそちらのほうがしっくりくる印象ありましたから好意的評価ができるのですが、竜馬暗殺よりも本能寺の変でそろそろ陰謀説をやってほしいなぁと思いますね。本能寺の変は明らかにそれで歴史が変わった政変ですから、明智光秀はなぜ信長さんを・・と私怨に落としこむのには違和感を感じます。

>「甲斐源氏」展
最近、山梨県立博物館の秋季企画展「甲斐源氏」展をみました。新羅三郎義光から甲斐源氏の一族を安芸・若狭武田・南部・小笠原、はては蠣崎(松前)など網羅的に紹介した企画展で、「信玄」抜きの甲斐源氏・武田展といったところです。武田研究では網野善彦氏が「武田以外の甲斐源氏の一族、あるいは甲斐における甲斐源氏以外の諸族にも注目すべき」という指摘をしていて、同館は網野氏が構想に携わっていたりします。

甲斐源氏の発祥は、管理人様のお膝元の常陸ですね。最近はずばり「武田」と記された墨書土器が出ているそうですよ。こちらで紹介したいのは、武田・南部・小笠原と甲斐源氏の三氏族がいずれも南北朝で飛躍していることです。武田は鎌倉時代に頼朝の粛清を受けて没落してしまうのですが、承久の乱や元寇で西国にも知行を得て、若狭守護の武田信武は足利尊氏の近臣として南北朝で活躍していますし、甲斐に残留していた一族では武田政義が南朝方に属しています。武田信武は甲斐に再土着して、信玄に至る武田宗家となりますね。

また、小笠原も南北朝で信濃に進出していますし、南部もこのころ東北へ移住していて、南北朝は甲斐源氏のような武士団にとっても飛躍の時代であったのだなぁと思いました。その反面、没落した氏族もおりますけど。

あと興味深かったのは、甲斐源氏の同族意識によるネットワークです。たとえば小笠原氏では戦国時代に信濃守護の小笠原長時が信玄に追われて没落し、上杉謙信を頼って川中島となりますが、京には同族の小笠原氏や同族を自称する三好長慶がいて、長時は都に亡命して彼らを頼っているのですよね。あるいは、若狭武田は日本海交易において南部氏や北海道と交流しています。北海道では松前氏の始祖武田信広が若狭武田の後裔を称していて、信広伝承自体は怪しいものであるのですが、東北には南部や浅利氏など甲斐源氏の諸族がおりますから、蠣崎氏が北海道に地歩を得る過程で甲斐源氏の由緒を主張することは効果的であったのではないか、とのことでした。

これは展示で紹介されていた内容とは違うのですが、個人的には勝頼末期の外交を思い出しました。勝頼は武田滅亡以前に対北条同盟として佐竹氏との同盟や、房総諸族との同盟を得ているのですよね。佐竹氏は武田の祖源義清の兄弟子孫から分出した一族であったはずですから、もしかしたら同盟に最しては同盟の誼もあったのではないだろうかと思いました。房総には上総武田もおりましたし。

このように、「武田一族」「甲斐源氏の一族」とレンズを引いていくと列島規模の交流などが見えてきて、日本史もなかなか海上世界に負けず劣らずのスケールがあるものだと思いました(笑)。



#8809 
小覇王 2010/12/03 00:18
阿部寛の源為朝がみたい!

どうもおお久しぶりです。
大河「龍馬伝」なんだかんだで久方ぶりに1年通して見た大河ではありました。なんだか最終回はテロップが入る、という事故(?)のおかげで別の意味で話題になってましたが。個人的に「太平記」湊川で楠木正成と正季が互いに刺しあう武田鉄矢渾身の演技の時にニュース速報のテロップが入ったのを思い出しました。
来年は浅井三姉妹だそうで、さすがに戦国、幕末は少し食傷気味です。とりあえず第1話だけ見て、その後どうするか・・・
再来年は平清盛だそうで若い頃から描くならこれまであまり映像化されてない部分も映像化されそうで少し楽しみではあります。個人的には源為朝を誰が演じるかとか前半部分が楽しみです(後半は散々映像化されてるので)。
 


http://d.hatena.ne.jp/susahadeth52623/


#8808 
黒駒 2010/12/01 13:14
龍馬伝、最終回

管理人様がご覧になっていない大河の話で恐縮ですけど、龍馬伝最終回見ました。

黒幕を誰として描くかが話題になりましたけど、ふたを開けてみたら「史実通り」でしたね。明治維新というのは武家層の大量失業という裏面があるのであって明治後に竜馬は存命していたとしても複雑な後半生であっただろうと私は思っていたのですけど、「龍馬伝」でも最終回直前でこの視点を出して、竜馬暗殺にまでつなげてましたね。竜馬暗殺というと薩摩・長州等黒幕説と大きな政治的陰謀ばかりを考えるものと思うのですが、史実において竜馬暗殺犯とされている今井信郎という人物がなぜ竜馬を殺したかとそこを問う視点で、正面からの路線は盲点を狙っていたのでしょうね。

大河ドラマのみならず歴史創作には「史実に忠実」であることが評価軸にされますけど、史実に忠実に描くということは、なぜ歴史が史実のようになったのかを創作者の解釈を加えて描くことなのだなぁと思いました。龍馬伝は社会派のふりをしたエンタメであるフジテレビ版「白い巨塔」のような作品である印象でしたけど、最後の最後で歴史創作の模範を見せてもらったような気がしました。



#8807 
徹夜城(五年ぶりに某コーナーを更新した管理人) 2010/11/25 18:25
松ケン清盛、正式発表。

 噂をすればなんとやらで、再来年の大河「平清盛」の松山ケンイチ主演が本日正式発表となったようで。
 瀬戸内海の海賊をまとめて一族をひきいる「ゴッドファーザー」というノリだそうで(笑)。松山ケンイチなら迫力は出そうですが、あとはシナリオ次第でしょうね。
 「マツケン」といえば松平健さんも以前TBSの正月ドラマで清盛をやってましたが…

 さて本日付で突然某コーナーを更新しました。五年前にすぐ書くつもりだったのに、ズルズル放置していたやつです。そういうところが我がサイトにはあちこちにあるので、少しずつでも解消していきたいもんだと(^^;)



#8806 
徹夜城(今日一日いろいろ執筆に明け暮れた管理人) 2010/11/23 23:31
何やらキナくさいニュースが…

 朝鮮半島方面から入ってきたニュースには、尖閣騒動なんて生易しいもんだと思ったりもしましたが、一歩間違えるとシャレにならん話。もっとも春には軍艦一隻撃沈されて40人以上の死者が出ていたわけですが。とかくあの国についてはみんな「よくわからん」と首をかしげるばかりです(TVでも専門家同士で正反対のこと言ってたりするし)。

>tomohiroさん
 「平清盛」の松山ケンイチ主演説は現時点では日刊スポーツがスッパ抜いただけで確定ではないはずです。もっとも過去にもこの手のフライング報道はだいたい当たっているんですけどね。
 まぁでも松山ケンイチ、と聞いた時には僕は「いける」と感じましたね。ドラマの清盛のイメージをどう構想してるのかはスタッフのみぞ知るですけど、これまで流れた情報から察すると割と無骨な清盛になりそうで、その意味では松ケンさんの表現力は当たっているんじゃないかと思ってます。
 「カムイ外伝」でカムイまで演じてしまい、「ノルウェイの森」でも主演のこの人、もう彼ならなんでも演っちゃうんじゃないの、と冗談半分でささやかれていまして。
 大河の「清盛」で注目するのは清盛の死までで話を止めるのか、という点ですね。壇ノ浦の平家滅亡とかはエピローグでさらっとまとめるのかもしれません。



#8805 
tomohiro 2010/11/22 19:03
地上波だから莫迦でも分かりやすいものでok?

2012年大河の主演平清盛主演が松山ケンイチに決定したようですね。
私としては有る意味ミスキャストのように思いました。
この事に対して地上波であるから、莫迦でも分かりやすい物を作ればいいと
言う方がいらっしゃいますが、小生は地上波でここまで莫迦でも分かりやすい
物を作ればもっと劣化します。
そして、余所でovaやcsでニッチに偏った物を作ればいいという考えは
それはそれで歪なものが出来そうだなと他ジャンルのあり方もみて思っています。


http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#8804 
徹夜城(韓国大河の一本をようやく見終えた管理人) 2010/11/21 23:01
200話、見終える

 結局一年以上かかったかな…スパートかけたのはここ三カ月ぐらいでしょうか。
 何の話かと言えば、以前もここに書いた韓国大河ドラマ「太祖王建」をようやく見終えまして(「歴史映像名画座」にもさっさと入れました)。全200話という、長いものが多い韓国歴史ドラマの中でも飛びぬけた長さでした。ウィキペディアの記述によると当初150回の予定だったのが好評のため50話も伸ばしたんだそうで。だけど後半はかなり間延びした印象もぬぐえません。
 でもやっぱり元の歴史が「三国志」並みの面白さですからねぇ…かなりフィクションでふくらましているのも事実ですけど(ナレーションでわざわざ「ドラマ上の創作」と断るところが面白い)、なんだかんだで飽きずに最後まで見ちゃいました。ずいぶん昔からこの時代に目をつけていた僕としては、映像化はやはり感涙ものでありました。
 王建の伝記ドラマなのでその死まで行くのかと思ったら、三国統一であわただしくオシマイ(ラストのナレーションで分断状態の現代が見習うべきウンヌンってなことを言ってました)。このドラマのすぐあとに王建死後の高麗初期を描いた「帝国の朝」という実質続編的ドラマをやったためにこの作品のラストはあっさりになったんじゃないかって気もします。
 その「帝国の朝」も借りてみようとしたら、近所のTUTAYAはもう撤去。韓国史ドラマが次々と来るので借り手があまりいないドラマはさっさと片付けちゃうみたいですね。やむなく時代をさかのぼった「三国時代(朝鮮史の)」末期を描いた「三国記」なんて一見パチモンみたいのを借りてきましたが(笑)。
 王建の孫世代のドラマ「千秋太后」というのもBS朝日で放送していて(明日で最終回)録画して追っかけみてるんですが、序盤で王建が亡霊や回想で「出演」してるのにニヤニヤしてしまいます。


 そいでもって、「史点」も一カ月ぶり更新。珍しく僕の専門ネタがございます。
 それと…ただいまふと気が向いておりまして、長らく休止状態の某コーナーとか某コーナーとかを久々に更新してみるかな、などという企画も進行中。どこが動くのか、それは見てのお楽しみです(ホント、ほったらかしのコーナーが多すぎますもんねぇ)



#8803 
徹夜城(久々に時間がとれて映画をみまくった管理人) 2010/11/13 23:17
歴史映像名画座、更新。

 どうも、しばらく受験戦争で沈黙しておりました。とりあえず本日「歴史映像名画座」を更新。

 山本薩夫監督の「忍びの者」「続忍びの者」そして近年の「GOEMON」と、偶然にも石川五右衛門映画が三本も同時に追加(笑)。それで改めてリストを見てみると、大河「黄金の日日」「秀吉」でも出てきてますし、映画「梟の城」も実は五右衛門の話になっているなど、なんだかんだでよく出てる人であります。
 なぜか五右衛門というと「忍者」にされてしまうケースが多いのですが、可能な限り史実にのっとり、純粋に「戦国を生きた盗賊集団」として五右衛門を描いてみたいなぁ、という野望をだいぶ前から持ってるんですけど、なかなか形にできないでいます。

 今回追加したものの中に「ゾラの生涯」がありますが、これは最近見た中ではなかなか感動してしまった一本。結構映画的ウソもあるんですけど、こういう盛り上げ方はさすがハリウッドというところでしょうか。なんと1937年の作品。第二次大戦直前のこの時期にストレートきわまる反軍国主義を訴えたというのが興味深い。
 「ゾラの生涯」と題しつつ実は半分以上「ドレフュス事件」に費やされていて、アメリカ人好みの「裁判映画」の趣もあります。そこでのゾラの演説が延々と続くシーンの大迫力!アメリカ人、こういうのがほんと好きなんですねぇ(フランスの話だけど)。
 しかし「ドレフュス事件」の核心部分である「反ユダヤ人感情」については全く触れられないのが難。ユダヤ系も多いといわれるハリウッドですが、映画の中にそのテーマを持ってくるのは気がひけたということなんでしょうか。そのため冤罪問題はあくまで軍部の自己保身のため、国民世論も軍部の扇動、って感じに「わかりやすく」まとめられてしまうのですが、かなり不自然に見えるのも確かです。

 今回追加分に「桜田門外ノ変」もあるんですが…うーむ、事前に聞いていたのであんまり期待はしてませんでしたけど、やっぱり首をかしげるデキになっちゃってるような。佐藤純弥監督の「政治テロを賛美しない」という方針から襲撃がクライマックスにならないようにした、というのはわかるんですけど、襲撃をまず描き、原因を回想で語っていくやり方はやっぱり無理があるかと(素晴らしく上手いシナリオなら…)。
 これ、水戸&茨城の「地域おこし」映画なんですが、当初は史実に沿った「水戸黄門」という企画だったらしいんですね。次があるかどうかはわかりませんが、水戸となるとあとは「天狗党」ぐらいか…同じ吉村昭の原作があるし、今回とくに用もないのに武田耕雲斎(榎木孝明)がちょこっと出てくるあたり、その色気を感じてしまいました。



#8802 
徹夜城(アラン・ドロンの映画を見た直後に野沢那智の訃報を知った管理人) 2010/10/30 21:06
「小説で南北朝!」をやりたいな…と。

>さんにゃんさん
 どうも、はじめまして。また情報有難うございます。これはチェックしてみないと。
 コバルト文庫では「天姫」というのは目を通してるんですよ。登子(?)と北条高時がデキちゃってる、って設定のやつ。「マンガで南北朝!」に続けと「小説で南北朝!」というコーナーも長いこと企画中でして、その一作として読んではみたんです。ここにまたひとつ増えちゃうことになるわけですな。

 「マンガで南北朝!」も情報追加をしようしようと思いつつズルズルと…「山賊王」も終わっちゃったし、正成マンガが最近妙に多かったりで追加しなきゃいけない情報が多々あるんです。



#8801 
さんにゃん 2010/10/30 14:32
コバルト文庫で南北朝

こんにちは。いつも楽しく拝読しています。
こちらのコンテンツにマンガで南北朝!がありますが、ジュヴナイル(少女)小説でムロタイ物(?)を発見したのでご紹介します。

阿部暁子『室町少年草子 ―獅子と暗躍の皇子』集英社コバルト文庫

主役は鬼夜叉、若き将軍様と管領の爺や、おしのびのさるやんごとなき筋に、バサラなお方までご出演?で、コバルト文庫ではあるものの、きっと徹夜城さんにはお楽しみいただけると思います。ふつうにBLの苦手な方が気にするような描写はありません。
既出でしたらごめんなさい。

http://www.geocities.jp/ochappy_l/


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