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#9400 
黒駒 2013/07/06 22:42


>ひでさん、さんにゃんさん
ありがとうございます。ちょっと誤解を招きがちですが、私は村井氏についてトンデモであると思っているわけではありません。それについては訂正します。

新書は岩波や中公は手堅いと思っているのですが(とっても主に読むのは中公なのですが)、私は古代史については初学者なので、ちょっとこれはどうなのだろうなと思った次第です。古代史の場合は史料的制約が大きく推論の上に推論を重ねる論になりがちなので、判別しにくくなるのかもしれませんね。

著者の年齢で判断するのも失礼な話だと思うのですが、傾向として若い著者ほど実証史学の方法論に基づいているようにも思えます。amazonの書評についてはおっしゃるとおりだと思うのですが、ただトンデモ・・というかこちらでは「ヘンテコ歴史本」ですね、の場合には、批判的な点数と盲信する点数に分かれがちになるのではないかなと思います。

学問に王道なしと言いますけど、ハズレの本もそれがハズレだと判読できるように多少は読むべきなのでしょうね。「ヘンテコ歴史本」もそういう世界に興味がなくはないのですが、あまりその手の本にお金を出したくないのと図書館で入れてくれないので、なかなか手が伸びません。



#9399 
さんにゃん 2013/07/06 22:34
平安時代の

黒駒さん

あいにくその新書は読んでないうえ、個人的な印象で恐縮ですが。
村井康彦氏は平安時代ご専門で、史料を真面目に読まれてると思います。
『出雲と大和』は、タイトルからしてもう少し古い時代がテーマのようなので、いささか専門外なのかもしれません。
また、文化史的なこともしておられて、その方面に長けた方は表現が濃くなりがちではあります。

あと、古い新書(←?)には参考文献が載っていないことがわりとありまして、お歳からしてそういうスタイル(これは論文ではなく新書)とお考えなんじゃないでしょうか。新書で参考文献を詳しく載せるのは、最近のことだと思うので。
…と、平安時代の本で勉強させてもらった人間の贔屓目でした(^^;

余談ながら「トンデモ本かまっとうな歴史本かの判断」の参考になるかどうかはわかりませんが、富山大学の朴斎先生のテキストが近いテーマを扱っておられるのでご紹介します。ご存知でしたらすみませんm(_ _)m
トンデモ「研究」の見分け方・古代研究編
http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/chubun/ohno/tondemo.htm

http://www.geocities.jp/ochappy_l/


#9398 
ひで 2013/07/06 21:56
新書なんてそんなもんですよ…

新書のような媒体だと、一般読者向けに少々威勢のいいこと言ったり、断定調になったりすることなんてざらなんで、あまり気にしてもしょうがないんじゃないですか。個人的にはもうちょっと慎重になってよと思う所はあります。

…というと、あまりにも実も蓋もないことなので、もうちょいましに。

トンデモ本(個人的にこの表現嫌いですが)と、まともな本の判別をつける方法としては、大丈夫だとは思いますがアマゾンは過信しない方が良いかと。どうも本の内容をちゃんと読んでいないであれこれ書いている人が意外と多いのと、本の内容と関係ないところにケチつけていることが多いこと、はじめから何らかの予断を含んだ形でケチをつけていること、そういうことが多いので。

まあ、著者が何を専門にしているのかをみたうえで、その人がどういう方面の研究をしているのか等々を調べてみた上で判断するしかないんじゃないかなと思いますが。CiNiiとか国会図書館の雑誌記事検索あたりで調べれば論文がいくつか引っかかるでしょうし。専門外のことを扱っている場合、ちょっとどうなんだろうという結論になることがおおいです。

参考文献表ですが、日本の一般書って意外とそこで手を抜いている本は多いです。外国の歴史書の翻訳物で参考文献を削るというのは非常に良くあることですが(それは正直なところやって欲しくないんだけどね)、日本史の本でも参考文献が付いていなかったり適当だったりする本は時々あります。

要は、著者がその分野についてそれなりに信頼の置ける書き手かどうかというところに尽きるんじゃないでしょうか。なけなしの銭をどぶに捨てたくなければ、それをするだけでも大部ダメージは減ると思います。

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9397 
黒駒 2013/07/06 14:56
これってトンデモ?

なんとなく岩波新書の村井康彦『出雲と大和』という本を読みはじめているのですが、これってトンデモ?という疑念をちょっと感じました。

古代史はその手の本に気をつけなければならないのですが、失礼ながら著者がお年を召していらっしゃる点(実証史学の方法論を十分にご存知なのか)、大胆な推論が多い点(邪馬台国とヤマト王権の関係は断絶していると断言している)、巻末に参考文献が一切記されていない点、amazonのレビューが星5つか星1つかの極端な点など(笑)、どうも怪しいという印象を拭いきれません。

トンデモ本かまっとうな歴史本かの判断って、どういう点でつければよいのでしょうかね。



#9396 
バラージ 2013/07/01 21:28
中国の大奥も恐ろしいところにございます……。

 最近、レンタル店に並ぶ中国歴史ドラマDVDは、おそらく日本人の視聴者が好むからなのか、やたら大奥ものが多いんですよね。以前紹介したドラマでは、『王妃 王昭君』『北魏馮太后』『楊貴妃』『大清風雲』『紫禁城 華の嵐』なんかが大奥ものですが、最近のものでは以下のようなものがあります。

『美人心計 一人の妃と二人の皇帝』……前漢・文帝の竇皇后が主人公。
『二人の王女』……唐の則天武后の時代、武后の架空の娘・安公主が主人公。
『王の後宮』……明の憲宗の時代、万貴妃の支配する後宮の架空の女官が主人公。
『宮廷女官 若曦』……清の康煕帝の時代にタイムスリップした現代女性が主人公。

 他にも正確には大奥ものではありませんが、『封神演義 逆襲の妲己』なんてのもあります。妲己役はルビー・リンという女優ですが、これはファン・ビンビンが妲己役の『封神演義』の続編なのかなあ? 『封神演義』は今BS11で早朝にやってますね。あと、BSフジでは『孫子《兵法》大伝』をやってます。僕はどっちも観てませんが。


 そういえば最近書店で『大楠公』(全1巻、作・天王洲一八、画・宝城ゆうき、第三文明社、DBコミックス)という南北朝マンガを見つけました。中身は読んでませんが、第三文明社ってことは創価学会系?



#9395 
黒駒 2013/07/01 17:30
実証主義歴史学

解説ありがとうございます。実は田中義成が『甲陽軍鑑』の史実性を否定したのは奇しくも久米邦武が「太平記は史学に益なし」とする論文を発表したのと同じ年、明治24年なのですね。『甲陽軍鑑』は地方史史料ということもあってさすがに皇国史観の影響はないと思うのですが、近代の実証主義歴史学で史実性を強く否定され、その後再評価され慎重に利用されるという傾向は似通っているように思えます。編纂史料は似通ってくるのかもしれませんけど。他には『太閤記』も似たような研究史を経ているようですね。



#9394 
徹夜城(二か月ぶりに史点を更新した管理人) 2013/07/01 14:29
太平記は史学に…

>黒駒さん
 「太平記」の史実性、ということではそれこそ日本中世史、南北朝史研究の歴史そのものが「太平記」との格闘だったと言ってしまっては大げさでしょうか。
 明治になって近代的な歴史考証が行われるようになると「太平記は史学に益なし」と断じられ、内容について様々な疑問が出されるようになりました。戦前の研究でも結構厳密な研究は行われていまして、「太平記」の批判的検証はあったんです。しかしやがて皇国史観的な流れが出てくると「太平記」の内容をそのまま史実と扱う風潮が強くなり(と言いつつ、後醍醐が批判されていることなど不都合なところには目をつぶる)実証的な研究はできなくなってしまいました。
 戦後ではそうした問題は克服されましたが、「太平記」はやはり難物のようで。一応の結論はその内容をそのまま鵜呑みにはできないが、他の資料と比較検証すると荒唐無稽と思われていた記述が案外正確であったというケースもあり、注意しながら使う分にはいいんじゃないの、といった感じです。たとえば後醍醐が討幕計画を「無礼講」のドンチャン騒ぎにまぎれてやった、という記述は面白すぎるフィクションと見られてましたが花園天皇の日記から実際にあったことだということが分かっています。楠木正成の千早赤坂などでの大活躍も多少の誇張はあるものの軍忠状などからそう荒唐無稽でもないと分かるようです。
 もちろん明白に間違いと分かっている記述も多いですし、中国故事や平家物語など先行する歴史物語に「重ね合わせ」をしようと強引に話を捻じ曲げてる節も目につきます。またあくまで「軍記物語」ですので、物語性が優先されて確信犯で日時を変えたり展開を変えたりしてるケースもあったはずです。物語ということではその後の展開の伏線となる不吉な前兆といったものが出てきますが、田楽桟敷倒壊事件のように実際に起こった事件がそうした伏線に使われている、という例もありますね。

 あと、物語的脚色が強いのは前半(鎌倉幕府滅亡〜建武政権崩壊)に集中している気もします。室町幕府の確立期を語る後半はやたら複雑な展開でゴチャゴチャと人が出てくる上に名将のたぐいも出てこないから物語的に面白くないんですが、この部分ではかなりしっかりと史実を追いかけているようで、歴史家からは「こっちが面白い」なんて言われてるくらい。やはりこの部分はほぼリアルタイムの同時進行で執筆されているため、ほとんどルポルタージュ文学になっていて表現が生々しいのかもしれません。

 自身もチラッと登場してもいる今川了俊は太平記を「間違いが多い」と批判してますが、それは今川家の戦功がちゃんと書かれていないことに怒っているらしく、「今度調査があったらちゃんと申し入れるつもりだ」とも語っていて、どうやら「太平記」は幕府がちゃんと調査の上で編纂作業を繰り返していたらしいことを示唆しています。それだけに後半になるとそれなりに正確を期してはいるんじゃないでしょうか、手柄話にうるさい武士たちの目があるわけですから(笑)。

 南北朝は他の時代と比べてそう史料不足というわけでもなく、軍忠状や公家の日記などでかなり詳しく再構成はできるのですが、全体をトータルでとらえるにはやっぱり「太平記」が道しるべになる、ということでもあるようですね。これがなかったら南北朝の全体像はつかめなかったんじゃないか、という歴史家の声もありますから。



#9393 
黒駒 2013/06/29 23:32
「太平記」の史実性

ふと気になったのですが、古典『太平記』の史実性ってどのくらいなんでしょうかね。

『太平記』や南北朝時代には不案内なのですが、私がメインフィールドとしている甲斐武田氏関係でいえば『甲陽軍鑑』の問題があります。『甲陽軍鑑』は江戸時代初期の成立で、編纂には生き残った武田の遺臣が関わっているらしいのですが、ただ史実にない合戦の存在やら年記の誤りやらを多く含み、近代の実証主義歴史学からは遠ざけられていた史料でした。

ただ、近年は国語学的な語彙の研究などで慎重姿勢ですが歴史研究に用いれると風向きが変わってきていまして、たとえば信玄死去を記した部分では、信玄の死の三年秘匿や武田勝頼がその子信勝の後見にあたれといったことは両方とも文書上からも確認が取れるもので、少なくともこの部分に関しては正確に記しているのではないかと、こういった利用がされるようになってきました。

南北朝では『南北朝遺文』で古文書はまとまっているようですが、『太平記』の内容と確実な古文書を付きあわせて、どれくらい史実性のある内容なのか検討した研究ってあるのでしょうか?ちょっと気になりました。

そういえば、これはある中世史研究者さんのツイッターで聞いた話なのですが、足利尊氏は征夷大将軍任官以前から「将軍」を自称していたことを示す文書はあるようですね。



#9392 
徹夜城(専門のはずの倭寇コーナーがなかなか更新できない管理人) 2013/06/25 23:29
倭寇と少林寺

>バラージさん
 これはどうも、面白そうな情報を。「少林武王」、ぜんぜん知りませんでしたが、日本でも発売していたことにちょっと驚き。倭寇がどうこうというより少林寺ネタのアクション時代劇ととらえるべきなんでしょうねぇ。
 ネットであらすじなどに目を通しましたが、やはり倭寇討伐というと戚継光の名前が真っ先にあがるイメージになってるということが分かりますね。もちろんそういう事実はあるんですけど、僕なんかは戚継光についてはあまり「倭寇専門」という印象がなくって。研究の対象が王直時代なんで、その段階では彼はまだ全面的には関わってなかった(兪大猷の方が深くかかわってた)せいもあるかもしれません。

 このドラマのヒントになったんじゃないかな、と思うのが、倭寇対策に実際に少林寺の僧兵が動員されていた事実なんですね。僕もちょこっと書いてある資料に目を通しただけですがそれほど大勢ではないものの動員されたのは確か。チワン族の女軍団なんかも動員してますし(これはアクション映画「忠烈図」の元ネタになった)、当時は明の官軍がアテにならず、いろんな方面の「プロ」を使うしかなかったということでもあります。戚継光だって私軍を組織しましたしね。

 それにしてもそのドラマに出てくる日本人の名前が…倭寇のボスが「大島正雄」、ヒロインの一人と思しき日中ハーフが「河野花子」とかなんですもん。あまりにも現代的すぎると注意してあげたいところなんですが、この手のことは結構多くて…。あと、やっぱり姓についての文化の違いなんでしょうか、あちらの詳しくない人が書いた日本ネタだと大昔でもみんな姓(苗字)と名前のフルネームで日本人の名前が呼ばれてることが多い。
 前にも書いたことですが、映画「新忠烈図」では、倭寇の名前が「中村一郎」だったり、やたらと「コンニチワ!」と挨拶したりと、ある意味正確を期してるんだけど時代劇としては明らかにおかしい、ということがありまして…ただ、日本で作ってる中国史ものも案外同レベルのことをしてるのではなかろうか、と危惧することはあります。

 あー、中国時代劇といえば、いまBSフジで「宮廷の諍い女」って邦題のドラマを見てます。いわゆる「大奥もの」でして、清の雍正帝時代の後宮が舞台。雍正帝を演じているのは「三国」の曹操役だった人。そういや以前の「三国演義」の諸葛亮役の方も雍正帝を主演してたことがありましたな。
 それをなかなか面白く見ておりましたら、BSジャパンの早朝に「クイーンズ長安の乱」を始めておりまして、こちらもついついチェック。中国大奥ドラマ二つ並行はキツいかなあ…このほかに「キングダム2」と韓国の「武人時代」全158回まで一緒に見てるわけですが(汗)。


>「報国」のその後
 とくに追いかけて調べてたわけではないんですが、趣味で調べてる中国連環画本をネットで眺めていて、あの宋の岳飛が「精忠報国」という入れ墨を彫っていた、という話があり、そういや「忠臣」の「報国」なんて言いまわしはこのあたりがルーツなんじゃなかろうかと思い当たりました。広瀬武夫が「報国」を使った「正気歌」だって宋の文天祥が元祖ですし、こういう宋の忠臣どもが日本のその手の傾向にいろいろ影響与えてるんだなぁ、と。
 そもそも江戸時代は宋学=朱子学がほとんど知識人の常識のようになっちゃってましたもんね。水戸黄門が正成をやたら称揚したのも、もともと庶民人気があったことに加えて、明から亡命した朱舜水が強く持ち上げたせいもあったといい、これも岳飛や文天祥のイメージを重ねてしまったとしか思えないんです。

>ひでさん
 そういや「史点」がサッチャー死去ネタのあと止まっておりました(汗)。今週こそなんとか書こうと思ってはいるんですが(贋作サミットがあるから)、どうももう一つそろそろ歴史的人物の訃報が入りそうな…と不謹慎なことを言っちゃったりして。
 山川の「人」リブレットは日本史の次は世界史というわけなんですね。鄭成功はチェックしておこうかな。



#9391 
バラージ 2013/06/23 16:36
倭寇が寺にやってくる

 またまた倭寇が出てくる映像作品を発見しました。レンタルDVD店にあった『少林武王』という中国の連続テレビドラマです。結構前にDVD化されてた作品で、ずっと目にはしてたんですが、手に取って見たことはありませんでした。ところがこないだたまたま手に取って裏面のあらすじを読んだら、倭寇討伐で活躍した戚継光という実在の人物の忘れ形見が主人公で、倭寇と結託した朝廷の悪玉が敵ボス、敵として倭寇も登場するようです。中身は観てませんが、まあ少林寺ものカンフードラマなんで歴史考証・時代考証はほとんどしてないでしょう。外国映画によく出てくるサムライ、ニンジャみたいなもんでしょうね。探してみれば倭寇の出てくる映像作品は中華圏や韓国の映画・テレビドラマにもっとあるのかもしれません。

 『セデック・バレ』は僕の地方では残念ながら劇場公開されないようです。全4時間もある上にR15指定だもんなあ。興行上の厳しさもあるのかもしれません。

 あと、過去ログ読み返したら、蛮社の獄関連の本のタイトルを『「蛮社の獄」について』と間違えて紹介していました。正しくは『「蛮社の獄」のすべて』(著者は田中弘之、出版社は吉川弘文館)です。どうもすいません。この本では、蛮社の獄とは、当時の社会に広がりつつあった鎖国体制に対する疑問と開国への欲求を幕藩体制の維持に必要な鎖国体制を揺るがすものとして、隠れた開国派である渡辺華山・高野長英らを見せしめのために処刑した弾圧事件で、異国船打払令の延長線上にある事件と結論づけています。華山と親交があったと言われる江川英竜は開国派とは真逆の海防派で、華山が海防派を装っていたために彼に接近し、華山はそれとなく江川を啓蒙しようとたが失敗。幕府、およびその忠実な手先の鳥居耀蔵は幕藩体制維持のためには鎖国が必要と認識していたが、海防政策は財政的にも技術的にも無理と認識していた。水野忠邦政権ばかりか開明的な阿部正弘政権も海防には終始消極的なままペリー来航を迎えている。鳥居は幕府に絶対的忠誠を誓う典型的幕臣で、性格は卑劣だが識見は確かな人物。海防が状況的に無理な机上の空論であることも、開国が最終的に幕府を崩壊に導いたのも、彼の見識通りだった。鎖国を祖法と設定した松平定信も同じ認識で、その認識が薄かった田沼意次の政策が幕藩体制を崩壊させると考えたため、あれほど田沼を攻撃した。江川は開国後も最後まで頑迷な海防派で、幽閉中に海防策の非を悟った高島秋帆はその後は江川を相手にしなかった、としています。なかなか示唆に富んだ本でした。



#9390 
ひで 2013/06/21 19:58
出版社の回し者じゃないですが(笑)

サッチャー元首相の葬儀が準国葬扱いというところは、なんともいえぬ微妙な感じがありますね。あれだけ民営化を進めた人が、最後は国も絡む形で送られるってのがねえ。実際、その辺の所をネタにしてケン・ローチが突っ込みを入れていたっけなあ、競争入札にして最安値の所にやらせろって。

話は変わりますが、最近山川出版社から「世界史リブレット人」というシリーズが出始めました。最初の5冊がアレクサンドロス大王、カール大帝、孔子、バーブル、ビスマルク、で、6月の予定がド=ゴールと安禄山というラインナップです。予定の100冊を見ると、かなり思い切ったラインナップになっているかなと思います(こう言うシリーズで始皇帝切ったりしてるし)。鄭成功と李自成もでるみたいです。王直はないですが。



http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9389 
つね 2013/06/18 23:34
広瀬の漢詩

報国寺については、報国寺に家時が葬られたのではなく、家時の墓があった別の寺が報国時に発展したのかもしれませんね。

さて私も少し調べてみました。

広瀬武夫の漢詩は辞世以外に「寄家兄言志」「正気歌」が知られているみたいですが、
それぞれ
「報國丹心期七生」「七生人間報国恩」という一節がありますので、
広瀬は常々「七生」「報国」というフレーズをそれぞれ気に入っていて、四言の漢詩にしたときに初めて「七生報国」という言葉になったような気がします。少なくとも有名になったのは広瀬の辞世からではないでしょうか。

あと幕末だと吉田松陰が「七生説」を唱えているみたいです。





#9388 
徹夜城(そろそろ贋作サミットの季節だと思った管理人) 2013/06/17 00:33
報国についての報告

 一週間ほど間が空いてしまいましたが、この間に例の「七生報国」について調べてみました。
 日本中世史の上横手雅敬さんの著書「日本史の快楽」を読み返してみましたら、この件に触れたコラムがありました。この本、前にも読んだことがあったはずなのにすっかり忘れちゃってたみたいで…(汗)。
 上横手さんも「正成は七生報国なんて言ってないだろ?」と疑問に思い、探索をなさったそうです。そしてひとまずその最初の例として日露戦争の旅順閉塞作戦で「軍神」になってしまった広瀬武夫の辞世の漢詩に「七生報国」の文言があるのを確認されてます。そのコラムではひとまずそれがルーツとされているのですが、どうも広瀬の教養からするとそれ以前の幕末段階で「七生報国」になっちゃっていたんじゃないかと僕は思っておりまして…前の書き込みでも「幕末にはそうなってた」と書きましたが、イザとなると実例が確認できない。上横手さんも幕末までさかのぼった例を提示していませんし。
 面白いのは上横手さんがさらに「七生報国という熟語として一般に広まったのはいつか?」と教科書をあたってみていること。戦前の国史の教科書でも「太平記」準拠で「七たび生まれて朝的を〜」となっていたそうですが、修身の教科書に「正成兄弟は七生報国を誓い」という表現が出てくる。ところがそれは昭和14年から17年までのたった四年間使われただけの教科書だった、というんですね。
 教科書以外の例として、昭和10年に正成没後600年の各種イベントで「七生報国」が盛んに使われたこと(この時期は「建武中興六百年」でやたら国粋的に盛り上がっていた)、さらにさかのぼって昭和4年にあの皇国史観の平泉澄が論文のなかで「七生報国」を使っていた例が確認できたそうです。「完全な解決は他日」としめくくられているのですが、その後確認はとれてるのか…?


>つねさん
 そのケッセルリンクの例からすると、尊氏も実は「ひきつった笑み」だった可能性もありますね(笑)。
 「報国寺」のことですが、足利家時は孫の直義の書状の中でも「報国寺殿」と呼ばれてましたから、菩提寺なのは間違いないでしょう。家時が「開基」となっていることについては何か伝承のミスか、あるいは移転・再建をしたものなのか。とっくの昔に死んだ坊さんを寺院の「開山」とするというケースは室町時代に結構あるんですけどね。



#9387 
つね 2013/06/09 01:08
全問間違い(笑)

・・・まあこういうこともあります(笑)。

(2)の「謎の微笑み」は、ドイツのアルベルト・ケッセルリンク元帥を思い起こさせます。神経症のために常に笑みをたたえているように見えて「微笑みのアルベルト」と呼ばれていたそうです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF

「死にたがる」は苦し紛れの回答で癖と言えるかどうか。フォローありがとうございます。

(3)は見事に引っかかりました(笑)。ところで「報国」について調べると「報国寺」が出てきて(一度、行ったことがあります)、由来を見てると「開基は(尊氏の祖父の)足利家時とされ、建武元年(1334年)の創建である。」とありました。

http://www.kcn-net.org/senior/tsushin/ttemple/taka0212/hk-yurai.htm

1334年時点ではとっくに死んでますが、なぜ開基なんでしょうか。開基はwikiによると、「寺院の創始にあたって必要な経済的支持を与えた者、ないし世俗在家の実力者(大檀那)を指す語」らしいのですが。




#9386 
徹夜城(今日は予定外で休みが取れた管理人) 2013/06/07 22:42
マニアッククイズ答え

 さて、先日の南北朝マニアックテストの正解です。

(1)後醍醐天皇を上回る子づくり記録の天皇は?
 答え:人数は未確認ですが、醍醐天皇なんだそうです。後醍醐さん、この点でもこの人を理想の君主とみなしたようです(笑)

(2)尊氏が戦場で見せた癖は?
 答え:「謎の微笑み」(笑)。尊氏を実際にそばで見ていたと思われる人物が書いた「源威集」のなかで「例の笑み」という表現が見られ、戦場、ことに厳しい戦況で良く見せる癖だったようです(「梅松論」でも夢窓の尊氏評の中に似た記述がある)。「死にたがる」も「太平記」の記述で見る限りは正解と言えますが…ちと誇張を感じるんですよね。もっとも室町幕府は「太平記」を検閲したらしいですからそのままになっているということは積極的に否定することではなかったということかも。

(3)「七生報国」と口にした南北朝武将は?
 答え:これはひっかけクイズ。正解は「そんなやつはいません」(爆)。まず「七たび人間に生まれて朝敵を滅ぼしたい」と言ったのはよくそう勘違いされている正成ではなく楠木正季であり(正成は「罪深い考えだがわしもそう思う」と同意しただけ)、その中では「報国」という言葉は一切ありません。
 この「報国」はいつからつくようになったのか、長年疑問に思ってるんですが今のところ正解が見つかりません。まず「大日本史」を疑いましたが、さすが史料重視の「大日本史」、本文の表現はあくまで「太平記」準拠です。次に「日本外史」を疑いましたがやはりこれも「太平記」準拠。ただし「国賊」という表現が出てくるのでここで「国」が入り込んできたのかも。幕末期には完全に「七生報国」になっちゃってたようで、明治以降は完全にそれ以外の表現がなされなくなってます。


>國姫卍坂本三十六さん
はじめまして。南北朝時代に興味をもっていただけたとは嬉しいです。なにせこの業界、やたらマイナーなもので…(^^;)
南北朝のゲームや漫画、たくさんあるといってもかき集めてこんなもので…他の時代と比較したら物凄く少ないんですよ。漫画に関してはあそこにまだ載せていないものをいくつか知ってますが、まぁたかが知れているというか…
ただ「キミノ名ヲ」は知りませんでした。護良親王ってなんだかんだで結構人気があるようでして…大いに活躍したのに父親に見捨てられた悲劇の王子様、ということではヤマトタケルに通じるものがあるのかもしれません。

>さんにゃんさん
ご紹介ありがとうございます!そんな倭寇漫画があったとは…
いやぁ、倭寇に関しては自分がやるしかないとひそかに思っていたりしましたが、ズルズルやってるうちに先を越されていたようで(^^;)。ここしばらく僕も倭寇から遠ざかってますが、まともにやると「三国志」「水滸伝」級の世界で、一度はちゃんと何らかの作品にしたいと思っております。



#9385 
さんにゃん 2013/06/04 10:32
カタリベ

ご無沙汰しております…。
以前、コバルト文庫の阿部暁子『室町少年草子』をご紹介した者です。
ご存知かもしれませんが、まんま倭寇少年アクションマンガを発見したのでご紹介です。石川雅之『カタリベ』2012年、少年画報社から新装版が出ました。

明朝時代、主人公の住む中国海浜部の村が倭寇に襲撃されて物語がはじまります。あやしい海の神様・バハン、琉球の中山王国、松浦党、村上水軍など登場しますが、物語自体はほぼプロローグで終わってる印象。
まあマンガではあるんですが、いろんな風景風俗がいりまじって描かれ、なかなか興味深いです。

http://www.geocities.jp/ochappy_l/


#9384 
國姫卍坂本三十六 2013/06/04 03:44
初めまして。

徹夜城さん、初めまして。

私は歴史好きで最近は南北朝時代に興味を持っている学生です。

それにしてもこのホームページ、南北朝時代好き初心者の私からすればすごく勉強になります!
そして、南北朝時代を舞台にした漫画やゲームはこんなにたくさんあるんですね!!
ちなみに私が知ってる南北朝時代が舞台の漫画やゲームなどはここのホームページには載っていませんが、『キミノ名ヲ。』と言う雛鶴姫と護良親王を主人公にした小説(と言っても最近女性に人気のケータイ小説です)とその漫画版ぐらいしか知りません…

まあ、『キミノ名ヲ。』は史実通りに話が展開されるので、ケータイ小説にしてはマトモな方です。是非、一読されては如何でしょうか?

それでは、夜遅くに長文で失礼しました。



#9383 
つね 2013/06/02 23:58
クイズに回答

せっかくなので回答。
(1)wikiでも調べると分かるんだろうけど、ここは勘で。
 うーん、さっぱり分からん。江戸時代あたりかなあと思うけど、このあたりは天皇名自体、思い浮かばないし。
(2)これも難しい。「死にたがる」とか(笑)。
(3)これは簡単。赤井英和だな。



#9382 
KMnO4 2013/06/02 06:48
用堂尼

東慶寺のサイトに詳しい説明がありました.お寺にとっての重要人物のようです:
http://www.tokeiji.com/history/yodo-ni/

お墓は鎌倉にやたら多い「やぐら」で,かなり立派な岩窟でした.松ヶ岡文庫の裏手になります.文系彼女はあちこちの文庫(東京で言うと,岡本静嘉堂文庫や前田尊経閣文庫など)に入り浸っているそうですが,松ヶ岡文庫はまだ中身を見たことがないなんて言っていました.ところで,「内親王じゃないのは何か理由があるのかしら」なんて言っていましたがぼくにはちんぷんかんぷんな話です.

上記サイトには,用堂尼は「護良親王の菩提を弔うために入寺された」なんて書いてあって,ここにも太平記の影がありますね.

今日はふたりで腰越の義経書状を見に行ってきます.個人的には,徹夜城さんの旅行レポートにあった,新田義貞が海を渡った地にいって,大潮の引き潮時に州が現れる地形なのか実地検分をしたいのですが,ぼくには行く先の選択権限はまったくないので(そのくせ地図読みは男の仕事だとして道案内を押しつけられる・・・),行けるかどうかは分かりません.




#9381 
徹夜城(定期テスト対策の問題作りに追われる管理人) 2013/06/01 23:55
南北朝マニアックテスト

 ちょうど今、中学生の社会の定期テスト対策プリントなんぞ作っていたんですが、たまたま南北朝時代がテスト範囲になっていたんですよね。しかしマニアックな問題を作るわけにもいきませんので、単純な問題ばかり(といっても中学生には十分複雑で難しい)しか作れず、ストレスがたまってまいりますので、代わりにここに南北朝マニア問題なぞ。

(問1)後醍醐天皇の子供の数は歴代天皇のなかで第二位です。ではこの人を上回る記録をもつ天皇は誰?

(問2)足利尊氏が戦場で見せた癖は何?

(問3)「七生報国」と口にした南北朝時代の武将は誰?

 ふと、思いついたところでこんなもん(笑)。お分かりの方はご自由にお答えください。正解は後日。


>黒駒さん
 そーですか、菊池武光だけで一冊きますか。すでに人物叢書で「菊地氏三代」もあるし、すでに「南北朝列伝」で菊池一族はあらかた書いちゃってるんですが、やっぱり手を出してしまうんでしょうねぇ。
 本と言えば、南北朝関連でトンデモ本が最近出ておりまして…「てこ歴」でやったもんかどうかちょっと迷ってます(笑)。現皇室は実は南朝系だ!と主張する本でして、先日僕もここで紹介した伏見宮系で幕末に「後醍醐の嫡流」とかぬかしてしまった宮様の話が元ネタになってます。

>appleさん
 これは、情報ありがとうございます。そうですか、東慶寺の五世になったんですか。応永三年というと南北朝統一を見届けて、結構長生きしたことになりそうです。母親が「基時朝臣女」ですか…えーと、この時代で基時というとだれだったかな…?



#9380 
apple 2013/05/31 22:21


「後醍醐天皇息女 用堂女王」ですが手持ちの本(集英社 人物日本の女性史5 政権を動かした女たち)に阿野廉子の章があり、そこに載っていた後醍醐天皇の系図によると「基時朝臣女」との間に生まれ、東慶寺五世となり応永3年に亡くなったと書かれています。



#9379 
黒駒 2013/05/31 19:38
南北朝関係新刊

戎光祥出版のツイッターに拠れば、中世武士選書シリーズの最新刊が川添昭二『菊池武光』だそうです。大内義弘に続いて、菊池武光の単著が出るとは驚きですね。なんだか南北朝はなかなか大河ドラマにはなりませんけど、新刊はちょくちょく出ているように思えます。



#9378 
徹夜城(早くも夏風邪をひいた?管理人) 2013/05/30 23:01
しばしほったらかしに…

 気がつくと10日以上こちらをほったらかしてしまいました。「史点」もなかなか更新できなくて、結局一カ月放置状態。ネタもたまってきたからぼちぼち書きたいとは思ってるんですが、ちとそのヒマが…

>五葉さん
 その後、今村昌平監督の「黒い雨」は鑑賞しました。この次に「歴史映像名画座」を更新したら第二次大戦ものの分類で入れておこうと思います。あれは話のメインは戦後の後遺症に置かれているようにも思いますが、原爆投下直後の模様もずいぶん描かれますよね。公開当時は見ていないのですが、どこかの映画評で「白黒でよかった」と書かれていたのを覚えています。かなりリアルな再現なので、あれがカラーだとそれこそキツかったのではないでしょうか。
 「仁義なき戦い」は広島現地の方はどう見るのかなぁと思っていたんです。ちょっと複雑なんじゃないかとも思っているんですが(実際関係者も少なくないわけですし)…ただ映画の撮影はほとんど京都でやっていて、現地ロケ部分はそう多くはないんですよね。
 それにしても当たり前とは思いつつ、「黒い雨」と「仁義なき戦い」、訛りがおんなじだ…

>KMnO4さん
 僕としたことが不覚にも「用堂女王」の存在自体知りませんでした。後醍醐天皇も子供が大勢いるからなぁ…実在は間違いないのでしょうけど、詳しいことが分からないです。時期的には後醍醐が隠岐に流されている間に鎌倉に来てたんじゃないでしょうか。
 「旅行で南北朝!」の鎌倉行きの記事に書いてますが、長寿寺は僕も行ったんですよ。ただし内部拝観はできなくて門前でストップでした。尊氏の分骨だか分髪だかがされていて「鎌倉墓」となっていて(あと京都と綾部にある)、関東では尊氏のことを「長寿寺殿」と呼ぶことになっていたそうです。

 鎌倉と言えば、僕自身は見なかったのでネット経由の情報なんですけど、先日テレビ東京の紀行番組で武田鉄矢が鎌倉を旅するものがあり、日野俊基の墓(これも「旅行で南北朝」で紹介してます)の前で「俊基とはNHKで一緒に飯を食ったんだよ!あいつこんなところで死んでたか〜」とのたまったのだそうで(笑)。武田鉄矢は楠木正成でしたからねぇ。俊基役の榎木孝明とNHKで顔を合わす機会でもあったんでしょう。ただドラマ中でセリフではお互いによく言及するものの、実際に一緒にいるシーンは一度もなかったはずで、厳密な意味では「共演」はしていなかったのです。



#9377 
KMnO4 2013/05/26 09:30
後醍醐天皇の娘さん

純粋理系人間のKMnO4が,文系彼女に連れられて鎌倉に行って参りました.

「縁切り寺」東慶寺に,「後醍醐天皇息女 用堂女王墓」がありました.こんなところにも後醍醐天皇の影が・・・とちょっと感心しました.このお寺は小林秀雄・鈴木大拙・岩波茂雄・西田幾太郎・野上弥栄子・前田青邨・太田水穂といった,「ぼくですら名前は知ってる」という文系的超ビッグネームの墓所となっているのですが(日本人初の金メダリスト織田幹雄もここに眠る),太平記と鎌倉の結びつきを改めて感じました.

地図によると,長寿寺に足利尊氏墓があるらしいのですが,彼女はあっさりそこを素通り.なんでも特別に拝観可能とかいう時期だったらしいのですが,見送りということに(鎌倉での道選びには,ぼくはまるで発言権がないのです).

さて,二人で地図を見ていたとき,「あれ,ここ何?」と首をかしげたところに行って参りました.鶴岡八幡宮の奥にある,今宮です.境内以外にはまったく何の案内板なし.まるで無視されているようなところですが,なんでも怨霊退散のために作られた社だそうで・・・なにしろ祭神が後鳥羽天皇・土御門天皇・順徳天皇です.文系彼女は説明を見てなるほどなるほどと頷いていましたが,わたしにはちんぷんかんぷん.ネットで調べてやっと事情が分かった次第.境内自体は,静謐で厳粛な空間でした.賑わう鎌倉にも,こういうところもあるのですね.

調べる過程で分かったのですが,鎌倉はけっこう血みどろの歴史というのがあるのですね.日本史を知る人には当たり前だったのかもしれませんが,ぼくにはかなり新鮮でした.




#9376 
五葉 2013/05/21 10:10
「仁義なき戦い」は広島の人も好きらしいです

徹夜城様、お返事ありがとうございます。
色々お考えになっての、原爆映画なし、じゃったんですね。私もあんまりたくさん観てる訳じゃないんで、偉そうなことは言えないんですが。リニューアルに期待しています。
広島に住んでいると、原爆は決して過去だけのもの、という感覚があんまりないんです。電車やバスに乗っていると降りる時に被爆者健康手帳を出す方(提示すると運賃が半額になる為)も多く見かけますし、人と話をしている時に「実は被爆した」とか「二世(もしくは三世)じゃった」とかいうことが判る時もたまにあります。また市として、原爆体験の継承を進める取り組みをしているようです。
このような継承の取り組みは大事なことと思いますが、一方で、今生きている人たちの中に原爆があることで、純粋に「歴史」として客観的に見ることを難しくさせている一面があるかもしれませんね。
ところで「仁義なき戦い」は、個人的には見た事がないのです。近所のTSUTAYAに行くと、なぜかいつも借りられているんです・・・(泣)「おとなの平和学習」として観てみたいんですけどね。



#9375 
徹夜城(昨日は何年かぶりで渋谷に出た管理人) 2013/05/17 00:19
「セデック・バレ」見てきました。

 もうこの時間では一昨日のことになってしまいますが、水曜日に渋谷で「セデック・バレ」を見てきました。二部構成で4時間20分以上ある大長編で、僕としては「戦争と平和」一挙上映以来(そういやここ数日NHKBSでやってますね)の長丁場映画鑑賞になりました。しかし全然疲れを覚えませんでしたねぇ(見ているうちは)。やはり映画は大画面で見るもんだ、と思いました。
 海外では一本にまとめた短縮バージョンも作ったようですが(「レッドクリフ」と同じ。ちなみにプロデュースをジョン・ウーが手掛けてる)、やはりこれはオリジナル版でないと重みが違うんじゃないかと思いましたね。霧社事件の発生、運動会の日本人を襲撃して大量に殺戮してしまうくだりは第一部のクライマックスに置かれていて、そこに至るまでの経緯が2時間たっぷりかけて語られてこそ説得力があるんだと。

 この事件の起こった直接的きっかけは日本人警官のセデック族に対する侮蔑的態度なんですが、そこにいたるまでに積もり積もったあれやこれやがあって、特にこの映画では彼らの「首狩り族」としての誇り高い文化意識が「文明化」を一方的に押し付けられたことに対してついに激してしまった、という感じに描いてます。冒頭でその首狩り時代(なにせ首をとらないと一人前の男と認められない)が描かれ、そして1910年ごろの日本支配に対する抵抗と投降、それから20年間、表面的には「文明化」「教化」が進んでおとなしくなったと思っていたら…この凄惨な事件が起こってしまう。映画では蜂起に至るまでためにためて、基本的にセデック族の側に寄り添って描くので、やはり観客としてはその蜂起に納得し、殺戮や戦闘場面にある種の高揚感まで覚えてしまいます。

 ただそこは一応作り手も冷徹に一歩引いた描き方はしていて、その蜂起の結果として起こる双方のさまざまな悲劇をそのまんま描くことで蜂起そのものに疑問を感じるようにもしてはあります。ただ彼らの気持ちとしては負けるのは百も承知、だが誇り高く戦って死んでこそ先祖に顔向けができるとの一心で玉砕戦を演じちゃうわけです。セデック族の少年が「勇者」になるために日本人の同級生や教師を殺害し、日本軍と激戦を交えて壮絶に死んでいく展開にはかなりやりきれなさも感じます。

 もともと首狩り族の話だし、実際にそういうことをしたので映画史上新記録かと思うほどとにかくよく首の飛ぶ映画で(R−15指定)…ま、こちらも事前に覚悟していればそうショッキングでもないというか、見ているうちに慣らされちゃうというか…映像的にはそれほどエグくならないように気をつけてはいたと思います。
 台湾ではこれほどの大作が作られるのも珍しいですが、実際大ヒットだったらしいですねぇ。監督はもともとこれを作りたくて脚本は1999年の段階で完成しており、「海角七号」のヒットでようやく実現にこぎつけたそうで。セデック族の演者たちの多くがまったくの素人役者たちというのも驚きですが、なんといっても主役のモーナ・ルダオを演じているのがこれが映画初出演、本職は教会の牧師さんというからもっと驚き。その圧倒的な存在感は国際的名優のレベルに達しておりました。

 全編にちりばめられたアクション場面の凄さも見どころですが、アクション監督はよくある香港勢ではなく韓国スタッフであったというのも面白い。パンフレットにありましたが撮影現場でこの韓国人のアクション監督に落石があり、それを見た台湾スタッフがあわてて唯一知ってる韓国語「カムサハムニダ!」と声をかけたらこの人が反応して難を逃れ、あとでその意味をしって一同大爆笑という一幕があったそうです(笑)。
 霧社の大掛かりなセットなどを手掛けた美術スタッフは日本勢。俳優さんも安藤政信、木村祐一などたくさん出てます。



#9374 
徹夜城(明日は都内へ出かける予定の管理人) 2013/05/14 22:43
歴史映像名画座は…

>五葉さん
 どうもはじめまして。というか、10年以上前からご覧になっておられたとは…今後ともぜひぜひお気軽にお書き込みくださいませ。
 「歴史映像名画座」に原爆関係がないとのご指摘、実を言いますと僕も考えなかったわけではないんです。しかし結局入れていないのは、まず僕自身はそれほど作品を見ているわけではないということ(映画では「父と暮らせば」くらいしかありません)、また「歴史物」という位置づけがしにくかったということ、さらには戦争映画の範疇に入れてしまうのも実のところ躊躇があった、といったところが挙げられます。新藤兼人監督が原爆投下のその瞬間・直後の現場で何が起こったのかをちゃんと再現してみたいという意向をもっていたと聞いてまして、そういった作品だと入れやすい(変な言い方ですが)かな、という思いもありました。どうもあのリストの中にポコッと原爆関係のを入れるには「重すぎる」という気分もあったんです。
 ただ最近「日本戦争映画総覧」という本を買いまして、そこではそれこそ左から右まで、コメディからドキュメントタッチまで、「戦争」に関するものならなんでも入れちゃってたんですね。ここまで徹底すると凄い、と思いまして。原爆関連の作品もそこに一緒に並べられていて、こういうのがあるならできなくもないかな、と思ったんです。
 まぁ原爆に限らず、入れていいものかどうか迷う作品というのはあるんです。広島がらみですとそれこそ「仁義なき戦い」なんかも入れたものかどうかずっと検討はしてます。あれだって原爆ドームが象徴的に映され、実はきっちり「反戦映画」だったりもするんです。内容的には歴史映画といってもいいくらいのものもありますしね。ほとんどフィクションのくせに「ゴッドファーザー」をアメリカ史に入れちゃってることを考えれば十分その資格はあるんじゃないかと。

 そんなこんなを考えているところで、実は「歴史映像名画座」の大リニューアル作業に着手しております。ネットで見られるということもあり、日本未公開も含め地域ごとの作品量をもっと充実させること、データも豊富につけるといった作業でして、その中で原爆関係も扱いを決めたいと思います。
 原爆と言えば、先日の「核兵器の非人道性」を訴える決議(ま、人道的な兵器があるとは思えませんが)に日本がアメリカに遠慮して参加を見送ったのにも驚きましたねぇ。国連の「廃絶をめざして努力」の決議にはいつも名を連ねていて、昨年はアメリカも参加したばかりだってのに。変なところで気を回すというか。

>KMnO4さん
 甲冑を着たままの人骨の話は、以前「史点」でとりあげてます。被災したために来ている状態のままの遺体になってしまったという非常に珍しいケースでした。

>バラージさん
 「一休さん2」は見逃した…というより積極的に見る気は今回は起きなかった、というのが正確でしょうか。「名画座」にも一作目だけ入れときゃそれでいいだろうと。今やってるリニューアル作業では僕がそれほど見てないものでも入れるという方針を立ててまして、そこでアニメ版についても知ってる範囲で触れることになると思います。
 鄭和のドラマは探せば見つかるかな、と思ってますが今のところ未見。ただその全話のあらすじが出てる中国語ブログはチェックしてまして、海賊(倭寇ではないみたい)退治がらみで日本の室町幕府の遣明使節が登場する場面があったことは確認してます。少し前にやったドラマ「武則天」でも遣唐使が謁見する場面がありました。
 逆に向こうから日本に来た鑑真のドラマも数年前に作られまして、僕は一部をチェックしてるのですが(日本でのソフト発売もあったはず)、日本人の時代考証が適当なのが残念。どうみても戦国以降の「月代にチョンマゲ・日本刀」というスタイルの人物がいるんですよ。韓国の古代史ものでもそういうのが見受けられまして、どうも「日本人」というとそういうスタイルになってしまう(また視聴者もわかりやすい)ということはあるようです。まぁ日本でも映像作品じゃないけど中国・韓国関連では数百年くらいの時間は無視して時代考証やっちゃってることはままありますが。



#9373 
バラージ 2013/05/12 18:57
ドラマと映画の話

 この間のこどもの日に福くん主演の『一休さん2』をやってましたね。今回は原作アニメからもある程度離れて、オリジナルのエピソードになっていたようですが、福くんの一休さんは前作よりもアニメのイメージに近い優等生になっていたように思います。一方、将軍様=足利義満はますますアニメ(声優はキートン山田)から離れて名君度が強くなっていたような。アニメでは将軍様はもっと子供っぽくて、一休さんのほうが大人なんですよね。さすがに今回は歴史ネタとほとんど関係なくなりましたが、大本が一休頓知話だから当たり前か。

 以前、中国の明の時代を舞台とした映像作品の話をしたときに、鄭和や永楽帝のドラマもあるかもという話になりましたが、鄭和が主人公の『鄭和下西洋』という日本未公開の中国テレビドラマがあるようです。鄭和が主人公なのに永楽帝の出番がやたらと多く、実質半分くらいは永楽帝が主人公だとか。

 そういえばリンカーン関連の歴史映画では、リンカーン暗殺犯として処刑された女性を描いた『声をかくす人』という映画もちょっと前に公開されてました。こちらも僕は見なかったんですが、DVDになったようですね。



#9372 
KMnO4 2013/05/11 07:04
甲冑の武人

いまNHKを見ていたら,リアル甲冑の武人(群馬・金井東裏遺跡の全身骨格人骨)のなぞを探る研究者の紹介をしていました.

このネタは史点か伝言板で最初に見たと思うのですが,いま探したら見つかりませんでした.

鎧に守られて骨がその構造も含めてよく残ったという話が印象的でした.

そういえば群馬は徳島・宮崎と並んでいまだに国宝がない県ですが,しかし甲冑の武人のハニワ(東京国立博物館)は群馬出土なんですよね・・・




#9371 
五葉 2013/05/10 22:29


はじめまして。五葉と申します。
実はこちらのHPを見続けて10年以上になります。こちらの皆様の知識量の多さとコメントのレベルの高さに比べると、自分のコメントなど、間違いなく「バカのセンター」になるだけであろうと思い、今日まで書き込む勇気が出ませんでした。
歴史は小さい頃から好きですが、本格的に学問として関わり始めたのは、2年前に大学院入学(修士課程)してからです。(学部は歴史系ではありません)間違いなくマイナー分野である近世仏教福祉史をテーマにし、ついこの間何とか無事に卒業できました。
こちらのHPはたまたまネットサーフィンしていた時に偶然見つけました。どのコーナーも読み応えがあり、勉強させていただいております。
インドのお釈迦様映画、自分の専門(と言えるほどの偉そうなもんじゃないですが)と関わるところでもあるし、ぜひ紹介してください。面白そう。

ただ、一つだけ「残念だな」と思う点があります。それは「歴史映像名画座」に第二次大戦ものがあれだけ紹介されていながら、原爆を取り上げた映画が一本もないこと。広島出身の私としてはとても残念です。じゃあ、何がいいの?と急に言われると私もメジャーどころしか思いつかないですが・・・(「はだしのゲン」「父と暮せば」「夕凪の街 桜の国」、あと長崎の原爆を取り上げた「この子を遺して」など)ご一考頂ければ幸いです。
ついでながら広島市で学校時代を過ごした時には、小・中・高と毎年夏になると平和教育があり(通常授業の一コマや夏休みの登校日を利用して)、この手の映像をよく見せられていたものです。「はだしのゲン」も観たと思うけれど、どちらかというと普通の映画館では上映されないドキュメンタリーものの方が多かったです。(NHKの「核戦争後の地球」とか)あと核戦争後の世界を感覚的に理解させる目的だと思うのですが、小学校の平和教育の時間に「風の谷のナウシカ」を観た記憶があります。

仕事もありますので時々になるとは思いますが、私でも参加できそうな話題がある時は書き込みをさせて頂きます。その時はよろしくお願いいたします。



#9370 
徹夜城(前回この欄の「管理人」を忘れたことに気付いた管理人) 2013/05/07 22:36
歴史映像名画座更新。

 実はGW中はどっこにも出かけませんで、あれこれ映画やドラマを見まくってました。「歴史映像名画座」更新はいわばその成果です(笑)。今回は一挙十本追加になりました。
 今回入れたものの中でグリフィスが監督した「リンカーン」はネット上の某動画サイトで全編を見たものです(もちろん全部英語)。日本で公開されたかどうか未確認なので原題の日本語書きで載せちゃいましたが。
 しかしまぁ…ここ数日いろいろとネット上動画を見まくりまして、歴史映像名画座としてはまさに「宝の山」なのだなぁ、と。特に日本ではまず輸入されない東南アジア・南アジア・西アジアといった地域の歴史ドラマ・映画群が見られるのは貴重です。作るだけの経済的余裕があればどこでも自国の歴史物をつくるもんなんですよね。日本に来るのはほんの一握りなのだなぁ、と思わされます。言語が分からんという難はありますけど、どこの国のでも歴史的名場面が映像化されてると僕はやはり萌えます(笑)。
 最近見つけたもので「おおっ!」と叫んでしまったのは、当サイトの「しりとり人物館」でとりあげたケマル=アタチュルクが主役のトルコのTVドラマシリーズ。ケマルの伝記ではなく第一次大戦後にトルコが列強やギリシャに分割されかかった時期にそれをはねつけた戦争をドラマ化したものでした。
 インド製のお釈迦さんドラマもあったんですよ。本物のインド人にお釈迦さまを演じられると日本人としては違和感ありまくりという不思議(汗)。



#9369 
2013/05/06 00:36


すいません、下の項、正しくは
Frank Edward Mankorvich でした

ちなみにアニマルが登録名になったのは、アメリカでレストランで食事をした時、出口が車でふさがれていたので、紳士的に移動をお願いしたのに、酷い態度で断られたので(本人の主張によればですが)、その車を崖から投げ落としたため、アメリカであだ名がアニマルとなり、登録名となったそうです。
タレント転向後、なぜか必殺にも出演してましたね。



#9368 
2013/05/06 00:23
珍名選手では

1962年、大毎オリオンズにマンコビッチ(Mankorvich,Frank)という選手が在籍していました。
当然、登録名はマニーになっていましたが。
東欧では珍しくない名前のようですね、古代人の生活を扱った『勇敢なるマンコの冒険』という名著もあるそうですが。
ただ、関東ではとんでもない名前でも、他の地域ではそうでもないようですね。
評論家の玉木正之氏はマニーという改名について、この国の悪しき中央集権体質の現れであると批判しています。氏の『プロ野球大辞典』で筆者は関西人なので、「マンコ」と書こうが口にしようがなんとも思わないと書いてます。



#9367 
徹夜城(GW中は歴史映像三昧) 2013/05/04 22:20
外国人のお名前

 先ごろ元阪急のアニマル投手が亡くなったとき、「アニマル」という名前が本名ではなく「選手名」であったことを初めて知った人もネット上でちらほら見かけました。この手の例は探すと結構あるようで、かの阪神の三冠王・ランディ=バースも実際には「Bass(バス)」。「阪神バス」が実際に存在するため登録名は「バース」にしたんだそうです。
 なお、現在大リーグにはもし日本に出稼ぎにきたら改名必至と思われる選手がおります。(↓参照)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B3

 「アホネン」さんが実際にいることを知る前にフィンランドに「アホ」という名前と「〜ネン」というのがあるのは知ってたのでたぶん「アホネン」もいるんじゃないかと予想していたことがあります(笑)。ナイジェリアだったかな、「オバサンジョ」さんってのもおりましたね。

>手塚の歴史物
 生涯の後半に行くにつれて歴史物が多気はしますね。前期の作品でも「新撰組」なんかがありますからもともと興味があったんじゃないでしょうか。
 近現代が多い気がするのは一つには作者自身が濃厚な戦争体験を抱えており、そうなった経緯を確認したいという思いもあったかもしれません。絶筆作品のひとつ「グリンゴ」もブラジルの「勝ち組負け組」騒動が絡んでくる気配があったようですし。



#9366 
バラージ 2013/05/04 01:29
ドブスをリンカン? このバカチンが! アホネン

 手塚自身も何かで、自分で意図したものではないが気づくと日本近現代史を舞台としたものを多く描いていると書いてた記憶があります。手塚自身の分類では確か、『陽だまりの樹』が幕末、『シュマリ』が明治、『一輝まんだら』が大正、『アドルフに告ぐ』が昭和戦前・戦中、『奇子』が戦後、『MW(ムウ)』が沖縄返還の時期という分類になってました。僕自身はこれらのうちでは『陽だまりの樹』『アドルフに告ぐ』『奇子』を読んでます。

>リンカーンとリンカン
 1939年の米国映画『若き日のリンカーン』も日本で再上映された際の邦題で、最初に日本で公開された時の邦題は『若き日のリンカン』だったらしいのですが、「リンカン」と書くとどうしても「林間」とか「輪姦」を連想しちゃうんですよね。発音としてそっちのほうが近くても、音の響きとしてちょっとなあと。確かロシアの政治家のバカーチンも正確な発音は「バカチン」のほうが近いと聞いたことがあるんですが、「バカチン」じゃ武田鉄矢ですもんねえ。フィンランドの首相にもアホネンて人がいたように思いますが、これもちょっと……。最近では確か米国の女子フィギュアスケート選手にドブスという人がいて、これも結構気になります。しかもこれがまた、この人結構美人なんだ(笑)。
 そういえばリンカーン関係の映画では、去年『リンカーン 秘密の書』っていう映画も公開されましたね。観てないけど。『リンカーンvsゾンビ』なんていう便乗(?)映画もDVDスルーで出てたのをレンタル店で見かけました。



#9365 
修史 2013/05/04 00:10
手塚治虫作品で読む日本近現代史

管理人様

レスありがとうございます。
そうですね、手塚さんは新進を含む他の作家の作品を読んで、相当意識していたというエピソードはよく目にします。漫画家としては、手塚治虫にライバル視されたら漫画家冥利に尽きる無上の光栄なのでしょうね。

すみません、手塚治虫の話でもう少し引っ張らせていただきますと、中後期の手塚作品
を通して日本近現代史を描いた作品がいくつかあります。

「陽だまりの樹」で幕末〜明治維新
「シュマリ」で明治期のアイヌと北海道開拓
「一輝まんだら(未完)」で明治末期の日本と清朝末期の中国
「アドルフに告ぐ」で昭和初期からWW2、中東戦争まで
「奇子」で敗戦直後の占領期〜高度成長期
「ネオ・ファウスト(未完)」で70年安保〜現代

他にもあるかもしれませんが…。
「火の鳥」も、未完の太陽編の次に予定されていた「大地編」では日中戦争期の中国大陸が舞台となる構想だったとききます。

「火の鳥」シリーズそのものが過去と未来を往還して現代に近づいていくという歴史とSFの折衷モノだったわけですが、手塚さんのアイデアとして作品中に歴史を描いて残そうという考えがあったのかなと想像します。
御自身では描いていませんが中公の学習漫画「世界の歴史」シリーズの監修もされていましたね。あのシリーズは巻ごとに漫画家が違うこともあって全体的にやや散漫な印象も受けたのですが、世界史をシリーズで学習漫画化するという試みはあれが初めてだったのではないでしょうか。








#9364 
徹夜城(そろそろ歴史映像名画座の更新をしたい管理人) 2013/05/03 13:54
小説リンカン学校

 近頃は「リンカン」という表記が歴史の教科書にも使われ出しておりますね(僕の記憶では十数年前から書籍では見受けられました)。「Lincoln」とつづるのですけど、発音としてはそのくらいが正しいみたい。幕末の日本人も「林根」と表記したりしてましたから、ある意味「先祖がえり」な表記でもあります。しかしまだまだ日本ではメジャーとはいえないってことで映画が従来どおり「リンカーン」に。しかしその原作となった本は「リンカン」になってるらしく、映画のパンフレットでもスピルバーグのインタビューで本のタイトルが「リンカン」、映画のタイトルが「リンカーン」と話すことになっちゃうという妙な具合になってしまってました。

 というわけで、僕も「リンカーン」見てきました。
 事前に聞いてはいましたが、リンカーンの生涯を描く大河ドラマみたいなのを期待してると拍子抜けします。奴隷解放宣言もゲティスバーグの演説も過ぎたところからドラマが始まるわけで。1865年の1月から4月まで、彼の生涯の最後の4カ月程度を描くだけなんですね。そこらへん、作り手の意図はかなり明白なんですが、事情がよくわかんない人には映画についていきにくいかもしれません。そこはさすがはスピルバーグ、映画冒頭に自ら出演して日本観客向けメッセージを述べてまして、簡単に歴史事情を解説してくれるという親切設計が加えられています。ちなみに黒澤明の「影武者」もルーカスとコッポラがプロデュースした海外版ではやはり冒頭に簡単な歴史解説がついてたそうです。

 バラージさんがすでにお書きなんでなるべく重複を省きますが、映画の内容はほとんどが「憲法十三条修正条項」の可決をめぐるドラマです。ちょうど今日が憲法記念日でありますが、近頃話題の「3分の2以上」が可決ラインなのですね。これ見ても分かりますが、どこの国でも結構ハードル高いんですよねぇ。大日本帝国憲法だって確か3分の2以上でしたよ。
 そんなわけでハリウッド製国会中継番組みたいなもんですが(笑)、ついてけない人はついてけないでしょうけど、面白く思い始めると非常に面白い。リンカーンがこの憲法修正を断固通すためにそれこそ手段を選ばぬ多数派工作を仕掛け、急進派から超保守派まで含めたあれやこれやの駆け引きが展開されます。僕はその様子を見て日本における政治ドラマ映画の佳作である「小説吉田学校」を思い出し、それでダジャレも含めて上記のようなタイトルをつけたわけです(^^)。

 議会の中で最急進派、つまり徹底した人種平等を主張する議員をトミー=リー=ジョーンズがやってまして、どうも日本人としてはいつ「宇宙人」の正体を明かすのか心配でしょうがなくて(笑)。ラストでカツラをとった時には…
 リンカーンを演じるのはダニエル=デイ=ルイスで(当初はリーアム=ニーソンと報じられましたが)、もはや神々しいレベルになっちゃってたような。リンカーン家ホームドラマ部分も多く妻や息子との葛藤や冗談好きの気さくな描写も入りますけど、やはり「リンカーン」とずばりタイトルにした映画だけにいささか神聖不可侵になっちゃった感もありました。もちろん目標を達成するためにはあらゆる工作も辞さないという現実的政治家の側面も強調してますけど、奴隷制について彼がどう思っていたのかは議論もあるためかちとボカされてた気もしなくはないです。
 監督もテーマもかぶるから当然ですが、やはり「アミスタッド」に似てるなぁ、と。あれはスペイン船を反乱でのっとった黒人奴隷たちをめぐる裁判ドラマでしたが、「リンカーン」も議会が舞台ではあるけどやっぱり裁判映画風なんですよ。アメリカ人の裁判映画好き(というか裁判そのものが好き)をこんなところでも感じてしまいました。検察と弁護人が大仰に演説して訴えて、あれやこれやの駆け引き、ってところはおんなじですからね。

 そういや「セデック・バレ」、東京でも公開中で、日経新聞に好意的な紹介が載りましたし、ネット上知人も何人か見ておりまして、やっぱり見に行っておこうかなぁ…結構混んでるとの話もあり、また長時間なので体力とスケジュールとの相談になりそう(汗)。


>手塚ばなし
 ちょっと間が空いてしまいましたが、いくつかレスを。

>修史さん
 水島新司さんはそう言われて当然ムッとし「じゃああんたも書いてみろ」と言いかけたそうですが、のちのち他の漫画家も似たような「イヤミ」を手塚治虫に言われていたことを知り、それは手塚治虫がライバル視した証拠であって、「勲章みたいなもの」だと理解なさったそうです。実際手塚治虫は「ドカベン」の漫画技法はちゃんと研究していて、アシスタントへの指示にも「ドカベン線」というのがあったそうです。
 晩年、大友克洋にも「君みたいな絵は僕にも描けるんだよ」とわざわざ言ったという逸話もありますね。

>アジアのバカ大将さん
 僕も最近になって手塚治虫の昭和20年代の作品を読んでみて、驚かされることは多かったです。「あの時点の日本」であんな世界を描いちゃってたんですからねぇ。さすがに今読むと「アトム」には逆に昔の日本を思わせる郷愁を感じる部分もあったりするのですけど、ロボットのほかに未来都市イメージなんかでも相当な影響を後世に残したと思います。もちろん全部が手塚のオリジナルというわけでもなく、それ以前のSF作品の影響もかなりあるんですけどね。

>バラージさん
 「トキワ荘の青春」、まだ見ていないんですよねぇ。ついつい手を出してないというか。「まんが道」で済ましちゃってるせいか。
 トキワ荘が取り壊される直前にちょっとしたブームになり、その時にテレビでスペシャルアニメが作られたことがありました。トキワ荘の映像作品というとあとはテレビドラマ版「まんが道」とか「これでいいのだ」とかになるでしょうか。



#9363 
バラージ 2013/05/01 23:48
よっ! 大統領!

 映画『リンカーン』を観てきました。なかなか面白かったです。リンカーンというと有名な人物でなんとなくは知ってるんですけど、この時代にあまりくわしくないこともあって実はあまりよく知らなかったりします(この映画の登場人物で知ってたのはリンカーンとグラント将軍、それにちょっとだけ出てきたリー将軍の3人だけ)。そんなリンカーンの最後の4ヶ月をこの映画は描いてるんですが、映画の中心は奴隷解放関連の憲法修正法案を通すための議会戦術と虚々実々の駆け引きという米国映画ではわりとメジャーなテーマで(このあたり、『野望の系列』ともちょっと似てる)、娯楽映画としても十分楽しめます。とはいえ娯楽映画に傾きすぎることもなく、また単純な善玉化・悪玉化も避けていて、抑えた調子の映画になっているのが印象的でした。

 以前観たと書いたジングル・マ監督、ヴィッキー・チャオ主演の本場中国実写映画『ムーラン』の、歴史的なことについてちょっと追記を。
 木蘭(ムーラン)は伝承文学やそこから作られた文学作品・京劇作品に登場する女性で、おそらく実在の人物ではなく、そのため時代や設定も北魏だったり隋唐(『隋唐演義』に出てくるらしい)だったり、敵の異民族も柔然だったり突厥だったりするらしいです。上記映画では北魏・献文帝の時代で敵の異民族は柔然ですが、ほとんど史実とは関係なく、柔然の単于なども完全に架空の人物でした。木蘭の映画は他にも日本軍占領下の上海で作られた『木蘭従軍』という映画があり、そこでは異民族の姿に日本軍を暗に象徴させているとのこと。中国のテレビドラマ『北魏馮太后』にも木蘭が登場するようです。



#9362 
バラージ 2013/04/25 21:56
手塚の話題

 僕は1970年前後の生まれなのでモーグリさんのおっしゃる「テヅマン世代」と「ポスト・テヅマン世代」の境目に位置するわけですが、やはり手塚マンガをリアルタイムで読んだことはありません。手塚アニメもリアルタイムで観た記憶があるのは『ジェッターマルス』という『アトム』のリメイク的アニメと、年に1度24時間テレビでやってたやつが何本かといったぐらいです。
 世代的には、僕自身の経験で言うと小学生のときはドラえもん、中高生では週刊少年ジャンプでした。ドラえもんは、多分爆発的ブームになったのが僕が小学生のときで、小学1〜6年生やコロコロコミックで読んでました。ちょうどドラえもん映画の原作長編マンガの連載がコロコロコミックで始まり、夢中で読んでましたね。僕は『まんが道』はほとんど読んでないんですが、そういえばコロコロコミックには『ハムサラダ』という藤子不二雄の若い頃を描いたマンガも載ってました。
 トキワ荘ものと言えば個人的にはなんといっても市川準監督の映画『トキワ荘の青春』です。題材で観に行ったんですがすごくいい映画で、個人的日本映画ベスト1の『つぐみ』と同じ監督と気付き、そこから市川準監督自身のファンになりました。主人公は本木雅弘演じる寺田ヒロオ。手塚役は北村想ですが序盤でトキワ荘から出ていってしまいます。当時、一般的にはまだ無名な小劇団俳優だった阿部サダヲ・古田新太・生瀬勝久などがトキワ荘の面々を演じてますよ。



#9361 
アジアのバカ大将 2013/04/25 15:00
さらに偉大な手塚治虫

「日本のロボット産業の生みの親=手塚治虫」
もしかして、以前に同じ書き込みをしたかもしれませんが、
数年前、香港のニュース雑誌は、日本のロボット産業を
特集し、手塚治虫のために2ページを割きました。
取材先のソニーやホンダの技術者たちが、口をそろえて
「小さい頃、大きくなったら絶対アトムを作ると誓った」
「御茶ノ水博士になりたかった」
と「鉄腕アトム」賛歌を語っていたからです。
東京大学文化人類学博士課程出身の記者は、「アトム」
を熟知していましたから、
「60年前、日本の各家庭にある電子製品といったら、
性能の悪いラジオ程度だった時代、手塚氏は21世紀の
日本の基幹産業の担い手を育てていた」と肯定していました。
これを読んだ時、子供の時、大切なことをすべて教えて
くれた人が、さらに偉大だったことを知り、目頭を
熱くしました



#9360 
修史 2013/04/24 02:30


手塚治虫さんといえば、担当編集者に「巨人の星」を見せて「これのどこが面白いのか、教えてくれ!」といったエピソードが印象に残っています。
水島新司さんに「君はいいよね、野球の展開だけ描いていればいいんだから」と言って絶句させたりとか、お茶目な天才、ともいうべき方だったのかなと思います。

手塚作品だと、それまでの漫画の概念を変え一世を風靡したという初期の作品よりも、劇画の台頭に苦悩していたという中・後期の作品が好きです。特に大人向けのテイストを持った短編集をよく読みました。社会派小説に影響を受けたような作品もあって、いろいろ模索していたのかなと思います。

藤子F不二雄さんも、SF短編集が素晴らしいです。ディストピア的な暗い話でもドラえもん調の絵柄で淡々と描くところが良いです。

藤子不二雄Aさんでは、「まんが道」と「少年時代」が好きです。あれは藤子Aさんにしか描けない世界だったのではと。漫画家という職業は激務で短命な方がやや多い傾向がありますが、満賀道雄=藤子Aさんにはまだまだ描き続けて欲しいです。

漫画ネタで書いてしまいました。




#9359 
徹夜城(最近になって鉄腕アトムを全巻読んだ管理人) 2013/04/23 23:43
「まんが道」も終わりまして

 唐突に手塚治虫の話題が書き込まれておりますが、そういえば藤子不二雄Aさんの「愛、しりそめし頃に…」が完結しました。「まんが道」の続編といっていい作品で、掲載誌が青年誌ということもあり「まんが道」以上に「青春記」な内容になってました。僕はトキワ荘を出るところで終わるのかな、と思っていたのですけど、かなり唐突に終わった印象があります。手塚治虫が小学館漫画賞をとり、その記念パーティーでトキワ荘メンバーたちに「君たちはライバルだ」と宣言するところでいきなり終わるんですね。
 どうもその後新聞に藤子Aさんご自身が書いていたところからすると、作者の体調も一因だったのではないかと。最終回を書き終えた直後に入院して手術を受け、一時集中治療室入りして夢の中で藤本・石森・赤塚の三人が「こっちへ来い」と手招きしていたそうですから。
 この最終回でもこの三人が出ておりまして、それぞれ「オバケのQ太郎」「おそ松くん」「サイボーグ009」の構想を語って、彼らがプロの人気作家になっていくことを示唆しています。ただこれは時期的には数年早めた脚色のはず。これまでもトキワ荘時代の安孫子さんが「怪物くん」を描いちゃうなど明白な「時期ずらし」はありましたし。「まんが道」からそうでしたが、史実とフィクションは結構ないまぜです。ご本人は「事実七割、脚色三割」とおっしゃってるようですが、出版されたトキワ荘時代の日記を読むと漫画より漫画的なビックリする事実があってこちらも面白いんですよね。漫画の方はそこらへん、少し分かりやすくしてる気はします。


>阿祥さん
 なるほど、宋美齢という例えは思いつきませんでした。スーチーさんに対する欧米人を中心とする人気については実は僕もお書きになってたことと似たようなことは以前から感じておりまして…さらに付け加えると彼女は父親が「建国の英雄」ということもあり、インドから東南アジアによく見られる「建国英雄の娘」「大物政治家の娘」のパターンにも入ってるんですよね。まぁ日本でも首相に祖父と孫とか親子とか出てきましたが。

 元産経記者でド右翼物書きの代表の一人、高山正之氏は以前からやたらにスーチーさんを嫌っており今もやっぱり怪気炎を上げてるようですが、その理由の一つに彼女がそうした欧米受けする要素を持ってることもあるようです。あと彼女の父親のアウンサン将軍が太平洋戦争中に日本で訓練を受けてビルマに送り込まれながら、情勢が変わると手のひらを返した(といっても彼にしてみれば自国のことを考えてのことですが)ことも理由に挙げてるみたいです。
 で、最近ビックリするほど欧米的にも「いい子」に変身してしまったミャンマーですが、スーチーさん、現実に政権取りそうな空気になってきたんで、「現実政治家」的にふるまいはじめ、それでそれまで支援してきた欧米の人権団体なんかからは少数民族政策などで逆に激しく非難されたりし始めてます。ま、この辺も現実の政治はそう単純ではないということでしょうね。

>モーグリさん
 う〜ん…その伝でいくと、僕は子供時代にリアルタイムで「子供向け」の手塚治虫作品を読んだことはないわけですから、「テヅマン世代」にはまったくあてはまらないことになりますが…僕がちゃんとリアルタイムで読んでるのは、「アドルフに告ぐ」ぐらいです。モーグリさんがご自身の世代について書いてる部分を読むと僕も大して変わりませんよ。手塚治虫が「少年向け」にリアルタイムで再度黄金時代を迎えたのは「ブラックジャック」以後ですが、それだって1970年代の半ばぐらいのことで、そのリアルタイム世代に僕は全く入りませんし、その後のジャンプ絶頂期と比べれば世代と密着しているとは思えません。

 手塚治虫が各世代ごとにコンスタントに読まれていたことは確かですけど、オタク文化論的な話になると、そこまで一世を風靡するほどの影響力だったのは実質昭和20年代のことだと思います(その時のリアルタイム世代はスゴいトラウマになってますね)。そのあとは浮き沈みをしながらもその時その時ヒット作を出す稀有な人、という位置づけであって、すでにその意味では世代を超越してしまっていたというところだと思います。僕自身、手塚本人が生きてるうちはそれほど世代にしみつくほどの存在だった記憶はありません。だからモーグリさんのおっしゃる「ヅカマン世代」というくくりもかなり大雑把過ぎるとしか思えないのですが…。
 モーグリさんがいま社会の中核にいるというその「ヅカマン世代」とやらも、たぶんそう言われることには違和感を覚えるのではないでしょうか。手塚治虫がどうとかは関係なく、単なるジェネレーションギャップってやつでは、と思いますよ。ちょうど世代差を感じる節目で手塚治虫が亡くなっているというだけで。子供時代に洗礼、ということで言ったらむしろ「ブラックジャック」をアニメで見ていた21世紀初めに少年少女時代を送った人たちが「ヅカマン世代」になっちゃうかもしれませんし。
 最近身近な40代の人が50代以上の人について「あの世代は○○の時代だから〜」と愚痴ってるのを聞いたことがありますけど、僕はその「○○」の部分はかなりこじつけだと思ったばかりということもありまして。
 ああ、あとこの伝言板に来る人だって、僕が見ていてもずいぶん上から下まで世代は幅広いと認識してます。もちろんある程度世代の偏りはありますが、じつのところモーグリさんと同じ世代が一番多いと感じてます。

 手塚治虫といえば、いまその製作現場のドキュメンタリー漫画である「ブラックジャック創作秘話」が話題になってまして、僕も単行本を最新の三巻まで読みました。知られているようで知られてない話が多く、それも当事者たちの証言で再現、という形になってるんで読み応えたっぷり。企画自体が相変わらず「ブラックジャック」で食ってる印象の秋田書店、チャンピオン編集部なのでチャンピオン全盛期の話が中心になってますが、それ以前と以後の話もかなり多い。
 で、驚いたことに「テレビドラマ化」の文字が新刊の帯におどってました。ええ?手塚治虫をだれが演じるんだ?過去には江守徹とか、古谷一行なんかが演じた例がありますが…



#9358 
モーグリ 2013/04/22 21:40
テヅマン世代論

以前から気になっていたのでちょっと書いておきたいことがあります。まあ、こういうことを書くと怒る人もいるかもしれませんが。


唐突に世代論から入ってしまいますが、1970年以降生まれの人で、少年時代にリアルタイムで手塚治虫を読んでいた人は少数派だと思います。
というのも、80年代になると手塚治虫は「ビックコミック」のような大人向けのマンガ誌や「週刊文春」「朝日ジャーナル」のような非マンガ誌に主な連載を移してしまったため、「子供には読まれないマンガ家」になってました。要するに、当時の手塚マンガは80年代当時40代前後だった、子供の頃「鉄腕アトム」を読んでいた団塊世代に主に読まれていたということです。
そのため1970年以降の世代でリアルタイムで手塚マンガのファンだった人は少数派なのです。
これは他のアニメ系の掲示板で話題にしたときに異口同音に返ってきた言葉です。

このことから、私は、手塚治虫をリアルタイムで読んでいた古いオタク世代を「手塚マンガ世代」、略して「テヅマン世代」と呼んでいます。

こういうことを書くと、70年代生まれや80年代生まれの人から「自分も手塚マンガのファンだから「テヅマン世代」に入れてほしい」という反論がくるかもしれません。
断っておきますが、私がテヅマン世代といっているのは手塚マンガを読んでいるという意味ではありません。人生経験期の幼少期や少年期に、リアルタイムで当時存命だった手塚治虫氏のマンガを読んだ世代という意味で使用してます。
つまり、手塚治虫の生前、少年時代にリアルタイムで手塚マンガを読んだ世代と、手塚治虫の死後、学校の図書館などで先生や大人に勧められて「火の鳥」などを読んで手塚マンガにはハマったというのは違うんです。

私は、便宜的に1970年生まれより上の世代を「テヅマン世代」と呼称しています(個人差があるので多少上下差はあるでしょうが、大体の目安として)。要するに30年代末生まれで戦後すぐに手塚マンガを読んだトキワ荘世代から、60年代生まれの新人類世代までをテヅマン世代としてます。

なお、私はテヅマン世代ではありません。
私は、1977年生まれで、小学5年生のときに手塚治虫が亡くなっていますが、それまで手塚作品を読んだことは一度もないです。小学校でも、周りの友人で手塚マンガを読んでる人は一人もいなかったです。手塚治虫が死んだときも周りでは話題にすらならなかったと記憶してます。これについては、先日、小学校の同窓会のときに聞いてみたことがあるのですが、聞いた元同級生のなかでリアルタイムで手塚マンガを読んだという人は皆無でした。
当時は少年ジャンプが大人気だった時代で、小学生の間で手塚治虫はすでに忘れられた存在でした。
徹夜城さんは、掲示板の過去ログ8406で「世代ごとの「手塚」」というタイトルで、各世代各世代でコンスタントに手塚マンガを読んでいると書いてますが、私のいた世代はどの世代にも当てはまらないです。

また、テヅマン世代は現在どんどん高齢化してます。2013年現在、手塚マンガをリアルタイムで体験しなかった世代(ポスト・テヅマン世代)は大体40歳前後あたりに達してます。
つまり、それより年上のテヅマン世代が中年になり、親の世代や会社の中間管理職などの要職に付くようになっています。
個人的にはテヅマン世代が社会の要職を占め人口で多数派であることから、「テヅマン世代の価値観=世間の常識」になっているように思います。

今回なぜこんなことを書いたのかというと、徹夜城さんのようなテヅマン世代と、私のようなポスト・テヅマン世代では、オタクの価値観や作品需要態度のあり方がぜんぜん違うからです。もちろん個人差はありますが、大体70年生まれ前後でオタクの興味や関心はかなりはっきり分かれると思ってます。これはネットやリアルで以前から感じてました。
これは80年代のサブカルチャーを少年期や青年期にリアルタイムで経験したか、そうでないかの差が大きいと思っています。私の場合、90年3月まで小学生でしたが、中学受験をするために塾通いや勉強が忙しかったため、80年代にはほとんどマンガやアニメは見てないです。そういうものに興味を持つようになったのは、中学に入学してからです。
私から見ると、ここの掲示板に書き込みしているテヅマン世代とのジェネレーションギャップを感じることがよくあります。

私が、今日、掲示板で「テヅマン世代論」を書いてみたのもそれがきっかけです。



#9357 
阿祥 2013/04/21 10:45
アウン・サン・スー・チーさん

先週はアウン・サン・スー・チーさんが日本に来ていて、メディアにもたくさん紹介されていましたが、僕が氏の政治的なたたずまいを見て思うことがあります。蒋介石夫人であった宋美齢女史に似ているということです。

日中戦争から国共内戦の期間を通して、宋美齢女史はアメリカから中華民国への支援が得られるようにロビー活動を繰り広げます。アメリカやイギリスの立場からすると、英語の教育を受けキリスト教徒である宋美齢の言説は受け入れやすいもので、政府内でも親国民党の主張は大きな力を持つこととなり、実際の政治を長期にわたり動かしていくことになります。
しかし、このような宋美齢/国民党サイドに偏った政治的な判断は、実際の中国の政治の動きを大きく見誤せることになります。中国では共産党が民衆の支持を受け、国民党は内戦に敗れ台湾に敗走していきます。
朝鮮戦争に関する著作の中で、ハルバースタムがこの政府の分析の誤りを、実際の中国の状況を見ていたのではなく、自らの立場に近い【キリスト教徒】である宋美齢と【民主主義】的な国民党に親近感を持ちすぎていたからだと批判しています。

この事例にならって見ると、日本や欧米のメディアがアウン・サン・スー・チーさんを見ている視覚には、氏が【民主化】を主張していること、【オックスフォード大学】を出ていて流暢に英語を話すことが、前面に出ているように思います。これらの言説によるバイアスをはずして、あるがままにミャンマーの状態を見ることが必要なのじゃないかと感じています。



#9356 
徹夜城(いま久々にお絵描きの仕事をしている管理人) 2013/04/17 22:49
HP容量が

 先ほど「史点」を更新しました。今日葬儀が行われるサッチャーさんについてはそちらで書いたので、この伝言板でのレスは割愛させていただきました。
 ところで先日HP置場を借りてるビッグローブのHP管理画面で久々に容量を確認したら98MBに達していて残り容量が少ないとの警告が発せられてしまいました(汗)。アクセス解析のデータをまめに消せばもう少し大丈夫なんですけどね、もうそこまで来ていたか、と。100MBを越すと有料になってしまうのでありますね。いずれはその辺までいくだろうとは思ってましたけど、思いのほか早かったなぁ。
 この伝言板の初期過去ログなんかは消去してもいいか、とは思ってるんです。さすがに1997年からあるわけで膨大に過ぎるわけですし。ただ、たとえば2001年9月11日の反応なんかをヒョイと見てみたいと思った時は便利と言えば便利で、それ自体が歴史的資料とも思えます。どうせちょっとやそっと消しても焼け石に水だから有料覚悟で増やそうかな…もちろん無料の他のサービスを利用するという手もあるんですが、広告がうるさく出るのとかは嫌いなんで。

では、ためこんでるレスを。

>tomohiroさん
 霧社事件はそもそも台湾先住民の事件なので台湾人と一口にいっても思うところはみな同じではないんじゃないでしょうか。なお、「セデック・バレ」の監督の次回作はやはり日本統治時代で、高校野球の甲子園大会で台湾の代表チームが準優勝した実話を下敷きにするとか。テーマは日本人・漢人・先住民の融和であるようです。
 「野人時代」ってなんだっけと調べてみたら金斗漢のドラマなんですね。同じ主人公の映画「将軍の息子」の一作目はオリジナル韓国版で見てます。セリフの半分ぐらい日本語だから、と知人に見せられまして(笑)。ドラマ版は後半キム=ヨンチョルが演じてると聞くとチェックしてみたくもなりますね。
 日本における南北朝鮮映画ということで思いだしましたが、小泉訪朝などで日本のマスコミでにわかに「北朝鮮」がとりあげられるようになったころ、あるニュース番組が「北朝鮮の日本イメージを知る映像を入手!」とかもったいぶって映画「ホンギルトン」の一部シーンを流したときは大笑いしましたねぇ。だって松竹ホームビデオから発売されてて僕はレンタルで借りて見たんですよ。いーかげんなもんだ、と。

>バラージさん
 「王になった男」、確かに時代劇として作りが本格的なので、ありがちと思いつつ安心して見てられるんですよね。時代劇は初めてのイ=ビョンホンもなかなかサマになってました。それにしてもこの映画でもこの人が「上半身露出」をやったのには笑ってしまいました(一応必然性があるんだけど、半分狙ってやってると思う)。
 そのブラジルの勝ち組・負け組騒動の映画は話には聞いていて、興味は持ってました。そのうちチェックしたいと思います。

>KMnO4さん
 隋の煬帝の墓が見つかった、って話題、今回の「史点」の発見ネタ記事に入れてもよかったのですが、締め切りに間に合わなかった形です(^^;)。もうちょっとしっかり情報が入ってからにしようかな、と。

>アジアのバカ大将さん
 こちらも今回の「史点」記事には入れませんでしたが、サッチャーがフランス革命でそんな発言をしていたというのは興味深いです。半分ほど辛辣なジョークをこめてるのかもしれませんが、フォークランドの時もフランスに国交断絶すらちらつかせたそうですから、そもそも不信感があるんでしょうね。



#9355 
アジアのバカ大将 2013/04/16 14:44
サッチャー、仏革命批判

テレビで見た記憶ですが、1989年の
「フランス革命200周年」時期、
サッチャー英首相(当時)がコメ
ントを求められ、
「フランス革命は、ナポレオンの独裁
以外、何も生まなかった。西欧民主主
は、わが国で生まれた」と、辛らつ
な言葉を吐いていました。
英国でのフランス革命評価の一端を
知ったような気がします。
なお、直後に同国へ行く用があり、
数年ぶりに再会した大学の先輩(
英国籍取得済み、保守党員)に、
この話をしたら、
「そんなことあったの?」と知りません
でした。
あれは、サッチャーさんの偏見?
サッチャー首相余話ですが、彼女は
筑波科学万博の会期中に来日して
います。偶然会場で目撃した母は、
「きれいな人だった」と、主婦らしい
感想と思いきや、さらに一言、
「案内していたのが、中川一郎
科学技術庁長官(当時)だったから
余計きれいにみえたんだと思う」



#9354 
KMnO4 2013/04/16 08:28
やきものの世界

史点20130325の記事にいまさらながらコメントです.

北宋磁器もなかなかですが南宋陶器にもすさまじい名品があります.長らく「現代では再現不可能」と言われてきた(数年前に「かなりそれっぽいもの」を作った人が出ましたが),世界で3点ないし4点しか残っていない曜変天目茶碗です.場所は東京・世田谷の静嘉堂文庫美術館.

ただ,歴史という観点から見ると,主役はこの椀ではなく,パネル展示と茄子でした.

パネル展示は,ついに中国国内で椀の半分以上残る曜変天目茶碗断片が発見されたという2012年公表のニュース(2/3しかなく,こなごなでしたが,それでも世紀の大発見.なお,発見は2009年).

#ですが,中国でも日本でも,洪水か地震で旧家の蔵が壊れたらポロリと出てくるかも・・・

茄子は戦国の歴史を思いっきり背負っている付藻茄子です.
http://www.seikado.or.jp/040202.html

大阪夏の陣で砕け散ったこの茄子を家康が惜しみ,当代きっての塗師に修復を命じて復活したという伝承がありますが,実際近年レントゲン写真をとったら本当にカケラのような陶器破片を漆で塗り固めて修復したということがわかったそうです(いやほんと,見た目には陶器にしか見えませんよこれ.漆の超絶技巧です).

理系人間としては,照明器具の紹介パネルに萌えたり(面発光の有機ELだ!油滴天目茶碗を下から柔らかく照らし,その虹色の光彩を浮かび上がらせた手腕は見事.これ,紫外線を出さないので作品にダメージが少ないのです)してました.この種の陶磁器は光の具合でだいぶ見え方が違うのが楽しいです.

ところで,昔の人は点発光のスポットライトなんて持っていなかったわけで,これら茶道具も基本的には面発光か,薄明の中の燭台で見ていたんじゃないでしょうか.静嘉堂の曜変天目は,かつて一回だけ窓際の自然光で見たことがありますが,あの美しさは忘れられません.今回の有機ELもかなりそれに近いものを出していましたが,あと一歩です.



#9353 
KMnO4 2013/04/16 07:37
隋の煬帝

先日映画掲示板に上がりこんだKMnO4です.その節はお世話になりました.

今朝TVで「隋の煬帝 墓所発見」と出ていました.

文系彼女に聞いたら「もう墓所ってあるんじゃなかったっけ?」といわれました(「それにしてもよくその名前読めるわね」とも.やはり理学系は歴史音痴と思われているのかも).

どの程度決定的な証拠が出たかはよく知りませんが,もしすでに陵墓とされるものがあるとすれば,今後は本家と元祖の争いみたいになるのでしょうか.これこそ仁義なき戦い(違).



#9352 
サヤ・オリノ 2013/04/13 22:33
天皇陛下、自伝を出版!?

てのが「ニュースな史点」の四月バカネタで出てくるかなーーと期待していたんですが、出ませんでしたね。
来年でいいですから、やってくださいません、管理者さん。
ここは一応「自由主義国」なんですから、冗談でこれくらい出てもいいでしょ。
ま、来年があれば、あるいは来年もこの国に「不敬罪」なんてものがない限りは、ですけど。
あああ、自由って、自由にものが言えるって、ありがたいなあ。



#9351 
バラージ 2013/04/13 16:08
歴史映画&ドラマ

 少し前に『王になった男』を観てきました。ありがちといえばありがちな話だし展開もまったくの予想通りなんですが、丁寧に作られていて重厚な時代劇でありながら娯楽性もちゃんとあって、なかなか面白かったですね。影武者が王妃と手に手を取って逃避行しようとするシーンなんか女性向けというかベタといえばベタな展開なんだけど、僕はああいうの嫌いじゃないです。せっかく美人な女優さんが出てるんだし、ああいうシーンもないとね(笑)。
 光海君といえばレンタル店に『暴君 光海君』という連続テレビドラマがありましたが、調べてみたらなんと1986年の作品でした。何で今さらそんな昔のドラマ出してるんだか。あと、イ・ヨンエ主演の『宮廷女官キム尚宮』というドラマは光海君の側室が主人公のようです。

 他に最近DVDで観た歴史映画は『ムーラン』。有名なディズニーアニメのほうではなく(そっちは未見)、それに便乗した(?)本場中国の実写映画のほうです。主演はヴィッキー・チャオ。監督が香港のジングル・マで、彼の映画は何本か見たけどいずれもいまいちだったんで不安を感じてたら、予想通りストーリー展開や場面描写が陳腐だし演出のテンポがかったるくて、どうにも退屈でした。

 もう1本DVDで観たのはブラジル映画『汚(けが)れた心』。第二次世界大戦終結直のブラジル日系人社会の、日本の敗戦という情報を受け入れた人々(負け組)とそれを信じず日本の勝利を盲信する人々(勝ち組)の間で実際に起きた血の抗争の悲劇を、ブラジル人監督が日本人俳優で映画化した社会派映画です。あまり知らない史実だったし、ときどき観ててつらくなる映画だったんですが、相当な力作で非常に見ごたえのある映画でした。ラストがちょっと弱いのが残念。

>『八重の桜』
 幕末に興味がないんであまり観ていませんが、家族がチャンネルを回しているんでときどき観ることがあります。あいも変わらず主人公の出番が少ないですねえ。オープニング見てなかったら八重(綾瀬はるか)が主人公だと気付かないんじゃなかろうか。ヘタしたら脇役に見えちゃうくらい。歴史ということを横において単純にドラマとして見た場合、これはちょっと問題なんではないでしょうか。八重主人公(綾瀬はるか主演)と思って観たのにいつまで経ってもそうならない、では視聴者が離れていって当然です。個人的にも観続けたいというほど面白くは感じません。幕末にあまり興味がなくても『篤姫』や『JIN 仁』は面白くて、後者はほぼ全話観たし前者もかなり観たんですが。

>信長ドラマ
 『女信長』は観ませんでしたが、『信長のシェフ』は最後まで観ました。テレ朝、信長づくしか(笑)。原題からタイムスリップした若いシェフが信長の料理人となって活躍するという話で、原作マンガもまだ連載中らしく「つづく」みたいな終わり方でしたが、要所要所の史実はきちんと押さえられていてなかなか面白かったです。ひょっとしたらパート2とかもあるかも。

>『セデック・バレ』
 日本でもゴールデンウィークに公開されるようです。よかったよかった。まあ僕の住んでるところまで来るかはわかりませんが。



#9350 
黒駒 2013/04/11 11:35
マーガレット・サッチャー

私はもう、リアルタイムでは知らない世代です。最近、まだ存命の歴史的人物といえば誰だろうと考えて、中曽根康弘やゴルバチョフ、カストロ、キッシンジャーなどともにサッチャー氏の名前も思い浮かんでおりました。

私はぎりぎり冷戦時代の空気は知ってるつもりですが、もう今の10代や20代なんかは冷戦時代がすでに生まれる前の「歴史」になっちゃっているのでしょうね。何だか戦争の記憶の風化は懸念されて啓蒙もされていると思うのですが、冷戦時代の記憶のほうが早く風化してしまっているように思えます。



#9349 
tomohiro 2013/04/09 10:19
霧社事件について

先日、このサイトで「セデック・バレ」に関する話題をしている人が
居ましたが、この映画が公開されないで、都合のいい臺灣ばかり
と述べていましたが、話題になった霧社事件は臺灣では意外と温度差があって
自分がメールのやりとりをしている台湾人はあまり興味がないようです。
日本の植民地つながりで、朝鮮半島のイメージで
臺灣人がみなそれに関心を持っているという印象をもっていたのかな。
南北朝鮮の抗日ムードからしたら、そこまで騒いでいないようです。
そういえば、南北朝鮮の抗日路線の映画やドラマはビデオの形で
意外と日本に紹介されているような・・・。
先日「野人時代」のビデオを近所のレンタル屋で発見しました。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9348 
リトルバスターズ少年 2013/04/09 00:30
鉄の女、サッチャ―氏死去

近年映画化された英国首相、マーガレット、サッチャ―が死去してしまいました。時代の終わりを感じますけど、その頃の時代は私が生まれる前なのであまり知りませんが、歴史検定に出てたと思います。去年はハマコーが死去したり、三宅久之先生が死去したりしましたが今年はこの偉人もいなくなってしまうとは。



#9347 
徹夜城(明日から仕事が平常運転の管理人) 2013/04/07 23:39
こんなのもアリか

 5日、6日に二夜連続放送になった「女信長」。佐藤賢一さんが原作を書いたときにも驚きましたが、こんな大掛かりなドラマにまでされてしまうとは…
 要するに「信長は実は女でした」という、ムチャな話ではあるんですが(まぁ謙信にもそんな珍説がありますな)、ドラマ自体は設定が無茶だけにディティールをちゃんと作り込もうと努力したようで、近年の戦国もの時代劇としてはなかなか本格派で見応えがあったと僕は思います。合戦シーンもそりゃCGもずいぶん入れてるんでしょうけど、最近ここまで大掛かりな迫力を感じるものはなかったです。あと、安土城や江戸城の天守閣はCGじゃなくて懐かしのミニチュア合成に見えたんですが、どうでしょう?
 主人公が女性であること以外は、割とおなじみの信長伝で、有名どころの場面はだいたい入っていたような。さすがに本能寺の変の前あたりからこの話ならではの独自展開になりますが、見終えた後味はなかなかよかったです。

>黒駒さん
 「八重」はついついサボりながら見ております…「幕末史」を駆け足ながらも描いていて佐久間象山がソックリ、といった上手いところもあるのですけど、主人公と切り離された形で進んでますからねぇ…といって八重さん自身があっちゃこっちゃ乱入しちゃマズいわけですが。
 一続きの大河としては確かに明治まで直結して描くのは「翔ぶが如く」以来ということになりますね。むかしの日テレの年末時代劇だと「白虎隊」→「田原坂」を続けてやってるようなもんで。この2作、佐川官兵衛を同じ人が演じていてさりげなく話がつながってたんですよね。

「風雲児たち」は雑誌と単行本でマメに読んでます。そもそも「幕末群雄伝」ということで始まった企画なのに幕末まで到達しないうちに連載終了&雑誌休刊になってしまい、それから雑誌を移籍して「幕末編」を開始してさらに話の進行ペースが落ち(笑)、すでに20巻もかけて桜田門外…という、作品執筆自体が大河状態になっちゃってる異例の歴史漫画ですよね。最初のころの読むと黒澤明の「影武者」のギャグが入っていたり、執筆当時の世相が読めるという意味で二重の歴史漫画になっちゃってます。
 ようやく昨年桜田門外の変に達した時は「事件」として新聞で取り上げられたりしてましたからねぇ(笑)。作者の一応の目標は「幕末」の延長戦ともいえる西南戦争、そして紀尾井坂の変ということらしいのですが、いつになってしまうことやら。



#9346 
黒駒 2013/04/05 21:50
八重の桜

あんまり身近に見ている人が少ないのですが、いちおう見続けています。「翔ぶが如く」以来となるであろう、ひさびさに明治まで行くらしい大河なので、けっこうハイペースに幕末劇を進めていますね。あっという間に薩長同盟となってしまいそうです。早いとこ会津戦争にまで話をもっていかないと、八重パートが苦しいという事情もあるのでしょうけど。

最近、読まなくなっていた、みなもと太郎『風雲児たち』幕末編を最新刊まで読み進めていたのですが、ペリー来航から桜田門外の変までじつに20巻を費やしているのですね。大河ドラマは全50回で十分に時間があるようでいても、丹念に歴史を描くとなるとぜんぜん時間が足りないのですね。

近年の大河だと、『葵』や『風林火山』くらいの時間軸でやるのがちょうど良かったのかもしれません。



#9345 
tomohiro 2013/04/05 14:30
義捐金の多さだけで物差しを

先日の台湾が義捐金を多く送ってくれたことについて。
わたしはやはり、ありがたいと思っています。
しかし、見えない義捐金よりも
臺灣アイドルをこの際だから日本に売り込んだ方が良かったのではと
思っても居ます。
台湾でも、日本よりもともすれば共産中国の方が自分の飯の種を
与えてくれるという考えの基、それを齎さない日本に冷淡な考えがあるようで
そう言ったものを中国大陸に優先して売る考えが強いようです。
被災地の人が台湾をもっと好きになったという話は余り聞きません。
それよりも、臺灣アイドルとかを派遣して政治的に臺灣を利用しない人以外にも
その国を好きになるようにし向ける方が正義だと思って居るのですが。
私も台湾と台湾を利用する人々のことを書きすぎました。
でも、気になってしまうのです。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9344 
徹夜城(南北朝ものにいつも飢える管理人) 2013/04/04 23:24
源平もの

>tomohiroさん
 歌舞伎で源平ものが多いのは、一つには「取り上げやすい」ということではなかったかと。まず室町時代にすでに能などの題材にされてますし(「勧進帳」の原型)、源義経が人気者であったということがあります。そして戦国の方はといえば、江戸時代には現実に大名として存在している家も多くあるだけに少なくとも直接的には素材にできないという政治的事情がありました。落語で聞いた話ですが、江戸時代には本能寺の変をテーマにした芝居でも全部名前が「もじり」の名に変更されたりしてるそうですし。ですから歌舞伎の演目をもって源平と戦国を比較するのはあまり意味がないのではないかとも思います。
 まぁ南北朝もほとんどないみたいですからはっきりしたことは言えないですが…楠木正成なんて人気はあったんですから、歌舞伎のネタにしてもよさそうな気はするんですけど、あくまで南朝正統論が定着してない時期だと一定のタブーはあったのかな。「忠臣蔵」が太平記ネタに仮託されている、という程度の利用のされ方になってますね。


>韓国歴史劇
 相変わらずいろいろ見てますが、「広開土太王」があと10回ほどというところまで来ました…全92話と長いんですが、困ったことに非常に僕的にはツマランのでしんどいマラソンになってます(汗)。「太祖王建」なんかは全200話もものともしませんでしたが(笑)。
 それでその「広開土太王」で、ようやく「倭」との戦いのくだりになりました。ある程度予想はしていましたが、拍子抜けするほど簡単に終わってしまいます。「広開土王碑」に倭との激戦が書かれている割には…と思うのですが、この点、韓国における解釈では倭の攻勢を否定し、「海を越えた」のが高句麗軍ということにしちゃうという凄いことになってまして、このドラマでもそれに乗っかってる形で広開土王自ら倭に攻め込んで勝っちゃってます。それでも大した話ではないとばかりにあっさり引き上げて後燕との激戦に臨むんですな。このドラマでは基本的に宿敵は後燕ということになってまして、高句麗王族出身で後燕皇族の養子となり、のちに皇帝に祭り上げられる慕容雲(高雲)が重要キャラの一人になっていて、この部分だけ見どころが多いかも。
 一応倭軍は百済の要請で新羅に攻め込む、というストーリーになってました。注目したのは「倭」に関する美術考証。甲冑に関してはずいぶんリアルになったな、とは思いました。たぶんですけど日本のドラマ「聖徳太子」あたりを参考にしたフシがあり、一応古墳時代の日本にありそうな甲冑にはなってます。それ以前に僕が見たものでは中世日本とほとんど変わらない恰好のものもありましたので、あれでもずいぶん正確なもんだと思っちゃったわけです。 
 しかし甲冑以外は残念ながら…「資料がない」ということなんでしょうけどねぇ、「倭」の宮殿ときたら提灯をたくさんぶらさげたり障子をあちこち壁に配置したりして「なんとなく日本風」な感じでごまかしてます(日本のものは「紙」でできてる、という欧米的イメージが強いような)。それも恐らく高句麗王宮のセットの飾りなおし程度ですね。刀も中世以後の日本刀にしか見えないし。
 中国で作った倭寇との戦いの映画でも、「中村一郎」なんて名前の倭寇の親分どもが「コンニチハ!」とか挨拶しあっている光景に腰砕けになったことがありますが(笑)、うっかりすると日本の作品だって外国の描写は似たり寄ったりなのかもしれない、と怖くなることはありますね。



#9343 
tomohiro 2013/04/02 17:38
今朝起きて

今朝起きたときの朝のニュースですが、歌舞伎座が柿落としみたいですね。
その歌舞伎ですが、影響を与えた能や浄瑠璃同様源平ものの
演目が多いなと改めて思います。
私はこういった古典文学・芸能の時代から
源平者が日本人の人気演目になって
ついで映画・テレビと定番になっていったんだなと
思いました。
源平ものの人気は戰國ものの演目より人気が強固なのではと
最近思います。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9342 
徹夜城(毎年の恒例行事を終えた管理人) 2013/04/01 23:10
毎年恒例…

 もうお昼過ぎにアップして、結構な数の方にすでに見ていただいてるようですが、今年もまた「四月馬鹿史点」をやっております。
 今日の東京新聞では2ページ見開き全部嘘記事というのをやっておりまして、「実は野球のルーツは日本にあった!」として鳥獣戯画の動物たちが野球をやってるように改造した「古文書」を掲載しておりました。なんだかやってることがこっちと似てきたな、などと思ってしまいました。実は未遂に終わったんですが、先日の「史点」の鳥獣戯画ネタで僕も「まことしやかな偽物」を作ろうと計画まではしてたんで…
 東京新聞は毎年恒例行事としてエイプリルフールをやってるんですが、やはり最高傑作は「きんさん、ぎんさんに生き別れの妹どうさんがいた!」でしょうね(笑)。

>BSスペシャル時代劇「大岡越前」
 民放のかつての人気シリーズ新作(?)をNHKのBSで放送、という異例の作品。よく見れば製作会社もNHKではなくオリジナル版を製作していた会社で、撮影協力に東映太秦の名前もあります。だいたいオープニング音楽も同じ、シナリオも含めて実質リメイクなんですね。これはかなり珍しいケースだと思えます。東山紀之は80年代後半ですでに「将来時代劇をしょって立つ逸材」と言われていたのを覚えてますが(たぶんTBS「源義経」やったころかと)、気が付いたら「必殺仕事人」と「大岡越前」の「名跡」を継いでしまっております。
 「大岡越前」もそうですが、「水戸黄門」「暴れん坊将軍」「遠山の金さん」なんかも一応実在した人物を主役にしてるわけで、「歴史映像名画座」に入れておくべきかなぁ、とは思ってるんですけど(実際かなりハチャメチャなのも入れてますし)、自分があまり見てなかったせいもあってなんとなく入れてないんですよね。「鬼平犯科帳」が入っているのは個人的趣味です(笑)。



#9341 
徹夜城(恒例行事のネタにまだ悩む管理人) 2013/03/29 23:18
軍師ばなし

>黒駒さん
ちょうど先日、小和田哲男氏の『軍師・参謀』(だったかな)という本を図書館から借りてざっくりと読んでました。この本でもやはり通俗的な「戦国の軍師」像というのは中国ものから仮借した江戸時代以降に流布するもので、実像ではないという趣旨が展開されてます。実際の「軍師」的な存在というのは合戦にあたって勝利のために縁起を担いで方角や日時などをアドバイスする「占い師」といっていい存在だったようです。読んでて気づきましたが、小学館版「学習漫画日本の歴史」の戦国時代編で武田信玄の家臣たちが実際にこの手の「縁起担ぎ」をしている場面が描かれてました。
 小和田さんの本では南北朝時代のケースにも触れ、「明徳記」のなかで山名氏清の敗北を予言する占い師が出てくるエピソードや、細川頼之もこの手の占い師に合戦のアドバイスを聞いていたケースなどを紹介していました。あとその手の占い師的な人たちも多くが足利学校出身者だった、なんてのも面白い話で。当時においてはそういうのも「科学」の一環みたいなものだったのかも。
 ただ戦国末期、全国統一の過程ではいわゆる「軍師」的な作戦参謀的存在も出てきたみたい、というようなことも書かれてましたね。

 そういや、今日ヤフーのトップページを覗いたら「知将の甲冑」と写真が出ていて、誰だろと思ったら楠木正成の甲冑でした(あくまで「伝」だと思うけど)。「それって誰?」と思う人が多かったのか、一時「急上昇キーワード」に「楠木正成」が挙がってしまっておりました(笑)。



#9340 
黒駒 2013/03/29 21:35
戦国時代に「軍師」はいたか?

『歴史読本』5月号が早くも「黒田官兵衛」特集で、さっそく買いました。

目的は官兵衛特集ではなく武田氏研究者丸島和洋氏の「戦国時代に「軍師」はいたか?」という小論だったのですが、やはり当然のことながら戦国時代に軍師は存在せず、江戸時代に『三国志演義』の影響で広まったイメージのようですね。丸島氏は取次論の視点から戦国大名論を展開している研究者なのですが、戦国期には今川家の太原雪斎や上杉家の直江兼続のような家宰、あるいは武田家の跡部勝資のような出頭人のように重用された近臣は存在するものの、そもそも戦国大名のような権力は合議制を重視し、軍事的な全権を担う軍師などという職掌は存在しえ無かったのではないか、という指摘でした。

私は『三国志』はあまり良く知らないのですが、面白いことに中国の三国時代には「軍師」という職掌が官職が実際にあるのですね。職務内容は一定していないらしいのですが。



#9339 
徹夜城(ようやくちょっと春休みが取れた管理人) 2013/03/28 10:33
「昭和の妖怪」

 ちと多忙なもので、こちらに連絡を書き忘れまして今さら何ですが、「史点」を25日付で更新してます。次は恒例の四月馬鹿を予定しております(笑)。
 そんなわけで、この時期に面白そうなネタが来ると史点で拾えなくなる可能性があるもので、こちらに面白いと思ったネタを書いておきましょう。

 朝鮮総連本部の敷地を45億円で鹿児島の宗教法人が落札、ってニュースを聞いたときは驚きましたが、さらに驚きだったのはその宗教法人の主催者の素性。名前だけはちらほらと聞いていた「池口恵観」氏だったのでありますねぇ。調べてみるとその経歴は複雑怪奇というか、「まだ戦後は終わっていない」などとヘンな感慨(叶姉妹が出てきたとき、誰かがこのフレーズ使ってましたな)を抱いてしまいました。
 かつて「三無事件」で逮捕された経歴をもち、関わってきた人脈をみるとバリバリの右翼っぽい。といって彼に弟子入り(?)する人はホントにピンからキリまで幅広く、現在の安部首相はもちろん小泉、鳩山元首相にまで影響力がある。その一方で金日成を尊敬し北朝鮮渡航歴も多い。日本の民族主義の流れの一つにある「アジア主義」的な位置づけができるのかな、とも思います(あのデヴィ夫人が徹底的に北朝鮮擁護であることなんかも似てますね)。まぁそう簡単に片づけられる人ではないのでしょうが、「永田町の怪僧」などと言われてるそうで、こういう「昭和の妖怪」みたいな人ってまだいたんだなぁ、と面白くなってしまいました。それにしても45億もどうやってひねりだしたんですかね、この人。どうも政治的バックボーン(それも人脈的に現政権の方)があるような。
 道鏡は言いすぎでしょうが、南北朝時代の文観なんかは近い位置づけが出来そうな気がするなぁ。真言密教だし(笑)。

 それとこれまたずいぶん遅れたネタになりますが、先日TBS-BSでオリジナルドラマ「独眼竜政宗」を放送してました。政宗は椎名桔平、榎木孝明が片倉小十郎。津川雅之が家康じゃなくて秀吉だったのがややこしい(長門裕之は「真田太平記」で演じてましたが)。演出は大河ドラマの「独眼竜政宗」の演出も手がけた人で、リメイク的なものではあったようですが、それよりも「東北応援企画」ということだったみたい。
 予算もないせいか、えらく駆け足であっさりしたドラマでしたが…劇中、政宗のために働く忍者みたいな人が、「アテルイ」の名を出してその遺志を政宗に継いでほしいとかいったセリフを言うんですね。実際にはそんなことありえないと思うのですが、そこはやはり「東北応援企画」。そんなわけで先日のNHKの「アテルイ伝」と図らずも呼応してしまう内容となりました。



#9338 
粕谷真人 2013/03/28 03:21
歴史でなく政治が問題だろ。

強引に息苦しくしている

それは、歴史を政治問題化しているからである。
例をあげれば、
たかが将軍が変わるごとに来た朝鮮通信使を鎖国していた日本が正式に国交があったのは朝鮮。日本と朝鮮中国は海をかいして緊密な交流があった。日本は漢字を使っているから中華文明圏だ。
それで、今の中国朝鮮と政治的経済的文化的に統合されるべきだとか、中華文明に組み込まれるべきだと説教されれば、猛烈な反撃や憎悪をおきる。
ようするに、「インネンをつけるな!」である。
ちなみに、私は時がきたら小島毅とかを告発する気である。

とにかく、息苦しいと思っているなら行動してはどうだろうか?
私はアジア主義の克服というか全否定している「在日特権を許さない市民の会」には創立以来から入っているし、tomosiro氏はサヨクでもいいから自分にあった政治団体や集会をさがしてみてはどうだろうか。



#9337 
tomohiro 2013/03/22 15:46
強引に息苦しくしている

>サヤ・オリノさん
私もそう思います。
今のへんてこりんな反韓・反中、台湾への過度の神聖視
日本はアメリカの属国等々自分の心を暗くさせる本を読んでいると
私も悩みます。
極右に反対している人も極右を必要以上に怖がらせるような本ばかり
書くし・・・。
日本人は強引に息苦しくしているのに悩みます。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9336 
サヤ・オリノ 2013/03/18 22:15
月みれば 千々に物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど

3月8日以降、タイトルに拝借した和歌を思い出しては、自分を慰めているサヤ・オリノです。
きっと私みたいな人間は、アメリカに生まれていれば「マニフェスト・ディスティニィ」主義者やネオコンのことで悩み、
ドイツに生まれていたら、ヒトラーやネオナチについて悩むんだろうしな。
ところで、ナショナリズムについて適切な教則本みたいな著書はないでしょうか。
それとも、反面教師として
「自国のことは何が何でもすべて称賛しろ」という著作物を読んだ方がいいのでしょうか。
ちなみに私は今、ドウス昌代さんの「敗者の贈物」を読んでいます。
もし、この著作を読んでいらっしゃる方がおいででしたら、御感想をどうぞ。



#9335 
バラージ 2013/03/10 19:35
また史点など

>有名人の子孫
 有名人の子孫を名乗った詐欺といえば、確かどっかの宮家の子孫を名乗って詐欺をした男女がいたなあと思いだして、ちょっと調べてみたら有栖川宮の子孫を名乗る詐欺事件が2003年に起こってましたね。
 有名人の子孫というと、最後の将軍・徳川慶喜の子孫でカメラマンをやってる方の著書がなかなか面白かった記憶があります。ご当人は歴史に全然興味がないそうで、慶喜の子孫とわかると歴史の話を振られるのでうんざりするとか(笑)。ただ、幕末の政治家としての慶喜には全く興味はないが、維新後に趣味人として生きた慶喜には興味があるそうで、ご本人もなかなかの趣味人のようです。

>真田幸村の最期
 幸村の最期については、僕は新発見されたという史料のように認識していたんで意外というか、逆に「あれっ?」というか。というのも司馬遼太郎の『城塞』ではそういう描写なんですよ。西尾は討ち取ったのが幸村とは知らず、後で知って「百万石!」と踊り上がって喜んだ(家康がそう約束していたという噂があった)が、家康への御前報告で話に色をつけてしまったため、ケチな性質の家康にそこを厳しく突かれ百万石の話は立ち消えになっってしまったという話でして。だから新発見ではなく、同様の記述の史料は以前からあったんではないでしょうか。大河ドラマ『徳川家康』でも、はっきり覚えてはいませんが、討ち取られるときに堂々と名乗りを上げてはいなかったような気がします。

 『王になった男』は僕も見ようかと思ってるんですが、まだ地元に来ていません。
 歴史映像名画はまたも『虎の尾を踏む男たち』が収録されておらず……。いや、僕も観てないし、どうしても収録してほしいってわけじゃないんですが、源平ファンとしては『羅生門』や『七人の侍』よりは歴史ものなんじゃないかと。



#9334 
徹夜城(歴史ものならどこでも追いかける管理人) 2013/03/08 00:43
王になった男

 もう一昨日のことになるんですが、久々に都内に出て映画を見てきました。近所ではやってないんですよね、韓国時代劇「王になった男」。
 前にも燕山君の時代を扱った「王の男」という似たようなタイトルの映画がありましたが、今回は光海君の時代。映画のなかでも壬辰倭乱(秀吉の朝鮮侵略)の際に負傷したとか、後金(のちの清)の勃興などが触れられておりますので時代がわかるというもの。
 朝鮮史で「〜君」となっている国王は廃位させられたことを意味します。この光海君も暴君であったために廃位されたことになってるんですが、名君めいた部分もあり、それは実は影武者が入れ替わっていた、ってなお話で、「王子と乞食」以来洋の東西でよくある話と言ってしまえばその通り。お約束とも思える身分違いの入れ替わりによるコミカルなシーンも多く、劇場内では結構素直にみなさん笑ってました。奥様層が多かったのは時間的なこととレディースデーだったこともあるんでしょうが、イ=ビョンホン主演ってのがやっぱり大きいのかも。僕の近所の奥様まで見たいとか言ってましたし。
 この映画のなかで重要な役割をするホ=ギュンってのもドラマの主人公になってるんですね。さすがにそこまでは追いかけきれてない…


>バラージさん
なるほど、浅見雅男さんの本ではすでにそういう著作もあったんですね。「闘う皇族ある宮家三代」なんかは面白そうなんで探してみようかな。内容的にはかぶってるようですけど、もすこしまとまってるかもしれない。
「伏見宮」でも久邇宮家の朝彦さんは印象的なのですけど、周囲の志士から「今大塔宮」ともてはやされたことについて「その後の大塔宮の運命を思うと縁起でもない」とか書かれていて、ちょっと苦笑。これ以外でも南北朝ネタについては幕末・明治さらには昭和前期にいたるまで結構いい加減な話がまかりとおっていた気がします。そもそも現皇室が南朝を正統にしてること自体がそうなんですが。

 「鳥獣戯画」の話では「火の鳥・乱世編」に触れたものかどうかちょっと迷いました。手塚治虫の話まで出したのですけど、そこまでやると話が込み入ってくるかな、と思いまして。手塚治虫も「鳥獣戯画」を漫画のルーツと考えたからこそ「火の鳥」でオマージュ的に出したんでしょうね。

 そんなわけで、二週間ほどで最新「史点」をアップしております〜〜



#9333 
バラージ 2013/03/06 00:10
史点など

>ローマ法王
 ローマ法王の退位に関連して、去年見た映画に『ローマ法王の休日』というイタリアのコメディ映画がありました。邦題に偽りありで、内容は法王の死によって新たな法王を選ぶコンクラーベが開かれるが、選ばれた新法王がプレッシャーから「私には無理だ!」と逃げ出しちゃうという話で、コメディといってもドタバタ喜劇というよりヒューマン映画に近い作品でした。お話は途中までは面白いもののオチが弱かったのですが、世界各国(アフリカや日本にも)に枢機卿がいるとか、ロシア正教会も今じゃ参加してるとか、「へえ〜」という部分が多かったです。

>『伏見宮』
 浅見雅男氏の本は『伏見宮』は読んでないのですが、『闘う皇族 ある宮家の三代』と『皇族誕生』を読みました。どっちも面白かったです。前者は久邇宮家の朝彦・邦彦・朝融三代を、後者は維新後に大量発生した皇族を扱った本で、『伏見宮』の目次を見るとかなりかぶってるというか、これまでの著作をまとめたような感じの本でしょうか。去年の大河で松田翔太が好演した後白河なんかもずいぶん奇天烈な人だったようですし、地位とか関係なくいつの時代にもめちゃくちゃな人はいるもんですな。

>平泉の鳥獣戯画
 このニュースは地元でも結構取り上げられました。ちなみに手塚治虫の『火の鳥 乱世編』では、風刺をこめてこれを描いたのは明雲で、自分は世の中に名前を出したくないのであなたの名前で出してくれと鳥羽僧正に頼むというエピソードでした。



#9332 
徹夜城(やっと受験シーズンを抜けた管理人) 2013/03/03 21:27
歴史映像名画座更新

しばらくこちらでは音信不通になってしまいましたが、ようやく受験シーズンも終わり(厳密にはまだなんですが、講師としてはもうやることがない)、あれこれと更新作業も始めました。とりあえず先ほど「歴史映像名画座」をアップしております。以前入れてなかったっけ?と思っていた「火の鳥鳳凰編」も追加しましたが、ついでなんで「ヤマト編」も入れております。NHKで放送したやつがなぜないのかというと、僕はほとんど見てなかったからでして…

 今回韓国ドラマの「階伯(ケベク)」を入れておりますが、これはつい先日ようやく見終えまして。正直なところあまり出来のいい作品ではなかったですが、ともかくこれを見終えたことで三本並行で韓国歴史ドラマを見ている状態からちょっと解放されました。
 残りの二本は「光宗大王〜帝国の朝」と「広開土太王」。事前の予想とは裏腹に後者よりも前者が面白い。後三国時代を描いた「太祖王建」の完全な続編となっており、高麗初期のドロドロ権力抗争が楽しめます(笑)。戦闘シーンもほとんどない陰謀劇でえらく展開も遅いのですが、なんか僕の好みにマッチしたようで。
 そういやNHKのBSでやってたアニメ「キングダム」がひとまず終わったので今回追加しようかな、と思ってたら6月から第二シリーズをやると知ったので当面先送りです。

>小覇王さん
実はその「武田家の子孫」ネタは次回史点ネタ候補になってまして(笑)。今回は割と早めにネタが集まってきたのでそこそこ早く更新すると思います。
「史点」も1999年からやってますもんねぇ、そういやちょうど石原都政と同じくらいやってたわけですか。こちらの方が「長期政権」になりましたが(爆)。そういや前都知事は風邪をこじらせてしまい年齢も年齢なのでいろいろささやかれてますな。
「史点」は今だって週刊でやりたいのですけど(だから今でも「今週の記事」って書いてますよね)、まずそのヒマがないということと、もう一つはこれだけやってると似たネタの使い回しになりやすく、書きたくなるほどのものが毎週は集まってこない、というのもあるんですよね。

 そうそう、史点ネタにしたローマ法王の退位後の呼称ですが、とりあえず「名誉法王」なんだそうです。名誉教授とか名誉会長みたいな(笑)。退位の例も600年ぶりのことでしたが、この3月いっぱいは法王が空位というこれまた異例の事態になってます。
 天皇家の話題では、月刊誌に皇太子の「退位」をうながすような論文が出たりしておりますねぇ。無理だって最初から分かってる話なんですが(できるならそうしてる、と本人も言いそうだな)。なんか皇太子夫妻は保守系に嫌われてるようで(ま、美智子皇后もそうだったみたいですが)、結局こういう小姑みたいのがいろいろいるから権威も落ちるし断絶の危機になったりもするんでしょうな。

 関連する話ですが、いま図書館から「伏見宮・もうひとつの天皇家」という本を借りてます。例の皇室復帰論のある「旧宮家」がみんなこの伏見宮家の系統なんですよね。この本の作者は旧宮家の復帰論者たちがまるで伏見宮家の歴史を知らないことに危惧を抱き、この本を書いたそうで、一つの通史としてなかなか面白い読み物になってます。
 伏見宮家ができたのも、「室町太平記」や「南北朝列伝」で書きました「正平の一統」の際に北朝皇族が南朝に拉致され、ほとんど超法規的措置で後光厳天皇を即位させたことが発端なんですよね。その後600年にわたって天皇家に対抗意識をひそかに燃やしつつ「遠い親戚」でありつづけた異例の宮家で(なんせ結構「血統」にもこだわり本家皇族からの養子も断った例もある)、そのため幕末から現代にかけてかなり曲者というか個性派が多く出てます。
 笑っちゃったのが幕末に結構暴れた宮様で、尊攘派志士たちに祭り上げられたせいか、なんと「後醍醐の血統」を名乗るという暴挙をやっちゃってます。こういう人でも自分の家の歴史を全く知らなかったんだから恐ろしい。この伏見宮系統の子孫で現在何かとよくマスコミに露出するあの人も「南朝の子孫」なる人とおつきあいがあるとポロっと言っちゃったことがあり、どうも血は争えんな、と思ったりして。



#9330 
小覇王 2013/02/28 18:43
子々損々

ここ最近の歴史系の話題だと「武田信玄の18代目末裔モデル登場」というのがありますね。一方で武田家の子孫で構成される団体は否定しているとか。まあ公式じゃない子孫なんていくらでもいそうですし、逆に「本当だとしても嘘だとしてもそれが何なの?」っていうのが一般的な意見な気もします。織田家とか武田家とか血筋は続いてるんだろうけど微妙な所が多いですよね。
武田家の場合、直系は大名としては存続してないので逆に使いやすいのかな、などとも思いますが。武田家の遺臣などの多くは徳川家に取り込まれていますよね。逆に堂々と武田姓を名乗る人は少なかったのではないかなどと想像するのですが・・・

>史点
2012年分がアーカイブの方に追加されたのを機に初期の1999年ごろの史点をちょこっと読み返したりしていたのですが、ちょうど東京都知事選のころでこの頃から去年までずっと石原慎太郎都政だったのですねえ。今は禅譲に近い形で猪瀬都知事に変わりましたが、よくも悪くも(最もかなり悪いですが)表に出やすい石原慎太郎に比べると、猪瀬氏はもっとうまくとんでもない条例なんかを通しそうで怖い気がします。
 
>退位
確かにローマ法王の退位はびっくりしました。日本では天皇が退位すると上皇、上皇が出家すると法王ですが、むこうでは法王が退くとなんて呼ばれるんでしょうねえ。史点のように上皇で呼んでしまうと日本と逆なのでなんだか還俗した印象を持ってしまいます。
僕は消極的な天皇制反対という立場に立つものですが、日本の天皇も生きているうちに退位出来るようにしたほうが色々といいと思いますけど、もはや頭が硬すぎてどうしようもないのでしょうか。

ちなみに僕がこちらに訪れる様になったのは2006年ごろだからちょうど半分ぐらいの頃だったんですね。最初のころは本当週刊だったんですねえ。今後も面白い記事期待しておりますので頑張ってください。

http://d.hatena.ne.jp/susahadeth52623/


#9329 
マルクスの恋人 2013/02/22 18:41
宇宙戦艦ポチョムキン

2013年、人類は、小惑星からの隕石の脅威に晒されていた!
勇者たちよ! 地球を守り抜け! 闘え! 愛の戦士たち!

同時上映「宇宙刑事コロンボ」


黒駒さんのおかげで、このフレーズが頭を離れなくなってしまったじゃありませんか。
まったくもう、どうしてくれるんです?



#9328 
黒駒 2013/02/17 09:37
隕石落下

史点ネタ確定でしょうか。世の中なにが起こってもおかしくないと思っていましたが、まさか隕石まで落ちるとは・・。陸地に、それも町中に、それも湖に落ちたということですから、確率的にもずいぶん稀少な出来事だったのではないでしょうか。まぁびっくりしました。



#9327 
リトルバスターズZ 2013/02/15 23:54
現代史本

孫崎享先生の「戦後史の正体」をぜひ取り上げて下さい。アメリカの圧力を背景に戦後史を語っていました。徹夜城さん、ぜひ取り上げて下さい。



#9324 
バラージ 2013/02/11 14:27
BS時代劇

 『ジ・アトラス』、ありましたねえ。僕はやってないんですが、タイトルはなんとなく記憶にあります。コーエー以外の歴史ゲームだと『天舞』っていう三国志シミュレーションゲームをやったなあ。

 『アテルイ伝』は、扱ってる時代からも古代史三部作の続編的位置付けなんではないでしょうか。確か最初の発表の時点でBSでは4回、地上波はそれを再編集して2回となってたんで、地上波90分×2回から逆算して放送回数を決めたんじゃないかという気も。地上波放送が最初から発表されたのはこれだけですし。原作は僕も読んでませんが、『陽だまりの樹』や『塚原卜伝』(チョロッとだけ立ち読み)が原作から結構変わっていたことを考えると、この作品もその可能性は高いですね。
 『メイド・イン・ジャパン』は観てないんですが、同じNHK地上波で放送してる『書店員ミチルの身の上話』(原作は佐藤正午『身の上話』)というドラマは観ています。このドラマもよくできてて面白いのですが、これらは地上波ですし現代劇ですし、BS時代劇と同列には語りにくい。地上波とBSでは予算や製作体制に差があるでしょうし、にもかかわらず時代劇は現代劇よりもお金がかかります。地上波のテレビ朝日で放送してる『信長のシェフ』や去年TBSでやってた男女逆転『大奥』も、作品としての好き嫌いは別として、技術的完成度はBS時代劇よりずっと上でした。同じBSでもWOWOWは質の高いドラマを作ってますが(ただし時代劇は作っていない)、これはBSのみの放送局だからでしょう。BS時代劇については、以前も何度か書きましたが、題材の選び方が良く言えば野心的、悪く言うと奇をてらったものが多い。『陽だまりの樹』や『アテルイ伝』は原作ファン・歴史ファンからすればうれしい題材ですが、BS時代劇という枠に合った題材とは思えません。歴史ドラマではなく、地上波時代劇の頃のような庶民の世界を描いた正統派時代劇にしたほうがいいんじゃないですかねえ。予算に見合ったドラマにしたほうが、ドラマとしては面白くなると思うんですが……。



#9323 
徹夜城(信長の野望は「武将風雲録」までしかやってない管理人) 2013/02/07 23:55
南北朝列伝に追加しました。

 やれやれ、ようやく一区切りのところまで執筆作業が終わったんで、先ほど「南北朝列伝」の更新を行いました。今回は「け」〜「さ」の人物で、「室町太平記」に出てきた人を基準にしつつ、ついでにその一族をまとめて書いちゃう、という形になっています。
 今回は主に「河野氏」「西園寺家」「佐々木氏(六角・京極)」「三条家」といった人たちが追加されてます。特に佐々木さんが大変でしたね。いつも思うことですが、列伝という形でなるべくエピソードを探しつつ書くようにしていると、誰の人生もなかなかに面白いものです。今回は「西園寺寧子」「三条厳子」といった話題豊富な女性陣もおりますので、チェックのほどを。


>バラージさん
 「蒼き狼と白き牝鹿」の「元朝秘史」だけはPCエンジン版でプレイしたことがあります。ただちゃんとまともにやったかというと…レビューを一応書ける程度にしかやらなかった、というのが正直なところです。PCエンジン版、ちと戦闘場面がスピード面で面倒でもありました(それでも「三国志III」よりはマシでしたが)。
 「大航海時代」シリーズはまだ手を出したことがありませんで…似てるような似てないようなゲームであるアートディンクの「ジ・アトラス」はPCエンジン版でちょこちょことプレイしたことはあります。あのころはああいういかにもパソコンゲームチックな渋い作品が家庭用ゲーム機で遊べることに新鮮さがありましたね。

 「アテルイ」は…う〜ん、以前このくらいの回数が適当かな、なんて書きましたけど、終わってみると展開が唖然とするほど早すぎ、これなら10回くらいにした方がよかったと思いました。割とキャストも重厚で手間もかけてるようなんですが、あのストーリーは原作のとおりなのかな…?どうもツッコミどころが多すぎて。結局はエコロジー観点から降伏したのか?なんて思っちゃうところも。
 どうもBS時代劇は事前に期待してると外されてしまうことが多い気がします。いろいろ作ることに意義はあるので貴重な枠とは思ってるのですけど…予算というか体制の問題なのかなぁ。時代劇ではありませんがTV60周年企画の「メイド・イン・ジャパン」なんかはえらく重厚な作りで感心してます。

>修史さん
 「チンギスハーン」もやったことがないんですよねぇ。発売当時気にはなったのですけど。当時公開されてたモンゴル版の映画「チンギスハーン」の映像がOPに使われていた覚えがあります。
 で、そこに南北朝武将が出てくるシナリオがある、とは聞いてはいたのです。「南北朝列伝」のゲームデータ部分のためにもやっておくべきかなぁ、とは思ってるんですけどね。
 南北朝武将が出てくるゲームというと他に「斬」という戦国SLGもありました。あとかなりマニアックなボードゲーム「戦国大名」でも追加ユニットとして義経らと一緒に楠木正成ユニットが紛れ込んだりしてました。

 光栄→コーエーのゲームもずいぶん触れてないんですが(「信長」は武将風雲録、「三国志」はIV、維新の嵐と水滸伝は最初のだけ)そういえば「蒼き狼〜」シリーズも打ち止め状態になっちゃってるんですね。

>サヤ・オリノさん
 その件はちょこっと小耳にはさみました。最初に聞いたときは「最後の審判」の絵のパンツの話かと思ったら、日本のレプリカダビデ像の話なんですねぇ。
 まぁ「ダビデ像」は中学校の教科書に堂々と載ってる男の局部露出写真だったりするわけですが(笑)、あんなに堂々と、しかもでっかいものがリアルな立体で目の前にさらけだされてるとちとあれこれ言いたくなる人もいるのではないかなぁ…とは思えます。つーか、そんな議論を出すくらいなら最初からダビデ像のレプリカなんか置かなきゃいいわけですが。



#9322 
サヤ・オリノ 2013/02/07 19:13
芸術かわいせつか

島根県の奥出雲町にあるミケランジェロのダビデ像(勿論レプリカ)に
「下着をはかせよう」と要求する声があるそうです。
皆さんの御意見はいかがですか。
それにしても、昔は日本人の方が人間の裸体に関しては寛容だったはずなのになー。
(公衆浴場での混浴OK、女性は庭で平気で裸で水浴びする、お母さんは平気で人前で授乳その他)
それにしても、本家のフィレンツェではあのダビデ像は物議を醸さなかったんだろーか……。
性道徳に関して「とってもうるさい」キリスト教国の、それもカトリックの総本山たるヴァチカンを擁する国なんだけどなー。
(国は違えど「風と共に去りぬ」を読んでると凄いですよ、いろいろと)



#9320 
バラージ 2013/02/06 22:36
アテルイ先生、ペニシリンでございます!

 『火怨・北の英雄 アテルイ伝』、全話終わりました。ドラマの出来にはいろいろツッコミどころもありましたが、BS時代劇の中ではよくできたほうだったんじゃないでしょうか。少なくとも『塚原卜伝』や『陽だまりの樹』に比べればずっとましだったかと。珍しい題材と時代ですし、やってくれただけよかった。

 さて、テレビ朝日の金曜夜に『信長のシェフ』というドラマをやってます。先週第4話にして初めて観たんですが、思いの外面白かった。タイムスリップものですが史実考証もきっちりしていて、個人的には『アテルイ伝』はおろか『八重の桜』よりもドラマとしてよくできているんではないかと。この枠のドラマは『トリック』の頃から良作が多いんですよね。1話から観ておけばよかった。



#9319 
修史 2013/02/04 20:01
チンギス・カーン4の思い出

ゲームの話題に便乗させていただきます。「源平合戦」はプレイしたことがありませんが、「蒼き狼と白き牝鹿」シリーズは大好きです。今の所最新作となっている「チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿IV」ではいろいろなシナリオが選べました。1171年スタートのシナリオ2だと鎌倉幕府の「国王」が北条時宗で、1300年代前半になると楠木正成、新田義貞、足利尊氏が相次いで在野武将として登場します。それぞれかなり優秀な能力を持っていますが、彼らが出る時期になると既にゲーム内では50年近くが経過していて世界統一間近、という状況が多いので今ひとつ役立てることができないのが惜しいです。
尊氏の顔グラフィックは「騎馬武者像」をモチーフにした悪党面となっています。

1370年スタートのシナリオ4では明朝とティムール帝国が二強を形成していますが、日本では室町幕府国王足利義満で、金閣寺建立イベントがあったりします。細川頼之、今川貞世、斯波義将、山名氏清といったあたりは配下将軍として登場したと記憶しています。

このシリーズ、まったく新作が出る気配がなく残念です。やはり「征服した国の妃を捕らえオルドに加える」「オルドで妃に子供を産ませる」という「モンゴル的やり方」がネックだったりするんでしょうかね。

マップのはじっこのアルジェリアあたりの砂漠の真ん中に新国家を築いて、世界の情勢を眺めつつ引きこもりプレイするのが好きでした。




#9318 
バラージ 2013/02/01 21:44
提督、何かを発見したようです

 思い出したんですが、『源平合戦』は数年前にWindows用の復刻版が出たらしいです。そういえばコンビニにコーエーゲームの復刻版が並んでたような記憶が……。でもそれももう絶版かな? まあ買ったところで、今はもうやる時間もないしなあ。
 『蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史』日本編(源平シナリオ)は、清和源氏(頼朝)が1番やりやすく、木曾源氏(義仲)が最も厳しかったですね。桓武平氏(清盛)と奥州藤原氏(秀衡)はその中間で、世界編への移行を考えると国王が老齢なので後継を前提にプレイする必要があります(ただし日本統一だけなら桓武平氏は最も簡単)。
 コーエーゲームでは他に『三国志』シリーズ、『信長の野望』シリーズ、『大航海時代』シリーズのそれぞれ初期のいくつかと『項劉記』あたりをやりましたが、1番面白かったのはなんといっても『大航海時代U』。世界各地を回っていろんな珍しいものを発見したり(日本では先住民としてなまはげを発見できます・笑)、世界地図を作り上げていったり、世界中の港の酒場女に会ったりと、とにかく楽しかったですね。

>徹夜城さん
 『源平合戦』が『人形劇平家物語』のタイアップ企画だったとは知りませんでした。そういえば『蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史』も復刻版が出ていて、源平シナリオも入ってるらしいんですが、ひょっとしたらマンドハイ現象も再現されてるかも。

>NFさん
 武将の出家については、言われてみればそんなシステムがあったような……。僕はやってないんで、あんまりよくわからないんですよね。



#9317 
徹夜城(いまルパンネタのSF小説に苦戦してる管理人) 2013/02/01 00:16
ミステリな歴史話

べつに歴史ミステリーの話ではなく、ミステリがらみの歴史ばなし、ということで。

横溝の金田一耕助シリーズ、確かに終戦直後の状況を反映したものが多く、忠実にやればやるほど時代劇状態になるんですよね。ただ、いくつか「現代劇」にしちゃった例はありました。
 そもそもその発表当時の戦後間もない時期に片岡千恵蔵主演で何本も映画化されてますが、実はこれは見事に「現代アクション」に翻案されており、背広姿の探偵金田一がピストルをぶっ放してカッコよく事件解決、というものだったとか。実はこの時期時代劇が占領政策で禁止されており、その代わりだったという時代背景があったりします。
 あと中尾彬主演の「本陣殺人事件」が映画公開当時の「現代」にされていたことがあります。この映画が割と当たったことがその後の「時代に忠実な」石坂金田一シリーズにつながったと聞いてます。
 渥美清が金田一を演じた「八つ墓村」はもともと石坂金田一より先に話があったと聞いているので(そもそも渥美清が一番イメージが近いとの声がありました)、もしかすると中尾金田一の影響で現代(70年代)に時代が変えられているのかも。あの映画自体はそうすることで「古き因習に満ちた村」なイメージをいっそう強められるというところはありました。ただホントにオカルト話になっちゃってたからなぁ…橋本忍がそろそろヘンな方向に走り出す予兆が見えます(笑)。

 明智小五郎は江戸川乱歩自身が書いてるうちにキャラ設定がごちゃごちゃしてるせいもあって現代劇に移し替えやすくなったのかも。かの天知茂主演のテレビシリーズで「黄金仮面」をやってますが、原作で対決する「あの人」については「○○○二世」と呼ばれている、というキャラが出てどうにかごまかしてしまいました(笑)。

 で、その「あの人」の方ですが、フランスで製作したTVドラマシリーズやアニメシリーズも原作からは時代を変えていて、なぜか1920年代から1930年代に設定されてました(ドラマ中にナチスの台頭が描かれたもんな)。2005年に公開された映画は評価も今一つだったようですが、時代設定的にはなかなか忠実にやっていたと思います。
 未見ですが、最近フィリピンで「ルパン」と題する現代劇ドラマのシリーズがあったようです。ただこれはちょこちょこ調べた限りでは「三世」の方のつもりなのかも。「シャーロック」を見て「ルパンでも同じようなことをしたら」という妄想を考えた人は多いと思うのですが、それって「三世」になっちゃうだけだ、とも思えますね。
 「三世」の方も正直なところ80年代までが限界(時代設定以外でも)だったのではないかと思うこのごろ。


>マルクスの恋人さん
 「レ・ミゼラブル」はまた映画化されてますが(今度のはあくまでミュージカルが原作だそうですが)、恥ずかしながら僕は映画は見てないし原作のほうもちゃんと読んだことがありません。子供向けのやつを昔途中まで読んだような…という程度で。
 以前NHKが作ったルパン番組でやってましたけど、あるときフランスで「フランスが生んだフィクションキャラ」の人気投票やったら一位がジャン=バルジャン、二位がアルセーヌ=ルパンだったとか。しかし作者の知名度の開きは…という話を研究者がしてましたっけ。

>ひでさん
 そうですか、人物叢書でついに尊氏・直義兄弟が上がりましたか(いつになるか分からんにせよ)。尊氏はともかく直義は驚きです。ま、それよりも直冬がずっと先に出ていたことの方が驚きですが(笑)。
 吉川弘文館の人物叢書とミネルヴァ日本評伝選は出版情報を楽しみにしてましてねぇ。ミネルヴァの方でも尊氏とか後醍醐とか南北朝関係者が予定に挙がってはいるんです。最近赤松五代ってのは出てましたね。



#9316 
ひで 2013/02/01 00:02
人物叢書

吉川弘文館の人物叢書というと、史料を基にかなりみっしりとした作りの評伝です。この人がでるのかと一寸びっくりする物(足利直冬とか)、まだこの人の本が出ていないのかと思うもの(源頼朝など)、色々とあります。

で、吉川弘文館のサイトで続巻予定がのっていたのですが、足利尊氏、足利直義がそれぞれ別々にでるようです。でるのが何時になるのか分からないというところが厳しいですが。

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9314 
マルクスの恋人 2013/01/29 03:39
よーし、わかった!

「違いますよ、警部さん。そうじゃありません」

古谷シリーズでも、石坂シリーズでも、土ワイの小野寺昭も、中井貴一ですら、忠実な時代劇。
ただし「八つ墓村」は、現代劇で製作された例があります。渥美清で。なぜなら、あれ戦争と関係ないから。
「犬神家」とか「獄門島」とか、主要作品はみんな戦争による徴兵と復員という重大要因が不可分になってます。
ああ、「悪魔が来たりて笛を吹く」もあった。あれも、華族制度の廃止、没落ってのが大きな背景なんだ。
つまり、作品の時代背景が無視できるあるいは置き換えられるものじゃないんです。どれもこれも。
だから、渥美金田一はシリーズ化できなかった。
僕はそう思います。

また、無理に現代劇にしたところで、浅見光彦とか他の名探偵と被ります。
それじゃわざわざ金田一の原作を使う必要がなくなる。
パロディ色の強いコメディでもないと、「現代劇の金田一」は存在意義がないのです。



#9313 
NF 2013/01/28 22:46


考えてみれば、「金田一の孫」という設定が後世に登場したのも「金田一耕助=昭和前期」なイメージが定着した証拠なんでしょうけど。

>徹夜城様
「えうれいぼし」は、ツイッターのTL上でも『太平記』ネタで盛り上がってました。南北朝は割りと何でもあり感のある歴史系「やる夫」スレでも鬼門扱いな辺り、マイナー分野としての悲哀をかみ締めざるを得ません。
 ところで、「史点」拝見しました。『ゲン』の第二部未発表原稿だと、東京でもキツい差別と戦うはめになる話が展開される予定だったとは聞いた事が。戦中・戦後初期の生き証人がどんどんいなくなっていきますね…。
>ロンドンの地下鉄
第二次大戦直後となると、既にエスカレーターが普及しておりエルキュール・ポアロがピカデリー・サーカス駅で旧知の亡命ロシア貴族女性とそこで邂逅してたりします。この辺りも、ぼつぼつ「当時の風俗資料」になっていくんでしょうか。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#9312 
NF 2013/01/28 22:28
ゲームの話題に誘われて這い出てきました

>バラージ様
『源平合戦』は確か、自分より「風流」が高い武将を倒すと「無常観」がたまって一定値以上になると勝手に出家するんでしたっけ?友人がそれにひっかかったと嘆いてました。『HARAKIRI』では「恥」が一定以上になると勝手に切腹するし、サムライというのは繊細で扱いにくいですねえ。そういや、『HARAKIRI』でも源平や南北朝の武将と思しき面子が出てきますが、あれは時代や舞台設定がカオスだからなんとも。

>マルクスの恋人様
現代を舞台に「金田一」となると、「孫」のイメージがどうしても強くなるから、という説を勝手に唱えてみます。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#9311 
マルクスの恋人 2013/01/28 20:48
「ヤア ホームズ ヨクブジ ニ カエッテコレタナ」

「マッテロヨ スグニ ラクニシテヤルカラナ」

50年ぐらい前に映像化してたら、どんな設定になってたんでしょうねえ? ケニア帰り? それともビアフラ帰り?
明智小五郎は、現代設定で映像化することもありましたが、金田一耕助は必ず昭和前半の時代劇。
大人気小説というと、発表当時単なる現代劇だったのが、年月が経過しても人気が衰えず、時代劇になってしまうんですね。
「レ・ミゼラブル」は発表当時すでに時代劇(劇中年代は発表年の何十年も前)でしたが、年月の経過でますます時代劇性が強くなりました。
ルパンの足跡を尋ねたついでに、バルジャンたちの足跡も尋ねたのですが、何しろパリは第2帝政期に大改造されているので
見つかったのはマリウスの実家と、ジャベール最期の地ぐらい。後は都市大改造で通りすらなくなっていました。
円が急落しているので、また現地に行けるのは当分先になりそうなのがつらい。



#9310 
徹夜城(合間を縫って南北朝列伝を書く管理人) 2013/01/27 23:44
えうれいぼし、えうれいぼし

 先週にその次回予告タイトルが出た直後に我がサイトの「太平記大全」の第8回のアクセスが急増したりしたわけですが、今日もやっぱりそうなりました。そう、タイトルが同じ「妖霊星」だったんですね。今回のは彗星がそれという形になりましたが、「天狗」とは本来は彗星を指していたのだから先祖がえりという気もいたします。

>バラージさん
 「太平記」における尊氏と直義のキャラが逆、というのは確かにありましたね。直義を知ってる人ほど「ありゃないだろ」とツッコんでしまうほどの熱血勇猛キャラでしたから。南北朝史の大家・佐藤進一先生までが「あんな直義などいるわけがないっ」と対談で言っちゃったくらいで(笑)。後半になるとくそまじめ政治家なところは描かれたんですけどね。
 ただ、これもドラマとして作る以上、わかっててやったところがあると思うんですよね。特に視聴者の大半はなじみのない時代でありますから、分かりやすく導入するために直義のキャラをあえてそうしたフシがあります。
 後醍醐についてはむしろ主役にしてピカレスクロマン風にやった方が面白いんじゃないかと思ってます(笑)。その意味では後醍醐とどこかキャラが似てる義満を主役に大河やるならいっそその手もあるかな、と。

 コーエーの「源平合戦」は僕も未プレイですが、あれは「人形劇三国志」のスタッフで「平家物語」をやることになった際にいわば便乗というかタイアップで作ったものなんですよね。しかしそれ以後やってる様子がないところをみるとあまり当たらなかったのかも。そういや家庭用ゲーム機には移植されてないんでしたっけ。
 まぁそれを言ったら大河「太平記」放送時でもコーエーは南北朝に手を出しませんでしたからねぇ。他のメーカーがぽつぽつと出してるけど、スーファミでは一本もなかったし、とことんまでマイナーなんですな、この業界は(涙)。



#9309 
バラージ 2013/01/26 22:00
史実と創作

 僕は源平好きで『平清盛』は面白かったんですが、以前「平治の乱後の展開が『平家物語』そのまんま」と書いたように、史実と違うところは結構ありましたよ。まず何よりも物語の根幹である清盛の「武士の世を作る!」ってのが違うかと。近年では公家と武家にそこまでの隔絶した差はなかったという認識が主流のようですし、清盛が自らの権力を大きくしていったら結果的にそうなった、ぐらいのことであって、武士の世を作ろうとは考えていなかったでしょう。ただ、これと白河法皇の落とし胤という出生に悩む展開をなくしてしまうと物語の核がなくなっちゃうんですよねえ。幼少時〜若い頃の清盛はむしろ恵まれた生活だったようですし、唯一のピンチが延暦寺の神輿に矢を射た事件といったぐらいで。その、『新・平家物語』から踏襲された神輿に矢を射た事件も、実際には清盛個人ではなく清盛軍が誤って射てしまった不手際・失態であって、若き日の清盛の最大のピンチだったとされています。忠盛びいきの鳥羽法皇が強硬にかばったため贖銅(賠償金)だけで済みましたが、これに懲りた清盛は以後死ぬまで延暦寺との友好関係を保つというドラマとは真逆の展開(笑)。その延暦寺の最高位である天台座主で、なぜか清盛の対立キャラになっていた明雲も、実際には一貫して親平家の人物ですし、強訴の先頭に立ったりしてるのも史実とは違います。手塚治虫の『火の鳥 乱世編』では清盛の導師と言うべき狂言回し的な役どころで印象深いので、特に違和感が強かったですね。他にも、平忠正なんかも史実とはだいぶ違っていて、忠盛・清盛親子とは仲が悪かったようですし、かなり早くに鳥羽法皇の信頼を失って摂関家に仕えるようになっています。
 まあ、この手の話はどの大河ドラマでもあることで、『太平記』でも尊氏と直義の性格設定が逆だという批判がありましたし、商人的武士と言われる悪党の楠木正成が農民的武士に描かれてたり、後醍醐天皇もわりと通俗的な線でまとめられていたりと史実と違う部分は結構あるんですよね。
 『葵 徳川三代』は、ジェームス三木が原作(だかノベライズだか)のあとがきに書いてましたが、実質的には秀忠が主人公でして。家康は晩年しか描かれず、秀忠がラスト前に死んで、家光単独主人公は最終回のみですからね。複数主人公ものは、夫婦と架空人物を除くと『国盗り物語』『翔ぶが如く』『炎立つ』といったあたりでしょうか。

>PCエンジン掲示板
 僕はPCエンジン持ってないんですが、面白く読ませていただきました。僕はスーファミ→プレステしか持ってなかったんですが、ゲームに関しては源平も南北朝と変わらないぐらい恵まれていないというか、シミュレーション・ゲームではコーエーの『源平合戦』ぐらいしか思いつきません。しかもこれ、コーエー歴史ゲームには珍しくゲーム専用機に移植されなかったので、当時パソコンを持ってなかった僕はやることができなかったんですよね。その鬱憤を『蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史』プレステ版の源平シナリオで晴らしていたという(笑)。あれはおまけシナリオにしてはよくできてて、非常に面白かったです。



#9307 
徹夜城(受験産業で修羅場になってる管理人) 2013/01/26 00:23
BS歴史館

 油断してるとときどき見たくなるテーマをやってるんですよね〜NHKの「BS歴史館」。ただ地上波の歴史番組に比べると予算的にキツい気もします。
 もう木曜日の話ですが、その番組で「足利義満」を取り上げていたんです。内容的には「これまで何かと悪役的評価をされていたが、実はなかなかの人じゃないか」といったところで、ムチャクチャな混乱である南北朝動乱を終わらせたこと、他人の評価や手段を選ばずその時その時しっかりとやるべきことをやってる、そして国際感覚といったあたりが評価の対象となってました。まぁ内容的にはそれほど目新しいものはなかったですけど、あんなもんかな、と。
 後円融天皇の妃を寝とっちゃった(あくまで疑惑)話も取り上げてましたが、後円融が「寝込んだ」だけで済ましちゃったのはちょっと…錯乱した後円融が刀で妃を半死半生になるまでブン殴ったというひどい話はカット。明徳の乱の経緯についても実際にはもっとエゲつないやり方だし、明徳の乱以外でもあんな調子なのであれだけだと説明不足だなぁ、と。
 番組自体よりも僕なんかには見ものに思えたのが、トーク部分で出演していた伊藤喜良・小島毅両氏と、早島大祐・今谷明などなど南北朝・室町ネタでよく本を読んでる研究者の方々本人のお姿が見られたことでしょうか(笑)。
 こうした方々が「義満が後世いろいろ悪く言われるけど、その根拠になった記述って彼をよく思ってない公家が日記に書いてることなんだよね」という指摘にはなるほど、と。倭寇研究でも史料の書き手がどう考えてその記述を書いてるのか、そこまで考えろと恩師に言われたのを思い出しました。


>黒駒さん
 「八重」は正直なところそこまで中央の情勢を描かなくてもよかったのでは…などと僕は思ってしまうのですが、確かにそれだと一年もたせるのが難しくなるでしょうね。八重さんが直接どこでもドカドカ踏み込んでいく展開になったりしないかと恐れてはおりまして、あの雰囲気だとそれは避けられそうとは思うのですが…しかし「まつ」にしても「江」にしてもそれをやって「成功」したことになっちゃってるだよなぁ。
 「清盛」の話ですが、宋銭自体は清盛も輸入してるくらいですからすでに需要はあったかと。「貿易立国」は現代的な言い方だと確かに語弊がありますが、兵庫の港の整備や福原遷都の強行などを見る限りは「私貿易的」とくくるにはすでに規模が大きすぎるのではとも思います。
 ドラマ中で信西が宋に強くあこがれ、宋の言葉もペラペラに話せる描写がありましたが、僕はこれについてはドラマの創作かと思ってたら言葉ができたのは本当なんですね。漢文的教養だけではそれは無理ですし、遣唐使時代はちゃんと中国語学習システムがあったらしいのですが、あの時期にどうやって勉強したんだろ、と思ったところで。平安末から鎌倉、南北朝まで通して結構驚くほど人の行き来はあるので清盛が何をしようが結構行き来は盛んだったのかな、とも思えます。

>tomohiroさん
まぁ、ブータンのことでもそうですが、日本ではすぐ「○○は親日」と勝手にくくって一方的に思いこむのが目に付きます(相手の立場にならないといいますか)。今度のアルジェリアの事件に関して「アラブ圏では日本に好意的なのに」という声がネット上にある、とどっかのネット報道が書いてましたが、それも「むかし欧米相手に戦った」とか(実際イラクのフセインは日本の「参戦」にがっかりしてた、との噂が)「日本赤軍が反イスラエルで頑張った」からだったりしてこちらからするとギャップがあったりもするそうですしね。

>小覇王さん
 「シャーロック」は第二部のあのラストのヒキのために生殺し状態で一年間待ってるところです(爆)。
 あのドラマの企画者も「おお、「アフガニスタンからお帰りですね」がそのまま使える!」と気づいて一気にノッちゃったと聞いてます。確かに英米とまとめれば今も昔もあんまりやってることは変わらないのかもしれません。「史点」でも書いたことですがサハラ砂漠でフランス軍が展開してるとどうしてもルパンのモーリタニア征服のくだりが連想されて…
 それにしてもあのドラマのワトソンがビルボ=バギンズになっちゃうとはなぁ。



#9306 
小覇王 2013/01/24 18:46
ワトソンとアフガン今昔

もう一ヶ月経ってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
>大河ドラマ「八重の桜」
一応地元のを舞台にしたドラマということで多少贔屓目はあると思いますが初回から第3回までを見るととても面白かったと思います。まあ、実質八重と兄の山本覚馬のダブル主人公、という感じなのでしょうね。復興支援と言いつつ、後半は京都に主要舞台が移ってしまうドラマではありますが、(こういうと偏見ありありですが)女性主人公の大河にしては骨太な感じで今後も期待して良さそうかと。
 
NHKの地上波で現代に舞台を移したホームズ物「SHERLOCK/シャーロック」が始まりました。原典を知っていても知らなくても楽しめる(実を言うと僕はそれほどホームズは読んでないのですが)ドラマですが、オリジナルの設定でもある「アフガニスタンで戦傷を負った軍医ワトソン」という設定が100年以上経った現代でもそのまま通じてしまうところがびっくりですね。最もドラマの方はそれによってPTSDを負ったというのが今風の設定ではありますが。アメリカ映画の「アイアンマン」でも原作(60年代)ではベトナムで捕虜となった主人公がパワードスーツを作って脱出するという話を映画では舞台こそアフガニスタンになってましたがほぼそのまま転用されててびっくりしたものですが。
 ある意味、アメリカもイギリスも(もしかしたらフランスも日本も)今も昔もやってることは変わらないのかも知れませんね。
 


http://d.hatena.ne.jp/susahadeth52623/


#9305 
黒駒 2013/01/24 15:19
さかのぼり日本史

再放送らしいですが、いまNHKの「さかのぼり日本史」においてシリーズで「勘合貿易」特集していますね。清盛最終回といい、最近のNHKは東アジア交流史に注目しているようです。

そういえば「清盛」の批評で見かけたのですが、やはり専門の中世史研究者の視点から見ると、「清盛」もいかがなものかという意見もあるようですね。宋銭の流通は鎌倉時代になってからだとか、平氏の日宋貿易は私貿易的で清盛は別に貿易立国を目指したわけではないとか、そのような指摘もあるようです。



#9304 
tomohiro 2013/01/23 17:44
ブータンは幸福な国か

最近、ブータンは幸福な国か疑問を呈する本が見えました。
私はブータンに関する過度な褒め称えは、極右が臺灣に
対する押付に近いなと思って居ます。
基本的にやたらと日本人は理想郷を作るのが得意で
それを無責任に、押しつけることが多いように思われます。
かつてやって失敗したことを又別な人がやるのは不幸です。

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9303 
黒駒 2013/01/21 23:06
主人公不在

八重の桜、第三話まで見た限りでは特に目立つぼろもなく、うまくスタートきっているのではないかと思います。「清盛」と同じく、物語自体はオーソドックスな構成の話になるのではないでしょうか。

主人公不在ですが、「江」のように無茶をして歴史的大物や事件に絡ませると史実無視と言われ、「八重の桜」のようにそれを控えめにすると今度は主人公不在と評されと、じゃあどうすればいいのだとも思います。

大河も、主人公を一人に定める必要ないんじゃないでしょうか。「北条時宗」のときにそう思いましたし、「葵徳川三代」は複数主人公制を用いてましたね。



#9302 
徹夜城(受験シーズン真っ最中の管理人) 2013/01/20 22:22
しばしご無沙汰しちゃいました。

 今頃になってやっと各トップページの「謹賀新年」の挨拶をおろしました。いつもズルズル遅れるんですが、今年は気が付いたらもう20日でした。
 
 ところでPCエンジン・FXの方の伝言板に数日前にPCエンジンCD-ROM版「ライジングサン」および「太平記」のリプレイ記事(書かれたのはだいぶ前だそうですが)がアップされてました。これがなかなかに面白いのです。
 「ライジングサン」はなぜかアメリカで製作された源平合戦ゲームで、オリジナルの絵はちと時代考証でおかしなところがあったのですが日本で移植したバージョンはかなり直ってるみたい。ただ僕自身はこのゲームをまったくプレイしていないので…
 「太平記」の方は「ゲームで南北朝!」でも紹介済み。今度アップされたpc円心さんのリプレイ記事は新田義貞でプレイしたものなので、そちらはまだクリアまではプレイしてない僕にはなかなか興味深かったです。とくに北朝軍の親玉が楠木正成(!)になってしまったという展開は面白すぎます。なんだか史実において正成と義貞の間に確執があったとかなかったとかいう話を連想しちゃいましたねぇ。
 このゲーム、キモは南朝北朝に自由にたちまわって領土拡張を狙う独立勢力の動向でありまして、このリプレイでも赤松円心が双方から現ナマ攻勢(笑)で美味しい展開になっていました。こういうところ、なかなかリアルなんですよねぇ。
 ぼちぼちと「南北朝列伝」の更新にとりかかろうかな、と思っていたところでもあり、南北朝熱がまた盛り上がってしまいました。

>NFさん
す〜〜〜っかり遅れてしまいましたが、あけましておめでとうございます。

>バラージさん
「ユゴ」ってありましたね、そういえば。韓国ではTVドラマでも現代政治史ものがあったりしますし、結構微妙なところも描くのだなぁ、と思わされます。
「八重の桜」、やっぱり実質主人公不在状態になっちゃってますね。予想はしてましたがお兄さんが代理役みたいなもんで。テレ東の「白虎隊」は結局見てないんですが、西郷頼母周辺に話を絞っていたらしいです。かつての日テレの「白虎隊」でも八重は出てきたそうですが、僕はほとんど記憶にない…(汗)。
「アテルイ」、いまんとこまだ第一回しか見ていません。この時代、舞台を扱うこと自体が初めてなので、それは重大な意味を持つとは思います。ただどのみち詳しいことは分からない人だから、かなりフィクションで埋めるしかないでしょうし、予算的にも4回というのはちょうどいいのかな、とも思います。アテルイと田村麻呂は以前「炎立つ」で「回想」映像で出てきたことがありますが実質これが初めてのまともな実写登場、桓武天皇は映画「空海」で丹波哲郎が演じてたり、確か「陰陽師」でもちょこっと出てきてましたよね。
「クイーンズ」は書き込みを見てから一度見てみました。十何回だかになってしまっているともう途中から見ると何が何やら(^^;)。いま韓国歴史ドラマが毎日放送されてるのを2本同時に見てるもんで、もう他のに手を出す余裕がありません。「広開土太王」の放送が終わって少し余裕ができるかな、と思ったらすぐに続けて「武人時代」の放送が始まってしまい、これが150回もあったりして…もう大変です。困ったことに実はこれ、前から見たかった時代だったんですよねぇ(笑)。
 「歴史映像名画座」で「天地明察」と「のぼうの城」については単に「忘れた」んです。他のをドカドカやってたらすっかり忘れちゃって。次にいくつかまとまってきたら一緒に追加します。

>サヤ・オリノさん
「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリーのセリフでありましたねぇ、
「人類の社会には思想の潮流が二つある。生命以上の価値が存在するという説と、生命に優るものはないという説とだ。人は戦いを始めるとき前者を口実にし、戦いをやめる時は後者を理由とする」



#9301 
バラージ 2013/01/20 15:59
歴史映像名画座

 あれ? よくよく見たら、『のぼうの城』も『天地明察』も入っていませんね。いやまあ別にいいんですけど、入れるとどこかで書いておられたので、入れ忘れたのかそれとも別の理由なのかなと思いまして。『火の鳥 鳳凰編』や『虎の尾を踏む男たち』なんかもぜひお願いしたいところです。



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