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#9500 
バラージ 2014/01/09 23:58
戦国キャッツアイ 日本シリーズ

 僕も『軍師勘兵衛』第1回を観ました。まぁ、オーソドックスな戦国(安土桃山)大河という感じでしたね。今回はわりと正攻法で行こうってことでしょうか。何度もやってる時代だからどうかなと思ってたんですが、地域的にわりとマイナーな、あまり知らない話だったので結構楽しめました。信長に仕えるまではこのままマイナーな地域的な話が続くでしょうから、そこそこ観るかもしれません。
 安土桃山大河ってしょっちゅうやってるような気もしますが、男性単独主人公に限るとここ10年で『天地人』1作だけで、安土桃山以前の戦国時代を含めてももう1作『風林火山』があるだけ。案外やってないんですよね。2000年以後の男性主人公大河で平均視聴率が20%を超えたのはその『天地人』だけ。その『天地人』にしても高視聴率はほとんど加藤清四郎君のおかげでしょうし、今回も厳しいでしょうね。今回の子役(と相手役のヒロイン子役)もなかなか良かったので、もうちょっと引っ張っても良かったんじゃないかなぁとも思うんですが。
 赤松氏については、僕はどっちかというと室町好きなので、将軍義教をぶっ殺して幕府に滅ぼされ、神器泥棒をした南朝残党から神器を取り返して再興を認められた一族というイメージが強いです。「あれ? この頃はもう浦上氏に乗っ取られてるんじゃなかったっけ?」と思って調べてみたら、ドラマに出てきてるのは分家筋なんですね。あと、『利家とまつ』の反町信長の決め台詞「で、あるか」を、今回の江口信長が使ってましたな。

 そういえば去年の年末にNHK-BSプレミアムで映画『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』と『ワールドシリーズ』を放送してて、なんで今?と思ったんですが、大河が始まって岡田准一が主演だったからなんだと気づきました。僕はどっちもDVDを持ってるんで、わざわざ観ませんでしたが。



#9499 
黒駒 2014/01/09 13:50
中世西国武士の研究

ツイッターで話題ですが、戎光祥出版より「中世西国武士の研究」が創刊だそうです。東国の次は西国、ということでしょうね。ラインナップは

新名一仁編『薩摩島津氏』
八木直樹編『豊後大友氏』
大薮海編『伊勢北畠氏』
新谷和之編『近江六角氏』
木下聡編『管領斯波氏』

だそうです。「中世」といってもやっぱり戦国期なメインだろなと思いますが、南北朝・室町期にも活躍した氏族がたくさんありますし、楽しみです。



#9498 
徹夜城(ようやく平常の生活リズムに戻った管理人) 2014/01/09 00:18
軍師あっ官兵衛

と、ダジャレを書いてから思いましたが、坂口尚さんの漫画「あっかんべぇ一休」なんかも映像化してみると面白いんじゃないかな、と。大河にしろとは言いませんが(「花の乱」で出てたし)、室町時代ものの歴史映像ネタとしては史実に沿った一休伝という企画の一つもあっていい気がします。

>バラ―ジさん
いろいろ列挙どうもです。中には僕も見てるけどまだ入れてなかった、ってのもありますね。「川島芳子」は黒木メイサとか真矢みきでしたっけ、彼女たちが演じたのは見たことがありました。
「金環喰」は迷ってる作品の一つなんですよねぇ。登場する政治家たちのモデルは明々白々で、「小説吉田学校」とつながるところもあるもので。似たような迷いを生じさせるのが山崎豊子原作の「不毛地帯」「沈まぬ太陽」「運命の人」といった作品群です。なお「山河燃ゆ」についてはいずれ入れる予定でして、現在半分くらいまで見終えてます。

>小覇王さん
マンデラの伝記映画は今年南アフリカで公開された、との報道も見ました。それは恐らく南アフリカ製の映画ってことなんでしょうけど、日本で見る機会があるのかどうか。
「利休にたずねよ」はまだ見てないんですが、結局ソフト化かテレビ放映でもされてから見ることになりそうな…ストーリーの方は全然知らなかったんですが、その手の話には何も分からず反応するバカには困ったもんですな。
「軍師官兵衛」における竹中直人の秀吉、大河「秀吉」からずいぶん経ってるはずなのに意外と外見的には変化がないもんだなぁと初登場シーンを見ながら思いました。主人公が信長や秀吉と接触するのはずいぶん先のはずですが、こうやって初回からいろいろ出さなきゃいけないってのは「天地人」でも見られた現象です。そうやっても初回の視聴率は関東ではちと苦戦だったようで…

>黒駒さん
そんなわけで「軍師官兵衛」、関西の方が視聴率はあったようです。一応兵庫県がご当地ということになりますし(最終的には福岡ということになりますか)。
僕が初回を見ていてついつい連想したのは、やはり南北朝ネタでありまして…ほら、赤松と小寺の間で黒田家が板挟み的なポジションにいる、という描写があったでしょ。そもそも小寺氏ってのは赤松氏の分家の一つで、大河「太平記」でもそのご先祖の小寺頼季が赤松則祐と一緒に登場してたんです(正成が笠置に来る場面)。小寺頼季と赤松則祐は護良親王と愉快な仲間たちのメンバーでしたし(笑)、そもそも最初の姫路城城主は頼季だったりするんですな。



#9497 
黒駒 2014/01/06 15:37
軍師官兵衛

第一回、見ました。戦国大河はしょっちゅうやっていますが、西日本の戦国時代は「毛利元就」以来でしょうか。兵庫県は「清盛」に続いてご当地ですね。兵庫県というのは南北朝も含めて院政期くらいから戦国に至るまで歴史が濃密に詰まっている地域で、さすが畿内近国という感じがします。

信長が旧来的な「かぶき者」スタイルで出てきて、第一回で旧説に基づいた桶狭間劇が挿入されるあたり、うーんまたお馴染みの戦国大河か?という印象もありますけど、どうでしょうか。「太平記」的には片岡鶴太郎演じる小寺政職が北条高時を連想させますが、役柄からしても高時ほど奥深い役にはならないような気もします。陣内孝則も出てくるらしいので、そのあたりまでは頑張って見続けましょうか。



#9496 
小覇王 2014/01/06 01:12
竹中秀吉のリベンジ!

あけましておめでとうございます
なかなかこちらに書き込みはできませんでしたが史点や皆様の書込は詠ませて頂いてました。
マンデラ元大統領の伝記映画は一応モーガン・フリーマンが権利を持っているらしいですね(史点でも描かれていた通りマンデラ氏自身がモーガン・フリーマンを指名したとか)。「インビクタス」もモーガン・フリーマンの持ち込み企画で(イーストウッドはフリーマンの友人という事もあって後から関わったらしいです)元々はマンデラ氏の生涯を映画化する予定だったのが全てを映像化するとあまりに長くなりすぎるのでラグビーの部分に絞ったということらしいです。今後若い頃からの映画も作られるでしょうね。
この冬は劇場で時代劇を続けて見てまして、といっても一本は「47RONIN」だったりするんですが(笑)。もう一本、「利休にたずねよ」は戦のシーンこそないですが中々重厚な出来でした。ただ利休が若い頃に朝鮮半島から売られてきた女性と色々あって・・・という展開があるのですがこれでまた騒いでいる人たちがいるようです。が、僕の見た限り騒いでいる人できちんと映画を観た人はいないように思います。僕は秀吉も利休も苦手なんですがこの映画の市川海老蔵の利休は中々良かったように思います。
秀吉と言えば新大河「軍師官兵衛」が始まりました。竹中直人が再び秀吉を演じることでも話題です。なんだか番宣では「秀吉」の時の決め台詞「心配御無用!」をやっていたような。僕は「秀吉」の時はちょうど大学進学で一人暮らしを始めた時と重なって確か前半の3月までは見ていたんですが後半は見ていませんでした。で、ウィキペデイアを見たら、この「秀吉」は秀長の死、つまり豊臣政権の絶頂期で終わってるらしいですね。竹中直人は晩年のダークサイドな秀吉も演じる気まんまんらしかったのですが、今回はそれが果たされるのでしょうか。あと現時点で家康の配役が発表されていないのが気になります。まさか名前だけで出さない、ということはないでしょうし。
 
前作の「八重の桜」は僕も小さい頃から親しんできた会津の話ということでずっと見ていましたが、やはり実は後半の京都に移ってからのほうが面白かったりします。八重の兄、山本覚馬と初代京都府知事槙村正直という実績の割にこれまであまり知名度の高くなかった人物に焦点があたったのは良かったと思います。高嶋兄の演じる槇村正直は良かったですね。

というわけで映像作品についてばかりですが、今年もよろしくお願いします。

http://d.hatena.ne.jp/susahadeth52623/


#9495 
バラージ 2014/01/03 00:13
あけましておめでとうございます

 今年もよろしくお願いします。
 早速、歴史映像名画座の江戸後期〜現代編の感想をば。

・見た作品
 江戸後期……『写楽』『竜馬暗殺』『陽だまりの樹』
 明治〜戦前……『ラスト・サムライ』『戦争と人間』『激動の昭和史 軍閥』
 戦後〜現代……『終戦のエンペラー』『小説吉田学校』『黒部の太陽』
・ほんの一部だけ見た作品
 江戸後期……『鬼平犯科帳』『徳川慶喜』『龍馬伝』『新選組!! 土方歳三最期の一日』『八重の桜』『テンペスト』
 明治〜戦前……『坂の上の雲』

・江戸後期の未収録作品
 DVD化されている……映画『北斎漫画』『ええじゃないか』『カムイの剣』
 ソフト化されていない……テレビドラマ『三姉妹』

・明治〜戦前の未収録作品
 DVD化されている……映画『北の零年』『竜馬の妻とその夫と愛人』『丘を越えて』『三たびの海峡』『戦場のメリークリスマス』『海と毒薬』テレビドラマ『李香蘭』
 ビデオ化のみ……映画『ハリマオ』テレビドラマ『さよなら李香蘭』
 ソフト化されていない……テレビドラマ『男装の麗人 川島芳子の生涯』『山河燃ゆ』

 『三たびの海峡』『戦場のメリークリスマス』『李香蘭』『ハリマオ』『さよなら李香蘭』『男装の麗人 川島芳子の生涯』『山河燃ゆ』あたりは日本史か外国史か迷うところですが……。

・戦後〜現代の未収録作品
 DVD化されている……映画『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』『松川事件』『にっぽん泥棒物語』『帝銀事件・死刑囚』『ALWAYS 三丁目の夕日』『金環蝕』『初恋』『ロスト・クライム 閃光』『地雷を踏んだらサヨウナラ』『光の雨』テレビドラマ『ザ・ヒットパレード 芸能界を変えた男・渡辺晋物語』
 ビデオ化のみ……映画『黒い潮』
 ソフト化されていない……テレビドラマ『いのち』『ヒットメーカー 阿久悠物語』

 『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』『黒い潮』は下山事件。『松川事件』『にっぽん泥棒物語』は松川事件。『帝銀事件・死刑囚』は帝銀事件。『ALWAYS 三丁目の夕日』は全くのフィクションですが庶民史の代表として。『初恋』『ロスト・クライム 閃光』は三億円事件。『光の雨』は連合赤軍事件を描く原作を劇中劇として描いた作品。『ザ・ヒットパレード 芸能界を変えた男・渡辺晋物語』『ヒットメーカー 阿久悠物語』は芸能文化史。『地雷を踏んだらサヨウナラ』は日本史か外国史か迷うところです。


>李香蘭(山口淑子)
 僕は逆にご本人の出てる映像作品は1本も観てません。『流転の王妃』も観てませんねえ。上記テレビドラマ『男装の麗人 川島芳子の生涯』にも李香蘭はちょこっと出てきます。川島芳子も彼女を描いた中華圏映画が2本くらい日本で公開されたと思いますが、どっちもビデオ化すらされてません。

>アジアのバカ大将さん
 その時代のユダヤ人ネタといえば、満州に避難してきたユダヤ人を保護しようとした安江仙弘大佐を僕は連想しますね。安彦良和のマンガ『虹色のトロツキー』で知った人物で、ずいぶんかっこよく描かれてましたが、実際にはユダヤ陰謀論を信奉した後、日ユ同祖論に転向した人物だと長山靖生の『偽史冒険世界』で知りました。



#9494 
徹夜城(年末は過労で体調を崩しかけた管理人) 2014/01/02 19:54
あけましておめでとうございます

もう二日になっちゃいましたが、謹賀新年。今年もよろしくお願いいたします。
さっそくですが、2014年の更新一発目として「歴史映像名画座」にリニューアルと追加を行いました。日本史部分はようやく全てリニューアル完了。まだまだ入れておかなきゃならんもんもあるんでしょうが、ひとまずこんな形で。

>黒駒さん
ニュースは僕は子供のころからなぜか好きでして…ふりかえってみると、歴史に興味を持ち出した頃に同時にニュースにも興味を持ったような気がします。今でもそうなんですが、ニュースは「現在進行形の歴史」ととらえてるんですよ。歴史を学ぶことで今を知る、なんて考えを知ったのはずっと後のことだったと思いますが。

>ひでさん
そうそう、今年はついに第一次大戦勃発から百年ですね!「ルパンの時代」も百年前のことだったというわけです。
そんなわけで今年の夏は第一次大戦がらみのイベントやニュースが多くなるだろうと予想してます。
ついでにいえば日清戦争から120周年で二度目の「還暦」です(甲午の年なんですよね)。

>サヤ・オリノさん
偶然にも僕も年末に風邪をこじらせて、まだ喉が治ってません。



#9493 
サヤ・オリノ 2014/01/01 23:43
あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
旧年中はずっと御無沙汰をいたしておりました。
今年もよろしくお願いいたします。
旧年中よりずっと風邪が治りません。
とりあえずは御挨拶まで。
皆様の御多幸をお祈りいたします。



#9492 
ひで 2014/01/01 20:49
明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。
今年は東京駅竣工・開業100周年、東京オリンピック開催50周年、シェイクスピア生誕450周年だったりしますが、世界史的に大きなこととしては、第1次大戦勃発100周年でもあったりします。そういうこともあってか、数年前から第1次大戦に関して色々な角度から見た本も出ていますし、今年の春から第1次大戦の時代を扱ったシリーズ物も出たりします。

日本では、第2次大戦と比べるとなんとなく扱いが軽い感じがする第1次大戦ですが、この機会に色々読んでみてはどうでしょう。

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9491 
黒駒 2014/01/01 15:28
あけましておめでとうございます

昨年はちょくちょくおじゃまさせていただきました。なんか、大河ドラマの話ばっかりしていた気もします。今年は他の話題にも参入させていただくように、努力したいです。今年は少し南北朝にも取り組んでみようかと思います。日本中世史は戦国期と、個人的には「清盛」ブームがいまだ続いているので院政期の本などはよく読んでいるで、ちょうど中間あたりの南北朝に取り組んでみるのもいい時期。南北朝は、なんだかんだいっても文献がけっこう出版されていますしね。

新年早々、話題をひとつ提供。私は「ニュースの史点」は楽しく拝読させていただいているのですが、どうも「時事・ニュース」に今ひとつ関心が持てないのですよね。ネットの知り合いとも話すとき、良く時事ニュースが話題になるので、新聞くらいは読んでいるのですが、どうも自分には時事ニュースに関する根源的な関心が欠けているなぁと痛感します。なかなか努力しないと関心が持てないのですよね。時事とかニュースに対する好奇心って、どうやったら持てるものなのでしょうか?



#9490 
アジアのバカ大将 2013/12/28 00:37
李香蘭とユダヤ人監督

てっきり、川喜多長政氏(映画配給大手の東宝東和創業者)が上海で、ユダヤ系ドイツ人女性監督のユダヤ難民ドキュメンタリー制作を援助した際、同監督と李香蘭との交流があった話と早合点しました。本棚にある川喜多氏の伝記「キネマと砲声」(川本三郎著)をひも解いたら、監督の名前が違うので、よく読んだら別人でした。ゲルトルート・ウォルフソンという監督でした。川喜多氏が戦時中の上海で、日本軍から上海=全中国映画界の支配を任されたのを利用して、中国と欧米映画関係者を日本軍から守り、また大東亜戦争賛美映画も作らなかったことは、前掲書で詳しく語られています。



#9489 
徹夜城(明日から激しく多忙になる管理人) 2013/12/22 23:37
2013年も暮れですねぇ。

たぶん今年最後の「史点」更新だろうと思います。何かこれからオオゴトでも起こらなければ、ですけど。ホントはもっと早く書き始めていたんですけど、忙しかったのとサボったのと風邪ひいたのとが重なりまして(汗)。

>アジアのバカ大将さん
 マンデラとゴルゴのネタ、僕も書こうと思ってて先を越されました(笑)。まぁネット上ではあちこちで話題にされてるようですけどね。実在人物ではっきり実名で登場させられた人はそう多くありません。リビアのカダフィなんかもゴルゴと一対一で会っておりました。「史点」の記事のためにゴルゴの該当話を読み返しましたけど、特にマンデラとは関係なく二度も潜入してロベン島にいる人を殺してるんですな。アルカトラズみたいなもんで、話のタネにしやすい場所だったんでしょう。
 もうひとつ、そのマンデラのコメントの話は初耳で、興味深く読みました。なかなか皮肉というかユーモアのセンスのある人だったんだな、と改めて思いましたね。

>黒駒さん
大河が信長・秀吉・家康の時代ばかりやるのは、一つには時代劇ファンというより歴史劇ファンってのが「知ってる話の映像化」を見たがる傾向も影響してるように思ってます。実のところ見る層じたい結構保守的なんだろうなぁ、と。
マンデラ氏につきましては当然「史点」で書きました。もうあっちゃこっちゃでいろいろ書かれてるから新味がないのもなぁ、と悩みつつ書きましたが、うまい具合に「モサドの訓練を受けてた」なんて報道があったもんで、中に突っ込んでおきました。しかしまぁ、コーナーの性格上しかたないけど、年間に何回追悼文めいたものを書いてるんでしょう。

>五葉さん
僕も「八重の桜」の後半部は、明治初頭における日本のクリスチャンの存在がいかなるものであったのか、ということを初めて見せられたことにかなり興味を覚えたんですよ。
特にあのころのキリスト教受容者はインテリを主としていたんじゃないでしょうか。それまでの仏教に比べるとあまり現世利益的ではなく精神的な救いを持ってきますし、なんといっても当時の近代西洋文明と一体のものでしたから、武士をはじめとするインテリや上流層が中心になるのは無理もなかったのでは。韓国や中国でも事情は似ていた気がします。

>バラ―ジさん
「ハンナ・アーレント」は評判を聞きつつもなかなか足が運べませんでした。最近劇場まで行ったのは車ですぐ行けるシネコンの「清須会議」と「ゼロ・グラビティ」ぐらいで。
李香蘭の伝記的映像作品となると、僕は全然見てないですねぇ。ドラマの「流転の王妃」でちょこっと顔を出してたとかそのくらいしか覚えがないです。李香蘭こと山口淑子当人の出演していた黒澤映画「醜聞」なんかは見てますが。




#9488 
バラージ 2013/12/22 01:18
ハンナ・アーレントと李香蘭

 新聞の文化欄で知ったんですが、ハンナ・アーレントという米国に亡命したユダヤ系ドイツ人哲学者の伝記映画が(東京のほうでは)公開されているようですね。タイトルはそのまんま『ハンナ・アーレント』。記事によると、映画はアーレントの生涯のうち、イスラエルのアイヒマン裁判について書いた『イェルサレムのアイヒマン』出版の前後に限定されているとのことで、今この時代の日本にとっても非常に示唆に富んだ興味深い、重いテーマを扱った作品のようです。僕の地方に来るのは来年2月のようなので、ぜひ観てみたいと思います。
 監督のマルガレーテ・フォン・トロッタは、かつてニュー・ジャーマン・シネマと呼ばれたうちの1人で、この女性監督の映画で僕が観たのは、レンタルビデオで観賞した『ローザ・ルクセンブルク』だけですが、こちらも重いテーマを扱った非常に見ごたえのある伝記映画でした。残念ながらDVD化されてないようなので、ぜひこれを機会にDVD化してほしいものです。

 最近観た歴史ドラマは、テレビ東京系のBSジャパンで放送してた、上戸彩主演の2時間×2夜スペシャルドラマ『李香蘭』。DVDもレンタルされてるんですが、観れてラッキーでした。内容的には昔レンタルビデオで観た沢口靖子主演の日テレ系2時間×2夜ドラマ『さよなら李香蘭』と当然ながらほぼいっしょで目新しくはなかったんですが、『さよなら李香蘭』のほうはやはりDVD化されていないので、貴重な一作とは言えるでしょう。
 ちなみに山口淑子さんの自伝『李香蘭 私の半生』は、エピローグ的に記された戦後の部分も意外と面白いんですよね。アクターズ・スタジオでのジェームス・ディーンとのエピソードなんかは「へぇ〜」という感じで、なかなか貴重な話でした。



#9487 
五葉 2013/12/21 00:47
『八重の桜』評

ご無沙汰しております。五葉でございます。
大河の話で盛り上がっているようですので、私も混ぜていただこうと思いまして、一言。

『八重の桜』、最初から最後まで見ておりました。ただ、私も明治になってからの方を面白く見ていたクチでした。今まで知らなかったことや、大河で取り上げられなかったことをやっていたので。特に大学院の修士論文で、宗教者による福祉活動(というよりもその背景にある思想)を取り上げたことがあったので、同志社や熊本バンドが出て来た時は「おぉ〜」という感じでした。
日本の近代的な社会福祉の実践は、まず宗教者による慈善活動から始まりました。その担い手の中には、同志社出身のクリスチャンの人も結構いるんです。例えば救世軍の日本人初の将官となり福祉事業に関わった山室軍平(1872〜1940)や、感化院(現在の児童自立支援施設の前身)をつくり非行少年の更生に携わった留岡幸助(1864〜1934)がいます。この人たちは、社会福祉士の国家試験で福祉史の問題が出される時は、よく出てきます。八重も最終回の紀行の中で、生涯の後半は慈善事業に関わったと、ナレーションで言っていましたね。

それにしても面白いのは、日本でキリスト教が広がった時に、最初に信者になったのは武士が多いということです。江戸期にキリスト教を弾圧したのは武士階級なのになぁ。これは明治だけでなく、16世紀中葉にカトリックが日本に入ってきた時もそうだったらしいです。これは大学院時代に修論の担当教官だった先生の受け売りですが、戦国末期に「信者になるのは武士ばっかりだ」と報告している宣教師の記録があるとか。

ともあれ、大河で明治のクリスチャンの活動が取り上げられることなんて、もう二度とないでしょうね。


それはそうと、最後まで主人公が死なない大河(笑)も、最近では珍しいですね。来年以降はいつもの大河になりそうなので、当分観んかなー。






#9486 
黒駒 2013/12/19 12:27
かくして大河の歴史がまた1ページ・・

「八重の桜」、最終回はちょっと見逃してしまったので再放送を待っているのですが、個人的には65点か75点の間くらいだろうなと思っています。けしてつまらなくはないのですが、熱中して見られるというものでもなかったです。

終盤でちょっと脱落してしまったので、「今日的意義」みたいな部分は気づきませんでした。私も主人公の八重よりも山本覚馬のほうが興味深く、幕末期には妹に厳しく砲術を教え、明治になってからは英語を習え、看護を習えと多少抑圧的な、盲目とは言え封建時代の家長ってこんな人物なのだろうなと、説得力のある描き方であった気もします。

さて、来年は「ど戦国」な話ですね。予告は見たのですが、うーんまたおなじみの戦国大河か?という印象もしました。序盤はロケシーンも多くて力入ってるので見られると思いますが、途中から「もうわかった」って脱落しちゃうかもしれません。

マンデラ氏、死去しましたね。私も南アフリカ現代史映画では「遠い夜明け」だけ見ました。受験産業が忙しくなる時期だと思いますが、史点の追悼記事を楽しみにしております。



#9485 
アジアのバカ大将 2013/12/18 20:50
棺蓋いて〜=マンデラ南ア元大統領

「ゴルゴ13が唯一暗殺できない」この方が
先ごろ天寿(95歳)を全うされました。
「棺蓋いて(評価)定まる」といいますが、
すでに大統領任期をまっとうする(1999年)
以前から、20世紀屈指の民主主義の具現者、
聖者であるとの評価は定着していました。
余り知られていない、マンデラ氏、というか南
アフリカ民主化と中国との関係のお話を紹介
します。マンデラ大統領は任期満了間際に中国
を訪問しました。直前に香港に立ち寄った際、地元
記者のインタビューが、英字紙「サウスチャイナ・
モーニングポスト」に掲載されていました。中々
興味深い内容です。
(記者)「南ア民主化の経験を『他国』にも伝授
したいと、お考えですか?」
(筆者註:記者は、大統領に何か言わせたかった
いようです)
(マンデラ)「各国には、それぞれの事情があり
ます。わが国の経験が適用できるとは限りません」
(希望に沿ってもらえないようです。記者は諦め
ません)
(記者)「中国政府指導部に何を話されますか?」
(マンデラ)「西側諸国がわれわれの運動をまったく
支援してくれなかった時代、中国は陰に陽に援助して
くれました。そのお礼をいうつもりです」
見事な背負い投げです。中国にとっては、かつて多く
の植民地をつくり、原住民を搾取していた西側諸国
が自分たちだけに適用していた「人権」など、ちゃん
ちゃらおかしいのです。「お前さんたちに、そんな
ことを言う資格がどこにある」と。また世界中の
元植民地の人々、特に有色人種たちも同感でしょう。
しかし、有色人種人権の英雄マンデラ氏がもし中国
の人権を批判したら、とてつもない衝撃になったで
しょう。まさしく、人権を口にする資格のある人が、
がいうのですから。中国としては反論の余地がない
のです。
しかし、マンデラさんは何もいいませんでした。
それは白人と「名誉白人」に対する、また小賢しい
ジャーナリストに対する、静かな批判でもあった
のでしょう。
なお、デューク東郷がマンデラ氏を殺せない
理由をご存じない方に説明しますと、ゴルゴは昔、
別な標的を狙って、南ア刑務所に受刑者として
潜入したことがあるのです。その時、例のくせ(
屋内で背中に回られることを嫌う)のため、他の
受刑者らに憎まれ、密かに命を狙われます。その
ことを食堂で、耳うちしてくれた「初老の黒人
受刑者」がいたのです。世界一の暗殺者は、
自分の命を守ってくれた人には必ず返礼をします。
依頼をことごとく断ったばかりか、別の暗殺者の
テロを見事に阻止し、南ア初の黒人大統領を
守ります。





#9484 
徹夜城(風邪ひいて商売道具の喉を痛めた管理人) 2013/12/17 23:16
「八重の桜」ソーカツ

>カプランさん
 これは、これは、お久しぶりでございます。大河BBSの方は僕も時々覗いてはいるんですけど、書き込みについてはとんと御無沙汰しておりまして…ま、そのうち節目としてそっちにも何か書くでしょう。
 さて、「総括」というとついつい「山岳ベース事件」なんて単語が頭をよぎったりしますが(笑)、「八重の桜」、平均視聴率としてはあんなものだろうなぁ、と思ってます。福島復興企画でもあるからあまり袋だたきにされなかったというだけで。ま、だからNHKも企画したんでしょうけどね。「平清盛」についてはかなり不当な袋叩きだったと思ってるんで、視聴率だけであれこれは言わないようにしたいもんですが…低視聴率記録に名が挙がっている「花神」にしたって名作と呼んでる人は少なくないわけですしね。

 さて、「八重の桜」なんですけど、ほとんど無名の主人公をよくまぁ一年間やったもんだ、とまずはそれを挙げておきます。見せ場である幕末〜会津戦争の部分よりも明治部分の方が僕個人としては面白く見てしまったのは、もとがよく知らない話だったからもでありましょうか。というか、戊辰戦争になるまであんまりちゃんと見てなかったんですけど。実質的にもう一人の主役である山本覚馬についてはまるっきり盲点だっただけに、こんな面白い人物がいたのだなぁ、と関心もしましたね。

 終盤の方に行きますとかなり濃厚に「現在」と重ね合わせた作者の「意図」が浮かび上がってました。こういうの、嫌う人も多そうですが、やっぱり「いまなぜこの話を描くのか」というテーマは作り手としては意識せざるを得ないわけです。主人公たちの「教え子」であり「戦争を知らない世代」であるジャーナリスト徳富蘇峰のナショナリスト化、教育勅語に代表される全体主義的な傾向への流れなど、かなり明白に「前の轍を踏むな」という作者の意図を感じましたね。

 蘇峰については、前にも書きましたが、TBSで「あの戦争は何だったのか」という太平洋戦争開戦の裏話ドラマ&ドキュメンタリー番組で、敗戦直後の蘇峰を西田敏行が演じてたんですよね。太平洋戦争を思いっきり煽ったもんでがっくり来ている晩年の蘇峰が印象的だったのですが、「八重の桜」の最終回に出てきた西田敏行もまたあんな感じだったもんで、ついつい見ていて混線が(笑)。

 ドラマ本編部分ではありませんでしたが、最後の紀行コーナーで晩年の八重の「動く映像」が出たのは面白かった。大河の主人公で本人の動く映像はさすがに初めてじゃなかったかな(「春の波濤」あたりが怪しいけど、見てないもんで)。「独眼竜政宗」で政宗本人の頭蓋骨がドラマの最後に映って「本人出演」などとネタにされますが(笑)。


>最近見た映画の話題。
 話がいきなり飛びますが、昨日NHKの昼のBSシネマで映画「零戦燃ゆ」をやってまして、久々に鑑賞しました。「栄耀映画」のほうにずいぶん昔に書いたレビューがありますが、僕もずいぶん内容を忘れてました。
 映画自体はありがちな青春メロドラマ調戦争映画でしたが、原作は柳田邦男のノンフィクションなので、ところどころにその「名残り」程度のものが見られます。北大路欽也が「特別出演」でほとんど1シーンしか登場しませんが、今回改めてみたら、今や「風立ちぬ」のほうで有名になってしまった堀越二郎の役だったんですな。



#9483 
カプラン 2013/12/16 19:48
お久しぶりです ^o^

 どうもです:カプランでございます。

 今日、(畏れ多くも・汗)久々に徹夜城様のHPに訪問しました。

 「どーしているのかな?」というのもさることながら・汗、昨日久々に『大河ドラマ 八重の桜』@最終回カキコを大河ドラマBBSへ行ったものですから、フラリと…。(爆)

 まあ、私の大河評は大河ドラマBBSで簡単にまとめましたので(尤も、私が思っていること以外の内容も書いているのですが)、宜しければ徹夜城様の総括的な意見等もお伺いできればなあ、と思います。

 無理言ってスイマセン:ではでは。 ^-^/



#9482 
バラージ 2013/12/06 00:09
花燃ゆ

 2015年の大河ドラマ、やはり事前報道通りに決まりましたね。ガセネタや誤報でそんなマイナーな人物が出てくるとは思えなかったので予想通りといったところ。日刊スポーツは紅白の初出場歌手もあらかた当ててましたし、何かパイプがあるのかもしれません。
 何かの記事で制作統括が、「幕末の女性で主人公になりそうな人を探していたら杉文を見つけた」というようなことを言ってましたが、『八重の桜』をやったばかりでまた幕末の女性主人公をやろうと考えるとは思えないので、やはり八重に変更される前に予定されていた題材がこれだったんではないでしょうか。ところが東日本大震災が起こり、長州主人公だと会津が敵役になってしまう可能性が高いためそれを避けるとともに、復興応援企画として会津の八重が浮上した、ということだったんではないかと思います(主演の綾瀬はるかさんは当初の予定通りだったと思う)。まあ、復興応援企画としても『八重』は『あまちゃん』に完敗ですけどね。僕は『あまちゃん』は結構観てましたが、ドラマとして『あまちゃん』のほうが圧倒的に面白かったですもん。

 幕末大河はもともと全般的に低視聴率で、1番平均視聴率が高かったのがなんと近年の『篤姫』。大河ドラマ全体の視聴率が近年低下しているにも関わらずですから、過去の幕末大河がいかに人気がなかったかがわかります(ちなみに近年の大河ドラマ全般で最も平均視聴率が高いのも『篤姫』)。過去の長州大河『花神』も70年代で唯一平均20%を割った低視聴率不人気大河だったようですし。
 前に書いた通り、僕は幕末にはあまり興味がないので、まず単純にドラマとして面白いものを期待したいですね。そしてぜひ高い視聴率を取ってほしい(これは来年の『軍師官兵衛』にも期待したい)。いい加減そろそろ視聴率20%を越えるドラマがまた出てくれないと、大河ドラマの存続そのものですらヤバいと思います。近年では『利家とまつ』の2年後に『義経』、『篤姫』の翌年の『天地人』の2年後に『平清盛』、と高視聴率大河の直後に戦国・安土桃山・幕末以外の企画が決まっており、源平でさえそんな状況なんだから室町とか南北朝もう1回なんて、20%を越えるドラマが出てこない限り夢のまた夢ですよ。


>『大河ドラマの50年』
 僕もそれ、ところどころ読みましたよ。立ち読みで(こらっ・笑)。


>歴史教科書
 かなり昔の僕の学生時代を思い出すと、大学受験科目として取った高校2年時の世界史は一応近現代史まで行きましたが、ざっとやる程度で確か中東戦争ぐらいまでしか行かなかったような。第二次世界大戦後については入試に出る可能性も高かったため、授業する時間がもうないんで自分でよく教科書を読んでおけと言われました。とにかく授業時間が足りず、中国史は補習という形で授業時間外にやった記憶があります(私立理系志望で社会の受験がない生徒は受けなかった)。入試と関係ない3年時の日本史は完全にのんびりペースで、受験シーズンには入試試験を受ける生徒がいなくなったりするので、授業も自習が多くなり、結局近現代どころか江戸前期ぐらいまでしか行きませんでした(笑)。まぁ、こう言っちゃなんですが、結局ほとんどの生徒は受験のために勉強してるだけですからねえ。
 そういえば10年ぐらい前に、テレビで何の番組かはすっかり忘れてしまいましたが、ベトナム戦争についての街頭インタビューを受けていたベトナムの女子高生(アオザイを着た、なかなか可愛い女の子だった)が、「え〜っ!? ベトナムとアメリカって昔戦争してたの!?」と言っていて、「そうか。ベトナムにとってもベトナム戦争はそういう対象になったんだな」と感じたことがありました。まあ、僕も物心ついたときにはベトナム戦争終わってましたけどね(笑)。



#9481 
つね 2013/12/04 23:27
久坂玄瑞の妻

昔読んだ歴史記事で「久坂玄瑞は相手が不美人だったため結婚をためらったが周囲に押し切られてやむなく結婚した」みたいなものを読んだ記憶があります。我ながらなんでこんなの覚えてるんだろうと思いますが、記憶違いかもしれませんので、年末に帰省したらちょっと確認してみよう。
まあ篤姫も八重も晩年とはいえ写真を見る限り女傑という気はしますが、女優さんとは似ていませんが。



#9480 
黒駒 2013/12/04 21:38
松蔭の妹

スクープ通りでしたね。いったい誰が情報をリークしたんでしょうか。何だか、大河も本来なら戦国・幕末以外にも踏み出したいところだけど、大河視聴者は案外保守的でなかなか受け入れられず、やむなく思い至ったのが「新島襄の妻」「吉田松陰の妹」のような著名人の近親者主人公という路線なのでしょうか。

私も「八重の桜」は予備知識なしで見ているので、明治編になってから徳富兄弟を出してきたりなかなか興味深く見ているのですが、松蔭の妹も明治後にどう生きたのかさっぱりわかりません。何か、あえて主人公にもってきた事情があるんでしょうか。



#9479 
徹夜城(再々来年の大河に関心が移った管理人) 2013/12/03 22:35
倭寇大河なんてのはそれこそムリか(笑)

 ああ、再来年の大河、正式発表になりましたねぇ。スクープ報道そのまんまで拍子抜け。そんなんで一年やるのかよ、と。
 プロデューサー氏の「有名人だけが歴史じゃない。有名人じゃ展開も予測出来ちゃうし」というのは分からんではないんですがね、どうもこういう題材になっちゃったことへと言い訳臭いんだよなぁ。女性主人公なら他にも何でもあるだろうに、と。これならいっそのことかつての「三姉妹」みたいにまったくの架空人物でやってもいい気がします。
 今後、「○○の妹」「○○の姉」「○○の娘」…etc.でいくらでも作れるなぁ、なんて考えてる人もいそうで。そういうキャラを軸にしつつ、その周りで有名な人たちがウロウロしてりゃそれでいい、ってことになるかもしれません。

>阿祥さん
実は入れ違いで僕も書店で見かけまして、買って来て5分の1くらいまで読み進めてます。
王直の話だろ、と思って読みだすといきなり主人公が塚原卜伝と剣道の試合をしてたりするんで面喰いますが、彼が王直の部下になり、それで「五峰の鷹」ということのようですね。
王直が登場するあたりまで読み進みましたが、帯によるとポルトガルの冒険商人メンデス=ピントも出て来るようで。最初に書店で見かけた時そこに一番ドキッとしたんですよ、ああ、こいつにとうとう目をつけられたかと(笑)。僕も以前途中まで書いて放り出してる王直主人公の大河小説でもピントは副主人公級でしたから。
王直もピントも出てくるなら種子島の鉄砲伝来あたりから描くのかな、と思ったらそれは外しました。今読んだところでは石見銀山の銀輸出を軸に話が進むみたい。

自分が専門にしてる業界なもんですから、一部の登場人物については良く知ってるもんで、オリジナル設定があると「いや、それは違う。ちゃんと資料がありまっせ」とかツッコみしながら読んでしまう(汗)。素直に楽しめないかもしれませんねぇ。
作者の安部龍太郎さんは「等伯」で直木賞受賞したばかり、乗りに乗ってるところでしょう。実は南北朝もの小説もいくつか書かれてまして、僕と関心の方向がかぶるところもあるようです。ただ「道誉と正成」は南北朝マニアとしては違和感ありありでしたけど。

王直については、自分でもちゃんと大河的作品にしたいと思ってはいるんですけどね、それこそ「三国志」か「水滸伝」級になる、と海賊コーナーでも書いてるように大変なことになるんですが…
だからその「後日談」である林鳳らの時代を描く「鳳」に手をつけてみたんですけど、最初だけで腰が引けてしまいました(^^;)。「海上史事件簿」ともども書かなきゃなぁ、とは思うのですけどね。



#9478 
阿祥 2013/12/02 22:11
「五峰の鷹」

王直を主人公の一人にした小説で、阿部龍太郎氏の作品だそうです。
この時代と舞台も次第に日の目を見るようになってきましたね。



#9477 
ひで 2013/11/24 14:36
homines id quod volunt credunt.

本屋に教科書が色々と置いてあったりもしますので、ちょこっとみたことがありますが、日本史Aについては、近現代史オンリーという感じでした。また、世界史Aについても大体16世紀あたりからの話が詳しくなっているようで、日本史ほど近現代オンリーという感じではなかったですが、やはり分量で言うと前近代:近代以降(近世にあたるところも含む)で1:3位という感じです。最近だと、日本史や世界史については近現代重視という傾向が強くなっていて、むしろ近現代から始めている学校もあるというのに、まだまだ学校で教えられていないと言うことを言う人が多いですね。

もっとも、学校で早い段階から教えたとして、それをちゃんと記憶している人間がどれくらいいるのかといわれると、なかなかシビアな結果が出そうな予感がします。使わない知識はどんどん忘れてしまいますから…。それに、学校で教えられていても、それを聞いていないということも十分あり得ますし。

ま、教育問題全般について、世間の教育論のおおくは自分の体験や思い込みをすべてに適用して語っているだけだったりするのですが、学校教育というとほとんどの人が一度通り抜けてきた道であり、自分の体験を元に何かしらの言葉を発しやすいだけにめんどくさいことになりやすいのだろうと。まあ、だからといってちゃんと教育学を学んだり、そこで教えている人ならまともかというと、教育学部ってなにやっているんだろうと言いたくなるような困った人達もちらほらと見かけますからねえ…。

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9476 
徹夜城(ちょうど猪瀬直樹の文章を読んだ直後にニュースを聞いた管理人) 2013/11/23 23:13
お・も・て・な・し

 …ああ、だから「裏がある」のか(笑)。
 なんてネタを二週間ぐらい前に思いついてたんですが、こういう形で使うことになろうとは。
 まぁ猪瀬さんの事実関係は分かりませんがねぇ、ツッコミどころは多いし、本人が明らかにアタフタしてるし…日ごろカッコよくいろいろ言ったり書いたりしてるだけにこういうことになるともろいというか。あの人のこれまでのいろんな仕事をそれなりに評価はしてるんですが、石原さんを妙に持ち上げたあたりから疑問符はつけてました。

 それはそれとして、ニュースの直前に読んでいた猪瀬さんの文章ってのは「失敗のメカニズム・間違いはなぜ繰り返されるのか」という今見ると意味深に見えるタイトルの本に載ってるものでして。太平洋戦争における日本国家と日本軍の失敗についていろんな人たちが検証する本でして、今年の三月にでたものです(2011〜2012に出たものの修正版)。
 猪瀬さんがそこに寄稿してるのは、「総力戦研究所」に関する話。日米開戦直前に各省庁のエキスパートたちが集められて日米戦争のシミュレーションをしたんですが、その結果は「緒戦は優勢だが次第に国力の差がついて負けてゆき、ソ連が攻め込んで来て3〜4年でジ・エンド」という、非常に「正確」な内容であった、という話で、それがまったく無視されてるあたりから日本における「国家戦略」の話に持って行くもので、確かに興味深く面白いものです。戦前の日本の作家たちがまるで軍事・国際情勢に疎かったのも痛かったと指摘して「作家は何をしていたのか」という章題もついてます(これがまた今読むとまた意味深のタイトルで…)。
 
 とまぁ、文章の主要テーマについては非常に面白く読んだんですが、最後のところで「あれ?」というくだりが。

「にもかかわらず、学校では大正以降の日本史を教えない。大正デモクラシーで終わってしまう状況が、僕の時代から半世紀近くたっているのに変わらないのだ。おそらく、誰も整理しようとしないから、教えたくても教えられないのだろう。それは、日本人がいまだに国家戦略を持てないでいることと、無関係ではないと、僕は思う」

 …ああああ、あんたまで。この「学校では現代史を教えない」という言説、もうあちこちで見あきるほど見てるんですが、本当に信じてる人が多いんだな、と改めて驚きました。これねぇ、「運動会で競争させずに並んでゴールさせる」並みの都市伝説でありまして。なんか知らんが学校現場関係の話って、みんな現場も知らずに憶測だけを既成事実化する傾向があるんですよね。

 僕は学校ではなく塾で仕事をしてますけど、学校の授業についてはもちろん常にチェックしてるわけでして、もうかれこれ二十年以上、「戦中戦後史をやってない歴史教育」なんて一度も見聞きしたことがありません。現代史はどんどん長くなる傾向にあり、高度経済成長もバブル経済とその崩壊はもちろん、「911テロ」も「世界金融危機」も歴史の教科書で習うんですよ。
 なのに、不思議と知識人を中心に「学校では明治大正で歴史の授業終わり」なんだと信じ込んでる人がホントに多い。自分がそうだったからそうだと思いこんでいるのか。猪瀬さんなんて副知事なんだし、現場を少しは聞いてそうなもんですが…
 猪瀬さんの分析からすると、日本はもうずいぶん国家戦略を持ち続けてるってことにもなっちゃいますがねぇ。


>黒駒さん
 「八重の桜」、不思議と僕は明治編に入ってからちゃんと付き合ってます(笑)。このところは新島・山本家ホームドラマ状態ですが、それぞれにちゃんと事実に基づいてるんで下手なフィクションよりは面白いと。
 徳富兄弟の登場は僕も全然知らなかったんで、驚きまして…。蘇峰なんて、明治の初めの頃にああやって登場してるわけですが、敗戦後まで生きてるんですもんねぇ。TBSで作った「あの戦争は何だったのか」で西田敏行が晩年の蘇峰を演じてましたが、それを思い出して「長生きだったんだなぁ」と。まぁ探せば幕末から敗戦まで生きていた人ってそこそこいるんでしょうが。

>バラ―ジさん
 足利尊氏って、歴史小説でもめったに主役にされませんからねぇ。吉川英治が「私本太平記」でやってみたわけですが、やっぱり扱いに困ってる感じがしますもん。最初は快男児風に書きだしたけど、やっぱり中盤から捕えがたいキャラになってる。野望の男にしてみるという手もあるけど、やっぱりそうはいかない行動が多々見られますしね。
 一般の歴史ファンにとっては歴史人物ってのは「こういう人」っていう分かりやすい入り口が必要なんですが、尊氏に限らず南北朝連中はそこがなかなかとっつきづらい。初心者向けの著作も少ないですしねぇ。
 そういや最近「大河ドラマの50年」という本を読んでましたら、「草燃える」決定のとき、実は「私本太平記」も有力候補だったけど(スタッフ側がやりたがった)、「南北朝は研究も進んでないから」という理由で却下されたとの逸話が書かれてました。案外早くから話はあったと聞いてましたが、そんなころにか、と。

>パパゲーノ川崎さん
 「陸軍」はBSで放送した際に見てます。基本的に国策映画な雰囲気もあるんですが、ラストで一気に人間らしい感情が爆発するところがすごい。当然当時の情報局にかなり睨まれたようで…見に行ってませんが、最近その辺も含めた木下恵介の人生が映画化されてましたよね。



#9475 
パパゲーノ川崎 2013/11/22 13:24
映画”陸軍”

 先日、自主上映会で木下恵介監督の映画 ”陸軍”を
やっと観ることができました。
 以前BSで木下恵介監督の特集をしていたときに、放映されたのに
見逃してしまい、あとはDVDBOXで観ることしか出来ない状態でした。
しかし、一日だけの上映会があり、幸運にも観ることができました。
 僕はこの映画は、当時の陸軍の学校の記録映画である、と
勝手に想像していましたが、ちゃんとストーリーがある映画でした。
幕末から続く3代に渡る一家が陸軍に関わっていくという内容でした。
当時では当たり前であった、兵役というもの、そしてそれを支える
教育・精神というものが語られていきますが、時々小さくつっこみというか
風刺が入れられています。
 そして、田中絹代演じる母親の演技は、夫の軍国精神に共鳴して一途に応援
するものでありました。しかし、終盤になって戦地に送り出す息子を見送りに行こうと
決心してから豹変します。
 カメラも構図も見違えるように大胆になり、出征の行進を圧倒的な迫力で捕らえ、
その中でやっと息子を見つけて追いかける母、やがて見送りの人々の群れに飲み込まれ
る母、遠ざかる行進、そしてあとは静かに無事を祈り手を合わせるしかない。。。
 これは、ロシア映画”戦艦ポチョムキン”のオデッサの階段のシーンに
匹敵する力を持った場面だったと思います。戦争というものは、血税というものは
不条理なものですね。。。
 よく当時にこれほどまでの作品を作ることができたものだと思います。
 そしてこの映画を今の世に観ることが出来るのも、奇跡的なことです。
 よくフイルムが生き延びたものです。
 軍隊を題材にした映画ではありますが、戦闘シーンはほんの少ししか無く、
それでいて当時の軍隊というものを、そしてそこに属することはどういうことか
ということを堂々と表現していました。

 監督の勇気と、当時の人々の努力、後世の人々が引き継ぎ保存されてきたことに
驚きと感謝です。
 




#9474 
バラージ 2013/11/21 22:26
足利尊氏はなぜ人気がないか

 足利尊氏という人は、信長・秀吉・家康はもちろん、平清盛や源頼朝と比べても人気がないですよね。南北朝時代そのものの人気のなさも一因でしょうが、中興の人というイメージで新しい時代を切り開いたわけでもなければ、生きてるうちに天下統一を成し遂げたわけでもないというあたりが、尊氏にあまりくわしくない人から見れば魅力的に感じられない原因なんではないかと思います。
 じゃあコアな歴史ファンになれば尊氏の魅力に目覚めるのかというとそういうわけでもなく、徹夜城さんの書かれているとおり、尊氏は移り気というか気まぐれというか気分屋というか、ころころ気が変わるところがありますよね。躁鬱症的傾向と指摘されることもありますが、そういうところにはやはり共感がしづらい(むしろ非情で一貫してたり、悪で一貫してるほうが人気はあると思う)。僕は南北朝時代はそこまでくわしくはないんですが、尊氏のそういうところって孫の孫の足利義政に似てると思うんですよ(まぁ正確には義政が尊氏に似てると言うべきでしょうが)。尊氏=直義=義詮の関係性が義政=義視=義尚の関係性にすごくダブるんですよね。尊氏も義政も息子可愛さから弟にひどい裏切り行為をしてますし。
 ちなみに僕が興味ある人物は弟の息子(直冬・義稙)という、個人的共通点もあったりします。


>『47RONIN』

 僕も書き込みをした数日後に映画館で予告編を見ました。完全にファンタジー映画でしたね。『ホビットの冒険』かよ!と思いましたよ。これはかなりの珍作の予感。


>再来年(2015年)の大河ドラマ

 正式発表ではないのでまだどうなるかわかりませんが、もし報道どおりだとしたら今年の新島八重に続き、ずいぶんマイナーな人物ですねぇ。ひょっとして八重に変更前に今年の大河ドラマとして予定されていた題材なんでしょうか?
 僕は幕末にあまり興味がないので、題材にはこだわりがありません。あくまでドラマとして面白いものであってほしいし、できれば高い視聴率を取ってほしい。『JIN 仁』や『篤姫』みたいに。序盤しか観ていませんが、主人公がまるで脇役みたいだった『八重の桜』はドラマとしては失敗作だったと思います。
 ちなみに吉田松陰の妹・美和子(杉文)は、大河ドラマ『花神』や、単発ドラマ『炎の如く 吉田松陰』『蒼天の夢 松陰と晋作・新世紀への挑戦』などに登場しているようです。



#9473 
黒駒 2013/11/18 14:45
再来年大河

昨年も「軍師官兵衛」発表前に、一時明智光秀をやるとか報道がありましたね。「八重の桜」も当初は別の企画だったのが急きょ震災応援企画に変更されたという経緯もありますし、ガセというわけではなく本当に企画が二転三転しているのかもしれませんね。

吉田松陰は「風雲児たち」でその短い生涯が描ききられていましたけど、妹の存在はまったく記憶にないです。一年おきでまた幕末・維新期となると、私もちょっと敬遠ぎみかもしれません。

ところで「八重の桜」は終盤にきて実は脱落してしまっていたのですが、最近また見始めました。徳富蘆花が出てくるのはちょっとびっくりで、「坂の上の雲」も戦記ものでありつつも正岡子規や夏目漱石が出てくる作品でしたが、文学史という世界にはまだまだフロンティアがある気がします。

>古文書
歴博はちょっとうちからは遠いので行ったことないのですが、一度訪れてみたいですね。歴博館長の平川南さんは、木簡や墨書土器など出土文字史料を活用して「畿内地域史」でない古代史を語ってくれて、興味深かったのですが。

中世の古文書といえば戦国期の文書が多く残っているのですが、戦国期の研究者さんでも中世文書のメインは鎌倉・南北朝期だなんておっしゃったりしますね。私も博物館等でよく見るので文書は読めるようになりたくて、古文書読解の本などを買ってたまに読んでいたりするのですが、なかなか本腰入れて勉強しないと古文書は難しいですね。



#9472 
徹夜城(風邪はひいたが更新はしたエラい管理人) 2013/11/17 22:35
再来年大河情報…?

 まず事務連絡。微風邪をおして先ほど「史点」更新しました。先々週までに半分くらいは上げていたのですが、その後あれこれと忙しく、結局一ヶ月以上置いた更新になりました。ネタが若干古いのはそのせい。
 あと、この史劇的伝言板と栄耀映画伝言板のアドレスを変更しました。以前からちらほらあった宣伝カキコがこのところほぼ毎日になってるもんで…今後も対策として時々変えると思いますので、直リンクしてるかたはご注意を。

 さて、まだ確報というわけではありませんが、再来年の大河ドラマについて日刊スポーツがスクープしました。「吉田松陰の妹」だっていうんですが…はあ?という声がやっぱり多い。松陰の妹で久坂玄瑞の妻というと一応ドラマは成り立ちますが、それで一年やるの?
 公式発表ではなく、誤報の可能性もあるにはあるんですが、妙に話が具体的なんですよねぇ…ガセや憶測でそういう主人公が出てくるとも思えませんし。このところの大河は男主人公と女主人公がほぼ交互に選ばれる、との説もありまして、先に女主人公ということと主役を決めてしまい、それからあーだこーだ企画があがったけど、結局長州でいくってことになって、そしたら松陰の妹しかいなかったというオチか?という憶測も出てますが、さて。
 なぜ長州かといえば、「利家とまつ」決定時にも政治的背景がささやかれたことがありまして…とだけ。実際にこの企画だとするとさすがの僕も投げ出しそうで(涙)。こりゃ南北朝もう一回なんて半永久的にダメじゃないかと。


>阿祥さん
 印判書状の話は面白いですね。そういや先日の「中世の古文書」展でも、戦国期の書状ではハンコが目立っていたような。信長の「天下布武」ハンコもありましたし、大友宗麟関係の書状でもハンコが押されてました。こういうところから政治組織と動員力の話につながるというのが興味深い。
 清朝時代の東シナ海から南シナ海の話ですが、貿易活動や人の移動・交流については確かに「中国の海」と思えますが、そこにそれ自身での陸の権力と離れた独自の「権力」があったのかどうか、という話になりそうです。僕もそこまで首を突っ込んでないんですが、清朝時代になっても海賊連中で王直や林鳳時代と似たような暴れ方をしてる連中もいるようで、そこらへん調べてみると面白いかな〜とは思ってます。だいぶ前に出た「中国海盗史」というズバリの本が中国でありましたが、この手の研究が最近の中国では出てるのかな、と気にもなりました。





#9471 
阿祥 2013/11/16 13:07
「中世の中に生まれた近世」

古文書つながりということで。

つい先日山室恭子氏の「中世の中に生まれた近世」という著作を読み終わりました。戦国時代から江戸初期にかけての古文書の形式を「印判状型」と「非印判状型」に分けて分類し、前者は官僚制的で強力な支配、後者は人格的で緩やかな支配だったという傾向を分析しています。1991年にサントリー学芸賞を受賞していますので、それなりに評価の高かった本のようです。

自分の中で戦国時代から江戸初期にかけてというのは、現代につながる大きな社会変革の時代という見方をしています。都市史的な視点から考えると、現代につながる都市は多くがこの時代に大きな進歩を遂げています。東京・大阪・広島・名古屋、これらの現代の大都市は、山城から平城へ、内陸の山麓部から河川の下流部へというそれまでとは異なったコンセプトでつくられます。例外は京都、福岡などですが、京都は特殊な例外として、福岡もある意味では大宰府のある山裾から、現在の港のほうへ移動してきているとも言えます。

現象としてはこういう事が起こっているのですが、その理由と言うのは経済的な問題から語られていることが多いと思います。いわく楽市・楽座を進めて自由な物流の促進を図った、交易の中心地としての開発をしたなど。また戦争のための施設から、平和時の統治のための城への変化であるという見方もあります。

その視点に加えて、個人的には大規模な土木事業を行うシステムとしての力を持つことができたのが、織田信長以降の秀吉、家康の戦国覇者の特色だと考えています。
大河川の下流に都市を築くというのは、それ以前の時代では非常にリスキーで、避けるべきことだったと思います。洪水、河川の氾濫など、常に水害に怯えていなくてはなりません。鴨川でさえコントロールするのに難儀していたのでは、淀川下流の三角州などは怖くて住めなかったに違いありません。
大阪城、江戸城成立の前提条件は、淀川と利根川の河川の整備です。これらの川による水害をある程度制御し、街としての安全を図らないと、大阪・江戸という街に安心して住むことはできません。秀吉による淀川の改修と、徳川家による利根川東遷はこれらの街を成立させるための、基本的な要件であったと思います。

このような大規模土木工事を行う政治力は、自分の勉強した限りでは、やはり秀吉・家康の二人が抜きんでていたと思われます。大阪城や江戸城の天下普請、高松城の水攻めなど、このような事業はそれまでの城郭建設、戦争の方式とはレベルの異なったものです。そして、こういう技術力・政治力が近世を開き、ひいては現代の都市に直接つながっているのだと考えています。

そんな問題意識をもっていたところに、この「中世の中に生まれた近世」という著作を見かけたので思わず衝動買いしてしまいました。
著者が古文書の「印判状型」と「非印判状型」を分析してえた結論は、「印判状型」の文書、つまり大名の直筆のサインではなく、ハンコを押した文書というのは、組織としての大規模化システム化を示しており、それは中世的な政治体制を覆す近世的な政治体制の成立を示しているということだと思います。
この、ハンコによる文書の増加という現象は、その文書の性格にも変化を与えていると書かれています。「非印判状型」の文書というのは、大名の直筆サインによるものですので、感謝状とか、他の大名への直接の文書が多いのに比べ、「印判状型」ハンコによる文書は領民に対する命令書であるとか、布告文であるとか、政治的な指示を表す文書が多くなってきているということです。こういう指示が農民に対して出されているというのは、おそらく先に述べた大規模な土木工事を可能にしたということと直接つながっているのではないかと想像しています。
この「印判状型」文書というのは小田原の北条氏を嚆矢とし、次第に広がっていったという見方をしています。そして江戸期に入りさらにそのシステム化、官僚化が進んだと。非常に興味深い分析だと思いました。

P.S.
「シナ海域蜃気楼王国の興亡」購入しました。
あとがきによると、上田先生のこの本を書いたきっかけというのは「海と帝国」に対応した人物の列伝を書きたいということのようですね。そういうことなら、何も言うことはないと思います。人物の選択も面白いと思います。
鄭成功の章も全部読んだら、いろいろ面白い発見がありました。清朝にスパイとして捕まった人物の語った文章の中に、「私は鄭芝竜の母親につかえておりました」というのがあり、この母親に関心のある自分としては興味深い記事でした。

ただ終章の「蜃気楼王国の終焉」での見方には若干の違和感を覚えました。最後の部分に「結果からみると、1680年代以降、シナ海域を取り囲む陸の政権であった日本の徳川政権、中国の清朝、ジャワのオランダ政庁の間では、互いに海域に覇権を求めない、そして海域に新たな政治勢力を創らせないという黙契を取り交わしていたように思われる。」と書かれていますが、この点については僕の見方は異なっています。こと東シナ海域に関しては中国の海になったのではないかということです。
オランダ人は鄭氏政権に台湾から追われる段階なって、清朝に対して共同戦線を張ることを提案しています。それは台湾における戦いそのものに対しては影響を及ぼしませんでしたが、このため鄭氏政権が滅びた後には、清朝に対して朝貢を行うことになります。使節を北京に送ったりもしています。確かな資料を読んだわけではありませんが、オランダはシナ海域においては中国の覇権を認めていたように思います。もしかしたら鄭氏の時代と同じように、旗幟料を納めていたのかもしれません。
また、台湾が清朝のものになった後は、福建人が台湾との間の交易を進めていきその利権を確保します。台湾と中国本土の間の人と物のやり取りは自由に行われ、政治的にも統一が図られます。ということは、東シナ海は中国清朝の支配する海となっていたのではないでしょうか。そして王朝の支配者たる満州族は、この海の事を実際は何も切り盛りできず、実際上福建人・広東人が東と南のシナ海を牛耳っていたのだと思います。イギリスとのアヘン戦争が起こるまでは、シナ海域は華僑の経済力・政治力により支配された平和的な穏やかな海であったというイメージを持っています。そして、日清戦争で台湾が日本の植民地になる段階で、この海は日本人の支配する海になってしまったのだと思います。



#9469 
tomohiro 2013/11/15 10:46
歴史に向き合うこと

私がこのことを考えたのは昨今ではなくて、
中学から高校の頃でした。
当時、そこには歴史サークルがあって、ここでは頑なに戦国時代に関して考える事を
拒んでいました。
(それに対して幕末には寛容でした)
私が戦国時代が苦手なのはそこの影響もあるでしょう。
しかし、そこの影響で
南北朝時代や家光の最晩年から天保年間に関心を個人的に持ちました。
前を向くために、幅広いものを見るために戦国時代への個人的な関心を
捨てるんだと考えるようになりました。
だから、未だに戦国時代のこだわりを持つ世間が苦手なのです。
どういうふうに歴史を向き合うのか。
ある本では大河ドラマなどで何人もの勝海舟と徳川家康が
出てくる企画だてを揶揄気味に述べている箇所がありました。
知らない人にどう歴史を興味持たせるか、今はそれに悩んでいます。



#9468 
徹夜城(二日も遅れた近況を書く管理人) 2013/11/15 10:28
中世の古文書

さて、もう一昨日の話になるんですが、佐倉の国立歴史民俗博物館まで足を運んできました。自宅からだと車で1時間弱ほどで着くんです。これまでも何度か行ってますが、今回は4、5年ぶりじゃなかったかな。

お目当ては12月1日までの企画展、「中世の古文書・機能と形」でした。足利尊氏の花押の入った書状が宣伝の前面に押し出されていたもんですから(笑)。かなり渋い、通向きの企画だなと思いつつ、結構楽しんでまいりました。
タイトルの通りで、平安末から安土桃山までの歴史的文書(公的な文書がほとんど)をずらりと並べてその書式や形式について解説するものです。源頼朝から信長・秀吉まで幅広く並べてましたが、僕の目で見たせいかもしれませんが南北朝ネタの文書が豊富なんです。

本人が関わった文書が並べられていた南北朝人物を列挙しますと、後醍醐天皇、後光厳天皇、足利尊氏、足利直義、赤松円心、石塔義房、細川頼之といったあたり。とくに宣伝のように尊氏関係はかなり多く、彼の花押をやたらに目にしました。観応の擾乱の最中という複雑な情勢下で出した文書は解説も興味深いものでしたし、尊氏が京都で直冬と戦っていた時期に作成された尊氏近習たち数十人(いわば親衛隊)が「たがえれば神罰が降るぞ」と一致団結を神に誓いあった文書なんかも面白い。
細かいところで、六波羅探題の出した高札なんてものもありました。従来13世紀中ごろのものだろうとされてきたものでしたが炭素14年代測定をやったところ1323年に出されたものと断定されたそうで。翌年に後醍醐天皇の最初の倒幕陰謀事件「正中の変」が起こるわけで、この高札にも当時の探題で正中の変の処理にあたった常葉範貞の名前(官職名)が明記されてます(この人、大河ドラマにも出てるんですよ)。内容はと言えば、とある寺の領地について、その領内で狩りをするなどの乱暴を禁じる、というものでした。

後醍醐天皇の宸翰というのもありまして、日付を見ると「元弘三年九月」。鎌倉幕府を倒して4ヶ月ほどしか経ってない、「新政」に向けて意気揚々の頃だなぁ、などと思いながら眺めてました。



#9467 
徹夜城(明日はちょいと歴博まで出かけようかと考えている管理人) 2013/11/12 23:54
「足利尊氏と関東」

ようやくこの本、アマゾンで買いました。いや〜〜面白かったです(笑)。
著者の清水さんの文章は「足利尊氏のすべて」収録の「足利尊氏の家族」で読んでましたし、この本でもそこに重複する内容が多くありました。兄の高義の存在を重視し、尊氏は実のところ最初から家督相続確定者だったわけではないこと、また足利宗家自体が「武家の棟梁」の家とまで言えるほどに強力な存在だったかは疑問、といった話が並べられ、これまで言われがちだった「最初から有利なポジションにいたおぼっちゃん」というイメージとはまた違った尊氏像を描き出してます。
 といって強力なリーダーシップを持つ男でもなく、状況に流されがちなナイーブな性格、戦場では勇敢かもしれないがどこか投げやりで、勝ち戦になるとやたら高揚して大盤振る舞いしてしまい(笑)、やたらと情が深いかと思うとあっさりと人を切り捨てるし、なんだかんだでどうにもとらえにくいキャラクター。いわゆるビジネスマン向け歴史本では絶対に扱えないキャラなのですな(笑)。逆に人間くさいといえばこれほど人間くさい「英雄」も珍しいかもしれません。
 
 この本、前半は最新研究に基づく尊氏略伝。後半がその先祖たちの足利家歴代の略伝。例の「三代のうちに天下をとれ」と遺言して自殺したとされる家時の件や、発狂歴のある貞氏についての考察も他ではなかなか読めないものじゃないかなと興味深く読みました。
 このシリーズは歴史人物のゆかりの地の旅行案内も兼ねてまして、最後の部分に足利および鎌倉の観光コースが紹介されてます。どちらも行ってるんだけど、いずれにもまだ未踏の地があるんで、また行ってみたくなりましたねぇ。

 この本は一般向けにかなり噛み砕いて書いてますから、南北朝史のいい入門本ともいえますし、尊氏について知らない人は読んでみて結構驚かされるかもしれません。この本でついつい笑ってしまったのが、正平の一統破綻直後に関東にいる尊氏が京都の義詮に送った書状の現代語訳でして…引用します。

 赤松則祐の所領が関東にあるなんて知らなかったんで、しつこく恩賞を求めて来るヤツらにくれてやってしまったよ…赤松から替わりの所領をくれと泣きつかれて困っている。京都のほうに適当な所領があったならば、急いで世話してやってくれ。悪いな。

 六月五日  尊氏
 坊門殿

 これ、訳文も面白いんですが、この時点の政治・軍事状況を知ってるとなおさら面白い。赤松則祐はもともと護良親王の子分だった人物で(僕に言わせると播磨人ということでは来年の大河主人公よりも大河向きの波乱万丈の人)、尊氏と南朝がまさかの握手をした「正平の一統」の仲介者であり、佐々木道誉と並んでこの時点では下手すると南朝と組んで尊氏の敵にまわりかねなかった人でもあります。その彼の所領を勝手に人にくれてやってしまい、それを「ついうっかり」として息子にフォローしておいて、と頼んでるわけでして、えらくアバウトというか、あぶなっかしいことをしてるというか…実際、他にも尊氏っておおらかというかアバウトというか、そういう逸話が目立つ気がします。

 この本では建武の乱の最中に尊氏が出した文書も紹介してまして、写真で見ると左に晋ほど窮屈になり斜めに書かれた一見して変な文書なんです。これ、花押を先に書いた白紙を用意しておいて誰かが大急ぎで文章を書いたものらしく、切羽詰まった状況下で大急ぎで味方を集めるためにこういう形式で文書を出してたんじゃないか、という推理がまた面白い。


>景虎さん
 その「のーすあんどさうす」、先ほど第一話だけ見てみました。う〜ん、アイマスの方が僕はわかんないので、今一つ乗れない。南北朝初心者向けにはなるのかな。
 説明不要でしょうが、この動画のタイトルって往年のファミコンの南北戦争ゲームの「迷作」からのいただきですね。それを南北朝にもって来るセンスは大いに買いたいです。こういうの見てると、自分も何か作れないなかな、と思っちゃうのですが、かえってマニアックに過ぎてしまう恐れが(汗)。

>つねさん
ご教示どうもです。やはりそういうことでありましたか。

>フラメンコ侍さん
なるほど、そういうことでしたか。南朝プレイは僕はあんまりやってなかったもんで…確かに南朝ってことは義貞でプレイするんだから、その嫡子が出て来ることは当然予想できましたよね(汗)。

>バラージさん
「ベルリン忠臣蔵」、作り手は大マジメ(らしい)なだけによけいにヘンな映画になってるようですねぇ…以前からタイトルだけ知ってる状態でしたが、検索するとトップに出るこのブログで内容は把握できました。
http://blog.livedoor.jp/textsite/archives/18109386.html

「47 RONIN」ですが、予告編を見る限りでは、当初予想されたもの以上に「日本みたいな舞台におけるファンタジー」と開き直ったもののようです。キャスト募集の時点でファンタジーくささは若干あったのですが、どうも作ってるうちに「こりゃ面白くない!もっと変えちゃえ!」となってポストプロダクションに力を入れ(公開予定が一年延びましたよね)、ほとんど「ロード・オブ・ザ・リング」状態にしちゃったようです。
そもそも企画時点で「日本で繰り返しやってヒットしてるものなんだろ、じゃあ当たるだろ」的な感覚で立ち上げちゃった気配が濃厚で…今に始まったことではないのかもしれませんが、どうも最近のハリウッド大作の企画は安直というか軽薄というか…

大河ドラマ、まだ発表しませんが、打ち切りの場合でももっと早く発表するように思うんです。最近「水戸が『光圀伝』大河化運動」という新聞記事を読みましたが、そこでは「題材は年内に発表する」と恐らくはNHK側のコメントに基づく文があるにはありました。
遅れている原因についてもあれこれ憶測されてますが、いったん決まった企画が変更になったとか、そういうことがあるのかも。



#9466 
バラージ 2013/11/09 23:47
大石内蔵助はベルリンで復讐する

 未掲載の忠臣蔵映像作品だと、有名どころでは溝口健二が戦中に監督した『元禄忠臣蔵』という映画がありますね。松の廊下を原寸大で作ることにこだわった作品で、討ち入りシーンがないらしいです。よく行くレンタル店にDVDがあるんですが、僕は未見。最近の映画だと、討ち入りに参加できなかった浪士のその後を描いた『最後の忠臣蔵』。これはNHKでもドラマ化されていて、映画だけでなくドラマのほうもDVDをレンタル店で見かけたことがあります。これまたどっちも僕は未見。
 栄耀映画掲示板にも書きましたが、忠臣蔵映画といえばまもなく公開されるハリウッド映画『47RONIN』もあります。果たしてこれは大丈夫なんだろうか? なんか危なそうだなあ。同じくまもなく公開される『清須会議』『利休にたずねよ』も含めて、僕はどれも多分観ないかと……。
 珍作では昔レンタルビデオで見た『ベルリン忠臣蔵』という西ドイツ映画があります。四十七士がなぜか現代(制作当時)の西ドイツはハンブルクに現れ(観た当時は気づかなかったが、舞台は全編ハンブルクで、ベルリンは全く出てこないらしい・笑)、連続殺人を犯していく。果たしてその目的は?といった感じだったと記憶してますが、日本文化に対する勘違いが激しい上に、映画として全くつまらない。途中で観るのをやめてしまいました。ちなみに今回のタイトルはこの映画のビデオのキャッチコピーです。

 『琉球の風』の初回は僕も観たはずなんですが、秀吉が出てきたことも朝鮮出兵とのつながりも全く覚えてないんですよね。多分僕が『信長』を見ていなかったからだと思います。『琉球の風』のラストで「中国との交易で栄えた」というつながりから奥州藤原氏の『炎立つ』の予告を始めたのはよく覚えてるんですが。以前ここで話題になった『花の乱』のラストで信長に触れてるっていうのも、『信長』から『花の乱』までの4作だけがNHKエンタープライズによる制作なんで円環的につなげたってことかもしれません。そうだとすると『炎立つ』から『花の乱』の時も何かでつなげてたかもしれないけど、何だったんだろうなあ? やっぱり金ピカのお寺つながりだろうか?
 そういえば再来年の大河ドラマ、発表されませんねえ。これから紅白の発表とかがあることを考えると来年に持ち越しでしょうか? それとも今度こそ本当に打ち切り検討中?



#9465 
フラメンコ侍 2013/11/09 17:44
確認作業は・・・

更新お疲れ様です。
先月から個人的な遊びで信長の野望天翔記というゲームの非公式エディタを使ってCD版太平記
を模したシナリオを作っておりまして、ある程度登場人物を把握できていたのと、主に南朝でプレイ
することが多かったので、残り2人はなんとなく目星をつけていました。
なので時間がかかったことは、記憶どおり新田義宗が出てくるのか?の1点だけでした。



#9463 
つね 2013/11/09 12:17
視聴率

以下におあつらえ向きのデータがあります。

http://www.videor.co.jp/data/ratedata/program/03taiga.htm

どうやら管理人さんの推測どおり、
初回視聴率の最高が「武田信玄」
最高視聴率の最高が「赤穂浪士」
平均視聴率の最高が「独眼竜正宗」
ということみたいです。



#9462 
景虎 2013/11/08 17:22
宣伝です

みなさんお久しぶりです。景虎でございます。
最近、又七郎というハンドルネームで、「なぜなに古流武術」というブログを作ってみた
ので、その宣伝です。歴史と関係がある部分もあるので、興味がある方はどうぞ。

なぜなに古流武術
http://blogs.yahoo.co.jp/matashichirou

最近はニコニコ動画で、「のーす あんど さうす〜わくわく南北朝時代〜」
http://www.nicovideo.jp/mylist/29525657
という動画にはまっています。この動画の中では、おっさんや青年が美少女アイドルに
なっていますが、南北朝も萌え系作品で人気が出れば、メジャーになるのかなあ?と考え
させられますね。

http://blogs.yahoo.co.jp/matashichirou


#9461 
tomohiro 2013/11/07 18:17
台湾神聖論がいささか下火に

tomohiroです。
最近osを入れ替えました。
最近気になることですが、極右を中心に信奉されてきた
台湾神聖論が下火になってきたかなと思っているのですが。
やはり一時期の熱狂から、台湾のことがわかりかけてきたの
かもしれません。
みんなが思うほど台湾は親日でもないし、力もない
と。
私が知り合いの臺灣人と話をしていて、
結構耳にしたのが
やたらと「閉鎖性と均質性を好む日本人」、
「義援金をやってあげたんだから早速台湾に取材に来るな静かにしていろ。」
という態度です。
前記に関連するのですが、華人社会大事を強調して
hong kongや中国大陸とのビジネス優先で日本を無視する態度も露骨に取ります。
私だけではなくてネットでもリアルでも、「冷たい臺灣人」
とであった日本人も結構いるのではと思います。
韓流の後継者として華流と考えた論客がいましたが、そうならなかったのも
「冷たい臺灣人」、「力のない臺灣人」を見たからかもしれません。
私は左翼にも共通することですが、「xxの天国」を日本人は求め過ぎなのでは
と思います。



#9460 
徹夜城(久々に西部劇映画を見ていた管理人) 2013/11/06 00:37
映像化の多いネタ

 先日、BSシネマで「トゥームストーン」をやっていたので、公開以来初めて見たんですが、これっていわゆる「OK牧場の決闘」ネタなんですよね。「ダンス・ウィズ・ウルブス」などのあおりでちょっと西部劇映画復調の流れもあった中で製作されたんじゃなかったかな。
 「OK牧場」ネタ映画はジョン・フォードの「荒野の決闘」から「OK牧場の決闘」「墓石と決闘」「ワイアット・アープ」などいろいろと作られてまして、日本で言うと「忠臣蔵」状態。この「トゥームストーン」はいわば「実録系」で、例の「決闘」のあとでワイアットの兄弟が殺されていること(古い作品では前後を入れ変えて「仇討ち」風にしてる)、アープ側は一応保安官とはいえ実態としては「私闘」であったことが強調される作りになってました。もっとも映画の後半になるとかなりはっちゃけた展開になってるような気がしましたが…
 今のところ「OK牧場」ネタは「歴史映像名画座」に入れてませんが、西部開拓時代のエピソードとしては入れてもいいかな〜と迷いもあるんですよね。ジョン・フォード晩年の作品「シャイアン」でワイアット・アープとドク・ホリディがゲスト的にちらっと顔だししてることには触れましたけど。
 「忠臣蔵」もやたらにあるんで、見たものだけに絞ろうとは思ってるんですが、考えてみたら日本テレビの年末時代劇のやつはちゃんと見てるのになぜか今回も入れてませんでした(汗)。見てる、ってだけならビートたけし主演のとか、キムタクの堀部安兵衛のとか、いろいろあるんですけどね、あんまり入れてるとそれだけで独立したコーナーになっちゃいそうで(笑)。
 あと、今回の作業でも「水戸黄門」「大岡越前」「暴れん坊将軍」といったものはどうするか、という迷いがありました。いちおう実在人物が主役ではありますし、すでに「鬼平」入れてますし、さらに言えば非実在主人公、あるいは完全なフィクションでも入れてるのはあるんだし、と考え出すときりがない。



>フランメンコ侍さん
 これは、これは、大変貴重な情報、ありがとうございました!ついさっき、データを補完しておきました。感謝感激であります。僕もずいぶん昔にデータ取りをしたんですが、確認作業はかなり大変だったのではないでしょうか。
 「ゲームで南北朝!」のコーナーもずいぶんほったらかしで…メガドライブ版の記事はなんとかしなきゃと思ってるんですけどね。プレイが進まなくって。武将データだけはなぜか中国サイトで一欄表を見つけてまして、「南北朝列伝」の一部に反映させてあります。

>バラ―ジさん
 次々とご指摘どうも。こちらも以前のものをコピペで済ましてる所も多くて、なんだかんだで他人に読んでもらった方がミスが見つかるということのようですね。
 「武田信玄」の件ですが、放送当時に「政宗より上」という報道があったような記憶があるんです。もしかすると第一回とか、瞬間視聴率とはそういうもので、終わってみると平均値で負けていた、ということかもしれません。
 「琉球の風」の配置は以前からあそこにあったので…確かに江戸時代に分類すべきかとも迷いはしたんですけど、「信長」からストレートに続く形になってたこと、僕自身第一回での秀吉の朝鮮出兵とのからみの部分などが印象に強かったこともあってあそこに配置したように思います。
 「徳川家康」や「真田太平記」についても迷いはしたんですが…「乞食大将」については内容をよく検証してみると完全に江戸時代ってことになったんで動かしました。



#9459 
バラージ 2013/11/05 11:26
歴史映像名画座

 連続の投稿になってしまい申し訳ありませんが、またまた気付いた点がありました。

・テレビ朝日版『風林火山』の解説の冒頭がちょっとおかしい。
・NHK大河ドラマ『武田信玄』の解説に「NHK大河ドラマ史上最高の視聴率を記録した作品」とありますが、最高視聴率を記録しているのは『赤穂浪士』、平均視聴率が最高なのは『独眼竜政宗』で、『武田信玄』はどちらも2位です。



#9458 
バラージ 2013/11/03 22:40
訂正

 全くどうでもいいことですが、#9446で真田広之が出演した映画を5本挙げて、僕はどれも観ていないと書いたんですが、ここや栄耀映画掲示板にちょくちょく書いているとおり、『魔界転生』と『里見八犬伝』は観ております。なんでそんな勘違いをしちゃったんだろう、俺は? 『忍者武芸帖 百地三太夫』『伊賀忍法帖』『龍の忍者』は書いたとおり、ちゃんと(?)観ていません。



#9457 
フラメンコ侍 2013/11/03 20:20
PCエンジン太平記の残り2人

はじめまして。
ひさしぶりに遊んだときに残り2人を探して発見しました。

・村上義隆 統率62 戦闘43 忠誠41前後 婆沙羅29 所在国 越後の浪人
・新田義宗 統率55 戦闘74 忠誠85 婆沙羅23 所在国 1338年6月新田義顕の所在する国

駄文失礼しました。



#9456 
バラージ 2013/11/03 00:22
戦国・安土桃山・江戸前期

 歴史映像名画座の一挙更新、ご苦労様でございます。時代別にちょこちょことコメントを。

・戦国時代
 見た作品……『風林火山(テレビ朝日)』『影武者』『大友宗麟』『七人の侍』
 ところどころ見た連ドラ……『塚原卜伝』『毛利元就』『風林火山(大河)』『武田信玄(大河)』
 ほんの一部だけ見た連ドラ……『おんな風林火山』
・安土桃山時代
 見た作品……『おんな太閤記』『徳川家康(大河)』『のぼうの城』『千利休 本覚坊異聞』『忍びの者』『続・忍びの者』『独眼竜政宗(大河)』
 ところどころ見た連ドラ……『利家とまつ』『真田太平記』
 ほんの一部だけ見た連ドラ……『秀吉』『功名が辻』『江 姫たちの戦国』『関ヶ原』『天地人』『琉球の風』
・江戸前期
 見た作品……『葵 徳川三代』『巌流島(NHK)』『柳生一族の陰謀』『魔界転生』『天地明察』
 ほんの一部だけ見た連ドラ……『宮本武蔵(NHK)』『武蔵』『峠の群像』『八代将軍吉宗』

・DVD化されている未収録作品
 戦国時代……映画『伊賀忍法帖』テレビドラマ『鶴姫伝奇』
 江戸前期……映画『あずみ』『あずみ2』

・ソフト化されてない未収録作品
 戦国時代……『鉄砲伝来記』(1968年の映画。WOWOWで放送されていたので、てっきりDVD化かビデオ化がされていると思ってたんですが、全くソフト化されていないようです。僕は未見。歴史映画なら必ず見る人間ではないので)『若き日の北條早雲』(テレビ朝日で1980年に放送されていた連続ドラマ。これも全くの未見)
 江戸前期……『猿飛佐助』(日本テレビで1980年に放送されていた連続ドラマ。子供のころに見ていた作品で、とても面白かった記憶があります。真田幸村の九度山蟄居時代が舞台で、佐助役は太川陽介。最後は服部半蔵との戦いに勝つが、徳川家康の計略にはめられて非業の死を遂げるというものでした)

・気づいた点
 戦国時代……『塚原卜伝』の解説に「北条早雲や足利義尹などは映像で出てくるのはこれが初めてか?」とありますが、確か以前も書いたんですが、足利義尹は大河ドラマ『花の乱』に足利義材の名前で、同じく『毛利元就』に足利義稙の名前で登場します。義材→義尹→義稙と改名してるんですが、ややこしいんで一般的には最後の名前の義稙で呼ばれることが多いですね。北条早雲も前記『若き日の北條早雲』で映像化されています(というか1つ下の『斎藤道三』にも登場してるようですが……)。
 安土桃山時代……『琉球の風』はどっちかっていうと江戸前期に該当するんではないかと思うんですが。秀吉は1話で死んじゃうようですし、島津氏の侵攻は江戸初期ですし。



#9455 
徹夜城(最近は土日が忙しい管理人) 2013/11/02 22:56
「昔はよかった」と言うけれど

 どうも。管理人自らしばらくぶりの書き込みになります。
 まず、「歴史映像名画座」を更新しました。追加作品はたいしてありませんが、このところ進めているリニューアル作業を「戦国」「安土桃山」「江戸前期」にまで広げました。当面の目標は日本史部分を全部作っちゃうことです。それからおいおい世界各国のをやっておこうと。
 世界史部分では日本では未公開のものや市販ソフトが出ていないものについても可能な限りカバーしていくつもりです。前にも書きましたが、ネット上をあたってみると、あら、あんなのも、こんなのも、と見つかるんですよね。日本にはなかなか来ない国の歴史映画やドラマもやっぱり紹介しておきたいわけです。
 最近見つけて「おお、こんなのが」と驚いたのが、映画「シモン・ボリバル」でした。1969年のイタリア・スペイン・ベネズエラ合作(基本的にはイタリア映画みたい)。シモン・ボリバルを演じたのはマクシミリアン=シェルで、この人TVドラマでピョートル大帝も演じてました(笑)。なお、2011年には「サン・マルティン」の映画も製作されてまして、やっぱり南米革命野郎は映画化されているんですね。南米部分が手薄だったもんで、これは嬉しい発見でした。


 さて、タイトルに書いた話ですが。
 ご紹介のあった「人をあるく」を書店に探しに行ったんですが、見つからず、その代わりにこんななかなか面白い本を買ってしまいました。

大倉幸宏『「昔はよかった」と言うけれど・戦前のマナー・モラルから考える』(新評論)

 しばしば保守系の政治家や評論家が「戦後は道徳がすたれた!」と騒ぎますが、じゃあ戦前の日本人はそんなに道徳心が高かったのかね、という疑問は以前から持ってました。ですからこの本をぱらぱらと読んでみて、「待ってました!」と快哉を叫んじゃいまして(笑)。
 この本、戦前の新聞記事を中心に、当時の日本でもモラルやマナーの退廃がしばしば指摘され、それこそ「維新前はよかった」という論調があふれていたことを指摘してくれてます。いやもう、出るわ、出るわ、老人に席を譲らない若者、列車内で化粧する女性、公共施設でゴミの散らかし、食品偽装に商標無断使用、児童虐待に老人虐待、ストーカーにわいせつ教師、などなどなど、近ごろよく聞く気がする問題が、ぜーんぶ明治〜昭和前期にあったことを余すところなく暴いてくれます(笑)。お薦めです。


>黒駒さん
 そんなわけで、「人をあるく」の足利尊氏の本、ぜひ読みたいんだけどまだ見つかりませんで…アマゾンで頼むしかないのかな?

>阿祥さん
 ずいぶんレスが遅れてしまい、申し訳ありません!書き込まれた内容につきましては実に興味深く拝読しました。
 阿祥さんがおっしゃる、17世紀以降の華僑たちによる「国家」の形勢は、たどっていくと前期倭寇などにもつながるものはあると思うのですが、そこら辺からはより具体的に「国家」になってくるんじゃないかと。それ以前の、例えば王直についても僕はついつい平気で「海上王国」なんぞと言ってしまいますが、それ以後の時代に比べるとかなり曖昧模糊としたものであったろうと思うんですよ。王直の次の時代にフィリピンに遠征したりカンボジア方面にも出かけた林鳳なんかは後の華僑国家への予兆が見られると思え、ちょうどその過渡期にあったのではないかと。
 王直の時期の倭寇も、中国人が多かったと一口に言っても福建人・浙江人・徽州人と構成員はそれこそ千差万別で、そこにまた日本人やらポルトガル人やらその他いろいろが混在しているから、それこそまとまりを欠いていたのではなかろうか、と思うところもあります。



#9454 
黒駒 2013/10/25 14:34
人をあるく

吉川弘文館より「人をあるく」が創刊されました。第一回配本に清水克行「足利尊氏と関東」があります。まだ現物を見てませんけど、人物の履歴と旅をテーマにしたシリーズなのでしょうね。南北朝では他に「後醍醐天皇と吉野」「楠木正成と河内」「足利義満と京都」が予定されているようです。



#9453 
阿祥 2013/10/23 01:10
東アジアの「海上王国」

「シナ海域蜃気楼王国の興亡」は面白そうな本ですね。僕も本屋で見かけましたが、概論としては新味があっても各論ではそれほどディテールが詳しくはないように思えたので、まだ購入していません。ですが、徹夜城さんのお薦めでしたら買ってみようかと思います。

東アジアの「海上王国」という見方については、僕はもう少し限定的な考えを持っています。この国家らしきものをつくろうとした主体は福建人、広東人を主体とした華僑であるという考え方です。そして、その国家を作らねばならないという理念の萌芽は17世紀にマニラ、ジャカルタ、台湾で起きた華僑に対する度重なる虐殺事件を元に起きてくると考えています。
これらのヨーロッパ人により開発された交易都市は、中国人との貿易を主として行い、さらに現地での労働力を賄うために多くの中国人を呼び込みます。それは支配者たるオランダ人やスペイン人の人口を大きく上回ることになり、そのため植民地政府は中国人を必要としつつも、そのパワーに怯えることになります。そして、その恐れが中国人に対する虐殺と言う事件になります。場所は変われど、その経過はよく似ています。
この事件の背景には、中国の大陸の国家が華僑と結びついて軍隊を派遣してきたら、オランダやスペインの植民都市は軍事的にはひとたまりもないだろうという恐れがあります。しかし、実際は明朝も清朝もいずれも大陸国家で海上にはあまり興味を持ちません。そのため彼らの心配は杞憂に過ぎないのですが、それが理由で華僑は人口が増えると虐殺され、ほとぼりが冷めるとまた移民としてやってくるという経過をたどります。

このような状態を華僑の側から見れば、もし自分たちに十分な軍事力があれば、オランダもスペインも追い落とせると考えていたと思われます。実際そのような意図で反乱を起こしてもいます。しかし、小規模な反乱では、植民都市の正規軍を破るところまではいかず、いずれも鎮圧されてしまいます。
そんな風に、華僑としての思いと、中国の大陸王朝の考え方には大きなギャップがあるのですが、唯一鄭成功が台湾に作った王朝だけは、自らが福建人だということもあり、華僑に対して同情的な政策を取ります。台湾からオランダ人を駆逐し、自らの本拠地とすることも大きな事績ですが、その後マニラに華僑に対する圧迫が起こるということを聞き、スペインのマニラ政庁に対し政治的圧力をかけます。結果的にはそれは逆効果になり、また虐殺が起こるということになってしまうのですが、とにかく同胞のために政治的に動くということを鄭氏政権はします。

そんな風に思うと、東アジアの海上に国家をつくろうとした動きは、具体的には福建や広東の華僑が行い、鄭氏政権の台湾王国ができたという段階になってようやくそれらしき形ができたという風に考えられると思っています。
そして、清朝によって滅ぼされた華僑による国家は、中華民国という華僑による革命を経て復活します。この中華民国が、共産中国に追い落とされて落ち着いたのが台湾だというのも、歴史的な由来があるように思います。
また、シンガポールという華僑の国家も東南アジアでは存在感を示しています。

上田先生のストーリーや問題意識とは違うように思いますが、こんな風に僕は東シナ海の政治的に主要なプレイヤーを華僑として考えるのが自然だと思っています。



#9452 
バラージ 2013/10/19 01:59
炎立つ・追記

 『炎立つ』の「もめた」っていうのは、高橋克彦の原作執筆が遅れたため、第二部中盤からは脚本家の中島丈博によるオリジナルになったことによるもののほうでして。脚本の中島と原作の高橋や番組プロデューサーとの間で相当なトラブルになったらしいです。当初、藤原秀衡役だった北大路欣也が降板したのも、原作執筆の遅れからオリジナル移行に伴う撮影スケジュールの遅れが原因らしいですし。僕も放送当時、なんで北大路が突然降板して渡瀬恒彦になったのか不思議だったんですよねえ。最初は病気かと思ったりもしたんですがそうでもないようだし、いったいなぜ?と。
 義経北行説については、放送開始前に出版されたNHK公式ガイドの原作者と出演者による対談の中で、既に高橋が義経を北へ逃がすと明言しています。渡辺謙も「先生、ぜひ義経を北へ逃がしてください!」とノリノリでした。要するに高橋がやりたかったことなんですが、しりぬぐいを押し付けられた中島にすれば、俺が監修に文句つけられるのは筋違いだとむかっ腹が立ったことでしょう。原作者じゃなきゃプロデューサーが処理しなければならないはずですが、どうもそれもされなかったようで、中島は相当ブチ切れたようです。



#9451 
徹夜城(うっかりミスをたった今修正した管理人) 2013/10/19 01:03
ついうっかり。

>バラージさん
 ご指摘どうも。「経清」になっちゃってた部分はつい先ほど修正しておきました。同じ人が演じてるとはいえ、我ながら信じられない凡ミスを(汗)。
 「炎立つ」の最終回の描写でもめた一件は、その監修を担当された入間田宣夫さんの文章で知ってました。その文章では劇中に「竹トンボ」が出て来る場面でも「この当時にあったの?」と問題になり(それこそ平賀源内発明説もありますから)、あれこれ調べた結果それ以前の時代にも似たようなものはあった気配があるので平安末の東北にあってもおかしくはないだろう、という結論になったみたい。
 大河の監修というのは学者にとっては面白くもあるけど不愉快になることも多いようでして…なまじ自分の名前が「監修」としてクレジットされちゃうと、ドラマ内の創作部分まで太鼓判を押してしまったようにとらえられて批判されちゃうこともあるようです。また「これはおかしい」とシナリオに文句をつけても、もはや展開上変更不可能と押し切られるケースも少なくないようです。
 他に「太平記」の監修をなさった永原慶二さん、江戸時代関係のドラマの監修にいつもあたっている方(すいません、とっさに名前が出てこない)の大河ドラマ監修裏話を読んだことがあります。永原さんによると「太平記」の場合は吉川英治の創作部分と脚本家の創作部分とが二重に入るんでなおさらややこしかったようです。ドラマの創作部分に介入するわけにはいかないので、この時代としては明らかにおかしいと思った所だけ主張はしておいた、というところのようです。具体的に何の話があったかは忘れちゃいましたが…

>黒駒さん
実はちびちびと聖書関係のドラマ・映画情報の収集整理もしておりまして、そうだろうとは思っていたものの、なにせ聖書だけに欧米でやたらに製作されているんですよね。最近は特にテレビドラマシリーズでいくつも作られており、その中で「パウロ」もあったと記憶しています。他ので手いっぱいでまだ見てはいませんが…



#9450 
バラージ 2013/10/19 00:26
炎立つ

 今頃になって気づいたんですが、歴史映像名画座の「日本史映画・神話〜平安時代」の中の『炎立つ』のストーリーに誤りがあります。まず、これは単純な誤記だと思いますが、三代・秀衡の子は経清ではなく泰衡です。次に、泰衡は本作では義経を殺しておらず、北方に逃がしています。義経北行伝説を採用しちゃってるんですよね。監修の歴史学者が猛反対したため、ドラマでは逃げることは逃げるけど途中で襲われて生死不明みたいな描写になってますが、原作ではしっかり(北海道か大陸まで?)逃亡しちゃってるようです。
 ちなみに高橋克彦の原作の執筆が遅れ、ドラマのほうが追い抜いてしまったため、第二部中盤からは脚本家のオリジナルになってるんですが、もともとNHKが奥州藤原氏三代を提示したところ、原作の高橋克彦が前九年合戦から描きたいということで、エピソードの少ない二代・基衡をカットして前九年合戦からやることになったらしい。まあ地元民としても客観的な歴史ファンとしても、前九年合戦が侵略者vs防衛者という1番わかりやすい図式で、お話としても面白いですからね(後三年合戦は内紛、源平合戦は傍観者、奥州合戦はあっけなく負け)。そういうこともあって思い入れが強すぎたのか、原作は第2部・第3部はそれぞれ1巻なのに、第1部(前九年合戦の分)だけ3巻になっちゃってますからねえ。それで何やらいろいろともめたらしいです。



#9449 
黒駒 2013/10/18 06:42
戦国・倭寇時代の「国家」

考えても見れば後期倭寇の活動した時代ってもろに「戦国時代」なんですね。戦国大名研究において、戦国大名領国をひとつの「国家」とみなす議論があるわけですが、海上世界でも同様の動きがあるというのは非常に興味深いです。

上田氏の著作は「海と帝国」は面白かったですし、手頃な値段なのでそのうち読んでみようと思います。積読が多いのですが。。

海賊コーナーの更新も楽しみに待っています。

>追記
最近ツタヤで「パウロ・ローマ帝国に挑んだ男」という作品が目につきました。これ聖書関係作品に入ってませんよね?そのうち見てみようかと思っているのですが。



#9448 
徹夜城(専攻は倭寇の研究なんだぞと言っておく管理人) 2013/10/17 23:57
たまには専門の話を

長らくほったらかしになっている「俺たちゃ海賊!」のコーナーですが、その更新をしないといかんよなぁ、と刺激される本が出ました。
上田信先生の「シナ海域蜃気楼王国の興亡」(講談社)という本でして…
帯の宣伝文句をそのまま書きますと、「アジアの海に出現し、陸の住民が恐れ、憧れた「幻の王国」の三〇〇年史!」というものでありまして。
とりあえず書店で見かけて速攻で買いました。ややお値段はする本ですが、一応一般書ですし、そう高いわけではありません。
タイトルや宣言文句を見れば僕なんかは読まずとも内容が分かるくらいのもんでして、ああ、ついにこういう本が出ちゃったか、と微妙に悔しい気分もあります(偶然ですが、最近「ファウンデーション」漫画版が出まして、これについても同じ気分に)。

僕は後期倭寇を専攻にしてますが、当然その「海の歴史」は前期倭寇の時代から始まり、後期倭寇、林鳳、鄭芝竜と鄭成功などなどまでつながってゆき、東アジアに「近世国家」が成立してゆくことで幕を閉じる、という構想は持ってます。今度の上田先生の本はまさにそのまんまのテーマを、人物列伝風にまとめたものなんですね。
この東アジア海に「海上王国」があった、というのも僕の持論でもありまして(別に僕のオリジナルってわけじゃないですが)、それをこの本では「蜃気楼王国」となかなか文学的な表現で現されています。王直が、林鳳が、鄭成功がやろうとしたこともそういう「王国」ではなかったか、と僕は思っているわけでして、「鳳」の予告編でそんなことをブチあげたっきりなっているのが恥ずかしい限りで(汗)。

上田先生の本では「足利義満」「鄭和」「王直」「小西行長」「鄭成功」が取り上げられています。正直「小西行長」がここで出て来るのは意表を突かれましたが、確かに考えてみれば納得ではあります。秀吉の戦争を扱うなら僕だったら沈惟敬あたりで…なんてのも考えましたが、ちと原資料が足りないかな。
まだ読みとおしてはいませんが、王直を本名の「王ジョウ(金+呈)」で統一してるのもユニークです。王直の「直」の由来については僕が勝手に言ってる説を「俺たちゃ海賊!」のタイトル付きで以前の本で紹介していただいたこともありました。
今度の本でも内容的に当サイトの海賊コーナーとかぶるところも多いので、興味のある方はぜひご一読を。僕があのコーナーで紹介している福江島の「倭寇像」のご感想も面白いですし、先年に起こった「王直の墓破壊事件」にも詳しく触れています。

いやほんと、あれこれ浮気してる僕ですけど「海賊」コーナーなんとかしないと。「鳳」だってまさに「海の王国」を作ろうとする話なんですからねぇ。


>サヤ・オリノさん
レスが遅れてしまいましたが、ヴォー・グエン・ザップの死去については「史点」で取り上げてみました。それにしても彼の名前を略す場合、マスコミ記事では「ザップ将軍」とか書くのが多かったんですが、実際のところどうするのが正解なんでしょう?僕も迷いつつ書きまして、結局フルネームで書きつつ「彼」と書いたりしておりました。ホー・チ・ミンは「ホーおじさん」とか言われてたらしいですけど。

>バラージさん
大映の「新平家」三作のソフト化、ことに後ろの二作の扱いは謎ですねぇ。「静と義経」はあのリニューアル作業の過程でDVD化されていると知って購入したんです。「義仲と三人の女」はVHS版のみで、しかもバカ高いんですよ。
言われてみれば「曽我兄弟の仇討ち」で映画が何本か存在してましたね。そのためだけに入手するのも気が引けるんで、そのうち衛星放送かなんかで放送してくれないかなあと(東映の古い時代劇映画は結構NHKで昼間にやってるんで)。曽我兄弟の仇討ちの映像作品は僕は「草燃える」の中でのものしか見たことがありません。

>黒駒さん
「戦国武将」というとあの時代に生きた武士であればみんな入っちゃうけど、「戦国大名」となると君主クラスしかいません、ということになるんですが、その君主クラスだけを「戦国武将」と認識してる人も結構いる、ってことなんでしょうか。
一般の戦国マニアですとどうしてもエピソードや合戦ばなし中心に追いかけて、戦国大名の権力構造がどうたらとかまで首を突っ込むのはよほどの人ではあるでしょうね。でも本当に好きで調べまくる人は専門書レベルまで突っ込んでしまうんじゃないかと思うんですよ。南北朝時代なんざ読みやすい一般向けの書籍があまりにない状態なもんだから、専門書レベルのものまで目を通さないといけなくなったりしますけど、とちょっと愚痴(笑)。



#9447 
黒駒 2013/10/14 19:37
戦国大名と戦国武将の違い

最近twitterで話題だったのですが、一般人は戦国大名と戦国武将の区別が付かないとか。「社長と社員の違い」だっていう指摘もありましたが。

私はこれ、一般の戦国時代好きの人と専門研究者の関心方向の違いかなと思いました。戦国時代史も、専門研究では「戦国大名」とはなにか、戦国大名のあり方、権力構造などを問題としているのですが、一般の戦国ファンの人はあまりそういうことには関心がなく、もっぱら「戦国武将」の事跡とか、人物、事件、出来事中心の関心であろうなと感じます。

もちろん、「戦国武将」的な関心の持ち方もありだろうとは思うのですが、専門研究と一般の関心のずれというか断絶は、歴史のみならずどこの世界でもあるものですね。戦国時代研究者でも、世の中に戦国時代を扱った本は数あれど、正面から戦国大名論を一般向けに啓蒙しようと書かれた本は少ない状況にあるらしく、戦国時代は一般層の強い関心がある分野ではあるのですが、なかなか溝が埋まらないようです。



#9446 
バラージ 2013/10/10 22:08
鎌倉・室町時代編

 歴史映像名画座の更新、ご苦労様です。今回追加されたものの中で僕が観たのは、以前に感想を書いた『終戦のエンペラー』だけでした。『忍者武芸帖 百地三太夫』の真田広之は、その前後に『伊賀忍法帖』『魔界転生』『里見八犬伝』、さらには香港映画『龍の忍者』なんてのにも出てますね。僕はどれも観てませんが。

 今回の目玉の鎌倉・室町時代については、大河ドラマはこれまた以前に書いたんですが、『平清盛』を全話観て、『北条時宗』『太平記』『花の乱』をところどころ観て、『義経』をほんの一部だけ観て、『新・平家物語』『草燃える』を総集編だけ観たといったところです。それ以外の映画・テレビドラマでは、『新・平家物語』『一休さん』『もののけ姫』を観ました。これまた感想は以前にこちらか栄耀映画掲示板に書いております。
 『新・平家物語 静と義経』は新・平家物語三部作で唯一ビデオ化がされなかったんですが、DVD化はされてるんですね。逆にビデオ化はされた『新・平家物語 義仲をめぐる三人の女』はなぜかDVD化はされてないという。他に鎌倉・室町時代の歴史関連映画でDVD化されているものには『親鸞 白い道』『日蓮』『TAJOMARU』などが、DVD化されていないものだと『富士に立つ若武者』『壇の浦夜枕合戦記』『曽我兄弟 富士の夜襲』『修禅寺物語』『親鸞』『続・親鸞』などがあります。テレビドラマだと、これもこの前書いたTBSの『里見八犬伝』がありますね。

 歴史関連ドラマといえば今月から始まる『クロコーチ』というドラマが三億円事件ネタのようです。僕は歴史関連ものなら何でも観るというわけではないんですが、このドラマはちょっと面白そう。三億円事件ネタは尽きないですねえ。



#9445 
サヤ・オリノ 2013/10/06 09:50
訃報続く

「白い巨塔」をはじめとするベストセラー作家の山崎豊子さん、
1964年東京五輪の「東洋の魔女」(分からない人は自分で調べてね)の中村(旧姓・河西)昌枝さん、
ベトナム独立戦争の北ベトナム軍司令官ヴォー・グエン・ザップ将軍が亡くなられました。
なんつーか、どなたも(日本人にとっては)戦後の日本、あるいは20世紀後半の
歴史を代表するような出来事にかかわった方たちばかりなので、
20世紀生まれとしては、「20世紀がまた遠くなる」という感慨しきり、というしかありません。
(陳腐な感慨ですけど)。
この御三方の御冥福をお祈りいたします。
それにしても、ある訃報に接した際、とても嫌なことを経験しました。
マナーに違反するかもしれないので、ここでは書きませんが、どうにかならないものでしょうか。



#9444 
バラージ 2013/10/05 21:10
判事と未亡人の中国史映画

 連続投稿ですいません。中国史関連映画を2本観たので、ちょっとした感想を。

 『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』
 唐の則天武后の時代の政治家・狄仁傑(ディー・レンチェ)を主人公としたツイ・ハーク監督によるアクション・ミステリー映画。もともと狄仁傑を名裁判官として描いた『狄公案』という『大岡越前』『遠山の金さん』みたいな古典物語があるらしく、それをヒントに書かれたオランダ人作家ヒューリックの探偵小説『判事ディー』シリーズをヒントに、ツイ・ハークがこの映画を作ったということらしいです。“中国版シャーロック・ホームズ”みたいなキャッチコピーがつけられてましたが、確かに1番新しいホームズ映画といっしょで謎解きはほとんどどうでもよく、CGを駆使した映像とアクションが見せ場といういかにもツイ・ハーク印のスペクタクル映画でした。日本では通常の2D映画として公開されたようですが、映像を観た感じではおそらく3D映画。ツイ・ハークは『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(これはすごく面白かった)で初めて3Dをやったと思ってたら、その前のこの作品でもうやってたんですね。
 アンディ・ラウ演じる判事ディー(狄仁傑)は推理ばかりでなく武術も超得意なスーパーマン。則天武后役のカリーナ・ラウは、ウォン・カーウァイ監督の『2046』の時は「老けたな〜」と思ったんですが、この映画ではそれを逆手に取って(?)貫禄ある女帝を堂々と演じて好演でした。史実とはあんまり関係ない映画ですが、面白かったです。

『楊家女将伝』(劇場公開題『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』)
 古典物語『楊家将演義』から派生した京劇『楊門女将』を映画化した『14アマゾネス 王女の剣』(こちらもDVD化されてるらしい)という映画のリメイク。
 中国版ラジー賞を取った作品とかで、日本の映画会社は「バカ映画」「トンデモ映画」として売ってましたが、そこまでトンデモではありませんでした。観てる間ずっと感じてたのは、昔テレビで深夜によく放送してた70年代の香港カンフー映画みたいだなぁということ(この映画自体はカンフー映画ではありませんが)。役者陣の大げさなクサイ演技、これまたやたらと大げさなクサイ音楽、壮大なわりにはハリボテ感ありありのセット、稚拙な特撮(CG)、ただひたすら延々と戦うシナリオ、といずれも70年代香港カンフー映画特有の要素を持つチープなB級大作です。あまりにそれで統一されており、どうもそれを狙ってやっている感じ。個人的にはそういうノリが嫌いじゃないんで、そこそこ楽しめなくもなかったんですが、映画館で観るほどではなく、DVDかテレビ放送で十分です。

 楊家将もの映画と言えば、年末に『楊家将 烈士七兄弟の伝説』という映画が東京で公開されるようですね。他にも『少林寺秘棍房』という70年代の楊家将カンフー映画がDVD化されてるらしいです。

 あと、最近知って気になってるのは『英雄十三傑』というこれまた70年代の香港映画。唐末の黄巣の乱が舞台という珍しい映画で、『残唐五代史演義』という古典物語が元ネタらしく、歴史映像名画座にもある『水滸伝』のチャン・チェ(チャン・ツェー)監督、デビッド・チャンとティ・ロン主演の映画。このトリオは他にもその続編『水滸伝 杭州城決戦』や、これまた歴史映像名画座にある『ウォーロード 男たちの誓い』の元ネタ作品『ブラッド・ブラザーズ 刺馬』などをこの前後に作っています。これらもまたいずれもDVD化されていて、『英雄十三傑』のDVDはどこかで見かけたような気がするんですけど、レンタル店にはありませんでした。さすがに買ってまで観たいとは思わないしなあ。


 ところで、新しくBS時代劇『雲霧仁左衛門』が始まりましたが、出てる女優目当てで観たんですけど、これが意外となかなか面白い。やはり妙に奇をてらわず、正統派の時代劇で行ったほうがいいのかもしれません。



#9443 
バラージ 2013/10/04 20:03
『曹操』は1週間レンタルになったら借りようと思う

 『曹操』は昔のやつとは別の新しいドラマで、中国では去年放送されたようです。昔のほうの『曹操』(1997年制作)は、ブックオフでDVDのBOXセットが売られてるのを見かけたことがあります。

 それにしても中国大奥ドラマ、多いですねぇ。『後宮の涙』(原題:陸貞伝奇)という新しいドラマのDVDがまたレンタル店に並んでました。南北朝時代の北斉というとんでもなくマイナーな時代が舞台らしいです。
 それにしても『宮廷の諍い女』って、完全に『美しき諍い女』まるパクりの邦題だなぁ(笑)。まあいいけど。

 日越合作ドラマ『The Partner』は僕も放送を直接観ました。感想は僕もだいたい同じで、歴史的な部分は僕はくわしく知らないテーマだったのでともかくとして、肝心のドラマ部分が歴史パートも現代パートもなんか今一つで……最初の1時間で観るのをやめちゃいました。
 それはそれとして、韓流ドラマに対抗して日本のドラマを売り込むんなら、わざわざこういうドラマを作らんでも普通に日本のドラマを売り込んだほうがいいのではあるまいか? ベトナムで流行っている韓流ドラマがどういうものか知りませんが、多分こういうタイプのドラマではないと思う。日本で韓流ブームを巻き起こしたドラマだって『冬のソナタ』とか『チャングムの誓い』なんだから。

 ボイジャーとパイオニア、なんか懐かしいですねえ。子供の頃に宇宙の本で読んで、遠い未来に思いを馳せたのを思い出しますが、いつの間にやらその遠い未来になっちまったか(笑)。



#9442 
徹夜城(我が家にはそもそもレコードなんて一枚もない管理人) 2013/10/02 21:31
針を消耗したらどうするか

>つねさん
 「史点」へのフォロー、ありがとうございます。そうですか、やっぱり針と再生装置を積んでましたか。そりゃそうだよな、と思いますが、レコード針も消耗品ですし、使えなくなったら異星人も困っちゃうか?
 ところでボイジャーのゴールドディスクには「画像」も収録、とありまして、これはどうやって再生するもんだったんでしょうかね?再生方法も分かるように書いておいたらしいのですけど。

>アジアのバカ大将さん
 「宮廷の諍い女」の美女の多さにはまったく同感…というか、僕も実際「母数が多いからなぁ」などと言っておりましたよ(笑)。つい先日中国語サイトをなんとなく覗いてたら、このドラマが日本でどういう評判なのか紹介する記事にぶち当たったりしました。斜め読みしただけですが、文章中で韓国時代劇「チャングム」が引き合いに出されていたりするあたり、結構東アジア三国はなんだかんだ言いつつ共通の話ができるなぁと思いました。


>最近の歴史映像ネタ。
 ところで、先日TBSが「日本ベトナム国交樹立40周年記念作品」とやらで、「パートナー」というスペシャルドラマを放送してました。現代の日本人ビジネスマン(ベトナム進出を図っている)のドラマと、100年前にベトナム独立運動のために日本に来たベトナム人と日本人医師の友情ドラマとをダブルキャストで描く、という企画です。
 高校の世界史で覚えのある人もいるでしょう。そう、この100年前のベトナム人って、「東遊運動」で知られるファン・ボイ・チャウのことなんですよ。こういうテーマも珍しいんで、一応録画予約してチェックはしてみました。

 う〜ん、結論から言うと事前の予想通り、どうも「安っぽいドラマ」なんですな、これが。日越の個人間の友情を称える、という趣旨はわからんではないけど、そもそもこれ、企画時点で「ベトナムで韓流ドラマが流行ってるからこっちも負けるな」というドラマ売り込みの狙いがあったようですし(そういう記事がちゃんと出てました)、どうもビジネスマン部分でもどこか、言い方は悪いけど「下心」を感じてしまうところがありました。
 冒頭、ファン・ボイ・チャウがベトナムを密出国する場面も、いきなりフランス軍が来てドンパチして大勢死んで、なぜか彼一人しっかり泳いで船に乗り込むというアクションにも白けましたし、その直後に日本の海岸に「漂着」して、東山紀之と武井咲の医師・看護婦に偶然助けられるという演出もわざとらしい(ぼんやり見てるとベトナムの海岸から日本の海岸にそのまま流れ着いたみたいだった)。東山紀之演じる医師が彼を個人的に支援したのは事実なんでしょうけど、ドラマとしてむやみにそこを強調しすぎるきらいもありました。
 で、この医師の友人に「偶然」大隈重信とか犬養毅とかがいるわけですよ。ファンは最初彼らに武器援助を求めますが、状況から言って絶対無理。もちろん断られることになるんですけど、調べてみると事実はもう少し込み入っていて、日本語のできないファンが頼ったのは清の変法改革に失敗して日本に亡命していた梁啓超だったり、より現実的な運動をしてるんです。梁啓超がまったく出てこないのはドラマが複雑になるからだと推察はできますが、やっぱり不自然なんですよね。
 その後フランスからの要請もあって日本政府が東遊運動を弾圧するのは事実ですが、それも映像的に分かりやす過ぎて…教室その他にいきなり乱入してきて大格闘、って場面がしょっちゅうあるんだけど、そういうやり方はしないだろ、と。しかもどの場面も終わってみるとどうということはなかったりするし。
 あと同時並行で語られる現代ドラマの部分もツッコミどころ満載で…う〜ん、ベトナムの方々の感性は分かりませんけど、これであちらの方々感動したりするんかいな?どうも作り手が「ほら、これって感動的だろ〜!」と思い込んで勝手に押し売りされた感想しかなかったんですよね。



#9441 
アジアのバカ大将 2013/09/30 12:37
中国は美人が多い

お久しぶりです。
中国のケーブルテレビは、全国の地方局をネットして
いるので、「宮廷の諍い女(原題「後宮・甄ケイ伝)」は、
現在も中国のどこかの地方局が必ず放送(再放送も)
しているのが見られます。ホテルでも同じです。
女優の皆さんが、絶世の美女ぞろいには驚きますね。
シンガポールの新聞で、次のような話を読んだこと
を思い出します。
中国広西チワン族自治区で毎年開く中国アセアン・
エクスポ(交易会)には、各国トップ(首相・
大統領)が開会式に出席します。
テープカットに続き、中国の美女軍団の
歌舞音曲が盛り上げます。
そこでの東南アジア首脳同士の会話、
「やっぱり中国には、かなわないな」
「なにが?」
「美人ぞろいだ」
「貴国にも、美人はいくらでもいるだろう」
「全員、同じくらい美人で、同じくらい長身で
同じくらい肌が白い。よくそろえたものだ。
こんなまねができるのは中国ぐらいだ」
なにしろ人口14億、4千年の歴史ですから、
美女が絶対数は絶対多いのです。




#9440 
つね 2013/09/30 00:56
ボイジャーの針

たしか針が積んであったはず、と調べたら、
英語版wikiで発見

http://en.wikipedia.org/wiki/Voyager_Golden_Record#Playback

に「stylus(レコード用の針)」があります。

NASAのサイトでは、レコードに積まれた音声が聞けます。

http://voyager.jpl.nasa.gov/spacecraft/goldenrec.html



#9439 
徹夜城(やっと史点を更新した管理人) 2013/09/26 23:42
各国歴史ドラマ鑑賞地獄も一息?

 どうも、こちら「史劇的な物見櫓」での更新はかなり久々です(汗)。途中まで書いてるのとか準備してるのとかはいろいろあるんですけどね、とりあえず書けたところで「史点」を。

 一方で中国・韓国の歴史ドラマ鑑賞地獄(録画HDDの残り容量の都合で嵐のように見なくちゃいけない)のほうはようやく片付いたり放送が終わったりしたのが出てきて一息ついてます。

 だいぶ前にここでちょこっと話題の出た中国ドラマ「クイーンズ・長安後宮の乱(原題「母儀天下」)」33話を見終えました。実は歴史予備知識ほとんどゼロで見始めまして(そもそも漢代は疎いです)、後半になってようやくこれが前漢の末期、まもなく王莽に簒奪される段階なんだと気づく始末で。知ってる人には常識なんでしょうけど主人公の王政君は王莽のおばさんなんですな。
 ただ王莽はちょこっと顔を出しただけで(老後の主人公が「この甥が漢朝を滅ぼすことになろうとは…」とナレーションしたりする)話は前漢の滅亡までいきません。王政君とライバルの女とのひとまずの決着が着くところでおしまいなんですが、歴史を調べてみるとこっからが盛り上がるところじゃないのか、ってところで終わっちゃうんですな。中国の歴史ドラマは全部撮っちゃってから放送するので(だからOPやEDにドラマの結末部分まで映ってしまってることが多い)別に打ち切りというわけでもないんでしょうが。
 このドラマには前半であの王昭君も主要キャラで登場してまして、こちらを主役にしたドラマも最近作られていて、先日近所のTSUTAYAを覗いたら全部置いてありました。しかし彼女を主役にしてどうやって大河ドラマにするんだ、と思っちゃうなぁ。

 雍正帝時代の後宮を描いた「宮廷の諍い女(原題「後宮・甄ケイ伝)」の方も今週でBSフジでの放送が終了。これは僕も近年になく乗せられてしまい、ほとんどリアルタイムで追いかけて見てました。
 いつもは歴史ドラマは史実関係は見終えてから調べる習慣なんですけど、これについては「そりゃいくらなんでもフィクションだろ」と思うところがあって、調べてみました。それで知って驚いたんですが、そもそもこのドラマの原作は架空の王朝の後宮(まぁ清朝を想定はしてるようですが)を舞台にしたまったくのフィクション、いわば架空歴史小説なんですね。それをドラマ版は雍正帝の時代に設定して史実とからめて作って見せたということのようです。
 やたら展開が劇的で面白いのはそのせいか、と思い知らされましたが、逆にいかにも本物っぽく作ってるというところが凄い。

 このほかに見てるのが韓国の「武人時代」。ちょうど日本では平氏政権が出来るころにあちらでも武人たちが政権を奪取、激しい権力闘争ののちに「幕府」みたいな崔氏政権が確立されるまでを描いた作品で、全158話の長丁場のうち現在ようやく68話(汗)。それにしても韓国歴史ドラマもおんなじ俳優さんが繰り返し繰り返し出てきますな。

 これとは別に「朱元璋」のドラマもチビチビ鑑賞してまして、こないだ見たところで群雄の一人陳友諒との決戦でした。三国演義の赤壁の戦いの描写の元ネタとも言われる戦いなんですが、予算のせいかミニチュア特撮バレバレの海戦シーンなのが残念(人形劇三国志みたいでした)。
 その回で一人で家出して「父王〜!」と戦場にいる朱元璋パパのところへやってきちゃった幼い男の子が朱テイくん。そう、のちの永楽帝なんであります。お父さんにたしなめられても「早く戦場に出たい!」とはしゃぐその姿は微笑ましいものが。もちろん後年のことを念頭に置いた描写なんでしょうけどね。
 ところで中国語版wikipediaでは近年の中国製歴史ドラマが一覧できるのですが、ホントに毎年各地方の放送局で古代から現代までまさに作りまくってるんですな。同じ年に企画がぶつかってるケースまである。こりゃ「歴史映像名画座」管理人としても追いかけるのが大変だ、と思うばかりでした。


>バラージさん
「曹操」は以前にも作られてたような気がしますが、なんか最近また作ったのかな?三国志ものは最近「三国」が作られてますが、銘々伝的なのは「諸葛亮」「関公」と「曹操」ぐらいかもしれません(映画だと趙雲主役の変なのがありましたが…)。
さすがに八百屋お七までは追いかける気力がないなぁ(^^;)。新解釈ものらしいですけど。



#9438 
バラージ 2013/09/23 00:49
源範頼、八百屋お七、曹操

 先日、何かの雑誌を読んでて、たまたま広告がかっこよくて目に止まったんですが、鎌倉時代初期を舞台とした『鉈切り丸』というV6の森田剛主演の舞台が大阪・東京で10月に始まるそうです。シェークスピアの『リチャード三世』の翻案作品で、主人公は源範頼だとか。
 実は僕はこの源範頼という人物になぜか昔から惹かれるところがありまして。頼朝と義経という大スターに挟まれた影の薄い人物なんですが、なぜか気になる。古典『平家物語』でもひどい扱われようで、大河ドラマでも『新・平家物語』(総集編)や『炎立つ』や去年の『平清盛』には登場せず、『草燃える』(総集編)でもわずか1シーンのみの登場という不遇さ。唯一、『義経』では出番が多かったようですが(『源義経』は未見)。
 そんな源範頼が主人公の作品なんて非常に珍しいんですごく興味がありますが、東京や大阪まではさすがに観に行けません。まぁ、それ以前に僕は舞台というものを観に行ったことがほとんどありませんが……。興味がおありの方は見にいらしてはいかがでしょうか。あくまで『リチャード三世』の翻案なので、歴史上の源範頼が描かれてるわけではないでしょうけど。

 復活したNHK木曜時代劇『あさきゆめみし 八百屋お七異聞』が始まりました。第1話を観たのですが、やはり地上波時代劇はBS時代劇と比べて予算がかかっているだけあって、格段に出来がいいですね。BS時代劇にあったチープさがありません。復活作とあってスタッフも相当気合いが入っているのではないでしょうか。八百屋お七は史実はほとんど不明の人物なので歴史ものとは言いがたいのですが、ドラマとしてはなかなかよく出来てて今後が楽しみな作品です。

 そして、最近レンタル店で『曹操』という新しい中国ドラマのDVDがレンタル開始されてるのを発見。中国や韓国の連続ドラマって長くて敬遠してたんですが、曹操は三国志の中でも一二を争う好きな人物だし、パッケージ裏のあらすじを読んだらいかにも僕好みの展開で面白そう。借りて観ようか迷う迷う迷う……。



#9437 
黒駒 2013/09/13 22:43
続、歴史とは何か

鉄道はメカ的要素をはじめ歴史・地理・政治・経済など多様な要素を含んでいるジャンルなのでしょうね。一口に鉄道ファンと言っても鉄道のどこに関心を持っているのかは多様な気がしますし、鉄道には興味あるけど近代史にはさほど、という人も多いような気がします。

私も子供の頃は鉄道好きだったような気がするのですが、青春の一部を費やすような熱中はどういうわけかありませんでした。もっとも私は遅咲きで30過ぎくらいから興味が出てきた分野も幾つかあるので、これから関心を持つ可能性もあるかもしれませんが。

ところで先の「歴史とは何か」の話題ですが、しばらく前に「清盛」視聴後の復習として読んだ岡野友彦「院政とは何だったか」が面白かったですね。

同書はタイトルと内容がやや異なり、院政の経済的基盤となった荘園制度に関する研究史を一般に紹介したものなのですが、石母田正氏であるとか、黒田俊雄氏の「権門体制」論などを、荘園制の研究史において、どうしてそういう説が出てきたのかの歴史的背景などを説明していました。

今や、かつて世の中には冷戦体制というものがあったということすら説明しないといけない時代になってきたのですが、かつて歴史学においてはマルクス主義歴史学が支配的であり、中世史研究においても権門体制論など研究史の動向が「現代史」と連動していることを示されたあたりは、興味深く読みました。

私も何となくポスト冷戦時代の現代の歴史学は純粋に実証主義的であろうと思い込んでいるのではないかと思うのですが、未来から見れば現代の歴史観すらやはり同時代の現代史に影響を受けたものに見えるのではないだろうかと思えますね。



#9436 
徹夜城(史点を書かないうちにどんどん変化する事態に焦る管理人) 2013/09/10 23:27
東京オリンピックとくれば、

…こりゃそのうち大阪万博をまたやるんじゃないか。そうなると「アキラ」の次は「20世紀少年」の世界か。どっちにしてもなんだか暗くて怖い未来です(笑)。そーいえばスカイツリーだって、「新東京タワー」なんですしねぇ。
 まー、個人的には東京推しでもなく、これまで一回もやってない国であり立候補回数もかなりの数になるイスタンブールでやるのがバランス的にいいな、と思ってたんですけどね。

 ところでイスタンブールといえば、かつてのコンスタンティノープルであるわけですが、youtubeでこんなトルコ映画の予告編を見つけました。
 「Fetih 1543」
http://www.youtube.com/watch?v=5HoR9_VdAXc

 コンスタンティノープル陥落をそのまんま題材にした映画。予告編だけでもなかなか凄いです。確信はないのですけど、もしかするとこれってオリンピック招致とタイアップしてたりしないでしょうか。なんか予告編のラストで「かくてイスタンブールは生まれた」とか言ってるような気がするもんで。
 しかしこういうのが日本に上陸することはまずなさそうな…youtubeその他、ネット上の動画サイトいろいろまわってると、世界中に日本未上陸の「歴史映像ネタ」がごろごろあって、非常に悔しい思いをするんですよね。中東で大人気というトルコの「大奥もの」ドラマもアップされてるの見つけちゃいましたし。


>バラージさん
ああ、「神弓」はチラシだけ劇場で見てまして…ついつい忘れてた。機会があったら見逃さないようにしておきます。
「里見八犬伝」は、昔の角川映画くらいしか見てないです(汗)。あれはそもそも翻案企画ですしねぇ。TBS版はいまだに見てません。

>ひでさん
大友克洋はともかく、北野武にやらせるという冗談をどっかの虚構サイトでやってましたが、あながちこれは冗談にならない気もします。ま、いっそのこと開会式を延々アニメと特撮ばかり流すというのもお国柄の反映としていいかもしれません(笑)。
宮崎駿さんはアニメしかやらないでしょうねぇ…高畑勲さんはドキュメンタリーをやったことがあるはずですが、オリンピックみたいな企画を引き受けそうにない。
 かつての東京オリンピックの記録映画は市川崑が監督したものがオリンピック記録映画の中でも傑作(問題作?)とされていますが、あれも当初は黒澤明に話がいっていて、黒澤監督も100m走をスローモーションで一刻一刻を徹底して追いかける撮影法なんかを構想していたことはあるそうです。
 市川崑のはマラソンの場面で、勝負なんかもう捨てた選手たちが給水所で見せるあれこれの行動がユーモラスで面白かったのを一番よく覚えています。



#9435 
ひで 2013/09/08 21:51
7年後のことを言うと鬼はどうなる?

朝、目覚めてテレビをつけたら、東京が2020年オリンピック開催地になったと言うお知らせが。人それぞれで思う事は色々あるかと思いますが、開催することが決まった以上、いろいろなことをちゃんとやってねといったところですかねえ。

ネット上では大友克洋の「AKIRA」がなんか話題になっていてなんでだろうとおもったら、あの漫画の世界では2020年に東京オリンピックが開催されることになっているそうで。漫画の世界に現実が追いついたようです。社会の様子まで同じようになったりはしないよなあ…。

あ、開会式と閉会式はかっこよくしてもらいたい(ここが結構心配です。大友克洋になんかやってもらうか)。それと記録映画はこの前引退宣言したあの人にでも作ってもらうというのはどうでしょう(実写じゃなくなる確率が高いですが…)。


http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9434 
バラージ 2013/09/08 12:51
室町時代劇映画と韓国弓矢アクション映画

 最近観た歴史関連の映画をいくつかご紹介。
 まずは室町時代が舞台という珍しい時代劇を2本。

『TAJOMARU』
 てっきり芥川の『藪の中』の映画化だと思ってたんですが、たまたまレンタル店でパッケージ裏を読んだら全然違うあらすじ。珍しい室町時代を舞台とした時代劇と知って、借りて観てみたらタイトルロールにも「芥川龍之介『藪の中』より」とあるんですが、主人公の名前の多襄丸が同じというくらいで全然別のお話でした。あえて言えば主人公と恋人が森の中で老多襄丸に襲われるシーンと、主人公がお白州で取り調べを受けるシーンが、『藪の中』というよりも映画『羅生門』に絵的に似てるというくらいです(シチュエーションは全然違いますが)。そもそも時代が平安から室町に変わっちゃってるんですが、脚本が大河ドラマ『花の乱』の市川新一ですし、『花の乱』と同じ時代に無理矢理変えちゃったんではなかろうか(笑)。映画自体は話に少々無理がありましたが、まあまあ面白かったです。脇役で将軍足利義政が出てくる(他に畠山政長と細川勝元も名前だけ出てくる)ものの、史実とはほとんど関係なし。

『里見八犬伝』
 2006年にTBSが放送した2時間×2夜のスペシャル時代劇。原典は読んだことがないのでどこまで忠実かはわからないんですが、ドラマとしてはなかなか面白かったです。なんとテレビドラマにもかかわらず中国ロケ(舞台自体は当然日本)を敢行するという力の入れようで、お金のかかったスペクタクルになっており、豪華キャストも相まってなかなか見ごたえがありました。実在の人物では、里見義実、古河公方足利成氏、関東管領扇谷定正(上杉定正。史実では関東管領になったことはない)が出てきますが、やっぱり史実とはあんまり関係ありません。
 なお、このドラマは時代的には室町のはずなんですが、ナレーションでは「戦国」と言ってます。いちおう歴史学でも関東は1454年の享徳の乱からすでに戦国時代に突入したという説が一部にあるようなんですが(一般には1467年の応仁の乱からという認識ですが、近年の歴史学では1493年の明応の政変からという説が有力)、この場合は単に室町より戦国のほうがメジャーだからって理由でしょう(笑)。

 次に韓国アクション時代劇。

『神弓 KAMIYUMI』
 17世紀前半の清の李氏朝鮮侵入(丙子の乱)を背景とした韓国の時代劇アクション映画。いや〜、面白かった。史実は背景だけで、実在の人物は出てこないしストーリーもフィクションなんですが、非常によくできてました。観る前はもっととんでもなく荒唐無稽だったり、妙に愛国的な映画なんじゃないかという不安があったんですが、全くの杞憂。主人公は徹頭徹尾妹を救うために戦ってるだけだし、清は完全な悪役ではありますがカッコよく描かれてます。何よりもチャンバラじゃなく弓矢アクションってのが新鮮で面白かった。これはおすすめです。あと、主人公の妹役の女優ムン・チェウォンが可愛かった(笑)。

 そういえばちょっと前に『私は王である!』という世宗が主人公の韓国映画も映画館でやってました。内容はコメディ・タッチの「王子と乞食」といった感じのようで、いまいち好みではなかったので、観には行きませんでしたが。

 そういえば、この間、映画『竹取物語』について書いたら、なんと高畑勲監督の最新作が『かぐや姫の物語』だそうで、期待半分不安半分……。



#9433 
つね 2013/09/08 04:43
鉄オタについて

あまり歴史関係ではないのではばかるのですが、思い出した話を。
私自身はほとんど興味がないのですが、ドラえもんでのび太の「SLの男性的なエネルギッシュなところがいい」という発言に対し、ドラえもんが「自分にはないところに魅力を見出すものだから」と返して怒らせるというエピソードがあったのを思い出します(結末は忘れてますが)。
実際の鉄オタはどうなんでしょうか。あまりマッチョマンはいないような気がしますが、私の偏見かな。まあマッチョマンは別の趣味を持っているとも言えますが。

あと、友人が新幹線に乗っていて携帯に電話がかかってきてデッキに出たら、車内放送を録音しているオタクがいて、「こんなところで話をするな」みたいな目で見られたとか。

私の上司は廃線オタだったりします。



#9432 
徹夜城(一応鉄道ファンの管理人) 2013/09/07 20:58
鉄道の魅力と歴史ばなしと

>黒駒さん
 ちとレスが遅れてしまいましたが、鉄道の魅力につきまして、軽度の鉄オタの立場からコメントを(笑)。
 鉄道の魅力、というのはいろいろな面が挙げられるのですが、まず多いのは「メカ」としての面白さだと僕は思ってます。こういうところは、それこそ宮崎駿さんもそうなわけですが兵器オタクに通じるものもあるかと。人間が作り、動かす巨大メカの一種としての魅力はやはり大きいと思うのです。
 さらに一歩進めると、その鉄道を運営するシステム自体も興味の対象になってきます。これなんかは戦略戦術マニアに近いのかも(笑)。また列車に乗ること自体の魅力(旅好きとも重なりますが)というのもありましょう。

 僕自身小さいころから自覚的に鉄道好きでして、もう記憶のない幼少時、当時本数の少なかった常磐線の線路わきでなかなか電車が来ないとわめいて親を困らせていたと聞いています(笑)。ただマニア度に関して言うとかなり軽度な方でして、車両形式がどうのとかいうのは苦手で、旅情を楽しむタイプなんだと思ってます。それでも先日、東武野田線にウン十年ぶりに導入された新車60000系にようやく乗れて有頂天になって写真を撮ったりしてるわけですが(笑)。

 さて、鉄道というのも歴史とはずいぶん結びつきがありまして、近代天皇の研究者でもある原武史先生みたいに鉄道オタク全開の雑学本を出している方もいらっしゃいます。この人の著書ではありませんが、最近「鉄道と国家」という、政治と鉄道の関係を扱った新書本を図書館から借りてきてなかなか面白く読んでおります。

 いまふと思い出した鉄道と歴史の小ネタをひとつ挙げますと、「日本初の女性専用車を実現させたのは乃木希典」なんてのがあります(笑)。
 当時、東京の中央線(確か)では華族など良家の令嬢たちが列車に乗ってくると、ラブレターを渡そうとする男子学生どもがいたため、その対策として学習院関係者が提案し、乃木希典が音頭をとって実現した、という経緯があったそうなんです。乃木の名前がこんなところに出てくるのも面白いですが、明治の若者たちにもそんな光景があったというのがまた面白いところです。



#9431 
黒駒 2013/09/03 23:17
鉄道の魅力について

もう会期は終わってしまったのですが、私の地元の博物館でこの夏の企画展は「鉄道」だったのですよね。夏季企画展は夏休み中の子どもが主要な客層ということもあって「おもちゃ」とか「昆虫」など子供向けの企画展が組まれるのですが、今年は「鉄道」だったわけです。

地元の近代史と、特に明治期に鉄道建設と関わった著名な実業家と交えて鉄道の歴史を紹介していたのですが、いちおう見に行きました。子供向けの趣向として鉄道模型を走らせたりして賑やかだったのですが、中には鉄道ファンらしき客も目につきました。

私はまったくの鉄道ファンではなくて、どちらかと言えば近代史のほうの関心で見に行ってきたのですが、鉄道の魅力って一体何でしょう?私もまったく理解できないわけでもなくてわかるような気もするのですが、熱中して趣味になるほどにはとてもいきません。

近代史と絡めた鉄道の歴史なら関心はあるのですが、鉄道そのものの魅力って一体どういうものなのでしょうか。



#9430 
バラージ 2013/08/27 00:14
風立ちぬ、少年H

 映画『風立ちぬ』と『少年H』を観ました。以下、ネタバレが含まれます。

 宮崎駿の新作のタイトルが『風立ちぬ』と初めに聞いたときは「宮崎駿が堀辰雄を?」と不思議だったんですが、零戦を開発した堀越二郎という人の人生とごっちゃにしたフィクション映画だと後に知りました。ヒロインの「菜穂子」という名前も堀辰雄の別の小説のタイトルから取ったそうです。
 大震災・不況・右傾化など、明らかに「あの時代」と「今の時代」を重ねた映画でしたね。宮崎映画で男性が主人公なのは『紅の豚』以来でしょうか?(『もののけ姫』も男性が主人公ですが、タイトル通りもののけ姫のほうが目立ってましたし) しかも『ラピュタ』は少年、『紅の豚』は中年が主人公でしたから、青年を主人公とした映画は初めてなのでは? 栄耀映画掲示板にも書きましたが、僕は宮崎アニメのヒロインがちょっと苦手なところがあったんですが、この映画の菜穂子はそういうところが全くありませんでした。美しいもの(女性・恋愛)の退場と入れ替わるように、醜いもの(戦争)が登場し、次郎のつくりだした美しいもの(飛行機)も醜いものに奉仕する存在へと堕していく。この終幕の流れが象徴的でしたね。いい映画でした。

 『少年H』も良かったです。後になってからよくよく考えてみると、わりとベタなエピソードも多い映画でしたが、全体的な完成度が高く、観ていて引き込まれました。思わず笑っちゃうシーンやウルッとくるシーンもあり、自分があの時代に生まれていたら、生きていたらどうしたか? どうできたか?なんてことを考えさせられました。モスクワ映画祭で特別作品賞を受賞したそうです。
 戦争前を描いた『風立ちぬ』に対してこちらは戦争中を描いた映画なんですが、実はこの映画、恋愛エピソードが全くないどころか、年ごろの女性が全く出てこないんですよね。観たのはこちらが先でしたが、『風立ちぬ』の「美しいもの(女性・恋愛)の退場と入れ替わるように、醜いもの(戦争)が登場する」構成との符合を感じたりしました。

 というわけで、どちらもいい映画でした。おすすめです。



#9429 
五葉 2013/08/23 22:14
私も読みました

E.H.カーの「歴史とは何か」、院生時代に読んだことがあります。難しいという印象が先行して内容はよく覚えてないのですが、「歴史とは過去と現在の対話」という言葉だけは覚えています。昨今の世間を見ていて思うのは、(勿論、例の漫画の閲覧制限に関してのことですが)時代が新しくなればなるほど史料もよく残っているし、当事者・関係者がいらっしゃることも多いので、特に多様な見方がでてきやすいし、それで良いのではないかということ。それをいろいろ理屈つけて情報を制限して、無理やり一つにしようとするのはどうなんでしょうね。私は子どもたちにこそ「過去と現在の対話」を沢山してほしいです。その時に邪魔をするのではなく、力を貸せる大人になりたいな。



#9428 
黒駒 2013/08/19 23:46
E・H・カーのこと

E・H・カーは読んだことはないのですが、戦前生まれで戦後に憲政資料室でお仕事をされていたさる近代史の研究者さんが著書で触れていたのですが、当時(60年代くらいでしょうか)職員サークルよく読まれたそうで、勉強会の題材になっていたそうです。

歴史は史料の解釈の多様性があることから多方向からの見方が可能で、だからこそ面倒な論争も起きてしまうのでしょうけど、面白いのだと思っています。考えても見れば南北朝や戦国を含む日本の中世史は適度に文書や記録が残っていて、適度に全体像が掴めそうで掴めないのが中世社会であり、戦国大名権力の特質みたいな長年続いている論争もあって、面白い世界だと思います。



#9427 
徹夜城(あっという間に盆休みが過ぎて行った管理人) 2013/08/18 23:21
更新ラッシュとはなかなかいかない

気が付いたらもう仕事が再開しております…なかなか更新立て続けとはいけませんね。

>歴史映像名画座日本古代史編
「古事記」1300年で映像企画が何にもない、というのは言われてみれば(僕も失念してましたが)残念な話ではありますね。
実は大河ドラマで「古事記」が実現寸前まで行ったことがあるそうです。時期ははっきりとは分かりませんが、市川森一が脚本を担当し、脚本じたいはほとんどできていたと言われています。いざとなったらNHKがしり込みしちゃったかな。市川森一の脚本は数年前にラジオで再利用されていたはずです。

 すでに話題が出てますが、大河ドラマは今のところ最古の時代は平安中期、平将門の乱なのですよね。一応「炎立つ」でアテルイと坂上田村麻呂の戦いの様子が映像化されてますが…企画自体は何度かあがってるんじゃないかと思うんですが、古代史もの大河は期待はされつつなかなか実現しません。この点では時代を幅広く扱う中国や韓国の歴史ドラマの方がうらやましいのですよねぇ。


>歴史とはなんぞや
「歴史とはなんぞや」というズバリの本があって「史学を志す者は必読」ということになってるらしいですが、僕はいまだに読んでないんです(汗)。
E=H=カーの「歴史とは何か」もこのテーマの古典的存在。僕が入った大学の史学科では「入試前に必読」と赤本に書かれていましたが、僕は結局入学後に読みました。
カーの有名なセリフが「歴史とは、過去と現在との対話である」。いろんな読みとり方ができますが、歴史とは何か、という質問に対する一つの端的な回答ではあるでしょう。カーの観点では歴史を見る者自身もまたその時代に規定される「歴史的存在」であるわけで、その条件・立場によって歴史の見方もまた変わってくる。だいたい僕らだって自分の目で見ている現在進行形の「歴史」を把握することはなかなか困難です。
 こうなると歴史というのはなかなか一つの型に固定できるものではなくなってきますので、下手すると「なんでもアリ」になりかねないのですが、史料が証拠となり、「こういうことがあった」と認識する材料にはなって、納得できる歴史観というものができるわけです。それだってもちろん一つの「真相」にたどりつくとは限りませんが。
 僕なんかは歴史というのは、人間個人が自分のこれまでの経験・経歴をふりかえるように、さまざまな人間集団が「いま、どういう経緯で今があるのか、かつて何があったのか」とふりかえるものなんだ、とまぁ、そんなアバウトな説明をしています。


>終戦のエンペラーとか、風立ちぬとか
 僕もこの二本を立て続けに見てきました。「終戦のエンペラー」はポツダム宣言受諾の日、「風立ちぬ」は玉音放送の日に。
 「終戦のエンペラー」については僕もバラージさんとだいたい同じ感想です。映画的にはタイトルに「エンペラー」(原題)とあるくせになかなか当人が登場せず、その責任を追及してたらいまわしにされてるうちによくわからんなくなっちゃって(笑)、やっと当人が登場したらイメージに反してチンチクリンの人のよさそうな小男が出てきて、なーんだ、ってな終わり方になっちゃう…と乱暴にまとめるとそういう印象でした。
 戦争をした者同士の和解を描くのに男女恋愛をもってくるのは定番すぎちゃいますし、正直あまりうまくいってるとは思えない。まさに欧米人が思い描く日本女性の定番に見えちゃいました。
 あと、やっぱり昭和天皇を「終戦」の立役者として持ちあげすぎだと思いますねぇ。「宮城事件」もえらく派手なドンパチ・爆発描写で、大げさに見せることで昭和天皇をますます持ち上げる効果になってます。「日本のいちばん長い日」ぐらい見ておけよ、と。

 「風立ちぬ」は…事前に聞いてはいましたが、あくまで「フィクション」と気をつけなくちゃいけませんね。「泣ける」部分はそのフィクション部分(厳密には他の人の体験がベース)なので余計にそう思いました。ちとずるいなぁ、と。ただ映画としてまとまりはよく、僕も不覚にもラストは涙腺に来ました。
 ただ、その「時代」はよく出ていると思うんです。直接的な描き方ではないけど、節々に明治〜昭和の日本(ドイツもある)の「時代」が実によく描きこまれてます。
 内容的にはどうみても大人のドラマで、僕が行った映画館も親子連れがどうしても多かったのですが、ちっちゃい子供たちはあきらかに退屈してバタバタ騒いだりしてましたなぁ…



#9426 
バラージ 2013/08/18 08:23
終戦のエンペラー

 先日、僕も観てきました。以下に感想を。多少のネタバレになります。

 歴史的な部分について特に目新しいところはなく、後ろ姿や身体の一部ばかりでなかなか姿を現さない昭和天皇や、天皇を免責(というか免罪というか)する理屈など、妙に日本のドラマや映画でよく見るような描写だなぁと思ったら、原作も日本人の書いたノンフィクションだったんですね。企画とプロデューサーが日本人(『ラスト・サムライ』や『SAYURI』のキャスティングもした奈良橋陽子さんという人)だということは知ってたんですが、日本の資本が入ってないため名目上はアメリカ映画(脚本がアメリカ人、監督がイギリス人)とはいえ、実質的には日本主導の日米合作映画と言ってもいいように思います。フェラーズ准将というマイナーな人物が主人公なのは目新しいですがただそれだけで、全体的には新味のない陳腐な話。いろんな配慮をした結果、無難で薄〜い平凡な作品になっちゃったという感じの映画でした。
 ちなみに、この辺の史実に関しては、吉田裕『昭和天皇の終戦史』(岩波新書)がくわしいのでおすすめです。

 フィクションのドラマ部分に目を転じると、勘違い日本描写が非常に少ないところは特筆されるべきかと思います(それでも若干の違和感は感じますが)。ただ、架空の人物であるヒロインの造形が米国人の抱く(もしくは好む)日本人女性像(奥ゆかしい大和撫子、みたいな)の範囲内に収まっていたり、これまた架空の人物である、フェラーズの日本人通訳兼運転手が従順な執事のような描かれ方だったりと、勘違い日本でない範囲での日本人の類型化は相変わらず。フィクションの恋愛エピソード導入に批判的な見方もあるようですが、僕はそれ自体は別にかまわないと思うんです。ただ前述のとおりの類型的な日本女性のヒロインに全く魅力が感じられないのが痛い……。

 というわけで、全体的に特筆すべきところのない、印象の薄い映画でした。戦争関連の映画では『風立ちぬ』と『少年H』も観ようかなと思いつつ、まだ観てません。



#9425 
黒駒 2013/08/16 22:14
歴史とは何か

いわゆる歴史認識問題の世界における「歴史」というのはそれぞれの立場の政治的事情から生じる歴史館ですから、実証主義歴史学と同じようにはいかないものですね。実証主義歴史学の成果すら政治的に利用されてしまうのは、ちょっと哀しいものです。

歴史はどうしても解釈の幅が生じてしまうものですね。だから面白い世界だとも思うのですが、史料の限界というものがあって、私は文書を読めませんけどプロの歴史研究者の人でも文書の内容の大意はつかめても、細かい点でどうしても理解できない字句があったり当事者でないとわからない表現があったり、あるいは解釈の幅がある表現があったりするものですから、歴史についての見方は人によって異なってしまうのだろうと思います。



#9424 
サヤ・オリノ 2013/08/15 14:40
歴史とは何ぞや

御無沙汰してます。サヤ・オリノです。
今日が8月15日だからってわけじゃないですが、
皆さんにお伺いしたいことがあります。
歴史って、一体どういうシロモノなのでしょう?
何故同じ「歴史上の」ある事柄についての見方が
人や集団によって、こうもメチャクチャ違うのでしょうか?
それと、「歴史とは錬金術である」といった御仁がいらっしゃるそうですが、
どなたですか、こうも正しいけれど救いのない言葉を仰ったのは。



#9423 
黒駒 2013/08/14 08:56
>バラージさん

そうでしたね。将門をやっていました。書き込み後に気づきました(修正できないので)。いずれにしても大河で本格的に古代史を扱ったことは極めて少ないですね。将門も聞けば最初は加藤清正の企画であったのが朝鮮出兵がネックになって企画が変わってしまったと聞きますし。



#9422 
バラージ 2013/08/13 21:52
大河は

>黒駒さん

『風と雲と虹と』もありますよ。



#9421 
黒駒 2013/08/13 14:22
神話・古代史編

最近は国文学という分野に興味を持っていたのですが、上代文学に関しては古くから研究史の厚みがあるようですが、古代史に関しては推測の上に推測を重ねる論になりがちなので、ちょっと実証性のある学問であるのか、ちょっと気になる分野でありました。

今年は古事記編纂1300周年だそうですけど、映画の一本も企画されないのはちょっと寂しいですね。大河では「炎立つ」が唯一の作品なのですね。「清盛」はメインの時代が平安末期ということでぎりぎり古代史の範疇なのかもしれませんけど。

そういえば、見たことは無いのですが杉井ギサブローのアニメで『源氏物語』がありましたよね。



#9420 
バラージ 2013/08/12 23:51
かぐや姫

 リニューアルご苦労様でございます。日本史・神話〜平安編では、『火の鳥 鳳凰編』『火怨・北の英雄 アテルイ伝』『竹取物語』『羅生門』『炎立つ』は観ました(『炎立つ』は途中まで)。『竹取物語』以外は以前にここか栄耀映画掲示板に感想を書いてるんで割愛。
 昔テレビ放送で観たのをうっかり忘れてた『竹取物語』は、う〜ん、なんかちょっとねぇ……。かぐや姫に求婚する男が3人に減らされたのはまだしも、かぐや姫がそのうちの1人をひそかに好きだったなんて、それじゃかぐや姫がただの俗な女になっちゃう。恋愛を超越した存在ってのは、かぐや姫のかなり本質的な部分の1つだと思うんですよね。恋愛をするかぐや姫なんて、かぐや姫じゃない!と言ってもいいくらいで。僕はそこでがっかりして観るのをやめちゃったんで、有名なラストシーンは見ていません(笑)。

 以下の作品は観ていないけど、一言コメント。
『ヤマトタケル』……公開当時、真っ先に思ったのは「なんでヤマトタケル?」ってこと。怪獣映画とは違う路線の子供向け特撮映画を狙ったんだろうけど、ヒーローもの(最後に巨大ロボに乗るのはヒーローもののお約束)とヤマトタケルってミスマッチ感が半端ないです。
『額田女王』……ひょっとしたら映像が現存しないのでは? 年代的に、NHK大河ドラマもこの頃から全話現存し始めますし。仮に現存したとしても、昔のドラマですからビデオ化されなかったのは不思議じゃないし、DVD化もされないでしょう。時代劇専門チャンネルで放送されるかどうかというあたりかと。
・陰陽師(安倍晴明)……映画公開の前後は安倍晴明ブームで、NHKとフジテレビで連続ドラマも放送されてました。NHKのほうは映画と同じ原作でタイトルも同じ。主演は稲垣吾郎。フジテレビのほうは『陰陽師・安倍晴明 王都妖奇譚』というタイトルでマンガが原作。主演は三上博史。どっちもビデオは出てたけどDVDは出てるのかなあ?
・源氏物語……1番新しい『源氏物語 千年の謎』という生田斗真主演の映画がDVDにもなっておりますが、原作は高山由紀子の同名小説で源氏物語そのものではないとのこと。作者パートと作品パートが交互に描かれるのは『千年の恋』といっしょで、なぜか安倍晴明も出てくるらしい。



#9419 
徹夜城(やっと盆休みに入った管理人) 2013/08/11 22:35
更新ラッシュといきたいですねぇ

 やっと夏期講習も中休みに入りまして、さっそく先ほど更新作業第一弾として「歴史映像名画座」をいじりました。
 基本的に「日本史・神話〜平安時代」部分のリニューアルでして、追加作品はあまりないんですが、「わんぱく王子の大蛇退治」「火の鳥・黎明編/太陽編」(TVアニメ版)および「源氏物語」2本を追加してあります。あと、可能な限りデータ充実・修正をほどこしました。
 この作業のために、これまで怖さのあまり見てなかった「千年の恋」を見たんですが…なるほど、ツッコミどころの多い映画でしたが、酷評をさんざ聞かされたあとのせいかそれほど悪くもないんじゃないかな、と。松田聖子の乱入歌さえなければ(笑)。
 今後もじわじわとリニューアルを進めてまいります。


>りんさん
 はじめまして。元史学科同士ということで、今後ともよろしくお願いします。このサイト、趣味に走ったもので僕自身の史学科での専門分野はほったらかしになってしまっておりますが(汗)。
 ご紹介の小説と映画、どちらも残念ながら未読・未見で…「アギーレ」の方はタイトルだけは知っていた、というだけで、白状しますと歴史ネタとは知りませんでした。南米関係はまだまだ少ないので、早く見ておきたいです。南米といえば「エビータ」も見ておこうと思いつつそのまんまになってるなぁ…

>黒駒さん
 「南北朝列伝」を書くためにいろんな南北朝本を集めてるんですが、史料充実度で凄いのは角川文庫の岡見正雄校注の「太平記」(現在絶版)なんです。あくまで「古典文学」の枠で出たものですが、その補注に膨大な量の原資料を載せていて、文学よりも史学に益ありなんですね。残念ながら全体の半分もいかないところで未完になってしまっているのですが…。新潮古典文学大系の欄外注もかなり詳しいのですけど、角川文庫版にはかなわない。これひとつとっても「太平記」って文学と史学の両面からのアプローチが必須のものであるようです。



#9418 
黒駒 2013/08/09 22:34
歴史と文学と

甲斐武田研究で近年のエポックとして酒井憲二氏による『甲陽軍鑑』の再評価という出来事があったのですが、酒井氏は歴史学者でなく、「国語学者」なのですよね。氏の論考は言語的特徴や諸本の書誌学的研究から『甲陽軍鑑』を再評価するという試みであって、歴史学よりも国文学に近い研究でした。

わたしは国文学は歴史よりもさらに疎いのですが、歴史はしばしば、『太平記』もそうですが『三国志』など歴史と文学と両方に帰属している分野があって、歴史だけだけでなく文学史の知識も必要になってくることがありますね。

南北朝期では中核たる『太平記』研究がおそらく歴史と国文と両方のアプローチから研究史が積み重ねられているものだと思いますし、鎌倉後期から室町に至る歌壇史という世界も重要である気がします。

近年は中公新書で国文学者の小川剛生氏が足利義満の評伝を書いたなんて出来事がありましたが、やっぱり南北朝研究も歴史と国文と両方の知識が必要なのでしょうか。



#9417 
りん 2013/08/07 01:05
初めまして。

初めまして。かなーり昔、史学専攻学生だった者です。ふらふらしていたら
たどり着きました。
ちょっと昔の作品ですが皆川博子さんという作家さんの「妖桜記」という本が
南北朝してます。完全歴史もの!という訳ではないのですが、なかなか面白いです。
女子、強いです・・・。

あと、南米関係映画で「アギーレー神の怒りー」という映画があります。エルドラド
ものなのに、何故かドイツ映画。一応、史実にそっています。オテロ= シルバという
ベネズエラ作家が同じアギーレを題材に「自由の王」という作品を出しています。

両方とも好きなのですが、マニアックで周囲に話してもわかってくれる人がいないもので
つい書き込んでしまいました。スミマセン・・・。



#9416 
徹夜城(専門が海のヤクザなので参考にヤクザ映画を見はじめた管理人) 2013/08/03 01:10
「仁義なき」ばなし

 ついつい僕も「仁義〜」と略してしまうのですが、タイトルは「仁義なき戦い」であって、本来「仁義」なるものを否定してる作品なんですよね。この名前をつけたのは原作が連載された週刊サンケイの記者だったそうですが、元になる手記を書いた美能幸三(映画の菅原文太演じる「広能」のモデル)本人は「仁義」の存在を信じており、そのタイトルに不満を抱いたと聞いています。しかし内容はやっぱり「仁義なき」世界なんですけど(笑)。

 歴史話かどうか怪しくなってきますが、ついついレスしちゃいますと。
 第一作の広島駅ホームでの襲撃シーン。これは駅の許可をとらないゲリラ撮影で、さっさと撮って逃げた(笑)という伝説のシーンです。そのゲリラ撮影がどこの駅で行われたのか、僕も明記されたものを見てないんです。ウィキペディアを見ますと「広島駅」と書いてありましたが他の人が「京都駅山陰本線ホームでは?」と付け加えてますね。
 広島での撮影が実際にあったのは第二部からと聞いてますので、やっぱり京都駅で撮ってごまかしてるんじゃないかなぁ、と。映画のラストに原爆ドームが映るのも第二部からで、撮影担当の吉田貞次さんが監督から「広島らしいものを撮ってきて」と言われ、「暴力というのはゆきつくところここまで行ってしまう」という思いを込めて原爆ドームを撮影したと証言しています。第三部「代理戦争」のラストの使い方なんて物凄くそのテーマが出てますよね。

 「完結編」と銘打たれた第五部の冒頭、政治団体に模様替えしたヤクザ達が「反核」「永久平和」「福祉国家建設」なんて横断幕を掲げてデモ行進する場面がありますが、実際にあんなことをしたのかは不明。映画では「昭和40年8月6日」と出るんでやはり原爆の日のデモ行進ということのようですけどね。事務所に「暴力一掃」なんて掲げてあるのが笑えますが(笑)。
 抗争を繰り広げて警察や市民に睨まれた広島ヤクザたちが生き残りを図って大合同し「共政会」という政治結社(映画では「天政会」)を作ったのは事実で、それがまた新たな抗争の火種になっちゃったという映画の展開のもほぼ史実どおり。第五部で踏切待ちの車が銃撃され幹部たちが死傷するショッキングなシーンがありますが、あれもほぼ事実というから恐ろしい。
 最近では九州で長い抗争がシャレにならないペースで続いてましたが、あれも実録系ヤクザ映画ではおなじみのパターンなんですよね。ついでながら僕の地元ではもう20年くらい前になるかな、事務所前で地元の組の親分が射殺される事件が起きてますが、報復も何もなくそのまんま迷宮入りしております。



#9415 
tomohiro 2013/08/01 19:10
歴史を多角化に見る

私は戰國時代が苦手です。
理由の一つとしては、戰國時代以外の時代を見ることが好きな人間
に出会ったことです。
当初は、彼らに反発をしていました。
しかし、彼らの考えに共鳴すると同時に、戰國時代にとらわれている自分が
いやになりました。
この事件を契機に南北朝時代・元禄から天保時代などに関心を持ちました。
前を向くために好きな物と訣別したいと思ったのです。
私は訣別して良かったと思っているし、
マエ好きだった物にとらわれている人々を
何故、此処に留まるのかと不思議に思うときがあります

http://blog.goo.ne.jp/misakimizugi


#9414 
五葉 2013/07/31 22:48
ヤクザと平和記念式典

こんばんは。『仁義なき戦い』、パロディも含めて反響、凄いんですねぇ。『仁義なきニンジャ』まであるとは思いもよりませんでした。さっき1作目を観たのですが、画面が明るくて羨ましいです(笑)これならロケ地巡りに行けますね。
でも、1作目で山守組長側のヤクザが一人になったとこを殺されるシーンで映っていた駅のホームは、広島駅に雰囲気がそっくりなんですが・・・(雰囲気だけ?)ちなみに広島駅には今でもなぜか6番ホームがありません。これから書くことと関係があるのかどうか?

アジアのバカ大将様、はじめまして。『仁義なき戦い』五作目の「原爆慰霊祭」とは、毎年8月6日にある広島平和記念式典のことでしょうか。主催者である広島市が招待する人の選考にはそれなりの基準があるとは思いますが(そこはよく判りませんが)、一般人が自主的に行く分には、当日飛び入りでも問題ありません。(広島市によると、一般席もありますが、当日朝7時には満席になっているとのこと)常識的な格好をして、式の挙行を邪魔しさえしなければ、政治的な信条に関わらず誰でも参加できるものです。
原爆投下という事実には今でも、広島の人たちを神妙にさせてしまう何かがありますね・・・。こんな答えでお役に立てましたでしょうか。
私自身は平和記念式典をテレビでしか見たことがありませんが、左右関係なく誰でも行けるものだと思っていたので、逆にこのような質問を受けることが新鮮です。



#9413 
バラージ 2013/07/31 21:04
仁義なきニンジャ 香港代理戦争

 便乗しちゃいますが、1980年代にそういう邦題の香港B級どころかZ級映画がありました。詐欺まがいのゴミ映画を粗製乱造したことで悪名高いフィルマーク社の作品でして、僕は観てないんですが本当にひどい映画らしい。同社は他にもブルース・リーそっくりさん3人集合映画『クローン人間ブルース・リー 怒りのスリー・ドラゴン』なんてのも作ってますが、80年代ビデオバブル期にはこんなろくでもないインチキ映画でさえ輸入されてたんですね。幸か不幸か僕はレンタルビデオ店で見かけたことはありませんが。ちなみに『仁義なきニンジャ』は(一応)現代ニンジャものなんで、歴史とはこれっぽっちも関係ありません。

 歴史と関係ない話ばっかりじゃ何なんで、歴史とほんのちょっとだけ関係ある話を。栄耀映画掲示板の過去ログの#1029のコメントで、ブルース・リーの顔をした楊センが出てくる『ドラゴンの妖怪退治』という邦題の封神演義もの香港アニメ映画をテレビで見た、という話題が出てましたが、この映画知ってます。劇場公開邦題およびビデオ邦題は『ドラゴン水滸伝』という作品でして、ブルース・リー関連の珍作としては上記の『クローン人間ブルース・リー』と並ぶわりと有名な作品です。『封神演義』の日本での知名度がゼロに等しかった1980年代に日本公開&ビデオ化されたんですが、なかなか秀逸な邦題なんではないでしょうか。こちらも僕はレンタルビデオ店で見かけたことがなく、観たこともありませんが、上記2本のフィルマーク社製映画よりはずっとまともな映画と思われます。過去ログ読んだときに「おっ」と思ったんですが、7年も前のコメントだったんで今さらなあとスルーしてました。
 それにしても#1029の方、名前を見たときこれまた「おっ」と思ったんですが、リンクしてあるホームページを見たらやっぱり『東日流外三郡誌』批判本を書いたり、と学会にも顔を出しておられるあの方だったんですね。



#9412 
アジアのバカ大将 2013/07/30 10:50
やくざ・政治団体・ヒロシマ

記憶がややあやふやなのですが、
「仁義なき戦い」の第5作の冒頭で、
政治団体の看板を掲げるようになった組の
中堅幹部が、原爆慰霊祭から帰ってくる
場面がさらりと出ていたと思います。
広島の慰霊祭は、右翼から左翼
まで超党派合同なのでしょうか?
それとも各派ごと別々?
後者だったような気がしますが、
ご存じの方、ご教示ください。



#9411 
徹夜城(映画を見に行くヒマもない管理人) 2013/07/29 22:25
お察しの通りで…

黒駒さんお察しの通りで、ただいま夏期講習のハードスケジュールの真っ最中。二か所掛け持ちでもありまして、早くも「夏バテ」気味です。「史点」更新もしたいんだけど、気力が…(汗)

>「先史時代映像」
「歴史映像名画座」で新築された「先史時代」部分、いろいろと反響をいただき嬉しいです。
 実は「フリントストーン・モダン石器時代」は迷ったんですよ(笑)。あれがダメでなんで「おかしなおかしな原始人」はいいのか、という問題もありますし(笑)。ま、一応の線引きは「フリントストーン」はあくまで現代のパロディとしての石器時代であり、「おかしな〜」は原始時代そのもののパロディである、というところでしょうか。真面目に作っている(?)ものでも「紀元前一万年」のような無茶なのもありますが…あそこに並べたものの中では「原始人100万年」「人類創世」「洞窟熊の一族」「アオ、最後のネアンデルタール」はきっちり作っていると思います。
 ただいま「聖書関係」と「日本古代史」をあのスタイルで作り直しています。いろいろ追加作もありまして、作業はなかなか大変です。

>仁義なき戦い
 最近「仁義なき戦い」シリーズを検索すると、「栄耀映画日記」の5部作評がヒットしやすいらしく、その部分だけ妙に来客が多いですね。
 東映京都作品なのでロケ地のほとんどが太秦周辺の京都市内、「仁義」マニアの杉作J太郎さんによる「京都市内撮影現場めぐり」なんてものも作られています。劇中のヤクザ親分の邸宅、白昼商店街での襲撃事件の現場、第5部のヤクザが模様替えした政治団体のデモ行進現場とか本部建物なんかも今もそのまんまあるらしいです。
 広島でのロケは海がらみの場面なんじゃないかなぁ…「広島死闘編」では瀬戸内海のどっかの島でのリンチシーンがありますが、あれなんかそれっぽい。また「代理戦争」ではどの部分か不明ですが重要キャラたちが集まる広島ロケシーンがあり、出演予定の荒木一郎が「広島は怖い」(笑)とロケ参加を拒否、代役に抜擢された川谷拓三がこれでメジャーになるといったドラマもありました。
 ま、本当の広島が怖いかどうかは別にして(笑)、あの映画は実在のモデルがいるキャラばっかりですから、演じる俳優さんもトラブルを避けるためにそれぞれのモデル関係者に「仁義をきる」ことはやってたそうです。あと映画公開時、親分クラスのモデルたちは刑務所で服役中で、「鬼の居ぬ間にやった」と監督も白状してます(笑)。
 ついでながら、先日世間を騒がせた広島・呉における少女殺害事件、LINE上のやりとりのセリフがまさに「仁義なき戦い」そのまんまの広島弁やりとりで、ついつい不謹慎ながらニヤニヤしてしまい…

>マルクスの恋人さん
「三台目襲名・広島代車戦争」にはバカ受けしましたが、「三代目襲名」というタイトルのヤクザ映画は広島ネタではなく山口組・田岡一雄の伝記映画第二作なんですよね。
僕は第一作「山口組三代目」は見ましたが、実録なのは途中までで、クライマックスは普通にウェットな任侠ヤクザ映画でした。続編の「三代目襲名」の方は未見ですが、一作目で警察ににらまれたんで「山口組」をタイトルからはずしたらしい。それ以後はいろいろとヤバすぎるんで作ってないようですが。

>つねさん
「終戦のエンペラー」、早くもご覧になったんですね。こちらはお盆まで体があきそうになく、「風立ちぬ」(これも「歴史映画」ではありますね)ともども見るのが遅れそうです。



#9410 
つね 2013/07/28 21:41
終戦のエンペラー

さっそく見てきました。
ラストシーンが全て持っていくような感じでした。
先日見た「リンカーン」同様、見る人を選ぶ映画かな。トミー・リー・ジョーンズが出ているのも同じだし(笑)。
時期と対象が同じなので、銀座で立ち見したソクーロフの「太陽」と比較してしまうのですが、あちらは愛嬌とかユーモアな面を強調していたように思います。今回は昭和天皇の出番は限られているので(そこがまた神秘性みたいなものを表しているように思います)、その面は出しようがないのですが。



#9409 
マルクスの恋人 2013/07/27 21:33
三台目襲名 広島代車戦争

「『親分が事故った!』
 組長の愛車が納車されるまでの、代車をめぐる抗争を、悲哀を込めて描きます」

もう随分昔になりますが、電車内で見かけた、JAオートローンの広告で一番覚えているのがこれです。
煽り文はうろ覚えですが、確かこんな意味だったと思う。



#9408 
黒駒 2013/07/26 23:23
夏期講習突入、でしょうか。

そんな時期ですね。「風立ちぬ」とか当然話題に出てきますね。南北朝関係では「菊池武光」が出ていましたけど、私はちょっと別の本を買ってしまったので後回しです。

『仁義無き戦い』は私も一作目だけ見ました。冒頭から凄惨な場面ですし、次々と紹介される人物を誰が誰だか認識する前に抗争の話がはじまってしまい、次々と人が死んでいく。実録もので事実に基づいているだけに逆に怖いです。やはり二回みると話の構造が見えてきて、実はやくざものの悲哀をきちんと描いている作品なんだってことがわかりますね。続編もそのうち見たいです。

やくざといえば私の地元の山梨では、地元の博物館を中心に最近黒駒勝蔵や竹居安五郎など甲州博徒に関する研究がかなり進展しまして、いろいろ興味深い指摘もなされています。まだ論文をきちんと読んでいないので私も不十分な理解なので、そのうちまた紹介させていただきたいと思います。



#9407 
五葉 2013/07/20 23:26
先史時代映画、その他

こんばんは。ご無沙汰しています。以前下さったせっかくのコメントにもなかなかお返事ができず、すみません。
歴史映像映画座も、久しぶりに覗くと新コーナーができており、早速見させて頂きました。『洞窟熊の一族』は、高校時代、原作(『大地の子エイラ』という抄訳の方)を読んでいたので懐かしく読みました。といっても、映像の方は全くの未見なのですが。
この話に出てくるネアンデルタール人の部族(=洞窟熊の一族)は、言語がジェスチャー(手話みたいなもの?)で、クロマニヨン人であるエイラに自分たちの言葉を教えるシーンが、今でも印象に残っています。クレブという名前の、ネアンデルタール人の部族の男性が、エイラに「歩く」という単語を教えようとするのですが、最初はなかなか判らない。でもやりとりを繰り返していくうちに、「判った、『歩く』って意味だね!」と理解する、そのシーンが妙にリアルで感動させられたことを、今でも覚えています。
言語に限らず、この話に出てくるクロマニヨン人と、ネアンデルタール人にはさまざまな文化の相違があり、それが互いに対する偏見や諍いにつながっている点。そしてエイラは、クロマニヨン人でありながら、ネアンデルタール人に育てられたので両者の文化を習得している点が、エイラシリーズの肝だったと記憶しています。


『黒い雨』が入りましたね。ありがとうございます。今、TSUTAYAの旧作無料クーポンがあるので、これと『仁義なき戦い』と、どっち観ようかしらと考え中(笑)8月6日、9日ももうすぐですし。。。
『仁義なき戦い』といえば、「広島死闘編」だけようやく観ることができました。管理人様の仰るとおり、あのシリーズは大半が京都ロケだというのは知っていたのですが、「広島死闘編」だけは例外だと聞いていました。でも実際に観てみると、暗闇のシーンが多くて、撮影場所が特定できず。原爆ドームの他に私にも推定できそうなのは、基町の原爆スラム(現在は市営高層アパートが建ってます)と、闇市から始まった広島駅前の愛友市場くらいですかね。これじゃ「仁義なき戦い ロケ地巡り」とか、まず無理ですね(苦笑)



#9406 
アジアのバカ大将 2013/07/20 21:59
「創価系」マンガ

トンデモ漫画研究家の新田五郎の本だかで、「創価系マンガ雑誌
(「希望の友」「希望ライフ」「コミックトム」は、大家には
好きに書かせるが、三流以下は、日蓮正宗色を求める」と読んだ
ことがあります。横山光輝「水滸伝」が読みたくて、子供の頃掲載誌
を購読していたこともありますが、各漫画に宗教色は(お説教臭さ)
は感じませんでしたね。五島勉作、一峰大二画の「現代の英雄」
(小沢征爾や本田宗一郎をモデルにしたフィクション伝記読みきり)
の連載もありました。
ずっと後で、みなもと太郎が、聖教新聞で「創価学会の歴史」
(正しい題名を忘れました)を連載しているのを知りましたが、
「まったくのお仕事」と思っていました。
「風雲児たち」の中で、抹香くささを感じたのは、単行本の
2巻目くらいで1回だけですね。徳川秀忠の唯一の愛妾が懐妊、
お江の方を恐れて、浪人中の実父の元に身を寄せて出産後、
幕府に名乗りでることを決意し「孫の父は征夷大将軍です」と
打ち明ける場面です。愛妾の父は、さほど驚きもせず、
「運命だな。運命とは、命を運ぶということだ・・・」と
ひとしきり、冷静に論評。一生を子供と隠れて暮らそうとも
思っていた娘が、子供(会津藩・保科氏の祖)を世に出すこと
に賛成します。
ギャグ漫画なので、この父は直後、奉行所に秀忠の
お墨付きを、葵の印籠よろしく掲げて出現、「控え、控え」
と奉行所の人々を土下座させた上、「一回、これがやりたかった」
と落します。




#9405 
バラージ 2013/07/19 22:08
グランド・マスター

 栄耀映画掲示板のほうにも書いたんですが、実在の武術家・葉問(北京語ではイェー・メン、広東語ではイップ・マン。1893年〜1972年)を描いた、ウォン・カーウァイ監督の映画『グランド・マスター』(原題『一代宗師』)を観ました。カーウァイ映画ファンの僕(『欲望の翼』は個人的ベスト5に入る映画)としては存分に堪能させてもらいましたが、一般的には賛否両論の様子。まあ、ウォン・カーウァイの映画をよく知らない人にしてみれば、カンフー映画だと思って観たらアクション映画じゃないし(カンフー・アクションのシーンはありますが映画構造がアクション映画ではない)、伝記映画を期待した人もこれまたそういう映画とは違うので(一応、葉問の人生をたどってはいますが、基本的にほぼフィクション)肩透かしだしで、期待外れと感じるのもわからなくもありません。カーウァイ映画をよく知る身としては、彼が普通のアクション映画を作るとは思えなかったし、それ以上に伝記映画には向いてないとも思っていたので予想通りなんですけどね。僕は面白くて2回も観ちゃいました。
 それにしても、伝記映画って歴史映画に隣接するジャンルではありますが、作品によって歴史映画に入れていいのかどうか悩んじゃうところがありますね。特に20世紀の人物で文化・芸能方面の場合。


>書剣恩仇録

 以前ここで紹介したアン・ホイ監督の映画『清朝皇帝(ビデオ題『風と興亡』) 第1部 紅花党の反乱/第2部 シルクロードの王女・香妃』が、20年の時を経て(?)ついに『書剣恩仇録 上 紅花党/下 香香(シャンシャン)公主』という本来のタイトルでDVD化されました。『書剣恩仇録』は実在の登場人物は乾隆帝だけで、お話も全くのフィクションなんで歴史映画とは言えないんですが、映画はなかなか面白かったと記憶しています。


>木曜時代劇

 いったん終了したNHKの地上波時代劇。BS時代劇の地上波放送という形で一応の復活をしてましたが、次の木曜時代劇は前田敦子主演の『あさきゆめみし 八百屋お七異聞』だそうで、久々の地上波オリジナル時代劇復活です。歴史ものではありませんが、以前にも言った通り、この枠は歴史ものよりも正統派の時代劇のほうが向いてると思うんで、ちょっと楽しみにしてます。



#9404 
つね 2013/07/15 00:33
先史時代映画

先史時代は、どうしてもフィクションにならざるをえないのですが。
私が見た先史時代映像は
ドラえもんの「のび太の恐竜」とか「のび太の日本誕生」ですね。
「火の鳥」が挙がっているのだから資格はあると思いますが・・・。タイムスリップのほうかなあ。

「歴史」というのは「人類が関わっている」というのが必要条件でしょうか。そうでないとNHKの「地球大進化」とか恐竜の再現映像などまで範疇に入ってしまいますが。



#9403 
バラージ 2013/07/13 20:10
ハーレムで、マンモスの肉、食らいたい

 歴史映像名画座に今回追加された映画で観たのは『黒い雨』だけ。どちらかといえば広島への原爆投下そのものよりも、戦争が終わった後の後遺症の恐怖に力点が置かれている作品でしたね。スーちゃんこと田中好子さんの熱演が印象深い作品です。
 今回の目玉(?)先史時代(原始時代)の映画は1本も観ておらず……。というか観たことのある原始時代の映像作品というと、子供の頃に観た記憶のあるテレビアニメ『はじめ人間ギャートルズ』ぐらいしかなかったりします。まあ完全なギャグ作品で歴史作品ではないんですが、マンモスの肉、旨そうだったなあ(笑)。似たような系統の実写ハリウッド映画に『フリントストーン モダン石器時代』ってのがありましたね。これもマンガが原作らしいですが。

 栄耀映画徒然草に追加された作品で観たのは、『天地明察』と『柳生一族の陰謀』という、これまた歴史映像名画座にすでに掲載されている映画のみ。感想も以前書いているので割愛。あ、『柳生一族の陰謀』で徳川秀忠の次男が「秀長」になってますが、正しくは「忠長」ですよ。そういえば『水戸黄門』の風車の弥七こと中谷一郎も出てましたね。家では祖母が『水戸黄門』を観てたんで(年寄りは好きですよね)、僕も子供の頃は『大岡越前』『江戸を斬る』ともども、なんとなく観てました。テレビ朝日系列局がなかったんで『遠山の金さん』『暴れん坊将軍』は観てないんですが。


>オスマン・トルコの大奥映画

 そういえばオスマン・トルコの大奥ドラマで、はたと思い出したんですが、オスマン・トルコ末期の大奥(ハーレム)を舞台とした『ラスト・ハーレム』というイタリア・フランス・トルコ合作の映画を昔観たことがあります。この映画をなぜ観たかというと、当時、映画『裸足のマリー』『ひとりぼっちの狩人たち』で観て気に入ったマリー・ジランというベルギーの若手女優が主演だったから。実在の人物は登場しないので歴史映画ではありませんが、こてこての大奥ものという感じではなく、文芸作品といったおもむきの映画で、なかなか面白かったです。


>創価系マンガ誌

 創価系の出版社って意外と創価色が薄かったりするんですよね。考えてみれば昔あったマンガ誌の『コミックトム』も創価系の潮出版社でしたが、創価色はまったくなかったような。横山光輝『三国志』とか、みなもと太郎『風雲児たち』とか、安彦良和『虹色のトロツキー』とか、創価とまるで関係ないもんなぁ。あえて言えば手塚治虫の『ブッダ』が仏教つながりってぐらい?(僕が読んでた頃は『三国志』や『ブッダ』は終わってましたが)



#9402 
黒駒 2013/07/11 22:06
先史映像作品

新生「名画座」見ました。他の時代もこれくらいグレードアップするのかと思うと楽しみです。先史時代の映像作品ってこんなにあるのですね。きちんと考古学的に時代考証した作品となるとどうなんだろうと思うのですが。

日本でも大河ドラマとは言いませんけど、縄文弥生・古墳時代を扱った映像作品が企画すら登らないのはちょっと寂しいですね。縄文時代の暮らしなど、きちんと考古学に基いて描いてみたら映像的に面白いだろうと思うのですけど。一回きりの作品で流用できない衣装セット小道具揃えるのが大変なのかもしれませんけど。



#9401 
徹夜城(洋の東西の大奥ものを連発で見た管理人) 2013/07/11 00:11
歴史映像名画座を更新。

先ほど更新したんですが、今回から「先史時代」という枠を新たに設けました。これまで「西洋史その他」に入れていた「人類創世」「紀元前一万年」はそちらに移動したほか、このジャンルに入るマジメなのから冗談なものまで収録しております。
またご覧になればわかりますが映画データをもう少し詳しくしてみました。それと日本未公開のものやソフト化されていないものが混じってますが、それについてはお察しください(笑)。


>バラージさん
 確かに多いですよね、中国の大奥ものも。韓国ドラマでも何度も同じテーマで映像化されている大奥ものがあります。綺麗な女優さんがいっぱい出てるから男も喜ぶし、女性中心のドロドロ模様が描かれるので女も喜ぶ、ということでしょうか。
 今回「名画座」に入れるために見た「ブーリン家の姉妹」なんかもイギリスにおける大奥ドラマですね。どっかのテレビで見た話ですが、トルコでもオスマン帝国の「大奥もの」ドラマがあって中東でなかなか人気になっていたらしいです。

 そうそう、それでそのコミック版「大楠公」ですが。連載していたのはまさに「第三文明」でして、僕は連載開始を電車内の中づり広告で見て第一回だけチェックしてました。単行本がようやく出たので買って通読しましたが、まぁまぁ普通に正成漫画になってます。打ち切りなどの心配がなかったためか、構成もそう破綻はしてませんし、だいたいのエピソードは網羅した感じ。
 読者層がかぶるのか首をかしげますが、戦前には誰もが知ってた「青葉しげれる桜井の〜」の歌がしょっちゅう入ります。絵柄は基本的に劇画調なんですがところどころ「どおくまん」を連想させるようなギャグ調にもなります。皇国史観なところはまったくなく、尊氏をもちあげて義貞をけなしてる感じすらありましたね。
 ただ、気になったのはところどころに大河「太平記」を参考…というより「パクった」としか思えないシーンが見受けられること。赤坂落城後に伊賀に逃げた正成を尊氏が見つけ、正成が芸を披露してごまかし、尊氏が察しつつ逃がしてやるところはやってる芸が違うだけでほぼそのまんま。また湊川へ出陣する前の参内場面もセリフまわしまでソックリで、本来はこの場面で発せられたのではない「足利と和睦」提案まで入っています。
 あと…この漫画じたいに創価学会くささはそれほどないんですが、部分的にちらちらと。文観がやたら「怪僧」に描かれていて「真言律宗」とわざわざ明記されるところとか、正成が法華経を熱心に書き写してるとかいった程度ですけど、鎌倉陥落の場面で観念した北条高時がふと「そういえば日蓮を伊豆に流してから七十年か…」とやや唐突に口にする場面はかなり「明示」といっていいかと。

>黒駒さん
 その「出雲と大和」については読んでもいないのでなんとも言えませんが、こと邪馬台国から古墳時代あたりまでは結局のところ何を言っても推測ですから、あえて言っちゃうと「何でもアリ」なところもあるように思います。
 新書に限ったことじゃないのかもしれませんけど、やはり新書系は粗製乱造と思える著作は多いのでして…以前まるまる書きうつしの内容がバレた言語道断のケースもありましたけど、センセーショナルな売りを狙っただけの中身スカスカのも結構目につきます。割と著名な学者先生の著作でも「はあ?」と言いたくなるようなことを書いてることもよくあるようですし…最近結構有名な二人の対談本「ふしぎなキリスト教」が基本的なところから間違いだらけと批判されていることを知り、批判のまとめを読んで「へぇ!」とビックリしていたところです。

>さんにゃんさん
 ご紹介のサイト、僕は初めて読みました。なかなか面白いし、「そうそう」と共感を覚える多かったですよ。



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