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#9600 
徹夜城(史劇ベストを挙げろと言われて寝ずに悩んだ管理人) 2014/05/01 00:43
うむむむむ…悩む、悩む

>黒駒さん
 まず、「マンドハイ」の件から。
 とにかく「出会いがしら」と言うんでしょうか(笑)、映画って見る者の人生におけるタイミングやら精神状態や体調まで影響するものでして、人それぞれに「忘れ難い一本」を作ってしまうことがあります。僕にとってはそれが「マンドハイ」だったんだろうな、と思います。
 すでに歴史物のドラマや映画をよくチェックするようになってはいたんですが、「マンドハイ」を見ちゃったことが「歴史映像名画座」なんてものまでやる原因になったのは間違いないと思います。なんせ当時劇場で2回は見たはず(3回だったかな?)。ビデオが出る(なぜかバンダイが発売)と知ってビデオショップに取りよせ注文までしましたからね。残念ながらこの時以後ソフト化は実現してません。

 で、どうしてもこの映画について語りだすと熱くなっちゃうので抑えつつ書きますが(笑)。
 まず日本でノーカット公開されたのが奇跡的。読売新聞が後援してロードショー公開が実現したんですね。経緯は知りませんが「掘り出し物」と思った人がいたのかも。僕が激情に見に行く前に週刊新潮でこの異例のモンゴル歴史映画がいろんな意味で凄いと記事にされていたのを読んでます。
 当時はまだ冷戦終わってませんで、モンゴルもソ連影響下の社会主義国でした。そんな国からの映画だから…という先入観からするとビックリ、というのが週刊誌の記事でした。まぁヌードありのベッドシーンがあるとか、内臓飛び出すリアルすぎるスプラッタな戦闘シーンといった、そういう面ばかりを取り上げてた記憶がありますが。それでも確かに驚くほど娯楽映画の王道的な内容でもあったんですよ。善玉悪玉はっきりしてますしね。
 まず見てショックだったのは生の「モンゴル」の風景そのものでした。なんか日本だとモンゴルって「砂漠」のイメージになっちゃうじゃないですか。それが青々とした草原や流れる小川、雪で一面真っ白の光景なんかが大画面にドドーンと映っただけで当時は結構ショックでしたよ。
 そしてなんつってもその背景で展開される「本場」の騎馬戦スペクタクル!これはモンゴル人じゃないと撮れない!という映像でした。数千の人馬が入り乱れる合戦シーンにカメラがグイグイと切り込んで行って無名の兵士たちの戦いがアップで映っていくシーンなんて、どうやって演出・撮影してるんだ?と。一騎打ちあり、集団戦あり、砲撃戦あり、うねる地平線の彼方からじわじわと進軍して来る大軍にあっけにとられていたら、クライマックスでさらに明の大軍が乱入、ホントに凄まじいカットが続出します。戦闘スペクタクルに圧倒されたのは本作とソ連版「戦争と平和」くらいでしょうねぇ。実際、ソ連映画の乗馬スタッフなんかが協力はしていたようです。
 時期的にもソ連の崩壊前夜ということもあり、娯楽性と社会性もうまくミックスされていて、なおかつモンゴル民族ならではの描写(一部かなり残酷でもあります)も含まれていい塩梅になってた印象でした。そのあとの「チンギスハーン」になると中途半端に商売っ気を出してる観もありましたけどね。
 あと音楽も素晴らしい。調べてみたら作曲担当のジャンツァンノロブさんってモンゴル音楽家としてはかなり高名な方らしく、ネット検索かけると曲がバンバンヒットします。そして…著作権的にはその、アレなんですが、youtubeには「マンドハイ」のオリジナル・サウンド・トラックの楽曲が全部アップされていたりします。これはやはり外国にも隠れマンドハイ信者がいるんじゃないかと(笑)。

 えー、それでですね。ソフト化もされていないんで書いちゃいますが、「マンドハイ」全編もyoutubeで見つかります。とりあえず必見のクライマックス戦闘シーンはこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=gqdimNKCuRg
主人公のマンドハイはこのシーンにはいないんですけどね。うーん、大画面でみたいですな、こう言うシーンは。


>韓国・中国史ドラマ
さて、黒駒さんのご質問の一つ目。
これも悩むんですよ…どれも長いですしねぇ。特にこれ、と薦めるとなると好きなのはあるんだけど初心者向けにはどうかなぁ、と思っちゃうものばかりで。
一応、個人的に好き、ってのを優先して紹介しますと。

中国史
「大漢風」(項羽と劉邦もの。もっともまた新作が日本上陸するようで)
「三国志演義」(90年代の旧作のほう)
「宮廷の諍い女」(完璧にフィクションですが、ドラマとしてお薦め)

韓国史
「海神」(これは僕の専攻とかぶるから)
「太祖王建」(これもずいぶん前から自分で作品化したいとまで思ってた時代だから)
「大王世宗」(作りが一番マジメ)

とりあえず、こんなところでしょうか。


>ベスト史劇
うわぁ〜〜〜これは悩んだ、悩んだ(汗)。5本選べって言われてもと(笑)。
必死に考えて、とりあえず10本にしました。当たり前ですが、ホントに個人的基準で「好き」を最優先に選ばせてもらいました。順位はつけません。思いつくまま。


「マンドハイ」(理由は上記のとおり。まだ言い足りない(笑))
「ラストエンペラー」(これも映画としての出来)
「日本のいちばん長い日」(毎年8月15日に見てしまう)
「関ヶ原」(テレビドラマですけど、やっぱ挙げたい)
「太平記」(大河ではやはりこれ。ま、南北朝大河が他にないもんで)
「戦争と平和」(ソ連版。生きた人間をここまで動員しちゃったのは空前絶後)
「マルコムX」(アメリカ史ではやはりこれかな)
「アラビアのロレンス」(定番かな。史実はともかくとして)
「MUSA」(客を選ぶ映画)
「アマデウス」(なぜか好き)

…とまぁ、こんなところでしょうか。10本は絞りに絞って…といっても、ふと思い起した者を並べただけなので、あとから「しまった、あれを忘れた」なんてことになるかもしれません。

皆様も、それぞれ挙げていただけると嬉しいです。



#9599 
黒駒 2014/04/30 22:33
ありがとうございます

>バラージさん
ありがとうございます。私も名画座で見てるのはほんの一部なのでマイ・ベストは上げられないのですけど、ご紹介のなかで「覇王別姫」「ベン・ハー」「スパルタカス」「JFK」あたりは見てます。「覇王別姫」はけっこう見ていてきつかった覚えもあるのですが。



#9598 
バラージ 2014/04/29 23:29
歴史映画ベスト5

 う〜ん、古今東西の「歴史映像」となると広すぎますねえ。そんなに歴史作品観てないですし、映画を観るときに「これは歴史映画(ドラマ)」と明確に区別して観たりもしてないんで、パッと思いつかないんですよね。また、歴史映画(ドラマ)と言えるかどうかボーダーラインの作品もありますから、どこで線引きするかも結構難しかったりします。
 なので、「歴史映像名画座」に収録されている作品(全収録作品の1割ぐらいしか観てませんが)に限定してベスト3を挙げると、1位は断トツで『さらば、わが愛 覇王別姫』です。中国・香港・台湾と、当時の中華圏映画界の才能が結集した歴史的傑作。とにかくストーリーも役者も素晴らしいです。ただ、この作品こそ前記の「ボーダーラインの作品」で厳密には「歴史映画(史劇)」じゃないんですよね。文芸映画というかドラマ映画というか。実在の人物は1人も出てこないし、扱われている実際の事件も背景として大づかみに扱われているだけです。ただ、個人的にはそういう部分は抜きにして、映画として面白い作品をお勧めしたいです。
 次いで選ぶのは『ベン・ハー』(1959年版)。昔、映画館でリバイバル上映の予告編を見て、面白そうだったので観に行った映画です。期待にたがわぬ面白さで、こんな映画が昔あったんだ!と気分が高揚しましたね。戦車競走シーンをはじめとするスペクタクルももちろん素晴らしいんですが、主人公を中心にローマ帝国とイエス・キリストを対置した、権力と人間的尊厳というテーマも印象深いものがありました。ただ、これもボーダーラインの映画。イエス関連以外は架空の話なんで、時代劇映画と言うほうが近いかもしれません。
 その次は『スパルタカス』。『ベン・ハー』がすごく面白かったんで、同じようなスペクタクル映画が見たくなってビデオで見た作品です。『ベン・ハー』と比べちゃうとやや劣りますが、これもまたすごく面白い大スペクタクル映画でした。最後のほうで、敗れて捕虜になったスパルタカスたち反乱軍に、ローマ帝国軍が「スパルタカスが名乗り出れば他の奴隷は助ける」と誘ったときの捕虜たちの反応は感動ものです。
 次は『JFK』。ケネディを理想化しすぎている部分には疑問があるし、時間が足りず話が入りきらないのかジャック・ルビーの死の部分がわかりにくいという欠点もあるものの、サスペンス映画としての面白さは一級品でした。ケネディ暗殺の真犯人がこの映画の推理通りかは別としても、かねてより言われていたオズワルド単独犯行説に対する疑惑を、この映画が一般に大きく広めたのは間違いのない事実。ディレクターズ・カット版がお勧め。
 最後の1本は『マルコムX』。これも非常に面白かったです。デンゼル・ワシントンも大熱演でした。ただ、1か所だけ気になったのが、「あなた方のために私にもできることは何かないでしょうか?」と聞いた白人の若い女の子にマルコムが「何もない」と言い放つシーン。マルコムの自伝では、過去の過ちとして語られるエピソードなので、あとの場面でマルコムの後悔が描かれるかと思ったんですが、そういうシーンはありませんでした。そこだけが残念。

 中国・韓国歴史ドラマについては、長すぎるんで僕も観ません。ですのでお勧めドラマは挙げられないんですが、長すぎるなら歴史映画から見てはいかがでしょうか?(って言っといて、上に挙げた映画はどれも3時間以上の作品だったりするんですが)



#9597 
黒駒 2014/04/28 23:25
名画座、見ました

ちょっと、今日は質問がふたつほどあります。

以前から思ってたんですけど「マンドハイ」の解説はアツいですね(笑)。見てみたくもあるんですけど、いま見られるんでしょうか。

韓国・中国歴史劇はツタヤにずらっと並んでますしテレビでもやってるのですけど、長いですし、なかなか観ようとするふんぎりが付きません。私は別に中国や韓国に対する偏見もないので見てみたくもあるのですが、中国・韓国史劇はどれから見るのが良いのでしょうか?これがひとつめの質問です。

もうひとつはずばり、古今東西の「歴史映像」の中でベスト3とかベスト5くらいを選ぶとしたら、どれでしょう?管理人様や皆様の、大河ドラマから映画から連続ドラマその他すべてひっくるめて、ずばりベスト・オブ・史劇はどれですか?



#9596 
バラージ 2014/04/27 00:15
『男装の麗人』ですが……

俳優の平幹二郎と役名の川島浪速も逆になってますよ。



#9595 
バラージ 2014/04/26 14:44
朝鮮史・モンゴル史・その他

 歴史映像名画座の更新、ご苦労様です。早速、収録作品の感想&未収録作品の紹介を。

感想
・朝鮮・韓国史
『MUSA 武士』……チャン・ツィイー目当てで観た1本。高麗・明・モンゴル(北元?)と、様々な勢力の様々な人々が個性的に描かれたアクション群像劇で、面白かったですね。欠点は時々チョン・ウソンとチュ・ジンモの見分けがつかなくなること(笑)。
『王になった男』……#9301〜9400のどこか
『ブラザーフッド』……これはすごかったですね。戦争場面では結構な残虐描写も見せながら、エンターテイメントとしても質の高いものになってました。北朝鮮軍だけでなく韓国軍の残虐行為も描いているのもポイント高し。主演俳優のチャン・ドンゴンとウォンビンもよかった。
『大統領の理髪師』……これも面白かった。韓国現代史を軽妙かつわかりやすく、そして面白く見せてくれる映画でした。ソン・ガンホはさすがの達者な演技でしたね。

・一部観た作品
『宮廷女官チャングムの誓い』……ところどころちょこちょこ観た記憶があるという程度。まあ面白かったですけど。

・東アジアその他
『セデック・バレ』2部作……ウェイ・ダーション監督は『海角七号 君想う、国境の南』がまったくの期待外れだったので不安だったんですが、こちらは質の高い映画でした。ただ、主人公側が女子供を惨殺するのは見てて気持ちがいいものじゃないし、戦闘シーンに娯楽戦争アクションみたいな荒唐無稽なご都合主義が見られるのがちょっと残念。

未収録作品紹介
・朝鮮・韓国史
『神弓 KAMIYUMI』……清の李氏朝鮮侵入(丙子の乱)を背景としたアクション映画。#9434
『道 白磁の人』……日本植民地時代に植林と白磁収集に力を尽くした日本人・浅川巧と架空の朝鮮人の友情を描いた日韓合作の伝記映画。#9165
『愛の黙示録』……ソフト化なし。田内千鶴子という実在の人が主人公の日韓合作の伝記映画。植民地時代に朝鮮人と結婚して朝鮮に渡り、夫と共に孤児救済に尽くし、また戦後も朝鮮に残って、夫が朝鮮戦争で行方不明になった後は1人で孤児院を切り盛りしたそうです。なかなかいい作品でした。
『ユゴ 大統領有故』……朴正煕暗殺事件を暗殺当夜に絞って描いた社会派映画。『八月のクリスマス』『シュリ』の名優ハン・ソッキュが主演。#9299

・モンゴル史
『蒼き狼 チンギス・ハーン』……未見。中国の(多分、内蒙古自治区の制作による)チンギス・ハーン映画。
『ライジング・ロード 男たちの戦記』……未見。ついにロシアも作っちゃったチンギス・ハーン映画(正確には米国・ロシア・モンゴル合作)。原題にはちゃんと「チンギス・ハーン」と入ってるのに、なぜかこんなわけわかんない邦題に。

・東アジアその他
『セデック・バレ』がここに入っているということは、台湾史は中国史ではなくここに入るのでしょうか? だとすると中国近代史のところで紹介した『戯夢人生』『悲情城市』『好男好女』もこちらかな? チベット史の『セブン・イヤーズ・イン・チベット』も?

 なお、まだ修正されてないようですが、中国史の
・『三国志 大いなる飛翔』はDVD化もされていて、DVD邦題は『三国志 武将列伝』。
・『男装の麗人 川島芳子の生涯』に婉容役で出演してる女優が星野真理となっているが、正しくは星野真里。
 の2点の修正、よろしくお願いします。



#9594 
徹夜城(うっかりミスをまたやってる管理人) 2014/04/26 00:31
おっと、逆だ、逆

下の「神国日本のトンデモ決戦生活」についての書き込みですが、読み返してみたら逆のことを書いてますね。
もちろん「英語も日本語の一方言」という主張があった、という話です。

ずいぶん前、あるトンデモ系の泡沫候補がNHKの政見放送で「日本語は英語である。So、そうです、その「そう」が同じなのです!」と力説していたのを思い出して、ついつい逆に書いちゃったのかも。
その時の選挙ではトンデモ系がなぜか多かったらしく、「日本UFO党」なんてのもあって、UFO襲来を力説してる政見放送をみた記憶があります。



#9593 
徹夜城(最近チェックしたい歴史物が多過ぎて首が回らない管理人) 2014/04/25 17:22
歴史映像名画座、更新

つい先ほど「歴史映像名画座」の更新作業を済ませました。追加したのは日本史もので3本だけですが、手間がかかったのは韓国史・モンゴル史・東アジアその他のリニューアル作業でした。こっちは一本も追加してませんけど、画像づくりが大変でした。まぁ楽しい作業でもありましたけど。
あとちょっとで韓国史に「武人時代」と「武神」を見終えて追加ができると思います。あと今度のモンゴル史(実質チンギスハン映画総ぞろえですけど)の作業で調べてみると中国・香港のテレビドラマシリーズやアメリカで最近作ったドラマなんかもチェックしてみたくなりました。

勢いに乗ってやればGW中にも「名画座」全体のリニューアルを終えたいんですよね。どうしても日本史と東アジア史に比重が多いので、もうだいぶヤマを越しちゃった観があります。もちろんこれから他地域のもどんどん増やしていきたいな、と。ネット上探しまくれば結構見つかるんですよね。この点についてはホントいい時代になったもんだ。映画のスタッフキャストデータもずいぶん探しやすくなりましたしね。


>書籍ばなし、つづき
少し前に出て話題となった本ですが、「考証要集・秘伝!NHK時代考証資料」(文春文庫)をつい先ごろ買いました。いやはや、聞いてはいましたが、ホントに面白い。「へぇ」ボタン連発ですね。知ってるようで知らない話、考証ミスと思われがちだが実は正しい例ですとか、時代劇・歴史劇ファンとしては必携ものかも。

南北朝関連本では呉座勇一「戦争の日本中世史・下剋上は本当にあったのか」(新潮選書)もなかなか濃厚な本です。戦争関連が中心ではありますが、それ以外でもこれまで「通説」「常識」とされてきたことに次々とツッコミを入れまくる内容。一般向書籍だからってこともあるでしょうけど、世代的に近いせいか、北畠顕家にふれるくだりで「大河ドラマでは後藤久美子が演じていた。」などと雑学をまぜちゃうところにニヤニヤと共感してしまいます。

先日も書いた「神国日本のトンデモ決戦生活」ですが、全部読み終えました。いやぁ、本当に凄い内容で。語り尽くせぬほどいろんな「トンデモ状況」が出てきましたが、戦時下での英語教育者が「今や日本語も英語の一方言となった」との理屈で英語を学ぶ意義を訴えてる話も涙ぐましいものがありました。さらには世界中すべての言語が「日本語の一方言」という理屈にされていってしまうんですな。もちろん言ってる当人は本気ではなく、そうとでも言わないと、って状況だったんでしょうけど。
 サイパン島での住民も含めた「玉砕」を頭山満が「何よりの喜び、何よりも愉快なこと」と堂々と発言してるのも凄かったなぁ。



#9592 
バラージ 2014/04/23 16:26
『鬼が来た!』がお勧めです

 倉橋さんの投稿の中で「市民」という単語が出てくるのは「実際に戦火の中で犠牲になった人もいるのだから、市民の戦争の被害者はなかったなどという極論を言う気もありません」という部分だけなので、赤猫さんが引っかかったのは多分そこでしょう。微妙な言い回しだとは思うのですが、「南京事件の犠牲者が市民だけだと思い込んでいる」と受け取られかねない記述であるのも確かだとは思います。もちろん実際には捕虜や投降兵・敗残兵の殺害も含まれていますし、市民も含めて“戦火に巻き込まれた”という性質のものでもありません。

>倉橋さん
 『南京!南京!』は「制作者と監督が法を遵守すれば今後、堂々と日本公開できると思います」とのことですが、う〜ん、そうですかねえ? 僕は『南京1937』の前例から考えるとそう簡単には行かないような気がしますが……。それだと著作権問題と関係ない『ジョン・ラーベ』と『金陵十三釵』が公開されない理由も説明できませんし。チャン・イーモウ監督の映画が日本で公開されない理由なんて「南京大虐殺を扱った映画だから」という以外にはちょっと考えられません。イーモウの映画が日本で公開されなかったことなんて今までありませんからね。これが同じ日中戦争ものでも、実際の事件を扱っていない『鬼が来た!』なんかだとわりと普通に劇場公開されて右翼も騒がないんですが。

 『鬼が来た!』は実在の人物や実際の事件を扱っているわけではないので正確には歴史映画とは言えないんですが、日本人の性質をこれほど上手く描いた映画は日本映画にもあまりないと言える作品で、それでいて日本人とか中国人とかを超越した普遍的なものを描いている傑作です。松本人志が雑誌で連載してた映画評コーナーで珍しく10点満点をつけたらしいんですが、それもうなずけます。なので敢えて歴史映像名画座の中国近代史の紹介作品の中に入れました(中国近代史の映像作品が孫文と溥儀ばっかりで、日中戦争関連の映像作品がほとんどないというのもあった)。

>南北朝本
 僕は立ち読みでぱらぱらっと読んだだけですが、ミネルヴァ書房のミネルヴァ日本評伝選シリーズの『光厳天皇』が出てますね。この人、北朝最初の天皇ってことになってるけど、実際には鎌倉時代最後の天皇で南北朝時代には治天(上皇)なんだよなあ。ややこしいったらありゃしない。

 そういえば以前紹介されていた『「昔はよかった」と言うけれど』。興味はありつつまだ読んでませんが、似たような話として犯罪率は戦後から低下する一方なのに、多くの人は昔より犯罪が増えていると感じている、という話がありますね。要するに昔のことは忘れられちゃうんですよね。



#9591 
徹夜城(しばらく書き込みのタイミングを逸していた管理人) 2014/04/23 00:22
ためこみすぎたレスは

…すいません。あまりに間をあけてしまったので、この間にあった諸々の話題についてレスを全部するわけにもいかず、またタイミングを大幅に逸してしまったものもありまして、ひとまず書いておこうかな、ということなど。


>新刊本
 いろいろご紹介がありましたが、南北朝関連では岩波文庫から「太平記」が刊行スタートになったことは特筆すべきことかと思います。なんだかんだで手軽に読める原文はなかなかなかったですからね。さすがにかつての角川文庫版(2巻で未完)のような凄まじく詳細な解説資料こそついてませんが、欄外注はそこそこといったところです。

 あと以前単行本で出た時も達読みはしていたのですが(汗)、早川タダノリ著「神国日本のトンデモ決戦生活」が、ちくま文庫で出てましたので買いました。先ほど電車の中でついついニヤニヤしてしまったのですが、ある意味今もしぶとく生き残っている部分もあるので素直に笑えず怖くなる本でもあります。
 よく比較されることもありますが、この本で扱っている戦時中の精神力にやたら訴えるスローガンやら新聞雑誌記事を読んでると、北朝鮮だの文革期の中国を笑えません。裏返すと人間、どんな社会でもひょんなことからこんな風になっちゃうのかもという怖さがありますね。
 印象に残ったのは多々ありましたが、あの北原白秋が太平洋戦争開戦直後の景気のいい時のこととはいえノーテンキきわまる高揚気分の詩を書いてたことですとか、「日本人に栄養不足は絶対にない」と力説する医学博士(西洋人の肉食偏重の栄養学が間違ってるんだ、として日本人は空腹に慣れてるという論法)、主婦向けの雑誌の記事で「子供を被害から逃れさすことばかりが防空ではありません。戦場で育った子でなければ経験しえない生々しい体験を、将来国の強兵として戦場に立つ時の基礎に、立派に生かしていこうではありませんか」なんて書いてあったりとか。最後のものについては作者も「もはや負け惜しみを通し越して倒錯の域に達している」とツッコんでます。


>阿祥さん
 鄭リョウ生先生の著作は原著でいろいろ持ってまして…「明代の倭寇」とストレートなものはまだ持ってなかったかな?ただ「明日関係の研究」という大著で倭寇問題もカバーしてらしたので、内容的にはその一部なのかもしれません。ともあれ、今度神保町に繰り出したら(岩波ホールに「ワレサ」を見に行かないと)探してみます。


>南京関連映画の話題
 ちょいと議論になってるようですが、まず日本国内でも見られるようにすべき(著作権問題もクリアしたうえで)、という意見自体は共通してると思います。僕自身はこの手のテーマのものが苦手、ということもあって見に行こうとはあまり思わないのですが。その意味ではすでに現地で見ておられる倉橋さんのお話はいろいろと参考になるところが多かったです。
 すいませんが赤猫さん、倉橋さんの書かれていることをもう少しよくお読みになった方がよいかと。倉橋さんの投稿では「南京事件について議論がある」こと、そしてあちらで製作する以上中国の政府見解にのっとった史観の映画にならざるをえないこと、またあちらでも発言や表現が決して自由にはなれないことなどを指摘しているものであって、「中国の主張がおかしい」とは言っておられませんし、井沢氏のスタンスについても全面肯定なさってもいませんし、市民のみがウンヌンも読む限りはお書きになっていませんよ。映画についても問題点を指摘しつついいところもちゃんとお書きになっていると思います。



#9590 
赤猫 2014/04/22 22:41
学問研究の成果に値しない

倉橋さん

作家の井沢が「捏造写真」としたのは裁判所にまで「学問研究の成果に値しない」と断定された東中野修道という知性と人間性に根本的な欠陥のある男のデタラメを真に受けた間抜けで恥知らずな行いだと思いますが、違いますか?

東中野の不誠実極まりない頭の悪い検証()
http://beauty.geocities.jp/nankingharuhi/4.html
http://www.geocities.jp/pipopipo555jp/

それと、あなたは南京事件の犠牲者が市民だけだと思い込んでいる時点で、南京事件についての知識がほとんど無いことを示しています。ろくに知識も無いにもかかわらず、勉強する意欲もないのに「中国の主張はおかしい」と公言する理由はなんでしょうか?





#9589 
倉橋 2014/04/22 00:57
「南京!南京!」についてのご意見ありがとうございます。

 ご意見ありがとうございます。「南京!南京!」については書き方が悪くて申し訳ありませんでした。最終的にこの映画を観る観ないはおひとりおひとりが判断することです。現在、この映画は日本では公開されていませんが、「どんな映画なの?なんとか観る手立てはないの?」「日本で公開されないのはおかしいのじゃない」と考えている人がおられた時に、実際に映画を観た人間として参考のため感想をお書きした次第です。この映画がつくられた時にいくつかの雑誌が映画の内容を批判していましたが、自分は偏見は持たずにこの映画に臨んだつもりです。日本の楽曲を無断使用した著作権のことについていえば、制作にあたっての基本的な部分をないがしろにする態度には映画人としての良識と常識を疑いますし、些事些末な問題とはいえないと考えています。制作者と監督が法を遵守すれば今後、堂々と日本公開できると思います。その時にみんなで映画を観ていろいろと論議したらよいかと思います。それまでは、実際に観た人間からはこういう意見も出ていることを知って下されば幸いです。
 



#9588 
阿祥 2014/04/21 01:23


明代の倭寇

最近、神田の中国語書店で「明代の倭寇」(汲古選書、鄭リョウ(木梁)生 著)という著作を見つけました。台湾の倭寇研究者である鄭リョウ生氏の本が、奇特なことに日本語に翻訳されたものです。氏は既に亡くなられているようですが、その倭寇研究を日本に紹介しようという試みが、漸く日本の研究者によって実現したという事のようです。
台湾における鄭リョウ生氏の倭寇研究書は大部のものが5冊になっており、それと別に1冊にまとめた概要書がでています。翻訳されたのはこの概要書のようです。
http://www.kyuko.asia/book/b165968.html
この汲古書院という出版社は、本当にレアな研究書を出してくれます。これからも頑張って欲しいなと思います。



#9586 
バラージ 2014/04/20 15:53
観ることが出来なきゃ始まらない

 倉橋さんの「中国人が自分たちというか、今の中国政府主導の歴史観を再確認するため観る作品であり、中国で公開されて中国の人が観るのならともかく日本人がわざわざ観る必要もない」というご意見には疑問を感じざるを得ません。映像作品の評価というものは、観てみなければ判断のしようがありません。賛辞にしろ批判にしろ、観た上で個々人が評価すればいいのですし、そういうものの集積が全体的な評価になるのですから(もちろん専門家の評価は拝聴すべきですが)。実際、『南京!南京!』は僕は見ていないので、評価のしようがありません。劇場公開ではなくてもDVDスルーとか有料CS放映とかでもいいから日本でも公開していただきたいものです。
 なお、『南京!南京!』の楽曲の著作権問題は、公式サイトでも紹介されているシネマトゥデイの記事(ネットニュース)でも触れられているので、僕は知っていました。しかし日本公開されない理由がそれだけとはちょっと考えにくい部分もあります。かつて『南京1937』(映画としてはいまいちな作品でした)が日本で劇場公開された際に、右翼が劇場でスクリーンを切り裂いたりペンキをぶちまけるなどの上映妨害をした事件を考えると、配給会社や映画館が二の足を踏んでしまうという心理があるのではないかと思われます。『ラスト・エンペラー』(この映画も物足りない出来だった)で配給会社が南京大虐殺のシーンをベルトルッチ監督に無断でカットした理由も同様でしょう(後に監督の抗議を受けて復活させた)。
 出演している日本人俳優については、確かに『南京!南京!』に有名な日本人俳優は出ていませんね(もっとも中国人俳優もリウ・イエとカオ・ユエンユエン以外は知らない俳優ですが……)。『ジョン・ラーベ 〜南京のシンドラー〜』と『金陵十三釵』には有名な日本人俳優が複数出演していますよ。



#9585 
倉橋 2014/04/20 12:47
中国で制作された日中戦争の映画

 バラージさんが中国映画「南京!南京!」を語っていました。自分はこの映画を観ましたが、個人的な意見では、中国人が自分たちというか、今の中国政府主導の歴史観を再確認するため観る作品であり、中国で公開されて中国の人が観るのならともかく日本人がわざわざ観る必要もないと思っています。別に反日映画と言う気は全くありません。実際に戦火の中で犠牲になった人もいるのだから、市民の戦争の被害者はなかったなどという極論を言う気もありません。だが南京事件の詳細については日中で論議が続いているのも確かです。雑誌「SAPIO」誌上で作家の井沢元彦さんと南京大虐殺記念館の館長が対談したことがあります。井沢さんが日本では捏造とされる展示の写真について指摘すると館長は「そのような意見があることも知っている」「広く意見を聞きたい」と語り、「でたらめだ」と正面から反論することもありませんでした。(2004年12月22日号)一方で、私の知人らの「日中友好旦団体」関係者がその後、「日中友好記念館」を訪ねた時は、同一の人物が「南京大虐殺を否定する軍国主義の手先の日本人がいる」と雄弁に語っていたということです。じゃあ対談の時にそう言えばよいじゃないかと誰でも思うでしょう。
 私は館長を責める気はありません。立場上、中国共産党員であることは間違いないかと思いますが、立場上、曖昧に言葉を濁すしかなかったでしょう。南京事件のように論議の分かれるものはともかく朝鮮戦争のように北朝鮮が中国といっしょに韓国を侵攻したことが明白な出来事についても、中国共産党員に指摘すると、証拠も見ずに「嘘だ。アメリカが侵略した」「ありえない」「でたらめだ」と激しく否定されたことがあります。残念ですがこういうスタンスの歴史観を持ち、映画の内容についても厳しく干渉される環境の下、制作されている以上、日本人がわざわざこの映画を観る必要はないのではと思っています。観れば、観客の日本人は善意のつもりでも、結局はプロパガンダに利用されるだけではと思っています。
 映画についていうと、さすがに有名な日本人俳優は一人も相手にせず、無名の日本人が出演しています。最近の中国制作の日中戦争の映画ば昔の中国映画のように太って眼鏡をかけて髭を生やしたステレオタイプはあまり登場せず、侵略に心を痛める日本兵や日本人も必ずといっていいほど登場し、日本に留学経験のある中国人が吹き替えているのか日本語もなかなか上手です。もしかしたら演じるのは中国人でも、セリフは日本人が演じているのかもしれません。大変上手な日本語の日本人も登場します。ただ素人くさいので日本人留学生のアルバイトかもしれません。実は日本の軍国主義は敵でも、日本人全部が敵ではないという主張には好感は持てます。程前という中国人俳優が「沙家浜」という日中戦争のドラマで悪役の日本兵を演じた時、「日本人の友人もいるか、故郷や家族を思うひとりの人間としての日本兵を演じようと努力したが、そうした場面が大部分カットされたのは残念だった」と語っています。「南京!南京!」も日本兵の描写など明らかに日本人に配慮した部分があり、反日映画とは思ってはいません。ただ日本人としての主張は主張として一度観てみたらどうかといえるかというと、事実関係の取り扱いへの疑問からやはり躊躇するところです。
 なおこの映画が日本で一般公開されなかった事情について、雑誌「創」が報じていました。著作権のある日本の楽曲を勝手に映画の中で使用し、しかも指摘に対して誠実な対応をとらなかったということから、最初は寛大な姿勢だった著作権継承者が態度を硬化。この問題を解決しないのなら日本では公開できないと配給会社が制作者に伝えたということです。「創」の現物が見つからず記憶で書いていますが、大筋では間違っていないと思います。



#9583 
バラージ 2014/04/20 00:38
さよなら、アドルフ

 以前にもちょこっと触れた映画『さよなら、アドルフ』を観ました。ナチス・ドイツの敗戦によりナチス高官だった両親が拘束され、妹弟たちを連れて田舎に住む祖母の下に逃避行する少女が主人公で、ナチス政権下にナチス高官の子供として幼少期を過ごし、その崩壊による価値観の転倒を経験した、いわゆる「ヒトラーの子供たち」を描いた映画です。
 それまで裕福な生活を送っていた子供たちに過酷な現実が降りかかる。初めて知るナチスによるホロコーストと、父親がそれに深く関わっていたという受け止めきれない事実。そんな中で彼女たちを助け、旅の道連れになるユダヤ人少年との出会いと、後になって明かされる真実が彼女の中の何かを変えてゆく。ラスト、過去の思い出と決別するかのようにある行為をする少女の決然とした顔が、イノセンス(無垢)の時間が終わる時を象徴していて、とても印象的です。オーストラリア映画ですが全編ドイツ語でヨーロッパ映画らしい雰囲気が濃厚にあり、それだけにちょっとだけ眠気を催すところもあったんですが、いい映画でした。
 公式サイトの解説によると、実際のナチスの子どもたちも父親の過去との関わり方に苦悩したようです。過去と向き合うという意味では、日本も同じ状況があったと思うんですが、そういう意味でも示唆に富んだ映画でした。

 そういえば日本では未公開だった、南京大虐殺の際に南京市民の保護に努めたドイツ人ジョン・ラーベを描いたドイツ・中国合作映画『ジョン・ラーベ 〜南京のシンドラー〜(原題:John Rabe)』が、南京・史実を守る映画祭によって5月17日に江戸東京博物館ホールで上映されるそうです(もちろん日本語字幕付)。『南京!南京!』と同じくその日1日限りの上映で、DVDにもならないでしょうから僕は観れませんが……(ちなみに『南京!南京!』は日本語字幕付の動画が某動画投稿サイトにアップされてるようです)。チャン・イーモウ監督の『金陵十三釵』もいつの日か上映してほしいなぁ。



#9582 
黒駒 2014/04/14 14:59
中世武士選書で大内本

戎光祥出版より中世武士選書20、米原正義『大内義隆』が刊行されます。新刊ではなく復刊のようですね。書名は『大内義隆』となっていますが目次を見ると第一部が「義隆以前の大内氏」となっており、南北朝・室町期の大内氏に関しても詳しく触れられているようです。中世武士選書ではすでに、ずばり『大内義弘』が刊行されており、二冊目の大内本ですね。

最近は南北朝に限らず、様々な出版社から地元でないと手に入りにくい地方郷土史の本が全国的に刊行されることが多くて、けっこう有り難いです。出版不況なんでしょうけど、有り難い傾向ですね。



#9581 
マルクスの恋人 2014/04/07 04:24
ゴースト・コンポーザー

このフレーズに、カプコンの新作ホラーゲームを想像したのは、私だけじゃないでしょう。
震災以来時の止まったような、廃校舎の音楽室から夜な夜な聞こえる妖しいピアノの謎に、義手の少女が不思議なバイオリンを武器に立ち向かうんでしょうか。途中まで導いてくれるのは、中年眼鏡の音大非常勤講師。将来を嘱望された天才フィギュアスケーターが、隠しコマンドで現れたりして。

いろいろ構想しましたが、不謹慎なわりにどうも見せ場が乏しそうで、深入りは止めときます。
スタップ細胞のほうが、仮面ライダーXを思い出して(♪白い割烹着 試験管 額に輝く 汗の痕〜♪)
まだまだ巨大な陰謀が隠されていそうで、露見が楽しみです。



#9580 
黒駒 2014/04/06 16:55
列伝

南北朝列伝、折を見てちょくちょく気になった人物を読ませて頂いています。やっぱり歴史は人物史から入るのがいちばん入りやすいですね。列伝の更新を密かに楽しみに待たせていただいてることを一言、申し上げておきます。



#9579 
つね 2014/04/06 02:18
南北朝正閏論

ご指摘のとおり日経新聞です。
徳川光圀は「石田三成も忠臣であり悪く言うべきではない」と言ったそうですから、「忠義」という言葉には弱いのでしょうね。さすがに三成を英雄扱いはしてないと思いますが。

イデオロギーや判官びいきがあるから、単純に物理的な事実は別として、「何が正しいか」というのは難しいですね。結局は、自分好みの解釈・答えを選ぶということになりそうです。「当時の人が言ってるんだから」というのは一つの考え方でしょうが、当事者はそれぞれ自分の側が正しいと主張しているはずだから、無関係な庶民や地方豪族で言ってたのかな。まあ当事者も立場を変えたりしてたんだから、やはり「正解」そのものがないというのが「正解」な気もします。教科書的にはそうはいかないのでしょうが。



#9578 
つね 2014/04/06 02:02
STAP騒動

レスありがとうございます。私もこの騒動にはかなり興味を持っています。
今でも小保方さんを擁護している人というのは
・最初はもてはやしておいて後から叩くマスコミや世間の風潮に疑問がある
・全責任を小保方さん一人に押し付けようとしているように見える理研の姿勢に疑問がある
・日本人に特許を取らせないための欧米の陰謀だ(笑)
といった感情が先に来ているような気もします。論文の重要性は学問の分野にいる人でないとなかなか理解できないところもあるかもしれません(私も学問の世界は縁遠いです)。一般の人の目を論文の重要性に向けたという意義はあったかもしれません。
「若い」「女性」ということ自体は本人の罪ではないですが、そこを自ら売りにした部分がありますし(ムーミンやら割烹着やら。ご紹介の大隅典子さんも本来は慎重な方だと思いますが、このワードに誘惑された部分もあるようです)、理研は理事長自ら「責任を取るかも」と言っているので、これから粛清の嵐が飛び交うのでしょう。彼女自身については、再発防止のためにもスケープゴートになってもらう必要がありますが、そもそもまともに実験をやっているのかどうか怪しいレベルだし、日本の科学界の信用を落とし、世界中の研究者に無駄な時間を使わせたので、情状の余地なしです。なぜ実績のない彼女がユニットリーダーになったのかも裏がありそうです。
「最近の事件だな」と思わせるのは、
・法廷闘争に突入しそうなこと
あの佐村河内氏も名誉棄損でゴーストライターを訴えると言ってますし、日本も訴訟社会
に入りつつあるのかなあと思わせます。もちろん訴訟を起こすことは正当な権利ですし、いろいろ明らかになることが期待されるので悪いことではありません。
・インターネット中心で追求されたこと
20年くらい前に起こっていたことなら、「再現性がない」ということは1年くらいで伝わったでしょうが、論文のコピペについては明るみに出ず、「何か本人も分かっていないコツがあるに違いない」とさらに無駄な時間が費やされた可能性もあります(私も論文コピペが明らかになるまでは、そう期待してました)。理研の対応が遅いと言われてますが、そこを責めるよりはネット追求の早さに驚くべきところかと。
それにしても科学史に残るスキャンダルですね。役者も揃っているし、数年以内にドキュメンタリーや小説として出され、30年後くらいには映像化されて「歴史映像名画座」に「ついにこれも歴史になったか」とレビューされるのが目に浮かぶようです(笑)。



#9577 
ひで 2014/04/06 00:43
興味深い近刊情報

吉川弘文館の頁を見ていたら、興味深い本が2冊。
「南朝の真実 忠臣という幻想」
「描かれた倭寇 「倭寇図巻」と「抗倭図巻」」

来月下旬に発売されるとのこと。こちらのサイトに来る皆様にはかなり面白く読めるのではないかと思われます。史点のゴーストライターネタに出てくる人達について色々と書いてありそうな本だったり、倭寇関連だったりしますし。後者については、「抗倭図巻」のほうは中国で最近発見されたものを本邦初公開したものだとか。

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9576 
アジアのバカ大将 2014/04/06 00:32
水戸黄門と足利尊氏

文言春秋社の池島信平氏が、歴史について対談する「歴史よもやま話」(同社)という本を昔読んでびっくりしました。足利尊氏の章は、足利家当主である同志社大学教授が対談相手でしたが、対談の最後に、あっという「種明かし」があるのです。
同教授は水戸徳川家出身で、養子であることを明らかにします。これは、なんと黄門水戸光圀公の遺言に従ったためというのです。遺言は「大日本史に、朝敵と書いてしまったが、これにより源氏の名門足利家が絶えては申し訳がない。もし子孫に恵まれなかった場合、我家より養子を出すように」というもの。黄門様より300年、その時がきたというです。光圀公の気配り、それを守った水戸徳川家の義理堅さに感動しました。



#9575 
徹夜城(そろそろ南北朝列伝を更新したい管理人) 2014/04/05 00:23
パロディ論文

>つねさん
 今年の四月バカの綱吉ネタですが、思いついたのは割と早かったんです。アイデアのもとは例の位牌の話でして、それだけでも十分にネタになると思っていたら、そこへSTAP騒動が巻き起こってついつい僕自身がハマってしまい、それならいっそあれをヒントにしたパロディ論文の形式で綱吉ネタをやってみようか、と思ったわけです。きちんとした論文形式にするにはちと時間が足りませんでしたが…

 実際、かねて「パロディ論文」というのはやってみたかったんですよ。僕がファンサイトやってる(全然更新してないけど)SF作家アイザック=アシモフは正真正銘の科学者でもあるのですが、博士論文を書くのと同時期に「時間を超える架空の物質」をテーマにしたパロディ論文をSF雑誌に発表してます。博士論文の指導教官たちも読んでてネタにされたそうですが(笑)。こういうの、歴史学でやってみたいなぁ、という思いはあったんです。

 それと、今度のSTAP騒動でネット上のいろんな声を見ていて、「論文に多少欠陥があったってSTAP細胞そのものを発見したんなら問題ないでしょ?」な声を一部とはいえ結構みかけたもので、そういう人に対して小保方さんがやったことはどういうことなのか、パロディの形で提示してみたい、という狙いもあったんです。ま、あんまりうまくいったとは思ってないんですけど…もそっと時間をかけたかったかも。

 文末の「脚注」、実はウィキペディア英語版の「徳川綱吉」の項目の脚注をそのまんまコピペしたものです。小保方さんは博士論文でそれをホントにやっちゃってますからね。ネイチャーに出した論文についても「序論とか一部くらいコピペでも」みたいな声を少なからず見かけましたが、そもそも実験内容そのものの部分にOCRスキャンしたとしか思えない箇所があったり、他人の昔の論文の実験部分を使用した実験用具(ここ数年ではまず入手できないとされています)までそのまんまコピペするという恐ろしいことをしてるんですが、なぜか理研の会見ではこの件がほとんど触れられていません。

 この件でいろいろと発言をなさっていた日本分子生物学会理事長の大隅典子さんが3月末にブログで書かれた「STAP細胞騒動から考える「科学論文とは?」」を先ほど読んだんですが、「論文とは科学者にとっては大事な作品です」という言葉に大いにうなずきました。もちろんこれは理系だろうと文系だろうと変わりのないことです。いろいろと興味深い内容でしたので、紹介させていただきます。
http://nosumi.exblog.jp/


>南北朝正閏論
 つねさんがお読みになったのは日経新聞の記事ではないでしょうか。僕も目を通してますので。
 南朝を正統としたのは確かに徳川光圀の「大日本史」の影響が大きいわけですが、どうしてそう考えたかはいろいろと要素があるように思います。ただ、煎じつめてしまうと確かにまず正成を忠義の英雄として祭り上げるという考えがあり、それには南朝を正統にしないと、というコースがあったように思います。神器の所在が問題になるのは南北朝時代の当事者たちもそうだったわけですけど、大日本史が神器を根拠にする理屈はどうも後付けになってる気配すら感じます。一部に南朝を正統とすることで南朝が滅びた=天皇時代の終わりで武士時代になるという論理だ、という意見があるようですが、僕は深読みに過ぎると思ってまして。

 光圀以前の段階ですでに正成の英雄化は「太平記読み」の講談を通じて広まっており、「太平記」自体もスタンスは南朝寄りなもんですから、庶民も知識人も南朝を正統にしないとおさまらない雰囲気はかなりあったかもしれません。また明が滅んで亡命してきた朱舜水みたいのが岳飛を思わせる悲劇性からか正成を持ち上げて光圀に影響を与えてまして、結局は判官びいきにすぎないのかも。

 ただそこに何かと理屈をつけて正邪を決めたがる朱子学が絡んでくるから厄介。後醍醐自身もこれにハマっていた気配がありますが、江戸時代だともっと深刻で、いったん南朝が「正統」となってしまえば正成は大忠臣で、南朝は「官軍」で北朝は「賊軍」とハッキリ書いちゃう。正成の息子の正儀が北朝に寝返ったりすることについては史料調査で出てくるものの、ホントかどうか疑い(だって大忠臣の直接の息子ですからねぇ)だいぶモメたという話もどっかで聞いたような(大日本史では正儀だけ列伝が別扱いになってます)。

 その日経の記事にもありましたが、それでも明治になってすぐに南朝正統と決まったわけではなく、歴史教科書も「南北朝」と併記だったんですよね。大逆事件の裁判で幸徳秋水が「今の天皇は北朝じゃないか」とヤケクソで言ったりしたもんだから読売新聞が教科書攻撃に火をつけて、国会でも政府追及の種にされたりしたもんですから天皇の名において南朝正統と決定し、南北朝時代ではなく「吉野時代」とか言わなきゃいけなくなる(田中義成は「当時の人が南北朝と言ってるんだから、南北朝時代が正しい!」と主張しましたが)。うるさくなったのは明治も末以降のことだったんですよね。
 朱子学にせよ、皇国史観にせよ、「こうだ」と基準をイデオロギー的にいったん決められてしまうと、何でもかんでも正邪に分ける2ビット思考に暴走することがあるから怖い。それこそ昭和前期とか文化大革命とか。
 怖いもんで、その記事でも書かれてましたが戦後でも南朝正統の皇位継承で代数を数えてるわけで、その辺全然見直されてないんですよね。そのへん、我が「南北朝列伝」は天皇を「北朝○代」「南朝○代」と書くという画期的なことをしているわけです(笑)。


>ガンダム声優
 永井さんはまぁまぁの年齢として、ブライトさんもセイラさんもマ・クベさんも、と早死にが多くて…全編をもう一回リメイクってことにはなりにくいんじゃないですかねぇ。



#9574 
バラージ 2014/04/05 00:04
楠木正成の人気はなぜ失墜したか

 以前、「足利尊氏はなぜ人気がないか」というネタで書き込みしましたが(#9474)、もう1つ考えていたネタがこれ。ちょうどニュースな4月バカで正成ネタが出てきたんで、書いちゃいたいと思います。

 ほんとかどうか知りませんが、戦前の日本史人気者ベスト3は源義経・楠木正成・豊臣秀吉だったとか。今なら織田信長と坂本龍馬が人気の双璧でしょうが、それでも義経と秀吉は今でもある程度の人気は保っているのに対して、すっかり人気が落ちてしまったのが楠木正成。いったいそれはなぜなのか? 称揚された戦前・戦中の反動や、南北朝時代そのものに人気がないことも一因でしょうが、やはり正成個人にも原因があるんではないかと思います。龍馬は武将じゃないし信長・秀吉は天下人で正成と比較するのはやや適当ではないので、立ち位置が似ている義経と比較して考えてみたいと思います。
 義経と正成の共通点といえば、やはり希代の軍略家というところ。しかし義経の人気の源泉はそこではなく、貴種流離譚や判官びいきや静御前とのロマンスなど義経の人生そのものに起因しているところが多いと思います。では戦前に正成の人気を形作っていたものは何かというと、「忠孝」という今の時代では明らかにウケの悪そうなところ(僕もあまり好きなネタではない)。さらに個人的な印象ですが、義経・信長・秀吉・龍馬にはどこか「少年」のイメージがある(実際の年齢ではなく、あくまでイメージ)のに対して、正成のイメージは「おっさん」。同様に少年ではなくおっさんイメージの家康も人気はいまいちですから、少年性が感じられるというのは人気者の条件なんではあるまいか。
 そう考えると大河ドラマの主人公にというのもなかなかに難しそうな気がします。もういっそのこと一部の韓流歴史ドラマや中華歴史ドラマみたいに、娯楽性優先で史実に大胆な改変を加えちゃっては?(『奇皇后』もその手の作品のようです) 若いイケメン正成が、実は男装の女帝だった美女・後醍醐をめぐって尊氏と三角関係の愛憎劇を繰り広げるなんてどうでしょう? いかん、なんか本当に面白そうな気がしてきちゃったぞ(笑)。

>『風立ちぬ』
 主人公を実在の人物と思ってる人はむしろ少ないのでは? 観てる人の観る動機は「宮崎アニメだから」というのが圧倒的多数派でしょうし、他の宮崎アニメと同じく架空の人物と思ってる人が多そうな気がします。次いで堀辰雄の小説のアニメ化と思ってる人が多そう。堀越二郎が出てくるのはその次ぐらいなのでは? 僕もこの人は全く知りませんでしたし。

>『THE ORIGIN』アニメ化
 う〜ん、どうせなら『閃光のハサウェイ』か『クロスボーン・ガンダム』をアニメ化してくれないかなあ。



#9573 
つね 2014/04/03 23:50
四月バカ史点感想

「現代のベートーヴェン」や「リケジョ」は確かに四月バカネタにふさわしいですね。しかし史点も負けていませんよ(笑)。徳川家の位牌の噂は知る人ぞ知る話だと思いますが、こんなふうに紛れ込まされると「これも嘘か」と思われそうです。
「過負荷」教授やら「史劇惹起性」なんて出てくるから最後のReferencesも大文字だけ拾うとO…B…O…なんて出てくるのかと思いましたが考えすぎだったようです。多分。

先日、たまたまジムに置かれていた新聞を読むと南朝正統論の話が出ていました。「水戸光圀が南朝正統論を唱えたのは、忠義重視の姿勢から、主を転々とした足利尊氏ではなく楠木正成を讃えるため」とありました。てっきり「三種の神器→南朝正統→忠臣楠木」の論理だと思っていたので、「ジャイアンの妹だからジャイ子なのではなく、ジャイ子のあんちゃんだからジャイアン」という説を聞いた時と同じような衝撃を受けました(笑)。一方が正しくて他方が間違っているというのではなく、どちらも成り立つのでしょうけど。

>「ガンダム THE ORIGIN」アニメ化
情報ありがとうございます。私は声優にはあまりこだわりはないですが、今となると永井一郎さん(wikiを見るとナレーションやデギンなど20役以上もあてられていたみたい)やマ・クベの声の人がいなくなっているのが残念ですね。マ・クベはかなり人物像が変わっていますが。アムロ、シャア、ギレンなどは健在ですが、同じ人がやるのかな。どれもかなり印象が強い声ですが。



#9572 
笹穂槍 2014/04/03 18:39
神剣の守護者 補足

自分は大河のあの場面、まだ小6だったのでぼーとみていたら父親が、
「あれ(清次)、観阿弥だぞ」と教えられました。今思えば博学な父ですね。

神剣の守護者はお勧めです。あの作品世界でもそういえば「観阿弥は楠木一族」というのは、
世界全体の共通認識ではないような描かれた方でした。
指摘したのは土岐氏の子孫意識バリバリという、めずらしい描写の明智光秀でした。
作者さんは「観阿弥正成甥説」好きなのか、他作品でも使っているのを見ましたね。




#9571 
徹夜城(今年も無事に恒例行事を終えた管理人) 2014/04/02 00:11
ホラが吹きにくい日々

 どうも、今年も無事に恒例の四月バカ史点を更新できました。今日の昼間まで最後の一つの内容がなかなか決まらず(メインの話は決めてましたけど)、七転八倒の末に大急ぎであんな感じに仕上げました。
 で、その最後の話題の元ネタについて、本日理化学研究所で「論文の不正・捏造」を断定する発表があったわけですが、その直後に小保方さんが全面的に反論してきたのには正直驚かされました。エイプリルフールだから言いたい放題?なんて見方も出てましたが、博士論文について「下書き」と言い出した時にもなんとかこのピンチをしのいでみせようという強い意図を感じなくはなかったです(半信半疑ではあったんですが)。
 それにしても今回ネタにした佐村河内さんといい、小保方さんといい、さらには「よしみの党」のお方といい、ここまで現実がホラみたいですと、四月バカがやりにくくてしょうがない(笑)。

では、ためこんでしまっているレスを。

>つねさん
今になって明かしますと、「ベートーヴェン」と「リケジョ」に前回「史点」で触れなかったのは、今回のためにとっておいたんです(笑)。
 そうそう、「ガンダムTHE ORIGIN」は先ごろようやくアニメ化の詳細が発表されました。そうだろうとは思ったんですが、まずは「ORIGIN」のオリジナル部分である「シャア・セイラ編」を四巻構成で製作するとのことです。

>笹穂槍さん
 「神剣の守護者」は書店で並んでいるのは見かけました。そこに立てられていた書店の店員さんのコメントに楠木正成がどうのこうのと書いてあったので関連はあるようだなとは分かったんですが、まだ読んではおりません。
 観阿弥の話で、つい最近になって気付いたことですが、大河ドラマ「太平記」は吉川英治の原作をかなりいじりつつも正成の妹が猿楽舞・服部元成と結婚して子供が生まれる展開になりながら、終盤に1シーンだけ登場する観阿弥と思しき青年はあくまで「服部清次」とされ観阿弥とは明言されませんでした。まだその時点では「観阿弥」とは名乗ってないから、とも思えますがあえて分かりやすい断定にしなかったのは、もしかすると歴史考証から「観阿弥=正成の甥説」に否定的な意見が入ったからかも、と思えたんです。

>バラージさん
いろいろご紹介どうも。存在だけチェックしてたのも多いですが、それでもまだまだ知らんのがあるもんだ…と。「奇皇后」は面白そうなネタですね…そのうち民放BSでやらないかな。

>アジアのバカ大将さん
堀越二郎といえば、過去にも映画「零戦燃ゆ」で北大路欽也に演じられてるんですよね。あの映画を最初に見た時には何とも思わなかったけど、今ごろになってこんなに知名度が上がってしまうとは。もっとも「風立ちぬ」をそのまんま事実と思う人も多いんだろうなぁ。原作の漫画をあとから読みましたが、個人的にはあっちのほうが好きですね。
 抗日ドラマとは別に、昨年中国で公開されたという映画「甲午海戦」というのをネット上で見ました。日清戦争の黄海開戦をテーマにした映画で、それこそ昨年の公開ですから領土問題では中国側の公式見解が前面に押し出されてげんなりもするんですけど、やはりそこは「負け戦」なので、中国の皇帝らが遊び呆けてる一方で日本の明治天皇は自ら寄付をして海軍を整備し…みたいな、ある意味日本を持ち上げてるととれなくもない描写も多い。
 そして注目は、ある意味「いまどきこれか?」と驚く精巧なミニチュア特撮海戦!CG全盛のこのご時世にあえて「太平洋の嵐」や「日本海大海戦」の円谷特撮を思わせる古風かつ盛大な作りに、オールド特撮ファンは大喜びしちゃいそう(笑)。

>黒駒さん
 二ヶ月くらい前だったか、明智光秀が「織田信長に仕えているんだが、もう限界かもしれない」とつぶやくというネタがネット上一部で流行っていたのを目撃してます(笑)。

>NFさん
お久しぶりです、またさっそくのお越しと感想カキコ、ありがとうございます。
最初の「バカッター」写真ネタ、ホントはまずは実際にあるバカッター古写真を集めまくって提示するアイデアだったのですが、意外とうまいのが見つからなくって。海外の物まで探し回っていくつか候補があったんですが、話の流れでそれはカットになりました。
昨年この掲示板で話題にしましたが、「昔はよかったというけれど」という本で、戦前の新聞記事から昔も公共の場での非常識な行動や食品・製品偽装などいっぱいあって、バカが近年増えたというのは錯覚なんだとしっかり指摘されてました。



#9570 
NF 2014/04/01 20:50
今年も、はやこの季節に

 ご無沙汰いたしております。今日の日付を見て、「そういえば今日は」とふと思い出してこちらを覗かせていただきました。時事ネタも盛りだくさんで、楽しかったです。やっぱり4月1日付「史点」を読まないとエイプリルフールを迎えた気がしません。

>バカッター
 よくぞ、これだけ写真ネタをそろえたものと、驚きました。写真はともかく、大真面目な話として昔の若者もツイッターがあれば負けず劣らず碌でもないことをやって悦に入ってそうだなあ、とは思います。以下の記事で触れているように、若者が仲間内の同調圧力や承認欲求から悪さしたり、内輪受けでアホな写真とったりは昔からあったようですし。

ttp://trushnote.exblog.jp/21476361/
ttp://trushnote.exblog.jp/17838085/

>正成の指示書
 指示書にある図、ひょっとして元ネタは金剛山大要塞説か何かなんでしょうか?気になります。ところで史実の孔明さん、戦下手というより国力が違いすぎてどうしようもなかっただけで、司馬懿を相手に戦って破綻を来さなかっただけでも賞賛に値するように思えるのですが、それは余談という事で。

>徳川将軍家の秘密
 昔、足利将軍家の祖先とその後の進化を論じたネタを見たのを思い出しました。あちらは動物学・民俗学の知識を生かして議論を展開してましたが、こちらは最先端科学の成果を駆使。時代は変わるものですね(笑)。

 久しぶりに、楽しませていただきました。今後も、気が向けば出現するかと存じますが、温かく見守ってやっていただければ幸いです。

http://www.geocities.jp/trushbasket/


#9569 
つね 2014/03/31 00:26
織田家は外資系のイメージ

私はドラマのほうは見ていないのですが、能力があれば抜擢し(秀吉や光秀)、無能とみなされば譜代でも即日追放(林秀貞や佐久間)という徹底した能力主義から外資系のイメージがあります。ブラックはどこでしょう? こき使うだけ使って全く報いない、というのは戦国時代では生き残れなかったのでは。建武朝廷は武士団からしたらそうかも。



#9568 
黒駒 2014/03/30 23:03
織田家ってブラック戦国大名?

「官兵衛」がもう退屈で、正直けっこう見ていてきついのですが、今日は消費増税を前日に控えてたためか、織田家って現代の言葉で評してしまえば「ブラック戦国大名」だよなぁとか思ってしまいました。たぶん、同じこと言ってる人は多いのでしょうけど。

織田家がブラックだとして、ブラック戦国大名が統一政権となり歴史を大きく動かしていくのは皮肉なもので、現代の経済社会においても、ブラック企業と呼ばれているとこほど、成長している気がします。

私は経済だけは日経たまに読むんですけどよくわからなくて、アベノミクスや消費増税の是非論がなんともわかりません。消費増税を決めた野田佳彦や安倍晋三を批判する意見もあるのですが、私はむしろ、これまでこの問題を避け、デフレ経済や赤字財政を放置し続けた政治家たちのほうに責があるのでは、とも思えてしまいます。

アベノミクス・消費増税で日本の景気がよくなって、財政赤字は解消されるのか、長く続いたデフレ経済下で成長したブラック企業が今後どうなっていくのか、そんなことを考えたのですが、私は経済がわからないで、長生きして歴史的評価とやつがどう定まるのかひとつ見届けたいな、なんて思いました。



#9565 
つね 2014/03/28 00:25
歴史的事件

>警視庁10大事件
140周年ということだから、もっと歴史的事件ということで選んでもいいような気もします。226とか、昭和天皇暗殺未遂事件の虎ノ門事件も内閣総辞職や警視総監免職になってるし。まあ言い出すとキリがないのは確かですが。

私も中学生くらいのときはノストラダムスにはまりましたが、高校生くらいは落合信彦にはまってました。この人がトンデモ系かどうかはよく知らないのですが。この人の文章で「年配のアメリカ人は真珠湾とケネディ暗殺のとき、自分が何をしていたか覚えている」というのがありました。今なら911もでしょうね。この基準でいえば、私の場合、やはり東日本大震災(東京で経験)と阪神大震災(京都で経験)は含まれますね。

>「虹色のトロツキー」
興味はありますが未見です。安彦さんは「アレキサンダー大王」とか「神武天皇」と意外と歴史漫画が多いですね。そういえば「ORIGIN」のアニメ化ってどうなったんだろう。



#9564 
アジアのバカ大将 2014/03/27 12:28
抗日ドラマに堀越二郎登場

上海のホテルで深夜、「血戦長空」という日中空中戦ドラマをみていたら、アニメ「風立ちぬ」で軍事オタク以外にも有名になったゼロ戦設計者・堀越二郎氏のキャラクターが登場していました。まだ「十二試艦上戦闘機」と呼ばれていたゼロ戦の試験飛行に、中国戦線で立ち会っていました。まじめな技術者という描かれ方でした。
特撮もよくてできていて迫力ものです。テスト飛行で急上昇から急降下を繰り返すうち、機首があがらなくなり、墜落しそうになります。堀越技師は「脱出しなさい!」と叫びますが、パイロットは聞き入れず操縦かんを握り続け、ついに機首引き起こしに成功します。堀越氏登場はここだけですが、印象は悪くありません。
劇中、中国空軍顧問のアメリカ人クレア・シェンノート大佐(実在)は、ゼロ戦を初めて目撃「あんな完璧な戦闘機はみたことがない!」と感嘆します。重慶上空でのゼロ戦の初陣は、このシェンノート大佐の日記を引用した「それは戦闘というよりは、一方的な虐殺にちかいものであった」というナレーションと、ドラマ主人公の1人の中国軍エース飛行士のものを含む20余りの棺が空軍司令部の中に並ぶことで描かれていました。
あとで全40回のDVD(全8枚)の「血戦長空」を買い求め、早送りしながら見ましたが、空中戦という戦闘機械同士の戦いが主なので、全体的にドライで明るい印象です。登場する日本軍人は、実在の日本陸軍航空隊のエース(加藤建夫ら)が中心。いかにも好戦的なキャラで登場しまが、不自然ではありません。俳優も中国人の男らしい二枚目ばかりです(なお、このドラマでは、アメリカ人もロシア人も日本人も全員、中国語しか話しません)。逆に、中国軍側の方が芋っぽいキャラの俳優が多いくらいでした。
中国軍側は、主な登場人物が国民党側ばかりのせいか、実在キャラはほとんど登場しません。モデルが分かる人物ばかりですが。ただ宋美齢(当時事実上の中国空軍司令官)だけは、実在名で、しかも本物より2〜3ランク上の中年美人女優が上品に演じて、終始登場します。
南京で日本軍の爆撃の中、周囲の言葉を無視し、庭園に小さい甥っ子とどまります。「ジミー(甥の名)や、悪人どもがどのように私たちの同胞を苦しめるか、この目で見てやりましょう」「わかりました、大おば様。ところで、正義の味方はいつ現れるのでしょうか?」「ジミーや、子供のお話の中とちがって、現実の世界では、正義が勝つまでに時間がかなるのよ」。なかなかカッコいい。
共産党側の活躍はほとんどなく、敵地の中でパラシュート脱出したパイロットを救出するため出動して、ほとんど全滅したりします。なお、最初から最後まで狂言回しとして登場する中国軍通信将校(完璧な美女)は、実は共産党のスパイなのですが、終始国民党将校として振る舞います。



#9563 
バラージ 2014/03/24 22:13
史点など

>中国史未収録作品紹介ドラマ編追記
 『奇皇后』……DVD化前(有料CSで放送中)。未見。元末期の皇帝に嫁いで皇后にまでなった高麗女性・奇皇后を描いた韓国ドラマ。韓国史か中国史かモンゴル史か微妙なところですが、主な舞台は高麗でなく元みたいですし、元はモンゴル史ではなく中国史でしょうから、やっぱり中国史ではないかと。

>警視庁10大事件
 これ、新聞で読みました。9位の西南戦争には「ええっ!?」となっちゃいましたね。1つだけリアルタイムじゃない、完全に歴史上の事件だよなあ。実際、警察職員もそういうノリで選んじゃったのでは? 実際に体験した人は今では誰一人いないわけだし(関東大震災もそこはいっしょ)。
 個人的にはやはり2位の東日本大震災が最も大きな事件です。おそらくずっと忘れることはないでしょう。警視庁や自衛隊もたくさん支援に来てましたね。オウム真理教事件も非常に重大な事件だとは思いますが、個人的な体験だとやはりどうしても東日本大震災が上に来ます。でもまあ東京の人だとオウム事件のほうが身近な事件なんでしょう。あさま山荘事件も、個人的にはリアルタイムじゃない歴史上の事件。3億円事件も事件自体はリアルタイムじゃないんですが、いまだに未解決のためか過去のことという感じがしないところがあります。有名な白バイ男のモンタージュ写真は銭湯なんかでよく見かけましたしねえ。事件としても僕はこちらのほうが興味があって、映像作品も結構観ています。

>つねさん
 安江仙弘については#9495にも書いたんですが、トンデモ論に片足突っ込んでた人なんですよね。それが、彼のなかにあった人道的な性向も手伝って、結果的にプラスの方向に働いたわけですが。
 そういや僕も中高生の頃、『ノストラダムスの大予言』にハマった恥ずかしい過去があったりします(笑)。



#9562 
笹穂槍 2014/03/24 16:13
すみません

猿楽舞いの双子・・ではなく年子でした。
後醍醐天皇の夢の童子・・ですね。




#9561 
笹穂槍 2014/03/24 15:23


数年前にたまに南北朝関係の質問したりしてた者です(そのとき何て名乗ったかは忘れました・・)南北朝大好きです!

学研から去年末に出た「神剣の守護者」という小説が面白かったので、ご紹介します。
著者は智本光隆さん。
舞台は織田信長の伊勢進攻ですが、
物語は「禁闕の変」で楠木正成の子孫が、御所から神剣を盗んで伊勢に脱出するところからスタートします。

それから120年・・正成から数えて10代目・楠木正具(まさとも)が先祖の負けず劣らずの「悪党」ぶりを発揮して、信長を手玉に取る物語です。伊勢国司として北畠が登場したり、後醍醐天皇が第六天魔王になっていたり、敵方の明智光秀がむかし土岐氏が楠木にやられたのを恨みに復讐しようとしたり、、
戦国時代で南北朝!な感じの小説でした。
観阿弥楠木一族説をとっていて、猿楽舞いの双子が個人的には好きなキャラです。

南北朝ファンが楽しめるめずらしい戦国小説です。



#9560 
つね 2014/03/24 00:44
史点感想

>アンネ
「アシスタントとゴーストは違う」という文言を目にしたときは最近の「現代のベートーヴェン」やら「リケジョ」やらが思い浮かびました。史点にはいい題材だと思いましたが没ネタでしょうか。
>ユダヤ人
最近、半藤さんの著作にふけってまして「歴史探偵 昭和史をゆく」だと、ユダヤ人のゴールデン・ブック(基本は偉大なユダヤ人)に掲載されている安江仙弘のように満州でのユダヤ人保護に尽力した人にも言及したいですね。彼が予備役になったのが日本国としての意思であって残念なところですが。
>警視庁
東日本大震災を挙げるなら関東大震災だろうと思いますが、何位だったんでしょうね。最後まで順位が知りたいものです。

ウクライナ情勢とビットコインは興味を持っていてもついていけていないところが正直なところ。あとマレーシア航空事故が最近の話題ですね。こちらは続報があると思いますが。



#9559 
2014/03/20 21:40


 ありゃ、文字化けしちゃった。蔡エン(蔡文姫)の名の字は王へんに炎です。



#9558 
バラージ 2014/03/20 21:34
中国史未収録作品紹介ドラマ編

 #9138、#9172なども参照。邦題が内容とちょっとずれてると思われるものは()内に原題を併記しておきます。なお、僕は『曹操』の新しいほう以外は全く観ておりません。

・殷〜周『封神演義』『封神演義 逆襲の妲己』
 中国版wikiとかも見てみたんですが、この時代の映像作品は『封神演義』しかないみたいなんですよね。殷の前には実在が未だ確認されていない夏がありますが、そちらに至っては映像作品が全くありません。『逆襲の妲己』は『封神演義』の続編らしいですが、主要キャストがほとんど変わってます。

・春秋戦国『東周列国』『孫子《兵法》大伝』『復讐の春秋 臥薪嘗胆』『燃ゆる呉越(原題:越王勾践)』『争覇 越王に仕えた男』『三国争乱 春秋炎城』『大秦帝国』
 『大秦帝国』の日本版DVDは総集編のようです。

・秦〜漢『始皇帝烈伝 ファースト・エンペラー』『始皇帝暗殺 荊軻』『始皇帝 勇壮なる闘い(原題:大秦直道)』『項羽と劉邦(2004年)』『項羽と劉邦 King's war』『劉邦と項羽(原題:漢劉邦)』『劉邦の大風歌 漢建国記(原題:大風歌)』『美人心計 一人の妃と二人の皇帝』『漢武大帝』『王妃 王昭君』
 『劉邦の大風歌』は劉邦の天下統一後から始まり、呂后専制期を経て文帝治世期までを描くドラマ。『漢武大帝』の日本版DVDも総集編のようです。

・三国〜晋『三国志 Three kingdoms』『三国志 呂布と貂蝉』『三国志新武伝(原題:関公)』『曹操(1997年)』『曹操(2012年)』
 新しいほうの『曹操』は全41話のうち10話くらいまで観ましたが、一言でいうと……地味(笑)。史実寄りのドラマで、正史を読みこんでるマニアか、逆に三国志を全く知らない人向けといった感じで、一般的な演義・吉川英治・横山光輝系の三国志ファンにはお勧めしづらいかも。霊帝が意外に無能でないとか、後漢王朝内部の複雑な勢力争いとか、面白いところも結構あるんですが、全体的にはやっぱり地味。なのでなかなか観るのが進みません。個人的には女性詩人・蔡&#29744;(蔡文姫)の登場がうれしいところ。

・五胡十六国〜南北朝『侠影仙踪』『北魏馮太后』『後宮の涙』『蘭陵王』『少林寺伝奇 乱世の英雄』
 『侠影仙踪』は架空の人物が主人公の武侠ドラマですが、東晋第5代皇帝の時代というのが珍しいので紹介。曹操の子孫(架空の人物)や書聖・王羲之なども出てくるようです。他は全て南北朝時代の北朝が舞台で、『少林寺伝奇』は架空の人物が主人公のカンフードラマ。

・隋〜唐『皇帝李世民』『新少林寺』『二人の王女』『楊貴妃(2003年)』『楊貴妃(2005年)』
 『新少林寺』は映画『少林寺』のリメイクで架空の人物が主人公のカンフードラマ。『二人の王女』は架空の人物が主人公の後宮ドラマ。

・五代〜宋『楊家将(1985年)』『楊家将(1991年)』『楊家将伝記 兄弟たちの乱世』『七侠五義』『大敦煌 第1部 西夏襲来』『水滸伝(2011年)』
 五代を舞台としたドラマはなくて、宋の時代も楊家将と水滸伝ばっかりです。『七侠五義』も同名の(大岡越前や遠山の金さんみたいな)古典物語のドラマ化。『大敦煌』は架空の人物が主人公ですが、第1部の「西夏襲来」には西夏の李元昊が出てきます。清末を舞台とした第2部「異国介入」、日中戦争前夜を舞台とした第3部「秘宝奪還」は実在の人物が出てこないので割愛。

・宋〜元〜明『織姫の祈り』『大明帝国 朱元璋』
 『織姫の祈り』は南宋が元に滅ぼされる時代が舞台で、黄道婆という女性紡織家をモデルとした人物が主人公。

・明『永楽英雄伝』『王の後宮』『大明王朝 嘉靖帝と海瑞』『少林武王』
 『永楽英雄伝』『王の後宮』『少林武王』はそれぞれ武侠ドラマ、後宮ドラマ、カンフードラマで、架空の人物が主人公。『永楽英雄伝』は永楽帝の娘(架空の人物)がヒロイン(主人公は男性)。

・清『大清風雲』『雍正王朝』『乾隆王朝』『環珠姫 プリンセスのつくり方』『紫禁城 華の嵐』
 『大清風雲』の主人公はドルゴンと、ホンタイジの后で順治帝の母である孝荘文皇后。『環珠姫』『紫禁城 華の嵐』は架空の人物が主人公の後宮ドラマ。

・近代『龍票 清朝最後の豪商』『西太后の紫禁城』『末代皇妃 紫禁城の落日』『記憶の証明』
 『龍票』は清朝末期の豪商・祁子俊が主人公。『記憶の証明』は現代に生きる日中の若者と、その父祖が体験した日中戦争が交互に描かれるドラマ。



#9557 
徹夜城(ciniiで検索したら小保方さんより一つ論文が少なかった管理人) 2014/03/16 00:27
ゴッドファーザー

>ひでさん
 番組収録時に「尊氏はゴッドファーザーのマイケル」という発言があったと聞いて納得。ご覧になれば分かりますがBGMに「ゴッドファーザー」がやたらに使われているのですよ。うまい選曲だな、と思っていたらそういう発言があったんですね。
 「ゴッドファーザー」といえば、大河「太平記」放送前に出版された「大河ドラマストーリー」に乗った「一色右馬介」役の大地康雄さんも「これはゴッドファーザーのトムだ!」と発言してるんですよね。僕が映画「ゴッドファーザー」に興味をもったのもこの発言からだったと思います。
 「太平記大全」にも書いてますが、あとから思うと大河「太平記」も父・貞氏から息子・高氏へ家督が譲られる場面もなんだか「ゴッドファーザー」チックでした。もっとも最近の研究では貞氏は死ぬまで家督を手放さず、高氏が実際に足利家当主となったのは貞氏の死によって、つまりは元弘の乱勃発時だったということになるようです。

 その番組では尊氏が鎌倉幕府に背く決意をしたのは楠木正成の奮戦で情勢が悪くなってる情報を得た後で、かねてよりの計画ではなかった、北条氏側も「え?足利が裏切るの?」とびっくりするような事態だった、という語られ方で、ここはちょっと意外。定番の家時の願文の話も出てきませんでしたし。
 「梅松論」では少なくとも貞氏は上杉氏に倒幕の計画を話していた、という記述があるんですよね。もしかすると尊氏はそんなことは当主になるまで知らず考えもしてなかった、ってことなのかな?

>黒駒さん
 STAP論文騒動、ちらほらと疑問の声が出ていることは2月末くらいには知ってましたが、3月10日の夜から一気に大騒ぎになったのでかねて疑惑を指摘していたサイトを覗いて即座に「こりゃだめだ」と思いました。分野こそ全然違いますけど、「論文」というのがいかなるものか知ってる人間ならそのずさんさ、いや捏造としか見えない工作に唖然としたはず。それから連日のように出て来る疑惑に、もはや笑っちゃうほどの危機感を感じてしまいましたね。
 まず、「似てるな」と感じたのが旧石器捏造騒動です。あのときも発覚直後は「一時の気の迷いであってこれまでの成果には問題ない」と関係者はしばらく言い張ってましたよ。しかしこれもごく一部とはいえだいぶ前から「変だ」と指摘してる人はいましたし、結局は常習的に捏造をやっていたことが判明して関係者の全ての成果はパーになりました。一昨日の理研の会見を見ていて、ある意味「科学的」な慎重な物言いとも思えましたが、やっぱり「自己防衛」に走ってる、あるいはまだ一抹の信用を置いているのかとも感じましたね。野依さんの「教育し直す」発言にもビックリ。
 どうも本人も「博士論文は下書き」と言い出したり、結局撤回を申し入れたり(審査される前に先手を打つ気では?)と、余計に疑惑を招く行動をしているのが気になります。藤村新一氏もずいぶん粘りましたし、そのうえ「記憶喪失」ということになってるらしい。
 参考までにさっき図書館から「ブルーバックス」の「背信の科学者たち」という本を借りて来て読みだしましたら、いきなり最初に紹介されている例(ハーバード大医学部)が今回のケースと良く似ててビックリ。師匠にすっかり気に入られ共同著者として論文を驚異的なペースで発表し風雲児となっていた若い研究者が実はデータ捏造をやっていた、というもので、この時も師匠は「一時の気の迷い」と軽い処分で済ませて研究を続けさせたのですが、やっぱりまたやっちゃった、というんですね。
 それにしても、早稲田の院では博士論文の査読なんて全然やってないんじゃないか…としか、今回のケースは思えないんですよねぇ。


>バラ―ジさん
 そうそう、「歴史映像名画座」に関するご指摘やご提示、ありがとうございます。
 「大いなる飛翔」、DVDがあったんですか。タイトルを変えられてはネット検索ではなかなかわかりませんねぇ(だけど内容的に「列伝」とは合わんような)。VHSソフトが出ていたことすら書いてない映画情報サイトもありますし。
 「鄭成功」の映画のタイトルですが、劇場公開時の「国姓爺合戦」にするかビデオの「英雄」つきにするかはちょいと迷ったんですが…基本劇場公開時のタイトルに統一する方針だったんですが、これについては「国姓爺合戦」などとあたかも近松関与のように見せる公開時の売り方が気になったことと、原作の中国版がその後「英雄鄭成功」に改題してる(僕が所有してるVCDは「鄭成功」しかなかった)こともあり、「英雄」つきにした次第です。
 大河ドラマやTBS正月時代劇(そういやBSで渡辺謙「信長」を先日やってた)、日テレ年末時代劇の未収録のものについては、一応「鑑賞してから」という方針です。もっとも「三姉妹」「いのち」についてはどうも迷いがありまして…



#9556 
バラージ 2014/03/16 00:04
Anne. Anne Shirley. A・N・N・E.

 朝ドラは実話ものをちょいちょいやってます。最近だと『カーネーション』が有名なファッション・デザイナーであるコシノ3姉妹の母親をモデルにしたドラマでしたし、『ゲゲゲの女房』も水木しげるの奥さんが主人公でした。でもちょっと前に映画『ラッシュ』について書いたところでも触れましたが、こういう実話作品って歴史作品に含めていいのか微妙なんですよね。

 『赤毛のアン』に、歴史がらみのエピソードがちょっとだけあるというのは僕も何かで読んだことがあります。僕は原作も読んでないし、これまた有名なテレビアニメもアニメ特集みたいな番組でちょろっと観た程度ですが、本場カナダで作られた映画は観ました。『赤毛のアン』『アンの青春』『アンの結婚』と3作あるんですが、観たのはそのうち前2作。ただ、歴史関連の描写があったかはちょっと記憶にありません。ちなみにこの映画、テレビドラマを再編集したものらしいのですが、観ていても全然気づかなかった。カナダ史関連の映像作品がないんで、紹介しようかなと思ったりもするんですが、やっぱり歴史映画と言えるか相当微妙なんですよね〜。そもそもカナダ史をほとんど知らないんですが。



#9555 
黒駒 2014/03/15 23:20
小保方さん問題

理系分野ですが、私もどうしてもこの問題は気になってしまいます。なんだか、旧石器捏造事件のように生物学という学問全体に影響を残してしまいそうな感じですが。

私は学問の世界には縁もゆかりもなく、ただの趣味的歴史好きですが、最近はツイッターなんかで専門家のナマの発言も耳にしたりできますし、けっこう専門家の先生も、他の研究者について率直に批判的意見をしていたりして、学問とはこういうものかと実感します。

学問の世界も実社会と同様に、いやもしかしたら実社会以上にシビアな世界でしょうし、いったん発表した論文や著作は、厳しく批判的見地にさらされるのでしょうね。小保方さんは指導教官なにしていたんだっていう擁護する見方もありますけど、理系・文系の違いはあれど自分が属する世界がシビアなものであることを、忘れていたのか認識していなかったのか、そんなことを思いました。



#9554 
ひで 2014/03/15 22:34
これから見る予定ですが楽しみ。

>BSの足利尊氏
収録は3時間だったのですが、かなり絞り込んだようです。ツイッターのつぶやきをまとめた頁があり、それや出演された方のツイートをみていると、カットされたものとして「尊氏は『ゴッドファーザー』のマイケルみたいなもの(清水先生)」、「尊氏は気分が落ち込んだ時には引きこもるので、一般の武士たちは明るくて頼もしい尊氏しか知らない」という私のコメントには続きがあって、「しかし尊氏の影の側面を見ている直義は『自分が兄を支えてあげなければ…』と思っていたはず(呉座先生)」、「建武政権をあの「政権交代」に喩えて「『天皇があれだけ自信を持っているんだから、腹案があるんだろう』と武士たちは思って、倒幕側に回ったのではないか(平野さん)」といったコメントがあったようです。なかなか面白そうなので、これから見ます。

>STAP
ここまで凄い展開になるとは正直思っていませんでした。彼女については自分のことを良く見せる、「盛る」ことは巧かったんだろうなあと。残念ながら、実力と研究に対する真摯さ、情熱はなかったような状況が明らかになりつつありますが…。

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9553 
徹夜城(なぜかSTAP論文騒動に興味津々の管理人) 2014/03/15 17:38
尊氏萌え番組

 ちょいと遅れましたが、木曜日に放送された「BS歴史館」(最終回)の足利尊氏につきまして。
 あとから録画でなかなか面白く見たのですが、あのテーマで1時間番組はつらい!相当にあれこれしゃべったんでしょうが大幅にカットされたんでしょうなぁ。
 尊氏を「リーダーシップなきリーダー」ととらえたこと、実は次男で本来なら足利宗家の後継ぎになるはずもなかった繊細な歌人だったこと、それでいて合戦にはよく勝つし「例の笑み」と言われた、見ようによっては投げやりな行動などなどなど、これまであまり語られてこなかった尊氏像が歴史家と作家の観点からワイワイと取り上げられていたのは知らない人には新鮮だったのでは。最近出た清水さんの「足利尊氏と関東」が番組のベースになってる様子ですね。他には「伝頼朝像」について「直義像」との説を有力なものとして取り上げた点も注目。
 見ていて改めて思ったんですが、尊氏ってどうしても一言で表せない、複雑怪奇な人なんですよね。そして後醍醐も空前にして絶後の変人(爆)。後醍醐が実は大覚寺統の中ですら傍系の「一代限り」という立場であり、後醍醐と尊氏は実は似た者同士であったことにも言及がありました。
 直冬については名前を出しただけでしたね…(もちろんしゃべったけどカットされたんでしょう)。尊氏という人間を語る上で竹若、直冬という息子たちの存在は結構重要だと思うんですよ。北条氏の姫君と結婚する前に竹若の母(加古六郎の娘)と結婚していた点には触れてましたが、直冬の母についても紹介してほしかった。出演していた清水さんの本だと、直冬の生まれた時期から推測すると尊氏が直冬の母と「一夜の関係」をもったのは登子と結婚が決まったころらしく、「マリッジブルーからの行動だったのでは」との面白いご意見が出ています。
 この番組、最終回と言うのが残念ですが、最終回に南北朝をドーンととりあげてくれたことは評価したいですね。これで尊氏萌えが触れるかどうかは知りませんが(笑)。

…ところで、「萌え」といえば、つい先ほどこんなゲームの存在を知りました。

「明星の華〜太平記異聞〜」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140312/prl14031214110085-n1.htm
↑産業経済新聞(笑)の経済面にこんなのが。
女性向け恋愛ゲームだそうですが、うむむ…南北朝マニアとしてはチェックしてみたくもなってしまうなぁ。

キャラクター紹介部分をコピペ(ネイチャー論文だってやってるんだぜ)。

【謎に満ちた天才軍略家】楠木正成
【鎌倉を攻め落とした男】新田義貞
【鎌倉武士の誇りを貫く】北条仲時
【鎌倉幕府最後の執権】北条守時
【栄光と悲劇の皇子】護良親王
【元祖バサラ大名】佐々木道誉
【足利幕府の副将軍】足利直義
【南北朝時代最強の武将】北畠顕家
【悪と色のインテリ執事】高師直
【随筆『徒然草』の作者】吉田兼好

…あれ?尊氏くんは?



#9552 
黒駒 2014/03/14 13:40
花子とアンと第一次大戦

連続テレビ小説でもうすぐ「花子とアン」が始まりますね。なんだかこれも実話ベースの話ですし、「歴史映像」ものとみなせるような感じですが。村岡花子は地元なのですが、私は男なので「赤毛のアン」は読んでませんし、馴染みも薄いです。地元の文学館で企画展をやるらしいので見に行って勉強したいのですが。また、地元の書店や図書館でもアン・ブックスがずらっと並んでいるのを見かけるのですが、「赤毛のアン」は10冊もあるので、読み通せる人は少ないでしょうな。

「赤毛のアン」読んだ人に聞くと、アン・シリーズが興味深いのはむしろ後半で、話は第一次大戦の銃後の話まで続くと聞きます。今年は第一大戦100周年とのことですが、なんだか時代背景がわかるようで興味深いです。モーリス・ルブランのルパンシリーズについてもこちらのサイトで勉強させて頂きましたが、ちょうどモンゴメリとルブランは同時代の作家ですね。



#9551 
バラージ 2014/03/12 22:38
中国史 感想編

中国前近代史(1)
『ラスト・ソルジャー』……近年のジャッキー映画の中の良作の1本。旧来のジャッキー映画にやや近いテイストですが、やはりかつてのような命懸けアクションはさすがになくなり、メッセージ性がやや強くなってますね。面白かったです。
『始皇帝暗殺』……普通のテンションで観てれば普通に面白い映画だったと思うんですが、個人的な事前の期待値が高過ぎたため、いまいち感が残ってしまった作品。チェン・カイコーは『さらば、わが愛 覇王別姫』が傑作だっただけに『ベン・ハー』『スパルタカス』クラスの作品を期待してしまいました。『花の影』は失敗作だったんだよな、よくよく考えると。それでもまあまあ面白いとは思います。
『HERO』……傑作『グリーン・デスティニー』をDVDで観て、映画館で観なかったことを激しく後悔していたところ、チャン・イーモウが武侠映画を撮ったと聞き、かなり楽しみにしていた作品。ところが『グリーン〜』と違ってワイヤーアクションが美しさ優先であまり迫力が感じられず、お話にも無理があって、ちょっと期待はずれでした。イーモウの武侠映画なら次の『LOVERS』のほうが面白かったです。しかしどれも邦題がひどいよなあ。
『項羽と劉邦 その愛と興亡』……コン・リー目当てで観た1本。劇場公開版&ビデオ版は本国のものを再編集した短縮版とのことですが、ストーリーが平板で非常に退屈でした。項羽の戦闘シーンがなぜかカンフー映画調なのも苦笑もの。DVDは完全版のようです。
『三国志 大いなる飛翔』……映画館で観た映画の中で5本の指に入る駄作。カット(というかコンテというか)もひどいし、役者の演技も京劇調でオーバーアクション。赤壁の戦いのシーンもお金をかけてる割りにはまったく迫力がない。とにかくひどかった。
『レッドクリフ』2部作……面白かったです。演義系とは違って周瑜がかっこよくなってるのがよかったですね(史実から入った僕は、曹操と周瑜と呂蒙が好きなんで)。張飛が書道が上手かったりするなど、ベタな人物設定を避けているのもマニア心をくすぐります。ただ、ジョン・ウーの映画は面白いことは面白いんですが、ウー自身も認めるように女性描写が上手くないんですよね。彼の映画では女優が全然輝かない。そこが個人的にはちょっとなあと。それにしてもこの邦題も、もうちょい何とかならなかったんか。
『三国志(アンディ・ラウ主演映画)』……#9250
『三国志(日本テレビアニメ)』2部作……横山光輝原作ってあるけど、絵もストーリーも全然違うじゃん!とツッコミつつも、三国志ということを抜きにすると結構楽しめちゃったアニメ。

・一部観た作品
『三国志演義』……諸葛亮死後の回だけ観ました。映像化してる作品はこれくらいだと思うんで。
『三国志(東映動画アニメ)』3部作……絵が好みじゃなくて今一つ。第1部しか観ませんでした。なぜか陳宮と呂布がやたらとフィーチャーされてる一方で、官渡の戦いがばっさりカットされてます。
『人形劇 三国志』……ちょっとだけ観たと思いますが、紳助・竜介が演じてた紳々(しんしん)と竜々(ろんろん)しか覚えてない……。

中国前近代史(2)
『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』……ワイルドな作風の時代劇でなかなか面白かったんですが、最後になぜか唐突にファンタジーになっちゃって唖然。中井貴一の遣唐使がこの時代にはないはずの日本刀を使ってますね。
『女帝 エンペラー』……チャン・ツィイーとジョウ・シュンが初共演すると聞いて楽しみにしてた作品。しかし前半はお話もいまいちだし、ワイヤーアクションもスローモーで迫力がなくちょっと退屈。後半やや持ち直すものの、女帝ツィイーはともかくとしてジョウ・シュンの魅力は全然引き出せておらず、残念な作品でした。

中国近代史
『ウォーロード 男たちの誓い』……雰囲気は悪くないんですがストーリーにちょっと無理があるなと思ったら、主人公と人物の性格設定を旧作とは変えているようです(旧作では主人公は張天祥、本作では馬総督(に該当する人物))。これも邦題がなあ……。
『孫文』……あまり覚えていませんが典型的な伝記映画というか偉人伝の感じに近い映画だったような。少々退屈な作品だったように記憶しています。
『孫文の義士団』……面白かったです。ドニー・イェンが主役かと思いきや意外とそうでもなく、ドニーはキャスト順はトップながらむしろ脇役と言ってもいいくらいの複数の人々が入り乱れる群像劇でした。全くの娯楽映画ではありますが、革命を成し遂げる力となったのは歴史に名を残した偉人たちではなく歴史に名を残さない無名の人々だった、というメッセージ性が暗に込められているようにも思います。
『1911』……#8969
『宋家の三姉妹』……若干薄味な映画だったかなあ。メイベル・チャン監督は時々ちょっと感傷に流れることがあって、それが悪いほうに出ちゃったかも。主演のマギー・チャンはさすがでしたけど。蒋介石がそれほど否定的に描かれてはいませんが、当時の中国映画(香港との合作)としてはかなり大胆な描写だったらしい。
『ラスト・エンペラー』……これまた薄味。全編英語なのも個人的には違和感が強くてマイナスでした。美術とジョン・ローンは素晴らしかったけど。甘粕と川島芳子(劇中では一貫して「イースタン・ジュエル」と呼ばれる)が密通してるかのようなフィクション描写は何だったんだろ?
『男装の麗人 川島芳子の生涯』……う〜ん、まあこんなもんかなってドラマでしたね。特に可もなく不可もなく、通り一遍をなぞったという感じでした。
『さらば、わが愛 覇王別姫』……中国・香港・台湾など当時の中華圏映画界の才能が結集して作られた歴史的傑作。役者・スタッフ・ストーリー・セット(美術)などすべてがとにかく素晴らしい。チャン・イーモウの『紅いコーリャン』を観たときに匹敵する衝撃でした。ただイーモウとは違って、チェン・カイコーはその後この作品に迫るくらいの映画は作れていないように思います。こんな言い方をするのもあれなんですが、この映画は作られるべき時に作られた、何か運命的なタイミングがあったように感じます。「時」というか「流れ」というか、人の力を超えた何かがあったような、そんな気がしますね。

・中国史以外の作品
 大河ドラマで残る未収録作品は『三姉妹』と『いのち』だけになりましたね。TBS正月時代劇で未収録作品は『太閤記』『天下を獲った男 豊臣秀吉』『坂本龍馬』『竜馬がゆく』。日本テレビ年末時代劇は『鶴姫伝奇 興亡瀬戸内水軍』『忠臣蔵』『勝海舟』が未収録。これらもいずれ収録されるのでしょうか?



#9550 
バラージ 2014/03/11 23:21
未歴史

 あれから3年。
 まだ歴史にはなっていません。



#9549 
バラージ 2014/03/11 21:54
中国史編

 歴史映像名画座更新、ご苦労様です。中国史、そして中華圏映画(香港・中国・台湾)は僕が最も多く接するところ。というわけで、とりあえず気付いた点と未収録作品の紹介をば。

気づいた点
・『三国志 大いなる飛翔』はDVD化もされています。DVD邦題は『三国志 武将列伝』というものでして、レンタル店で見かけた記憶もあるんですが、その時は『大いなる飛翔』のDVD化だとは知りませんでした(全然レンタルされなかったようであっという間に撤去)。ちなみに僕は劇場公開邦題を『三国志 第一部 大いなる飛翔』と記憶してたんですが、映画データサイトをいくつか調べても両説に分かれてて、「第一部」が入るのか入らないのかはっきりしないんですよね。ビデオ邦題はただの『三国志』でした。
・『ヌルハチ』は僕は見たことも聞いたこともなかったので、ちょっと調べてみたのですが、個人サイトやツイッターしか引っかかりませんでした。それらでは『ファースト・エンペラー ヌルハチ』、または『ファースト・エンペラー 清朝初代皇帝ヌルハチ』という邦題で紹介されてるんですが、どちらが正しいのかは不明。
・『英雄 国姓爺合戦』はDVD邦題で、劇場公開邦題はただの『国姓爺合戦』だったと思いますが、DVD邦題が優先でしょうか?
・『男装の麗人 川島芳子の生涯』に婉容役で出演してる女優が星野真理となってますが、正しくは星野真里。よくある間違いなんですけどね。昔は本名のままの星野真理だったんですが、10年以上前に星野真里に改名したのです。好きな女優さんなんでどうしても気になっちゃいまして。

未収録作品紹介
・中国前近代史(1)
『運命の子』……春秋時代の趙武の史実を基にした「趙氏孤児」という古典作品に現代的な新解釈を加えて映画化。くわしくは#9045
『孔子の教え』……孔子の半生を描いた映画。本作では孔子の師匠は老子という設定。#9007
『項羽と劉邦 White Vengeance』……未見。#9534
『項羽と劉邦 鴻門の会』……未見。#9534
『三国志英傑伝 関羽(DVD題:KAN-WOO/関羽 三国志英傑伝)』……『三国志演義』の五関突破を基にしたアクション映画。#9250

・中国前近代史(2)
『ムーラン』(中国実写映画)……ディズニーアニメに対抗してか、本家中国が作った実写映画。#9351&#9363
『少林寺』……リー・リンチェイ(現・ジェット・リー)のデビュー作にして初主演カンフー映画。少林寺創建伝説を題材にしていて、唐の皇帝・李世民も出てきたと思います。歴史映画といえるか微妙ではありますが、面白いカンフー映画でした。
『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』……唐の則天武后の時代の政治家・狄仁傑(ディー・レンチェ)を主人公としたアクション・ミステリー映画。#9444
『英雄十三傑』……未見。唐末の黄巣の乱が舞台という珍しい映画で、『残唐五代史演義』という古典物語が元ネタらしい。#9444
『楊家将 烈士七兄弟の伝説』……DVD化前。未見。北宋初期を舞台とした古典物語『楊家将演義』の前半を映画化。#9444
『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団(DVD題:楊家女将伝 女ドラゴンと怒りの未亡人軍団)』……『楊家将演義』から派生した京劇『楊門女将』を映画化した『14アマゾネス 王女の剣』という映画のリメイク。#9444
『水滸伝 杭州城決戦』……未見。1972年版『水滸伝』の続編的作品。#9444
『水滸伝 男たちの挽歌(←DVD題。ビデオ題:水滸伝)』……未見。レオン・カーフェイ演じる林冲が主人公のコメディタッチのアクション映画。
『デブゴンの太閤記(テレビ放映題:燃えよデブゴン 出世拳)』……ビデオ化のみ。未見。朱元璋が主人公のカンフー映画。#8975
『清朝皇帝(ビデオ題:風と興亡、DVD題:書剣恩仇録)』2部作……金庸の武侠小説『書剣恩仇録』の映画化。乾隆帝が実は漢民族で、滅満興漢を目指す秘密組織の首領である主人公と兄弟だった、という設定の物語。なかなか面白かったんですが、この辺入れちゃうと武侠映画を全部入れなくちゃならなくなりそうで迷うところ。

・中国近代史
『西太后』2部作……未見。西太后の半生を描いた映画。続編の『続・西太后』もあり。
『秋瑾 競雄女侠』……未見。清末の女性革命家・秋瑾を描いた香港映画。#9242
『さらば復讐の狼たちよ』……一言で言えば中国版西部劇。1920年、辛亥革命後の混乱する中国を舞台とした痛快アクション活劇でした。アクションばかりでなく、三者の駆け引きと腹の探りあいなどストーリーも面白い。厳密には歴史映画ではないんですが、韓国西部劇『グッド・バッド・ウィアード』も入ってるし、なにしろ面白い映画なんでご紹介。
『パープル・バタフライ』……第一次上海事変前夜を舞台としたスパイ・サスペンス映画。これも厳密には歴史映画じゃないんですが、これまた題材が珍しく、映画として面白いので……。ほとんどノーメイクのチャン・ツィイーの美しさが際立つ1本です。
『沈黙の鉄橋』……ビデオ化のみ。未見。盧溝橋事件を描いた戦争映画。
『南京1937』……ビデオ化のみ。南京大虐殺を描いた戦争映画。主人公が中国人男性と結婚して南京に移住した日本人女性で、彼女が南京大虐殺に巻き込まれるというお話。日本人に被害者を追体験してもらうためと、日本人=悪という構図を避けるためと思われ、よくあるパターンなんですが、やはり設定に無理があり過ぎる感が否めません。
『黒い太陽 南京』……未見。南京大虐殺を描いた戦争映画。
『チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道』……日中戦争中の中国で、日本軍の迫る黄石から中国人孤児60人を連れて700マイルもの逃避行を成し遂げたイギリス人ジャーナリスト、ジョージ・ホッグの伝記映画。なかなかいい作品でした。キャストも豪華なのに劇場未公開だったのは、やはり南京大虐殺を描いてる部分があるからでしょうか?
『風の輝く朝に』……日本軍の香港侵攻を背景に、2人の男と1人の女の恋愛と友情を描いた青春映画。香港ニューウェーブと呼ばれる作品の1つで、フランス映画『冒険者たち』(未見)の香港版みたいな紹介をされてました。爽やかな余韻を残すいい映画です。
『黒い太陽七三一 戦慄!石井七三一細菌部隊の全貌』……ビデオ化のみ。日本軍の七三一部隊を描いた社会派映画。告発性が非常に強く見ごたえがあるのですが、映画としての(広い意味での)娯楽性がやや低いのが残念。続編が2作あるのですが、監督がかつてフィルマーク社でZ級映画を乱造したゴッドフリー・ホーに代わっており、おそらくかなりB級映画調になっているものと思われます(僕は未見)。しかしなぜかそちらの2作だけがDVD化されているのが不思議。
『鬼が来た!』……太平洋戦争末期の中国戦線での、日本兵捕虜と彼を預けられた中国人農民の奇妙な交流と戦争の狂気、有為転変する運命の皮肉を描いた戦争映画。日本人の心性を中国人監督がここまで理解してるのかと驚きました。とにかくすごい映画です。
『戯夢人生』……ビデオ化のみ。ホウ・シャオシェン監督の台湾現代史三部作の第2作にして第1部。1895年から1945年までの日本植民地時代を、ホウ・シャオシェン映画の常連で布袋戯という伝統的人形劇の国宝的存在である李天祿(リー・ティエンルー)の回想で描いたもの。歴史映画とは言い難いかもしれませんが……。
『セブン・イヤーズ・イン・チベット』……オーストリアの登山家ハインリッヒ・ハラーがチベットで過ごした7年間を記した自伝の映画化。中国共産党がものすごい悪者にされてたような。主人公のハインリッヒ・ハラーがナチス党員であったことから上映拒否運動も起こったようです。
『戦場のレクイエム』……国共内戦を描いた戦争映画。#9501
『悲情城市』……ホウ・シャオシェン現代史三部作の第1作にして第2部。日本敗戦後、国民党が逃亡してくるまでの話。外省人が本省人を弾圧した2・28事件も間接的に出てくるんですが、歴史を描くことが主題の映画ではないので、そのあたりは歴史を知らないとわかりにくいかも。映画そのものは歴史を知らなくても十分楽しめますが。
『好男好女』……ホウ・シャオシェン現代史三部作の最終作。大陸から逃亡してきた国民党の支配下における白色テロの時代を扱っているのですが、現代の役者たちがその時代の劇を演じるという劇中劇の形なので非常にわかりにくい。しかも比重が現代の役者たちの話のほうに置かれているので、ほとんど歴史映画ではないんですが、一応ご紹介。映画としては面白いです。
『無言歌』……未見。1950年代の反右派闘争を描いた社会派映画。
『芙蓉鎮』……第4世代の謝晋(シェ・チン)監督の文革映画。告発性の強い佳作だとは思いますが、今となっては少々古臭い作風であることは否定できません。
『青い凧』……ビデオ化のみ。第5世代のティエン・チュアンチュアン(田壮壮)監督の文革映画。芸術性は高いとは思いますが、ティエン・チュアンチュアン監督の作風は個人的にはちょっと苦手。
『活きる』……第5世代のチャン・イーモウ監督の文革映画。国共内戦から大躍進政策、そして文革までを描きます。同じ第5世代でも、迫害する立場だったチェン・カイコー(『さらば、わが愛 覇王別姫』)やティエン・チュアンチュアン(『青い凧』)が告発性・批判性の強い映画を作ったのに対して、迫害される側だったイーモウが文革を天災ででもあるかのように描いているのが興味深い。
『太陽の少年』……第6世代の俳優チアン・ウェン監督による文革映画。街から大人がいなくなった文革は子供にとっては天国だった、という意外な視点からの映画です。面白い映画ですが、これだけ見たら文革なんて大したことないと思ってしまいそう。
『シュウシュウの季節』……未見。女優として有名なジョアン・チェン監督の米国製文革映画。
『小さな中国のお針子』……中国系フランス人のダイ・シージエ原作・監督の文革映画。文革で下放された2人の青年と、その地方に住むお針子の少女の物語。お針子役のジョウ・シュンは非常に魅力的ですが、2人の青年の見分けがつかないのが困りもの。
『サンザシの樹の下で』……チャン・イーモウ監督3度目の文革映画(2度目の『初恋のきた道』は文革はあくまで背景のみなんで割愛)。悲恋物ですが、『活きる』よりも迫害性が強く描かれています。



#9548 
アジアのバカ大将 2014/03/10 00:08
日テレ三国志ドラマ補足

日本テレビがやる気だった、三国志ドラマ化
中止の原因は、1973年10月の第四次中東戦争に
端を発した第一次石油ショックだそうです。
経済の落ち込みで、スポンサー確保ができなかった
ためと、テレビ芸能雑誌で当時読みました。
「水滸」の視聴率は、いまいちだったんですね。
20%前後あったような記憶があります。
贔屓目の記憶ちがいのようですね。
水滸ファンなので、毎週欠かさず見ていました。



#9547 
徹夜城(茨城県人だが県庁所在地からは遠い住人の管理人) 2014/03/09 22:44
歴史映像の中国史部分リニューアル

 ちょうど中国史映像ネタで盛り上がっているところへ、タイミングよく「歴史映像名画座」の中国史部分のリニューアル作業を終えました。中国史で新規で加わったのはなぜかこれまで入れてなかった「横山光輝三国志」と「男装の麗人」だけですが。

>アジアのバカ大将さん
「水滸伝」のあとに「三国志」の企画もあったとは初耳です。ただ、誰かが考えるだろうな、とは思いますね。「水滸伝」「西遊記」が実現したからには…次は「三国志」となるのでしょうが、さすがに物量的な難しさがあるのではないかと。日本ではそれを人形劇やアニメでやるしかなかったということみたいですね。
中国ロケもしつつキャストもスタッフも日本人だらけでやったものとしては「蒼き狼」(テレビ朝日版)もありますが…

>バラ―ジさん
「西遊記」も「歴史映像名画座」入りすべきかどうか、今回も迷いはありました。ただ、これを入れちゃうと関連作品も含めて大変な数にのぼってしまい、収拾がつかなくなる恐れを感じました。「水滸伝」も歴史ドラマとは言い難いんですけど、収拾のつく程度の数しかないという事情もありまして。

>倉橋さん
詳しいお話をありがとうございます。日テレ版「水滸伝」については今回のリニューアル作業で情報だけは追加しておきましたが、僕自身はろくに見ていませんでして…全編を見てみたいもんだとは思ってるんですけどね。英語版を一部ネット上で鑑賞しましたがあくまで一部だけでして。
横山光輝の漫画版は全部読んでます。確かに武松だけは登場自体せず、あとから外伝という形で武松のみのエピソードが書かれてました。横山水滸伝は三国志以上に児童向けでしたから、そのまんまではやりにくい話はバッサリカットしてましたし、水滸伝随一の問題児・李逵も「鉄牛」としてかなりマイルドにしていました。
中国で1990年代に作ったTVドラマ版はDVDで全巻持ってるんですが、これも武松の話など、「やたらな殺戮」をする部分については現代人の感覚に合うように微妙にいじってました。つい最近も水滸伝の新たなテレビシリーズ(三度目)が出たようですが、こちらはまだ未チェックです。三国演義の新作「三国」もまだ途中までしか見てないんだよなぁ。


>本日のおでかけ
今日、水戸の県立歴史館まで足を運んできました。梅の季節ということで、臨時駅「偕楽園」で下車して徒歩十分ほど。
先日書きましたが、3月21日までこの県立歴史館で「常陸南北朝史」という特別展をやってるんです。県内在住の南北朝マニアとしてこれは見逃せません。
事前に予想したよりは盛りだくさんな内容だったと思います。鎌倉幕府末期の常陸国内の北条得宗領の増加、六波羅探題滅亡時に準じた常陸武士(蓮華寺過去帳に名前がある)、瓜連城に入った楠木正家とか小田・関・大宝城に入った北畠親房などなど関連展示がいろいろ。江戸時代や明治以後に書かれた肖像画なんかも展示してましたが、文書類は本物を展示してました。中でも日光の輪王寺にある「後醍醐」の明記(彼が生前から名乗っていた証拠)がある椀とか、関・大宝城攻略に参加し戦場の苦しさを縷々訴えた山内某の書状の展示は感激しましたね。あと南北朝期の武具類の実物展示もありました。それとちょっと意外だったのは佐々木道誉の有名な肖像画の模本も展示されていたこと。なんでも常陸の信太荘に彼の所領があったんだそうで、それだけのつながりで。
「南北朝」だけではさすがに物足りないと思ったのか、その後の小山氏の乱、永享の乱、結城合戦まで関連展示がありました。



#9546 
倉橋 2014/03/08 22:55
日本で制作された水滸伝

 日本テレビで1973年から半年間放映された「水滸伝」のことが話題になってなつかしく思いました。ドラマの感想を新聞に投書して初めて原稿料を貰ったことを思い出します。
 このドラマは日本テレビ開局二十周年作品として制作され、一億円ドラマと宣伝されました。日中国交回復で一種の中国ブームが起きていたので、その関係もあって企画されたのでしょう。中国の新聞もテレビ化を報じたということです。当初は中国ロケも予定されていましたが、結局かないませんでした。主役の林冲を演じた中村敦夫の自伝によると「中国ロケをするというから出演したのに残念だった。四人組(毛沢東主席の威を借りて権勢をふるったグループ)が反対したからと聞いている」ということです。こんなところにも中国現代史の一場面が関係していることに注目せずにはおられません。結局、御殿場などでロケが行われたということです。海と変わらないような雄大な中国の大河を日本で見つけることは不可能で、原作での大河での決戦は、時代劇に出てくる江戸の下町の川での決戦になっている次第です。中国ロケが実現したのは、同じ日本テレビの「西遊記」の時で、すでに四人組は失脚しており、日中関係が一番興隆していた時期です。
 ところで「水滸伝」ですが、実をいいますと視聴率は十三l前後と必ずしも成功とはいえず、中日新聞(東京新聞)は「視聴率がふるわないまま半年で終了」と報じ、イギリスで放映が決まった時も「幹部が、視聴率がふるわなかったので少しは儲けないといかん」語っている」としつこくも揶揄しています。
 武松の出番が少なかったという点を補足すると、「原案」とクレジットされている横山光輝の漫画自体に登場しないのです。もともと漫画の「水滸伝」は少年少女向けに書かれたものです。作者はハッキリ、「武松が無関係の人間も殺戮するのは少年少女にどうかと思った」と意識的に出番をカットしたことを認めています。後に外伝のかたちで武松のエピソードだけが独立して描かれました。テレビドラマでは無理に登場させましたが、ハナ肇の武松は四回だけの出演で、非常に中途半端な扱いでした。ハナ肇は第一回に登場していますが、その関係か、クレージーキャッツの映画の常連の人見明も林冲を護送する役人として登場して武松にとっちめられます。人見明の決まり文句の「バカッ」はなかったように記憶しています。(笑)
 「三国志」の企画の件は初耳ですが、「水滸伝」を制作してさらにセットを流用して「三国志」をと考えていたが、あまり人気が出なかったので消滅したのかとも思います。
 「水滸伝」は歴史作家としても名高い池宮彰一郎(池上金男)がメインライターを務め、桝田利雄をはじめ数々の名監督がメガホンをとっています。当時の中国への憧れなど日本と中国の関係史を知る上でも参考になるかと思います。CSでも時々放映されていますので、機会があったらぜひご覧ください。



#9545 
2014/03/08 18:35






#9544 
バラージ 2014/03/07 22:54
三国志、水滸伝と来れば……

 僕は日本テレビ版『水滸伝』は見てないんですが、同じ日本テレビの『西遊記』は子供のころ見ていました。孫悟空が堺正章、三蔵法師が夏目雅子、沙悟浄が岸部四郎、猪八戒が西田敏行→左とん平の有名なドラマです。子供のころなんで全話見たかどうか覚えてないんですが、再放送もされたりして、そのときも結構見てたように覚えています。『水滸伝』の大道具とかが『西遊記』に流用されたりしたんですかねえ。
 そういえばドリフターズが演じてた人形劇の西遊記も見てたなあ。もうタイトルは忘れてましたが、調べたら『飛べ!孫悟空』っていうタイトルだったんですね。志村が孫悟空、いかりやが三蔵法師、仲本工事が沙悟浄、高木ブーが猪八戒、1人余った加藤茶がまんまカトチャンでした。
 三蔵法師(玄奘)は実在の人物ですし、唐の皇帝も出てたように思いますが、『西遊記』ものは歴史映画(ドラマ)とはちょっと言えないよなあ。まあ『水滸伝』もほんの少ししか歴史と関係ありませんけどね。



#9543 
アジアのバカ大将 2014/03/07 15:16
三国は水滸の後番組(予定)だった

日本テレビ系で、1974年に三国志連続ドラマを制作・
放映する計画だったと、当時の芸能誌で読んだ記憶
があります。前年から同局が放映した「水滸伝」
(中村敦夫主演)がヒットしています。これに気を
良くしたのでしょう。当時は、日中国交回復直後で
中国ブームの時代でもありました。
「日テレ水滸」は、「原作・横山光輝」と
クレジットされいます。幻の「日テレ三国」も
同原作になる予定だったと思われます。当時は、横光
三国の連載(潮出版の月刊誌上)開始から、2〜3年
後だったはずです。
日テレ水滸は、日本で見た台湾人留学生が、「最初
てっきり、香港製と思った」というくらい、
美術面で金をかけていたようです。現在でも、そう
ですが、日本で中国が舞台の時代劇が作られることは、
まれですから。衣装から小道具、大道具、セットもすべて
新品だったはずです。「三国」では、それらを転用
できるメリットもあったと思います。時代的には、
800年くらい、三国時代の方が前です。
横光水滸と同三国は、衣装・風景が同じだったので
その点の言い訳のためにも、「原作・横山光輝」
が生きたかもされません。
日テレ水滸は、「反体制豪傑が梁山泊へ集まり、
官軍や土豪劣紳相手に大暴れ」という、原作
の基調は生かしていましたが、ストーリーは
原作からかなり離れています。武松(ハナ肇)
の活躍はほとんどなかったりしています。
史実も、反映されていません。最終回
あたりで、宋軍が匈奴を破ったりしていました。




#9542 
黒駒 2014/03/05 23:05
返答ありがとうございます

実は以前にも同じ質問をしたような覚えがあるのですが、失礼ながらちょっと失念しておりましたので、もう一度質問させていただきました。私は大河『清盛』(考証的に問題があると酷評する方もいるのですが、私は院政期への関心を目覚めさせてくれたので、良かったと思っています)を見て以来、院政期から鎌倉時代史への関心が持続していて、管理人様は鎌倉時代史ってどのあたり関心をもっておられるのかな〜?と守備範囲が気になった次第です。やはり、皇統が分裂した時期が目安になるのですね。



#9541 
徹夜城(南北朝マニアの管理人) 2014/03/04 12:57
「南北朝」の対象範囲

>黒駒さん
 南北朝マニアとしてどこまで関心対象になるかというご質問ですが、一言で言っちゃうと「関連する範囲」ということになるでしょうね。一応のスタートは後嵯峨天皇による後深草から亀山への譲位で、これが皇室分裂の原因であり、南北朝分裂の遠因でありますから。鎌倉時代中にも持明院統への皇居乱入事件など、結構ドロドロやってますし。これと同時にモンゴル襲来以後の武家政治の状況もその後の動乱の下準備になっていた、ということでは関心対象になります。
 逆に関心の終わりの方に目を向けますと、南北朝分裂自体は1392年の「合体」で終わるものの、後南朝問題は応仁の乱あたりまでくすぶり続けますし、歴史評価の話までいくと現代に至るまで「南北朝」は続いているとも言えます。「熊沢天皇」なんてのも南北朝ネタではありますし、近ごろ「明治天皇の玄孫」と必ず冠せられてヘンな言動を繰り返してるあのお方だって、南北朝ネタと結構密接に(一部かなりトンデモ的に)結びついてますよね。

「南北朝列伝」も作業はちびちび進めてるんですが、あれもどこまでを対象とするのか迷いはありました。一応の結論が、上記のように「南北朝に絡んでくるなら入れちゃう」というものでして、将来的には後南朝の関連人物とか、鎌倉時代の関連人物なんかも入れていく予定ではいます(両統の歴代天皇はすでに入れてますが)。



#9540 
黒駒 2014/03/03 22:12
南北朝マニアの関心範囲

ちょっと気になったのですが、南北朝マニアの管理人様の、南北朝時代史における関心範囲ってどのあたりなのでしょうか?終期については「室町太平記」で展開されている南北朝合一の、将軍義満・義持期くらいであろうと推察するのですが、始期に関してはどのあたりでしょうか?さかのぼって鎌倉時代史を、例えば蒙古襲来のあたりまで含まれるのでしょうか?



#9539 
つね 2014/03/01 21:17


>りくにす様
本能寺の変の情報ありがとうございます。家にテレビもない状況(引っ越しの際にアナログテレビを捨ててそのまま)で、特に不便も感じていないのですが(選挙報道だけ、ノートPCをアンテナにつないで視聴)、惜しいことをしました。
本能寺の変については、私は「計画性のない突発的なもので、光秀になにかしら精神的ストレスがかかっていた」と考えています。「なにかしら」は本人に聞かないと分からないのですが。

>五葉様
ご挨拶ありがとうございます。
「茶々と伝わる肖像画」というように、さらりと正確な記述をされる方に「史実なんて??」と言われると恐縮してしまいます。桶狭間にせよ三段撃ちにせよ、従来は「史実」と言われていたものも見直されたりしますからね。肖像画も源頼朝や武田信玄が実は違うと言われたりしますし。何が史実かと問われると、「史実と思われるもの」程度としか言えないのかもしれません。
『ふたりっ子』の場合「人妻なのに」というのもあったようです。まあ苦情を言う人はこだわりがある人でしょうから。最近はCMに苦情を入れて企業もすぐ自粛してしまっていますが、やや過剰反応かなという気がします。
これから歴史ドラマを見るときは、女性があぐらをかいているかどうか注目してしまいそうです(笑)。マニアックな人に思われてしまう。

>ノアの方舟
方舟については、アララト山に残骸があると昔から言われていますが、それならさっさと学術調査団を組んで調べれば、と思ってしまいます。あちらの事情は分かりませんが、箸墓古墳などの天皇陵に対しても同様に思うんですよね。目の前に遺跡があるのに、手が出せないというのはなんとももどかしい。結果的に知らないほうが幸せ、という場合もあるでしょうが。




#9538 
倉橋 2014/02/28 22:16
新春スペシャルドラマ「三国志」について

 僕の情報が多少お役に立ったようで嬉しく思います。また日本テレビで放映された「三国志」がビデオ化されていたと補足の情報をありがとうございました。
 新春スペシャルドラマ「三国志」についてですが、僕はテレビ朝日系列の地方局のチャンネルで観ました。また岸田森の伝記のリストでもテレビ朝日となつていますので、テレビ朝日で間違いないかと思います。もともと岸田森のファンだったので、岸田がナレーターを務めると新聞の紹介を読んで拝見した次第です。それが三十年に亘る三国志遍歴の始まりとなるとは予想もつきませんでしたが・・・・。
 張飛の顔が三枚目風になっている以外は、登場人物のセリフなど、驚くほど横山光輝の原作に忠実で、黄巾の乱の首謀者、張角が世に出るまでのエピソードも原作通り紹介されていました。日本での三国志ブームの先駆けとして再評価してもらいたいと思いますし、ぜひCSで放映してほしいと思っています。



#9537 
バラージ 2014/02/28 01:15
三国志追記

 正月スペシャルアニメ『三国志』ですが、allcinemaではテレビ朝日となってますが、「テレビドラマデータベース」では日本テレビとなってました。その上で、「一部資料ではキー局がANBとなっている。」と書いてあります。どっちが正しいんだろうか? 日本テレビ系列局は僕の県にもあるんで、それだったら覚えがあってもよさそうなもんなんだがなあ。



#9536 
バラージ 2014/02/28 00:03
これも歴史か

 先日、70年代のF1レーサーであるマクラーレンのジェームス・ハントとフェラーリのニキ・ラウダを描いた映画『ラッシュ プライドと友情』を観ました。このF1ブームの頃、僕はまだ子供でしたが、スーパーカー・ブームと同じ頃かちょっと後でしたかね。子供だったんで当時はくわしくはわからなかったんですが、ラウダが全身大やけどから復活したことは知ってました。映画はレース・シーンも迫力だったし、享楽的なハントと完璧主義のラウダという、ある種の変人とも言える2人の天才が描かれてて面白かったですね。僕はこの手の実話映画に弱いんですよ。ロータスとかタイレル(ティレル)の6輪車とかも懐かしかったですね〜。
 ただ、こういう映画って「歴史映画」と言えるか微妙なんですよね〜。確かにこれも歴史であることは確かなんだけど、文化、特に大衆文化に属するものを描いた映画って、歴史映画というより「実話映画」なのかなあ。僕は歴史映画好きといっても欧米のコスチューム・プレイものなんかはちょっと苦手で、欧米に関しては20世紀以後の実話映画のほうが好きなんで、純粋な歴史映画好きとは言えないかも。あくまで映画というジャンルに関しては「映画>歴史」でして……。

>三国志よもやま話
 テレビ朝日版アニメ『三国志』について僕が見つけた情報源は映画データベースサイトの「allcinema」なんですが、そこによると「本来は劇場アニメとして構想されたが、実際には新春1月4日の午前中に特番としてTV放映された」そうです。でも三国志の劇場アニメで、黄巾の乱で話が終わっちゃうってそれはないよな〜(笑)。テレビの特番送りにされて当然じゃないかと。「allcinema」は映画データベースサイトとなってますが、テレビドラマやテレビアニメも掲載されてるので重宝するんですよね。ちなみに僕は正史に近いものから三国志に入ったんですが、こういう人は珍しいでしょうねえ。
 三国志映画と日本人俳優といえば、3月に公開される『曹操暗殺 三国志外伝(原題:銅雀台)』には玉木宏が重要人物の役で出演しています。その一方で、栄耀映画掲示板のほうで以前紹介した日中合作映画『一九〇五』が頓挫したように、日中の外交関係(日韓も同様ですが)による影響を受ける恐れもあり、難しいところです。



#9535 
徹夜城(三国志マニアの「歴」だけは長い管理人) 2014/02/27 16:40
三国志映像ばなし

>倉橋さん
いや〜〜〜また驚かされました。あの、自分の中でも実は半ば「幻」の存在となっていた、アニメスペシャルの「三国志」の情報が見られたとは!
 これ、だいぶ前にこの掲示板で書いていた気もするのですが、子供の時に確かにそういうアニメをTVで見た記憶があるのに、どうして一切情報が出回っていないんだろう、と不思議に思っていた作品なのです。
 1982年の放映というのも初めての確認でして。もそっと前のような気もしていたのですが、そんなころだったかもしれません。「人形劇三国志」よりは確実に前だと思っていたのですが、同じ年だったということですね。僕が児童向けの「三国志」(岩波少年文庫)に触れて三国志ワールドにハマったのも同時期なのですが、前後関係ははっきりしてません。
 そのアニメを見た時は実はそれが「三国志」であることすら分かっていなかったような…この辺、記憶があいまいなのですが、もしかするとその内容がいわゆる「吉川三国志」の冒頭部分のみをアニメ化したものであったため、「三国演義」の原典に近いものから入った僕にはそれが「三国志」だと認識していなかった気もするのです。記憶に残っているのは、例の芙蓉姫を救出する場面で僧侶が何やら叫びながら塔から身を投げて死ぬシーンとか、黄巾党との戦いのなかで張飛がいじけて戦線離脱してしまい、ピンチの時にしっかり戻ってくるのがクライマックスであったことなどが記憶にあります。
 書いているうちに次第に思い出したのですが、「人形劇三国志」が放送開始になった時点ではそのアニメが三国志の一部であることは認識していたはず。なぜかというと、「人形劇」の第三回で黄巾の乱が終わったところで次回予告が出たため、「ああ、ちゃんとやるんだな」とホッとした記憶があったからです。あのアニメ、もしかしてパイロット作品というか、様子を見てあわよくば続きを作ろうという計画でもあったんじゃないでしょうか。

 アニメの絵の記憶は実はほとんどなくって、横山光輝原作と銘打てるようなものだったのかどうか…まぁ、横山原作と銘打ちながらトンデモ方向に走った日テレ版2作の前にはもう何も言えませんが(横山光輝という方はそのあたり、割とおおらかな漫画家ではあったようです)。
 テレ東放送のアニメシリーズは一部は見てます。結局赤壁の戦いで終わっちゃいましたが、バラ―ジさんもお書きのように原作ではすっ飛ばされた(掲載誌の都合で)官渡の戦いが描かれたのが貴重ではありました。

 ごく一部しか見ませんでしたが、最近日本資本・中国製作の三国志アニメシリーズもありましたよね。 
 日中合作「三国志」映画の企画だけなら1980年代後半に存在していました。「敦煌」を実現させた徳間康快社長の大映が中心で進めていて、ジョン・ローン主演などと噂されてましたが天安門事件が起こったために頓挫、大映の企画はロシアとの「おろしや国酔夢譚」へと変わりました。ずっと後に「レッドクリフ」で中村獅童が出ている(一時曹操に渡辺謙なんて話も出たっけ)のにはちょこっとだけその名残を感じなくはなかったです。
 「墨攻」みたいに原作やスタッフの一部が日本、俳優は中・韓・台ごちゃまぜ、という映画もありましたし、最近では中国の孔子ドラマになぜか顔回という大役でいしだ壱成が出たこともあります。もしかすると今後は逆に日本史映像作品に中国や韓国の俳優が出る、って可能性だってあるかもしれない。ハリウッド映画なんかじゃそんなこと平気でやってますもんね。



#9534 
バラージ 2014/02/26 22:16
酒と泪と項羽と劉邦(特に意味はない)

 項羽と劉邦の映画は同じ時期に2本作られたようで、日本でもついこの間相次いでDVD化されました(東京で劇場公開もされたらしい)。タイトルはそれぞれ『項羽と劉邦 White vengeance(原題:鴻門宴)』と『項羽と劉邦 鴻門の会(原題:王的盛宴)』。『White vengeance』はダニエル・リー監督、レオン・ライ、ペン・シャオペン主演。『鴻門の会』はルー・チュアン監督、ダニエル・ウー、リウ・イエ、チャン・チェン主演とのことです。僕はどっちも観てませんが。

>倉橋さん
 日本テレビ版アニメ『三国志』は2作ともビデオ化されてます(『天翔ける英雄たち』は2作目のサブタイトル)。昔レンタル店で見かけました。DVD化はされてないようですね。
 正月スペシャル版アニメ『三国志』の存在は初耳です。ネット検索してもほとんど出てこないし、かなりレアな情報なんじゃないでしょうか。検索に引っ掛かったわずかな情報によると、1982年にテレビ朝日で放送されたんですね。僕が住んでる県では、当時テレビ朝日系列局がなかったんですよ。道理で知らないわけだ。
 テレビ東京版『横山光輝 三国志』はレンタル店にビデオが並んでるのを見て存在を知りました(テレビ東京系列局も当時なかったし、いまだにない)。観てはいないんですが、赤壁の戦いで終わっちゃうようですね。その一方で原作ではばっさりカットされた官渡の戦いがちゃんと映像化されてるのは嬉しいところ。こちらはDVD化されてるようですね。



#9533 
倉橋 2014/02/25 19:44
「三国志」は日本でも映像作品が多いですね

 「歴史映像名画座」で僕の書きこみがお役に立ったなら幸いです。「諸葛亮」についてのご指摘ありがとうございます。僕はCSで録画したビデオテープを保管していましたが、それならDVDを探したいかと思います。
 追加の情報となりますが、金曜ロードショーで二回に亘って放映されたアニメ「三国志」のことですが、スタッフ、キャストは下記の通りで、当時としては豪華キャストです。なお劉備玄徳も曹操孟徳も、アニメの中では最後まで若いままで、ラストはふたりの一騎打ちに劉備、曹操の没年が字幕で紹介されて終了でした。ビデオが発売されていたかは記憶ありませんが、コミックに編集した本が発売されていました。
原作・・・横山光輝 主題歌・・・中村雅俊
劉備・・・井上和彦(美味しんぼの山岡、名探偵コナンの白鳥警部)
張飛・・・渡辺篤史(声優の仕事はこれが最初かと・・)
関羽・・・瑳川哲郎(特撮ファンにはウルトラマンA、時代劇ファンには大江戸捜査網)
曹操・・・中山仁(声優の仕事はこれ一本かと・・サインはXであまりにも有名)
孔明・・・富山敬 水鏡先生・・・熊倉一雄(ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲーーですね)
周瑜・・・池田秀一 于禁・・・山田栄子(女性でしたね!) 孫権・・・池田勝


 横山光輝のコミック「三国志」には、もう一本映像化作品があります。正月にスペシャルとして放映され、名優、岸田森の最晩年の作品になり、この年に亡くなっています。原作にも忠実ですが、残念ながらこれ一本で終了し、黄巾の乱を平定したところで終了しました。僅かですが、最後の方で曹操も出ています。それから張飛の顔が三枚目のキャラクターに変貌していました。
原作・・・横山光輝
劉備・・・志垣太郎(最近は半沢直樹にちよっとだけ出ていましたね。よかったです!)
張飛・・・高木二朗(東映のニューフェイスだが、当時は時代劇の悪役が多かった)
関羽・・・小林清志(適役でした!)
ナレーター・・・岸田森
 こうしてみると、三国志の映像化作品はなかなか多く、日本でも人気があるのがよく分かります。横山光輝のコミックの映像化が三本も制作されているのは特筆すべきかと思います。とはいえテレビ東京の連続アニメ「三国志」は横山光輝の原作に忠実でしたが、絵も雑で、キャストにも魅力がありませんでした。
 そういえば、同じテレビ東京で、中国の「三国演義」の映像をそのまま流用して、日本の俳優が出演したスペシャルドラマもありました。孔明が古谷一行、劉備が辰巳琢朗、曹操が根津甚八、陳寿が大滝秀治でした。
 「三国志」は中国の歴史ですが、これからどんな作品が、中国で、日本でつくられていくかが楽しみです。




#9532 
徹夜城(商売がラストスパート中の管理人) 2014/02/24 00:15
ソチも終わりじゃのう

 えー、またしばし書き込みをご無沙汰してしまいました。皆様の書き込み自体は出先や自宅でまめにチェックしておりましたが、書き込みするタイミングを逸してしまいました。歴史ドラマ・映画と史実考証の関係につきましてはそれこそ語りだすときりがなくなってしまうもので、意識して控えていたところもございます。


>倉橋さん
いやいや、貴重な情報をありがとうございます!
「歴史映像名画座」はただいまちびちびとリニューアル作業を進めておりますが、そこでは可能な限り一場面の画像を入れることにしております。やはり「こういう歴史映画・ドラマが実際に作られてる!」ってことを目に見えて表示したいと思ったものでして。で、その作業で恐らく画像が手に入るまいと思っているのがその「劇画ドラマ・項羽と劉邦」なんですね。番組の情報自体、数年前に検索で調べてみたことがあるのですが、この広大なネット上でもなかなか言及しているサイトがなかったので、倉橋さんの詳しい情報には驚喜いたしました。
 そうか〜吉右衛門だったんですね、項羽は。場面場面の絵はなんとなく記憶してるんですけど、声まではまるで覚えてなかったです。他のキャストもなかなかに豪華ですね。

「項羽と劉邦」ネタは中国でもさんざん作ってるので、日本との共同制作ってのは難しいんじゃないでしょうか。司馬遼太郎原作、と言われても向こうではそれこそピンとこないのではないかと。井上靖原作小説を共同で制作した例があるにはありますが。
 youtubeにも上がってましたが、中国で最近児童向けに人形劇版「項羽と劉邦」が作られてるんですよね。日本でもBSジャパンで途中まで放送してました。これがまた、ぱっと見が往年の「人形劇三国志」っぽいのであります。あと最近「鴻門会」という映画も作られていて、確か日本でもやっぱり「項羽と劉邦」の邦題でリリースされてるはず。
 NHK大河への要望で、実際に三国志など中国史ものを中心に「非日本史もの」をやれ、という声は昔から実際にあるらしいのですけど、中国製作のドラマや映画見てると僕なんかはNHKはやはり日本史ものをやっておいた方が、と思うんですよね。共同で製作できるとしたら、両者が絡むもの…あ、鑑真の大河ドラマも向こうで作られてるなぁ。僕の専門である倭寇ネタなんか結構面白いのですけど、それこそ微妙な問題にひっかかりそうで。

 「歴史映像名画座」は基本的に僕が見たうえで紹介する、というスタンスなので、ただいま鑑賞中、というのが多いんですよ。特に最近は映画ではなく大河ドラマクラスの長編が韓国・中国から続々入って来るんで見るのが大変。
 いま見てるのが、韓国のでは「武人時代」(日本の源平合戦ごろで、ちょうど武人たちが幕府みたいな政権を作る時代)と「武神」(ちょうど「武人時代」の続きで、モンゴルの侵攻を受ける時代)の二つを、中国のでは「東周列国」(もちろん春秋戦国の通史)と「朱元璋」(もちろん明の建国者)の二つ、と計四つを同時並行で見てる忙しさです。

>バラ―ジさん
「ハンナ・アーレント」、評判は聞いているのですけど、見に行く余裕が…そのうちソフト化されたら見てみようかな、というところです。「歴史映像名画座」における分類は…う〜ん、「ニュルンベルグ裁判」とテーマが重なるから、やはりドイツ史で並べておこうかと思います。
 

>ひでさん
 尊氏番組の情報どうもです。これはチェックせんと(笑)。確かに尊氏に関しては内面トークにいきがちかもしれませんね。
 南北朝関連の話題では、水戸の県立博物館で現在「茨城の南北朝時代」をテーマにした企画展示をやってるそうで、そのうち見てきます(自分のいる県の県庁所在地ながら、遠いんですよねぇ)。
 あ、あと児童向けの本ですが、岩崎書店の「ストーリーで楽しむ日本の古典」シリーズの「太平記」が3月に出ます。その売り文句が「日本版三国志」とありまして、僕なんかはウンウンとうなずいちゃう。僕がそもそも南北朝にハマった経緯は、先に三国志にハマって、そこから日本でも似たようなのが…と入っていったようなものでして。戦国にもある程度はハマりましたが、そこはへそ曲がりでありました。



#9531 
ひで 2014/02/23 13:32
そのうち尊氏の番組がある模様。

ツイッターをみていたら、どうもBS歴史館で近いうちに足利尊氏が取り上げられるようです。清水克行、呉座勇一といった中堅・若手の活きの良い中世史研究者のほか、平野啓一郎もでているようです。

結構好き勝手に語れて楽しかった、内面トークが盛り上がりすぎ演出サイドからもうちょい社会情勢の解説をしてくれと突っ込まれたといったコメントをみかけました。研究者すらキャラ萌えトークに引き込む足利尊氏恐るべしというところでしょうか(笑)

どういう展開になったのかは、放送を見てみるまで分かりませんが、

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9530 
バラージ 2014/02/22 23:18
やっぱりくわしく感想もA江戸〜現代

『巌流島 小次郎と武蔵』……観た記憶はあるという程度。あんまり覚えてないんですが、どっちかというと小次郎が主役だったり、巌流島のあたりに武蔵の親父が出てくるなど、ちょっと変わってるなと思った覚えが。
『柳生一族の陰謀』……史実としては(確信犯的に)めちゃくちゃなんですが、映画としては面白かったです。でも歴史にくわしくない人は、これを史実と思ってしまいそうな危険性も。それを考えてか最後に入るナレーションがなんだか言い訳めいてておかしかった。
『魔界転生』……こちらはさすがに史実と誤解する人はいないでしょうね。どっちかっていうとSF映画のノリに近いような気がします。映画としては面白かったけど。石川賢のマンガ版も読んだ覚えがありますが、こちらは映画とかなり違う話でした。そういや天草四郎が出てくる映画って他にないな〜と思ったら、大島渚監督の『天草四郎時貞』という映画があるらしい。
『写楽』……化政文化の有名人たちという着眼点が面白かったです。巨匠たちの若い頃っていうのが変わった視点でよかった。写楽の正体も謎の定番で人気がありますね。本作では写楽の正体については真面目な推理ではなく娯楽性優先ですが、映画としてはそれでいいと思います。
『竜馬暗殺』……学生運動が挫折した70年代の空気が描かれてるのは知ってたし、結構評判高いんで見たんですが、その頃子供だった僕はもちろん体験してないし、あまり関心もなかったりします。そこを抜きにして見ると、歴史ドラマとしては結構トンデモで……今一つのれませんでした。
『ラスト・サムライ』……面白かったですね。勘違い日本描写も全くないわけではないんだけど(反乱軍が鉄砲を全く使わず弓矢を使っているのはさすがにどうかと思った。サムライ性を強調するためや、政府軍と区別しやすくするためには仕方ないんだろうけど)、それまでの日本を描いた外国映画に比べればはるかに許容範囲内でしたし娯楽性も高かったです。
『戦争と人間』三部作……第1部は面白いことは面白かったんですが、中国人も朝鮮人も(そしてもちろん日本人も)日本人の役者が日本語で演じているので、誰が何人(なにじん)なのか一瞬では認識できず、観てて混乱しました。第2部はメロドラマ部分の描写がなんというか……あまりにも古臭い。いかにも一昔前のドラマというか。そこがどうにものっていけませんでした。第3部は単独の映画として見れば、1番完成度が高いんじゃないかと。冒頭に第1部・第2部のダイジェストもあるし、なんならこの第3部だけ見てもいいくらい(笑)。僕は映画というものは基本的に1本である程度完成してるべきだと思うので、この第3部が1番面白かったです。
『激動の昭和史 軍閥』……面白かったです。変な話ですが反戦映画なんでしょうが戦争映画としても楽しめました。そういう意味では一筋縄では行かない映画と言えなくもない、ような気もする。確か小学生か中学生のときに観たんですが、日記だったか何かの課題だったかで感想を書いたような記憶があります。
『小説吉田学校』……なんというか全体的にちょっと格好よすぎですね。ドラマとしては面白いけど、あまりに格好よすぎてなんだかちょっと胡散臭い。見た目にも佐藤栄作(この人はリアルタイムでは知らない)が竹脇無我とか、田中角栄(この人はぼんやり知ってる)が西郷輝彦とか、中曽根康弘(この人ははっきり知ってる)が勝野洋とか、男前過ぎて全然似てないです(笑)。
『黒部の太陽』……ちょっと高度経済成長万歳っぽいところが鼻についたけど、映画はなかなか面白かったです。確かに映画館で見たほうがよさそうな壮大なスペクタクルでしたね。とはいえリバイバル上映かテレビ放送しかなかった昔と違って、今は映像ソフトが発達してますから、ソフト化がされないとただ単に見る機会のない幻の映画にしかならないような。それが伝説化を強めて妙に評価を高めたような気もします。

 先日紹介した映画『ハンナ・アーレント』はどこに分類するか困りますね。内容的にはドイツ史っぽいんだけどドイツは全く舞台になってないし、かといって米国史ってのもちょっと違うし中東史はもっと違いますし。

>倉橋さん
 『諸葛亮(邦題:三国志 諸葛孔明)』はDVDになってるようですよ。



#9529 
倉橋 2014/02/22 22:59
歴史映像名画座の「調査中」について

 歴史映像名画座、なかなかのものてすね。僕は中国史のファンなので、いまだ再放映もされていないNHKの劇画ドラマ「項羽と劉邦」が紹介されていたのは、たいへんうれしかったです。司馬遼太郎の原作ですが、映画やドラマでは、これだけのスケールの大きいドラマは不可能ですね。大量の枚数の劇画を使って、へたなドラマ真っ青の迫力ある画面が展開していました。
 出演者について調査中ということですが、以下の通りです。
 項羽・・・中村吉右衛門(若き日の鬼平です) 劉邦・・・石坂浩二
 張良・・・北村和夫 蕭何・・・中条静夫 夏侯嬰・・・加藤武 項羽の伯父・・・大滝秀治 趙高・・・米倉斉加年 秦二世皇帝・・・津村鷹志 范増・・・仲谷昇 県知事・・・安倍徹 その他 鶴田忍 松村彦次郎 及川広夫
 ナレーター・・・宇野重吉
 なお韓信の配役がありませんが、名前は出てきますが、登場していません。このドラマ、記憶している人がおられるか聞いてみたいです。CSで再放映してもらいたいです。
 NHKの大河ドラマで、日中関係改善も兼ねて堂々ドラマ化してもらえないかと思います。
 また1985年に中国の湖北テレビで制作した「諸葛亮」が紹介されていましたが、スタッフ、キャストは下記の通りです。
 制作・・・張晶軒 演出・・・孫光明 諸葛亮・・・李法曽
 中国では各賞を総なめした当時としては大作です。諸葛亮に扮した李法曽は中国を代表する名優で、後に「三国演義」を制作する時には出演者の選定に携わっています。「諸葛亮」のビデオが日本で発売された時にわざわざ来日したんですが、宣伝のために諸葛亮の扮装で街なかに立たされて、非常に立腹していたということです。(笑)確かに戦闘シーンなどはエキストラも少なく安っぽいですが、地方のテレビ局の制作ということも考慮しないといけないかと思います。ビデオテープしか出ていないようですが、機会があれば、皆さん、ぜひ観てください。
 
 



#9528 
五葉 2014/02/22 00:47
史実なんて??

>つね様
ご挨拶が遅れましたが、はじめまして。よろしくお願いいたします。
『ふたりっ子』で苦情が来たというのは、岩崎ひろみさんが演じていた香子のことですね。あれは確かもともとはしたないキャラだったので、あぐらぐらいでそんなに目くじら立てることないのにと思うのですが、そんな事があったんですね。
あぐら膝立ち・・・主役級の女優さんは無理でも、侍女を演ってる端役の人とか、エキストラの庶民の女性を演じている人とかがさりげなくやっていたらどうなんだろう?、とチラッと思いました。どうしてもやってほしいと言っている訳ではないのですけど。
座っている時に組んでいる脚と股が見えなければ、そんなに違和感はないんじゃないかという気がします。




大河に限らず歴史映像作品は、知識がなくても楽しみながら知らず知らずのうちに歴史の勉強ができて、知識がついたら更に楽しめる要素があるものが良質のものだと思います。一人で観るには内容が難しい時は、家族や知識のある人と一緒に観て、適宜教えてもらうのも、コミュニケーションになるしありかなと。子どもの場合だとそうやって歴史への興味を育んでいくことも多いんじゃないでしょうか。
うちの弟(歴史知識なし、お笑い好き)は『平清盛』を最後まで観ました。彼にとって初めての歴史ドラマでした。きっかけは、私が観ていたのを一緒に観た+子どもの頃の清盛と兎丸をまえだまえだが演じていたことでした(笑)ドラマの背景なんかは私が一緒に観ながら説明していました。
彼がどこまで理解できたのか判らないのですが、今年の『軍師官兵衛』も観ています。今度は父が説明役になっていますよ。

まぁ、中には確かに史実なんかどうでも良いと割り切った方が楽しいものもありますが・・・。(例えば『必殺仕事人』の弾けっぷりは気持ちが良いくらいですね笑)



#9527 
バラージ 2014/02/21 23:46
やっぱりくわしく感想も@神話〜安土桃山

 大河ドラマについては前にまとめて触れたんで割愛。
 あと、今気付いたんですが『羅生門』と大河ドラマ『天と地と』の解説に若干の誤字が……。

『火の鳥 鳳凰編』……原作は人間の業を描いた手塚治虫の傑作マンガですが、アニメ映画ではそういう部分は薄められ、ただただ儚く美しい物語になっていた印象です。映画単体で見ればそこまで悪くはありませんが、原作と比べるとやはり物足りないというのが正直なところ。
『羅生門』……芥川の『羅生門』の映画化ではなく『藪の中』の映画化で、『羅生門』からはタイトルと舞台を借りただけ……ってややこしいなあ、もう。『藪の中』は未読ですが矛盾する3人の証言が描かれ、まさに「真実は藪の中」という話らしい。映画では事件の真相という4つ目のエピソードが付け足されてるわけですが、映画で印象的だったのはむしろ美術造形や映像撮影。モノクロと相まって鮮烈な印象でした。
『新・平家物語』……溝口健二監督、市川雷蔵主演という豪華版ながら印象はいまいちでした。一般的にも溝口監督作としてはどちらかというと失敗作と評価されてたんじゃないかなあ。雷蔵の代表作とも言われてないように思いますし。
『もののけ姫』……主人公は少年のほうなのにあまり活躍せずヒロインのほうが目立っちゃうという宮崎アニメおなじみの展開。もののけたちの存在とかファンタジー世界観とか『ナウシカ』に似た作品で僕はちょい苦手。作品としてはよくできてると思うんですけどね。よくよく考えたら僕は美少女剣士ものは決して嫌いではない、むしろ好きなはずなのに宮崎アニメだと受け付けないところがあるのは多分ヒロインの造形が僕の趣味に合わないんでしょう。
『風林火山』(テレビ朝日)……あまりよく覚えてませんが2時間ドラマならこんなもんだろうという程度の出来だったような。北大路欣也と加藤あいだと年齢差がありすぎて老いらくの恋にしか見えません。
『影武者』……面白い映画だとは思いますが仲代達矢はやっぱりちょっとミスキャスト。信玄役はいいんですが影武者役がね〜。インテリっぽい仲代にはああいう無教養なお調子者は似合わない。勝新がわがままさえ言わなければ……(笑)。あと、最後の長篠の戦いで、風・火・山が騎馬軍団で林だけ歩兵部隊とか(林だけ下っ端部隊かよ。徒歩で他の騎馬3軍団についてくの大変だな〜とか思っちゃう)、勝頼が1部隊ずつ投入して4部隊全滅させちゃうとか(2番目の林がやられたあたりでダメだと気付くだろ、普通)、史実と比べてどうこう以前に感覚的に変に感じちゃいます。
『大友宗麟 心の王国を求めて』……原作が遠藤周作の『王の挽歌』(これ自体は未読)ということで観ましたが単発ドラマにするのはやはりちょっと無理がありましたね。話の筋を追うので精一杯という感じでした。
『七人の侍』……確かニュープリント版とかいうやつが上映された時に映画館で観ました。面白かったです。『ベン・ハー』なんかといっしょで中盤に休憩が入りますが、映画館で観てるとその文字の出るタイミングや音楽が今の人の感覚ではなんだかギャグみたいで笑っちゃうんですよね。僕だけでなく皆笑っちゃってました。
『忍びの者』……忍者ものなのに主人公が石川五右衛門という珍しさ、リアルな忍者映画という言葉に惹かれて観た作品。しかし実際に観てみると百地三太夫の行動が謎だらけで、リアルというよりシュールな映画。三太夫と藤林長門守という敵対する両組織のボスを密かに演じわけ続けた理由が最後まで説明されずまったくの不明だし、信長暗殺を嫌がってるわけでもない五右衛門をわざわざ罠にはめて信長暗殺を強いる展開も何度考えてもよく理解できません。なんだか不条理劇を観ているようでした。昔1度観ただけなんで機会があったらもう1度観てみたいですね。
『続・忍びの者』……前作のようなシュールさはなくなってわりとストレートな歴史映画になってますね。面白いことは面白いんですが光秀が初対面の一介の忍びである五右衛門にそそのかされて謀反を決断しちゃうとか、本能寺に五右衛門自らが乗り込んで信長を斬殺しちゃうとかはやりすぎ感が強いような。二条城の鶯張りの廊下がピヨピヨと鳴って五右衛門が見つかっちゃうところは面白いですね。続編の『新・忍びの者』も観てまして、3作の中で1番ストレートに楽しめた記憶があるんですが、なぜか今となっては内容をまったく覚えておりません(笑)。
『のぼうの城』……残念ながらいまいちでした。人物描写が類型的だし、ストーリーもちょっとご都合主義に感じました。野村萬斎はやっぱりミスキャストのような……。頭が良さそうで全然でくのぼうに見えません(原作では主人公の成田長親はもっとでかくて、ぬぼ〜っとしてるらしい)。榮倉奈々・成宮寛貴の現代風な芝居、山口智充のコント調芝居もちょっと……。ちなみに史実的には三成愚将論は江戸期の軍記物による俗説で、近年の研究では現場を見た石田三成は水攻めは無理と判断したのですが、秀吉の厳命でやらざるを得なかったようです。
『千利休 本覚坊遺文』……哲学的でちょっと難解な映画でしたね。もう今となってはあんまりよく覚えてませんが、ちょっと退屈でした。



#9526 
りくにす 2014/02/20 21:31
光秀が信長に・・・

>「光秀は信長を愛しすぎて、でも理解されなかったがために苦しんで謀反を起こしたのね。かわいそう」
ドラマではないのですが、1月22日のNHKでやっていた『歴史ドリームチーム「仰天推理 本能寺の変」』に江川達也氏からそのような推理が示されました。
番組には料理、犯罪心理学などの専門家が招かれ、謀反の動機、そのときの心理状態、本能寺に到着した光秀がすぐに本能寺を包囲しなかった謎が解き明かされますが、その推理だと信長から「女は逃げろ」と言われたという侍女の証言などと食い違ってしまうのです。再放送は・・・ないんじゃないでしょうか。



#9525 
バラージ 2014/02/20 21:18
やっぱりくわしくご紹介

 歴史映像名画座に収録されていない映像作品を名前だけいろいろ紹介しましたが(以前に栄耀映画掲示板で1度紹介した作品ばかりなんで、何度もくわしく書くのもな……と思いまして)、やっぱり名前だけでは味気ないし、ちょっと不親切かなと思いまして、もう1度くわしく紹介させていただきます。なお、『男装の麗人 川島芳子の生涯』は中国近代史、『戦場のメリークリスマス』はアジア太平洋戦争のほうがそれぞれ適当かなと思い直したので割愛します。

『TAJOMARU』……#9434に記述。
『里見八犬伝』……#9434に記述。
『鶴姫伝奇 興亡瀬戸内水軍』……日本テレビ年末時代劇の最終作。戦国時代の伝承的女性である大三島の鶴姫が主人公。冗長で若干退屈するところもありますが、まあまあの出来。
『あずみ』……江戸初期の刺客の少女を主人公とした小山ゆうのマンガを映画化。刺客たちの黒幕が南光坊天海で、標的が加藤清正。北村龍平監督らしいバイオレンス・アクション時代劇で、なかなか面白かったです。敵役のオダギリジョーが怪演。
『あずみ2 Death or Love』……上記映画のパート2。本作での標的は真田昌幸。監督は金子修介にバトンタッチ。金子監督らしく前作よりもラブストーリー色が強くなっています。こちらもなかなか面白かった。
『水戸黄門海を渡る』……未見。ビデオ化のみ。蝦夷地(松前藩)が舞台で、主演の長谷川一夫が黄門様とアイヌの首長シャグシャインの二役を演じ、助さんが市川雷蔵、格さんが勝新太郎。あらすじを読むと典型的な水戸黄門のようで、シャグシャインは史実のシャクシャインとはかなり設定が異なります。
『カムイの剣』……幕末の蝦夷地と米国を舞台とした矢野徹の冒険小説のアニメ映画化。主人公の少年に絡む人物として、西郷隆盛やジェロニモなどが出てくる。なかなか面白かったというぼんやりとした記憶はあるんですが、細かいところはほとんど覚えてない……。
『竜馬の妻とその夫と愛人』……明治時代が舞台で、坂本龍馬未亡人のおりょう、その再婚相手の西村松兵衛、不倫相手の虎蔵、おりょうの妹の夫・菅野覚兵衛の4人を登場人物とした三谷幸喜の舞台を、市川準監督が映画化。僕は市川監督のファンなんですが、三谷幸喜はちょい苦手なんで、この映画はちょっといまいちでした。
『丘を越えて』……昭和初期が舞台で、文藝春秋社の菊池寛と、その私設秘書の女性(モデルは佐藤碧子)、朝鮮人作家・馬海松の三角関係を描いた、猪瀬直樹の小説の映画化。これは思わぬ拾い物だった1本。面白かったです。
『ハリマオ』……ビデオ化のみ。太平洋戦争前夜の英領マレーで盗賊となり、後に太平洋戦争で日本軍に利用された日本人・マレーのハリマオこと谷豊の半生を描いた映画。僕はハリマオに多大な興味があるのですが、この映画は残念ながらいまいち。
『さよなら李香蘭』……ビデオ化のみ。李香蘭こと山口淑子の自伝を原作として彼女の半生を描いた4時間(2時間×2夜)のスペシャルドラマ。李香蘭もハリマオと並んで興味ある人物でして、これは面白かった。いいドラマでした。
『李香蘭』……#9488に記述。
『海と毒薬』……太平洋戦争末期に九州大学医学部で行われた米軍捕虜生体解剖実験を描いた遠藤周作の小説の映画化。日本の暗部を描いた力作です。ただ、ややハードな描写があるので、万人におすすめしづらいところはありますが……。
『三たびの海峡』……太平洋戦争中の朝鮮人強制連行を描いた帚木蓬生の小説の映画化。戦中と現代とが交互に描かれます。良心作でいい映画なんですが、現代パートで老け役の俳優(戦中パートと別の俳優)と老けメイクの俳優(戦中パートと同じ俳優)が混在してて、リアリティーを損ねてるのがちょっと残念。
『地雷を踏んだらサヨウナラ』……ベトナム戦争やカンボジア紛争を取材した戦場カメラマン一ノ瀬泰造を描いた映画。面白かったです。一ノ瀬泰造と面識があった著名な戦場カメラマン石川文洋が、主演の浅野忠信は一瞬本物の泰造かと思ったくらい似てたと著書に書いてました。
『ヒットメーカー 阿久悠物語』……ソフト化なし(実際の映像も使っているため、権利関係からソフト化や再放送はしない前提で作られたらしい)。阿久悠が企画したオーディション番組『スター誕生!』を中心に、阿久の半生を描いたスペシャルドラマ。面白かったです。個人的な意見ですが、戦後史に関しては大衆文化史や庶民史などにもある程度目を配らないと、政治史や社会史など「偉い人たちの話」ばかりだと片手落ちになってしまう気がします。



#9524 
つね 2014/02/17 02:15
歴史ドラマ

個人的には「事実は小説より奇なり」と思っていますし、「事実より強いものはない」と思っているので史実重視派です(たとえ面白くなくても「事実ならしょうがない」と割り切れるというのもあります)。「三銃士もの」や「水戸黄門」「暴れん坊将軍」のように、「ファンタジー」「娯楽」として徹底しているものなら、それはそれで楽しめますが。
全てが事実で埋めきれるわけでもないので、創作で埋めざるを得ないところもありますが、そこが作家の腕の見せ所だと思います。これがうまかったのが司馬遼太郎だと思っています。
歴史ドラマは従来説でも新説でも整合性が取れていればいいと思うのですが、視聴者の側で、その見極めがついていないと思われるのが問題だと思います。いつかここでも(史点だったかもしれません)、「高校生に見せたくない歴史映画」というのが話題になりました。なんのドラマだったか忘れましたが、ネット上の感想で、「光秀は信長を愛しすぎて、でも理解されなかったがために苦しんで謀反を起こしたのね。かわいそう」というのを見かけたことがあります(表現を変えればあながち間違いとも言い切れませんが)。歴史に興味を持つ入り口になればいいんですがね。

>女性の正座
返信遅くなりましたが、「ふたりっ子」の場合、ジーンズで下半身のラインが見えてしまうのが「はしたない」と言われてしまったのではないかと思います。「現代よりも昔のほうが行儀がよかったはず」かつ「行儀がいいのならあぐらより正座」というイメージが強いと思いますので、「歴史ドラマでは、なおさらやらない」だろうと思いました。「着物であぐら」がどう見えるかは、まだ見たことがないのでなんとも言えないのですが、案外違和感ないのかも知れませんね。



#9523 
バラージ 2014/02/17 00:04
悪の凡庸さ(陳腐さ)

 映画『ハンナ・アーレント』を観てきました。重いテーマの映画でしたが、今の日本にとっても非常に示唆に富んだ、興味深い映画でした。純粋に映画としても面白かったです。
 映画は、1961年に逃亡先の南米でイスラエルの秘密警察に捕らえられたホロコーストの責任者アイヒマンがイスラエルで人道に対する罪の裁判にかけられ、その裁判を傍聴したアーレントが『イェルサレムのアイヒマン』を書く前後のお話。アーレントが『イェルサレムのアイヒマン』の中で、自らを組織の歯車として仕事を忠実にこなしただけと自己弁護に努めるアイヒマンを「悪の凡庸さ(陳腐さ)」と評したわけですが、アイヒマンは役者が演じず裁判の記録映像がそのまま使われており、その映像を見ているとアーレントの言う「悪の凡庸さ(陳腐さ)」がよく理解できます。僕は見ていて現在進行形であるオウム裁判を連想してしまいました。その一方で、アーレントがアイヒマンを悪魔的でも怪物的でもなく、自分が巨大な罪の一端を担ったことが認識できない凡庸で陳腐な人物と評し、またナチスに迎合し協力した一部のユダヤ人指導者がホロコーストの被害を拡大させたと指摘したことから、全米とイスラエルでアーレントはアイヒマンやナチスを擁護していると激しい非難が巻き起こるのですが、これもまた現代と符合するところがあります。
 主演のバルバラ・スコヴァは名演。アーレントはヘビースモーカーだったらしく、劇中でしょっちゅうタバコを吸ってるのに、演じたスコヴァは極度の嫌煙家なんだそうです。でも全然そうは見えなかった。『ローザ・ルクセンブルク』でも主演だったとのことですが、観たのが20年前なんでさすがにわからなかったですね。

 映画館では『さよなら、アドルフ』という映画の予告編も流れてたんですが、こちらは敗戦直後のドイツで差別する側から一転して差別される側に転落したナチス高官の娘が主人公の映画。なぜかオーストラリア映画(ドイツとの合作)なんですが、これも観たい。先日、テレビで観たドイツ映画『東ベルリンから来た女』も、1980年の東ドイツを舞台としたシリアスなヒューマンドラマで、これまた面白かったなあ。
 そんなドイツ映画の充実ぶりに比べ、かつてナチスといっしょに戦った日本では相も変わらぬ神風特攻隊映画が大ヒット中という……(原作者も原作者だし)。誰か手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を映画化してくれないもんだろうか。



#9522 
黒駒 2014/02/16 23:02
書こうか書くまいか迷いましたが

>ひでさん
「ここまでくるともはや年中行事ですね」とは、そういうおつもりはないのかもしれませんが、「毎年この時期になると必ずわいてくる人」とでも言われているようで、ちょっと不快感を覚えました、ということは言わせて頂きます。

旧態依然とした戦国大河も、それが初めての経験する人もいるのだというご指摘は確かにそうなのですが、私はたとえ初めてでも、ある程度高い水準の内容を見せてもいいのではないかと思います。私は初めて見た大河は95年の「吉宗」でしたが、これは吉宗の少年期から紀州藩主となり、将軍就任に至るまでのお家事情のドラマはわかりやすかったのですが、後半になって幕政中心の話になってくると小学生には難しく、ついていけませんでした。でも、「吉宗」はいまだソフト化されていないので見返せないのですが、ノベライズを読んだりして自分が知識つけてからわかるようになった部分を楽しむ、という視聴の仕方もあると思います。

戦国大河なんてほんとしょっちゅうやってるわけですし、初心者向けのお馴染みの戦国大河をやったのであれば、次はその視聴者が成長して歴史的知識を高めたと仮定し、次はちょっと高度な内容の作品にしてみるとか、そういう試みがあってもいいと思います。

私は日本の戦国時代は学術的な方から入ってエンターテイメントとしての「戦国時代」は後追いでしたし、「三国志」なんかでも、これは世代的なものかもしれませんが、「正史」から入ってエンターテイメントである「演義」のほうは後追いという経緯でした。

失礼いたしました。



#9521 
ひで 2014/02/09 09:16
ここまでくると年中行事ですね

歴史ドラマを巡る話、昔から色々なところで見かけるような気がしますし、昨今はtwitter何て便利な物ができてしまったため、以前よりも見かける頻度は増えているような気がします。

旧態依然として飽きたという人もいるかもしれませんが、それが初めてという人もいる世なあ、等々と思いますが、物語を構築しやすいのは古いほうなのではないかと思います。新しい物を半端にとりこんで物語が破綻するというのが一番まずいと思うだよなあ。取り込むなら取り込むで、腹をくくって作るしかないと思うけれど、制作者サイドで果たしてどこまで考えているのかよくわからないところもありますし。

あとは、やはり過去に実際に生きていた(とされる)人々を題材にする以上、ある程度過去に対する敬意って奴は持っていて欲しいんですが、どうも、昨今それがないと思う歴史物(ドラマ・漫画・小説問わず)が増えているような気がしてなりません。半端な史実改変すんなよとおもうところもあるので。

http://historia334.web.fc2.com/index.html


#9520 
バラージ 2014/02/08 23:14
小ネタ二題

>『足尾から来た女』
 僕は前編だけ観て、後編は見逃しました。前編も裏の『松本清張 三億円事件』とどっちを観ようか迷ったんですが、三億円事件ネタは『クロコーチ』を観たばっかりだったし、まぁいいか、と。でも結局後編を見逃すんだったら、『三億円事件』を観ればよかったかなぁ。
 田中正造を描いた映像作品だと、『襤褸の旗』という映画があります。ビデオ化はされたようですがDVD化はされていないようです。僕は未見。

>従軍慰安婦が出てくる日本映画
 思い出したんですが、1995年の映画『きけ、わだつみの声 Last friends』にも朝鮮人従軍慰安婦が出てきてました。これが日本映画で朝鮮人従軍慰安婦の出てくる1番最近の作品でしょうかねぇ。映画自体は残念ながら話が散漫でいまいちな出来ですが。ちなみにこの映画を1950年の『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』(こっちは僕は未見)のリメイクとしていることがありますが、実際には全然別のお話(1950年版はインパール作戦が舞台で、従軍慰安婦は出てこないようです。1995年版の舞台はフィリピン戦線・沖縄戦など)。そもそも原作の『きけ、わだつみの声』は書簡集ですから、そのままの形では映画化できません。多分どっちも「ヒントにした」というくらいのもんなんではないかと。
 あと、僕は未見ですが、映画『独立愚連隊』『独立愚連隊、西へ』にも従軍慰安婦が出てくるらしいです。



#9519 
五葉 2014/02/08 21:25
補足。

ドラマを見る時の面白みの一つは、「その手があったか!」「そうきたか!」という、良い意味での裏切られ感だと思います。大河ドラマを始めとする歴史ドラマでもその点は同じです。歴史には様々な解釈や研究史の変遷があり、それを筋立てを生かしたらもっと面白い話ができるかもしれないのに、昔から知られている説を型どおりに繰り返すだけなのは勿体ないと思うんです。それに私は、「型どおり」を求めている人にも、ドラマを観る事を通して、歴史の世界の多様さを知ってほしいんです。



#9518 
五葉 2014/02/08 20:58
新説とドラマと

しばらく見ないうちに、随分盛り上がっていますね。女性のあぐら・片膝立ちの件に関しても、コメントを頂くことができ、感謝しています。

私も黒駒様と同じで、子どもの頃からずっと大河ドラマを見続けてる身としては、同じ人物を同じように取り上げられると、「またぁ?」って感じでうんざりしてしまいます。そりゃあ新説が本当かどうかは判らないし、取り入れ方もあるだろうし、ドラマとして面白くなければ取り入れられないというご意見も最もだとは思うんですが。


でも、知識がないジャンルのことって、たとえドラマであっても、見ていれば事実のように錯覚しちゃうことってありませんか?(ストーリーの背景は、ストーリーそのものよりも時としてその傾向が顕著だと思います)例が悪いかもしれませんが、今『明日、ママがいない』が問題になっている理由の一つは、福祉の知識がない一般の視聴者に、児童養護施設に対する誤解を植えつける恐れがあるからでしょう。学校や病院などのなじみのある場所を舞台にしていれば、「あんな学校(病院)ねぇよ」って誰でもすぐ気づくけれど、児童養護施設という一般的になじみのない場所では、ストーリーや設定に実態との違いがあっても見抜くことはなかなか難しいと思います。
歴史上の人物を出したドラマについても同じことで、旧説をいつまでも繰り返し流していれば、歴史知識がない限り、それを何となく本当だと感じてしまうのではないかと思います。現に私も、黒駒様や他の方が「天下布武」の「天下」の範囲にはさまざまな解釈があることを教えて下さらなければ、ドラマの解釈をそのまま受け入れてしまっていました。一度思い込みができると、製作者がいくら新説を取り入れたものを作りたいと望んだとしても、視聴者の方は違和感を感じて、受容しにくくなるという現象が起きるのではないでしょうか(視聴者側が歴史に興味があって、独自に勉強しているという人手ない限り)。そしたら、視聴者に誤解を植えつけるだけでなく、新しい挑戦がしにくくなりドラマの質の低下にも繋がるんじゃないかなぁと思うのですが。
女性の座り方についても、現代の通念を持ったまま、時代劇で何度も何度も正座した女性を見続けてれば、「昔の女性もああだったんだ」って刷り込まれるでしょう。その状態でいきなり、女優さんにあぐらをかかせようものなら、「それが普通の時代もあったという説もある」ことを知らない限り、そりゃあ苦情が来るとは思います。

ちなみに『平清盛』放送の一年くらい前でしょうか。杏さんがEテレで『杏の戦国武将学』という番組を4回シリーズでやっていたのですが、その中で当時の着物を着てあぐらをかく姿を見せてくれました。個人的印象ですが、はしたないと感じることはありませんでしたよ。その番組の中で確か、高台院が片膝立ちで座っている肖像画を取り上げていたと思います。あと何かの屏風絵で、庶民の女性があぐらをかいている様子を紹介していたような気がします。お市の方や茶々と伝わる肖像画では、どちらもボトムスが広がっている状態なので微妙ですね。。。



#9517 
黒駒 2014/02/07 22:39
歴史ドラマと物語

歴史ドラマにおける新説の取捨選択が物語を面白くさせるかどうかという点はその通りであろうと思うのですが、いつまでも旧態依然とした古い歴史観のドラマを繰り返せられると、またおなじみの「戦国時代」かと、旧説だから駄目というよりは、飽きてしまうというのが正直なところです。「官兵衛」も世間の感想を聞いてみると、若い世代の視聴者はちゃんとあれで感動してくれているみたいなのですが、さすがに大河ドラマを長年見ていると、だんだん同じ話のループがしんどくなってきます。

問題の信長の「天下」ですが、たとえば信長が家臣たちに「天下とは何か?」と質問させて、重臣たちが「天下とは将軍様のおわすところにございます」と言うのに対し、信長が「否、天下とはこの日本全体のことよ」と言わせるとか、新説をうまくドラマに取り入れることもできないはずはなかろうと思うのですけどね。そういうポイントがところどころにちゃんとあれば、このドラマ最後まで見てみようかしらと思えるのですが。



#9516 
バラージ 2014/02/07 21:10
すべては物語のために

 『軍師官兵衛』は、僕は早くも観たり観なかったりになってしまったんですが、盛り上がってる歴史とドラマの関係について一言。
 皆さん、大河ドラマ(に限らず歴史ドラマ、歴史映画全般ですが)はまず第一義的にドラマ(物語)であるということをお忘れのような……。新説を取り入れるも取り入れないも、基本的に物語が面白くなるかならないかを基準に考えられると思うんですよね。新説を取り入れてるとすれば、それは取り入れたほうが物語が面白くなるからだし、逆に取り入れていない場合は、取り入れると物語として面白くなくなる、もしくはそもそも物語(映像作品)という形で表現しにくいということなんだと思います。
 「天下」についての新説は僕もチラッと何かで読みましたが、映像作品では表現しにくいと思いますし、女性の膝立てあぐらも、知識としては知っていても感覚的にはやはり違和感を感じてしまいます。
 逆に『武功夜話』なんかは新ネタとして面白そうだと判断されたんじゃないでしょうか。信長・秀吉・家康が主人公の映像作品は何度も映像化されてますし、何か新たな切り口が必要になりますから。



#9515 
つね 2014/02/07 11:54
ボルジアでした。

大変失礼しました。チェーザレとかルクレツィアが登場人物です。
メディチもチェーザレの学友で出てきますが。
ゴッド・ファーザーに似たところもあるかも。ゴッド・ファーザーはパート1しか見ていませんが。

>女性の正座
昔、「ふたりっ子」で主役の一人(女性棋士(男と勝負していたから女流ではなかったはず))が、あぐらをかいていて、「はしたない」とNHKに抗議がきたらしいので、歴史ドラマでは、なおさらやらないでしょうね。お市とか茶々とか肖像画は残っているけど、あれもあぐらをかいているのかなあ。着物でよく分からないけど。



#9514 
倉橋 2014/02/06 13:10
歴史と大河ドラマ

 覗いてみたら大変面白く徹夜城氏の多才ぶりに驚きました。最近、大河ドラマのことが話題になっていましたので、最近の大河ドラマについて思うことを書いてみます。
 結構大河ドラマは最近の学説や流行に敏感ではないかと思っています。「秀吉」「功名が辻「天地人」などの時代考証を担当した歴史学者の小和田哲男氏、執筆の「歴史ドラマと時代考証」を読むと、最近の学説を出ラマの場面や風俗に取り入れようとしている姿勢が分かるかと思います。最近は原作のないオリジナルの脚本で制作されることが多くなったので、特にその傾向は強いのではないかと思います。
 今でも時々、やり玉に挙がるのが「秀吉」、「利家とまつ」で、偽書だと批判の多い「武功夜話」の内容をいろいろと取り込んでいたということで、雑誌「正論」に批判文が掲載されたほどです。「秀吉」の時代考証を担当した小和田哲男氏は「武功夜話」を高く評価しており、その影響もあったことは間違いないと思います。また戦国の女性の地位は高かったと最近の研究成果をもとに主張し、軍議の席に女性たちがしゃしゃり出る場面も多く登場し、あり得ないことという批判も出されました。小和田氏の著作を読む限り確信犯的に取り入れたようです。
 原作のあるドラマだと、原作者のこだわりもあり、また故人になった人も多いため、あまり勝手にストーリーを変更はできません。小和田氏によると「功名が辻」の際に、原作者の司馬遼太郎未亡人より「主人は何か考えがあってそうしたのだから原作通りにしてほしい」と言われたこともあったそうです。(「秀吉」は一応堺屋太一の原作があるが実際にはオリジナルストーリーに近い。「天地人」は小谷野敦の「大河ドラマ入門」で「ドラマが決まってからNHKが原作を書かせたようだ。直木賞候補になったこともない群小歴史作家による軽い小説」と酷評されている。)
 オリジナルの脚本による最近の大河ドラマでは、歴史の「新解釈」で歴史的事件や人物が描かれることも多く、私は無批判に最近の学説を取り入れたり拡大解釈をする傾向が強いと思っています。どうしてそうなるかといえば制作に関わるNHKスタッフや時代考証担当による「歴史解釈」でドラマがつくられるからで、歴史的評価の定まっていないどころが悲観の多い「武功夜話」のような「古文書」が積極的に取り入れられたのもそのひとつだと思います。最近は、歴史の上では脇役でしかない人物を主人公にすることが多くなったため、その代表的作品の「篤姫」では、篤姫が第一次長州征伐も江戸城無血開城も実現させたという空想的な「新解釈」が取り入れられていました。
 みなさんのおっしやる通り、戦国時代や安土桃山時代に関する著作も多く出されていますが、最近発表された説で非常に斬新なものでも、評価が定まらないうちは無批判、恣意的に大河ドラマに反映されるのは謹んで欲しいというのがわたしの意見です。黒田官兵衛も歴史のうえでは脇役なので、今年の大河ドラマが危惧するような展開にならないか少し不安になっています。
(追記)最近、「武功夜話」をもとに信長や秀吉を語ると掲げた本が出版されました。この本を書いた人は「武功夜話」が偽書であるという批判に触れながらも、小和田哲男氏の研究で「決着がついた」と堂々と記しています。無数にいる歴史学者のひとりである小和田氏が「偽書ではない」と発表しただけで、なぜ決着がつくのでしょうか?ちょっと信じられない論拠です。NHKの大河ドラマがこの本のような迷走に走らないことを祈るばかりです。例え保守的といわれることがあっても、です。



#9513 
黒駒 2014/02/06 10:55
信長と「天下」

最近の、信長の「天下布武」に関する新説は神田千里氏の論文を読むのがいちばんいいのですが、池上裕子『織田信長』を読むのがいちばん手っ取り早いと思います。最近刊行された、平山優氏の『長篠の戦いと武田勝頼』でも言及されていますね。

平山氏の著作で指摘されているのですが、信長の「天下」の意味も長篠合戦のころには東国も含む意味に拡大していて、徐々にですが畿内近国から列島全域を含む意味に広がっていはいるのですよね。あくまで将軍義昭を奉じて上洛し、「天下布武」の朱印を使い始めた時期の「天下」は畿内近国を指していたのではないか?という説であろうと思います。

「岐阜」命名については『信長公記』に見られる説でしたよね。池上裕子『織田信長』ではこの件について触れられていないのですが、信長の「岐阜」命名も他の史料で確認される確かな事象なのだろうかという感じもします。太田牛一になるのかわかりませんが、『信長公記』の成立した近世段階の「天下」意識が反映されているのではないかもという気もします。



#9512 
徹夜城(昨日は雪に見舞われて仕事が休めた管理人) 2014/02/06 00:02
「死亡フラグ」

 タイトルは何の話かと言えば、先日の「官兵衛」第四回。戦に行く前のあのセリフには「まんま死亡フラグ」と笑ってしまいました。新版「日本沈没」にも見られましたが、分かっててやってるとしか思えないんだけどなぁ。もうちょっとどうにかならんもんかと。
 すでに下で話題にされていますが、「官兵衛」、放送開始したはずなのに試行錯誤というか、腹が座ってないというか…どういう路線を考えていたんだろう、と思ってるところです。戦国もの、それも「軍師」とやらいうものらしいんですけど、爽やか青春路線を行きたいらしいようですし、地方ネタじゃわかんないからと、信長秀吉伝を同時並行でやってそれといずれ合流するという流れを作ってるようですが、話の腰を折ってるようにしか見えないし。
 信長・秀吉ものに関して言えば、特に映像作品では見る側も「忠臣蔵」並みに保守的な人が多そうで…今回は「わき道」だけによけいに従来説型なのかもしれません。

>天下布武
 で、黒駒さんが紹介されていた最近の「天下布武」論の話、僕はそれらの説はまだ読んでないのですけど、この掲示板で出ていた話だけから聞くと、「それはうがちすぎな論ではないかなぁ」と思ったのが率直なところです。
 そりゃまぁ「天下」をどこまで指して言ったいたのか、というのは信長・秀吉らの言説をちゃんと通して見て政治的に判断しなきゃいけないところもあると思うのですが、僕の知る限りでは「天下布武」のハンコを使い始めるのは「岐阜」命名とセットだったはずで、中国史畑をやってた人間からすると「岐阜」という実に中国的、漢学的な命名の仕方をする連中は「天下」をやはり「中国的」解釈で使ってるんじゃないかと思うんです。下手すると「天下」って日本を飛び越してたかもしれませんし、実際信長は早い段階からそこまで考えていた節があると思ってます。もちろん使い始めた時点ではまだ足利将軍を立てたうえで…のレベルだったわけですけど。
 「天下」という話では、古典「太平記」の作者とされる「小島法師」が死んだことを記した公家の日記に「ちかごろ天下でもてあそび(世間ではやっている)太平記」という記述があるのも思い出しました。ここでの「天下」もすごくアバウトだとは思われますが。


>つねさん
カラシニコフさんの場合、自分の名前が銃の愛称になって世界的に知られてしまった、ということも気に病むところだったかもしれません。
メディチ家のドラマが作られているのは知ってたんですが、まだ見る機会がなく…イギリスで作った「大聖堂」もそうでしたが、なんか欧米歴史ドラマってエログロ的にドロドロになる傾向が目につく気はします。

>五葉さん
 なるほど、女性の正座については僕も気にしたことがなかったです。ただ、恐らく実際に「正確な時代考証」であぐらをかかせる演出をしちゃうと、イチャモンがかなり来そうな気もしますし、女優さんも今一つサマにならない気がします。眉を剃って、お歯黒つけてを実行する映像作品がそうそうないのと同じようなものかも。

>カプランさん
「足尾から来た女」ですが、僕はまず「尺が足りないな」と思ってしまいまして。あそこまでいろいろ有名人出したんだから、それこそ天皇への直訴でも大逆事件でもつなげてくことはできたろうに…ともったいなく思いまして。そういや原敬が映像作品で出たことはこれまであったんでしょうかねぇ?

>バラージさん、アジアのバカ大将さん
 「暁の脱走」という映画のタイトルだけは、黒澤明が脚本を手掛けたせいで知っていたんですけど、そういう話だったとは。原作もからめた事情も初めて知りました。
 そういや李香蘭=山口淑子さんも「まだ生きてるよな?」と思ってしまう、半ば歴史上の人物化してる方ですよね(原節子ともども)。金日成がまだ生きてる間に訪朝団で北朝鮮に行ったら、向こうから「李香蘭さん」と声を掛けられた、という逸話を聞いたことがありました。



#9511 
バラージ 2014/02/04 21:56
『暁の脱走』と『春婦伝』

>アジアのバカ大将さん
 『暁の脱走』も同じ時に見つけてたんですが、この映画はアジア太平洋戦争末期の中国戦線が舞台だったんで、「第二次世界大戦・アジア太平洋戦線」かな〜?と思いまして、今回は紹介しませんでした。なんでも脚本の黒澤明がGHQの修正命令に怒って降りてしまったため、監督の谷口千吉が脚本を修正して完成させたという話ですね。
 1965年には原作と同じ『春婦伝』というタイトルで日活が再映画化し(鈴木清順監督)、同じ役を野川由美子が演じてますが、そちらでは原作通り朝鮮人慰安婦になっています。野川由美子というと個人的にはテレビ時代劇『桃太郎侍』の印象が強いんですが、映画『ある殺し屋』でも好演してました。
 『暁の脱走』『春婦伝』ともにDVD化されているようですが、レンタル店で見かけたことはなく、僕はどちらも未見です。



#9510 
アジアのバカ大将 2014/02/04 14:27
李香蘭と従軍慰安婦

李香蘭(山口淑子)は朝鮮人従軍慰安婦を演じようとしたことがあります。
「暁の脱走」(新東宝・1950年制作)という映画で、原作は田村泰次郎(
占領軍相手の娼婦を描いた「肉体の門」で一世を風靡した作家)の小説「
春婦伝」(一兵士と慰安婦の純愛物語)。脚本は、黒澤明と谷口千吉(監督)で、
ヒロインは「看護婦」と騙されたという生々しい話になる予定でした。
占領軍の脚本検閲をパスできず、山口は「慰問団の歌手」ということで制作
されました。別に山口が朝鮮人慰安婦役を忌避したからではありません。
それどころか、彼女はやる気まんまんだったのです。山口の自叙伝によると、
上海を拠点にしていた頃、近くの蘇州でロケした際、朝鮮人慰安婦から
「路上で拉致、強制連行のうえ慰安婦にされた」と聞かされ、衝撃を受け
ています。生き地獄から救ってあげられなかったことを悔いていたのでしょう。
参議院議員時代にも、慰安婦問題に取り組んでいます。心も美貌の人だった
のです。それに対し、元慰安婦を「ただの売春婦」と呼び恥じない、自民党
の女性議員たちの心の醜さは、正視できません。



#9509 
バラージ 2014/02/03 22:00
未収録作品追記

 歴史映像名画座の感想を書いた時に、未収録作品の紹介をちょこちょこやってるんですが、全部が観た作品というわけではありません。僕が観たのは以下の作品です。

・映画『TAJOMARU』『あずみ』『あずみ2』『カムイの剣』『竜馬の妻とその夫と愛人』『丘を越えて』『ハリマオ』『戦場のメリークリスマス』『海と毒薬』『三たびの海峡』『金環蝕』『地雷を踏んだらサヨウナラ』
・テレビドラマ『里見八犬伝』『鶴姫伝奇』『猿飛佐助』『男装の麗人 川島芳子の生涯』『さよなら李香蘭』『李香蘭』『ヒットメーカー 阿久悠物語』

 そして先日、別の用事で検索してて、たまたま見つけた未収録の日本史映画があったので追加でご紹介。

明治〜戦前
 『従軍慰安婦』……千田夏光のノンフィクションを原作とした1974年の映画。原作者は「従軍慰安婦」という言葉を使い始めた人らしい。映画は(当然ながら)ノンフィクションではなく物語となっていて(脚本は石井輝男)、舞台は日中戦争の時代。慰安婦も朝鮮人ではなく、大半が極貧の日本人女性となっているようです(原作でも日本人の慰安婦についても書いているそうですが)。ただ朝鮮人慰安婦も登場しており、今となっては日本映画としては非常に珍しい作品かも。ソフト化はされていないようです。僕はもちろん未見。



#9508 
カプラン 2014/02/03 20:39
結局、要求している人? ^_^;

どうもです:カプランでございます。またしても徹夜城様のHPに参上しました・笑。

『軍師官兵衛』…、いや〜見てて辛いっすねえ:話の運び方/組み方…、ぎくしゃく…、
感情移入できない…、散漫…、まあともかくそんなこんなが相乗して、「負のスパイ
ラル」。現時点でこれが正直な印象ですね…。『平清盛』みたいに、繊細で寄木細工
のような組み方までは要求しないから、もう少し丁寧に話を運んでほしいです(尤も、『平清盛』のような構成を真似することは余人をもってなかなか代えがたい気がしま
すが。)。

 これだったら、『影武者徳川家康』の方が、エンタとしてはるかに優れていたよう
な気がします・爆。

 とはいえ、見捨てるようなことはしませんけどね:一応付き合うつもりではいます…。

 ところで、『足尾から来た女』。詳細な言及は城主様のためにとっておきたいと思
いますが^_^、面白かったですね…。原発絡みのこともありますが、(企画段階での意
図を凌駕?し)今のNHKをめぐる状況とも結果的に重なってしまい、しびれる味わいに
なりました:なんというか独特のコクがブラスされたというか・爆。

 まあ、池端さんのちょっと文学テイスト[と、私は思っているのですが・汗]な手練
手管が駆使されていて、健在さが窺えてよかったです:尤も、そうしたテイストを知っ
ている人にとって見れば、セルフコピーを再確認しているような気がしなくもなく、
そこが好き嫌いの分かれ目になるのかなという感じもしましたが…。(その一線を越
えて新しい境地を見せてほしいな…、とか・爆) でも、じっくり魅せるものに仕上
がっている良作だと思います^_^。

 私は一言、正造さんに倣い「こういうドラマなら大いに結構!」と一言申し添えて
おきます^o^。

 城主様のご感想を楽しみにしております。

 ではでは…。^_^ノシ



#9507 
黒駒 2014/02/01 14:32
信長と大河

>五葉さん
信長は2012年に「人物叢書」から池上裕子さんによる評伝が出て、これがけっこう話題になっていました。私は地元の甲斐武田から戦国史の勉強をはじめて、武田と縁の深い織田にも関心を伸ばしていったいのですが、信長・織田権力って一般的知名度と関心が高いわりには基礎的な研究が進んでいないらしく、また戦国大名研究者との間の共通理解も確立していなくて、信長の政権と戦国大名は本質的にどう違うのか?といった点も、まだまだ未解明の部分が多いみたいです。

信長といえば本能寺の変ですが、本能寺の変に関する研究もかつては光秀の野望説が一般的だった時代から黒幕説が注目される時代を経て、最近また再び野望説に回帰しているといった研究史の変遷を経ているようですが、大河ドラマを見るとこの流れがよくわかる・・なんてことは無くて、相変わらず昔ながらの本能寺劇を繰り返していますね。大河ドラマはやっぱり、積極的に最新の学説を取り入れることはなくて、保守的だなと痛感します。



#9506 
五葉 2014/01/31 21:29
古色蒼然といえば

管理人様、常連の皆様、ご挨拶が遅れましたが明けましておめでとうございます。面白そうなお話があれば時々割り込ませていただくことがあろうかと思いますが、今年もよろしくお願いいたします。

黒駒様
はじめまして。「天下布武」の「天下」の範囲の変遷については初めて知りました。特に歴史を専門的に勉強している訳ではない視聴者の方にとっては、最新の学説よりも自分の知っている信長の方を見たいものなのかもしれません。何を題材にしてもどうせ同じ人物を出すことになるのなら、せめて最新の学説くらいは反映させてマンネリ感を出さんようにしてほしいと個人的には思うのですが。

ちなみに私もこの間官兵衛を少し見たのですが、別のところで古色蒼然さを感じました。それは女優さんがみんな正座で座っているところです。最近の研究では、近世初期までは女性も座る時はあぐらをかくか、韓国のように片膝を立てるかが普通であったことが判ってきています。(誰の研究だったかは忘れてしまったのですが・・・)あの頃の女性用の着物は、背中心からおくみまでが今よりも幅広くとってあるので、そういう座り方をしてもはだける心配がないんですよね。『タイムスクープハンター』の後妻打ちの回の時は、(確か時代設定が1630年ごろでした)先妻側の話し合いのシーンでちゃんとあぐらだったんですけど。



#9505 
つね 2014/01/27 16:57


>カラシニコフ

直前に三島由紀夫のノーベル賞の話題があるからか、本人の悩みも遺言もノーベルとかぶるように思えます。軍事技術に貢献した科学者が等しく感じる悩みかもしれませんが。缶詰からインターネットまで戦争に対応して生まれた技術と言えますからね。

>歴史映画

最近、メディチ家のテレビドラマを見始めました。2011年は「愛と欲望の一族」と「欲望の系譜」というメディチ家を題材にしたドラマが並列して放映されましたが、私が見始めたのは「欲望の系譜」のほう。エログロな部分があります。「ROME」なんかもそうでしたが、ヨーロッパ系はそうなのかな。エログロなしに歴史は語れないというのも一つの真実でしょうが。教皇の死からコンクラーヴェまでの再現度は見ものです。



#9504 
黒駒 2014/01/27 11:48
官兵衛第三回

第一回の桶狭間が古色蒼然たる旧説に基づいた描写とは指摘されるところでしたが、第三回は私でも気づいたのが、信長の「天下布武」が列島統一の意思の現れと見るのが、やっぱり旧説だなぁと思いました。どうしても気になってくるのはだめなポイントになっちゃうのですが。

戦国時代の「天下」は室町将軍の権威の及ぶ畿内周辺地域を指す意味で、やがて信長・秀吉の統一政権により「天下」の意味する地域が拡大し、江戸時代には列島全域に及ぶというのが近年、神田千里氏により指摘されるところであり、信長が「天下布武」を列島統一の意思の現れと見るのはどうか?と言われているところであります。

このあたりは最近話題になった人物叢書の池上裕子『織田信長』でも言及されていて、脚本執筆段階で手に入らなかったのかな?とも思うのですが、ただ大河ドラマっていうのが積極的に最新の学説を反映させていこうっていう番組ではなさそうですね。



#9503 
徹夜城(今ごろになって各コーナーの新年挨拶を外した管理人) 2014/01/25 13:23
やっとこさ

 例年のことではありますが、この時期はムチャクチャ多忙につき(特に年末年始の二週間はかなり地獄を見ました)、更新作業が滞りました。24日になってようやく「謹賀新年」外しましたが新記録かもしれません(汗)。「史点」も更新しましたが、そんな事情でネタ総まくりな内容になってます。

>歴史映画な話題
 実はもう昨日で銀座での上映が終わってしまったのですが、先日の水曜日にポルトガル・フランス合作映画「皇帝と公爵」を鑑賞してきました。タイトルや宣伝を見ると「ナポレオンとウェリントンが激突!」な血わき肉躍る歴史大作のように見えますが、予告編映像でおおよその予想はついてしまいました。はい、ナポレオンは登場もせず(肖像画が1シーン映る)、ジョン=マルコビッチ演じるウェリントンも大勢いる登場人物の一人にすぎずところどころにしか登場しません。ナポレオン部下の中でマッセナの出番がかなり多いのでマニアな方だけは喜ぶかな、と。
 内容自体は1810年のナポレオン治下のフランス軍のポルトガル侵攻のなか、ポルトガルとイギリスの兵士たちや難民たちの苦難の話で、総じていうと「戦争の悲劇」を描くもの。登場人物がかなり多く、個々人のストーリーを同時並行で語る群像劇、しかも大半は無名の人々なので、しっかり見てないと展開が分からなくなっちゃいます。予告編でも察しましたが、ポルトガル映画として見るとカネはかかっているのでしょうけど、スペクタクルな部分はあまり期待できません。ネタばれですけど、ラスト近くで「これから大決戦」と思わせて拍子抜けな終わり方になりますし。もちろん作り手としては戦争スペクタクルを描く気など毛頭なく、戦争によっていかに人々の運命が狂わされるか、という点に主軸が置かれています。歴史映画として見ると、あまり見られない素材なので通好みかな、と。
 それにしても、本筋とは別に、本作が「R12指定」となった原因である、自称17歳の少女のベッドシーンのヌードの見事さばかりが記憶に残ってしまいました(^^;)。

 その映画館にチラシがあったので初めて知りましたが、ポーランドのアンジェイ=ワイダ監督、まだ新作を撮ってたんですな。今度は「ワレサ・連帯の男」(邦題)ですって。とうとうこの人の歴史映画の範疇ですか。ワイダ監督自身「連帯」と連帯した人ですから当然肯定的にとらえるのでしょうけど、ワレサって大統領になってからはまるでダメダメな人だったんですが、そこまで描くのかどうか。
 ワイダ監督といえば、先日NHKの衛星で放送してたので、「カティンの森」をようやく見ました。ホントにひどい話なんですが(ワイダ監督の父も犠牲者だそうで)、「地下水道」「灰とダイヤモンド」「パン・タデウシュ物語」とワイダ作品を見ていくとそのまんまポーランド現代悲史になってしまいます。そして「ワレサ」と来るわけですが、どういう出来になってるのか。4月には日本公開のようです。

 歴史映像ネタで言うと、今日後編が放送される「足尾かた来た女」も、これまであまり描かれなかった明治の社会運動家たちの世界を描いた歴史ものとして注目です。前編もちょっと最初の方までしか見てないんですが、それだけでも面白そうだな、と。
 足尾銅山鉱毒事件を扱いつつ福島原発事故と重ね合わせているのは明らかで、震災から半年後にNHKのディレクターの方から脚本の池端さんに企画がもちこまれたのだそうです。当初はずばり田中正造ドラマの企画だったようですが、正造を軸にしつつ架空キャラの視線から見た明治時代を描くドラマとなったとのこと。柄本明はこないだ同時代の乃木希典とか大隈重信やったばかりなのに、今度は田中正造とは。
 池端俊策さんといえばなんといっても「太平記」の脚本家ですが(そういやあれにも柄本さん出てたな)、古代史三部作を経て、今度は明治と歴史物づいている人ではあります(TBSでは太平洋戦争開戦ものも書いてた)。「太平記」以後大河ドラマは担当されてないんですが、そろそろ一本あってもいいんじゃないかなぁ。人があまりやらないジャンルで強みを発揮されるように思います。



#9502 
黒駒 2014/01/13 20:53
アリエル・シャロン死去

当然、史点ネタに入ってくると思いますが、栄えある「ノーベル迷惑賞」受賞者であり、00年頃の史点を騒がせていた懐かしい人ですね。脳卒中で倒れてたのは知ってましたが、そういえば最近の中東情勢も良く知りません。



#9501 
バラージ 2014/01/13 20:30
またまた、かぐや姫

 アニメ映画『かぐや姫の物語』を観てきました。歴史と関係ないとお思いかもしれませんが、歴史映像名画座に実写映画『竹取物語』もあることですし……。
 予想してたことではありますが、オリジナル要素や描写などに個人的に違和感がありました。原典そのままは無理というのもわかるんですが……。最初は『まんが日本昔ばなし』みたいだな〜とか思ってたんですが、途中からは「な〜んか俺の思ってるかぐや姫と違うんだよな〜」ってことばっかり考えてましたね。まぁ僕も絵本とかテレビ(『まんが日本昔ばなし』やNHK教育テレビなど)で観ただけで、原作古典は読んでなかったんで、この機会に岩波文庫を買って読んでみたんですが、やはり僕の中にあったイメージは原典通りのものでした。つまりNHK教育テレビや『まんが日本昔ばなし』はわりと原典に忠実だったということ。当たり前かもしれませんが。そんなわけで個人的には今一つしっくりこなかった『かぐや姫の物語』ですが、2時間半を全然長く感じなかったんで、映画としてはよく出来てるんだと思います。


 中国近現代史戦争映画を2本DVDで観たので、そちらのほうの感想も。

『ラスト、コーション』
 太平洋戦争中の香港と上海を舞台としたスパイ・サスペンス&恋愛映画。原作の女流作家・張愛玲(アイリーン・チャン)の短編小説は、鄭蘋茹(テン・ピンルウ)という実在の女スパイをモデルにしたとのことですが、映画を観た限りではほぼ全編フィクションのようですので、歴史映画とはちょっと言えないかなぁ。よくできてて2時間半の長さを感じさせない作品ですが、この手のテーマの映画としては特に目新しい話というわけでもありません。似たようなテーマの映画なら、第一次上海事変が舞台の『パープル・バタフライ』のほうが個人的には好きな映画です。

『戦場のレクイエム』
 国共内戦を描いた中国の戦争映画。前半は『ブラザー・フッド』のような近年流行りのリアルな戦場描写で、すごいことはすごいんですが、途中でちょっと退屈してしまいます(ちなみに国共内戦だけでなく朝鮮戦争も少しだけ舞台になっています)。一転して後半、戦争終結後のお話になってからのほうが印象深かったですね。報われぬまま戦死していった無名兵士たちへの鎮魂が胸を打つ作品です。


>『曹操』
 ようやくテレビドラマ『曹操』のDVDを見始めました。これから1年ぐらいかけてちょこちょこ観ていこうかなと思います。このドラマは赤壁の戦い前夜で終わってしまうらしいんですが、普通の三国志ものではあまり描かれないエピソードが盛り込んであって、なかなか面白いです。
 そういえば3月には『曹操暗殺 三国志外伝』というチョウ・ユンファ主演の映画が公開されるようですね。

>『男装の麗人 川島芳子の生涯』
 ご指摘のとおり、黒木メイサ主演のドラマです。あまり印象に残らないドラマでしたが。



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