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2017年6月4日

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またまた一か月以上間を空けてしまいました。そのためこの間に書き留めていたものの総集編的な内容になってます。

◆今週の記事

◆マクロンならグローバリズムに自信が持てます♪

 「マクロン」という名前を聞いて、ある世代以上の人は「毛糸洗いに自信が持てます」というCMを連想したようだ。「愛、おぼえてますか」に走った人もいたようだが(笑)。
 そんなわけで、ここ一か月近くの間に相次いだ「大統領」関係の話題をまとめてみよう。

 今年の世界注目選挙の一つであったフランス大統領選。終わってみれば結果は事前の予想通り、中道のエマニュエル=マクロン候補が決選投票で66%ほど得票して新たなフランス大統領に選出された。今年で39歳と史上最年少のフランス大統領、金融業界から政治家へ転身したエリートぶり、そして奥さんが25歳も年上であることなど、いろいろ話題は豊富である。ちなみにアメリカのトランプ大統領の奥さんは23歳年下だったかな。
 この大統領選が注目されたのは、まかり間違って極右「国民戦線」当主(いま「党首」の誤変換をしたが父娘二代続いてるとこっちの方が合ってる気もするのでこのままに)であるマリーヌ=ルペン候補が勝利でもしたら、それこそEU崩壊が現実のものになりかねなかったためだ。去年のイギリスのEU離脱決定、アメリカのトランプ大統領当選と続いた「まさかの結果」「反グローバリズム」「自国第一主義」「排外主義」の流れが連動しやしないかと心配されていたわけだが、先のオランダ総選挙に続いてそうした傾向に対する逆の流れが出てきたようでもある。

 ただ、終わってみればこういう結果だが、途中までは結構ヒヤヒヤものだった。最初の投票では有力とされる候補者が4人もいて、支持率は20%前後で横並び状態とになっていた。極右でEU離脱を公言するルペン候補に注目が集まりがちだったが、終盤になって急激に支持を伸ばしたのが「極左」とまで言われた左翼党のメランション候補。なんとなく漂う社会の不満、反グローバリズムな声を極右と共に糾合する形で猛追をかけ、一時は極右と極左の決選投票か、なんて事態まで考慮された(その場合だと極右が勝っちゃった可能性がかなりあった)。メランションの勢いにフランス国内の資産家たちが国外脱出の準備をしたなんて噂まで報じられたが、こういうあたり、去年のアメリカ大統領選における「サンダース旋風」を連想させた。今のアメリカやフランスが不景気なのか判断しかねるが、昭和初期の日本みたいに「行き詰まり」ムードが出ると極右と極左が同時に流行るという現象は歴史上何度かあるんだよね。いずれにしても今回のフランス大統領選では社会党や共和党といった既成政党がふるわなかった、というのも注目すべき現象だったと思う。

 極右「国民戦線」の党首が決選投票に残ったのは、先代のジャン・マリー=ルペンが決戦に進んで大きな衝撃を与えた2002年以来で、気がつけば15年ぶりのことだった。娘のマリーヌ氏の方は女性ということもあって父親に比べればソフトイメージが売りになっていて、父親が反ユダヤ的発言をしたというんで国民戦線から追放するなど、父親とは一線を画すような政治姿勢も見せていた。しかし今回の選挙でも結果的には父親ルペンのイメージが強くついてまわり、期待したほど広い支持を集められなかったみたい。決選投票を前にしていきなり「国民戦線」党首を辞任したり、看板のはずの「EU離脱」も口にしなくなるなど、なりふりかまわぬ方向転換を見せたのも焦りの表れのようでもあった。選挙前にはトランプさんにあやかろうとNYのトランプタワーに出かけたり(直接会うことはできなかったみたいだが)、トランプさん本人がルペン支持発言をしたりもしていたのだが、その後のトランプさんの様々な問題噴出でかえって悪影響を受けた気配もある。
 直後のドイツの地方選挙でもメルケル首相の与党が勝利してメルケル政権のさらなる延命が明らかとなり、独仏首脳でEU結束の強化を確認しあい、一応「EU崩壊」の目はだいぶ遠ざかった感がある。そうなるとイギリスをどうするのか(EUとしては当然いい目を見せるわけにはいかない)、EUに残りたいスコットランドはどうするのか、といった話の方が気になってくる。


 一方、もう一つ世界の注目を集めていた大統領選挙が韓国で5月7日に実施された。今や収監の身となっている朴槿恵前大統領の弾劾・罷免によってイレギュラーで起こった大統領選挙であるため、初めて5月に実施された。大統領選挙投票日が平日で、その日は臨時に休日となるのはいつもの通りだったが。
 そしてこちらも事前の予想通り、革新系「共に民主」党の候補である文在寅(ムン=ジェイン)氏が圧勝で選出された。朴槿恵前大統領の失脚の経緯から革新系に有利になる展開は自然な流れであったし、中道系の安哲秀候補が一時台頭したが各勢力をまとめるには至らず急速に失速、結局文さんの圧勝という形になった。

 僕も失念していたが、文在寅新大統領は前回の大統領選にも出て、朴槿恵候補に迫る勢いを見せていた。その経歴をたどってみれば、先々先代の廬武鉉大統領(当時)をの補佐官をつとめて右腕となっていた人物。廬武鉉とは人権派弁護士として共に事務所を立ち上げて活動していた過去もある。
 今の韓国を見ているとついつい忘れがちだが(というか日本人の多くはそもそも知らないんじゃないかという気もしてる)かつての韓国では朴槿恵の父・朴正熙大統領の独裁時代、その後の軍事政権時代があり、「民主化」が進んだのはようやく1990年代に入ってからで(僕の大学時代に知り合った韓国人留学生はバリバリの民主化運動家だったりした)、そうした時代に「人権派弁護士」をやるというのは大変なことだったと思う。聞く所では最近韓国では廬武鉉の弁護士時代をモデルにした映画も公開されたそうで、その主演俳優が朴槿恵政権の「ブラックリスト」に載せられた、なんて話を聞くと、やっぱり朴槿恵政権って父親の時代の影をひきずってるな、と思ったものだ。

 廬武鉉は在任中に弾劾を受けたが罷免は回避した。しかし退任後に保守系の次期政権から不正を追及され、無実を主張しつつ飛び降り自殺うしてしまった。文在寅はその遺志を継ぐ形で政治家となり、とうとう大統領となって廬武鉉以来の革新政権を作ることになったわけだ。日本では何かというと単純に「反日」「親北」「極左」などと騒ぎ立ててるが、一国の政権がそんな単純にとらえられるわけがなかろうと。
 とりあえず、大統領就任直後に、「国定歴史教科書の廃止」を決定したのは大いに評価していいと思う。朴槿恵前大統領は歴史教科書について「内容が左翼的である」とどっかの国の政治家と同様のフレーズで歴史教科書統制に乗り出し、まるで日本の戦前なみの「国定教科書」にしちゃっていたのだ。その廃止をまっさきに実行した(もちろん日本同様の検定制度はある)のは非民主的だった時代の韓国で人権派弁護士をやっていた人物ならではだろう。ち先日も軍事政権時代の忌まわしい事件である「光州事件」の記念式典に出席するなど、僕としてはこの人の「歴史」への向き合い方に注目したい。


 大統領選挙ではないのだが、実質的に「大統領」の信任投票、さらにはより強大な権力を与えることになる国民投票が行われたのがトルコだ。トルコといえば昨年のエルドアン大統領打倒をはかるクーデター騒動以来、エルドアン政権による反エルドアン派の逮捕や公職追放が相次ぎ、EUやアメリカからの批判に対してほとんど「逆ギレ」レベルの怒りの表明があるなど、以前から暴走のケがあったエルドアン大統領がますます暴走気味になってるように見えていた。そして先月の国民投票によりエルドアンさんがかねてより念願にしていた大統領権限を強化する憲法改正が実現したわけだが、国連の監視団などからは投票の公正さへの疑問の声が出されていたし、真偽不明ながら投票に不正があった可能性を示す映像がネットに出回ったりしていた。
 大統領権限を強化したエルドアンさんがまっさきにやったことの一つが「ウィキペディアへの接続遮断」だったりするんだよなぁ…確か以前にツイッターも使わせないようにしていたし。ウィキペディアに自分たちによとって我慢ならない記述があるから、らしいのだが、そもそも「読ませない」という措置をとるのは幼稚に過ぎるのでは。「死刑復活」に言及するなど最近の言動を見てると、これまでトルコが悲願としてきたEU加盟も投げ出したみたいだし(EU崩壊の方に賭けてるのかも)、自サイトでケマル=アタチュルク伝を掲載している僕などはトルコの先行きに大いに不安を感じてしまうこの頃だ。

 かつてのトルコ、オスマン帝国がイスラム教スンナ派の指導国であったのに対し、シーア派の指導国として対抗していたのがペルシャ、すなわち現在のイランだ。ここでも5月19日に大統領選挙が行われ、終わってみれば事前の予想で有力とされていた穏健派のロウハニ現大統領が勝利した。だが選挙の一時期保守強硬派の候補が猛烈に追い上げてるとの報道もあったりして、場合によっては中東の不安定化かも、懸念されてもいた。イランはオバマ政権が終盤に融和的な政策をとり長い対立に終わりの兆しも見えてはいたのだが、トランプ政権の誕生でオバマ時代の外交方針を全部ひっくり返しそうな勢いで、イランに対しても強硬になる気配があり、それに応じてイラン側でも反米保守派が勢いを増すところがあったみたい。ロウハニ続投でひとまずホッとするところではあるが、サウジとの対立は相変わらずだし不安定要素はまだまだ多い。


 そして最後に、世界最大の大統領ともいえる、アメリカ合衆国の大統領について。とにかく就任前からはもちろん就任後はさらに話題に事欠かないドナルド=トランプお騒がせ大統領、ムチャクチャな言動をしばらく続けるといったんおとなしくなり、「現実的になったか」と評価されだすといきなりまたおかしな言動をとり始めるという、なんだか連載漫画の要領みたいで世界の人々を飽きさせない。そういうところは、なんだか北朝鮮にも通じるものがある。4月から6月にかけて「第二次朝鮮戦争勃発か」と騒がれたのも、一つにはどっちも何するか分からないトップだったからではある。

 もっか騒ぎになっているのは、いわゆる「ロシアンゲート疑惑」。昨年の大統領選挙にロシアが何らかの介入をしたのでは、との疑惑はすでにあり、トランプさん自身やその腹心たちが妙にロシア寄りで、ロシア政府関係者と接触したりしていたことからトランプ陣営がそもそもかかわっていたのでは、という疑惑もあった。疑惑自体は目新しいものではないのだが、その捜査を進めていたFBIのコミ―長官を、トランプ大統領がいきなり解任したからこの騒ぎである。どれだけ唐突だったかというと、当のコミ―氏がFBI職員たちに訓示を垂れている最中に報道で知らされ、しかも「冗談だろ」と受け流してしまったほどの唐突な解任劇だったのだ。
 トランプさん当人はコミ―氏がFBIから支持されていないだの、いろいろ理由をつけていたが、他人からみれば自身のロシア疑惑捜査を妨害するためにしか見えない。実際、直後にトランプさん自身がコミ―氏に「フリンはいいやつだ」と追及をやめさせようとしたとか、「自分も捜査対象なのか」と何度も聞いていたという事実が暴露され、かえって疑惑を深める結果に。またしばらく静かにしていたツイッターでもコミ―長官に「メディアに情報を漏らすな。我々の会話の録音がないことを祈れ」と脅すかのような文言をホントに書いちゃってるんだから、もはや呆れるほかはない。そういうキャラだと分かっていた、という人は多いだろうけど、ここまで来るとさすがに予想の範囲を超えているんじゃないかと。今回の件でトランプ大統領はコミ―氏を「目立ちたがり屋」「スタンドプレー多し」「変人」とさんざんなおきおろしようだが、何やら「自己批判」に聞こえて来てしまうような(笑)。

 他にもイスラエルから受け取った機密情報をロシアに漏らした、なんて疑惑も持ち上がっているし、全面否定しているとはいえロシアのプーチン大統領が「陰の主役」という感もある。ロシアはフランス大統領選挙でもルペン陣営に資金援助したとか、マクロン陣営にハッキングをしたとか介入疑惑がささやかれている状態で、さすがは元KGB…と思わされてしまう。その介入の効果はどうあれ、アメリカ政府が混乱して弱体化すること自体はロシアは歓迎してるんと違うかな。
 トランプ政権、まだ発足から半年も経っていない。早くも弾劾の動きまで出て来て好調だった株価が急落したりと、これじゃ4年どころか1年もつんだろうか、という感じになってきた。「ウォーターゲート事件」によるニクソン辞任以来の失脚が起こるのかどうか。とりあえず今年の恒例贋作サミットには登場してくれたのだけど(笑)。



◆合うこと久しければ必ず分かれ

 このフレーズ、分かる人には分かるはず。『三国志通俗演義』いわゆる歴史小説としての「三国志」(三国演義)の冒頭と末尾に出てくるもので、「…分かれること久しければ必ず合う」と続いて、中国の統一と分裂を繰り返した歴史を言い表している。三国志の場合は長く続いた漢王朝が三つの国に分かれ、やがてそれが晋によって統一されるという歴史の流れにマッチするわけなんだけど、そのあと晋の統一が久しくも続かないうちにまた中国は分裂、南北朝の「久しい」分裂のあとにようやく隋・唐帝国による統一を迎えることになる。その後も分裂や統一を繰り返すことになるんだけど、元以降は分裂期間が短くすぐ次の統一王朝ができる傾向にある。清滅亡後に民国期の軍閥割拠を経て今の人民共和国にいたるわけだが、とりあえずまだ70年もやってないのでサイクルから言うとしばらく続くのかな、と。まぁ「王朝」とはまた違うんだろうけどね。

 というのは全くの余談で、本題は日本のヤクザ業界。この業界も仁義だの任侠だの、もとはといえば中国由来の言葉が乱舞する業界なので話がつながらないわけでもない。まぁ、僕自身もともと16世紀東シナ海海賊を専門にし、そこから中国裏社会に興味をもち、さらに日本のヤクザネタ好きになったという経緯がある。実際、江戸時代以来「三国志」「水滸伝」が日本社会、ことにヤクザ社会に与えた影響ってかなり大きいんだよな。そうそう、連想で思い出したが、先ごろ暗殺されてしまった金正男氏は水滸伝の阮小五の刺青を入れてたとかいう話があったっけ。

 一昨年、日本最大の暴力団である「山口組」が「山口組」と「神戸山口組」に分裂し、大きな話題となった。「山一抗争」なんかが記憶にある世代としてはすぐにも血の雨が降るんじゃないかと思ってしまうが、これまでのところ多少の流血沙汰はありながらも全面衝突の抗争は起こっていない。警察の取り締まりもさることながら、実のところ今のヤクザ業界は抗争をやってるほどの資金もエネルギーもない、ということらしい。現在山口組六代目である司忍組長が神戸に乗り込んだ際、神戸山口組の組員たちが「サインください」とイヤガラセ(?)をするのが精一杯というところで、先ごろ取り上げた京都の「会津小鉄」分裂騒動も二つの山口組の利害が深く絡んでいたが直接的な「抗争」には今のところいたっていない。

 そしたら今度は「神戸山口組」の側でさらなる分裂が起こってしまった。「神戸山口組」の姿勢に不満を抱いた一部幹部と組員が新たな組織「任侠団体山口組」を立ち上げ、なんと山口組がそれぞれ正統を主張する組織の「三国鼎立」状態になってしまったのだ。「任侠団体山口組」を立ち上げたのは「神戸山口組」の中核をなす「山建組」の幹部が含まれていて、代表にはこの業界では武闘派として名高いらしい織田絆誠氏が就任、わざわざ記者会見までやって「六代目山口組の名古屋方式もひどかったが神戸山口組はさらに劣る悪政」と非難、中でも例の「サインください」攻撃に幻滅したと吼えていた。ま、話を聞いてみるとどちらに属しても「上納金」の徴収がキツいのが反発の大きな理由のようで、この業界がかなり「シノギ:に苦労していることをうかがわせていた。当人たちはあくまで「本来の山口組」に戻したいとして「任侠」を掲げることとしつつ、ヤクザ業界お約束の親分・子分・兄弟分といった「盃ごと」をあめ、トップを組長ではなく「代表」とするなど目新しさもある。「分裂」「新団体立ち上げ」「代表」とキーワードを並べるとなんだか一昔前のプロレスの話題みたいであるが(笑)。立ち上げ時には参加しながら直後の神戸山口組の集会に参加した「出戻り組長」もいるそうで、水面下での駆け引きはずいぶんやってるんだろう。

 なおヤクザが記者会見をしたことに驚く人も多かったようで、検索かけて当サイトの映画コーナーにある「仁義なき戦い・広島死闘編」のページにたどりついてる人がいくらかいた。この映画の中で千葉真一演じる戦後派のハチャメチャなヤクザが父親の組から離脱してわざわざ記者会見するシーンがあるのだ。「仁義なき戦い」は「実録ヤクザ映画」と言われるように史実のベースがあり(だから当サイトの「歴史映像名画座」入りもしている)、千葉真一が演じた人物にも実在のモデルがいるのだが(映画の第五作では宍戸錠に変身しちゃうけど)、記者会見を実際にやったかどうかは確認してない。ただそういうこと自体はありえるんじゃないかな。

 こうした動きと直接関係するわけではなさそうだが、千葉県松戸市内、松戸警察署近くの国道六号の路上で、ヤクザ幹部を乗せた乗用車がバイクで並走してきた男から銃弾を撃ち込まれ、一人が重体(その後続報なし)という事件があった。それこそ映画みたいな襲撃事件で(「仁義なき戦い完結編」で似たような銃撃シーンがあり、これもちゃんと史実である)、報道によると狙われた幹部は神戸山口組と親しくしていたために山口組と友好関係にある東京稲川会から破門された経緯があるそうで、それでも活動を続けたためにヒットマンを送られた、ということらしい。微妙に山口組分裂が背景にあるわけで、今度のさらなる分裂が一部では火を噴いちゃう可能性はあるのかもしれない。

 山口組といえば「菱」の代紋(山菱)だが、三つの分裂しちゃうと「三菱」ってことになるんじゃないか、などとバカなことを考えたりして(笑)。この業界が「分かれること久しければ必ず合う」ようなことになるのかどうか。そうなったらホントに三菱が代紋になるのかもしれない。名前は「任侠団体神戸山口組」かな(笑)。そういや「三菱東京UFJ銀行」も長すぎるってんでとうとう来年から「東京」が消されるそうですな。



◆ヘイトを憎んで…

 この一か月の間に世界では相変わらずあちこちでテロが起きている。どうしても注目が集まってしまうのが欧米におけるテロということになってしまうが、イギリスのマンチェスターのコンサート会場で起こった自爆テロは犠牲者に未成年者が多かったこともあってなおさら注目を集めた。日本のワイドショーニュースショーなどでもこのテロ事件はよくとりあげられていたが、そのコンサートで歌った歌手が主題歌歌っている映画を娘と見に行ったものかどうか、などと悩む母親のコメントを引き出しているのには呆れた(聞く側が誘導してる気配もあったな)。この手の番組の「危険煽り」って、北朝鮮の件でやたら「Xデー」を連呼してるのとおんなじで、かなりピントがズレてることが多いんだよな。

 それはそれとして、マンチェスターの自爆テロの実行者はリビア系移民二世であったという。これまたよくあるパターンになってて、イスラム圏から移住してきた移民当人よりもその子供世代で生まれた時からヨーロッパ育ちの人が過激思想にハマってテロに走る、という例が目につくような気がする。もちろん全体からみればごく一部の少数派なんだろうけど、そういうヨーロッパ先進国生まれの移民二世あたりがいろいろと社会の矛盾に突き当たって精神的救いをイスラム過激思想に求める…という流れがあるようではある。報道によると今回の自爆テロ実行者も友人を刺殺されていて、その復讐を考えたことがテロに走ったきっかけではないかと言われている。
 といって、言うまでもないがだからテロを正当化できるはずもない。ただテロを生んでしまう温床がイギリスやフランスなどヨーロッパ先進国の社会にあるのではないか、ということはやはり考えておくべきだと思う。そして今回のテロを受けてイギリス国内ではまたぞろ移民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が増加しているといい、これがまた新たなテロを生む…という悪循環も懸念される。それこそテロを計画した側の思うつぼだよな、それって。

 その少し前の5月はじめ、ドイツからいささかショッキングなニュースが入った。極右思想にハマったドイツ軍軍人二人を含む三人が、ドイツの前大統領やリベラル政党の党首などを暗殺対象とする「死のリスト」を作り(A〜Dまでランク分けされていたという)、実行目指して計画を進めていたことが発覚したのだ。かつてナチスという今なお「極右代表」みたいな勢力が政権とってムチャクチャやった国だけに、現在も軍人でそんなことを画策してる連中がいたということ自体もショッキングだが、よりショッキングだったのはこの連中のうち一人、28歳の陸軍中尉が「シリア難民」になりすまして難民登録までしており、要人暗殺を難民の犯行に見せかけて難民排斥気分を喚起しようとまで計画していたという事実だ。人間、本人が正義だと信じ込んでめぐらす悪意というやつはとことん卑怯になれるといういい見本ではある。

 このニセ難民になりすました男はイタリア人とドイツ人の混血だという。アラビア語なんてまったく話せないくせに「シリアにいるユダヤ系カトリック教徒」(ややこしいがそういう人自体はありえる)と名乗って審査をパス、生活費の支給まで受けていた。これはこれで難民のチェックが甘いのでは、という問題があると思えるが…どうやって発覚したのか分からないのだが、実行前に逮捕されたんは幸いだった。
 この事件発覚で明るみになったのだが、逮捕された兵士の一人は2014年にとある学術論文を発表、そこで「極右的」な見解を述べていたという(日本の田母神氏のことを連想するが、あれは空自のトップだったもんなぁ)。このことに軍はまったく気づいていなかったのか見て見ぬふりをしたのか懲戒処分などはしていなかった。これでは他にも極右志向をもつ軍人がいるかもしれないと情報部が調査を進めていて、すでに200人ほどその疑いありとリストアップしているともいう。
 ごく一部とはいえ本職の軍人に極右思想、それも手段を選ばぬ強烈な排外主義の者が複数いたということにドイツでは衝撃が広がっているという。一部実際に難民が事件を起こした例もあったが、女性暴行事件をでっちあげて難民のせいにするという騒ぎも先日あったばかりで、「寛容なドイツ」にもイヤな雰囲気がじわじわ広がっているようでもある。事件を受けてドイツの国防相は「軍では極右思想を一切容認しない」と声明を出していたが、軍人ってのは「国防」が職業だけにともすれば「右」方向で傾きやすいような気がするなぁ。


 5月26日、アメリカは西海岸オレゴン州のポートランドで、通勤電車内で白人男性がイスラム教徒の少女二人(髪をおおうヒジャブをつけていた)に「ムスリムはみんな死ね」などと差別的罵声を浴びせていた。三人の乗客(20代二人に50代一人)が見かねて止めに入ったところ、罵声を浴びせていた男は止めに入った人たちにナイフで襲いかかり、二人を殺害、一人に重傷を負わせてしまった。報道によるとこの白人男性はこれまでにも白人至上主義団体のデモに参加したり、暴力事件や武器所持事件で何度か捕まっている「札付き」であったらしい。こういう困った人は以前かいるのだろうが、トランプ政権成立以後勢いに乗って、というか調子に乗ってる連中もいるらしいからなぁ…
 一方で、犠牲になってしまったことは残念だが、そうした行為を見かねてちゃんと止めに入る人がいた、というところにアメリカの健全さも感じる。罵声を浴びせられていた少女たちは見ず知らずの他人の彼らが助けに入ってくれた(それも結果的とはいえ命まで投げ出してしまった)ことに感謝しているし、州知事や有名政治家をはじめ大勢の一般市民がネット上で彼らをアメリカの「英雄」とたたえその死を悼むるあたりも「アメリカらしさ」ではある。
 CBSの有名記者ダン=ラザー氏はフェイスブックにトランプ大統領への公開書簡をアップし、「犠牲となった人たちの名前をあなたが口にするのを聞きたい。彼らは勇敢なアメリカ人だったが、その命をテロリストと呼んで差し支えない人間が奪ってしまった」と訴えた。そして「彼らの命を奪ったのは不法移民でも過激派イスラム教徒でもない」と、トランプ大統領の言動を批判して、「このあと何が起こるのか心配している何百万人もの人々が彼らの死を悼んでいる」としてトランプ大統領に事件に言及するよううながしていた。この文を書いてる時点でもこの訴えにトランプさんが反応した様子はなく、メディア批判とパリ協定離脱で頭がいっぱいのようであるが。


 時間が前後する話題なのだが、4月末にそのアメリカでは過去の歴史にまつわるある「モニュメント」の撤去が行われていた。ところはアメリカ南ルイジアナ州のニューオリンズ、撤去されたモニュメントというのは、120年以上も前の1891年に建設されたもので、それをさらにさかのぼる1874年のある出来事を記念したものだった。
 そのある出来事とは、英語で「Battle of Liberty Place」という。直訳すると「自由の場の戦い」ということかになる。ウィキペディア英語版にのみその項目が立てられているので、英語が読める方はそちらを見て頂ければ詳しく分かるが、これ、実は白人至上主義者の民兵たちによる武装蜂起、というか実質「「暴動」なのである。南北戦争が南部の敗北に終わった後、ルイジアナ州には共和党の知事が来て黒人にも参政権を認める政策が進められたが、これに激怒した現地の白人たちが武器をとって暴れだし、警察官や黒人を多く殺してしまったという事件なのだ。
 南北戦争直後の南部で「黒人を白人と同等にするなどトンデモナイ」という空気がみなぎっていたことは映画「国民の創生」「風と共に去りぬ」(こっちは原作に濃厚)で「KKK(クー・クラックス・クラン)が肯定的に描かれていることからも良く分かるが、それにしてもそれを「記念」(もちろん肯定的な意味で)するモニュメントまで作ってしまうというのにはさすがに驚いた。「LibertyPlace」という呼び名も事件を起こした側が「圧政に対して自由を求めた正義の闘い」と信じていたからこその命名で、事件から15年を経た当時の民主党知事の復古的な政策の中で事件の「評価」が行われモニュメント建設にまでいたっていたというわけだ。

 しかしさすがに1960年代の公民権運動以後はこうしたモニュメントに対する風当たりが強くなり、市では何度となくこのモニュメントの撤去が検討されてきた。しかしそのたびに撤去に猛反対する一部の白人至上主義者の声があり、とうとう21世紀の今日まで撤去は実現してこなかった。最近ではモニュメントそのものを目立たない場所に移転させたり、「これは市の姿勢とはことなります」といった説明板をつけたりして対応していたそうだが、今年の4月になってようやくの撤去実現。だがそれも一切告知などはせず夜間にこっそりと作業が行われたとのこと。作業員などが脅迫される恐れがあったから、というから、まだまだそういうのがいるんだなぁ、と思わされたが、上記の事件がその後にあったためなおさら実感させられたものだ。
 撤去を実現したミッチ=ランドリュー市長は「このモニュメントの姿勢がアメリカとニューオリンズの価値観に激しく挑戦するもの」と述べ、市として「多様性・一体化・寛容」のメッセージを発するためその一環としてモニュメントを撤去したと語っている。また実はこのモニュメントと同時に建設された3つの像、南北戦争時の南部「アメリカ連合国」の大統領だったジェファーソン=デービス、南軍のリー将軍、ボーリガード将軍の三人の銅像についても近々撤去することに決まっているとのこと。
 ようやく南北戦争も「歴史」になったということなのか、はたまた大統領のせいでまた「分断」なことになってしまうのか…

 ここで文章を切り上げてアップする気でいたら、アフガニスタンの首都カブールで大規模テロ、アップ直前にロンドンでまたも暴走&刺殺テロ(秋葉原型)が起こっている。これらはもう目的も何も、単に憎悪や混乱をあおるだけが狙いなんだろうな。



◆三つの島の物語

 玄界灘にぽつんと浮かぶ小島「沖ノ島」が、世界遺産に登録されることがほぼ内定した、というニュースがGW明けに流れた。時差のせいで日本では夜中に報じられ、最初のうちは喜びの声があふれる記事を見かけたものだが、翌朝になってみるとなんだかガッカリ観の漂う報道が多くなっていた。
 世界遺産を登録するのは「ユネスコ(国連教育科学文化機関)」だが、その候補を審査し登録すべきとの「勧告」を出すのは「イコモス(ユネスコ諮問機関国際記念物遺跡会議)」というところ。そのイコモスが、日本が世界遺産候補として提出していた「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」について、沖ノ島とその周辺の岩礁については世界遺産にするだけの価値ありと判断したわけなんだけど、それに関連する宗像大社や古墳群など九州北部にある神社・遺跡については「世界的に貴重というレベルではない」と退けたのだ。名称も「『神宿る島』沖ノ島」にまとめなさい、というお達しまでついていた。
 なるほど、これでは特に福岡県関係者のコメントにガッカリ感が強いのも無理はない。昨今は事実上「地域おこし運動」になっている世界遺産申請である。沖ノ島以外を世界遺産に登録できないんじゃ、期待の観光客効果が望めないもんな。なにせ沖ノ島そのものは「聖地」であり、女人禁制のみならず男でも上陸には厳しい制限があり、こちらに観光客を…というわけには絶対にいかないからだ。

 僕がこの「沖ノ島」という島について最初に知ったのは、司馬遼太郎の代表作「坂の上の雲」を読んだ時だと思う。クライマックスの日本海海戦のくだりで、この海戦を参戦した兵士以外で「目撃」した人が登場するのだ。それは沖ノ島に暮らしている神職とその手伝いをする少年の二人で、この少年の方は司馬遼太郎の取材を受けていて、その目撃談が小説中にそのまま引用されているのである。もちろん「目撃」といってもかなり遠くから眺めたもので「観戦」したというほどのものではない。それでもこの縁があるため、日本海海戦の当日には沖ノ島で例大祭が催され、抽選された一般男性も島への上陸が認められるそうである(ただし上陸前に禊(みそぎ)をする必要あり)

 その後、千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館に行ったら、「沖ノ島」についてわざわざ一室を設けて展示が行われていて、ここが古代以来の聖域、祭祀の場で、「海の正倉院」と呼ばれるほどの遺跡でもあることを知った。
 この島には縄文時代から人が住んだ、あるいは立ち寄った形跡があるそうだが、本格的に祭祀の場となったのは古墳時代、4世紀あたりからと考えられている。なんでもかんでも神様にしてしまう日本人(今だって「神」って軽く使ってるよね)であるが、特に絶海にポツンと浮かぶこういう島には神秘性を感じたものらしく、島全体が「御神体」とされている。一説に九州北部から朝鮮半島へ渡る航海のルート上にあったため、いわば「みちしるべ」となり、航海の安全を保証してくれる神様ということになったと言われる。

 この島が女人禁制とされるのは、別に女性差別ということではなく祀られている神が「女神」であり、女性が来ると嫉妬して災いをなすと考えられているためだ。「山の神」というと最近では箱根駅伝で山登りに強い選手になってしまうが、古くは男性が妻を指して(畏怖と共にからかい気味の)呼び方だったし、近代になっても山にトンネルを掘る作業に女性を入れさせない習慣が根強くあった。沖ノ島もその一例というわけだが、沖ノ島に祭られている女神は「宗像三神」の一人とされ、記紀神話ではアマテラススサノオの姉弟が心を確かめる「ウケイ」を行った際、スサノオの刀をアマテラスが嚙み砕いて吐いたら生まれた女神たちということになっている。
 「宗像三女神」は九州北部の宗像大社、その沖合の大島、そして沖ノ島の三つに分けて祭られ、沖ノ島は宗像大社の「奥津宮」という位置づけになっている(富士山頂に浅間神社の奥宮があるようなもんだろう)。だから宗像大社とセットにして世界遺産にするというのは一応根拠のある話なんだけど、最近のユネスコは世界遺産申請のあまりの多さに認定を渋るようになってるようで、沖ノ島以外はこれといった特殊性もなく、建造物も古いものではない、ということで外したのだろう。日本側としては以前に三保の松原が一度は外されて復活認定された例もあるので逆転を狙ってはいるようだが…なまじ沖ノ島だけ世界遺産にされちゃうと観光客が来ないどころか勝手に上陸する連中を防がなきゃいけないし、現状のまま保存する義務の生じるのでかえって面倒になる、という話もあるんだよね。


 三女神にちなんだわけではないが、この間に入ってきた他の島の話を二つ続けて、「三つの島」の話にしたい。
 記紀神話によると淡路島はイザナギとイザナミが日本列島のなかで最初に生み出した島とされる。先ごろこの島から多くの銅鐸が発掘されるなど興味深い発見が続いているが、今度はほぼ2000年前の1世紀の中国銅銭「貨泉」が三枚発掘され、注目を集めている。
 発見されたのは、あわじ市の入田稲荷前遺跡。周辺の農地整理事業に伴う調査で昨年12月に「貨泉」が三枚まとめて発見されたという。「貨泉」は前漢と後漢の間にはさまる、王莽が建てた「新」王朝で鋳造された銅銭で、西暦14年から新滅亡後の西暦40年までしか鋳造されていない。だから発見されるとその遺跡の時代をかなり細かく特定できる遺物とされ、日本国内では九州から山梨県に至るまで各地で発見例がある。この入田稲荷前遺跡は奈良時代から鎌倉時代にかけての複合遺跡なので弥生時代の遺物が出てくるのは妙だが、三枚まとめて出土したことから後世に埋められたとも考えにくく、何らかの理由で弥生時代の層から入り込んでしまったものと推測されている。「貨泉」はその後の中国や日本の銅銭同様に円形の中央に四角い穴が開いていて紐を通せるようになっており、今度発見された三枚も重なって見つかったことから紐を通してまとめられていた可能性もあるという。
 ただし、弥生時代の日本に中国銅銭が伝わっていたとしても、「貨幣経済」があったとは到底考えにくく、「異国渡来の珍品」「権威を示すための道具」「青銅器の材料用」など様々な説がある。いずれにしても中国との交易によって日本に入ってきたことは間違いなく、西暦57年の「奴国」の後漢への入貢(例の金印をもらったアレ)のことも考え併せて、思いのほか盛んな交易・交流があったんじゃなかろうか、と思いをはせてしまう。


 最後の島は沖縄県西部、八重山諸島の石垣島だ。ここで昨年までに発見されたほぼ全身がそろtった人骨が、2万7千年前のものと推定され、これまで全身骨格としては最古とされていた沖縄本島の「港川人」(2万2千年前)を5000年もさかのぼる、日本最古の全身人骨と確認されたことが発表された(部分人骨であれば沖縄本島の3万2千年前とされる「山下洞人」もある)。「日本最古」といっても現在の日本の領土内での最古、ということにすぎないし、古い人骨が沖縄でばかり発見されるのは単に日本本土では土壌が原因で古い人骨は溶けてしまって残らないからという事情もあるんだけど、ほぼ全身骨格でこれだけ古い人骨が見つかったことは間違いなく貴重なことだ。

 2万年以上前といえば当然旧石器時代。今回発見された人骨は身長165センチと当時としては大柄と思われ、高齢の成人男性と推定されている。彼の骨は岩と岩の間にひざを胸に当て両手も顔のところに来るように折り曲げられた状態にされていて、死後に仲間たちによりその姿勢にされて葬られたと考えられている。ただし「埋葬」ではなく、自然のままにさらしておく「風葬」の可能性ありとのことで、彼が見つかった地域は生者の生活空間と切り離された死者の地域、「墓場」であった可能性もあるという。当時の石垣島の人々の生活様式、宗教的意識についてもいろいろと興味深いところだし、骨のDNA情報などからどういうルートで日本列島に人類が拡散したのか解明する手がかりになることも期待される。
 それにしても2万年だの3万年だの…記録のある「日本史」がせいぜい2000年ぽっちであることを考えると(「神武紀元」でもせいぜい2600年ちょっと)、その10倍以上の悠久の時間がその間に流れていたことになり、想像すると気が遠くなる。まして現生人類の出現が20万年前、「人間」の出現が700万年前くらい、って話にまでなると…最近の日常の「激動」がバカバカしくも思えてきますな。



◆恒例・贋作サミット・タオルミーナ編

伊:はい、みなさん、ようこそシチリア島へ!
日:ああ、シチリアは憧れの島でした!わたし、「ゴッドファーザー」大好きなんですよ!
加:シチリア島といったら、やっぱりマフィアなっちゃうのか。
日:「タオルミーナ」なんて日本語にも聞こえる地名もいいですね。
  英:はじめまして。今回から初登場、五月のサミットにはぴったりの名前でございます。
    独:私もずいぶんサミットに来てるけど、やっと女性が倍に増えたわ。
      仏:私も今回から初登場で…あれ?だんだん位置が下がってるような…

米:おらおら、どけどけ、アメリカ、ファースト!だ。俺も今度から初登場だ、よろしくな!====3

    仏:おお、これはあたしと逆に20歳以上年下の奥さんがいる大統領さん。
  独:あんたが勝たなけりゃ、女性参加者の数が三倍になったのに。
米:それもこれも、ここにいない国のおかげ…って何を言わせるんだ、フェイクニュースにだまされるな!
伊:ま、ま、今回は私もふくめて新顔が多いんで、今年はひとまず顔つなぎということで。
日:来年はまた顔ぶれが変わりそうですしねぇ。
米:こら、人のことを言ってられるのか、お前。
日:あなたが弾劾されるなんて誰も言ってないでしょーが。
米:ド右翼幼稚園に寄付したりお友達の学校のために「意向」をしたりとか、いろいろ聞こえてくるぞ。
日:詳しくはヨミ〇リ新聞をご熟読ください。政権のためなら下ネタゴシップも載せてくれます。
米:そんなこと言っちゃ、必死に信奉してくれてるサン〇イ新聞がかわいそうとは思わんか。
仏:そこらへんで話題を変えて…今年の夏からおたくの国の東側ではカールが売られなくなるそうですな。
独:え?カール?我が国によくいる名前だけど、もしかして人身売買!?
日:いえいえ、食べ物なんです。
独:えっ!人肉食っ!?
日:我が国初のスナック菓子なんですよ。中部地方から東では販売しなくなるそうで。
加:去年サミットやった三重県はどうなるんで?
日:あそこは名古屋圏、東海地方ですからねぇ、中部地方扱いだそうです。
仏:そうなると、東日本から西日本へ「難民」の流出が始まるのでは。
米:鈴鹿山脈から紀伊山地にかけて壁を作っちゃえばいいんだよ。
日:ずいぶんお詳しいですね。
米:まぁ本職が不動産屋だから(笑)。東日本の「カール信者」の西日本入国を制限するっててもあるぞ。
加:いけませんねぇ、壁を作るとか入国制限とかの不寛容は。
仏:そういやカール大帝ってのがいましたな。EUのルーツみたいなもんで。
米:カールの密輸とか、カール欲しさの犯罪とかテロとか起こったらどうするんだ、責任とれるのか?
英:カール欲しさに東日本からの離脱を決める県が出るかもしれませんね。
日:2020年までに改正憲法を施行して、第9条にカールの保持を明記してみますか。
米:カールと言えばトウモロコシが原料だな。じゃあ我が国のトウモロコシをじゃんじゃん買ってうちの雇用を増やしてもらおうか。
日:いや、あのですね、カールの売り上げが落ちてるからそういう話になってるわけで。とりあえずカールおじさんの雇用は守られてます。
伊:そういやあの人って日本人なんですかねぇ。
独:その分のトウモロコシをバイオエタノールにまわして地球温暖化防止に貢献なさっては?
米:温暖化なんて知ったこっちゃない、パリ協定も離脱だ〜〜〜!!地球よりもアメリカ、ファースト!!
仏:ホント、ワガママなやっちゃな。来年のサミットまでに弾劾されて消えててくれりゃいいんだけど。
米:それじゃアメリカ人の雇用が一人分減るじゃないか!
加:来年のサミットはやるんですが、無事に開けるのかどうかも心配になってきましたねぇ。
米:仲間外れにするっていうんなら構わんぞ、ロシアと一緒に「G2サミット」を別にやるから。
英:もう直接顔あわさないでツイッターで済ます、って手もあるかもしれませんわね。


2017/6/4の記事

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