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2018年6月19日

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◆今週の記事

◆今さらですが死亡確認

 「死亡確認」といえば「男塾」の王大人の決めゼリフ。もっともこの「診断」を受けたキャラで実際に死んだ者は誰もいない、というかジャンプ格闘漫画世界では死んだはずの人も何食わぬ顔で生き返っちゃうからなぁ。

 さて、この記事の「死亡確認」の対象は、あのナチス・ドイツの独裁者、アドルフ=ヒトラーである。ヒトラーはベルリン陥落直前の1945年4月30日に、地下壕の中で、結婚したばかりのエヴァ=ブラウンと共に自決した、というのが通説。だが遺言によって彼らの遺体は直後にガソリンをまいて焼かれたため、遺体の確認はされていないという話もあって、このために「実はヒトラーは生きている」という都市伝説はしばらくの間ささやかれ続けた。特にナチス幹部の一部に実際に南米へ逃亡していた者もいたから、南米のどこかでヒトラーはじめナチス残党が復活を期して潜伏している…という設定のフィクション作品はかなり多い。ヒトラー自身は死んだもののその血液から作ったクローンが…なんてのもあったな。

 しかし実はヒトラーの「頭蓋骨」とみられるものをソ連軍が回収、ひそかに保管していた事実がソ連崩壊後の1993年に公表された。それからさらに7年後の2000年にこの「ヒトラーの頭蓋骨」は写真ともども世界に公開された。その側頭部には大きな穴が空いていて、ヒトラーが拳銃により自殺した証拠とされている。この話題は当時の「史点」でも取り上げているのだが、僕自身「本当に本物?」と半信半疑だったものだ。

 その後、この件については続報が聞けず、どうなっているのかな?と思っていたのだが、つい先日になって、このロシアにあるヒトラー頭蓋骨が法医学者らにより検証され、「やはりヒトラー自身の遺骨、ヒトラーはやはり死んでいた」と断定する研究論文が発表された、というニュースがAFP通信で流された。
 記事では論文の共同執筆者の法医学者フィリップ=シャルリエ氏の発言を中心に紹介していて、このシャルリエ氏は歴史人物としてはリチャード1世という、とびぬけて古い人の心臓の調査も手掛けたとのこと。シャルリエ氏らは昨年ロシア当局から保存されている「ヒトラーの頭蓋骨断片」の調査を認められ、さすがにDNAサンプルの採取までは認めてもらえなかったが、その「歯」の調査およびヒトラーの死の一年前に撮影されたレントゲン写真との比較により「ヒトラー当人」と断定したようだ。

 よく損傷の激しい遺体の身元確認に歯の治療痕との照合が行われるので、今回もそれかなと思ったが、記事を読む限りではそれではないらしい。一番の決定打はヒトラー当人のレントゲン写真との酷似だったとのこと。「歯」については何を調べたのかというと、例えば歯に「肉の繊維」の付着が見られなかったことがヒトラーの歯である傍証となったという。そう、ヒトラーは肉類を食べない「ベジタリアン」だったのだ。
 このロシア保管の頭蓋骨がヒトラー本人のものと確定、ということになると、頭蓋骨に側部に大きな穴が空いていることから拳銃自殺であったことに確実視されることとなる。シャルリエ氏によると歯の方に火薬の痕跡はなかったため、ヒトラーは自殺の際に拳銃を口にくわえたのではなく側部に銃口を当ててのもの、ということになるらしい。ただシャルリエ氏は青酸カリ服用も同時に行った可能性もあるとしていた。

 ということでヒトラーがとっくに死んでいたことは確定したことになる。もちろん1889年生まれの彼が現在も生きていたら世界最長寿をはるかに超えてしまうことになるけど。通説どおり1945年の4月30日に56歳で死んでいたということで。
 調査をしたシャルリエ氏が「ヒトラーをめぐる陰謀説には全て終止符を打つことができる。彼は潜水艦でアルゼンチンに逃亡していなかったし、南極や月の裏側の秘密基地への潜伏などあり得ない話だ」と言っていたのにはつい笑ってしまった。「南極や月の裏側」ってのは、かの落合信彦氏もひっかかっちゃった「ナチス残党がUFO基地を作っていた!」関連のネタだよなぁ。
 


◆王侯貴族の手を渡り

 ブルボン家といえば、かつてのフランス王家として有名だが、現在はスペイン王家がブルボン家の生き残りだ。なんでそうなったかといえば、あのルイ14世が孫をスペイン国王フェリペ5世として送り込んだため。そのために」スペイン継承戦争」なんてものが起こった、なんてのも高校の世界史で習った人も多いだろう。
 こフェリペ5世は最初の妃に1714年に先立たれ、その年のうちに北イタリア・パルマ公国ファルネーゼ家の娘・エリザベッタ=ファルネーゼを後妻に迎えた。この結婚にあたってフェリペ5世が新妻に贈ったのが「ファルネーゼ・ブルー」と呼ばれることになる6.16カラットの青ダイヤだ。この青ダイヤはインド原産で、結婚プレゼントのためにフェリペ5世が世界東西の植民地か一年がかりでお宝をかき集めるなかでフィリピン総督から献上されたものだと伝えられている。この300年も前に歴史に登場した青ダイヤが、先月15日にジュネーブで競売にかけられてニュースにされてしまっていた。落札価格は670万ドル(約7億4000万円)とのことで、誰が買ったかは公表されていないものの、世の中にはカネがある人がいるものである。

 さて1731年にパルマ公ファルネーゼ家が断絶すると、スペイン王妃エリザベッタは自身の子にパルマ公国を継承させようとした。ポーランド継承戦争やらオーストリア継承戦争やらがあって1748年にエリザベッタの子・フェリペ(イタリア読みならフィリッポ)がパルマ公におさまり 以後彼の子孫がブルボン・パルマ家を継いでいくことになる。で、エリザベッタは自らの実家の後継者となったフェリペに「ファルネーゼ・ブルー」を贈り、以後この青ダイヤはブルボン・パルマ家で相続されることとなった。
 このブルボン・パルマ家、調べてみるとなかなか波乱万丈紆余曲折で、ウィーン会議のあとナポレオンの皇妃マリー=ルイーザにパルマ公の地位を奪われてその死後に取り返したりしているのだが、結局はイタリア統一の過程で1860年にとうとうパルマの地を追われ、オーストリアへと亡命する。以後は名目的な「パルマ公」家として存続、1903年にはこのブルボン・パルマ家の御曹司エリア(後に当主となる)がハプスブルグ家傍流の娘マリア=アンナと結婚、お互い傍流とはいえブルボン家とハプスブルグ家の結婚ということで、かのマリー=アントワネットやその娘マリー=テレーズ、そして先述のマリー=ルイーゼの手を渡ってきたという由緒あるティアラにパルマ家伝来の「ファルネーゼ・ブルー」が飾り付けられ結婚の贈り物とされたという。
 またこのエリアの姉妹ツィタも1911年にハプスブルグ皇帝家のカールと結婚、これが1916年に皇帝カール1世となったため、ツィタはオーストリア帝国の皇后となっている(時期的に察しがつくだろうがオーストリア最後の皇后となった)。またこの兄弟にはルクセンブルク大公家に婿入りした人もいて、なんだかんだでこのブルボン・パルマ家はヨーロッパのあちこちに縁戚関係を持っちゃっているのであった。

 「ファルネーゼ・ブルー」がいきなり競売にかけられたのは、第一次世界大戦が終わってハプスブルグ帝国が崩壊してから100年目、ということで縁が深いブルボン・パルマ家がらみのお宝が競売に出たことに「因縁」を感じさせると競売元のサザビーズはウェブサイトで書いてたが、要するにブルボン・パルマ家が売りに出したということだろう。その後6月に入って他にもブルボン・パルマ家関連のお宝がドドッと競売に出るというニュースもあって、お家が財政的に大変なんじゃなかろうか、という気もしてくる。
 

 もう一題、ヨーロッパ王侯貴族がらみのお宝の競売出品の話題。
 5月31日にオランダで世界最大の真珠のひとつとされる、その特徴的な形状から「眠れる獅子」の呼び名をもつ淡水真珠が競売にかけられた。「眠れる獅子」といえば19世紀末くらいまで中国がそう呼ばれていたものだが、この真珠も中国産。広東省を流れる珠江で産出され、オランダ東インド会社により1765年にアムステルダムに運ばれてきた。
 最初の持主はオランダ東インド会社の会計主任をつとめた人物だったが、この人物の死後の1778年に競売にかけられた。このとき落札したのが、あのロシア女帝エカテリーナ2世である。ロシア皇室に買い取られた「眠れる獅子」はエルミタージュ宮殿に保管されることとなったが、100年近くが過ぎた1867年にオランダの宝石商が購入してまたオランダに持ち帰った。その後はこの宝石商の家で継承されてきたそうだが、こちらも財政事情でもあったか、このたび競売にかけられることとなったわけだ。
 そんなニュースを聞いてから二週間ほど続報をチェックしていなかったのだが、この文のために調べてみたら落札したのは日本人とのことでちょっとビックリ。落札価格は約4100万円だったとのこと。上の青ダイヤと比べれば…ではあるが、やはりカネのある人はいるものだなぁ。



◆まだまだマケドニア!

 またも、あの「マケドニア」の国名問題である。
 一応これまでの経緯を簡単に整理。「マケドニア」といえばギリシャ北部の広い範囲を指す地域で、ここにあったマケドニア王国からアレクサンドロス大王が出て一代で大帝国を建設したこともある。その後、この地域には南スラブ系の民族が移住してきて、現在の「マケドニア共和国」は旧ユーゴスラビア連邦(「ユーゴスラヴビア」は「南スラブの国」ということ)の一国だったもの同連邦の崩壊で独立したものだ。ただしかつての「マケドニア」の領域はバルカン戦争の際にギリシャ・ブルガリアの領土に組み込まれた地域もあり、とくに隣国ギリシャはマケドニア共和国が「マケドニア」の名を名乗ることは、自国領北部のマケドニアへの領土的野心があるのではと疑い、同国が「マケドニア」と名乗ることを断固として認めず、そのためにマケドニアがEUやNATOに加わる動きも四半世紀にわたり阻害し続けてきた。
 一方で、民族的には古代マケドニアと関係ないはずのマケドニア共和国の方も、「アレクサンドロス大王」を自国の英雄にしたりその旗を使ったりしていて、「アレクサンドロスはウチのもの」と考えるギリシャを刺激してきたところもある。領土的なこともあるが、こうした歴史意識の問題が実は大きいんじゃないかな、と僕は眺めているところ。

 さて、この問題、いつまでもモメ続けていても、とは両国政府とも思ってはいるようで、昨年の政権交代を機に問題解決の動きも出始めた。昨年末に両国政府の間で交渉が進められていると報じられ、どうやらギリシャが「マケドニア」の国名を条件付きで認めちゃいそうだと報じられて、ギリシャ国内で反発の大規模デモが行われたりしていた。その後続報がなかったので、やっぱりお流れになっちゃったのかな、と思っていたら、つい先日の6月12日になって、両国が国名問題について合意したとの発表があった。

 合意はマケドニアのザエフ首相とギリシャのチプラス首相の二人の間で交わされた。どう合意したのかと言えば、マケドニア側が「北マケドニア共和国」と改名することで決着、というものだった。なるほど、マケドニア側は一応「マケドニア」の名前は使えるし、ギリシャ側は「北」と限定することで領土的野心の懸念を消せる、というアイデアである。「北朝鮮」みたいなもんか、と一瞬思ったが、あれは正式名称じゃないからなぁ。正式国名に方角が入っているのは「南アフリカ共和国」とか「南スーダン」の例があり、このケースは「南スーダン」に近いと思える。
 この合意により、ギリシャは「北マケドニア」が今後EUやNATOに入るのを邪魔しないよ、ということになる。ただこの合意で決まりというわけではなく、9月ごろにマケドニア側で国名変更の賛否を問う国民投票が行われ、それにもとづいて議会も決議、という手続きがとられる予定とのこと。この合意にマケドニア国民にも反発する人はいそうだから、国民投票もスンアリとはいかないんじゃないかなぁ…

 などと思っていたら、国民より先にマケドニアの元首であるイワノフ大統領が、「憲法違反であり、有害な合意だ!」と騒ぎだした。ヨーロッパ諸国によるあることだが、マケドニアの大統領も政治権力は基本的に持たず、象徴的な「元首」の地位にあるのだが、政治の中心となる首相の任命や議会の決議に対して「拒否」の姿勢を示すことが出来る(そういや先日イタリアの大統領が首相承認を拒否してた)。イワノフ大統領は「北マケドニア」への改名について「EUやNATOに加盟するための言い訳にはならない」「マケドニアの国家と国家利益に対して予見不能の損害をもたらす」と口をきわめて非難し、国民投票を受けて議会が国名変更を承認しても大統領としてそれへの署名を拒否する、と明言した。なんでも同国の決まりでは大統領は議会の決議を一度だけながら拒否することができるのだそうで。

 大統領が今からこんな調子じゃ、国民でもかなりの反対論が出そう。イワノフ大統領の発言はそうした声を煽る効果もあるはずだ。マケドニア国名問題、そう簡単には決着できそうにないような…「名を捨てて実を取る」というわけにもいかんのかなぁ。



◆恒例:贋作サミット・シャルルボワ編

 今年も例によって5月に、カナダ東部ケベックのとある町に主要七か国の首脳たちが集まりましたとさ。

加:皆様、ようこそいらっしゃいました。若くてイケメンで有名な私が今年のホストです。
仏:若さなら私の方が。あんたと違って二世でもなく一代でトップに立ってますけどね。
独:長いことサミットに来てるけど、最近は若い男が増えて来ていいわねぇ。
英:そうですねえ、女性陣がもうちょっと増えてもいいと思うけど。
日:若くもないし二世でもなくて三世議員の私もなんだかんだでずいぶん来てます、はい。
伊:すったもんだでようやく政権とっての初参加です、よろしく。
米:いよ〜!今年も来たぞ〜!隣の国だから近くてよかった。俺、最年長だからなぁ。
加:全員そろったところで、さっそく議題に。
米:いやいや露がまだいないぞ〜。露も来年から入れてやれや。
日:あらら、なんて「露」骨な。
独:あんた、やっぱり露さんに何か弱みを握られてるんじゃないの?
加:ま、ま、それはともかく。貿易問題の件から話し合いましょ。
米:ウチに安く物を売るな。ウチの物をドンドン買え。
日:わかりやすすぎますなぁ…(汗)
独:そういう態度が問題になってるんじゃないの。
仏:じゃあもう話題を変えて、テロ問題でも。
米:テロリストはみんなパリにいるもんな、あんた詳しいだろ?
加:そういうあんたの国には銃の乱射がテロ並みに起きてるような。
米:そりゃもう、銃の国、銃の女神のいるアメリカだからな。
英:選挙のためにライフル協会の支持が欲しいんでしょうが。
独:エルサレムに大使館移したのも多分に選挙のためだわね。
米:俺は公約を守ってるだけだぞ。メキシコとの間に壁も作るぜ!
伊:移民問題に関してはこっちも頭を痛めてるところで。
日:あの、その、我が国も外国人をドンドン受け入れる骨太の方針と申しますのを…
米:シンゾー、あんたの国にメキシコ移民2500万人送り込んだら、あんた退陣だぜ(笑)。
日:うっ、シンゾーに悪いジョークを(汗)
米:それはそうと、米朝首脳会談だが、相手が無礼な態度をとったんで中止にした。
日:我が国は米国の対応を支持します。
米:…と思ったんだが、神妙に謝って来たんでやっぱり会うことにした。
日:もちろん我が国は米国の対応を支持します。
米:ってことで、非核化の勘定は、お前が払っておけよ。
日:もちろん、我が国は米国の対応を支持します。
米:こうもあっさり飲まれちゃうと、交渉巧者としては面白くないなー。
独:そろそろシンガポールへ飛ぶお時間では?
米:おお、そうだった。ノーベル平和賞のためにも中座しまっせ。
日:拉致問題言及よろしく〜。
米:では、下の記事へ飛びます。行ってきま〜す


独:やれやれやっといなくなったわ。
英:平和賞、とる気なのねぇ。エルサレムの大使館移転で大勢人が死んでるのに。
加:ま、対談相手も去年兄貴を殺したばっかりだし。
仏:少なくともあと二回はあんなのがサミットに来るんだなぁ。
日:当サイトの作者も困ってるようですね。やりにくいって。
伊:贋作より本物の方が冗談みたいだもんなぁ。
独:いつも同時期に米朝首脳会談やってもらってそっちに行ってもらうってのはどうかしら?
仏:そのうち露だけじゃなくて北朝鮮までサミットに参加させろと言い出すかもよ。
英:4年に一度のワールドカップが直後にあるけど、今回は開会式に直行しにくいわね。
独:露でやるからねぇ。暗殺未遂事件なんかもあったから、行くわけにもいかない。
日:じゃあ我々出場国だけでTV中継見ながらサミットやりませんか。
伊:ううっ、ウチは今大会、60年ぶりに出場できなかったんだよなぁ。
加:我が国なんて32年前に一回出たっきりなんだが。
仏:えー、湿っぽくなったところで、今年はお開き、来年は私がホストです。
独:若いイケメンのホストが続いて結構なことで。
英:そしてその次の年はあの米さんがホストよ。
一同:(それまでに退陣しちゃおうかな…)

注:※印の発言はサミット中に実際にあったものだそうな。



◆特例:贋作米朝首脳漫才

 上記の贋作サミットの直後、赤道近くのシンガポールのホテルにおいて、初顔合わせの二人が漫才を始めましたとさ。

米:こんにちわー、米国大統領です〜
朝:どうも〜朝鮮の労働党委員長で〜す。
米・朝:二人合わせて、米朝首脳で〜す!
朝:君の頭、それ何かかぶってるんとちゃうか?もしかしてカツラ?米朝だけに。
米:やかましわ、あんたこそカミガタがお笑いやで、米朝だけに。
朝:うーん、米朝師匠が生きてるうちにこの顔合わせを実現するべきでしたなぁ。
米:俺がもうちょっと早く大統領になってときゃよかったのになぁ。
朝:一時は中止とか言い出して焦ったわ。漫才やのうてホントに落語せなあかんか、と。
米:あんたが急にいろいろスネだしたからやないか。
朝:ツンデレっちゅう日本語を理解してくれんと。
米:あー、北極近くで短い夏に氷が溶けるとこね。
朝:そら、ツンドラやがな。
米:ユダヤ人を大勢救った…
朝:そら、シンドラー。
米:かぼちゃの馬車に乗った…
朝:そら、シンデレラ。えらい発音が離れてきたで。
米:毒リンゴ食って死んでれら、なんちって。
朝:ほかの話と間違えてへんか。
米:ボケとツッコミの呼吸は合うようでホッとしたわ。
朝:ところでサミットの方はいろいろ大変やったようやねぇ。
米:まったくどいつもこいつも貿易だの移民だの人権だので勝手なことばっかいいやがって。
朝:そこいくとウチはあんたのとこと貿易もないし移民も出さないし人権もないし(笑)。
米:核兵器と相手に届くミサイルがあるところだけが問題なんやけどなあ。
朝:それはお互い様やないか。
米:ま、とにかく非核化しろや。費用は日本と韓国が出させるさかい。
朝:さすが不動産屋の社長。ビタ一文出さん気やな。
米:金持ちになる秘訣は、金を極力使わんことやからな。父ちゃんも言うとった。
朝:ウチには金さんなら仰山おるんやがなぁ…
米:ああ、ここのホテル代ならシンガポールに払わすから、安心せえ。
朝:ま、ここは領土は小さい割にカネはあるもんな。
米:そんなわけで、カネばっかかかる戦争ゴッコの米韓軍事演習もやめや、やめ。
朝:そらええな、ぜひぜひ。
米:ただ朝鮮戦争終戦をやると兵器が売れなくなるさかい、先送りな。
朝:ウチのミサイルが一切飛ばなくなると、日本もミサイル防衛システム買わんやろしね。
米:あとは今年のノーベル平和賞で賞金ゲットで一儲けせな。
朝:がめついなぁ〜
米:1ドルでも稼ぐチャンスを逃しちゃならんと父ちゃんも言うとった。
朝:ううっ、わしも不動産屋のボンボンに生まれたかったなぁ。
米:平和賞だけじゃ大して稼げんな。この史上初会談を小説か詩にでもして文学賞もとるか。
朝:今年のノーベル文学賞は不祥事で選考しないそうやで。
米:そうか、今年はハルキさんも安心やな。じゃああんたの国の経済立て直しで経済学賞といくか。
朝:じゃあウチはミサイルと正確に飛ばして落とす技術で物理学賞かな。
米:ま、とにかくカネのかかるミサイルなんてやめることやな。あんたもカネ稼ぎにいそしみなはれ。
朝:う〜ん、しかしウチの国は資源もロクにないし。
米:だからこっちも何の得もないから攻めたりしないんやけどね。いっそ観光業で稼ぐのはどうや。
朝:まぁ金剛山とか白頭山とか、観光資源は一応あるけど。
米:「最後に残った社会主義国」ってことで軍事パレードやマスゲームなんかも観光資源になるで。
朝:そうか、我が人民こそが観光資源になるわけか!
米:板門店だって観光地に整備しちゃえば。軍事境界線を手をつないで飛ぶ名所にするとかウケるで。
朝:なるほど、元核実験場とか元ミサイル発射場とかも観光地にできるかもな。
米:言ってみれば国土全部のディズニーランド化やな。そのぐらい開き直らんと。
朝:うんうん、では本場のディズニーランドを視察に、おたくの国に行っちゃおうかな。
米:ぜひおいで。案内してやるから、代わりにそっちの観光地にホテルとか建てる権利をよこしな。
朝:さ、さすがは不動産屋。自分までひと稼ぎする気かいな。
米:そのくらいでないと金持ちにはなれんよ〜見習いなはれ。
朝:はいな、見習うよう伝えときますわ。
米:え?伝えとく?
朝:実はわたし、委員長の行く先々に現れるソックリさんでして。
米:あらら、影武者にやとわれたんかい。
朝:どうせ顔合わせのイベントだから、代わりにやってくれって頼まれまして。
米:そーかー、実を言うとワシも行く先々に現れてるソックリさんなんや。
朝:なんだ両方ともニセモンかい。本物はどこへ行ったんや。
米:シンガポールの観光に出かけてるんやないかな。
朝:あ、ウチの本物も観光に出かけちゃいましたわ。。
米:じゃあ今頃マーライオンのそばでこっそり首脳会談しとるかもしれんな。
朝:これで「世界三大ガッカリ」が勢ぞろい、と(笑)。
米:おあとがよろしいようで〜〜


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