lesson_3:具 体 編

独学パントマイム

★パントマイムの意味★
パント....【pantos:すべての】
マイム....【mimos:まねをする】

人間でも、物でも、自然現象でも、
すべてがパントマイムの題材になる。
その題材を使って感情を伝えること。

無対象の練習

この練習はまず、鏡の前で本物を使って自分の動作を観察する。そして、次に無対象でやってみる。ここに上げた例だけがパントマイムの題材になるというわけではないが、何をどうしたらよいか、見当がつかない人の為に、課題をあげておいた。【観察ポイントの例】を参考にして、普段何気なくやっていることを、細かく分析する力をつけてほしい。すべての課題に対して注釈を入れるのが大変なので、省略するが、ちょっと気が付きそうにない項目に対してのみ、【ワンポイント アドバイス】を書いておいた。

【観察ポイントの例】
コップを持つ: 1.コップに視線が合う。
2.手を伸ばす。
3.手のどの部分が一番始めに触るか。
4.持つために指はどう曲がっていくか。
5.コップの大きさと指の曲がり方。
6.持ち上げる前に、一番始めに力が入るところはどこか。
7.手だけでなく、腕の筋肉も緊張していることを確認。
8.コップがテーブルから離れる瞬間の感覚。
9.顔の前までコップを持ってくる。

【練 習 課 題】
●いすに座ってする動作の場合、本当のいすに座っていいです。
●鏡の前で、物を持ったり、無対象でやったりを繰り返し練習して、あまり違いの出ないように仕上がればいいです。

壁にさわる 風船をふくらませる ケーキとコーヒー おにぎり
カッターシャツのボタン ネクタイをしめる 難しい本を読む 楽しいマンガを読む
手袋 コート セーター マフラー
歯磨き ひげそり 洗顔・拭く 化粧
風呂で身体を洗う バケツに水を汲む タオル・雑巾を絞る 窓・鏡・テーブルを拭く
電話に出る 電車がホームに近づく つりかわ なわとび
キャッチボール サッカー

【ワンポイント アドバイス】

●壁にさわる:パントマイムと言えば「壁」と言われるくらい有名な「壁」ですが、テクニックとして習わなければ出来ないことではありません。本当の壁に触ってみればわかることです。注意点は壁に触る前と触っている時の手の違いです。壁に触りながら歩くと、手がどんどん後ろへ下がっていく感じがわかるでしょう。これが空間固定の原理です。目は何を見ていますか。手の感触はどうですか。「壁」の応用で、いろんな材質の壁、窓ガラス、そして電柱・木のように丸いもの、テーブル、箱、ロッカー、冷蔵庫などなど、面を持つ物すべての表現が可能になります。

●風船をふくらませる:これも有名な「風船」ですが、本当の風船を買ってきて、本当にふくらませてみることです。風船をポケットかカバンかに入れておきます。そこから出します。その時に、ビロビロした感じを見て下さい。口にくわえてふくらませます。力がどこに入っていますか。一番始めと、少しふくらんだ時と、すごくふくらんだ時の息の使い方・身体の使い方・自分の気持ちを観察します。結ぼうとしたら、手がはずれてシュルル〜と飛んで行きました。飛んだ風船を目で追いかけてください。▼ふくらんだ風船をポーンポーンとついてみてください。手の勢い、風船の落ちる速度、風船を見つめる目、つくときの身体などを観察してください。▼ふくらんでない風船を引っ張り合ってください。延びて行くときの気持ちはどうですか。相手が離したらころんでください。

●ひげそり: カミソリでも電気シェーバーでも、同じですが、顔の向きとヒフをどっち向けに引っ張っているか、に注意してください。

●電話に出る: 電話のベルが鳴ったとき、急に電話の方に注意が向きます。その瞬間が大切です。電話の相手が上司・部下・友達・家族・知らない人などで、態度が変わるところに注意しましょう。

●電車がホームに近づく:自分が乗ろうとしている電車が近づいた時、自分の立っている位置が何両目ぐらいかたぶん、想像はつくと思うので、自分の前に止まりそうにない車両が目の前を通過しても、やりすごしていると思います。もうそろそろだと思った頃、急に目でドアを追いかけ始めるでしょう。でも、すぐには止まらないので、目線は自分を通り過ぎて行く電車を追いかけます。で、次のドアを見て、また通り過ぎますが、次第に電車のスピードが落ちますので、目の前を通り過ぎる時の目線のスピードも遅くなってきて、ようやく止まります。で、ドアが開くまでに少々の時間、そして乗ります。

●つりかわ: やや難しい空間固定です。つりかわの吊られているところは動きませんが、持つところは動きます。そのアソビの分、難しいのです。持っている手の少し先が固定されているわけです。それと、電車の揺れに合わせて手が揺れます。

●なわとび: なわが地面をたたいてから、自分が飛び上がるまでの時間差を表現することです。

●キャッチボール:サッカーも含め、自分の好きなスポーツは身体が覚えているので無対象でも表現しやすいです。▼相手がボールを受けた時の音を、自分の身体を少しうなづかせるようにアクセントをつけて表現しましょう。そして、向こうから投げられたボールを目線で表して、受けましょう。


グループレッスン

1.ボールあそび

●普通のボール(ドッジボール)1個を持ってきて、円陣を作る。バレーボールで遊ぶ時のように、無作為に投げ合う。投げる前に、相手の目をしっかり見て、言葉は使わずに「あなたに投げるよ」という意志表示をする。普通に楽しくボール遊びをして下さい。
●次に、無対象で同じことをやります。本物のボールがなくても、ボールの飛んできた方向、勢い、自分が受けられたかはずしたか、など不思議とよくわかるものです。無言で、目でコミュニケーションを取ることを忘れずに。

2.リトミックまがい?

【目的】
本当のリトミックではありませんが、音楽を聞いて感じたイメージで身体を動かすという練習です。踊るのではないので、リズムに合わそうとしなくても構いません。人によって感じることは様々なので、同じ曲を聞いても、楽しそうに歩いていたり、だるそうにうずくまっていたり、違いが出ると思いますが、これは「感じる」練習なので、人に自分の思いをを分からせる必要はありません。ただ、必要なことは何人かがいる部屋で、自分の思いにふけるということ、人を気にしないことです。

【方法】
3〜4曲、全くイメージの違う音楽(静か・激しい・重い・やわらかいなど)を用意して、1曲につき3分くらい流して、イメージを感じて動きます。長くやると、結構疲れますヨ。何を感じているか、外から見てわからないので、もし、話したい雰囲気になったら、「今どんなことを感じてたか」を話し合っても楽しいです。(特に話すことが目的ではありませんが、自分をさらけ出す意味で話し合うことが必要だと思えばそうすればいいでしょう。)

【苦労】
一番難しいのはいろんな種類の音楽を探し出すということでしょう。はやり物の歌はやめた方が・・・というより不向きです。歌詞のないインストゥルメンタルの曲で、しかも、出来るだけ固定観念や先入観のない曲・・・というと相当マニアックな曲探しになるかもしれません。クラシックでもルネッサンスの曲から現代曲まで、たくさんあります。また、知っている曲でもいつも聞いているのとは違う楽器を使ってる曲を探したり。ジャズやテクノの音楽でも静かなのも激しいのもいろいろあります。ただ、こういう苦労も財産のうち。探す努力もムダにはなりません。


コラム:音楽の使い方

パントマイムでの音楽の使い方は効果音的な使い方になるので、観客にある決まったイメージを与えてしまう音楽は使いにくいです。映画の1シーンを思い出させるような有名な曲や歌詞の意味がはっきりわかってしまう曲など。(演出として歌詞を利用することもたまにあります。)パントマイムが無言・無音で演じられることにより、観客は心の中に音を感じるのです。必要最小限・主張を持って音を扱わないと、観客のイメージを妨げるハメになってしまいます。観客のイメージの手助けになるように使いましょう。
パントマイミストの中でも、ほとんど音楽を使わない人や、音楽が鳴りっぱなしの人、ダンスのように音楽に合わせてパントマイムを演じる人などいろいろです。それぞれ個人の主張がありますので、正解はないのですが、全く音楽を使わないと観客に緊張感を与えることもあります。その辺は公演を見て、自分の好みで選択してください。

※注意:音楽は著作権法に添って使ってください。 JASRAC Home Page

3.ボーッとする練習

人は誰でも人の前に立つと好かれたいという思いから「いい人」を演じてしまい、そういう態度・表情を作ってしまいます。しかし、演劇だったら個性の違った複数の俳優を出演させることにより、自然と彩りが出てくるものですが、パントマイムはいろんな人間を描く一人芝居ですので、人間の様々な個性を描かなくてはなりません。いつも「ニコニコした元気な人」ばかりじゃないですので、普段は人に見せない姿で(いや、、、は・はだかじゃない!)人の前に存在する「ズ太さ」も必要になってくるわけです。何も描かないで、いすにボーッと座っているだけの練習です。前で自分を見つめている人たちに媚びを売らないで、ひたすら何も考えない。難しく言うと、矢印(ベクトル)を自分に向けるということでしょうか。

4.飲み物あてクイズ

これはlesson_1の最後で説明したのと同じです。

5.プレゼント

二人ずつ組になって、一人がプレゼントを贈る人、もう一人がもらう人になります。プレゼントの中味は相手に話してはいけません。何をあげるかわかるように「無対象」で説明しましょう。プレゼントは箱に入るものでなくても構いません。大きいものや抽象的なものでもいいです。もらった人はプレゼントが何かわかったら、それが好きか嫌いか、感謝するかしないか、反応を示しましょう。


次はエピローグ・・・だけど、本当はこれからが始まりなんです。
気長に・・・気長に、ネ!

★lesson_introduction★
★lesson_1★
★lesson_2★
★lesson_3★
★lesson_epilogue★
★F A Q★