やっぱ2ストでしょ!
RG200Γ(NH11A)

なんちゃってレース仕様にでっち上げる

作業日:2007.8.12〜18/初稿:2007.12.10



私、まったくの「ど素人」なので、用語の使い方とかパーツの名前とか間違って使っている可能性があります。ウソは書いていないつもりですけど、書いてあることを鵜呑みにしないでください。
公道走行にあたり、有資格者でなければ整備できない作業も含まれています。

 おわら3時間耐久レースまで時間がありません。車両到着までに、前もって必要と思われるパーツを見繕って発注しておきました。
 とりあえずちゃんと走れるようにすることと、レース用に少しモディファイすることが当面の目標。

我が家へ到着直後の状態
走行距離はメーター上約6,800km


 車両が到着して、ざっと見回したところ致命的な不具合は見当たらないようでした。エンジンもちゃんとかかったし。
 しかし、メーターの積算距離計の6,800kmという数字はちょっと怪しい。上の画像でも判るとおり、ステムナットの周辺の塗装が相当剥げている。恐らくキーホルダーか何かでできた跡だと思うんですが、たった7,000kmでこんなになるんだろうか。なるのかなぁ。

 さて、それでは各部の状態を確認しつつ、パーツの清掃や交換を行ないます。ついでにRG125Γとの互換性の情報なども交えながら。

チェーンのローラーがサビサビ。


 チェーンの状態は、思ったよりもまとも。とはいうものの、このまま使用するのは危険なので、新品にします。スプロケットは十分使用に耐え得る状態だったので、このまま使用します。ということは、7,000kmは掛け値なしの数字なのだろうか。

 あれ?スイングアームに変な蓋が。何だろうと外してみたら、レーシングスタンド用のフックを取り付ける穴でした。
 まあ、レプリカ系の車両ですから、あっても全然不思議じゃないものなんですけどね。でも、これが有ると無いとでは大違い。特にこのバイクはスイングアーム(右側)が湾曲タイプなので、スタンドがL字型の受けでは使用できませんから。

何だ、この蓋は。

チェーンが固まっているのも見えますね。
フック取り付け用の穴でした。


 当然反対側にもあるはずだ、と見てみたら・・・
 穴がサビで朽ち果てている。何で右側だけこんな風になるんだろう。
 このままではフックが付かないので、ネジを切り直すことに。

右側の穴はスイングアームの外に溶接してありました。
ねじ山がない。
サビを隠すためにタッチペンみたいなもので塗装してあります。
ねじ山修復完了。
ちゃんと付いた。


 フックもちゃんと付いたことだし、これで作業がはかどるぞ。

こんな感じで作業。


 ところが、フックの位置が前過ぎて、スタンドの受けがうまく掛からない。何でこんなに前に付けたんでしょうね。

 次にフロントのブレーキパッドを交換。
 銘柄は何にしたら良いのか、さっぱりわからないので、適当に選んでみました。デイトナの赤パッド。

キャリパーも汚ねぇ。
こりゃOHが必要かも。
とりあえずパッドのみ交換。
キャリパーのサイズなんてそんなに沢山
あるわけではないので、適応車種も多い。


 乗って確かめたわけじゃないですけど、車体が軽いので、絶対的な制動力よりコントロール性を重視して選んでみました。
 この型番は、スズキやカワサキ系に適応車種が多いみたいです。しかも重量車に。ちなみにVJ22AまでのVΓや125Γも同じです。

 ここまで作業して、次にキャブレターへ向かおうかとタンクを外したら、埃しか見えません。一体どういう保管方法をとれば、これだけ汚せるんでしょうね。このままでは作業ができません。
 さて、どうやってこの埃を落とそうかと思案していて、思い出しました。確かヴィヴィオのエンジンルームを綺麗にしようかと、エンジンルームクリーナーを買っていたことを。
 ハーネスの養生なんてやってられません。だって配線そのものが埃だらけなので。配線むき出しのままスプレー。(※電気系統に不具合を起こす可能性が高いので真似しないでください。配線は必ず養生を。)

すごいでしょ、この埃。
触る気にならない。
これでもかっていうくらいにスプレー。
泡が(洗剤が)乾かないうちに水洗い。

おー、綺麗になった。


 泡が落ち着いたところで、高圧洗浄機で一気に洗い流し。(※配線を養生せずに高圧洗浄機を使用すると、電気系統に不具合を起こす可能性があります。)
 残った水分はエアでブロー。すっかり綺麗になりました。

 それでもエンジン周りのオイル汚れが落ちきっていないので、エンジン周りのみ再度クリーニング。

この汚れ方は、ちょっと怖い。

エンジンに不具合が無ければいいけど。

ひょっとするとガソリンタンクから燃料が
漏れてこうなっただけかもしれないし。
歯ブラシを併用して細かいところまで
こすってみた。

普通に年式相応の汚れ具合になった。


 何故かプラグのみ新品になっていました。ちなみにプラグの指定品番は、NGKならBR8ES、デンソーならW24ESRです。125Γは熱価が一番手異なります(9番です)。
 そうそう、バッテリーも新品になっていました。バッテリーは高いので、これはありがたい。またまたちなみにバッテリーの指定品番はユアサのYTX7L-BSです。古河ならFTX7L-BS。125Γは容量も寸法も一回り小さいYTX5L-BSです。

 ようやくキャブレターにアプローチできそうです。
 まずエアクリーナーを外し・・・

 外せません。ネジの頭が腐っていて、ドライバーが回せません。
 もう勘弁してください・・・。

何故こうなるんでしょう。

ちょっと、というか、かなり不思議。
腐っていたのは左側のネジのみ。
右側はいたって普通。


 部分的にこういう酷い腐食が起こっているというのは、何が原因なんでしょうね。電気的なものなのかなぁ。あるいは雨ざらしで、サイドスタンドしかないので左側に水が溜まって錆びるとか。スイングアームの穴は逆に右側が上を向くので、そっちが錆びやすいとか。

 とりあえずエアクリーナーボックスのネジは手持ちの新品ネジに交換。

 やっとでキャブレターを外すことができました。いや、キャブレターを外すのにも一苦労あったんですけど。
 今度はチョークプランジャが外れない。「ええい、ままよ!」と、思いっきり引き抜いたら、外れました。やっぱり腐食して張り付いていた。キャブ本体もガソリンで相当焼けています。恐る恐る開けてみると、あら、中は綺麗。

 このバイク、一体何年放置されていたんだろう。
 その割りにキャブの中が綺麗だったり、エンジンがすぐ掛かったのは何故?
 不思議なバイクです。

キャブも汚ねえ。
ホースもカチカチ。
固着していたチョークプランジャ。
でも、スロットルバルブは綺麗。
ガソリン焼けがひどい。
とりあえず掃除。

こんな状態なので、手の汚れが酷くて分解した時の
画像はありません。
ホースを新品にして組み付け完了。


 エアクリーナーのスポンジは、あれ?入ってなかったような。まあいいや。レースの時はどうせ入れずに走るし。チャンバーもジェットもノーマルなので、エアクリなしで丁度いいでしょう(たぶん)。

 ここまでで二晩を費やしています。

 いよいよレース前日という土曜日は朝から作業。
 今回もライダーとして走る、いつもの鈴木君が丁度富山へ買い物に行くというので、足りないパーツを買ってきてもらうことに。

 足りないパーツの筆頭はチェーン。納車時の状態を見てから交換するかどうか決めることにしていたので、まずはこれ。
 純正指定はシールリング付きの520サイズ106コマなんですが、予算がないのでノンシールチェーンにしました。しかもクリップ式。200cc程度のパワーならクリップ式でも持つだろう、という淡い期待と、メンテナンスが(外して洗浄するのに)非常に楽、ということからです。(125Γは428サイズ130コマなので、スプロケットを含めて全く互換性がありません)
 そのほかは、プラグやレバーなどのスペアパーツ。

 鈴木君が帰ってくるまでの間に、冷却水とミッションオイルを交換します。レース時は混合ガスなので、オイルタンクに残っている2サイクルオイルも抜いてしまいます。本当はオイルポンプも外したいんですが、外した後の蓋を準備していなかったりするのと、作業そのものが面倒なのでポンプは残します。ポンプは空で回していても問題ない、というのは確認済み。

 冷却水は、水道水+添加剤。この添加剤、ただの水より最大で15℃くらい水温を下げるそうです。真夏の、しかも低速なミニサーキットで行なわれる耐久レースですから、熱的には非常に厳しいものがあります。昨年も2サイクル勢は結構ブロー(というか焼き付きですよね)していましたから。
 水に混ぜるだけで水温が下がるんなら、こんないいことはないわけで、バイク屋で聞いたところ、今回2st機で出場するチームはほとんどこれを使用するようです。

モチュールの「モクール」。
なんかベタなネーミング。

5%添加します。
淡いピンク色になりました。


 この「モクール」、クーラントに混ぜてもちゃんと効果を発揮するようですので、普段から使えますね。ちょっと値は張りますけど。

 鈴木君到着までにまだ時間があるので、ドレンボルトにワイヤリングできるように加工します。ボール盤買っといてよかった。ついでにガソリンキャッチタンクも作成。ついでに保安部品も取っ払って、ヘッドライトの穴はプラ版で塞ぎます。
 リア周りの保安部品は、アセンブリで外せるんですが、フロントはウィンカーがカウルの中から生えているので、ちょっと面倒。何でリアみたいに簡単に外せる方法を採らなかったんでしょうね。
 ヘッドライトを外すと、アッパーカウルを支えるものが無くなって、アンダーカウルを外した状態ではアッパーカウルがお辞儀してしまいます。アッパーカウルステーがあることはあるんですが、ステーが固定されていなくて、フローティング状態になっています。なので、アッパーカウルは左右2箇所ずつのネジでアンダーカウルと固定されるのみ。少々不安ではありますが、ミニサーキットなのでそんなに風圧もかからないだろうし、転倒しない限り大丈夫でしょう。と、甘い見通し。

 そうこうしているうちに鈴木君到着。
 まずはブレーキフルードを入れ替え。これも汚い。
 さらにチェーンを張り替えます。

交換前のブレーキフルード。
前後ともこんな状態でした。

エアを噛ませないよう、慎重に作業します。
新品になったチェーン。
余分なチェーングリスは拭き取ります。
プレートの外側にグリスが付いていても
意味無いので。

ローラーの隙間とプレートの隙間には
チェーンオイルを追加で注しておきます。
なにしろノンシールなので、焼き付き防止。
ミッションオイルと冷却水交換後にそれぞれの
キャップとドレンボルトをワイヤリング。

ガソリンキャッチタンクはこの位置に装着。


 さて、最後に大物、タイヤ交換です。
 200Γは、125Γやウルフ125/200よりリアホイールのリム幅が太く、1サイズ太いタイヤとなっています。さらにこれのみラジアルタイヤが標準装備でした。
 ところが、現在、200Γ指定サイズのラジアルタイヤが存在しません。
 私は何度途方にくれればいいのでしょうか。

 仕方ないので、サイズのあるタイヤの中から選んだのがダンロップのTT900GP。バイアスタイヤではありますが、サーキット走行にも耐え得るタイヤなので、まあ当時の標準ラジアルよりは性能が上でしょう、と、消去法的に選択。ちなみにサイズは、F:100/80-17、R:130/70-17です。125Γとかは、リアが120/80-17になります。

 おっと、いけない。サイドスタンドを外さなくっちゃ。
 ところがこのサイドスタンド、スイッチが付いておりまして、スタンドを出したままギアを入れると、エンジンが止まるようになっています。で、このスイッチがスタンドを跳ね上げたときに押し込まれるようになっていますので、スタンドを取っ払うとスイッチが利かなくなり、常にスタンドが出ている状態となってしまいます。スイッチを押し込んだまま固定できるような構造になっていませんので、配線を短絡させて疑似スイッチオン状態を作り出しました。

 はい、これで作業終了。
 明日のレースを前に、これから我がチームで前夜祭を行ないます。もちろん、明日に影響が出ないよう、ささやかに、です。残っていたらしゃれにならんし。

 レース仕様車を作るというより、単なるレストアだったような気がしないでもない。



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