やっぱ2ストでしょ!
TDR80(3GA)



通勤仕様に最適化する

作業日:2007.5.15〜2007.10.1/初稿:2007.10.6/最終稿:2007.12.2

私、まったくの「ど素人」なので、用語の使い方とかパーツの名前とか、あるいは取り付け方法などが間違っている可能性があります。ウソは書いていないつもりですけど、書いてあることを鵜呑みにしないでください。
このバイクに限らず、私の行なっているキャブセッティングは標高1,160mの峠を快適に越え、なおかつ標高500m程度でもちゃんと走るためのものです。標高が低いところで、ここに記載してあるものと同じ番手のジェット類を使用しないでください。たぶん一発で焼き付きます。



【最適化作業その1】

 まず最初に行ったことは、キャブレター周りの清掃とメインジェットの交換。
 現在使われているメインジェットが何番なのか、どんな形状なのかを調べるついでに清掃を行った、と言う方が正しいのかもしれませんが。
 その結果、「ミクニ六角小」の#110であることが判明。サービスマニュアルにある標準の番手と同じでした。ちなみに私は「ミクニ六角小」を使用しているバイクを持っていませんので、新規に購入することになりました。・・・しかし、TZMもフォーゲルも同じミクニのキャブレターなのに、なんで全部違うのかなぁ。この六角小は、TZR50(3TU)・YSR50/80・YB-1・DT50などにも使われています(当然標準の番手は異なりますが)。

作業前のキャブレター周り。
反対側に見慣れないホースが。
温水を引いているのでした。
その右下の細いホースは、
オイルの供給用。


 キャブを外そうとしたら、何かが引っかかっていて取れない。おかしいなあ、と、反対側を覗いてみると見慣れないホースが2本、3本。むむっ、小癪なキャブめ。ガソリンの霧化を安定させるために、温水が回ってきているのでした(たぶんアイシング防止だと思いますけど)。そういえば3MAも同じだったな、と。もう一本の細いホースは、どう見てもオイルの供給ライン。
 この3本のホースを外して、温水のラインは冷却水が漏れてこないように養生しておきます。
 ちなみに、左側のサイドカバーを外すだけで、キャブを外すことができます。これは楽。

 ついでにプラグの焼け具合もチェック。とは言うものの、プラグチョップしたわけではないので、あまり参考にもなりませんが。

 そしてキャブを分解します。

ちょっとくすぶり気味。
やっぱり濃いのか。
付いていたのは標準のBR8ES。
真ん中にメインジェット。
その手前の少し細い穴の中に
パイロットジェットが。
なんだか見慣れない形だなあ。
ホルダーごと外していたのでした。
今回交換したメインジェット。
この辺りの番手は5番刻みです。
燃料ホース。
透明ホースよりはこっちの方が
耐久性が高い。(たぶん)


 キャブを分解してみたところ、それほどひどい状態でもなく、ニードルバルブにも引っ掛かりが見られなかったので、そのままにしておきました。メインジェットのみ交換。
 パイロットジェットの形と番手のチェックもしたかったのですが、普通のドライバでは外すことができませんでした。無理してネジ頭つぶしたら、取り返しのつかないことになりますし。

 最後にホース類の交換。ガソリンコックからキャブレターまでのホースが耐油性のある透明なものに換えられていましたので、ちゃんとしたガソリン用ホースに交換。透明ホース、すぐ硬くなるんですよ。

 ここまでの作業を行って、しばらく通勤に使用。
 お、上が回るようになった。5・6速が巡航に使えるようになりました。相変わらず上りでは失速しますけど、以前と比べると段違いに良くなっています。たった1つ(5番手)落としただけなんですけどね。

 燃費も改善しました。それまで6リットル/2往復前後だった燃料消費量が、5.5リットル/2往復前後になりました。

 あとは、下の付きをもう少し良くしなくちゃ。


【最適化作業その2】

 最適化というか、単に車体を綺麗にしただけです。
 カウルを全部取っ払って、埃を落として、少々磨いてみただけ。

 で、特に念入りに行ったのがチェーンの清掃。
 これが錆びていたり、汚れがこびり付いて動きが渋くなっていると、せっかくのパワーも伝えられません。ただでさえ少ないパワーですから、効率良く伝えるためには気を遣いすぎても過ぎることはないと思っています。
 少しの手間を惜しんで、かえって高くついたりするのがオチなので、私は最低でも1週間に1度は手入れをしています。(単に汚れをふき取ってオイルをさすだけですけど)
 ヘビーなメンテナンスを行うときは、チェーンを外して汚れを落とします。小排気量車両にはクリップ式のものが多く使われており、比較的簡単にチェーンの取り外しができます。従って、オイルまみれになったチェーンも億劫にならずに清掃できます。

オイルと、それにこびり付いた汚れを
灯油に浸けて落とします。
※この方法が使えるのは、ノンシール
チェーンのみです。シールチェーンでは
行わないでください。
清掃完了。
プレートが錆びているのは、前オーナーが
メンテをサボっていたから。


 適当なトレイに灯油を入れて、そこにチェーンをどぶ付けします。みるみるうちに汚れが浮いてきて、綺麗になってゆきます。ブラシで細かい汚れを落とし、パーツクリーナーで残った油分を洗い流します。最後にエアを吹いて水分を飛ばして、清掃完了。

 前オーナーがチェーンのメンテには無頓着だったようで、プレートに錆が出ているものもありましたが、動きの渋いリンクがないようなので、そのまま使うことにします。
 再度車体に装着して、チェーンルブを差します。サービスマニュアルではSAE30〜50のエンジンオイルを使用するように記述がありますが、私はチェーンメーカーの出しているルブを使用しています(レース用車両にはオイルメーカーのものを使っていますけど)。差すところはプレートの隙間とローラーの隙間。1コマずつ差してゆきます。根気の要る作業ですが、余分に差しても結局拭き取ることになるだけだし、ルブの飛び散りも最小限にできますからね。

 次にアルミに浮いた錆の除去。
 完全に除去することは不可能に近い(物理的に磨けばある程度できますけど、梨地仕上げとかしてある箇所もツルツルになってしまいます)ので、ケミカルで目立たなくするだけですけど。

左フォーク(向かって右側)が作業前
右フォークが作業後
真ん中より左側が作業後


 アルミは鉄に比べて相当柔らかいため、硬いブラシやタワシなどで擦ると、すぐに傷が付いてしまいます。なので、磨き系のケミカルを布に取って、シコシコと磨いてゆきます。結構力が必要なので、長時間作業を行うと手が痛さを通り越して感覚がなくなってきます。まあ、やっただけの見返りはあるわけなんですけどね。もう少し簡単に綺麗にする方法を探らなくちゃ。

 次にシートの掃除。未だバラバラのままの一台のシートを綺麗にするために買っておいたクリーナーで汚れを落としてみました。

画像の下半分が清掃後。
画像じゃ判りにくいですけど、
実物は結構綺麗になってますよ。


 クリーナーのお世話にならなくてもいい程度に普段から洗っておけばいいんですけどね。


【最適化作業その3】

 通勤に使う車両ですから、当然雨天ということもあります。朝からあまりひどい降り方をしていると、軽トラにしてしまいますけど。
 フォーゲルのときは、袋に入れた雨具をリアキャリアにくくり付けていたんですが、それもあまりスマートじゃないので、小物入れを装着してみました。資金的に余裕があればGIVIのモノロックケースを装着したいところなんですが、単に雨具を入れるためだけにそれだけの資金を投入できないので、代わりになりそうなものをホームセンターで物色。いいものがありましたよ、工具箱。
 あまり大きいものでは乗車時に足を引っ掛けそうだし、雨具を入れておくためだけなので、そんなに大きいものは必要ないし。第一、沢山詰め込んだら、どこかで落っことしそうだし。

こんな感じでキャリアにじか付け。
前開き/後ろヒンジにした理由は、
万が一(というか充分考えられる)走行中に
蓋が開いても、荷物の飛散を防ぐため。
キャリアの後端で合わせて、
4箇所で固定。
中はこんな感じ。


 横幅が概寸で約35cmのものを選択。この上になると、40cmとか45cmになるので、ちょっと大きすぎかな、と。
 問題はキャリアへの固定方法なんですが、思案しながらホームセンター内をうろついていたら、いいものを発見。水道管などを壁に留める金具です。なんとなくキャリアのパイプ径も同じくらいだし。これで決定。
 キャリアを車体から外して、固定する位置を決めます。箱の底の強度を考えたら、なるべく後ろにはみ出さないようにしたい。で、キャリアの後端とツライチになるように取付金具の位置を決め、箱に穴あけ。後ろ側の金具を斜めにしたのは、縦方向のずれを防ぐためです。
 箱の実効容量は8リットル弱。車載工具と雨具(カッパ上下+レイングローブ+ブーツカバー)を入れてみたら、それだけで一杯になってしまいました。雨具を圧縮して別の袋にいれるようにすれば、もう少し余裕もできるとは思いますが、面倒なのでやりません。

 使用してみた感想。心配していた雨の侵入もないし、外れて落ちることもないし、今のところ満足しています。ただ、弁当を入れたデイバッグが箱に当たります。もう少し後ろに取り付ければよかったかな。それか、いっそのこと弁当箱ごと入れることのできる大きさの箱に替えるか、ですね。


【最適化作業その4:トラブル発生とその対処】

 この状態でしばらく乗っていたところ、ある日突然クラッチが軽くなりました。で、そのうちレバーの遊びが大きくなってゆき、レバーを握ったときの手応えがなくなってきました。
 クラッチレバー付近を見てみると、クラッチケーブルが切れていました。恐らくワイヤが中で錆びて、動きが渋くなっていたのだと思います。

ブチブチになりかけ


 当然新品に交換したわけなんですが、交換前と比べると格段に軽くなりました。メンテナンスとして定期的に注油するのもいいんでしょうが、そんなに高いパーツでもないので、動きが渋くなったところで新品に交換した方がいいのかもしれません。注油することによって、逆に汚れを呼び寄せて(チェーンのように)大変なことになりそうな気がするので。

 やっぱり低回転域のアクセルの付きに納得がいかないので、標準値から外れることは覚悟の上でエアスクリューを調整することに。3回転くらい余分に開けないと適正なエア量になりません。スクリューが外れそう。パイロットジェットの交換が必要ですね。
 調整後は見違えるような低回転域でのレスポンスと低速トルクを手に入れました。もっと早くやっておくんだった。
 燃費もさらに良くなって、2往復あたり5リットルを切るようになりました。フォーゲルのレベルに近付いてきたぞ。

 エアスクリューを調整してから、なんだか排気音が大きくなりました。ちょっと迷惑に感じるくらい。
 で、ある日の朝、エンジンをかけたらサイドカバーから煙が出ている。なんでこんなところから?
 ひょっとして排気管のどこかに穴が開いて音が大きくなったのか? ・・・チャンバー交換ですか?

 恐る恐るサイドカバーを外してみたら、何ですかこれは。

チャンバーガスケットが外れていました。
漏れ出た排気で汚れた箇所を
清掃してから元の位置に戻しました。


 チャンバー部分とサイレンサー部分の繋ぎ目を塞ぐガスケットが抜けて、継ぎ目から排気が漏れていたのでした。
 このような構造は初めて見たのですが、オフロードモデルでは当たり前なんですかね?
 とりあえず漏れた排気で汚れた周辺を綺麗にして、ガスケットを元の位置(と思われるところ)に戻し、エンジンをかけてみたら排気漏れは収まり、排気音も小さくなりました。これはゴム製なので、密閉性を確保するためにはいずれ交換しなければならないパーツですね。


【最適化作業その5】

 おわらサーキットのライディングスポーツカップの旗振りをした帰りに、富山の南海部品へ寄ってジェット類を買ってきました。

メインジェットセット。
TZR50(3TU)用ですが、TDRにも使えます。
単品でも良かったのですが、あいにく
在庫なし。
パイロットジェットは「ミクニ小」だったので、
フォーゲルに付けているVM20と共通でした。
買わずに済んでラッキー。


 デイトナのカタログがあったので、適合品番を確認。メインジェットは「ミクニ六角小」で合ってます。っていうか既に付けているので問題なし。・・・標準#120? あれ? サービスマニュアルでは#110ですよ。ちょっと不安。
 気になるパイロットジェットは・・・「ミクニ小」・・・なんだ、VM20と一緒じゃん。それならサイズもあるし、買わなくていいな。どのみち在庫がなくて買いたくても買えなかったんですけどね。

 ついでに工具をひとつ購入。

ジェット類の交換用ドライバ。
フロートチャンバー着脱用のプラスと
ジェット着脱用のマイナスとボックス。
ボックスのサイズは6mm。


 普通のドライバーでは外せなかったパイロットジェットを外すために投資。

メインジェットの上側の小さな穴の中に
パイロットジェットが。
こんなに深い位置にあります。
普通のマイナスドライバーは先端が
細くなっているので、
ジェットのネジ頭にうまくかかりません。


 さすが専用工具ですね。フロートチャンバーを外すためのプラスドライバーも何故かしっかりと食い込んで、トルクがちゃんとかかります。細くて深い位置にあるパイロットジェットも難なく外すことができました。
 こんなに便利ならもっと早くから買っておくんだった、とちょっと後悔と反省。
 ところで、入っていたパイロットジェットが#22.5でした。標準は#25のはずなんですが、前オーナーが換えていたのかなあ。なので#20に交換。メインジェットも#100に交換。
 これでM/JもP/Jも標準から2段落ちとなりました。

 暖気後、エアスクリューを合わせます。今回はほぼ標準値に収まっています。

 早速通勤で検証。
 む〜ん。期待したほどの効果は得られない結果となってしまいました。
 ・低回転のアクセルの付きはいいのですが、低速トルクが若干痩せた。
 ・高回転域の伸びが鈍った(気がする)。もっとも、高回転についてはジェットが小さくなり、薄くなっているので、いきなり全開にするのがはばかられているからで、焼きつく恐れがないことが判った時点で思いきり回して確かめてみます。
 なんだか全体的に薄すぎる気がしないでもない。

 低回転域はほぼ満足できるセッティングになりましたが、高回転域が決まりません。ここでニードルのクリップ位置を変えたりすると、ますますどツボにはまりそうなので、今シーズンはこの仕様のまま乗り続けますが、そんな小手先の調整でセッティングが出るとも思えず、もっと根本的な部分で、シーズンオフにリードバルブとピストンの交換をしてみようと思っています。



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