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5月11日
<異形コレクション>『世紀末サーカス』を読み進む。前半読了時点でのベストは斎藤肇「アクロバット」。冒頭はあまりに技巧が鼻につくので「なんだかなあ」と思っていたが、作中作「学校」のばかばかしさに負けてしまった。「はぐれ巨大親サーカス」って何だよ。
技巧はやはりこういったばかばかしさと対になってなんぼだね。

5月12日
近所の書店で、『ミッション・トゥ・マーズ』のノヴェライズを見かける。帯、裏表紙、カバー折り返し、解説とざっと見渡してみたが、「SF」の文字はどこにも見当たらなかった。そういうものかもしれない。

5月13日
朝起きると昼だった。午前10時と正午の2回、西葛西駅南口広場で、(いまさら)救急戦隊ゴーゴーファイブショーが行われると聞いていたのだが、行き損ねたようだ。東西線に乗ってやってくるゴーゴーファイブを見逃したかと思うとちょっと残念。

夕方から、名大SF研OB-ML関東組で、岸岡さん(6)を囲んでの飲み会。4時間飲んで、2時間ふらふらして、8時間歌っていたら翌朝になった。
光学式トラックボールとか、三雲岳斗の"戦略性"の是非とか、今期のアニメ評とかいろいろと話したような気もするが、なにせ酔っ払っていたのですでに記憶に無い。ま、そんな日もある。

5月14日
「六番目の小夜子」第6話を観る。今回はホラー寄り、というよりはファンタジーよりの展開。作品中では、超常現象はあるものとして認める必要があるらしい。
なお、今回は花宮雅子が妙にクローズアップされていた。なぜ急に。

5月15日
Galaxy 1971/11掲載のラファティ"Bubbles When They Burst"を眺める(読んだといえる精度では読んでいない)。<研究所>一の発明家、故セシル・コーンの死因が明かされる短篇ってことで気合いを入れて眺めたのだが……結局よくわからなかった(笑)。
一応、直接の死因は分かったんだけど、なぜそんなことになったのかがわからない。そのうち、辞書を引きつつちゃんと読んでみよう。

なんとなく、KnightのLafferty Checklistを引いてみてびっくり。これ("Bubbles When They Burst")単行本未収録だったのか。じゃあ、当時Galaxyを読んでいた人以外は、故セシル・コーンの死因を知らない訳やね。かわいそうな故セシル・コーン。

5月16日
星間宇宙船で「ラファティの『宇宙礁』」などという恥ずかしい間違いをする。もちろん即訂正をした訳ではあるが、実は"The Reefs of Earth"と"Space Chantey"をごっちゃにしたのは初めてではなかったり。全然違うタイトルなのに、何故間違えるのかは自分でもわからない。『ふるさと遠く』と『ジョナサンと宇宙クジラ』を取り違えるのは、どちらもクジラSFを表題作とする作品集だから仕方ないと思うが。< 普通間違えません
それにしても、訂正の書込みでTypoをする(誤:Erath→正:Earth)のは恥ずかしすぎると思うので反省するように。> おれ

いろいろと検索をするうちにこんなページを見つけた。少し上に昇って見たところ、さまざまな雑誌/アンソロジーの掲載作リストが置いてあるらしい。とりあえず最初に見つけたGalaxyの掲載作リストでラファティの作品をチェックすると、ほとんど邦訳がある事がわかった。
Galaxy掲載作と邦題
  1. 「スナッフルズ」--Snuffles, December, 1960.
  2. 「一切衆生」--All the People, April, 1961.
  3. 「この世で一番忌まわしい世界」--The Weirdest World, June, 1961.
  4. 「アロイス」--Alloys, August, 1961.
  5. 「レインバード」--Rainbird, December, 1961.
  6. 「夢」--Dreamworld, June, 1962.
  7. 「テキサス州ソドムとゴモラ」--Sodom and Gomorrah, Texas, December, 1962.
  8. 「その町の名は?」--What's the Name of That Town? October, 1964.
  9. 「スロー・チューズデー・ナイト」--Slow Tuesday Night, April, 1965.
  10. 「子供たちの午後」--Among the Hairy Earthmen, August, 1966. *
  11. 「カミロイ人の初等教育」--Primary Education of the Camiroi, December, 1966.
  12. 「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」--Thus We Frustrate Charlemagne, February, 1967.
  13. 「カミロイ人の行政組織と慣習」--Polity and Custom of the Camiroi, June, 1967.
  14. 「日の当たるジニー」--Ginny Wrapped in the Sun, August, 1967. *
  15. 「奪われし者にこの地を返さん」--How They Gave It Back, February, 1968.
  16. 「マクグルダーの奇蹟」--McGruder's Marvels, July, 1968.
  17. --The All-at-Once Man, July, 1970.
  18. 「秘密の鰐について」--About a Secret Crocodile, August, 1970.
  19. 「問答無量」--All But the Words, June, 1971.
  20. --Bubbles When They Burst, November, 1971.
  21. 「処女の季節」--Parthen, May, 1973. *
  22. --By the Seashore, November, 1973.
  23. 「ダマスカスの川」--Rivers of Damascus, February, 1974.
  24. --Endangered Species, May, 1974.
未訳のうち"By the Seashore"と"Bubbles When They Burst"は「眺めた」ので、全くの未読は2作のみ。Galaxy掲載のラファティは何らかの形で全部読んだと自慢できる日は近いな。

それはそれとしてリストを眺めてみると、ラファティの中でも比較的一般受けする作品が並んでいることに気づく。<研究所>シリーズなんて邦訳の範囲内だと、第一作「他人の目」と、長篇『イースターワインに到着』以外全部あるのではと思うほど。実は足りない。何が足りないかは宿題だ。
ついうっかり、「ラファティはGalaxyの作家である」という仮説を思いついたので、検証のため、まずはF&SF掲載作のリストをチェック。をを少ない。まさか一作とは思わなかった。気をよくして先に……って、本当に一作か?
邦訳リストで裏を取ってみると、案の定色々抜け落ちていることがわかった。どうやらせっかく見つけた雑誌別リストはあまり信用できないものらしい。残念。
まあでもしかし、ラファティの雑誌/アンソロジーシリーズ別リストは面白そうなので、本気で作るかも。期待せず待て。

5月17日
昨日のサイトを再訪し見てまわっているうちに、こんな説明を見つけた。F&SFがぼろぼろな割には、Galaxyは完全だなあと思っていたら、たまたまGalaxyは入力終了してたということだったのか。なるほど。

「すん」掲載の『地球礁』を読みはじめようとして、つい馬場秀和「ファンダム戦争」を読みはじめてしまう。……面白すぎる。
「かってない栄光の時を迎えたSFファンダム。誰もが繁栄を享受する中、暗黒の未来の萌芽を感知した男がいた。やがてファンダムは衰亡し、SFの暗黒時代が訪れるだろう。それを阻むことは出来ない。しかし、暗黒時代を短縮することは出来る。ほんの少し手を加えるだけで。そこで一つの同盟が結成された。表向きはSF年鑑の編纂・発行を目的としながら、実はファンダムの再建を目指すグループ、日本SFファングループ同盟。彼らは、四大組織の均衡を、SF大会の運営権を、ゼニプロの商法を利用することにより着実に勢力を伸ばし、ついにファンダムの行方を左右するグループにまで成長した。そして、今まさにファンダムの完全支配の為の最後の一歩を踏み出さんとしていた。しかし、その影には、既に滅びたはずの第二同盟の姿が隠されていたのだ。ファンダム全体を血に染める戦いの幕が今あがる」
という話なのは一節だけ。さまざまな作品のパロディでSFファン気質をあげつらう様は痛快という他無い。同時期のSFイズム掲載の神林長平のコラムを読んでいないとわからないネタなんて物まで出てしまうあたりファンジン創作の面目躍如。終盤、醒めてしまったのが残念だ。

なぜだか勢いで「わ!」掲載の翻訳2本も読む。とりようによってはどちらも耽美なのは訳者の趣味か?2本のうちでは、「科学者ギルド所属の科学者は、他愛無い質問をするスキンタイトスーツを着た美形を助手に雇わなければならない」という謎の設定を採用しておきながら、耽美さのかけらも感じられないジェフリー・A・ランディスの「変心」が良かった。ランディスにそういうネタは向いてないよね。

5月18日
昼休みに飯を食おうとして、本を持ってないことに気づいてしまった。立食いで済ませるのなら問題無いのだが、いかんせん今日はちゃんと飯を食いたい気分なのである。しかし本を持たずに飯を食いに行くわけにはいかない。しかたがないので、近所の本屋で、椎名誠『みるなの木』(ハヤカワ文庫JA)を購入。なんか久しぶりに本を買ったような気がする。

勢いで作ったIfのリスト。出典はDan Knightの"An R. A. Lafferty Checklist"(new edition)。
If掲載作と邦題
  1. 「時の六本指」"The Six Fingers of Time" 1960/9
  2. "McGonical's Worm" 1960/11
  3. 「プディブンディアの礼儀正しい人々」"The Polite People of Pudibundia" 1961/1
  4. 「楽園にて」"In the Garden" 1961/3
  5. 「七日間の恐怖」"Seven-Day Terror" 1962/3
  6. "Mad Man" 1964/10
  7. 「千客万来」"Guesting Time" 1965/5
  8. 「うちの町内」"In Our Block" 1965/7
  9. 「九百人のお祖母さん」"Nine Hundred Grandmothers" 1966/2
  10. 「ゴールデン・トラバント」"Golden Trabant" 1966/5
  11. 「ブリキ缶に乗って」"Ride a Tin Can" 1970/4
  12. "The Man Undernearth" 1971/1
  13. 「とどろき平」"Boomer Flats" 1971/8
Galaxy掲載作に比べると量は若干劣るが、「七日間の恐怖」「うちの町内」の2作が入るなど侮れないラインナップになっている。さすが姉妹誌。
初期は面白さのわかりやすい作品が多いのに、しだいに何が面白いのか説明しづらい物になっていくのも興味深い。ラファティ全邦訳作品について、「わかった-わからない」のアンケートをして、それを初出年代毎に整理するってのは面白いかな。サンプル数がネックになりそうだけど。

ここ数日大熊君が展開している小ネタは実に面白いのだが、反応するべき適切な場所が無い。というわけで仕方なくここで。
いつ歌い出すか楽しみにしてます。

5月19日
椎名誠『みるなの木』(ハヤカワ文庫JA)読了。筒井康隆〜かんべむさしの流れを引くような実に日本SF的な作品集。集中では、『武装島田倉庫』の流れをくむ諸作、特に表題作「みるなの木」が印象に残った。

<異形コレクション>『世紀末サーカス』(廣済堂文庫)読了。結局「アクロバット」を越える作品はなかった。全体としてはいまひとつ。

5月20日
くもりがちの空を眺めながら、昨晩聞いた天気予報を信じつつ、傘も持たずに中野に向かう。この選択が自分を一日苦しめるとは、神ならぬ我が身には予想もつかぬ出来事であった。いや、一日雨が降ってたってーだけですが。

土曜だというのに中野くんだりまで向かうのは休日出勤、ではなく、折り紙マスター志村弘之氏の中野ブロードウェイ散策の案内役を務めるため。ついでに日頃中野には縁の無さそうな人も誘ってみての「志村弘之と歩く中野ブロードウェイツアー」なのであった。誘ってみたのはジョニイ高橋さん、森太郎さん、細木さん(8)、田中香織さん(到着順)の4人。
まんだらけにFUJIYA AVIC、歩書店に古書ワタナベなど、おたく系商店を中心に廻ったのだが、この見積もりが甘かった。各店毎に全員の気が済むまで滞在していたら一向に進まないのである(当たり前)。三階の中央階段から北端まで進むのに1時間かかったときにはどうしようかと思いましたよ。
結局、店が集中している所では半自由行動、それ以外の場所は観光(笑)のみという形で3〜5時間程度のツアーとなった。もっと楽に出来るかと思ったんだが、こんなもんか。 とりあえず、再訪を期した人が一人いただけでも成功したと思う次第。
ちなみに一番喜んでいたのは、ここ5年以上にわたって探していた品川KID『KIDDY LAND Special』(PAPIPO COMICS)を見つけた僕かもしれない。

ツアーは大予言探訪をもって終了。喫茶店でしばし足の疲れを癒した後、それぞれ飲み会に合流しようという高橋さん、細木さんと別れ高田馬場へ。芳林堂でピエール・マッコルラン『恋する潜水艦』(国書刊行会)、冬目景『百景』(というか「文車館来訪記」:講談社)、ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミンUp!』23巻(少年サンデーコミックス)等を購入した後、ユタに行く。

ユタの本日の参加者は、林、志村弘之、森太郎、田中香織、藤元直樹、福井健太、大森望、さいとうよしこ、高橋良平、三村美衣、小浜徹也(多分入店順、敬称略)。やはり時節柄、ファンダムだのファンジンだのといった話題が多かった。ファンジンとミニコミはどう違うか、大学SF研の活力低下は地方のファンダムの衰退が原因では、大学SF研と一般ファングループの違い、などなど。様々な話題が展開される中、どの話題でも必ず言及される鈴木力氏の存在感は素晴らしい。
ファンダム関連以外では、「銀背の起源問題」(「ハヤカワSFシリーズが「銀背」と呼ばれるようになったのは「青背」刊行以降ではないか」と言う、牧真司氏がSFセミナーのパネルで提示した問題)について、高橋良平さんから、「金背(ハヤカワSFシリーズの古典路線)刊行後に、それと区別する名称として銀背と言う呼称が発生した」という証言を得た。牧説(青背起源)と高橋説(金背起源)のどちらが正しいかを確かめるのは比較的容易(75年以前に銀背の使用例があれば、牧説は否定される)なので、そのうち調べてみよう。

帰宅後、買ってきたマンガを読む。
『じゃじゃ馬グルーミンUp!』は割とどうでもいい巻。だから竹岡竜二をもっとだせってばよう。<そういうマンガではない
『KIDDY LAND Special』は記憶の通り、素晴らしい。時計うさぎや魔法使いが暮らすはるか世界の端の国KIDDY LANDに自由を求めてやってきたお姫様、白雪おこいの活躍を描くスラプスティック・コメディ。天然ボケの主人公を中心としたドタバタに、品川KIDの軽い、まるみのある線が実に良く活きている。多分、未収録の作品があることだけが残念だ。
『百景』収録の「文車館来訪記」は実に美しい作品。やや終わるのが早すぎて、食い足りないのが残念だ。倍とは言わないが、あと三回ほどあっても良かったのでは。

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