- 8月21日
-
8月以来、うちとは比較にならないほど詳しいラファティサイトが存在していた事を、ご本人からのメールで初めて知る。徳島大学医学部放射線科内にあるとりあえず、ラファティが、それ。書影付きの原書紹介、未訳作品の概要紹介、体系的な作品リストに、翻訳まであるんだからかなわない。あまつさえ、いつかやるいつかやると引っ張り続けていた、不純粋科学研究所構成員の多面的紹介まであったり。こりゃ、うちのサイトなど足元にも及ばない。ああ、今後はどういった方向性で勝負して行こう。
というネタをリンク許可を得次第掲載しようと思っていたら、いきなり大森日記に先を越されてしまったり。いいんだ、どうせ何をやっても後手を踏むんだ。
- 8月22日
-
先日来、買い込んだマンガの感想など。
坂田靖子『タイニーポムポム』(小学館PFコミックス)はファンタジー系の作品を中心とした作品集。ぜったいに辛くは終わらない物語は、疲れているときに読むには最適。
馬場民雄『トバクチ』(白泉社ジェッツコミックス)は、サブタイトル「麻雀青春綺談」通り、麻雀をきっかけに真剣勝負に目覚めた少年の青春譚。シンジ君がミサトさんに諭される第一エピソードにはどうなることかと思ったが、これがなかなか。しかし、親が金持ちでハンサムで頭が良くて運動芸術にも秀でてツキもあるという主人公のキャラ設定は現代マンガとしてはどうか。
わかつきめぐみ『ご近所の博物誌』(白泉社ジェッツコミックス)はマンガ喫茶ホソキで読んで以来、探していた名著。幻想的植物群もさることながら、何より博物学者・二羽さんの、知を愛する姿が素晴らしい。そして、その二羽さんにふりまわされながらも、いつしか知を目指す楽しさを知る三稜くんも。
- 8月23日
-
恥ずかしながら大森掲示板の古沢嘉通さんの書込みではじめて気がついたのだが、とりあえず、ラファティには、Locus Indexにも載ってない(当然、うちの書誌でもフォローしていない)書籍、Anamnesisの書影が載っている。なんでも<Argo>三部作の第3部、"More Than Melchisedech"の第2話、"Tales of Midnight"(1992)の限定版(サイン付き)のおまけに付いてくる非売品の小冊子だとか。これっぽっちも存在を知らなかったという己の不明を恥じ、Webで検索してみると、いきなりここの書誌に載っているのを見つけてしまった。怠慢はいけませんね。
なお、いろいろ探してみたが、その外ではここの短編リストに"Anamnesis"というタイトルがある程度だった。これら情報から想像するに、<Argo>世界を舞台とした短編(あるいは長篇の別エピソード)"Anamnesis"だけが収められたブックレットの類だと思うのだが、果たして実体はいかに。とりあえず、とりあえず、ラファティの続報を待とう。
- 8月24日
-
読んでる途中の本を忘れてしまったので、昼休みに中村融編『ホラーSF傑作選 影が行く』(創元SF文庫)を購入。Zero-Conのライヴスキャナーで予告されたアンソロジーラッシュの第一作ですね。
まだ読みはじめたばかりなので、作品の感想はまた後日。とりあえず編訳者による「ホラーSF私論」は勉強になった。ジャンルホラーに対する言及が多いので、来月か、再来月の東雅夫によるSFMレビューが楽しみ。
- 8月25日
-
祝!横浜5割復帰。……寂しい。
今日は読みかけの本を忘れなかったので、『ホラーSF傑作選 影が行く』はお休み。なお、今号のSFMにはレビューが載っていなかったので、取りあげ方が楽しめるのは来週らしい。
今読みかけの本は現在のペースだと読了までに一月くらいかかりそうな感じ。しかるべき状態でちゃんと読めば3時間で読み終わるんだが。
帰りがけにふと魔がさして芳林堂に寄ってしまい、牧野修『病の世紀』(徳間書店)と、唐沢俊一『トンデモ一行知識の逆襲』(大和書房)を購入。後者は読んじまうんだろうなあ。また、読みかけの本が進まなくなりそうだ。
SF大会で山岸真さんに教えていただいたスラデックリストの間違い(というか)を再発見する。リスト中で、"The Blass Monkey"が収録されたアンソロジー"Twenty Houses of the Zodiac"の編者の名が、マクシム・ヤクボウスキとなっているが、日本では過去にマクシム・ジャクボウスキーとして紹介されたことがあるようだ。あと、もうひとつ指摘を受けたはずなんだけど、それは何だったっけか。
小浜徹也さんからも「すげえ単純な間違い」があったと言われているのだが、それが何かは分からない。「『ライズ民間警察機構』の穴埋め」を書かなかったのも、謎の作家Cassandra Nye(ディッシュとの共有ペンネーム、Cassandra Knyeとは微妙に綴りが違う)の作品を削ったのも“間違い”ではないだろうし。なんなのだろう。
テレ朝「TRICK」第7話を見る。よし、良い調子だ。
もちろん、落ちは前もって予想出来るわけだが、その予想出来るタイミングが(ミステリに疎い僕には)完璧なので心地よく見ていられた。あからさまにヒントを示すことで、視聴者に適当な(そう、まさに適当な)裏読みをさせ続ける構成は実によく出来ている。視聴者に優越感を与えつつ、侮らせはしない絶妙なバランス感覚。そう、この間だよ、この間。最後の事件からの展開がやや急なため、2種類の形式が異なるトリックの組み合わせで、どちらもトリックでないように見せかけるというネタの印象が薄くなってしまったようにも思うが、それは望みすぎだろう。なにより、佐伯日菜子が善人と悪人を見事に演じ分けているという事実をすっかり霞ませてしまった、仲間由紀恵の「えへへ」は素晴らしかった。
蛇足:しかし、「あなたが求める真実だって、白くてきれいなものばかりではない」(大意)という台詞とともに、牛乳(前回からの流れからすると雪印牛乳)を飲み干すのは悪意ありすぎ。あまつさえ、人が毒を飲んで死んだ直後のシーンだし。
- 8月26日
-
柏へ部屋を探しに行く。時々仄めかしていたように、転勤なのである。
「転勤はわかったが、筑波に移るのに柏で部屋を探すのはなぜか」とはよく聞かれる。ま、強いて言えば、気まぐれ、って奴かな。< 語り口が似合いません
常磐線に揺られること数十分、たどりついた柏の街は予想よりかなり大きな街だった。こりゃ、予算が甘かったかも。
いざ不動産屋を回りはじめてみると案の定。駅に15分の1Kで6万が相場と、予定とかなりり違った展開を見せはじめる。Yahooの検索で出てきた、駅まで数分、5万円代の2Kなんてのは夢のまた夢。現実という奴は、そう上手くは出来ていないものらしい。
2、3時間歩き、不動産屋を2軒ほど訪ねたところで、見切りをつけて帰ることにする。また、来週だ。
西葛西に戻って細々とした作業をした後、今度は新宿へ。久方ぶりに西口イエロー・サブマリンに寄ってみる。また、英語ゲームが減ってるよ、おい。ドイツゲームの充実を図るのは時代にあった正しい戦略であろうとは思うが、その影でIlluminatyだの、Shattered Statesだのが消えていくのを見るのは寂しいな。
その後、SFセミナースタッフ主催による田中香織就職内定祝賀会に参加する。セミナースタッフだけでなく、塩澤編集長だの、大森望さんだの、山岸真さんだの、締切り直前なのにここにいる方だのといった錚々たる人々に囲まれて祝福を受ける彼女を遠くから眺めながら、名大SF研の会員にも祝ってもらえなかった己が内定のときを思い起こし、人徳というものの価値に思いを馳せた晩夏の一夜であった。
まあ、それはそれとして。山岸さんに、スラデックリストのミスを再度指摘していただいた。"Scens from the Country of the Blind"が収録されたアンソロジー"A Book of Contemporary Nightmares"の編者の名が、ギルズ・ゴードンになっているのは、ジャイルズ・ゴードンと読むべきとのこと。お詫びして訂正させていただきます。
宴会→喫茶店→カラオケ→カラオケと流れて、解散したのは朝7時。この間、ほぼ飲み続けていたので最後は傍目にもわかるほど、ぐでんぐでんに酔っ払っていたような気がする。毎度、毎度の反省をしながら例によって早(?)朝の東西線で帰宅。
例によって乗り過ごした……。
- 8月27日
-
昼過ぎに起きだして渋谷へ。大熊君他いつも映画に誘っていただいている方々と「サウスパーク」を見に行く。会場は今日も満員だった。
2回目を見終わった感想は、「準備せずに2回目に行くもんじゃない」という難しいもの。なまじ展開を知っている分、ギャグに身を任せるより先に「ああ、ここもパロディなんだろうな」という部分が気になってしまい、十分に楽しむことが出来なかった。もっと、勉強してから見に来るんだった。
夕食の席で、大熊君に昔のファンジン原稿の話をされ、身が縮む思いを味わう。すみません、ごめんなさい、もう偉そうなことは絶対にいいませんから、MILKSOFTのレビューの話を人にしたりしないでください。あんな文章で良しとしていたことは十分に反省していますから。ひー。
牧眞司さんから、昨日お尋ねした件に関してメールを頂く。"Sindbad:The Thirteenth Voyage"の初版、Broken Mirror Press版(1989)は、Sinbadと書かれる場合とSindbadと書かれる場合があり、どちらが正しいか気になっていたというのが、その疑問。原典で確認して戴いたところによると、Sindbadで良いらしい。牧さん、どうもありがとうございました。
これで悩んだのは、SinbadとSindbadの差が綴りの揺らぎ程度のものでしかないことを知らなかったからなわけだが、遅まきながらこの辺を調べてまわり、いろいろなことを知った。ハリーハウゼンの「シンドバッド7回目の航海」(8月29日修正)は、Sinbadなんですね。
- 8月28日
-
横浜が読売相手に3連勝を収めていたことを知る。どっからどうみてもいまさらとしか言いようが無い展開ではあるが、ペナントを盛り上げるために最低限の仕事は出来たと喜ぶべきなのだろう。
それはそれとして、気がついてみるといつのまにやらわずかに貯金の3位である。上、下、共にゲーム差は開き、目標達成に向けて視界良好。投手陣に不安は残るも、野手は新戦力が台頭し、ポスト権藤政権への準備は万全。あとは、シーズンオフを待つばかり……、いや、そんなことで納得してはいけない。目標は高く持たなければ。めざせ、金城の首位打者、めざせ、ローズの打点王。
# 個人記録だけを追い求めるようになっちゃシーズンもおしまいだな。
- 8月29日
-
今日もまた間違いの修正から。
8月27日の記述の末尾で、「シンドバッド7番目の航海」などと書いていたが、こんな邦題の映画は存在しない。"THE 7TH VOYAGE OF SINBAD"(1958)の邦題は、1958年日本初公開時が「シンバッド七回目の航海」、1975年再映時及びビデオ版が「シンドバッド7回目の冒険」、ニューマスター版ビデオタイトルが「シンドバッド7回目の航海」が正しいようだ。詳しくはこちらを参照(ただし、ここでは原題が"THE SEVENTH VOYAGE OF SINDBAD"となっている。おそらくこれは間違い)。最後のは割と似てる……、ってのはなんの救いにもなりませんね。申し訳ありませんでした&ご指摘戴いた添野さんありがとうございました。
で、まあこれで終わってしまうと、あまりに情けないので、ついでにちょっとした数字を調べてみた。altavistaでSinbadとSindbadをそれぞれ引いてみると、Sinbadが20282件、Sindbadが6043件となる。およそ3対1でSinbadの方が多い。「シンドバッド」という表記が一般的な日本語の感覚からするとかなり意外な結果だ。しかも、まだちょっと先がある。これはあくまで全言語の条件で検索した結果。英語のみで検索すると、Sinbadが18517件に対して、Sindbadが2734件。7対1に近い圧倒的な結果となった。また同時に英語以外の言語では、Sinbadが1765件、Sindbadが4309件となる勘定で英語とは逆にSindbadが優勢となる。
Sinbadがこれだけ英語圏で一般的な表記であるなら、リストの綴り違いが発生するのも分かるし、逆に非英語圏ではほとんど使われないとすると、日本語ではほぼ常にシンドバッドとなる(infoseekで検索すると、シンドバッド4597に対して、シンバッド151。およそ30対1でシンドバッドが優勢)理由も分かる。なるほど面白かった。
# ここで、何故英語では綴りの揺らぎが発生したのかを追求しはじめるとさらに面白そうだが、きりがないので止めておく。
最後もまた間違いの修正。昨日引用した雑記に「貯金4の3位」という記述がある。そらまあ、シーズン途中なら有り得んでもないけど、シーズン終了時点を考えると、(横浜ベイスターズは2000年シーズン時点でセントラルリーグ所属なので)これは有り得ない。もう少し、ものを考えてから雑記を書こう。> ヲレ
- 8月30日
-
退社後、中野武蔵野ホールで「チェコアニメ映画祭 2000」のBプログラムを見る。
- パヴェル・コウツキー「視覚の外」
- ルボミール・ベネシュ「パットとマット」
- ブジェチスラフ・ポヤル「ぼくらと遊ぼう」
- ブジェチスラフ・ポヤル「ナイトエンジェル」
の4作7話。
「視覚の外」は、木製人形たちの世界を外から眺めると、というワンアイデアの小品。わずか3分の作品にもかかわらず寝てしまったので、落ちがわからない。落ちていて欲しいとは思うが、落ちていなかったらどうしよう。
「パットとマット」はAプログラムよりも上の出来。さすが最新作。技巧的な新しさは最早感じないが、演技の間が良く安心して楽しめる。
「ぼくらと遊ぼう」は寝てしまったのでよくわからない。10分に収めてくれればもう少し楽しめたかもしれない。
「ナイトエンジェル」は、事故で一時的に視覚を失った青年の姿を描く。青年の手が触れたもの、音を出したものだけに光が当たる、手から離れたものは色を失い消えていく、など視覚を失っている間の映像は技巧的で面白い。特に、火事になったと勘違いしパニックを起こした青年がアパートの中を走り回るシーンでは、あるはずの扉が消え、存在しないはずの階段が出現し、迷宮に閉じ込められたような不安感を見事に演出していた。Aプログラムの「飲みすぎた一杯」は技巧が技巧としてしか生きていなかったが、こちらはストーリーに不可欠なものとして存在している。傑作とまでは言わないが、十分に見る価値のある良作。
- 8月31日
-
ぼーっと「どっちの料理ショー」を見ていたら、不覚にも鰯が食べたくてたまらなくなってしまった。うまい魚料理を出す飲み屋を知っている方と、飲みに行く相手募集中。
「トリック中押しPR」明日朝10:30より。とりあえず録画しておこう。
しかし、今、中押しということはやはり1クールなんだよなあ。第8、第9話で父親の死の真相に少し触れたとして、10、11話が普通の話で、12、13話で真相……、尺が足りん。ここは、やはり第2シーズンもやるしか。
録画用のテープを空けるため、ずっと見るのを忘れていた「六番目の小夜子」最終話を見る。……ごめん、俺が悪かった。もう、幸運にも踏まなくて済んだ地雷に触るのは止めるから、許してくれ。まさか、こんなに陳腐な話にされていたとは……。「小夜子」を友情の話でまとめるかぁ?