過去の雑記 02年 3月

雑記のトップへ

前回へ
3月11日
つい買い込んでしまった『人形の国のアリス』のフィギュアを整理する。大量の資本投入の結果、やっとのことで残り三つ(ハートの王、赤の王、ドードー)までこぎつけた。しかし、その影には喇叭を吹くウサギ9羽を筆頭に、魚の召使6尾、指輪を受け取るアリス5人など30弱もの重複が。ああ、このウサギをどうしたもんか。

3月12日
朝倉喬司『毒婦の誕生』(洋泉社 新書y)読了。明治初期に突発的に発生し、消えていった「毒婦」という概念について、その社会的意義を追う。個々の毒婦の姿を冷静に追っている部分はそれなりだが、時に自分の文章に酔ってしまうのが鼻につく。特にラストの処理に失敗しているのがなんとも。変な妄想に籠もらなくても、普通にノンフィクションの文章でまとめればいいのに。

3月13日
ミステリ・アンソロジーII『殺人鬼の放課後』(スニーカー・ミステリ倶楽部)読了。ミステリなのは恩田陸だけのように見えるは気のせいか。恩田陸の学園ミステリは見事なまでに少女漫画。読んでいる間ずっと80年代前半花とゆめ風の絵柄が浮かんでいたよ。ミステリかどうかはともかくすばらしかったのが乙一。実に嫌な話を爽やかに描いている。天才と呼ばれる意味がよくわかった。

3月14日
ふとしたことに触発されてCygwin上のPerlで遊ぶ。わかっていたことではあるが、SJISの処理には微妙に無理があるらしい。うーむ。Ruby導入で対応するか、jcode.pmを駆使するか。面倒だからjperl入れるかな。

古橋秀之『サムライ・レンズマン』(徳間デュアル文庫)読了。非常に良くできたスペースオペラ。キャラ、ガジェット、原典への寄り添い方、ユーモア、奇矯さ。思いつく限りの要素が適切。秀作とよぶ他はない。

3月15日
なんとなく、ラッカー『ソフトウェア』を再読開始。例によって物語の断片すら覚えてないというのは笑うしかない。ラッカーの他の長篇だと1行要約くらいはできるのに<ウェア>シリーズだと、それもできないというのはなぜなのか。しかも、それでいて面白かったという印象だけは残っているのだからまったくもって謎。ひょっとしたら、誰かに記憶を消されているのかも。

仕事をしたり、本を読んだり、偽Wizを進めたり、DVDを観たりと、やりたいことは多々あったが、死ぬほど眠かったのでとっとと寝る。ぐう。

3月16日
やらか堂繁盛記から、 ガトリング輪ゴム銃。しまったむちゃくちゃ欲しい。

昼過ぎに藤澤さん(7)と落ち合い、神保町のくだん書房へ。少女漫画に強いと聞き期待していたのだが、これが想像以上の大当たり。ここ5年ほど探していた夢路行の品切れ・絶版本が一そろい。行く前は3割あるかどうかだったのが、いきなり商業出版分コンプリートになってしまった。実にまったくもって心の底からめでたい。いや、ほんと、訪ねてみて正解だった。

しばらく神保町を見物したあと中野ブロードウェイへ。こちらは2週間ほど前に訪れたばかりなのでさほどの収獲はなし。タコシェで『シュヴァンクマイエルの不思議な世界』を買うだけにとどめる。シュワンクマイエルはあと2枚か。

2ch屋に案内したあたりで時間となったので新宿へ。堀川(12)たちと合流し、堀川送別会と称して大久保の韓国家庭料理屋まで犬を食いに行く。食べたのは香辛料のきいたスープで韮と犬肉を煮た鍋料理。思ったとおり程度に臭みが強く、積極的に二度食べたいという味ではなかった。ただ「これを美味いという奴は信じられない」という味でもなかったので、常食にする文化があるのも理解できる。納豆を食べる輩の存在よりは納得がいくか。ちなみに味の全体的印象は臭みの強いマトンといったところ。羊頭狗肉が成立したのはこのためか。

その後、カラオケに向かう人々と別れ、高田馬場の例会へ。僕が参加した時点での例会参加者は、SF人妻、小浜徹也、志村弘之、添野知生、高橋良平、林、三村美衣、宮崎恵彦、柳下毅一郎、山本和人。記憶に残っている話題は、瀬名秀明論、セミナーの企画、明和電気のできるまで、新しい趣味を持つ、など(今回、再現率がとんでもなく悪い)。殊能将之と中村融のブリッシュ&ウルフ・パネルというのは心の底から聞いてみたいのだが、いかんせん実現しないのであった。
# 実現しないどころか企画にものぼってないって。

3月17日
どうしても起き上がるだけの気力が発生しなかったので概ね寝て過ごす。

そうはいっても腹は減るので何度か起きだして食事に。しかし、あまりに気力が無いので、昼)ロースカツバーガー、夕)ナポリタン、夜)カップヌードル+チーズケーキとおよそ健康というものに縁の無い食生活と成り果てた。ここまで不健康に3食ちゃんと摂ったのは久しぶりかも。

あ、また胃薬飲むのを忘れた。

3月18日
再読の『ソフトウェア』を読了。見事にきれいさっぱり忘れていたのには爽快感すら覚える。しかも恐ろしいことに、すでに物語を忘れかけているという。それほど複雑な話でもないのにここまで記憶に残らないというのは、実はラッカーと相性が悪いのか。読んでいる間は楽しかったのでなんら問題は無いのだが。

近所の書店でアンソロジーを中心にまとめ買い。<謎のギャラリー>を4冊まとめて買ってしまったのはさすがに無謀な気もする。竹本泉のまんがが載っていると聞きつい買ってしまったファンタジアバトルロイヤルはドラゴンマガジンの増刊。DMを買うのは創刊3年目以来だから10年ぶりくらいか。掲載作家も知らない名ばかりで浦島太郎な気分……かと思ったらわりと知っているな。とりあえず竹本泉は読み終えたが他を(特に小説を)読むかどうかは未定。既存シリーズを先に読む必要があるかどうかが良くわからないのがネックで。勉強してから考えよう。
竹本泉は竹本泉だった。働く少女シリーズを読むのは久しぶりであるなあ。

3月19日
今日も今日とて書店で散財。つい油断して見つけてしまったので、『「中つ国」歴史地図』を購入。ついでに「毒を食らわばそれまで(c)那須雪絵」とばかりに『指輪物語 追補編』も購入。これでやっと「第三期の諸言語と諸種族」が読めるよ。

SFマガジン4月号をやっと読了。締切が無いと思うと気が緩んでいけない。今回一番面白かったのは「デッド・フューチャーReMix」。腕木信号システムに挑むクラッカーという図は実にかっこいい。ふじ特集のほうは、多分想定読者じゃないんで評価不能。昨年末、日本独自の有人宇宙船構想を読んだときほどの感慨は得られなかった。小説関係はまた後ほど。総体としては中の中くらいという感想。

3月20日
WizardryとBusinと指輪が混ざったような夢から醒め、取った電話から聞こえてきたのは訃報だった。

2002年3月18日にR. A. ラファティが亡くなったとのこと。享年87。

新作が望めなくなったことではなく、ただその存在がなくなったこと、それ自体が残念でならない。願わくば、彼の死後の生が明るく楽しく喧騒に満ちた草の日々ならんことを。

偉大なる悪魔にして、レックの長たる語り部に。
歩道を駆け抜け、街を紅く染めましょう
悪魔は死んだ、今日は悪魔の命日


次回へ

このページのトップへ