過去の雑記 02年 9月

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9月11日
つぎつぎとあがる発見の報をまとめたいという思いはあるものの、気合が足りないので、小ネタでお茶を濁すことに。

運悪くFOXでMADtvを観てしまったのだが、珍しく気にいったスケッチがあった。サバンナを探検するオーストラリア人夫婦が毎回、野生生物に惨殺される「Aussie Hunter」というクレイ(?)アニメ。どっからどうみても「Celebrity Deathmatch」なんだけど、クレジットを見落としたため作者Eric Fogelとの関係はわからなかった。Fogelのアニメだと思うんだが。なお、「Aussie Hunter」の中身は、Animal Planetの「Crocodile Hunter」という番組のパロディのようだ。って言われても元ネタ知らないしなあ。

9月12日
ちょいと本気で忙しいです。すべてについて週明けまでにはなんとか。多分。

夕方過ぎから稲光が閃きつづける。職場一帯がお手軽に幻想的な雰囲気。雨が降らず、雷鳴も遠いなら、雷も悪くない。……だから、雨が降らずだってば。 > 雨雲

新美"にみにみ"清司さんの9月12日付日記で、山梨県中巨摩郡の西部六町村が合併し「南アルプス市」になる(毎日新聞の記事)ことを知る。南アルプス市……。あきる野市とか、西東京市とか、さいたま市とか世の中には恥かしい名前の市があるなあと思っていたが、ここまで恥かしいものが出てくるとは。新美さんには失礼ながら日記の記述を見ただけでは信じられなくて、思わずマスコミサイトの記事を探してしまったよ。

峡西市、こま野市との三択で峡西市が0というのも信じられない。漢字で巨摩野でなければ峡西だろう、ふつう。住むのなら偉いさんがまともな言語感覚を持つ市に住みたいと思ったことである。

あ、南ア市の場合は住民の票からして南ア支持なのか。そうまでして名前を売らねばならぬのか。他に方法はなかったのか。色々と悲しいから考えるのはやめよう。

細井日記より、ameqlandが9月末で閉鎖の悲報が。

9月13日
偶然『勇者ライディーン』第22話「乱撃!魔鳥コンドルンの爪」を観る。すごい。全篇これ、たるいロボット格闘。ドラマも何もあったものじゃない。それでいて戦闘の緊張感すらないというのだからなにをかいわんや。戦闘ロボットアニメの悪いところだけを抽出したような怪作。

しかしだ。おぼろな記憶によれば「ライディーン」は好きだったはず。さすがにこの回が例外なのだろうと思ったら、つづく23話で愕然と。こちらは戦闘にメリハリがあり、面白さという点では22話と雲泥の差があるのだが、戦闘以外のシーンがほとんど無いという構成は同じ。そら、毎回2体の化石獣と闘ってちゃ他のシーンを入れる余地も無いだろう。潔いにも程があるというか。これ、演出によほど力がないと番組として成り立たないのでは。よく50回も持ったなあ。

9月14日
締切りに怯えつつ恐竜博を見にいって、あまつさえ、のむのむさん邸に泊まって来た。ごめんなさい、慣れない残業続きでストレスが溜まってたんです。もうしません。許してください。
#前にもそんなことを書いたような記憶が。

恐竜博は噂以上のすばらしさ。物自体の迫力もさることながら、なにより構成の妙がすばらしい。メリハリの利いた演出とはこういうものを言うのだろう。

全体を支配したのは文句なしにセイスモサウルス。圧倒的な巨体には夢に出そうなほどの存在感がある。10mクラスの恐竜は「でかいといっても常識の範囲だね」と余裕を持って見られるが、30mを超えるとさすがに現実とは思えないという。首を見上げて数分間佇んでしまいましたよ。

展示で一番気にいったのは鳥もどきことカウディプテリクス。現実とは思えない胡散臭いフォルムが絶品。

のむのむさん邸では、家主による80年代ロリコン文化および宮崎アニメが世に出るまでの歴史に関する名講釈を聞いた後、マッドテープにまつわる思い出と神林長平談義を延々と。NEWマッドテープの内容をそこまで暗記している人がいるとは思わなかったよ。

神林談義の途中からはエピグラムかるたなどはじめたり。いや、意外と覚えてないものですね。

9月15日
昼過ぎに帰ってきてばりばり原稿を書くはずが、どうにも進まず。

帰りがけに渋谷のBook 1stに寄る。海外文芸周辺の棚がさらに好みになっていた。クレイス既刊が三作とも平積みとか。偉すぎ。

その棚のセンスに敬意を表し、サラマーゴ『あらゆる名前』、ゴーリー『敬虔な幼子』『エドワード・ゴーリーの世界』、筒井康隆『日本以外全部沈没 自選短篇集3 パロディ篇』などを購入。さらにコミック売り場の朝日ソノラマ特集という豪気な特集にも敬意を表し、TONO『博士の魚たち』(朝日ソノラマ)、森薫『エマ』1巻(これはエンターブレイン)などを購入。

TONO『ナバナバ パラダイス 博士の魚たち』(朝日ソノラマ・眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)。かわいめの絵柄にまれにブラックなネタの短篇集。もう一冊読んでみようとは思った。

森薫『エマ』1巻(エンターブレイン・ビームコミックス)。ヴィクトリア朝イギリスのメイドと若旦那もの。メイドはともかくヴィクトリア朝イギリスが良いです。

9月16日
有里日記で、ameqlandが規模縮小はあっても別URLで存続する予定であることを知る。ほっとした。一時はたかはしジョさんとか、細井さんを焚きつけてミラーリストを維持するシステムを構築してもらわなきゃと思ったよ。 < そこで人を頼るな

個人サイトしかまともなリストが無いのが問題なのだよな。Locusリストのようにそれなりの規模の組織のリストがあれば、個人の負担だけに頼るような状況は回避できるのに。90年までならSF資料研究会のリストがあるけど、あくまで90年までだし。国内のSF全体を書誌情報として記録できるような団体は……、ないのか。ないなら作るべきなのか。でも、そんなエネルギーは無いしなあ。 < 結局、他人任せかい

縁あって、ファミリー劇場で「アキハバラ電脳組」を観る。人知を超える凄まじい作画にのけぞりながら、もしやと思い調べてみたら伝説の回「新生」だった。リテイク済みのDVD版があるのなら、そちらを放送すればいいのに。どんな大人の事情があるのだろう。

9月17日
昨日来の風邪気味が風邪にランクアップしたのでとっとと帰宅。鼻風邪から咽の炎症を介して発熱に至る状態変化は、しばらく前に体験したものと同じ。前回の轍を踏むわけには行かないので、ドリンク剤と鼻炎薬で早めの対策を取って、寝る。

睡眠不足だから大丈夫かと思ったのに、咽の痛みにのたうちまわりながらだと意外と眠れないものだな。

9月18日
やや復調。

倉知淳『猫丸先輩の推測』(講談社ノベルス)。辛い読書が続いたんで、一時の平安を求める心が唐沢なをきの表紙に負けて買ってしまった。飄々とした才人、猫丸先輩がさまざまに推測をめぐらす作品集。猫丸先輩のキャラがいい感じ。サンタクロースの集会にはちょっとやられました。そうか、そういうネタもありか。とりあえず『日曜の夜は出たくない』(創元推理文庫)も買ってみた。

ゆうきまさみ『パンゲアの娘 KUNIE』5巻(少年サンデーコミックス)。打ち切りにつき夢オチ。もったいなくて涙が出てくるよ。あんなに良さそうだったのに。良さそうだったのに。

加藤元浩『ロケットマン』3巻(講談社KCGM)。盛り上がってます。素直に次の展開が楽しみ。

9月19日
野村(YB)、盛田(Bu)が引退。がーん。また横浜大洋を知る選手が去ってしまった。野村は代打の切り札として残ってくれないものか。< 色々といろんな相手に失礼だろう

お奨めアニメ判定が復活したんで、SF日記まわりの人の結果リストを作ってみた。別に意味は無い。

翻訳作品集成の移転先。AMEQさんのリストにはいつもさんざんお世話になっているので、残していただけるのは本当にありがたい。ありがとうございます。> AMEQさん

本格ミステリファン度調査の話題は楽しそうなのだが、僕はざっと10いくつなので話題に混ざれない。くやしい。そこで、翻訳SFファン度調査を作ることを考えてみた。「ミステリ」のリストは『本格ミステリ・クロニクル300』(探偵小説研究会・編)が出典である。この原典に当ってない(書店に寄れてないのだ)ので嘘かもしれないが、「綾辻以後の新本格ミステリ15年の歴史」から選ばれたリストらしい。では、翻訳SF版はどうすべきか。

「今の読者が今を追えているか」を見るため、タイムスパンとしては同程度にしたい。「海外SFファンなら『ラルフ124C41+』を読んでいるはず」なんていう教条主義の確認はいまさらだし。では、20〜10年前の翻訳SFで適切なイベントは何かあるだろうか。それも「綾辻登場」に匹敵するジャンル全体にインパクトを与えたイベントが。

で、つらつらと考えてみると良いものがあった。「サンリオ撤退」。これだ。いわゆる「SF冬の時代」(そんなものがあったか/あるかについての議論はしない。「いわゆる」だから)から現在までの翻訳SF受難の時代、脱落せずに過ごせたかを問うアンケート。本格云々に比べるとあまりにも後ろ向きだがまあいい。15年というスパンが欲しいだけなんだし。

次はどうリストを作るか。ベースはSFMの年度回顧集計だろう。2000年版「このエス」に92年以降のベスト10があるから、01,02年の「このエス」結果とあわせて100作。これをベースに過去分を追加して150作、抜けを多少追加して170〜180作とするあたりが妥当か。300には到底届かないが、ミステリとの出版点数比を考えれば多すぎるくらいかもしれない。そんなわけで翻訳SFファン度調査を……、だれか作らない?
#とりあえずリストだけは週末に作るかも。

ちなみに。なぜ翻訳SFなのかというと。ヤングアダルトレーベルも含めたリストを作る自信がまったくないからなのだった。SFM年度回顧は(特に90年代は)その辺かなり弱いし。

9月20日
SFマガジンを読む。添野知生の「DVD&VIDEO DATA FILE」製作ニュース欄に「おたく肌の職人監督、というあまり前例のない(語義矛盾とすらいえそうな)存在」という表現があった。読んだ瞬間は「おたくと職人が語義矛盾?」と疑問に思ったが、しばし思考した後納得。おそらくここで言う「職人」は、細部に拘泥し、気にいらないと完成品をぶち壊すような気難しい職人ではなく、与えられた仕事を、与えられた予算と期間で完璧にこなすプロフェッショナルという意味での職人なのだろう。それは確かにおたくには不向きかも。

帰宅途中の古本屋でとり・みき『裏とり』(CBSソニー)を見つけたので購入。あまりといえばあまりにも80年代なんでさすがに恥かしくなった。あー、「P」が読めただけでも良しとしよう。

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