- 11月21日
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帰宅後、酒のあてにソーセージでも食おうと冷蔵庫から取り出すと賞味期限を一月過ぎていた。2、3日なら気にしないという手もあるがさすがに一月はきつい。あわてて他の肴をさがすが案の定。一緒に入っていたベーコンも一月前のものだった。醤油やだし汁のような調味料ならともかく、食い物の賞味期限切れは初めての失敗。屈辱である。
やっとSFM12月号を読了。感想は後日ということにして、SFM読者賞を考える。例によって投票はしませんが。
海外部門はやや低調。特集の関係で海外作品が載らないことも多く、質はともかく量の面で不満の残る一年だった……、と書こうとして半数6号の特集が海外主体であることに気づいた。年度末に国内特集が続いたため印象の書き換えがおこったか。個人的に評価の高い作品はラングフォード「異型の闇」(1)、チャン「七十二文字」(3)、ケーガン「数理飛行士」(7)、ラファティ「ファニーフィンガーズ」(他:笑)(8)、ビーグル「ゴッテスマン教授とインドサイ」(12)、フォード「ファンタジイ作家のアシスタント」(12)、スワンウィック「クロウ」(12)あたり。中ではオカルトに基づく世界観を緊密に作り上げた「七十二文字」が一つ抜けている感がある。イメージの卓越を武器に匹敵する魅力を誇る「数理飛行士」もあるが再訳というあたりでややマイナス。そんなわけでもし投票するならラファティ「ファニーフィンガーズ」(8)に一票。……なにか?
国内部門はほぼJコレクション一色。もともとJコレのラインナップが近年のSFM常連なのだから当然であるわけだが。面白かったのは石黒「希望ホヤ」(3)、秋山「おれはミサイル」(2・5)、野尻「素数の呼び声」(6)、半村「赤い酒場を訪れたまえ」(6)、飛「蜘蛛の王」(11)あたり。トップはダントツで半村なのだがさすがにこれを挙げるのは気が引ける。飛に未練を残しながら石黒「希望ホヤ」というところかな。
イラストで目立ったのは、ラファティという作家を見事に表現した横山えいじの8月号表紙、シュールさが魅力の山本ゆり子の11月号表紙、藤原ヨウコウの連載、増田幹生の扉画。中でベストを選ぶなら藤原ヨウコウの毎回の工夫に最大限の賛辞を送った上で、あえて増田幹生。この色っぽさがたまりません。
というわけで仮想投票は、海外:ラファティ「ファニーフィンガーズ」(8)、国内:石黒「希望ホヤ」(3)、イラスト:増田幹生。なんか非常に当たり前の選択になってしまった。
ついでに予想も。海外はチャン、ケイガン、シェパード(1)のどれかと予想する。ラファティはどう考えても票が割れるので上位には絡めないだろう。中ではやはりチャン「七十二文字」(3)がトップに立つのではなかろうか。それが一番健全な展開だし。
国内は難しい。最終的にはS派の野尻とF派の飛の対決になると思うのだが。直接対決になれば後に発表されたため記憶に新しいという点が利いて飛「蜘蛛の王」(11)になりそうな気がする。いや、なんとなく。チャレンジングなテーマから高野「S.P.Q.R.」という線も無くはないが。無くは無いくらいかな。
イラストはさっぱり。けっきょく藤原・増田の一騎打ちだと思うのだが。最終的には苦労が偲ばれる藤原ヨウコウに軍配が上がるかな。
と、まあ今年はそんな感じで。なお、今年一番面白かった号は小説中心の今までの話題ではまったく登場しなかった架空アンソロジー特集の5月号。こういう企画先行型の号の評価は難しいやね。アンケートでもとってみようか。
- 11月22日
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てなわけでSFM12月号読了。
- ビーグル「ゴッテスマン教授とインドサイ」
- 浮世離れした哲学教授の下に訪れた喋るインドサイ。ユニコーンもので名高い作者がもうひとつのユニコーンをモチーフに書いた心優しき都市寓話。甘い話ではある。甘い話だから良いのだ。
- ヨーレン「七天使のいる家」
- 天使のお話。きれいだけどさあ。
- フォード「ファンタジイ作家のアシスタント」
- 長大なファンタジーシリーズを書き飛ばす作家のところにアシスタントに来た少女。軽く皮肉の利いた良い短篇。少女のキャラクターの勝利。
- ジョイス「部分食」
- エイリアンとの別離によって夢を失った人類。SFにしか見えないけどまあ、そこはそれ。人類の感じている絶望感が読みどころなのだと思うが、いまひとつ印象に残らない。そこそこ。
- スワンウィック「クロウ」
- 愛する女のために支配者に立ち向かうトリックスター。少しかっこよさが新しいゼラズニイ。それなり。
- ウィリアムズ&ブラウン「アガメムノンの仮面舞踏会」
- 謎の宇宙艦隊に乗る謎の古代ギリシャの英雄たち。どうしてこんな話にしようと思ったのか。変な話ではある。もうひとつフックがあれば。落ちは有名な作品からの引用なのだが訳者注ではそれが見えない。
- 草上 仁・藤原ヨウコウ「挽祷」
- だめだろう、この落ちじゃ。
- 神林長平「膚(はだえ)の下」(第20回)
- 基地へ向かう。向かった。
- 谷 甲州「パンドラ」(第23回)
- とうとつに敵の正体が。盛り上がったのは確か。
今号で読むべき記事は中野善夫の特集解説。溢れる決意表明には期待大。
- 11月23日
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朝から下北沢に出かけてトリウッドでカナダアニメ、と画策していたのだが寝ぼけていて果たせず。昼過ぎに池袋で大熊君、小菅君、蔭山さん、田中さんと「TRICK 劇場版」を観る。すぐちかくで「めがね君とゆかいな仲間達2」をやっているというのに、会場は大入り満員。きっと騙されているのだと思うが、誰が何のために誰を騙しているのかは最後までわからなかった。
映画の方は見事に「TRICK」。新年の2時間枠テレビスペシャルだと言われてもきっと納得しただろう。できもしないことに挑戦せず、無難にまとめて(まとめて?)いることは評価できる。ふだんよりロマンス過剰な点と泣かせが多めな点は気になったが、邦画なのだからしかたがないか。作品としてはとりあえず生瀬。ズラネタだけで場面を引き締めていた。個人的な注目点はもちろん山田というか仲間由紀恵なわけだが、これはあと一歩。「えへへ」としまりなく笑うシーンが無いのは大きなマイナスである。スタッフには猛省を促したい。
夕飯のついでに少し飲み、さてもう一軒というところで急に酔いが回ってしまい潰れる。一応、ずっと白髪を抜かれ続けていたことくらいは認識できるのだが、いかんせん身動きがままならない。けっきょく、またもみなさんを巻き込み夜中までつき合わせることになってしまった。毎度毎度反省が無いことで本当に申し訳ない&ありがとうございました。 > いつものみなさん
そんなわけでファミレスで時間を潰した後、「マイノリティ・リポート」の先々行オールナイト。前半は完全に寝ていたためわからないが、後半の追跡シーンからはアクションも謎解きもテンポ良く進み大変心地よく観ることができた。未来のガジェットも(強襲艇を除き)陳腐に堕さない節度あるかっこよさを保っており、大変好印象。観るべき作品と思う。特に、プレコグが予測した犯人を伝える装置のアナクロニズム溢れるデザインは必見。これは確かにディックな感じだ。
- 11月24日
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昼前、電話の音で目が覚めたが受話器を取った途端に切れてしまった。自分は一体どんな陰謀に巻き込まれつつあるのか。
陰謀はともかく既にして寝すぎたと言う事実はいかんともし難い。今日こそトリウッドまでカナダアニメを観にいこうと心に誓っていたのだが、起き上がると既に2時過ぎだったと言う事実に直面して、気力が萎えてしまい果たせず。ついにカナダアニメとの邂逅は幻と化したのだった。まあ、チェコアニメは観たからいいや。なお、昼前に目が覚めたのに起き上がると2時過ぎだったという時刻のずれの中に、陰謀の真相が隠されているのだが、そのあたりの詳細については来春発売の下巻を待っていただきたい。
夕方まで心底だらだらとすごすうちに急にかたづけ欲がわいてきたので、買ったっきりになっていた本棚を組み立て、段ボールをかたし、古スポーツ紙だのエロ雑誌だのを整理してゴミ棄ての準備を整える。つごう3時間ほど動いただけというのにここまで疲れ切るとは。内臓が壊れてるんじゃないかと思わなくも無い。
それ以前にカップラーメンとメンチカツとおにぎりという晩飯のあり方が間違っているように思わなくも無い。
いや、先輩の助言に従いビタミンCサプリくらいはかじってるんで大丈夫なはずだ。いや。
借りたまま忘れていたTRICK 2のビデオを観る。第1話「六墓村」篇。あー、映画より面白いように思うが気のせいか。
- 11月25日
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あまりに眠いんで午後9時過ぎに就寝。翌日8時まで概ね寝てました。こんなに寝たのは久しぶり。
自慰と性交と萌え、それぞれの妄想の違いについてとか、恋愛の必要性についてとか(u-kiさんの11/20-25)微妙に絡んでみたい話題もあるが眠かったのでまた後日。キャラ的には向いてないから止めるかも。
とりあえず、レズ性交だろうが、マスターベーションだろうが女性のよがっているシーンがあるなら自己の投影などかけらもせずとも実用にできます、っつーかその方が好きなんですが、これはさらに特殊でしょうか。
- 11月26日
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今日最大のニュースと言えばこれでしょう。細見・石井義(YB)と中嶋・富岡(L)のトレード決定。ただでさえ手薄な内野陣がまた減るのかと思うとやや辛いが、守備の出来ない内野は余っていると言う見方もあるので良しとしよう。捕手の人材難はそれ以上に深刻なのだ。今年1年をファームで過ごした中嶋がどこまでつかえるかは疑問だが、少なくとも武志よりは期待が持てる。この期待だけで来期を繋いで、ぜひともその間に誰か一人は成長を、……してくれないかなあ、やはり。
滅・こおるさんのもうおなかいっぱい。SFも事情は同じ。「SFはSFの上に作られる」という言葉もあるくらいで。引用先で書かれている様子に比べると「知ってて当然」色はやや薄いけど、それでも厳然として空気はある。ただ、これは他のジャンルも同じ事かも。漫画や映画の本歌取りなんて小説の比ではないし。ジャンルフィクションの特殊事情と、現代のフィクションの宿命とどちらの要素が強いかは謎。でも、それはそれとして「もうおなかいっぱい」という気分はわかる。
でも、それはやはり贅沢なのだよ。と海外SFファンは言った。
いつのまにかワイシャツの裾に血痕がついていた。きっと一昨日の陰謀と関係のがあるに違いない。謎は謎を孕み嵐となって吹き荒れる。風雲急を告げる物語はどこにたどり着くというのか。次回の展開を乞うご期待。< 乞うな
- 11月27日
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先日来の腰の痛みがどうにか治まったかと思ったら、こんどはちょいと上の背中のあたりが痛み出した。日常生活に支障が出るほどではないものの、不快でしかたがない。マッサージなり整体なりに行きオーバーホールすべきなのだとは思うが、ゲームに費やす暇はあっても健康管理に費やすような無駄な時間はないというのが正直なところで。まあ、どうにか折り合いもついていくだろう。たぶん、きっと。
などと自分を説得しつつ帰宅してみると留守電が。実家か保険屋だろうとあたりをつけて再生してみると、謎のビープ音がなるばかり。陰謀の魔の手がこんなところにまで!じわじわと包囲を狭めてくる陰謀の罠から無事抜け出ることは出来るのだろうか。
陰謀シリーズも飽きてきたな。
先日、本棚を増設した際、まんがをすべてユニットバス脇にまとめてみた。おかげで風呂が長引いてしかたがない。つい一冊手にとって読み終わるまで浸かってしまうのだよなあ。熱湯5分だったのが、見事にぬるま湯40分にかわってしまった。これでは健康になってしまいそうである。
風呂上りに先輩とチャット。大学の先輩と夜中まで話し込んでいると、今が、10年前、学生の頃であるような錯覚を覚える。あの怠惰な日々は間違いなく至高の日々だった。たとえ何も成すことの無い日々だったとしても。
そして、それもまた平凡な日常。
- 11月28日
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絵付き小説を指す語としてのヤングアダルトの起源調査はあれ以来進んでません。 > 有里さん
古い「現代用語の基礎知識」をチェックするという線がまだあるのだけど手付かず。三村美衣さん、尾之上俊彦さんといったジャンルSF方面でこの語を使用していた方にも聞いてみたけど87年というのは古すぎるらしい。じゃあ、どこで誰が呼び始めたのか。手がかりはこんなところ。誰か、調査を引き継ぎません?
ふと「HR」を見損ねていたことに気づいた。古田新太が出ると聞いて楽しみにしていたのに。どうも地上波は放送を忘れてしまっていけない。まちがいなく好みだと思う「トリビアの泉」も一度も観てないし。ビデオか。ビデオしかないのか。
などと考えていたら運良く思い出したので「灰羽連盟」を観る。設定もいままでのストーリーもよくわからないが、たいへん良い雰囲気だった。DVDを買ってしまうかもしれない。
この間20時間。
縁あって「ポールのミラクル大作戦」を観る。懐かしすぎる。好きだったんだよ、これ。3歳の頃。……(観てる)……(観てる)……。何が面白かったんだっけ?さすがに懐古の眼鏡無しに観るのは辛い。
また留守電にホゲー音が。間違いFAXならFAXの方で受信するだろうし、なんの音なのだろう。
- 11月29日
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とある訃報。
取りようによっては非常に不謹慎な表現になっていることは承知の上で。「良い」訃報だと思う。
今は「マイボーイCHRYSLER」を聴いている。繰り返し。
今日は留守電のホゲー音が無かった。無いとなると寂しいものである。……寂しいか?
- 11月30日
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夕方から飲み会。恋愛とか性的幻想とか腐女子の魂を持つ男とかの話をしていたような気がするが、すでに覚えてはいない。『恋人たち』を“使う”ことはなんとか可能だが、さすがに『神々自身』を“使う”自信はない、ってな話はしたかなあ。
喫茶店で食に関する基本知識の重要性について確認した後、のむのむさんのお宅にお邪魔して「天使な小生意気」を見ながらもう少し談笑。とっとと寝てしまったのでのむのむさんの名人芸の講釈は聞き損ねた。