過去の雑記 03年 4月

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4月23日
多分、この辺。犬上すくね『未来の恋人たち【改訂版】』(大都社コミックス)。初期短篇集の再刊。元版も読んでるんで、手元に置くための買い直しという感じ。習作だねという話も多く、近作の「巧さ」を期待すると違うかも。99年以降の作品とそれ以前で一段完成度が違うので、その辺を見るのは楽しい。もちろん、全体の1/3は読んだ甲斐のあるレベルなので、歪んだ読み方をせずとも楽しめる。表題作も良いけど、個人的にツボなのは「Telephone Girl」。電話だな、電話。かかってこないけど。

4月24日
読んだのはこの辺だったような、雷句誠『金色のガッシュ!!』10巻(少年サンデーコミックス)。キャンチョメだ♪キャンチョメだ♪キャンチョメとフォルゴレのコンビがいかにすばらしいかを堪能する巻。正直いって、ガッシュだの清麿だのはかなりどうでもいい。いや、彼らも悪くはないけどな。あ、ウマゴンは著しくどうでもいい。

4月25日
会社の近所の書店にあったんで、つい買ってしまいました。長谷川裕一『機動戦士Xガンダム外伝』(角川コミックス・エース)。Xガンは元テレビシリーズを観てないので、どうでもいいとして。やはり「逆襲のギガンテス」ですね。イデオンVSガンダム。ちゃんと世界観のすりあわせもしているあたり、さすが。題材が題材だけに富野節が炸裂しているのにちゃんと前に向くのも長谷川裕一ならではか。残留思念たちが力を貸そうとするのに、それを拒否し「死んだ者は何もしないっ…/何もできないっ」と言い切るジュドーがΖのすべてを否定するようで素敵。

4月26日
SRWα2の合間に竹本泉『トランジスタにヴィーナス』5巻(MFコミックス)。若き日のエイプリル・イーナス篇。ああ、いまのイーナスより圧倒的にかわいいんですが、どうしたもんだか。火星人に育てられたため、火星人のように世界を認識するアタクイ導師が良いです。「風見の触手ってどれですか?」「右の2番目の手/魚取りの触手の左どなり・」

4月27日
「金色のガッシュ・ベル!!」を観る。見事に原作そのままなので感心。構図からしてそのままだよ。途中から、まんがを片手に比較しながら観てしまった。徹頭徹尾そのまま作ってアニメとして成立しているのは原作の力が大きいのだろう。序盤の2〜3話で1エピソードというテンポは、そのままアニメにしてくださいと言わんばかりだし。キャンチョメ篇までは、台詞回しもほぼ踏襲してまんまアニメ化できそうだ。

物好きな人と連れ立って「二つの塔」吹き替え版を鑑賞。やっと、念願の2度目を観ることができました。状況による鎧の種類の違いやレゴラスの豪快なアクションなどを堪能。いいなあ。よはり、いいよ。ストーリーを気にしはじめると微妙にアレだけど、細部は本当に良い。そのうち、また来よう。早くDVDも出ないかな。

映画を見終わった後、人を呼びだして軽く飲む。フットワークの軽い人というのは、ほんとうに軽いものであることだ。

4月28日
日がな一日、SRWα2。これほど、「人生は死ぬまでの暇潰し」という言葉を実感できる時の使い方もない。どうせ、世界は悪くなっていくばかりだし、ましてや自分の未来に良いことなど二度とありえないのだから、漫然と時が過ぎていくというのなら、それは素晴らしいことだ。そうやって、ただ無為に時を過ごし、為すことなく死ねるというならそれも重畳。手に入らぬ幸せを羨み身を焦がすよりは、何も求めず何も為しえず想いを殺してただあるほうが望ましい。ただ在るように。在るだけでいるように。

4月29日
などと突然ポエミーにならずとも、所詮やることは同じなのだ。というわけで、一日中、SRWα2。起きている時間のほぼすべてを投入しているだけあって、仕事がある日よりは進みが速い。ついに異星人勢力との最終決戦。Web上で流れていた情報から分岐によるシナリオの矛盾が発生するかと疑っていたが、どうやらそんなことはない様子。めでたい。てなわけで小バームをオルバン大元帥の魔手から解放すべく努力する。うわっ、リヒテル使えねえ。

アニソンと爆発音の連続に疲れたときは、鈴木志保、待望の新刊『ちびっき』(マガジンハウス)をゆったりと眺める。絵日記Webサイトちびっきの内容を書籍向けに再編集したもの。十円玉2枚サイズの不思議な幼児、「ちび」の、時に(外から見ると)思索的な日常。『船を建てる』のコーヒーたちがそうであったように、この、ちび達もまた無邪気で、微笑ましく、哀しい。
人は、/カトちゃんの言うとおりにすれば/しあわせになれるんでちゅよ。
歯、みがいたり/おフロはいったり/宿題やったり/そういうこと、ちゃんとするんでちゅ。(カトチャンスポゥクン)
元がWebコンテンツ用に描かれた物だけに、書籍の形式に合っているかというと疑問はあるが、『船を建てる』にあったペーソスは確かに感じられる。あの過剰な、心地よい感傷を懐かしく思う人は是非。

ところで。これが出た事は、マガジンハウスの方からのメールで知ったのだった。田中の所にも来たという話なので、Web上で鈴木志保または『船を建てる』に言及したサイトの管理者をチェックしてメールを出しているものと考えられる。なんと、まめな営業だろうと感心するとともに、それが可能な程度しか言及サイトがないのかと嘆息する今日この頃。良いんですよ、鈴木志保。

4月30日
今日も今日とてSRWα2。クロスボーン・ガンダムシナリオの最終回。良い分岐だったようで、1面まるまるクロスボーン。キンケドゥの、トビアの燃えるセリフの数々を堪能できた。山口勝平ってのは微妙だけどもな。

まんがの名シーンをこの手のゲームで再現するというのはやはり無理があり、カラス先生のノーティラスのヒットポイントをだらだらと削ったりするうちに、せっかくのセリフが間延びしてしまうなどということが頻発。正直、もう少しスピーディーにならんもんかと思ったが、これは仕方のないところか。ゲームシステム的に「強い敵」というのは、「ヒットポイントの多い敵」になってしまうのだよなあ。「破壊力が大きい」なら「ひらめき」を、「当たりにくい」なら「必中」をかければ済むことだし。会話イベントを入れるタイミングや、増援発生など、システムの限界の中では、よく再現されていたほうではないかと。それにしても、燃える。Ζ以降のナイーヴなガンダムを全否定するような燃え方はさすが長谷川裕一という他あるまい。

ああ、しかし。カラス先生が単独スタックというのは納得いかんな。配下のニュータイプ部隊を同一スタックに持つべきだろう。先生の「敗者のぶんざいで/勝者のゆくてをはばむでないわーっ」って好きなのに、これでは再現できん。

ゲームの合間はまんがを読むだけ。岡崎二郎『アフター0 著者再編集版』10巻(小学館ビッグコミックス)。87年から99年までの十三年ぶりということで、絵柄に多少の変化はあるがテイストはほぼ変らず。村中に散らばった10円玉をめぐる騒動「幸せの十円玉」、卑弥呼の化粧の真の力「鯨面上のアリア」が良かった。

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