過去の雑記 04年 5月

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5月 1日
SFセミナーに参加する。会場がいつもと大きく違う場所なので、多少心配ではあったが、どうにか無事にたどり着き、まずは安心。大使館街のど真ん中というのも、たまには新鮮でよろしいな。

えー、企画等についてはなんせ4ヶ月前のこと(8月25日記)なので、ろくに覚えちゃいない。石堂藍の毒舌と、それをはるかに上回る風間賢ニの暴言の前に、三村美衣の口の悪さがすっかりかすんでいたハヤカワ文庫FT企画で大笑いしつづけたことだけは覚えているかな。あ、山田正紀企画を見て、インタビュアーに愛がありすぎるのも問題だと再度思ったことも記憶に残っている。4企画中3企画を見てそれぞれに楽しめたので参加コスト(費用&時間)分満足ではあるが、1コマ1コマの時間が不足気味だったのは残念。FT企画、雑誌企画は、もう15分ないし30分欲しかった。

夜、参加企画の「SFマガジン考課表企画」は、ほぼ内輪だけの面子だったのでまったりと。去年何が面白かったかとか話してました。考課表のありかたとかに話が及んでも良かったんだろうけど、そっちにはあまり流れなかったように記憶が捏造されている。

あとはSF関係の賞を紹介する企画を眺めたり、賞まわりの話をしたり、いつもの面子のまわりでだらだらと過ごして朝早いうちに会場を抜け出して帰宅。最近、こんなのが多いなあ。

5月 3日
すでにいつ読んだか記憶にない本の話なので日付は嘘の可能性が高い。

五十嵐大介『魔女』1巻(小学館 IKKI COMICS)。『はなしっぱなし』で魅せた幻視力と『そらトびタマシイ』で魅せた語る力に加え、構成力まで手に入れた無敵モードの五十嵐大介。クライマックスの西洋と東洋の対峙に震えろ。

井村君江『ケルト妖精学』(ちくま学芸文庫)。ケルト系に気持ち中心を置きながら、イギリスの民間伝承およびイギリス文学の中に登場する妖精の姿の変遷を追う。後半はイングランドの話が中心になるため、題名程ケルトべったりというわけではない。妖精研究の手法紹介などは面白いが、今一歩脇が甘いところがあるのが玉に瑕。

5月 6日
SFセミナー明けに、例によって潰瘍に襲われたり、寒の戻りに風邪を引いたり、至極だらだらなゴールデンウィーク後半を過ごしていた今日この頃。accaを筆頭に3人分くらいやってくるウィルス添付メールだけでも鬱陶しいのに、アドレス詐称のSPAMのリプライまで大量に飛んできて、やるきを卸し金で擦られるように失っている林です。みなさん、おかわりありませんか、ありませんか、そうですか。

SFセミナー合宿のSFM考課表企画の話。Rafaさんの記述だと、僕が評価の講評(メタ評価)を計画していたみたいになってますが、僕はそんなこと考えてなかったのでした。言っていたのは添野さんとか細井さんですね(講評者としては僕を想定していたらしい)。で、来月以降、評価講評を実際にやるかどうかはあくまで未定。やる場合でも、1回目の評者は鈴木力さんという話だったと思うがなあ。

それはともかく。Rafa君は、先月分と今月分(これは点数だけは聞いてるけど)の考課表を早く送ってください(とかなんとか書いた途端に送ってもらいました。ありがとう)。

ダンセイニの新刊読み中。21世紀になってダンセイニの新訳を読める幸せを噛み締めるとともに、荒俣宏の選択眼は正しかったのだなあという思いも新たに。いや、初読で面白い作品もたまにあるんだけどさ。"The Sword of Welleran and Other Stories"、"A Dreamer's Tales"と名作目白押しとわかっている2冊をまとめた次巻により期待しよう。
ああ、しかし。だが、しかし。この全作紹介の流れの中、"Time and the Gods"が部分紹介のままなのは惜しい。実に、惜しい。なにかの間違いで時ならぬダンセイニブームとか起こって、早川が増補改訂新訳版『ペガーナの神々』を出したりしないかなぁ。 < 夢物語はマアナ=ユウド=スウシャイだけにしとけ

後輩が結婚することと、別の後輩が結婚していたことを知って驚いていたら、先輩まで婚姻届を出してきたなどと言い出した。もう、驚きもサチっているので、だれが結婚すると聞いても驚かない自信があるね。とりあえず、みんな幸せになってしまえば良いと思いました。まる。

その幸せのおすそ分けで、横浜が4位(シーズン終了時ね)になったりしないかなあ。

いやいやみくびってました、『世界の涯の物語』。「陸と海の物語」のぶっとび具合には呆然とするしかないや。終盤はどれをとっても文句なしの傑作ばかり。必読ですぜ、みなさん。

5月10日
部屋の中に引きこもっている間に世界はいろいろ(概ね悪いほうに)動いていたようだが、それはともかく。

世の中の何が不思議って、『世界の涯の物語』の評判がろくに流れてないことほど不思議なことはない。なぜみんな、ダンセイニに飛びついて読まないのか。そら、ウィリス、プリースト、ハミルトンも悪くはないが、なにか一冊を優先するなら、まずダンセイニだろう。それはもう、比較するとかどうとかいう問題ではない。宇宙の真理なのだ。

というわけで強く主張したい。君が今やっていることなどどうでもいいから、まずはダンセイニを読め。

少なくとも終盤は面白いから。 < やや弱気

5月15日
引越しで捨てられる予定のボードゲームを救うため、西葛西に赴き物色。いろいろ貴重なものを拝見することが出来た。ありがとうございます。

夕方から元ユタ。最終的な参加者は、SF人妻、大森望、小浜徹也、雑破業、添野知生、高橋良平、林、三村美衣、宮崎恵彦、向井淳、山本和人(あいうえお順、敬称略)。主な話題は音楽記録媒体輸入禁止問題とかユタ参加者相関図とか。「陸と海の物語」がいかに面白いかで、おおいに盛り上がってしまった。やはりダンセイニですよ、ダンセイニ。

5月16日
付けが廻ってきたので一日引きこもり作業。

某所では書こうと思っていたけど紙面の関係で書かなかったこと。映画『デイ・アフター・トゥモロー』の原作本が、メディア・ファクトリーから出ているのだが、これが。『神々の指紋』を肯定的に引用したりするいい感じのトンデモ本なのだった。温暖化による極圏氷塊の融解が海面温度の変化、ひいては海流変化を生み、それが気象の急変を招くというストーリー自体(細部というか中部くらいまではダメダメ)はそれなりなのに、なぜ、それを超古代文明とからめてしまうのか。このなんとも困った本を原作にして、どんな映画が出来るというのだろう。

『アーマゲドン』とか『ザ・コア』とかかな。

5月17日
/.jの「オンライン教会、登場」の部門名を見て違和感を覚える。「囁き-祈り-詠唱-念じろ! 」?Wizardry、というかカント寺院のあれは、「ささやき えいしょう いのり ねんじろ!」(中二つの順番に注目)のはず。ACが突っ込みを入れているし、自分で確認してみてもそうなっている。しかし、googleでざっと見てみると部門名と同じ、逆順が優勢な模様。なぜ、こんなことになっているのだろう。どこだか忘れてしまったサイトによるとWiz外伝で逆順になったらしいのだが。本当だろうか。

検証のためには、Wiz外伝を入手せにゃならんかな。

5月19日
だらだらとザッピングをしていたら、ぎんさんと四人の娘が縁側で過ごす姿から老いの問題を考える番組をやっていた。そこで語られている内容は「あんな年まで行きたくない」だの「死に方はポックリいくのがいい」だのかなりヘビーな内容なのだが、懐かしい故郷の言葉の数々にすっかりほのぼのとした気分になってしまったのだった。それだけ。

5月20日
最近読んだものいろいろ。

ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』(中公文庫)。ウィリス『犬は勘定に入れません』対策で読んだので、読み終えたのはたぶん、5月上旬のはず。テムズ川をのぼる三人(と一匹)の有閑紳士の珍道中。思いつくままに回想に行ったまま帰ってこなくなるゆったりとしたユーモアが実に心地良い。世紀を越え、国境を超え、広く愛されていることも納得の逸品。

ケリー・リンク『スペシャリストの帽子』(ハヤカワ文庫FT)。いかにもアメリカ現代文学という雰囲気と、F&SFの匂いが混じりあい、ジャンル中心の把握法では掴みづらい作風の作品集。「夢のような」と形容されることが多いが、幻想的な要素は概ね背景が見えるものとなっている。夢だとすれば、かなり論理的に構成された夢であるらしい。奇怪なミス・アメリカ候補が妍を競う「靴と結婚」第二挿話のシュールさはかなり好き。あとは良質のホラー「スペシャリストの帽子」、わからなさが魅力の「少女探偵」あたりが好きな作品。

あずまきよひこ『よつばと』2巻(メディアワークス 電撃コミックス)。よつばとご近所さんの日常、2巻目。キャラが馴染んできた分、1巻よりも味わいが増している。特にお隣のご家族。

八房龍之助『宵闇眩燈草紙』5巻(メディアワークス 電撃コミックスEX)。超人まったりまんがの5巻。長尺続きの後なんで、今回は短篇主体。人間離れした人々の中の一般人、京太郎君の世を拗ねっぷりが大変に好ましい。
達成感などは必要ない/経緯と結果を傍観しているだけでも/世の中十分に楽しい
あの超人どもに囲まれちゃあ、そんな気にもなるよなあ。その気持ちよくわかるよ。うんうん。

村枝賢一『仮面ライダーSPIRITS』6巻(講談社ZKC)。ライダー同士のバトルは大変結構なのだが、緊迫した物語の影でXが見事にやられ役を演じているのが大変哀しい。X、好きなんだけどなあ。あ、ライダーマン&スーパー1の“腕が変わる”コンビによる共闘は良かった。

5月21日
SFM 6月号読了。スプロールフィクション特集の第二回がメイン。

ソーンダース「ジョン」は今回の特集では唯一の純SF。閉鎖空間で育てられたエリート少年少女が恋をし、禁じられた外の世界を目指す。エリート君たちの脳は拡張されていたり、下界はかなり悲惨な社会になっていたり、作品のトーンの割に陰惨な世界を描いているので、どうやってトーンをひっくり返すのかと思っていたら、ひっくり返さないんで驚いた。ディティールは悪くないが、全体が極々見慣れた風景で、正直「そこはSFが50年前に通過した場所だ」という今更感は拭えない。アイデアではなく技巧で読ませるのだとでも言うのなら、もう三段くらいの洗練が欲しいところ。まあ、こう辛く当るのも、この主人公の判断と、作品が肯定する方向に納得がいかないのというだけなのかもしれないが。こいつの行く末はきっと……だと思うわけですよ。

ブロックマイヤー「ある日の“半分になったルンペルシュティルツヒェン”」は民話をもとにした小品。藁から金を紡ぐ娘の話は知っていたが、こんな風に終わったんだっけ。タイトルそのままの、実に淡々とした話で、特に何が起きるというわけでもないが割と好み。

ミエヴィル「基礎」は都市の地下に潜む死者たちの怨嗟の声。静かな声の中に籠もる熱量が勝負の作品なのに、そこを上手く感じ取ることができなかった。作品の出来というよりはこちらの感受性の問題かもしれない。

ヴァンダーミア「飛ぶのは未だ越えざるもののため」は政治犯を収容した刑務所で看守の見た光景。この手の短篇としてはありきたり。

ローゼンバウム「ほかの都市の物語」は五篇の断章で綴る幻想的な都市のイメージ。やや具象に落ちすぎなところもあるが、ボルヘスだかカルヴィーノだかという風情は大変に好み。この調子で単行本一冊持たせることが出来たら手放しで絶賛するだろう。

特集作品を読むだけだと「ただの幻想文学特集じゃん」となってしまうが、コラムも含めて全体を読めば少しはスプロールフィクションとぶち上げる意図が見えてくる。理を前面に立てれば、それが存在するように振舞う方が幸せになる人が増えそうだと納得できそうだ。情は、なんで今更なもののラベルを付け替えて騒ぐかなあと言っているが。

特集外。菅浩江「あこがれ 博物館惑星・余話」はまさにおまけの話。ギミックもストーリーもだからどうしたというところ。理屈は美を鑑賞する際の妨げになりうるというテーマはなかなか考えさせられるが、全体の凡庸さに埋没している。

秋山瑞人「海原の用心棒」は鯨少年の冒険譚完結篇。三回分載となったことで、疾走感が失せてしまっている。一気に読めばまた読後感も変わるだろう。

連載では谷甲州「パンドラ」が緊迫した展開で復調気配。しかし、断片では緊迫感もつづかない。やはり、連載はまとめて読むべきだね。あとは因果な星の下に生まれついた少年の行く末が案じられる水玉エッセイが良かった。

5月22日
細木さん(8)をつき合わせて秋葉原で本を買ったり、GIGABEATを修理に出したり、山本正之のCDを探して見つからなかったりして過ごす。その後、焼肉。死ぬほど喰ったので、帰りはやや辛かったことだ。

5月23日
ティム・バートン監督作『ビッグ・フィッシュ』を観る。すばらしい。映像の美しさも、語られた内容も文句無し。そのうえ個人的な泣きツボをこれ以上ないというくらい的確に押されてしまったのでは、もはや語るべき言葉すらなく。ああ、あの川原の情景。後日補完するかもだけど、この感動を大切にしたいのでたぶんしない。

バートンに「日影の歌」だけを期待している人にはつらいかもしれないが、とりあえず観れ。

5月24日
縁あってNHKのロシア語会話を一部観る。なぜかロシアの人形アニメをやっていた。「金の魚」ってトルンカもやってたけど、そんなに有名な話なのか。

5月25日
酔狂 5/25経由でゴジラ公式。うははははは。本当に、ミュータント部隊にX星人で轟天号だ。しかも、ミニラにガイガン、カマキラスに、クモンガですよ。キングシーサーも登場だ!なんとヘドラまで。すごいなあ。

ひょっとしたら、これは観るべきなのかも。

SFマガジン7月号をパラパラと。とりあえず座談会「異色作家短篇集を編むということ」だけ読む。五〇年代風に書かれたダンセイニが「奇妙な味」というのは恥ずかしながら気づいてもいなかったので、目から鱗が落ちました。なるほど。それなら異色作家短篇枠でダンセイニというのもありなのだな。

ところで。近況欄で二ヶ月連続同形式なんてネタをふっても普通はわからないと思う。> 某氏

5月26日
オールスター・ファン投票中間発表の、タイガース大行進に憤りに近い感情を覚えていたのだが、野球ファンであるところの阪神ファンの人とメールのやり取りする中で、1)阪神ファンでもあれは醜いと感じる(人もいる)、2)しかし、あの投票のしかたも理屈の面ではありだろう という言葉を読み、安心したり納得したりしてしまったので落ち着いた。ローズ、アレックス、嶋、前田よりも桧山、赤星、金本を選ぶという思想に共感はできないが、そういった考え方が存在し、多数であることは確かに理解できる。理解は。しかし、なんぼなんでも安藤は無いだろう。

プログラミング言語「日本語」。/.jの某トピックでの宣伝の仕方は稚拙だったようにも思うが、内容はよく出来てる。

中野善夫さんの<手に取って、読め!>5月25日分によると『世界の涯の物語』の重版が決まったらしい。めでたい。翌26日には「ダンセイニ短篇集、第三・四巻の話も少しづつ始まる」という話も。万万歳である。Web上でも『世界の涯の物語』の書評・感想が目立つようになってきたし、時代はダンセイニであるようだ。これなら、「陸と海の物語」の星雲賞短篇部門も視野内だな。< それはない

焚書官の日常 5/25より。ヨッタの上、10^27を表す接頭辞がハーポ、10^30を表す接頭辞がグルーチョって。マルクス兄弟かい。いくらなんでもそれはネタとしか思えない、というわけで裏取り。単位・数の接頭語数字の単位など、あたかも確固たる事実のように伝えている個人サイトは結構見つかるが、その典拠を記したサイトは少ない。しかたがないので英語で検索してみるとThe New Hacker's Dictionary のQの項、quantifiers に1993 updateとして記述があった。
hacker Morgan Burke has proposed, to general approval on Usenet, the following additional prefixes:groucho 10^(-30) harpo 10^(-27) harpi 10^(27) grouchi 10^(30)
これ、誰かの言い出した冗談をネット(ニュースグループ)で共有のネタにしたというだけじゃないのか。誰か識者の解説希望。中にはSI接頭語だと書く人までいるんだけど。みんなわかってネタにしてるのかなあ。しかし、ネタだというのが僕の勘違いで、事実SI単位だったりするといやかも。

見つけてしまったものはしかたがないので《夢路行全集》1〜3巻(一賽舎 ゼロサムコミックス)を買ってくる。書籍としては見たことのないタイトルである(短篇タイトルとしては既読)『校門坂効果』だけにしようかとも思ったが、好きなまんが家にはエールを送らねばと全部購入。正解。
既刊と同題の巻でも収録作品が細かく違ったりするんでやんの。とりあえず2巻『夢みた春』は同人誌掲載作収録なので、商業出版の既刊すべて持っているという人にもお薦め。既刊との収録作品対照表は……、誰か作るでしょう。そのうち。

「サムライ・チャンプルー」を観てみるために遅くまで起きてたのに中止だなんて。どうせ五輪出場は絶望になってた男子バレーなんてダイジェストで2時間に収めりゃいいじゃんかよう。 < 暴言

5月27日
会社の健康診断。とどまることを知らない体重は今年も増加し無事1.6kg増。昨年の5kgほどのインパクトは無いが、単調増加傾向というのはやはりまずい。それでなくても、腹肉の緊張感が薄れてきている昨今である。やはり、ここは運動するしかないのか。えーと。会社と駅でかならず階段を使うくらいにまかりませんか。

バリー・ユアグロー『憑かれた男』(新潮社)読了。くたびれた旅人の体験を描く超短編連作(うそ)44編。デビュー作『一人の男が飛行機から飛び降りる』に比べるとやや眺めの話が多い。長いものは、なんとショートショートくらいという長大さ。つかみ所の無い空気は、北野勇作のSFMに掲載された夢の旅連作のようだ。読んだ端から印象がまざりあっていくのでこれ1作というのは難しいが、都市を昇る苦難の旅「都市の景観」あたりが好み。

阪神戦の連勝がついに止まる。都合、7連勝で終了。まあ、そんなところか。後はこの貯金を大切に。せめて対戦成績5割以上でシーズンを終えたいものだよ。

5月29日
Amazonで注文したCD他が届いたので、出発までの残り時間を気にしつつ山本正之と青春ラジメニア『ラジオがだいすき』(Bella Beaux:BXCA-1016)を聴く。トークコーナーが無理に曲の内容に合わせようとして失敗しているとか、パーソナリティーの方々のソロ歌唱はいたたまれないとか若干の辛さはあるが、川上とも子の歌声と「超空飛来ゴールドライタン」ですべて許せる気になったのでオールOK。だいじょうぶ、まだいける。

昼過ぎからSTRさん主催の読書部第一回活動、ケリー・リンク『スペシャリストの帽子』読書会に参加する。あまり準備せずに参加したのでどうなることかと思ったが、意見も多方面から活発に出てなかなか楽しかった。どのフェーズもまったく結論を出さずに次に流れるという形になっていたが、この作品に関してはこれはこれでありだろう。ダメ男に深く共感する向井君は見ていて楽しかったことである。しかし「黒犬の背に水」の主人公だけは、彼なりにできる限りのことをやっているので他のダメ男たちと一緒にするのはかわいそうだと思うのだけれどどうだろう。ただ、ちょっと、世間知らずの坊ちゃんなだけじゃないか。それは彼の責任じゃないよ。
元ネタ云々については過剰反応だったかもだ。わかったほうが楽しいかもしれないけど、わからないなりの楽しみ方はきっとある。「ペンギン村に陽は落ちて」の話をしたときには、この「わからないなりの楽しみ方」のあるべき姿の方向に話を降るべきだったのかも。ちと反省。
おおたさんの持ってきてくれた海外のレビューサイトの資料は興味深いものが多かった。これはもうちょっと時間をかけて読んでおきたかったか。事前に話を掘りすぎると、当日話すネタがなくなるんで難しいところだが。

ともあれ。お楽しみカレーや、会前の昼飯、会後の夕食も含め、たいへん楽しい読書会でした。みなさまお疲れさま&ありがとう。次の機会もできれば参加したいことである。

5月30日
出かける予定のその前に、一時のデカレンジャー。センちゃん&デカマスターのかっこよさに、デカベースロボ変形の大けれんで、朝っぱらから大変幸せな気分に。実に正しくヒーロー物であった。戦隊物の上半期は良いなあ。

昼過ぎから上野に出て栄光のオランダ・フランドル絵画展を観る。主に『琥珀捕り』の影響。無駄に光沢を表現した技法や、ローマ神話モチーフの多用などは楽しかったが、ブリューゲル達のモブ絵画が無かったのは残念。あの、無意味なモブの大量投入は大好きなのに。さんざっぱら宣伝されているフェルメールは確かに美しかったが、最後の最後に一枚っきりというのはちょっとあれかも。そらまあ、2枚でも集めるのが難しいのはわかるが。技巧的な価値云々はおいといて楽しかったのはテニールスの《猿の煙草嗜好団》《猿の床屋に猫の客》。特に前者のタイトルはすばらしいと思いました。

タイガース戦の敗北で緊張の糸が切れたのか、われらが横浜ベイスターズは対読売3連戦全敗で4連敗。このところの敗戦は中継ぎが崩れる展開も多く、ついに力尽きたかという感がある。そもそも昨年ぶっちぎりの最下位だったチームが先発4枚という無茶な体制で5割を維持してきたのだ。そんな無理がそうそうつづくわけが無い。これからは、じりじりと増えていく借金をいかに最小限にとどめるかという四ヵ月かけた撤退戦が始まるのだろう。しかし、それはそれでもいい。ここまで、よく頑張った。古木の復調に内川の成長と収獲もあった。あとは投手陣に過剰な負荷のかからない範囲で順位争いをがんばってもらいたい。

そして、できれば若手育成も。

5月31日
先日疑問に思った「詠唱・祈り」問題だが、順序が逆転しているのはファミコン版の"Proving Grounds of the Mad Overlord"であるという情報を見つけた(出所失念)。確かに、それなら「間違えた」記述の量の多さも頷ける。ファミコン版のプレイヤー人数に比べれば、国内のパソコン版プレイヤーの総数など問題になるまい。そうなると、日本国内では「ささやき いのり えいしょう ねんじろ」が正規の記述ということになってしまうのか。数は力と知りつつも、哀しいことである。

だから、トラップ解除時に罠のスペルミスが発生しないWizなんてWizじゃな……。< 典型的なダメWizマニア

あ、でも、だがしかし。ファミコン版のWiz PGでカント寺院の祈りの言葉が「ささやき いのり えいしょう ねんじろ!」になっているというのは、裏が取れてないのであった。誰か、ファミコン版所持者の検証希望。

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