過去の雑記 05年 2月

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2月 1日
LotR RoK SEEが来るぜ!って、略称だとなんだかさっぱりですね。というわけで「王の帰還SEE」を宅配屋に渡したぜメールが届いた。やっと、クリストファー・リーの最後を堪能できるのか。受け取りは土曜になると思うけど潔斎して待たねば。

それはいいのだが。お届けメールにはもうひとつなにやら届くと書いてある。なんだろう、この8000円超の代物は。"Historical Dictionary of Scien-"ってーと……。あ!いつぞや、ほそいくんがmixiに書いていたのを見てカートに突っ込んだSF史の本か!どうすんだろう、こんなもん買って。

2月 2日
LotR RoK SEEが来たぜ!不在連絡票だけどな。というわけで受け取りは土曜日なのでした。くぅ。

しかたがないのでかわりに「トリビアの泉」観る。トリビアの種の「サスペンス・ドラマの犯人はテレビ欄の何番目に多いか」に感心。民放各局 1年分計201本のサスペンスドラマを調査するという無駄な力のかけ方が大変よろしい。トリビアの種って、超豪華な「ホリイのずんずん調査」みたいだね。

あとは野球小僧の2月号をいまさら読んだり。(かすかな)楽観と(深刻な)悲観が交錯する楽天特集。伊原さんの元部下に対する情け容赦ない言葉が素敵。

踏みながらとか休みながらとかで「Kurau」23話。あれだね。アヤカ・スタイガーが「ちくしょう」と言いながら、自分の家族を斬殺した男を助けるため走り出したシーンでもう十分だね。それ以外のシーンも別に許すことはできるし。

2月 3日
近所の本屋のYA新刊(と申し訳程度の早川)平台を眺めていたら、ふとした違和感を覚えた。違和感の元を求めてよく見てみると、うちの一冊がその源と判明。本田透と恐るべきお兄ちゃん軍団 (著)『妹☆コレクション』(二見文庫:参照)でした。確かにカバーだけだと、他のYAと区別がつかないけど、一応性描写のある作品だぜ?それはちょっといかがなものか。

と一瞬思ったが、まわりにあるもの(豪屋とか)も大して変わらないことに気づいたんで、気にしないことに。

「Kurau」最終話。全篇かけての後日談。あ、いいじゃないですか。みんな、それぞれに幸せそうで。リナクス周りのぐだぐだも、クリスマスの最後の笑顔のためにあったのだと思えば許せるし。いろいろとダメなところはあったけど、未来社会の画と、後半のアヤカの凛々しさと、クリスマスの笑顔で全部OKという感じですね。観た時間分くらいは満足。いや、DVD買う気にはならんけど。

2月 4日
ひとさまのmixi日記をきっかけにnerdの受難話を読んだ。そういえば、アシモフも科学エッセイのどれかでこんなことを書いていたよなあ。これがどの程度普遍的な話かわからないのだけど、ぼくはnerd的であることでいじめられたのは小学校の頃のおぼろげな記憶しかないので、いまいち実感がわかない。進学系私学中高一貫男子校というのはnerdにやさしい世界だったのだよなあ。

格好を気にしなくてもめだたないし(女子の目が無いからデメリットにならない)、知的であればあるほど仲間内からも尊敬されるし、大抵のゲームは誰かしら持ってて貸してくれるし、輸入ゲームも誰か頭のいい奴が翻訳してくれるし、一クラスで一つRPGの卓が立つくらいにはゲーマーがいるし、アニメやまんがの話題も普通に通じる奴がクラスに何人かはいるし、nerdであることが、なんら負の価値をもたなかったわけだよ。そら、クラス全員がnerd的であるとまでは行かないけど、無視できない人数がいたし、そういう性向に対する理解があった。

だから、nerd差別のトラウマを語る人の話というのは、いまひとつ実感できないなあ、と。メディアから聞こえてくる世間の声という奴は確かにあったけど、それはしょせんメディアだしなあ。

2月 5日
SFM考課表2月号分更新しました。まだ人数が少ないので暫定版の気持ちで。小林泰三の科学解説は評価がまっぷたつでなかなか興味深いです。

さすがに髪が伸びすぎてどうにもならんので、半年ちょいぶりに床屋に行って切ってもらった。なんだかおやじ臭い髪形になったなあと思っていたのだが、ざくっとシャワーを浴びて乾かしたらいつもにもまして小学生のような髪形に。うーむ。伸びても自分にとっての鬱陶しさが変わらないようにしてるんだけど、さすがにこれは30過ぎのおっさんとしてどうかと思わぬでもない。どうしたら、年相応の髪形になるのだろう。そもそも、年相応の髪形のイメージを持ってないのが問題か。

午後8時過ぎに馬場に出かけてきたが、いつものルノアールの中を見渡しても、みごとに誰もいない。しかたがないので新宿書店でひとわたり新刊をチェックした後、再びルノアールに戻って9時まで本を読んで終了。(多分前回に続き)今回も元ユタは不成立でした。なんらかの対策をしないと、このままフェードアウトしそうなので、次回は早めに行ってようかと考え中。でも、『万物』トーク打上げの翌日で、会社仕事もあるから、確実に行けるとはいえないなあ。

あ、その後都内で行く宛てがあったんで、さすがに柏・東京間の往復がルノアールでコーヒー飲んで帰っただけという寂しいことは無いです。

2月 6日
恩田陸の新刊(『ユージニア』)をみかけたので、ざっと眺めてみたのだが、タイトルと帯などから推察される内容に妙な既視感が。しばらく悩んでやっと、98年のSFセミナーのパネルで予告された作品の一つであることに気づいた。

SFセミナーのパネルで予告されたのは、『月の裏側』『グリーンスリーブス』『闇の絵本』『草の城』『ピースメーカー』『ライオンハート』『ロミオとロミオは永遠に』『ユージニア』『夜のピクニック』『海鳴りとめまい』『夜舞うつばめ』の11作品(当サイトのSFセミナー98レポートに概要あり)。

このうち既に刊行済みなのが『月の裏側』 『ライオンハート』『ロミオとロミオは永遠に』『ユージニア』『夜のピクニック』の5タイトルでいいのかな。セミナー時点では、書かれる当てがある作品すら2、3作だったことを思うと、かなりの達成率。この調子なら『夜舞うつばめ』の刊行も期待できるかも。

三省堂神田店のバーゲン本コーナーで『ブラウの世界地図』という大判の本をみつけた。1662年に刊行されたヨハンヌス・ブラウの『世界地図』から100点を選び複製したもの。やっぱりヨーロッパの古地図は良い。紋章入りのアングロ=サクソン七王国図とか、いくら眺めていても飽きない。欧州からアフリカ、中東にかけてと、南米はそこそこ正確なのに、極東、北極圏はみごとにいいかげんというあたりも興味深い。北海道なんて、島か大陸かもわかってないという。あ、でもちゃんと島になっている図もあるな。それとは別だが、尾張にちゃんと宮(宮宿:熱田神宮)がある図など、よくまあ調べたもんだ。ちょっと尾張(Owarri)の真北に信濃(Xianno)があるけどな。A3というサイズが収納の点で大きくネックな訳だが、買った甲斐があった。これで4800円(50%オフ)はぜったい安いって。まだ一冊あったんですけど、どうですかお客さん。< 誰が客だ

帰宅後、うちから徒歩1分のコンビニが潰れていたことに気づきショックを受ける。何がショックだといって、潰れているという事実に6日も気づかなかったというのが最大のショック。

これで、最寄のコンビニに行くまで5分もかかるようになってしまった。健康で文化的な生活を送るためにも、潰れたコンビニの跡地には、またコンビニが入って欲しい物だ。今度はファミリーマート希望。

サークルKか、CoCoストアでも可。

2月 7日
「Q. 「まほらば」と「まぶらほ」の違いを教えてください。」というネタの新バージョンを見つけた。

Q. 「まほらば」と「まぶらほ」と「マヴラヴ」と「ラブひな」と「ネギま」の違いを教えてください。

A. 全然違う作品です。
 まほらば 主人公が上京したアパートに可愛い女の子が沢山いて囲まれる話。
 まぶらほ 主人公の遺伝子を狙う可愛い3人の女の子に囲まれる話。
 マブラヴ 主人公の通う学校に可愛い女の子が沢山いて囲まれる話。
 ラブひな 主人公が女子寮の管理人になって可愛い女の子に囲まれる話。
 ネギま  原作者の赤松某が声優の女の子に囲まれる話。

「マブラヴ」まではともかく、「ラブひな」「ネギま」は冗長だろうと思っていたら、落ちで笑ってしまうという屈辱。そう落とすか。

吉野家で飯を喰っていたら、2/11の牛丼限定復活のチラシをもらってしまった。チラシまで作るとは無駄に気合が入っているなあと思いつつ開いてみると、いきなり「私たちは2004年2月11日という日を、忘れません」という文字が目に飛び込んでくる。
牛丼鍋の火を、絶やしてしまったその日のことを。
せっかく足を運んでくださったお客様に、
牛丼をお出しできなかった悲しさを。
吉野家は本気のようだ。おもわず倒置法を使ってしまうくらいに。彼らは本気で牛丼文化というものを信じているのかもしれない。牛丼が食べられないという事実そのものに対しては、なんらの痛痒を感じていなかったが、このチラシにはちょっと感動してしまった。

がんばれ、吉野家。

2月 8日
いろんなこと(仕事とか、仕事とか)が進まず気ばかり焦る今日この頃。気分転換に、持っていると思い込んでるだけで持ってないDVDをチェックしてみた。 適宜入手していきたい。問題は置くスペースだな。

ついでに確認した積み漫画。今年に入ってからの購入分(※大昔に出た本含む)だけで18冊あるわけですが、なんとかならないものでしょうか。

2月 9日
食堂で昼飯を食っていると、隣から突然、「山手線ゲーム!古今東西、私鉄の乗り継ぎが無い山手線の駅、僕から、田町!」という声があがった。そちらに視線を向けると、数人のグループで、そのまま当然のように山手線ゲームを続けている。なぜ、昼飯時にそんなことをせねばならないのかまったく理解できなかったが、言い出した当人は楽しそうだったので良いのだろう。

ところで、結構難しいお題だね。

山手線ゲームからの連想で思い出したのが、先日考えていた十二支SFアンソロジーは成立するかという問題。そのときは、一部長篇が混じることを許容すれば、11まで思いついたのだが、あとひとつが思いつけなかった。猪(not 豚)SFってなにかあったっけ。

思い立ったが吉日ということで、昨日のチェック漏れDVDリストから『空飛ぶモンティ・パイソン』5,7と『ベスト・オブ・モンティパイソン』を買ってきた。4,6も早いとこ入手しないとな。

『SFが読みたい!』2005年版が届いたので、さっそく翻訳SF部門の集計を「読んで」みた。げ!『公家コリノ』で39点あるってことは、僕の《デューンへの道》6点をそちらにまわせば、計45点の15位タイってことじゃん!言ってくれれば『コリノ』で投票にしたのに。ベストに入るべき作品を落とす直接の原因になってしまい、残念至極。年度総括で辛うじて触れられたのがせめてもの救いか。

ちなみに、21位以下の順位はこんな感じ。
21位 『公家コリノ』39点(参考:《デューンへの道》6点)
22位 『最後にして最初の人類』35点
22位 『エリアーデ幻想小説全集 第二巻』35点
24位 『ジェニファー・ガバメント』34点
24位 『世界の涯の物語』34点
24位 『揺籃の星』34点
27位 『南極大陸』32点
28位 『フェッセンデンの宇宙』29点
29位 『地球に落ちてきた男』28点
30位 『ゲド戦記外伝』26点
31位 『迷宮の暗殺者』23点
32位 『フューチャー・イズ・ワイルド』 21点
ここまで3人以上が投票。34位タイ『地獄の世紀』も3人が投票。
ああ、『公家コリノ』は失敗したなあ。

2月10日
週ベ名鑑号を読む。名鑑号名物の表紙は、 というわけで正解は9/12。今岡、嶋がわからなかったのは、かなり恥ずかしい。

ふと観たマイトガイン@ANIMAXは、スポンサーが『新世紀勇者大戦』だけだった。ゲーム単独タイトルの提供のみというのはちょっと珍しいような。

勇者物ゲームは今までのタイトルだと悪い話しか聞かないので、どうせこれもと思っているのだけど、ライジンオーが活躍してるのを見るとちょっと心動く。

2月11日
『特捜戦隊デカレンジャー』最終話をいまさら観た。なるほど、これはすばらしい。ミッションをぎりぎり達成可能なレベルにする、救いの作り方がナイス。この期に及んで、気合とイヤボーンで万事解決とかされたらどうしようかと思ってましたよ。絶体絶命の窮地を、正しく智慧と勇気で乗り越えていただくとワクワク感が違う。30分ずっと燃えまくり。ラストが6人だったり、Dバズーカだったりというのも作品への愛が溢れてて良い。1年間全体での盛り上がりというのは弱いけど、単体としては戦隊での1,2を争う名最終回ではなかろうか。エピローグの余韻も良いなあ。ものすごく欲を言えば、最終回だけ45分にして、先週EDで出したハクタクとギンを使って欲しかったけど、それは絶対に無理なんで言わない。良い1年を贈ってくれたすべてのスタッフ・キャストに感謝を。

渋谷Book 1stにて買い物。『伝奇ノ匣8 ゴシック名訳集成 暴夜幻想譚』(学研M文庫)は、西洋伝奇物語篇もかけらも読んでないのに買っちまいました。bk1のブックフェア特典だった『アラビアの夜の種族』の外伝が収録されているのでしかたがないのだけれどな。って、7pだし。いつか読む。きっと読む。ダンセイニ『夢見る人の物語』(河出文庫)は取っとく用の二冊目。最初に買った奴の表紙が剥がれそうなので、あわてて買い足してみた。問題は保存用を置くスペースだが。ライバー『霧の中の二剣士』(創元推理文庫)も、いつか読む。きっと読む。

ツタヤにて。『MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS』4,6巻と『MONTY PYTHON'S FLIEGENDER ZIRKUS』。あとは『人生狂想曲』を買えば憑き物は落ちるかな。

2月12日
神保町をぷらぷらと。『PEGANA LOST』10号を買ったり、万物トークの整理券を貰ったりしてから立ち寄った書泉ブックマートで『指輪戦争』(SPI)を見つけてしまった。ブックマートの2Fって、なんであんなにSPIの揃いがいいんだろう。もちろんのこと、喜び勇んで手にとって見たわけだが、値段を見て大笑い。よんまんえんて。いくら倒産久しいSPIの、今をときめくと言えんこともない指輪を題材とした、そこそこ評価の高いゲームだからといって、四万だせと言われてもなあ。ボックスアートを眺めた後、丁寧に棚に戻しておきました。この値段をみて、再販を試みるメーカーはどこかにないか。

ところで、会社仕事がちょっと楽になりそうなので、行けるかどうかは不確定ながらも一応、万物トークの整理券を貰ってきたわけですが。

番号が7番ってのはどういうこった。

2月13日
響鬼#3を観た。すげえ!面白れえ!なんだかわかんないけど。噂のミュージカルもあった。玩具の売れ行き不振で路線変更になる気がするけど、できるかぎりこのノリで突っ走って欲しい。

マジレンジャー#1も観た。自分が扇風機に変身とか、いきなり星占いとかの幼めのノリは懐かしい味。原点回帰って奴ですか。色付き爆発は懐かしさのあまり泣きそうになった。名乗りはまあまあかっこいいし、これはこれで嫌いじゃないが、必殺技などの決め台詞に切れが無いのは辛いかな。今後慣れていくことを期待。僕がじゃなく、役者が。日常演技は致命的なほどは悪くないので、なんとなると信じたい。
ホグワーツローブとかやりすぎなところは、まあ、見なかった方向で。少なくとも、全戦隊が黒歴史になるという噂の(そして、ナイとメアが動く)第二話までは観る予定。

↑と書いたが東映公式を見ただけだと、黒歴史を本当にやるかどうかは不明だな。まあ、2話を観てから。

ふと気になって、マジレンジャー出演者の年齢と身長を調べてみた。 意外だった/気になったポイント 参考:デカレン(年齢は番組開始時) こっちの、男が全員180cm超というのも極端だなあ。

戦隊別平均年齢リストというのを作ると、役者の低年齢化がよくわかるのではと思いついたが、作業量を想像するに断念せざるを得ない。誰かやって。

とりあえず、ゴレンジャー(75年4月5日〜 設定はこのページなど参照)だけ。 誠 直也が当時まだ26歳だったのがショック。30歳くらいだと思ってた。

2月14日
19:25発のバスに乗ろうとバス停に向ったところ、19:15に着いてしまったので、バス停から徒歩2分のところにある吉野家で豚丼。注文・食事・会計あわせて5分。腹回りを気にする昨今、最もやってはいけない食事のような気がしてならないが、まあ、喰ってしまった物はしかたがない。バスは3分ほど遅れてきたから、おしんことみそ汁を付けても間に合ったな。

昨日の戦隊別平均年齢リストだが、そのまんま情報ソースになるサイト戦隊戦士の誕生日を見つけてしまった。こう簡単になると、一気にやる気がうせるというのは世の習いですね。何人か生年不明の役者もいるし。とりあえずここまでにしておこう。平均年齢をちゃんと計算してグラフ化なんかした人がいたら見せていただけると嬉しい。

2月15日
たそがれSpring Point経由で、「本と本屋と図書館に魅せられて」の「ズバリ言うわよ。」を見た。書店で、文庫が著者別ではなく出版社別に並んでいるのは、客から見れば結局書店側の怠慢なのではないかという話題。

このトピックが客として想定している書店のライトユーザ層のことはわからないが、僕は出版社別派(部屋の本棚も出版社別)なので、変に著者別棚が広まって欲しくはないなあ。著者単位でソートされると背表紙のデザインが混在して見た目にも美しくないし、作品数が少ない著者の場合、著者名を覚えないことも多いからむしろ検索に手間取ることになったりもする。文庫を出している出版社の数なんてしょせん限定されているわけで、「どこの出版社かわからない」なんて場合でも著者名がわかってるなら探すポイントはせいぜい10幾つ。これが、出版社はわかるけど、著者名を忘れたとなると、著者別ではまったく手がかりが無いことになり、すべての棚を探す羽目となる。それはちょっとやってらんない。

と、出版社別肯定的意見を前面に打ち出そうと思ってたんだけど、単行本はふつう著者別だし、CDも基本はアーティスト名別で管理しているのだよな。作品点数が少ないからといって、レーベル別ソートはあまりしていない。これはなんなのだろう。僕にとっては、背表紙の統一性というのが最重要課題で、そもそもまちまちな単行本や、レーベル間でもほぼ共通なCDの場合は、より利便性の高い著者別を採用しているということなのだろうか。

いや、そんな簡単に著者別の軍門に屈するわけにはいかない。文庫は一旦置いてコミックのことを考えてみよう。コミックが完全著者順になったら不便に思う人は多いのではないだろうか。多くのコミックは掲載雑誌毎に一定のカラーを持っているから、雑誌(≒叢書)毎に分かれているほうが便利なわけだ。ほら、出版社別のほうが便利。

しかし、ところが、これがどうして。B5版形のまんがは往々にして作家別で、実際その方が便利だったりする。ってのは、複数の雑誌から集めてきてたりするから。唐沢なをきやとり・みきが出版社毎に並ぶだけという場合を考えるとちょっと探すのがめんどくさそうだ。

はてさて。結局、文庫にしろ、コミックにしろ、出版社/叢書別ソートが便利なケースと、作家別が便利なケースがあるという、何も言ってない結論に。出版社別と作家別のそれぞれの棚があって、両方に本が置いてあるのが理想というわけですね。って、そんなことが出来るのは無茶なスペースと在庫量がある一部の本屋だけだってば。

と、よくわからなくなってきたので、ぐだぐだのまま終わる。

対タイガースの練習試合に3対11で敗戦。序盤ホームランだけで点を取るものの、そこからはまったく点が入らず、そうこうするうちに先発がつかまって大量失点。なんか、えらく既視感のある光景だなあ。失点も、案の定、風で運ばれたホームランと守備の乱れにぶち切れての大量失点みたいだし。牛島監督には、こんないつもの状況で切れることなく、粘り強く指導していただきたい。ほんと。

2月16日
地震の被害@部屋。 まあ、たいしたことじゃない。

今週の週ベ。スペシャルインタビューが多村仁だった。珍しくちゃんとしたことを殊勝に語っているなあと思ったら、ラストで、去年キャンプの最後にポスター撮影で怪我をした話を持ち出されていて大笑い。苦笑いしながら落ちをつけていた。ほんとに洒落にならないから、怪我をしないようお願いしたい。

2月17日
よく読みにいっている野球系blogで、方言の話題が出ていた。

そこに、「名古屋では「じゃん」という」という話があったので、「また名古屋弁と三河弁の区別もつかない素人がとツッコミかけたのだが」、立ち止まって調べてみるとけっこう難しい。「なんとかじゃんねえ」という用法は、名古屋でも使うという指摘を見つけてしまったのだな。確かにそれは使う気がする。それは若者言葉じゃないのか?とも思うが、確証がない。

というわけで、「名古屋の言葉ではないんじゃないかなあ」というそこはかとない違和感を持ちつつも、ツッコむだけの自信が失われてしまったので、そのまま流すことに。どうなんだろ。

2月18日
午後半休を取り、三省堂SFトーク 山岸真・大森望「万物理論の謎を解く」に行く。

まずは、ごく普通の会議室にパイプ椅子を並べただけの会場にびっくり。いいんだけど、よくここでイベントをやる気になりましたね、というような。びっくりしただけで、別に不満は無いんですが。

トークは、冒頭しばらく会場の空気を掴みかねているのか手探りだったが、山岸・大森両氏の読みがぶつかるようになってからは、一気に調子が出てきた。突然、志村さんが壇上に上がって京フェスの志村=菊池解釈を紹介したりというアットホーム加減もいい感じ。それで京フェスとは何かの説明がなあなあなあたりもgood。一般向け講演なんだか、SFセミナーなんだかわからない感じで楽しかった。

途中、突っ込みたい部分(イーガンの「身体性」の例の話で、「それは神林言うところの脳と胃ですか」とか)もあったのに、我慢したのはちょっとストレスかも。人数や距離感はSFセミナー合宿企画なのに、空気は講演会というのが良くないのだ。きっと。

内容の詳細は、yama-gatさんのレポート参照。謎解きはあまり無かったけど、ラストの解釈に自信がもてたのは収獲。終了後、お布施にと『万物理論』買いました(貰った奴しかなかったんで)。

トーク終了後、三省堂近くの飲み屋で行われた打ち上げに混ざる。イーガン作品の気色悪さについてとか、いまさらクロスボーン・ガンダムとか、いろいろ。仕事でSFの勉強をしている(だったかな?)編集者の人に、ろくでもないことばかり吹き込む困った人たちを見物するのが面白かった。みんな、ベイリーを出せだの、荒巻義雄だだの、スラデックだの、無茶な要求過ぎると思ったね(最後は自分)。

その後の三次会では、「名作」アンソロジーの話とか。「名作にうまいものなし」がこんなに受けるとは思わなかった。あと、「ポール・クックの邦訳二作目は何か」という難問と、そこから派生した話題が印象深い。

でもって、そのまま歌うことも無く朝までだらだらと。チェーン居酒屋の安さに驚愕。

2月19日
三回連続で開催が流れ、存続の危機に立つ元ユタというか高田馬場のSF例会へ。存続を願う人の間で危機意識が芽生えたこともあり、今回は参加者8人と盛況。問題はいつまで保つか、ですか。新規の参加者がいない限り、人は減っていくばかりなので、新しい血を求めたい。っつーか、いつまでもぼくが最年少というのは。たまにタカアキラ君も来てくれるけど、仕事柄、出席率が高いとは言えないし。どうですか、若いみなさん。第1、第3土曜の午後7時ごろから高田馬場で僕らとお話しませんか。興味のある方は僕まで連絡を。

と、それはともかく。今回の参加者は、SF人妻、大森望、添野知生、高橋良平、林、宮崎恵彦、柳下毅一郎、山本和人(あいうえお順、敬称略)。僕が到着してからの主な話題は、タイムスリップグリコとか、魔法の速さで編集される雑誌とか、コミック・ワイドショーとか、最近の映画とか、『地球最後の男/人類SOS』とか、落ちる床とか、読みたいとか、万物トークとか、《未来の文学》とか、《奇想コレクション》とか、ロードショウの俳優ベストは誰が誰やらわからない、韓国映画の弱点は役者の区別がつかないこと、最近の特撮、あびる優、しろはた、幼児とコレクションの壮絶なる戦いとか。

コミックワイドショーは秘宝系コミック誌。とり・みき漫画も悪くなかったが、シーゴラスのインパクトにはかなわないか。岡本喜八の訃報と、新作オムニバス映画『愛の神、エロス』のなかではアントニオーニ篇がいちばんましだったという話題からはじまった、現役最高齢の映画監督は誰かという議論については、クローズドな場所で結論が発表された。

2月20日
買った漫画を珍しく(←おい)一日以内に読んだ。

加藤元浩『ロケットマン』10巻(講談社KCGM)は少年スパイとみせかけて推理物としてはじまった冒険漫画、堂々の完結篇。謎の大半は、前巻で答が明らかになっていたので、今回はアクション主体。最後の最後の大ネタには若干疑問が残るが(ダメかどうかは軌道計算してみないとわからない)それはともかく楽しめた。適度な長さで、必要十分なサイズに物語をまとめた良作。主人公がちゃんと成長しているのも好感が持てる。次回作にも期待、する前に『Q.E.D.』も読んでみようかな。

岩崎つばさ『30 GIRL.COM』(双葉社アクション・コミックス)もいまさら。Webサイトを読んで思っていたより、まんがとしてちゃんとしてるなあ。パンフレット用イラストを収録するサービス精神も良いね。とりあえず、弱気を押し隠して気丈に振る舞う加奈子さんイチオシ。

2月21日
録画しておいたスーパーヒーロータイムを観る。

マジレンジャーに黒歴史シーンはありませんでした。ちぇ。わが家のサッカーボールでゴレンジャーストームはネタを知ってから見てもインパクトが大きかった。マーメイドとガルーダの球捌きは無理があると思うが。あくまで幼児番組というスタンスを貫くのは嫌いじゃないが、戦闘が今ひとつかっこよくないのが気になるところ。声の演技もまだ今二つ。今後の精進を望む。

響鬼は総体としては快調。ドラマ部分の面白さに比べ、戦闘シーンに爽快感が無いのがネックか。やまびこが、響鬼にろくに攻撃も出来ぬまま惨殺されるので、「妖怪かわいそう」という印象が強い。次回、この辺を払拭できるのか。

玉置勉強『メロドラマティック』(ワニマガジンコミックス)。一時の気の迷いで買ってしまいました。タイトル通り、わかりやすく繊細にメロドラマな漫画の連続で辟易。こんなもんは〈快楽天〉誌上で読めば十分だよ。不用意に旧作に手を出すのはやめよう。

SFマガジン3月号はまだ読んでいる途中なのだけど、今号のリーダーズ・ストーリーは設定のぐだぐだ加減が酷すぎると思うのだがどうか。変にサプライズ・エンディングをめざなきゃ、ありがちな綺麗な話で終われただろうに。

2月22日
なんだかだるだるだったので、布団にもぐりつつ帰りに買ってきた飲むヨーグルトを飲んでいると、突如胸元に冷たい感触が。あれ、なんか体調でも悪くなった?一瞬の危機感を覚えつつ周囲を見回すと、白い液体が胸元から毛布にかけてべっとりと。

飲むヨーグルトをこぼしてるよ……。あわてて拭き取ったけど、毛布やセーターにべたっとした感触が残っているのは否めない。でー。クリーニングに出してる暇もないし、第一、替えの毛布やセーターもないし。しばらくはがまんせにゃならんだろうか。でも、このままだと虫が食いそうだしなあ。うむむむむむ。

つくばみらい市という新市名案に激しく脱力するあまり、いつのまにかたどり着いていたバカ市町村合併問題まとめブログの「バカ市町村名一覧」。 北名古屋市は以前からいかがなものかと思ってたけど、太平洋市やさくら市と同じと言われると切ないなあ。ちゃんと、名古屋の北側に隣接しているし、それしか特徴が無いのも確かだし(←おい)。西春日井郡の一部だけの合併、春日井市は既にある、という条件を考えれば、まだ諦めも行くレベルじゃなかろうかと。いなべ市も員弁郡の大半を含むことを考えれば、少なくとも四国中央市と同レベルってことはないんじゃないかなあ。ひらがななのはあれだけど。 「コンセプトレベルでそれはないだろう(南セントレアなど)」と、情状酌量の余地もありうる「東西南北はちょっとね(西東京、北名古屋)」「ひらがなはだめだ(さぬき、いなべ)」が、斉しく断罪されているのが少し悲しいのだった。のだった。っつーか、東西南北・ひらがなは事情を個別に判断すべきだと思うな。そうでないなら、つくばや東大阪も並べとけ、と。

とか採点(上の点数は適当)してあれば、同列に語られる悲しさが抑えられるかな。

2月23日
ヨーグルトをこぼした毛布とセーターをクリーニングに出そうとしたが、クリーニング屋が開いてなかった。開店・閉店時刻からすると土曜日までは出せない様子。むー。とりあえず、代わりのセーターだけは買ってきた。

買った漫画。王欣太『蒼天航路』33巻(講談社 モーニングKC)、あさりよしとお『るくるく』4巻(講談社 アフタヌーンKC)、佐藤マコト『サトラレ』8巻(講談社 イブニングKC)、村枝賢一+石ノ森章太郎『仮面ライダー SPIRITS』7巻(講談社 マガジンZKC)、長谷川裕一+横山光輝『鉄人28号 皇帝の紋章』3巻(講談社 マガジンZKC)。出しすぎだ、講談社。朝/昼/夕に、ヒーロー物リメイクふたつと並んだのは、ただの偶然なんでひとつご理解を。いや、別に釈明する必要は無いか。

スケジュール的に、読み終わるのはちょい先かなあ。『鉄人』だけでも読んでおきたい。

というわけで読んだ。原作/横山光輝 漫画/長谷川裕一『鉄人28号 皇帝の紋章』3巻(講談社 マガジンZKC)。原作のロボット達をひとまとめにバトルロイヤル物として再構成した物語がついに完結。原作のキャラクター、エピソードを、たくみに織り交ぜながら、いかにも長谷川裕一というストーリーになっていることに感服。気合だけでなく策略だけでなく、知恵と勇気が一体となることで勝利を得る戦闘もすばらしい。この知と情の興奮こそ、横山光輝の伝統。今川泰宏の横山リメイクに欠けているものだ。小ネタで、鉄人28号(新;いわゆる「太陽の使者」)やFXにめくばせしたり、平成アニメ版のセリフを取り込んだりするのも巧い。量の面で不満はある(もっと、この世界を楽しみたい!)が、コンパクトにまとまった良作。

巻末漫画にこめられた「鉄人」への愛も含め、必読。

2月24日
アナゴさん(@サザエさん)が設定年齢27歳(アニメ版)と知り激しく動揺する今日この頃。あの顔で27て。

「ママさんバレーチームからのメールです」というメールが来た。おそらくspamなんだろうけど、この表題でどうやって商売にするのだろうと思ったら、
実は当方、表向きはママさんバレークラブだったのですが(これ以上詳しいことはご勘弁ください)日常の不満や夫との不満を語っているうちに、男性との合コンをセッテングする場となっていました。しかし、たくさんの女性より「個人的に付き合いたい」という声にこたえ、男性を人妻に紹介する場へと変化していきました。
と来たもんだ。いろんな設定を思いつくなあ。

「最近大学の情報処理の授業で少しパソコンを覚え」たばかりの、あおいさんからのメールも来た。平田系天然元気少女設定。でも、平田ほどの個性が無いのは大きくマイナス。もっと工夫しなきゃ。

古沢さんの掲示板で、ハヤカワ文庫SFの4月、5月の新刊として《ハヴィランド・タフ》シリーズが出ることを知る。ひゃっほう!やったね。G・R・R・マーティンの職人芸が楽しめる痛快娯楽作ですよ。これは楽しみだ。他社の勢いに押されたか、今年の早川のラインナップは色々とすごいな。

カートゥーンネットワークを見ていたら、「オジー&ドリックス」なる新番組の番宣が流れていた。白血球のオジーと、風邪薬のドリックスがコンビを組む、へクター少年の体を舞台とする刑事物だそうだ。……アメリカ人の考えることはよくわからん。

2月25日
SFマガジン3月号を読んでいて気づいたのだが。田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」の「ジャン・ゴーレ」というのは、「ゴレンジャー」なのではなかろうか。「大戦」は「戦隊」。桃屋ピンクは戦隊のピンクで、最終的には他の四人と一緒にクインテットになって、ジャン・ゴーレに乗り込むのだ。もちろん、「五人揃ってゴレンジャー」と言いながら。

「罪火」がわからなかったのだが、「つみひ」→「ひみつ」という指摘を得た。これはもう確実ですね。

ざぼんの本のめもで存在を知った、《SFセレクション》(ポプラ社)。赤木かん子編集による中学生向けSFアンソロジーシリーズ全7巻。さりげなくラインナップがすごいよ、これ。以下、ヒラマド情報から海外作品だけ抜粋。特にすごいと思ったタイトルには◎つけました。

  1. 『時空の旅』
    • スピードのでる薬(H・G・ウェルズ)
    • 大英博物館の盗賊(アーサー・C・クラーク)
    • 血(フレドリック・ブラウン)
    • トインビー・コンベクター(レイ・ブラッドベリ)
  2. 『ロボットVS.人類』
    • ◎ロボットという言葉はどのように生れたか(カレル・チャペック)
    • ロビイ(アイザック・アシモフ)
    • 未来世界の構築(ジェリー・パーネル)
  3. 『宇宙の孤独』
    • 強いものだけ生き残る(ジョン・ウィンダム)
    • ヴァーニスの剣士(クライブ・ジャクスン)
    • ◎棺(ロバート・リード)
    • 緑の地球(フレドリック・ブラウン)
  4. 『科学者たちの陰謀』
    • ◎クローカ博士の発明(エルサ・ベスコフ)
    • 人工宇宙の恐怖(E・ハミルトン)
    • 究極触媒(ジョン・テイン)
  5. 『地球最後の日』
  6. 『変身願望〜メタモルフォーゼ』
    • 宇宙少女アン(クリス・ネビル)
    • ◎わが家のサッカーボール(イアン・マクラウド)
  7. 『未来世界へようこそ』
    • 武器なき世界(カート・ボネガット)
    • ウァヴェリ地球を征服す(フレドリック・ブラウン)
海外作品ではないけど「ぼくは、おんなのこ」(志村貴子)なんてのも収録されてたり。

「棺」や「わが家のサッカーボール」が収録されているというのが良いですね。このラインナップならイーガンやチャンだって行けそうだ。これはレビューで言及しておくべきな気がしてきた。

SFマガジン 2005年3月号。英米SF受賞作特集。

ヴィンジ「クッキー・モンスター」は、些細な事件を発端に世界の秘密が暴かれる。謎解きの過程のゾクゾク感はすばらしい。一流のテクノスリラー。まあ、一応。ただ、この世界の成立性については、一点疑わしいところがある。

フォード「アイスクリームの帝国」は、共感覚をメインアイデアに据えた都市ファンタジイ。落ちの一歩手前までは、完全に梶尾真治。そこから、こう落とすことに感心はしたが、好きかといわれるとたいそう微妙。

スワンウィック「時の軍勢」は未来人との戦い。五〇年代SFそのものの発端をどうするのかと思ったら、そのまま五〇年代SFで終わってしまったので、どうしようかと。狙いはわかるが、狙いに引きずられすぎ。

SFスキャナー特別版では、井上知の紹介するヴィクトリアン・ドラゴン・ストーリー『歯と鉤爪』が気になる。国内小説は連作開始と連載。

山田正紀「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ」は、山田版ハイペリオンというか、まんまハイペリオンというか。プロローグ冒頭の「公邸の一室で、年代ものだが手入れのいきとどいたスタインウェイのまえにすわり、国連の領事"はいましも鍵盤に指をふれようとしていた」の一節でいきなり大笑い。その後も、ハイペリオンをイメージさせるガジェット・描写が頻出。それでも、なにか新しいことが始まるというわくわくした気持ちを感じさせるあたりさすが冒頭の天才。きっと、いつか尻すぼみになるのだろうと思いつつ、できるだけ長くわくわくが続くことを期待。今回は、領事がブローン・レイミア(違う)とカッサード大佐(違う)に会って、レイミア(ちが)が話し始めるところまで。

田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」は設定紹介篇と最初のイベント。ひょっとしたら面白くなるかもしれないという気がしてきた。

〈アナログ〉誌紹介で久々にアレン・M・スティールの名を見てたいそう懐かしい気分に。スティールも翻訳短篇好きにとっては、期待の若手だったよなあ。硬質な描写とどことなく漂うやるせなさがすきなんだけど、そろそろ作品集なんて出ないもんなんでしょうか。

2月26日
温泉読書会なるものに参加するため、新潟は松之山温泉まで行ってきた。

Yahoo様のお告げのとおり、常磐線各停〜武蔵野線〜京浜東北線〜上越新幹線〜ほくほく線特急〜ほくほく線各停と乗り継いで、まつだいへ。車窓から見える景色もたいがい異次元のそれだったが、まつだい駅の景色は、さらに一段上を行っていた。

白い。とにかく白い。送迎バスに乗って宿に向う間に見えるのは、雪。また雪。バスの車高よりも高く積みあがる雪の壁が、えんえんと続いている。暴力的なまでのその体積には、ただただ圧倒されるばかり。スキー場でもなければ、いや、スキー場でもめったにお目にかかれない光景に呆然としているうちに宿に着く。

宿で先発隊に合流。こんな雪深いところまで来て、「茶の味」DVDに見入る人々は正直どうかと思いつつ「山よ」を堪能する。「やまっ」「やまっ」「やまっ」。風呂に行き損ねているうちに開始予定時刻になったので、短篇の読書会を一気に3本。そして飯。山の幸を中心とした料理はたいそううまかった。うまかったけど、そんなに一度に出てきても喰いきりません。少々残してしまいましたよ。残念。

飯を食った以上、なすべきことは温泉しかない。雪が降りしきる中、宿の近くの外湯に入りに行く。先に湯船に入った井手さんがなにやら騒いでいたなあと思いつつ足を湯に……、つけた瞬間引っ込める。熱い。熱すぎる。それはもう、思わずフォントを変えそうになるくらい熱い。いくどかの逡巡の後、再挑戦し、どうにか腰までつかることができたが、その先の一歩が叶わない。数十秒(体感的には数分)の後、気分転換のため、露天風呂へ。こちらも熱いには熱かったが、気温が低い分なんとか入ることが出来た。しばし、雪中の暖を楽しんだ後、室内の風呂に再挑戦。外で慣らした成果があったとみえて、今度は肩までつかることができた。めでたい。いや、べつにめでたくはない。

すでに行きの足あとが消えさった雪道にあらたな足あとをつけつつ宿に戻り、読書会。小休止の後、さらに読書会。宿の風呂で、常識的な温度のありがたさを堪能した後、宴会。午前3時過ぎに眠る。

2月27日
昨日の続き。

朝飯を喰ってから再び眠りにつく人々を見送った後、もう一度風呂に入ってからチェックアウト。店の真ん中にはグランドピアノ、そこかしこにはベストセラー展覧会のような本棚を並べたオサレな喫茶店で時間をつぶしてから、細井さんお薦めのジャズ蕎麦屋で昼食。自慢げに書かれた不良中年の心得と、棚に並ぶスコッチがいい味を出していたので良い店認定。夜に来たかったな。

その後、細井さんに駅まで送ってもらう途中、松之山豪雪文化展を観に行く。迷いながらもたどりついた「森の学校」キョロロは蛇が鎌首をもたげたような謎の構造物。なんでも、寒暖差の大きい土地に適するように、熱膨張にしたがって自由に建物が変形するようになっているのだとか。無茶なことをするものだとひとしきり感心。展示も、ハコモノにありがちな微妙な物も多かったが、ここ二〇年ほどの積雪量の記録など生々しい物もまた多くあり、なかなか印象深かった。「この地域では雪かきのことを雪掘りといいます」とか、「この年は記録的に雪が少なく123cmしか積もらなかったので、長靴ではなく下駄で出歩けました」とか言われると、積もって5cmの太平洋岸の人間としては、そうですかという他ない。さすが豪雪文化。

なんだかアートだという塔の階段を昇り、また降りてくると、ひとりダウン寸前になったので、食堂で休憩。異様に揃いのいい書棚があったので、これを選んだのはなにものかと噂していたら、池内了(顧問らしい)の寄贈書だった。道理で。

ひとり雪中行軍を堪能する若者を見送りながら昭和23年の新聞に読み耽ったりしつつ時を過ごし、停車するたびに雪に埋まる車を掘り出して、最寄り駅についてみると、次の電車まで1時間待ちという非情の言葉が。しかたがないので、細井さんに直江津まで連れて行ってもらい、そこから帰宅。越後湯沢〜上野で座り損ねたのはちょっと誤算。スキー客の存在をすっかり忘れていたよ。というか、お前らもっとがんばって滑り続けれ。と、そんなこんなの二日間でした。どっとはらい。

あ、肝心の読書会の話を忘れてた。8本もやるとさすがにだれる。特に酒が入ってからの後半はだれだれ。担当者が語るポイントを意識しているものはまだなんとかなったが、それが無い回は本当にだれだれで進んでしまった。おそらく、構造的な問題なので、もし今後も温泉読書会を行うのであれば、ここをなんとかする必要があるだろう。ざっとした感覚だが、一日に出来るのは5回が限度というところではないだろうか。

読書会として面白かったのは、作品の書かれた時代と受け取る時代のギャップが話題になった「BS6005に何が起こったか」とケリーに対する位置取りで感想が分かれた「ケリーを失ってから」。僕がお題にした「シュレーディンガーのチョコパフェ」は、主人公(が無批判に描かれること)の気色悪さや、セックスシーンに対する違和感(しながらあんな議論をする奴はいねえ)を共有できたので、個人的には満足だが、議論の上での対立点が無かったので読書会としてはいまいち。

作品としては、「笑歩」がダントツでした。この、なにも言うことなくひたすらに面白い作品で、どうやって読書会をするつもりだったのか大変に気になる。他では、「ユープケッチャ」、「ケリーを失ってから」(再読だけど)を読めたのも収獲。

さて帰ってくると、ついにオープン戦がスタートしていた。26日に予定されていた中日戦が雨で流れたので、ヤクルト戦から。多村の大爆発で快勝はいいのだが、本塁打でしか点が取れないというあたり昨年の尻尾を引きずっているようだ。っつーか、四球・遊ゴ・四球・中安・四球・遊ゴで無得点ってどんなだ。

読売の対楽天2試合目、二回の裏。左安・右安・四球・左安・中犠で二点というのもいまひとつわからない。走塁死と犠牲フライゲッツーか?

中日は投げては野口の快投に始まり、五人で5安打完封。打っては、井上の2本など、10安打4本塁打6得点。オープン戦の、それも初戦の結果など、シーズンとは関係ないとは思いつつも、横浜との格の違いを感じさせる試合運びに溜息が残るばかり。ともあれ、野球の季節がやってきました。今年はなにが起こるか楽しみだ。

2月28日
石ノ森章太郎+村枝賢一『仮面ライダーSPIRITS』7巻(講談社 ZKC)読了。

X救出篇から、バダン本格侵攻篇まで。四国侵攻部隊に、再びあの男がいたのはちょっとどうか。作中で死んだキャラは復活させない方が……。東京侵攻部隊にあのお方がいたのも嬉しく、悲しい。あのお方ともあろう人が、魂の無い殺戮機械として復活させられるなんて。

戦闘シーン的にはタイガーロイドのかっこよさに尽きる。できるだけ美しく斃れて欲しい。

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