過去の雑記 98年7月

雑記のトップへ


前回へ

7月11日
SFM強化月間なのでSFマガジン98年6月号(UFO特集号)読了。全体的には面白かったのだが、『コミュニオン』そのものの話がほとんど無い状態で、著者のインタビューと批判記事を読むというのは結構つらい。『コミュニオン』の紹介記事、ディッシュの批判記事、著者へのインタビューという順で並んでいれば、もう少し内容が取り易かったと思うんだが。
良く考えてみると、他の記事も同じだな。「エリア51」「MIB」「アブダクト」など、説明なしで使われている用語の中には必ずしも一般的とは言いにくい物も多い。確かに、SF者ならこれくらいの単語は知っているべきだという気もするが、初心者にやさしくない事も事実。この手の総合的な特集の時くらいは、比較的基本的な単語でも説明する必要があるんじゃないだろうか。自分が知ってる単語は、相手も知っているはずだという前提で文章を書くのはオタクの悪い癖だよ。
もちろん、読み手が必ずオタクであるというのなら問題はあるまい。ファンジン、メーリングリスト、読み手の数が限られるウェブ日記など、読者の顔がある程度予想できる媒体なら、その読者層の間で当然の単語は、説明する必要はない。しかし商業誌、それもジャンル唯一の商業誌の場合は話が別だ。
掲載作品は評価が難しいなあ。スティールのノンフィクション風フィクション、ディッシュの現代小説ともに面白いけど、「SFを読んだ!!」という胸焼けしそうな満足感が無いのでちょっと誉めづらい。チャンドラーの短篇はいくらなんでもアレだし、クラウザーはひねりも含めてありきたり。毎号買う内の1冊としては文句はないけど、特にこれを買おうという気になるほどのもんじゃないっすね。
こんなんじゃあ、SFマガジン読者賞は…。
#前も書いた、前も。


7月12日
昨日、中日に殴り勝ったかと思ったら、今度は絶体絶命の9回裏から奇跡の連打で同点に持ち込んで、引き分け。1勝1敗のはずの首位攻防戦を1勝1分にしたのは今後重要だ。とはいえ、おかげで投手陣が消耗してしまった事もまた事実。来週頭の対巨人3連戦では、先発に全力を尽くしてもらわなければ。がんばれ、隆!がんばれ、三浦!がんば…ってくれよ頼むから、戸叶…。

夕方ボーッとしてると、中野君から呼び出し。午後6時過ぎから、1時間かけてゲームをしに行く。
メインの「Ursuppe(原始スープ)」はDoris & Frankのボードゲーム。原始スープの中を漂う有機物質をうまく捕食してアメーバを分裂させるゲームで、シンプルな構成の割には面白い。ゲームのポイントは進化カード。毎ターン与えられる生命ポイントを使って、進化カードを買う事でアメーバをより生き残りしやすくする事ができるんだけど、このカード集めすぎると遺伝子が複雑になってしまい、紫外線レベルが上がったときに耐えられなくなるんですね。また、進化カードは当然人数分には足りないから、強力な能力は奪い合いになるわけで、この進化の選択がゲーム展開の鍵を握る。
実際のプレイは3人プレイだったので、このゲームの本来の展開(4人プレイ)はわからないんだけど、どうも先行逃げ切りを止めるのが難しそう。ゲーム序盤で、「MOVEMENT II」(任意の方向に移動する能力、餌がある方向に確実に近づけるので飢え死にしにくくなる)、「TENTACLE」(餌を2個まで運ぶ能力、餌は通常2(4人プレイでは3)種類必要なので、これがあると飢え死にしにくい)、「SPEED」(2回移動の能力、前記2種と合わせると、まず飢えない)を手に入れて、やや無理をして細胞分裂をしたら、ほとんど優位が縮まらないまま勝ってしまった。追う立場になる場合は、相手の邪魔をするタイプの能力の有効利用がポイントか?ただ、1個所ルールが不明確なままはじめたので、そこの解釈次第ではトップを止める方法もあるのかも。
残り時間は「6ニミッツ」。トリックテーキングタイプのカードゲームで結構バランスが妙で面白かった。まだ、戦術をつかんでいないので下手な事は言えないけど、わりと偶然性が高いかも。

午後11時過ぎに帰宅。参院選の速報を見て寝る。高信太郎は落ちたらしい。


7月13日
昨日はイギリスGPの結果を見ることなく寝てしまったので、スポーツ紙を買って出社。もちろん、東京中日スポーツだ。
展開はいろいろあったらしいが、結局シューマッハ兄の3連勝。アーバインもちゃっかり3位に入って、いつのまにやらマクラーレンとフェラーリのコンストラクターズの差が3pになっている。恐るべし、シューマッハ兄のチーム統率力。

野尻抱介ページで、野田大元帥の人間大学の話題が盛り上がっている。
どの発言も突っ込みがいがあり、さすが今一番SFに熱心な掲示板だ。特に面白かったのは野尻抱介の次の発言。
>これ(『リングワールド』引用者注)の物語性を批判することは
>理解できません。ブラッドベリに科学考証を求めると批判される
>のに、こういう批判は批判されないんでしょうか(^^;(記事:3091)
僕は目から鱗が落ちましたね。確かにそうだよなあ。問題は、SFとは何かということなんだろうけど。
もちろん、僕にとっては科学的正確さなんて、イメージの壮大さの前にはクズも同然なんだけどね。

とはいえ、
>作品(「万華鏡」)をストレスなしに味わえるのは宇宙に無知な人だけでしょう。(記事:3080)
って差別的な発言は問題ではなかろうか。どんな作品だって、自分の趣向に合わなければなんらかのストレスを感じるのは当然だろうに。この場合は、「科学に意固地になってこだわる人はストレスを感じるかも」と表現するのが正しいと思うぞ。


7月14日
KKベストセラーズのムック、「SEXYコミック大全」を買う。シリーズの他のタイトルが、「TOKYO素人娘赤裸々図鑑」に「パチンコ闇の必勝術」というあたり、オタク層とは違うあたりを狙ったムックのようなのだが、山本夜羽×永山薫の対談を巻頭に、それなりにツボを押さえているように「見える」構成で、美少女マンガについて知ったかぶりするには参考になる。
専門外なので、美少女系への目配りがどの程度妥当なのかはわからないが、青年誌系の網羅の仕方はやや散漫なところはあるものの概ね納得の行くものだった。データ集的な使い方は難しそうだが、ポルノ系マンガへの入門書としてはよろしいんじゃないでしょうか。

本屋に寄ったついでに早川の98年7月の解説目録と夏のブックパーティーのブックレットをもらってかえる。
夏のブックパーティーのブックレットはかなりつまらない。あまりのつまらなさに「例年、こんなだっけ?」と思い92年からの分を読み返してみたら例年こんなもんだった(笑)。去年のエッセイやコミックのできに騙されていたらしい。来年は水玉が復活しないかな。
目録は早速チェックしてみたが、めぼしい目録落ちも、復活も無かった。特筆すべきは、カードの<帰郷を待つ星>と<ワーシング年代記>、それにラッカーの短編集が落ちたことくらいか。カードは個人的にはどうでもいいが、ラッカーの最近の目録落ちのペースは気になる。まさか『時空ドーナツ』が出る前に全滅なんてことはないだろうな。


7月15日
ざまあみやがれ、ジャイアンツ!横浜ベイスターズが、7対0から、追いつき、離されては、追いつき、ついに波留のサヨナラヒットで勝負を決めた。しかし、先週末からしんどい戦いが続いている。例年の横浜ならとっくに集中力が切れている頃だ。だいたい、チームカラーから言ってもこんな試合に勝つチームじゃないはず。まさか、10月に日ハムと試合をしてたりするんじゃないだろうな。
イースタンで。

SFM98年7月号を読了。名のみ聞いていた噂の「ドラコ亭夜話」を読めたことが最大の収穫か。北野勇作の小品も読めたことだし、久々に満足の行く号だった。例によって大向こう受けする迫力には欠けるんで、この1冊というほどの迫力はないけど。


7月16日
昨日の勝利を心ゆくまで味わうため、日刊スポーツ、スポーツ報知、デイリースポーツ、東京中日スポーツ、サンケイスポーツ、スポーツニッポンを買う。しめて760円。無駄に金を使ったという気もしないでもないが、10年に一度あるかないかの事態なので仕方が無い。しかし、関東のスポーツ6紙すべてが横浜戦を一面で扱うことなんて、もう2度と無いんだろうな。
どうも、最近の横浜を見ていると不安が募ってしょうがない。応援しているチームが連勝すると、「何か悪いことが起きるはずだ、何かとんでもなく悪いことが起きるはずだ」ととてつもなく不安になってしまうのは何とかならないもんだろうか。


7月17日
中古CD屋で見つけた、「ゆうきまさみ文化学院 鉄腕バーディー CDシネマスペシャル」なるものを買ってくる。普通なら、この手のCDドラマには手を出さないのだが、カバー絵に負けてつい買ってしまったのだ。
しかし、これが大正解。確かに通しでのストーリーは破綻してるし、場面ごとのギャグも安易なものが多く、ラジオ/CDドラマの悪いところがよく出た一作ではあるのだが、出演者の豪華さですべての欠点をカバーしている。
そう、このドラマの声優陣の豪華さは、そんじょそこらのジャリタレ物とは一味違う。メインの三博士に永井一郎(役:下河辺良平)、大塚周夫(出門凶三郎)、青野武(成原成行)とベテランを配し、脇を神谷明(鳥坂先輩)、塩沢兼人(成原あきら等)、清川元夢(メギウス)ら中堅どころでかため、笠原弘子(南風まろん等)、富永みーな(堀川椎子等)、兵藤まこ(天野小夜子等)ら新人も積極的に起用。バーディー役の三石琴乃や、つとむ役の岩永哲哉など、端役には聞いたことも無いような木っ端声優を使ってはいるが、重要な役には概ね、それなりの役者を配している。音だけのドラマならば、せめてこれ位は金を使ってくれないと聴く気がしないよな。

なんとなく、途中から「紅の豚」を見る。むちゃくちゃカッコイイ。ストーリーはどうでもいいんだが、モブがちゃんと動くというのが素晴らしい。やはり、アニメはモブシーンでどれだけ動かせるかが勝負でしょう。


7月18日
夕方から、やめた同期の送別会。新宿まで出るついでに高田馬場芳林堂で、坂田靖子の『緑ヶ丘3丁目』、ゆうきまさみの新刊、ジーターの新刊、ファンデーションの最後の奴などを買う。今月はSFM以外ほとんど読んでいないので、新刊を買うのを控えていたのだが、さすがにジーターが出てしまっちゃあ仕方が無い。だからといって、モン・コレのスターターを買う必要は感じないが。
送別会は1次会でぬけて、高田馬場ルノアールへ。「誰もいなくても仕方あるまい」と思っていたが、なんだかんだで皆さんと合流することができた。堺さんと大森さんの間で交わされるこの夏の新番組の評価の話などを聞きつつ、西葛西に帰り、寝る。ウェブコンテンツの更新も、名大OBページ用原稿も、もちろん、宿題として持ってきた会社の仕事も一歩も進まず。まあ、連休なんてそんなもんだ。


7月19日
ほぼ丸一日、何もしないで過ごす。横浜は勝ち、読売は負け、なべて世はことも無し。漫然とこの雑記を書いたりする。


7月20日
松野さん(名大(9))が久々に日本に帰ってきたので、名大SF研東京組で集まって飲む。「いろいろあった」が、最終的に亀山さん(6)、岸岡さん(6)、藤澤さん(6)、矢来さん(7)、松野さん(9)、林の6名が参加。古いアニソンを歌い、Yellow Submarineを見て周り、うまい飲み屋で飯を食った。充実した一日であったことであるよ。


次回へ


このページのトップへ