過去の雑記 98年7月

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7月21日
帰宅後、ウェブ上では詳細が何も分からなかったジュニア・オールスターの結果をチェックする。テレビをはしごしてもよく分からない…。とりあえず、オールウェスタンが勝った事だけは確かなようだ。
プロ野球ニュースなどによると、横須賀からは神田、石井義人らが参加して、それなりには活躍したらしい。喜ばしい事である。


7月22日
会社帰りに、月曜から目をつけていたモンスターコレクションのシングルカードを買いに、新宿西口Yellow Submarineに向う。僕はゲーマーであり、コレクターではないので、シングルカードを買う目的は当然デック強化である。そりゃあ、買いに行った2枚は持ってないカードだが、あくまで偶然である。また、その2枚で基本セットがコンプリートになるが、あくまで偶然である。また、「ゴースト」と「髑髏の魔術師」を同時に使うデックは今のところ思いつかないが、あくまで偶然である
ところが、なんとしたこと!いざ店についてみると「ゴースト」が売り切れている!!あと一枚でコレクションが揃ったのに。くくぅ。諦めて「髑髏の魔術師」を買って帰る事にする。ああ、「ゴースト」欲しいなあ。何があろうとデックに入れない自信はあるけど。

コレクションが完成しなかったデック強化が未完成に終わった悲しさを紛らわすため、本屋を3件はしごして帰ると、午後9時を回っていた。はて、何か忘れてるような…。
すぐさまテレビのスイッチを入れるが時すでに遅し。オールスターは終わる寸前、佐々木が柳田に最後の一球を投げたところであった。TBSの野球中継なんて見ても仕方が無いと思ったのが敗因だろう。よく考えてみればナゴヤドームの試合なのだから製作はCBCなんだな。久々に久野誠のアナウンスを聞けるとこだったのに、もったいない。
ゲームの方は割と凡戦で、セントラルの一方的な試合だったらしい。8回の松井(L)のファインプレーが無ければ、パ・リーグファンには悲しすぎるゲームになったところだ。MVPは中日の川上。ゲーム中の10年選手のような投球と、試合後のプロ野球ニュースでの緊張しまくった様子が印象に残った。順調に行けば少なくとも今中・山本昌クラスの投手にはなりそうだ。今後の横浜との対戦が楽しみ。
しかし、プロ野球ニュースでの佐々木・谷繁の緊張感の無さは何だ。どこの解説者かと思ったぞ。


7月23日
いつのまにか五島勉の新刊が出ている。最近の五島の主張は「このままだと」1999年に世界が破滅するという内容らしい。なるほど、無事迎えた2000年の新年には、「わたしの警告のおかげで世界は破滅の運命から救われた」とか言うわけね。
しかし、五島のノストラダムス本のとなりに、と学会のノストラダムス本を置くかね、明屋書店。面白すぎだって。

ふと気がついて、SFMインデックス上のソムトウ・スチャリトクルのデータを直す。更新履歴にも書いたが、この人、ソムトウが姓でスチャリトクルが名前なんだな。まあ、どちらが正しいとも言いにくい問題なんだけど、「姓」+「名」を基準とする日本語でリストを作るなら、できるだけ姓をちゃんと扱いたいと思うので。
ちなみに、このソムトウの名前、ローカスのインデックスでは、S. P. "ソムトウ"(""内が姓)という作家が、ソムトウ・"スチャリトクル"(""内が姓)というペンネームを使っていたのだとして処理してあった。実用を考えれば、これはこれで正しい方法だろう。


7月24日
やっとのことで『グリンプス』を読了。それなりに感想はあるんだけど、名大OBメーリングリストページの方に送ることにする。掲載は来月初めの予定。一言だけ感想を書くとするなら、ロックを知らない僕には、何も共感できないぞってとこか。なんで60年代を経験した人って世界の現状を自分が変えられるなんて妄想を抱いたんだろう。理解ができん。

縁あって、「ルパン三世」のテレビシリーズを見る。林原めぐみ演じるヒロインはちょっと良かったけど、全体としては碌なもんじゃないなあ。銭形とルパンが共同して悪に当るってのはどうしてもなじめない。
ヒールは徹底的にヒールであって欲しいんだが。


7月25日
引越し先をそろそろ検討するためと称して早稲田を歩く。結局、不動産屋には全く入らず、本屋のはしごで終ってしまった。
しかし、今日は無謀な量を買い込んだ。SFマガジン98年9月号(早川書房)に始まって、『ホログラム街の女』(ハヤカワ文庫SF)、『とびきり哀しいスコットランド史』(ちくま文庫)、『舌づけ』(祥伝社ノンポシェット)、『夢』『巡礼たちが消えていく』(国書刊行会)、『葬儀よ、永久につづけ』『ワイルド・ミートとブリー・バーガー』(東京創元社)、それにSFMのバックナンバーが60年代で3冊と、カイエのSF特集、加えて、竹本泉『乙女アトラス』など、都合1万5千円を超えるという。いくら、ストレス解消法とはいえ、こうまで一度に買うことはないよな。

あまつさえ、「すごいよマサルさん」のサントラを買ったり、「ブレン・パワード」のシングルを買ったりわれながら正気とは思えない…。

縁あって、「みーふぁーぷー」を半分だけ見る。中の「ファンファンファーマシー」が実によくできたファンタジーであることに感動。中身のわからない謎の小箱というモチーフを美しくも教育的に処理していて、それでいて説教臭くないあたり実によくできている。これなら次に間違えて見てしまっても許せるかも。

大熊@Book-meter君にプレッシャーをかけられたので、SFマガジンの8月号を読む。しばらく休もうと思ってたんだけどな。
しかし、これが大当たり。ロシアSFの幻想性は、やはり英米のそれとはレベルが違う。長編の要約のようにしか読めない「ボナパルト某」、はなっから風刺バリバリの「ミイラ」、サスペンスフルな展開と抽象的な人名表記がミスマッチな「文化を担うもの」、何れもわからないながらも優れて幻想的で非常に楽しく読めた。特に「ミイラ」は怪奇小説としてよくできている。未読のかたは一読の価値ありと書いておこう。
残り一作、「未調理のフグ」はどう読んでいいんだか、本当に分からなかったけど、全体としてはかなりの高得点なんではないでしょうか。
しかし、この「未調理のフグ」で大笑いできる冬樹蛉(SFオンライン98年7月25日号のSFMレビュー)はさすがにすごいなあ。日本人が、アメリカ人の日本人への偏見を日本人に向けて書いた「色眼鏡の狂詩曲」と、ロシア人が、ロシア人の日本人への偏見をロシア人に向けて書いた本作では大分笑い所も違うだろうに、と思うんだが。


7月26日
SFマガジン8月号を読了。『エリコ』はあれじゃ、全然ダメでしょう。前半の見せ場作りにページをとられすぎたか、最後は設定をト書きで喋るだけの3流アニメと見まごう展開。他の作家ならいざ知らず、谷甲州のレベルから言えばとても許容できる代物とはいえない。単行本でよほど手を入れないと読めるものにはならないんじゃないかな。
山田正紀は回を追うごとに面白くなるんで、ラストの腰砕けが今から心配。神林はまだぜんぜん話が進んでないので保留ですね。

いまさら、ノーラが休刊になったとこに気づく。ああ、キャプテンとともに前期オタク系を支えてきた雑誌もついに無くなるか。
角川系列だけしかオタク系雑誌が残らないというのはいやな世の中だなあ。


7月27日
SFマガジン9月号を読み始める。なるほど、確かに面白いわ。小林泰三「脈打つ壁」は彼が角川で書いているときのノリのホラー。典型的な怪談の構造にしたがっているんだけどそれが見事に機能している。田中啓文「地球最大の決戦」は日本SF伝統のハチャハチャSF。ネタは前作「脳光速」の方がでかかったけど、まとまりはこっちの方が良いな。朝松健の「ギガントマキア1945」はナチクトゥルーの新作。ダーレス系クトゥルーは嫌いなんで、これは評価が低い。
以上、今日読んだ3作については2勝1敗。すでに標準を越えているので今月は合格ですね。あとは、大熊君お勧めのマクデヴィットが楽しみ。

撮り溜めていたビデオをまとめて見る。
「lain」の第2話は期待通りの面白さっつーか、画面のカッコよさ。ストーリーはまだ見えてこないが、明暗のコントラストも美しきソフトフォーカスがかかった画面作りは最高。しばらくはこの画面だけで見続けていけそう。
先々週の「晴れブタ」はいつも通りの高水準。先々週の「トライガン」はそれなりにカッコ良いんだけど、たまに気に入らないカットがあるのが普段が良いだけに気になる。特に、盗賊団を皆殺しにするシーンはちょっと駄目。あんなもん、もっと血が吹き出るシーンをビシバシ描かなきゃ。

無理だって。


7月28日
9月号を読了。マクデヴィット「フォート・マクシー分館にて」は書籍に関するファンタジー。せっかく素晴らしいネタを掴んだのに処理に失敗している。このネタでこの程度の使い方じゃあ、ちょっと評価はできないよな。牧野修「翁戦記」は伝奇物。長編で読んだ方が面白かったような気がしてならないが、見せ場での幻視力はさすが。集中では1、2の出来かも。
読切りの評価は3勝2敗、トータルでの評価は割と高めだ。これで、野阿梓の投書が載ってなければねえ。


7月29日
京大裏SF研の掲示板、遠き神々の掲示板が熱い!SF系の掲示板では今一番面白いかも、って7種類くらいしか読んでないけどさ。話題は野尻抱介と京大OB二人による、えーと、ジャンル論&書評批評になるのかな。最近は「絵や声優に最初から頼るようでは作家として敗北している、なんて批判しかできない輩にヤングアダルトを語る資格はありませんね」だとか、楽しい言葉も飛び出してもうノリノリ。ペースの遅さからするとそのうち終っちゃうかもしれないんで、引っかきまわしに行くなら今がチャンスだ(笑)。
個人的にはこの論争に参加する気力はわかない。確かに「完成度なんて言葉を安易に使うな」などという胸に鋭く突き刺さる指摘はあるものの、「萌える」という概念がまったく理解できないという根本的な障害があるので、議論の言葉を持ち得ないのだな。バカを愛することはできるし、「燃える」絶対論なら理解できるんだけど、ダメを愛する心というのはどうしてもわからない。しょせん僕はオールドタイプということなのだろうか。

SFM98年7月号のてれぽーと、野阿梓の投書について何か書こうかと思ったら、ここで言いたいことはほとんど言われてしまっていたのであった。投書の内容の酷さについてはこれに付け加えることはないので、一言だけ。「なんでいまさらこんなくだらない文章を載せるんだ、SFM編集部。」


7月30日
牧眞司さんからメイルを頂く。感激である。

牧さんといえばSFMの名連載、「SFファンのための世界文学百科」(*)を読んで以来の大ファン。SF界屈指のリスト作成者としても、また、日本トップクラスのラファティ研究家としても尊敬しているかただ。そんな方からメイルをもらったとなれば内容はどうあれ、嬉しくなっても仕方が無いでしょ?
まあ、内容の方は本当にどうあれなわけで、頂いたのはラファティ・リストの追加と、SFセミナーレポートの訂正依頼。
セミナーレポートの訂正というのは、ひとつは合宿企画「パソコンネットワークとSFファンダム」についての記述で、「中央を持たない(過去を離れた)ファンダムの存在を認められない牧眞司」という部分を訂正して欲しいというもの。
「認められない」というと、なんだか私が「ネットなんてものはファンダムじゃない」と否定的な態度をとっているように受け取られてしまいます。
というのは確かにその通り。小浜さんに関する記述との対比の意味で強い表現になりすぎていましたね。牧さんにお詫びしつつ訂正しておきます、って、この表現でもまだ強いかなあ。
もう一つはさらに言い訳の聞かない単純ミスで、名前の表記がコーナータイトルの登場人物紹介欄で、「真司」となっていたというもの。これは、SFセミナーのページからデータをペーストする際にチェックしなかったのが原因なんだけど…、いや言い訳はよくないな。
最後のラファティ・リストの追加というのは、僕の知らなかったファンジン掲載作を教えていただいたというわけで、ただ単純にありがたいんだけど、考え様によっては自分の努力不足の露呈とも考えられる。
文章に対する感受性の鈍さ、ケアレスミス、努力不足、いずれもロクなもんじゃないですね。もっと精進しなければならないと、心を新たにする今日このごろであることよ。

(*)SFマガジン89年9月号から95年12月号まで、足掛け7年、73回に渡って掲載された名エッセイ。SFファンに「「文学」のなかにも、こんな面白いものがあるんだよ」ということを伝えるために書かれたもので、読書欲をそそる作品紹介と、作品選定の確かさは絶品だった。
スティーヴン・ミルハウザー、エイモス・チュツオーラ、レーモン・ルーセルなど、この連載のおかげで作品に出会う事のできた作家は数多く、90年代の連載エッセイでは最も面白いものだったと思う。ぜひとも、再開もしくは大幅な書き足しによる単行本化を望みたい。


7月31日
ガルベスが(趙とは別の意味で)壊れた。これで横浜の敵は中日のみである。マッチレースの相手との対戦が14も残っていて、対戦成績がかなりの負け越しというのは気になるところ。中日の戦略レベルでの競り合いの弱さに期待をかけるのみだな。

ひさびさに「ナデシコ」の再放送を見る。つまらないアニメだと思ってはいたけど、こんなにひどかったっけ?なんで、これが劇場公開なんて話になるんだろう。世の中って不思議だなあ。


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