過去の雑記 98年8月上

雑記のトップへ


前回へ

8月 1日
やや遅れてユタの例会に参加。今回の参加者は、赤坂様、大森家御夫妻、小浜家御夫妻、鈴木力様、添野家御夫妻、高橋良平様、林、深上鴻一様、福井健太様、藤元直樹様、柳下毅一郎様(順不同敬称付き…、変だな)と、かなり多めの14人。
はじめは、PUTAOのSFマンガ特集や、CAPRICONの話などの話題もあったが、今日のメインはやはり弘前大OB赤坂氏のパワーあふれる語りだろう。オカルト研究家の立場からの山本弘批判や、ショタコンML管理者の立場からのショタコン界論などは絶品。特に「ショタコンは大きく、ヤオイ系、ロリコン系、ペドフィリア系、純正ショタコン系の4種類に分かれる」とか、「ショタコンの祭典、ショタケットでは参加者の9割が男性だ」とか「ショタコンはプラトニック系と実用系が入り交じっている」などというショタに関する蘊蓄の数々には目から鱗を剥ぎ取られるばかり。その場にいたみなが固唾を飲んで聞き入ってしまうばかりの迫力でありました。いや、すごかった。
「ねぎし」で飯を食ってる間には、多少SFの話をしかけたものの、つい野球の話に流れたり、ゲームの話に行ったっきり帰ってこなくなってしまったのは自分の意志の弱さか、芸風か。まあ、今回はネタが無かったから仕方があるまい。次の機会はどうせ9月になるんだろうから、それまでにネタを溜めておこう。とりあえず、『ロマン』を読まなきゃな。


8月 2日
一日寝る。起きると球界の盟主で紳士な巨人がいつものように乱闘をしてたり、シューマッハがぼろぼろになっていたりする。なべて世は事も無し。

そういえば、今日の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」はちょっとキテいた。両津が理髪店でとんでもない目に会うという繰り返しギャグなのだが、最後の無限に髪が伸びるというネタでは、止める手段が無くなり、地球全体が髪の毛に覆われてしまう。
マンガ版では、せいぜい東京中が髪の毛に覆われるくらいだと思うのだが、この辺がマンガとアニメのメディアの差か?


8月 4日
『ロマン』(ソローキン、国書刊行会)の第1部をやっと読み終わる。まだ上巻の半分くらいだから前途は遼遠だ。
この作品、上下巻、分厚い、人物描写が多い、など僕の嫌いな小説の要素がたっぷり詰まっているのだが、これがめっぽう面白い。僕が嫌いなのは、上下巻で分厚い”下手な”人物/人間描写だということを再認識。そうだよ、ベアやベアやベアがあんなにつまらなく感じるのも僕のせいじゃないんだ。ヘタクソは人間なんて描かなくていいんだよ。SF作家は無理せず人類を描くことに専念してくれ。
この本、ここまでは「人間的な人々に囲まれた理知的で信仰心の篤い青年が牧歌的なロシアの田舎の生活を満喫する」話になってるんだけど、これをどうやって戦慄のスプラッター・ノベルに持っていくんだろう?


8月 6日
SF-MLで、かわいいロボットには何があるかというのが話題になっている。『都市』のジェンキンズ、「ロビー」のロビーなどなかなかの線があがってはいるが、今一つインパクトにかけるのは否めまい。人工知能もロボットに含めていいのなら、エピクト、HAL9000、GOLEM XIV、マルチヴァック、ラジェンドラなども当然候補にあがるはずだが、ロボット限定だからなあ。とりあえず、僕としては『光のロボット』ガーガンを推そう。
しかし、ジャスペロダスがかわいくないという意見が挙がっていたのは謎だな。あんなにかわいいのに、ジャスピー。
『ヴァーチャル・ガール』の可動ダッチワイフごときがかわいいとされていたのも謎だが。

阪神戦は延長14回の裏ローズのサヨナラ3ランで決着。勝利はそれなりに嬉しいが、ほとんど感動が無いぞ。やっぱり、慣れない状態というのはよくないなあ。


8月 7日
東洋大SF研が、「あなたが選ぶSFな歌」という企画を始めるらしい。まだ、投稿フォームの設定がうまく行かないらしく募集自体は始まっていないようなので、今のうちに考えておこう。
ジャンルは、アニソン、映画サントラ、その他の三つ。
アニソンは候補が多すぎて絞るのが難しい。とりあえず、70年代ロボットアニメのような正統派アニソンはきりがないから除くとしよう。僕が「SF」という単語に感じる、イメージともあわないしね。
で、「The Galaxy Express 999」や「STAR SHIP〜光を求めて」、「ミッドナイト・サブマリン」に「ドリームシティ・ネオ・トキオ」、「亜空大作戦のテーマ」に「約束の土地へ」などいろいろ考えてみたものの、ここは無難に「Hello, VIFAM」かな。決め手は大河原邦夫のEPジャケット(笑)。
映画サントラは逆に知らなさ過ぎて決めづらい。「一番宇宙を感じる曲は?」って聞かれたなら間違いなく、「美しき青きドナウ」か「ツァラトゥストラはかく語りき」なんだけど、それじゃあいくらなんでもアレだしなあ。「ゴジラ対ヘドラ」挿入歌の「かえせ、太陽を」って手もあるけどちょっと狙いすぎという感は否めないし。やはり無難に「ゴジラのテーマ」(正確なタイトルは不明)でしょうか。
その他ってのは僕の場合簡単ですね。とりあえず聴いているアーティストの中でSFな可能性があるのは山本正之、YAPOOS、筋肉少女帯、ZELDAくらい。筋肉少女帯は変格推理だから除くとして、ジュヴナイルの山本正之か、筒井のYAPOOSか、ニューウェーヴのZELDAか。山本正之なら選ぶのは何といっても「サスクハナ号の曳航」。梶尾真治もかくやという哀感に富んだ時間物の佳作。海外SFと比較されると、かなり味わいが違うのが難点か。YAPOOSなら、「コレクター」や「肉屋のように」を選びたいところだけど、「SFか?」と聞かれると困るので、あえて「ラブクローン」。恋愛物SF短編としては割とよくできている。少なくとも『ラヴメーカー』の諸作よりは数段マシだな。ZELDAだと「スローターハウス」「夜の時計は12時」なんかもいいけど、1曲なら「FOOLISH GO-ER」かな。歌詞自体はなんにもSFじゃないんだけど、一部のSF短編が持つ狂騒的な雰囲気をよく表している。
で、このなかからどれを選ぶかというと…、「サスクハナ」でしょう、やっぱり。

昼休みに『怪獣文学大全』(河出)と、『ブギーポップは笑わない』(電撃)を買う。どちらも文庫で同じくらいの厚さ、ところがお値段は、前者が税別950円で後者が550円ときたもんだ。いや、ページ数は2割ちょっと違うんだけどね。
でも、値段あたり満足度は前者の方が高くなる可能性大(笑)。

実に何事も無かった1週間にキレかかっていたので、池袋で大散財。
まず、池袋ジュンク堂で『SF大百科事典』、『福の神と貧乏神』、『トンデモ1行知識の世界』、『SF宇宙科学講座』、「ミステリマガジン」500号を購入。次に、西口に周って古本大学でHMMを奇妙な味特集を中心に5冊購入。しめて2万円弱。われながらキレると何をするかわからない。

『SF宇宙科学講座』は「スタ・トレ」「Xファイル」など映像メディアが元ネタの本。この手の本としては邦題調査のレベルが非常に高く、好感が持てるのだが、いかんせん僕は「スタ・トレ」が大嫌いなので、読んで面白いかどうかはかなり怪しい。 < じゃあ、買うなよ。

そういえば、高野書店があるはずの場所が「たもかく本の森」なる店に変わっていた。東北のどこかにあるというだだっ広い敷地一体に古本の詰まった巨大倉庫が建ち並んでいるというなぞの店の支店らしいんだが、いかんせん商品層が…。この手の広大な読者層を持つ本中心の古本屋の存在意義は重々承知しているつもりではあるけれど、やはり、僕は高野書店の方が良いです。
しかし、どこいったんだろ?


8月 8日
朝から東大ゲーム研の合宿に混ぜてもらってひたすらゲーム。5タイトルすべてがドイツ製というあたり、いまのドイツゲームの勢いを感じざるをえない。また、いくらカードゲームを含むとはいえ、わずか10時間強で5タイトルもできるあたり、ドイツ製ゲームの「軽さ」には感心するばかり。
「チグリス&ユーフラテス」はその名の通りバビロニアの覇権を争うという設定の2-5人用ゲーム。タイルを配置して「王国」を広げ、隣接した王国が合併していくプレイの外見はアクワイアに似てるかも。ただ、合併の際に利益を得るのは吸収する方だったり、稼ぐのはゲーム中では使うことのないVPだったり(アクワイアではゲーム中に使用できる「資金」を稼ぐ)プレイ感覚はかなり違う。初回プレイでは今一つ感覚がつかめずぼろ負け。VPを手に入れる手段となるリーダーマーカーをいかに守かが勝負の要となるようだ。
「エル・グランデ」は中世スペインの覇権を争うゲーム。少ないユニットを効率よくエリアに配置し、より多くのVPを手に入れるのがポイント。序盤の失敗が最後まで響いてこれもボロ負け。VP換算ターンのプレイ順がかなり重要になるため、当初からそれを意識したプレイをすることが鍵となる。
「ラッツィア」はカジノのあがりをギャンブラーと警官で取り合うカードゲーム。相手がギャンブラーカードを出してくるタイミングを読んで、警官カードを出すポイントを見切る腕が勝負をわける。1ゲーム10分前後の軽いゲームなので気楽にできるのが魅力。人数は多めの方が面白いかな。
「6ニミッツ」はプレイング・カードの気分でプレイ可能なカードゲーム。昇順でカードを配置したときに6枚目に当るカードを出したプレイヤーがそのシーケンスをとり、そのトータルが少ない方が勝つというルールなんだけど、このルールだと5人でプレイするとカードが偏った場合に洒落にならないことになる。このゲーム、4人または、6人以上でプレイした方が良いかも。
「メディチ」はVPを使って、物品カードを競り、毎回の得点を競いながらトータルでのVPを競うゲーム。1ターンでの勝敗とゲームを通しての勝敗が必ずしも一致しないのがポイントで、このターンだけならいらないけど、全ゲーム的には欲しい商品を手に入れようとするかどうかがゲームの鍵を握る。今回は2・3位連合で1位を蹴落とすという協定が成立してしまったおかげで大逆転の1位になれたが、ちょっと正しい戦略が見えていないので次のプレイではどうなるか分からない。

結局、たかだか10時間程度とはいえ、ぶっ通しでゲームができたし、なによりグローランサの世界観について熱く語る人々を間近に見られたというのが最大の収穫。パラノイアだのチルだのなんてふだんお目にかからないからなあ。なんか高校時代を思い出して嬉しくなってしまったのでした。

しかし、大学内のボロ施設に4泊5日も泊り込んで寝ても醒めてもゲームをひたすらやり続ける合宿に、社会人大量に含む数十人が参加するなんて、ゲーム系サークルの熱さは一味違うなあ。


8月 9日
あまり荷物を名古屋に持っていきたくないので読み終わりかけていた『ロマン』の上巻を一気に読む。あいかわらず、美しいロシアの自然と、興味深いロシアの風物が丹念に描かれ、魅力的な人物達が、ウィットに富んだ会話を続ける厚みのある文章で物語は綴られ、教養小説にはなったとしても「戦慄のスプラッター・ノヴェル」(帯より)にはならないんじゃないか?という雰囲気。確かに、主人公ロマンのキャラクターとあわせ、伏線か?とにおわせるシーンもないではないけど、このままだと単に主人公が人間的に成長して終っちゃいそうなんだけど…。このまま終っても面白かったから良いんだけど、「娯楽で時間を潰してしまった」という気分はぬぐえないかも(笑)。

夕方着のゆったりとした日程で名古屋に帰る。うむ、京浜工業地帯の排気ガスで薄汚れた空気から脱し、中京工業地帯の活気あふれる汚染大気を吸うと故郷に帰ってきたという気がするね。
特に我が家のあるあたり、国道一号を走るトラックのディーゼルエンジンの排気と、中川運河の材木から立ち上るメタンガスの臭いにふれると、なんとも心が落ち着いてくる。やはり、人の住むところというのはこうでなくては。


8月10日
せっかく買ったので小松和彦『福の神と貧乏神』を読了。福の神の出自について聖と俗だのハレとケだの芸人と被差別民だのとの絡みから読み解く話で、さほどとんでもなく目新しいというところはない。まあ、中学生だか高校生だか向けの叢書らしいからこんなもんか。

夕方から名大SF研の名古屋組で飲み会。締め切り前で残念ながら欠席の高柳さん(8)に、わざわざ岩倉から上小袋まで出てきていただいてサービス券を頂いたのに、何の関係も無い素材屋にいきなり入ってしまうあたりはメンバーが悪かったとしか言いようが無いな。参加者は、浅井慶(7)、小松(8)、山田博(8)、浅井良(10)、林(10)、田中克(11)、平田(11)、堀口(13)の8人。(敬称略)。適当に飲んだ後は、カラオケに行って、最後は部室に。11時過ぎに、まだ4人も人がいたという事実に驚きながら、田中とモンスターコレクションをプレイしたり、徹夜麻雀をしたりする。
午前7時、八事霊園で墓参りをしてから帰宅、就寝。


次回へ


このページのトップへ