過去の雑記 98年7月上

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7月 1日
今月はSFマガジン強化月間なので、SFマガジン98年4月号をいまさら読了する。涙無くしては読めない星新一追悼記事を除いてしまうと、いいとこ平均点か。特集のノンフィクション記事は面白かったけど肝心の短編が、さすがに同じ話なんで飽きてきたイーガンとか、主張が鼻につきすぎるスワンウィックとかではねえ。ロビンスンの短編もSFと幻想小説の間の位置取りに失敗してる感があるし、クレスの短編はそれなりの出来だけどインパクトにかける。この調子では、マガジン読者賞は狙えないな。
連載では、山田正紀が相変わらず快調。とはいえ、いつもこのあたりまではとんでもなく面白いので、問題はここから。秋までこのテンションを維持できれば国内作品部門は堅いんじゃないかな。


7月 3日
何を思ったか、会社帰りの芳林堂で大量に本とマンガを買い込む。本は『ロマン(II)』『僕の陽気な朝』『火炎樹』(国書)、『ボルヘス怪奇譚集』(晶文社)、『グランド・ミステリー』(角川)、マンガは<キムタク>の4巻、『恋愛的瞬間』の4巻、『ワッハマン』の10巻、『大同人物語』の1巻など。

『ボルヘス怪奇譚集』は『幻獣辞典』の系列の1冊。「物語の精髄は本書の小品のうちにある」という言葉は伊達ではない。さまざまな、あるいはただひとつの物語の核が92編収められている。ゆったりとした気分で読みたい1冊。

『大同人物語』は収穫。平野耕太だから面白いに違いないとは思っていたけど、こんなに面白いとは思わなかった。とりあえず、物語はまだ始まったばかりなので次回が楽しみ。


7月 4日
夕方から、山本正之のライヴ、女神の自由に行く。今回はフリークショウということで、珍しい曲/新曲が中心だった。主な曲は、「おお真光」「ここここ高円寺」「魔球」「女神の自由」など。個人的には、明るい曲調の女性讃歌「女神の自由」がベスト。しかし、クライマックスの、「LEXINTON」〜「ライアン」〜「朝びらき丸東の空へ」という構成は見事という他あるまい。まんま、先日の芝居の中盤のクライマックスで、芝居を見に行った人間は軒並みツボを押されていた。さすが、ベタな作りではトップクラスの作詞家/演出家である。

ライヴ終了後夕食を取ってから、高田馬場ルノアールへ。ユタの例会系の人々がいるかも、と思っていってみたら正解だった。とりあえず深上さんに資料を返すのが目的だったんだけど、なんとなくそのまま話し込んでしまったので、いままでで一番SFの話をしていたかも。いや愚痴をこぼしていただけだけど。
しかし、TRPGネタでこんなに盛り上がるとは思わなかった。なんか、同世代以下のSFファンには必ず通用している気がするな。ひょっとして、70年代以降生まれのオタクは全員D&Dをプレイしているのか?


7月 5日
法事のため、7時台の新幹線で名古屋へ。起きる自信が無かったからって徹夜することはないよな。おかげでクロアチアの勇姿なんて見ちゃいましたよ。
野暮用はまあ、つつがなく終了。3時ごろ名大に向かう。たとえ、この身は武蔵野の片田舎に閉じ込められていようとも、心は大都会名古屋に置いてきている僕としては、名大SF研に立ち寄るチャンスを棒に振ることなんてできない、って単に用があっただけだけど。
途中、上前津の三松堂で古本をチェック。昨年から目をつけていた早川SF全集が売れていたのは大ショック。とっとと買っておけばよかった。出物はSFマガジン360号くらいまで、2、3冊欠けで十五万というやつ。さすがに手が出なかったけど、過去の蓄積が少ない方はひょっとしたら狙い目かも。(そうか?)

SF研の部室につくと、日曜だというのに男ばかり(注:そもそも現在、男しか所属していない)3人もうだうだしている。D3の小松さん(8:名大SF研暦での入学年度、以下同)や、M3の岡崎(11)はともかく(ともかくか?)山川(15)はB2なんだから、もう少し日曜は活動的に過ごしたほうがいいんじゃ。東洋大の学生なら、バイトか、デートか、修羅場で忙しいぞきっと。
まあ、こっちにとっては話し相手がいるぶん都合が良い。久しぶりの名大な会話をしているうちに無限に時間が潰れていく。個人的マンガベスト10選びなんてのは、「いかにも」な感じだ。
ちなみに僕は高橋葉介『怪談』、田河水泡『のらくろ決死隊長』、内山まもる『ザ・ウルトラマン』、<MMR>、とり・みき『とり・みきのキネコミカ』、唐沢なをき『鉄鋼無敵科學大魔號』、島本和彦『逆境ナイン』、とかなんとか書いてきた。本気で選んだら入らない奴が多いが(笑)。
そうこうするうちに、M2の堀川(12)、B4の神崎(13)、B1の野呂君(17)などが現れる。日曜だというのに、狭い部室に7人も…。いいけど。
野呂君の芸風の面白さを堪能しているうちに、洒落にならない時間になりそうになったので後ろ髪を引かれつつ、東京に向う。

新幹線の車内で名大のコピー誌ミルクソフト最新号(143号)を読む。もともと情報誌だったとはいえ、本当にレビューとイベントレポートしかない誌面になってますね。中では中尾(13)のYAレビューが面白かった。昔は、ただやる気の無い文体にしか見えなかったが、最近は「やる気の無い文体」という芸になってきている。経験というの偉大だな。
しかし、なんでまた急に中尾(13)が原稿を書いてんだ?と思ったら、編集者だったのね。B4になっても編集をしなければいけない最近の名大SF研のシステムはどこか歪んでいると思うのだが、どうか。って、僕の同期の水牧(10)もB4で編集やってたか。
とりあえず、後輩(と先輩)たちが健在であることを確認し一安心。この様子なら、21世紀くらいまでは持つでしょうきっと。あと3年だし。


7月 6日
昨日の疲れが出たか、完全に寝過ごし大遅刻。かろうじて午前中にはついたんだが、午前半休をとってしまった。ま、半分覚悟はしていたけどさ。

帰宅後、昨日とっておいたビデオを見る。
「夢のクレヨン王国」はイマイチ。わりと丁寧な作りだし、オープニングは気に入ったし、それなりに評価は出来るんだけど、シルバー王女が気に入らないのはいかんともしがたい(笑)。
「ファンシーララ」はちょっと反則。主人公が、高熱による夢の中でおもちゃの世界を探検するという話に、捨てられてしまったおもちゃへの想いというテーマを重ねてるんだけど、ファンシーララモードの登場シーンはわずか10秒程度、メインパートはずっと主人公の5、6歳頃の姿という、どの客層を狙ってんだかな回になっている。夢の中の世界もかなりシュールだし、ラストでは現実のシーンのはずなのに夢の中に出てきた巨大な熊のぬいぐるみがいるという異様な脚本。これでけっこう良質なファンタジーになっているから油断ならない。ひょっとしたら、むちゃくちゃおもしろいのか、この番組。
OP/EDには耐えられないんだけど。

その後、テレビ東京の新番組「lain」を半分だけ見る。見た範囲では、画面がやたらカッコイイ。ひょっとしたら最初から見なかったのは大失敗かも。とりあえず、来週はチェックせにゃならんな。

というわけで、ひととおり放映中の民放・地上波・VHFのアニメをチェックしおわった。とりあえず、「晴れブタ」「トライガン」「lain」を見ることにする。さあ、やっとおちついて生活できるぞ。


7月 7日
昨日は疲れちゃいないのに、完全に寝過ごし以下同文。体勢を立て直さないと洒落になんないかも。とりあえず明日はちゃんとがんばろう。 『深上の快落日記』を読んでいると、「ハヤカワ文庫コンプリートを目指してるので」という記述を発見。それはまた修羅の道を。たしかに、1年足らずで文庫SFを揃えきり、あまつさえサンリオまで揃えようかという勢いの溝口@書物の帝国さんなんて例もあるから、金と暇に糸目をつけなきゃなんとかなるとは思うけど、絶対に読まないと自信を持てる本すら買わなきゃいけない精神的苦痛を考えるとどうか。もう少し、国書刊行会コンプリートとか穏やかなものにしといた方が…。 < どこが穏やかだ

夜、中日-ヤクルトを聞いていると、ロッテ・黒木が同点弾を被弾のニュースが!驚いて続報を待つうちに、今度は佐々木が逆転打を食らったというニュースが!!いつかは、打たれるとは思っていたけど、まさか阪神ごときに打たれるたあ。打ったのが割と好きな矢野だった事で何とか動揺を抑えようとするが、脱力して何事もやる気が無くなるのは如何ともし難い。これで今期4位が決定したような気がするのは気のせいか?


7月 8日
昨日は隣がうるさくって眠れなかったので、完全に寝過ご…すことなく起きることが出来た。とりあえず、遅刻(正確にはフレックスの使用)ができるのも久しぶりだ。

そんなこんなで、SFM98年5月号読了。ああもうどうしようもなくジュブナイルですねえ、というハインラインや、落ちで作家の名前が明かされるという構造も見苦しいバクスター、シリーズ2回目で早くも飽きが来た草上仁など短編の出来は前月以下。新雪風も短編としては成立していないし、読切り短編の雑誌としては機能してないね。
毎号買ってないのなら、ハインラインの書誌が必要無ければ買う価値無し。

横浜・中日の首位を争う2チームが、共に接戦をものにした。かたや1対0、かたや2対1、非常に良く似た試合展開ではあるが、内容には大きな差が存在する。
横浜は14残塁を喫しながらも阪神の拙攻に救われての薄氷の勝利。次々とチャンスをつぶす打線に気落ちしながらも、7回を無失点に抑えてきた斎藤隆を権藤監督はあっさりと交代させた。確かに、1打大量点の場面ではあった。ここで代打が成功すれば勝利は確実となっただろう。しかし、逆に代打が失敗すれば、相手に完全に流れを渡すことになる。8回の島田はどうにか抑えたとしても、9回を前日打たれたばかりの佐々木に任せることが出来るのか?権藤はあえて勝負に出た。そして、代打策が失敗し、9回の大チャンスもつぶしてしまった最悪の流れの9回、躊躇することなく佐々木をマウンドに送った。9回1死2塁の場面、バッターは昨日のヒーロー矢野。矢野の三遊間を抜けようかという打球は、名手・進藤のファインプレイによりアウトとなった。これで立ち直った佐々木は次打者ハンセンを三振に切って取り無事抑えの役目を果たした。
対して、中日である。この日の先発は山本昌広、序盤は完璧なピッチングでヤクルト打線を抑え込んだ。味方打線も復帰のゴメスの連続タイムリーで2点を先制、楽勝かと思われた4回、山本昌が突然乱れる。なにせ開幕以来、連敗が続いた投手。しかも、その負け方がすべて中盤で突然崩れ大量点を失うというものだった。中日には日笠、正津、前田、中山、落合と豊富な中継ぎ陣と絶対のストッパー宣がいる。山本昌が失点し2対1となった時点で交代することも出来ただろう。しかし、星野は動かない。結局、山本昌は完投。9回、セーブがつく場面でも宣を投入することなくゲームを終えた。
権藤と星野、対照的な采配である。権藤は、何よりも佐々木の威圧感を取り戻すため、あえて「いつもの勝ち方」にこだわった。佐々木が打たれたままでは阪神戦における威圧感が失われてしまう。佐々木の価値は、投球そのものより、他チームに与えるプレッシャーにこそあるのだ。好投の斎藤隆をあえて交代させる、権藤采配は的中。佐々木は、矢野を相手に見事雪辱を果たし、昨日の負けが偶然であることを印象づけた。
対して星野は、山本昌の復活にこだわった。野口・川上・門倉の3人が安定した投球を続ける中日にとって、今中・山本昌の復活は何よりも重大な問題である。速球を失い自分を完全に見失っている今中とは違い、山本昌の問題はシーズン開始時期にリズムを崩し自信を失っていたことだけだ。今、山本昌に最も必要なことは自信の回復である。そのため、星野は敢えて落合・宣といった最強の武器の使用を控え山本昌に完投させた。
打率こそやや差はあるが、どちらも絶対のリリーフを武器とする継投のチームである。その両者が対照的な「継投」を行い、どちらもそれを成功させた。
あくまで「抑え」にこだわるチームと、あえて「先発」を重視したチーム。最後にペナントを勝ち取るのはどちらか。10月が今から楽しみだ。
#抑え不在のあのチームだったりして。


7月10日
fj.sci.physicsで爆笑物の質問を発見。
「死体が生き返るのは、熱力学の第2法則に違反していると思うのですが、どのようにしてこのような事が起きるのでしょうか?」
そりゃ確かに、死んでる状態よりは、生きてる状態の方がエントロピーが低そうだし(証明はできんが)、エネルギー注入無しに使者が生き返ったとしたら近似的に孤立系が成立しているってのは認めてもよさそうだけど、そもそも「死体が生き返」ったちゃんとした観測例ってあるの?実例も無しに「どのようにしてこのようなことが起きるのでしょうか?」と言われても…。
たまに、こういうぶっ飛んだネタが出るからf.s.physics、f.soc.pseude-scienceはやめられない。精神力の費用対効果は低いんだけどね。

入社2年目にして同期が辞めてしまったので、とりあえず一緒に飲みに行く。辞めた理由が、「働き甲斐が無いから」ってのにはびっくり。仕事内容を聞いてみると、彼の主張には一理も二理もあり、無事大手精密機器企業に転職することになったことを心から祝う。
しかし、やることがないからなんて理由で落ち込まれたんじゃあ、必死の努力で手を抜いてる僕なんて申し訳なくてしょうがないな。

テレビ新作は全部チェックしおわった、と思ったら新作が始まってるんだな、これが。というわけで影技をチェック。動きはそれなりに自然なんだけど、格闘のクライマックスが致命的に駄目。ああいう、「ドラゴンボール格闘」は、ファンタジー以外ではやっちゃだめでしょう。いままできちんと動いていたのが、クライマックスになったとたんに、流線つけて見えない動きでエネルギー弾、ってんじゃなあ。格闘アニメは頭使わない代わりに金を使うんだってことを認識すべきでは。
ついでに、「発明ボーイ カニパン」も一応見てみる。対象年齢が違うことを痛感。僕には見る権利が無いようだ。


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