過去の雑記 98年10月

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10月11日
今日は中野君とモンコレ。「魔道士の黙示録」カードのテストとなる。
第1戦ははジャッジメント&儀式デック 対 スペルデック。こちらはユニットが実質ジャッジメントだけなので完成までずいぶんと苦戦を強いられた。なんとか完成して攻撃に出ようとした瞬間、スペル一つで壊滅させられるし、どうにも困ったものである。ジャッジメントのフォローカードが足りなかったようだ。ゲームは完敗で、このデックはそうそうに諦めることにする。
第2戦はプラントデック 対 ジャッジメント&道デック。それなりに戦って負けたので再戦を挑んだところぎりぎりで勝つことができた。これもバランスが悪いことは確かなので、実用化にはかなりの調整が必要だが、まだジャッジメント&儀式よりは100倍まともに戦えそうだ。
第3戦は吹雪デック 対 速攻ウィニーデック儀式対策仕様。相手は無駄カードを組み込んでいるにもかかわらず、こちらの攻撃がまともに機能しない。全体的にスペルカードの使用条件が重過ぎて、スペル欄が不足する傾向がある。完敗したので再戦を挑んでみたが、良いところまで行ったにもかかわらず惜敗。デック構成に大きな問題を抱えているらしい。
最後は儀式デック 対 速攻ウィニーデック儀式対策仕様。向こうは前回の敗北が相当堪えたようで、かなり対策を練ってきていたのだが結局勝ってしまった。さらなる儀式対策を施したヴァージョンにも完勝。いい気になって、さらに徹底的に儀式対策を施したヴァージョンと戦うと、判断ミスで詰めてを誤り、敗北してしまった。おかげで今日の対戦成績は3勝5敗。また借金である。
とりあえず、儀式デックの強化を心に誓い帰宅する。


10月12日
ペナントは今日が最終戦。消化試合に入ってから、完璧にやる気を失っていた横浜は今日もチンタラした野球で完敗。広島三村監督の最終戦に花を添えた。結局、鈴木尚は疑問の残る形での首位打者、石井琢は疑問の残る最多安打、ローズは絶好のチャンスを起用法で逃して打点2位と最後はすっきりしなかったが、まあ何はともあれリーグ制覇ではある。この鬱憤は日本シリーズで晴らしてもらおう。

実は、昨日遊びすぎたおかげで、OBページの締切りを思いっきり過ぎてしまっていた。しかたがないので諦めるかと思っていると、編集の山田(7)さんから、編集が遅れるというメールが届く。せっかくなので徹夜でレビューを3本あげた。社会人に有るまじき行為といえよう。


10月13日
「Number」の横浜優勝記念号が出ていたので買ってみる。「Number」という雑誌自体はあの首尾一貫としたカッコヨサが気に入らないのでほとんど読んでいないが、この増刊はかなり良くできている。ローズのインタビューなど、インタビュー記事はなかなかの出来で、特にトレーニングコーチへのインタビューは、視点といい内容といい最高の出来であった。ただ、一瞬を切り取るタイプの記事にかけたのは残念なところ。伝説の「江夏の21球」クラスとは言わないが、それを目指すくらいの記事はあってもよかったのでは。


10月14日
「週刊ベースボール」の増刊が出ていたので買ってみる。「週べ」という雑誌は、あのどうしようもない下世話さが好きでよく買っている雑誌だ。やはりプロ野球には、すかしたカッコヨサよりはどうしようもない下世話さの方が似合っている。
もちろん、この号も、主力のグラビア記事よりも記録研究記事の方がよっぽど面白いという、この雑誌特有の味が出ていてよかった。


10月15日
何を思ったか、別役実『犯罪症候群』(ちくま学芸文庫)を読み返す。
むちゃくちゃ面白い。が、内容を半分くらい忘れていることに気づき愕然とする。やはり読書スピードを120語毎分まで落とすように練習する必要があるのだろうか。

平野耕太『ヘルシング』1を購入。相変わらずどうしようもなく平野耕太であるあたりに好感が持てる。
「カトリックをなめるなよ、邪教徒。キリスト教の歴史は闘いの歴史だ。異端審問と異教弾圧で屍山血河を築いてきた最強の世界宗教だ。」
いいなあ。


10月16日
佐々木が風邪を引いたらしい。こりゃ日本シリーズも消化試合か?

某所で梅原克文書簡の在処を知り読みに行く。なんだか思ったよりは大分しっかりした内容なので驚き。だったら最初からそうやって、神林・大原が気に入らないって言えばいいのに。まあでも、仮想敵がわかったおかげで、かなり主張がクリアとなった。あいかわらず歴史認識は致命的に間違っているが、現状把握の仕方は悪くない。対策も、まあそこそこだとは思うが、僕は梅原よりは神林の方を支持するSFゴロなので、共感するわけにはいかないな。

ラッカー『時空ドーナツ』(ハヤカワ文庫SF)を見つけた瞬間に購入。読みながら帰る。


10月17日
ラッカー『時空ドーナツ』を読了。ここ3年ほどの早川では一番面白かった。あいかわらず小説としてはなってないし、特に序盤、話が本格的に動き出すまでは実にぎこちなくロクなもんじゃないんだけど、SFにおいて最も重要なイメージの喚起力は完璧。特に中盤最初のクライマックス、時空スケールを降りていく旅の描写は見事。mスケールからμmスケール、nmスケール、fmスケールとサイズの階梯を降りていくシーンではほとんど感動をすら覚えてしまう。
もちろん、そんな場面でもセックスだのウンコだののネタが出てきてしまうラッカー独特の下品さも健在(っていうのは変か、実質処女作だし)。ラッカーファン、バカSFファンには無条件でお勧めだ。

というのを読み終わったのは高田馬場駅構内。そのままユタの例会に参加する。参加者は大森望、尾之上俊彦、小浜徹也、堺三保、雑破業、須藤玲司、高橋良平、林、藤元直樹、三村美衣、柳下毅一郎(アイウエオ順敬称略)。映画の話題や、高橋さんが洋書屋のバーゲンで買ってきた本の話題など色々あったが、一番面白かったのは、来年の星雲賞を「フェッセンデンの宇宙」がとる可能性があるという話題だ。なんでも星雲賞の規定では、過去にノミネートされていない作品なら、再訳だろうが再録だろうが受賞の権利があるらしい。「フェッセンデン」ならノミネートさえされれば受賞するのでは、ということなのだが、なるほどそういうものか。さあ、これで名大のノミネート作は決まったな。
あとちょっと屈辱だったのは、今月SFM掲載の短編を紹介されてしまったこと。サボっているとこういう目にあってしまうらしい。反省して、これからはちゃんと読もう。

そんなこんなで家に帰ってから、せっかくのネタを一つ使い忘れていたことに気づく。南山大OB渡辺啓一さんが、ガシャポン・ページを始めたことをユタ参加メンバー最大のガシャポン者、小浜さんに伝えておきたかったのに。


10月18日
今日は不動産屋に行かねばならぬ。京フェスに行く前に引越しを済まし、かつ、引越し1ヶ月前に引越し先を確定するためには、今週と来週くらいしかチャンスはないのだ。あまつさえ、再来週はまるまるファンタで潰れることを考え合わせれば実質的なチャンスは今日しかないことになる。

というわけで、不動産屋に向かった訳だが、気がつくと古本屋にいる自分に気づき唖然としたりする。あまつさえ、絶対読まないという自信のある本を大量に抱えていたり。人間逃避モードに入ると何をするかわからない。
ちなみに購入したのはバロウズの<太古世界>2冊、ベンフォードの『大いなる天上の河』&『光の潮流』、ブリンの『ガイア』に、ホーガン<ガニメディアン>の2と3、シルヴァーバーグの『時間線を遡って』の都合11冊(計算は合っている)。このうち、読む可能性があると思うのは1冊だけだが、まあ〆て2000円そこそこだと思えば我慢もできるか。

夕方、ついに諦めて不動産屋へ。そこで薦められた2件のうちの条件の良い方に一瞬で決める。所用時間1時間半。1月近くグズグズしていたのが馬鹿みたいだ。ちなみに引越し先は西葛西。今の寮から歩いて10分ほどの所になる。
これで残る問題は、仕事の締切りが3つ重なる時期の直後に引越しをする余裕があるかどうかだけとなった。

帰ってからしばらくウダウダしていると日本シリーズ第一戦が始まった。せっかくの機会なのでビデオに撮りつつ、TVで見ながら、ラジオを聞くことにする。
試合は、横浜ファンとしては会心に近いが、客観的には恐らく凡戦。初回、高木大成の盗塁死と、その裏、石井琢朗のドラッグバント成功でほぼ試合は決まってしまった。
谷繁が強肩で西武の機動力を封じ、石井琢が足でかき回し、波留が繋いで、鈴木尚・ローズが帰すという完璧な展開。投手も野村が終盤崩れたことと、佐々木が登板時点であがりまくっていたことを除けばほとんど問題なく、明日以降が怖くなるほど欠点の少ない試合となってしまった。これでは横浜ファン以外の人には見るべきところが少なすぎるだろう。
横浜には、やはり大逆転を見せて欲しいんだが。


10月19日
先日の屈辱を跳ね除けるため、今週を急遽SFM強化週刊に認定。とりあえず10月号を読みはじめる。
アイリーン・ガン「中間管理職への出世戦略」を読了。働き蜂として会社に尽くすよりは、自分の個性を出して存分に楽しもうというお話(この説明にはメタファーは含まれていない)。若干笑い損ねた部分もあるので手放しに、とは言えないがかなり面白かった。ここ数ヶ月、うまくまとまってはいるけれどぶっ飛ぶほどの迫力はない、という作品が多かっただけに、こういった突拍子もない作品に出会えたことは非常に嬉しい。

行きの電車は朝刊スポーツ紙を読むのに忙しく、上記の短編しか読めなかったので帰りの電車には期待していたのだが、奥瀬サキ『低俗霊狩り』の文庫版を見つけてしまっては、そうもいかない。帰りはこれを読むことに費やしてしまった。残念ながら完結の待たれる「自動人形」の続きを読むことはかなわなかったが、単行本未収録作だった「時の狭間」「恐怖のマミ」「公園の散歩者」を読むことができたのは収穫。特に「公園の散歩者」は淡々とした雰囲気の中に奥瀬サキの詩情があふれる佳作。雑誌掲載で読んでいるから再読になるんだけど思わず涙してしまったよ。でも、こんな本が上下巻として出てしまったとなると、「自動人形」は諦めるしかないのかなあ。

日本シリーズはどうせ完敗だろうと思ってビデオの準備をしていなかったのだが、帰ってみると4対0で勝っていた。あわててビデオをセットし、最終回の斎藤隆の勇姿を記録する。
試合は、初回こそ大きなピンチを迎えたものの、そこを切り抜けた後はほぼ完璧なゲーム展開だったらしい。西武はいよいよ追い込まれてしまったようだ。
伊東の奮起を期待する。


10月20日
前日に引き続きSFMを読む。が、朝は日刊スポーツを、帰りは週刊ベースボールを読むのに時間を取られてしまい、ほとんど進まなかった。
イアン・ワトスン「夕方、はやく」を読了。唖然とする。ネタ的には無いわけじゃないという程度だし、前半の書き込みに比べると、後半があっさりしすぎでバランスが悪いという印象も受けるが、そんな些細な欠点は吹き飛ばすほど展開が変。さすがはワトスンだ。
この調子だと、SFMベストは結構楽しんで選べるかも。


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