過去の雑記 98年11月

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11月11日
SFマガジンデータ入力作業の続き。80年1月で連載が途切れると思っていたら、その前後で田中光二の『ロストワールド2』の連載が続いていることに気づく。さらに遡ると、77年までいきそうなので、これは断念。今回の更新作業は81-82、98年の3年分を対象とすることに決めた。
もう2年戻り、79年後半からを対象とすると、いわゆる第3世代SF作家をほぼフォローできるのだが、まあそれはちょっと作業量が多すぎるだろう。
しかし、この調子で入力していくとすると、創刊号に到達するのはいつになるんだろう。


11月12日
世の中にはさまざまに喧嘩だの論争だのがある。活気があって良いことだ。ってーネタで何か書いてみようかと先ほどまで思っていたが、論争全体を読み通してみると、fjのフレームレベルまで落ちていたのでやめることにした。なんで、掲示板の喧嘩ってーのは参加者のうちの最低レベルのところで交わされるんですかね。

帰りがけに東雅夫・編『恐竜文学大全』(河出)と金子隆一『ファースト・コンタクト』(文春)を購入。
『恐竜文学大全』の収録作は、既読の作品から敷延するとなかなか良さそうだ。ただ、解説には一点だけ不満が。「過去の翳」の紹介で、1977年初出の本篇を「世界初の「恐竜人類」ストーリー」と書いているが、そんなはずはない。どう考えても、昭和50年(1975年)放映開始の「ゲッターロボ」の方が先だろう。 < ありゃ爬虫人類だって。


11月13日
何の因果か朝から晩まで英語の会議に出席するはめになる。発言は先輩が担当してくれたので、こちらはヒアリングに専念できたのだが、それでもとんでもなく消耗してしまった。ああ…。
仕事のために何かを勉強するなんてのは恥ずかしくて嫌なのだが、やはり英語はちゃんと勉強せにゃ駄目か?


11月14日
昨日の疲れを癒すべく、一日中黙々とSFマガジンのデータを入力し続ける。こういった単調な作業をしていると心が洗われるようだ。

ただ、そうやって順調に過ごしていると思わぬ落とし穴が待ち構えていたりするから世の中は油断できない。
作品紹介記事を書くときは初出情報をちゃんとつけてくれよ、浅倉久志&安田均。掲載誌と掲載年までわかっていながら掲載月がわからなかったりすると、本当に苛々するのだな。まあ、愚痴を言ってもしょうがないので空欄で残し、Web検索で穴埋めをしていくことにする。

油断して「守って、守護月天」を見る。工夫の見られない脚本はともかくとして、今回メインを張っていたサブキャラ役の演技のひどさに愕然。多分、二度と見ない。


11月15日
昨日に引き続きデータ入力作業。1981-82年のデータ入力はほぼ終了した。まだ穴埋めがかなり残っているが、この調子なら年内にはWeb上のインデックスも更新できそうだ。

更新の目処が立って心に余裕が出来たので、98年SFマガジン読者賞の予想をしてみよう。今年は499号、500号があるので数だけなら大変な豊作だ。

まずは、海外部門。例年、ビッグネームが強さを見せる部門だが、モレッシイ「時計師」、チャン「理解」など意外な作品が取る場合もあって油断が出来ない。
自分の評価や好みを忘れ、純粋にどれが受けそうかという点から考えれば、大本命は「自転車修理人」(スターリング・3月号)だろう。作家のネームバリュー/スター性、前作からの間隔、作品の長さ、どれをとっても申し分ない。母集団が偏るので信頼度には難があるが、ネット上の書評での評判もよかったようだ。1点買いなら間違いなくこれだろう。
対抗は、「去りにし日々の光」(ショウ・1月号)としてみようか。再録であるという点がどう評価されるかがポイントだが、気にしない読者が多ければ本当にトップを取る可能性はある。ただ、この号の再録5本はどれも傑作なので票が割れてしまう可能性も高いのだが。
大穴は「最後のクラス写真」(シモンズ・11月号)としてみよう。作品の完成度から言えば楽々トップとなってもおかしくないが、一般受けはしない気もするのだな。これがトップを取るようならSFMの読者層を見直すんだが。

つづいて国内部門。こちらは連作の途中がとったり、連載の途中がとったり、長けりゃいいのかという受賞作が多い。しかしだからと言って、あんなんになってしまった『エリコ』(谷・8月号連載終了)や、あそこまで行ってしまった『星砂、果つる汀に』(山田・2月号より連載中)が受賞するかというと、難しいところである。
とりあえず本命は「ラヴ・ソング」(菅・7月号)。博物館惑星シリーズの完結篇として実に無難に終った点は評価されるべきだろう。1作としての完成度なら、まだ「きらきら星」(2月号)の方がマシという気もするが、最終作の方が強いのではないか。
対抗は「海を見る人」(小林・2月号)。「時計の中のレンズ」と同傾向ながら、より読みやすくまとめている点に好感が持てる。
そして大穴が<新・雪風>。「今年進んだ部分で<雪風>に投票する奴がいたら、面を拝んでみたいものだ」という気はするのだが、神林ファンは多いから油断はできない。

さて、以上2部門予想してみたわけだが、どのていど的中させられるだろうか。12月25日を楽しみにしていよう…。

え?イラストレーター部門?どうせ加藤&後藤かなんかだよ、多分。


11月16日
東雅夫・編『恐竜文学大全』(河出)読了。前作『怪獣文学大全』に比べると、遥かに収録作の出来がいい。
星新一「午後の恐竜」、河野典生「トリケラトプス」といった短編が傑作なのは読む前からわかっていたのだが、中谷宇吉郎「イグアノドンの唄」や、吉田健一「沼」などエッセイにも傑作が多かったのには驚いた。
この出来なら、950円(税別)という値段でもまったく文句はないよ。


11月17日
獅子座流星群を見るために徹夜。短い睡眠をとろうとすると、熟睡してしまう質なので、午前4時に何かをしようとすると、それまで起きていなければならないのだな。翌日、仕事があることを考えれば無謀としかいいようが無い行為だが、30数年ぶりでは仕方があるまい。

そんなこんなで、午前3時半過ぎに寮の裏の駐車場に出て、途中コンビニで休息など取りながら4時半頃まで空を見上げたのだが、結局見つかったのは2個の火球を含む4個の流星だけだった。都内で、2等級の星も見えるかどうかという視力で、正味30分観測した成果としては充分という気もするが、前評判を考えると、やや期待だおれか。それでも初めて火球を拝めたというだけで満足ではある。


11月18日
前日の無謀な行為のおかげで眠すぎて、ほぼ一日中仕事にならず。

山本正之秘密のライヴの申込締切が近づいてきた。かなり迷った末、不参加を決意する。これがアーティスト本人が参加者の名前を確認し、一人一人に声をかけるというようなクローズドなライヴでなければ一も二も無く参加するのだが。どうも創作者のと距離が近すぎるイヴェントは息が詰まっていけない。
やっぱり作家先生や音楽家には、雲の向こうから作品だけを渡して欲しいな。


11月19日
締切りが間近に迫ってしまったので、SFマガジン読者賞の投票はがきを投函してしまう。書籍の年間ベスト欄がほぼ空白なのが気になるが思いつかないしなあ。まあ、インターネットで選ぶ小説大賞と森下一仁ページのベストまでにはもう少し作品を仕入れておこう。


11月20日
ドラフト会議が行われた。松坂は西武が交渉権を得たらしい。さすがの横浜も、松坂を指名できるほどまではついてないか。でもまあ、これで西武行はほぼ確定なので、日ハム指名→社会人→読売逆指名という最悪のシナリオだけは避けられそうだ。まずはめでたい。
問題は1位指名の古木が入団してくれるかどうかだが、そこさえクリアすれば無難なドラフトだったと言えそうだ。どうせ来年は3位がいいところなので、即戦力よりは将来の方が重要なのだな。その意味では今年充填補強した内野手がどこまで成長してくれるかが大きな鍵となるわけだ。6年後のリーグ制覇目指して頑張ってくれよ。

帰りがけに、とり・みき『石神伝説』2巻、小林泰三『密室・殺人』、オールディス『グレイベアド』、ヴァーリイ『バービーはなぜ殺される』、シルヴァーバーグ『禁じられた惑星』を購入。
とりの『石神伝説』は大和編の後半から常陸編まで。白鳥君の正体がいよいよ明かされたり(バレバレだったけどね)、ラストも見えてきているようなのだが、どうか。常陸から信濃路で尾張に入って、美濃で終ったりすると美しいかな。しかし、高い頭身で書くと絵が下手に見えるね、この人。


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