過去の雑記 98年11月

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11月21日
朝から荷造り。今までも暇を見つけては荷造りをしてきた甲斐あって、思ったよりは早く目処が立った。8割ほど終えたところで休憩し、気分転換にユタに向かう。

本日の例会参加者は、大森英司、大森望、尾之上俊彦、小浜徹也、さいとうよしこ、雑破業、高橋良平、林、東茅子、深上鴻一、藤元直樹、古田尚子、溝口哲郎、三村美衣、山岸真(あいうえお順、敬称略)、かな?よくわかんないや。
主な話題はSFマガジンのベスト投票がらみ。プロ用のチェックリストを見せてもらうと、意外と見落としていた作品があることに気づいた。『グリンプス』や『ダーク・シーカー』などは意図的に切っていたのだが、まさか『虚数』や『タイム・シップ』も対象作品だったとは。『タイム・シップ』にはどうせ票を入れないけど、『虚数』を忘れていたというのは痛恨だなあ。これからは読書リストに発行年月データも付記しようかなあ。

帰りがけに<異形コレクション>『水妖』を読了。田中文雄「水中のモーツァルト」のような驚くほどの愚作もあるが、全般的には中の中から、中の上クラスでよくまとまっている。おおざっぱに見て3割が不可、5割が可、2割が良というところか。オリジナル・アンソロジーでこれだけの作品を詰め込んでるんだからまあ仕方の無いところだろう。
ただ、ヴィヴィアン佐藤「Zodiac and Water Snake」は謎。この話、途中で終ってないか?

帰宅後、12日の記述の前半について「文句があるなら掲示板に書け」という指摘を受けたので内容を確認。びっくり。例会では、「あの記述は野尻掲示板だけではなくfjなどで交わされていたいろんなフレームを念頭に置いたものだ」などと言ってしまったけど、この書きようじゃいくらなんでもそうは読めないですね。
あの文章自体は、自分の立場(ただの読者)やこのページの位置づけ(私的な雑記帳)を考えれば、なんの問題も無いと思うんだけど、1点ウェブ上のマナーに反しているかもしれない部分があるんで一応釈明しておこう。

まずマナー云々から。どの程度一般的なものかは知らないが、ウェブ上のマナーの一つに引用元を明らかにしない言及はしないというものがある。まあ、これ自体はウェブのというよりは引用という行為それ自体のマナーなわけだが。で、僕の12日の記述は野尻掲示板上の喧嘩(ここの飯塚氏関係のスレッド)について言及しながら引用元を明らかにしていないので、上記マナーに抵触しているわけだ。これは事実なので批判されてもしょうがない。
ただ、あの記述で野尻掲示板の喧嘩だと分かる人には引用は不要だし、分からない人には引用は必要無いと思うんで、マナーに反してようがどうしようが、あれで良かったと考えている。どこで戦われているかもわからない喧嘩が本当に下らないかを確かめるために、わざわざ喧嘩を見に行くのは無駄だと思いません?

もう一点、「文句があるなら掲示板に書け」というご意見自体には、「そこまで興味を引かれる話題じゃない」としか言えない。「フレーマーがやってきた」ってーだけなら、僕の狭い情報範囲でも月に2回は見受けられるとんでもなくありふれた事態だし、話題も「興味の無い作家が的外れの批評を受けている」というおよそどうでもいい話題だし。
瀬名氏の真摯な態度と、野尻氏の美しい開き直り(『ロケット・ガール』は小説としては最悪発言(#4200、#4228))以外にはあまり収穫のない喧嘩だったというのが僕の感想っすね。


11月22日
昨夜からほぼ徹夜で荷造りをし、昼過ぎに引っ越す。歩いていけば10分前後の距離だけに引越し業者に頼むというのは頭が悪いのではという思いが拭えなかったが、実際に引越し作業を見て自分の正しさを確信する。30箱の本が詰まったダンボールを、自分で2階から2階に運ぶくらいなら、3万くらい物の数ではないね。まあ、昨日大森英司君から聞いた、赤帽1万5千円に比べると遥かに高いんだけど。
昨夜徹夜したのは寝る暇が無かったというよりは寝る場所が無かったからなのだが、荷物のつまった新しい部屋もこのままでは寝る(どころか、座る)場所が無い。とりあえず体力の限りを尽くして、寝場所を作る努力をする。午後11時近くになんとか人の住む環境を作り寝る。


11月23日
部屋の片づけをしたり、収納用具を買ったりして一日を過ごす。冷蔵庫と洗濯機を買えなかったのは痛恨だが、まあ仕方が無い。それより問題なのはガスコンロをうまくつなげなかったことだ。なんで、ガスの口を迅速継ぎ手なんかにするんだ?とりあえず使える接続機具を探したが見つからない。今後にかけることにする。

気分転換にブラウジングをしていると、SNEのTCGページに驚くべき記述が。長く凶悪すぎるといわれていた一部のカードのレギュレーションが大幅に変更になるらしい。ただこの変更、やりすぎの感が強く、かなりのカードが全く使い物にならなくなってしまっている。特に「星を掴む距離」と「デーモン・トレード」の2枚は完全に使えなくなった。僕がいままで使っていたデックにはほとんど影響が無いのでかまやしないが、何でこんな変更を加えたんだろう。


11月24日
うちにいる時間のほとんどを使って本を整理する。といっても、あるダンボールから別のダンボールにしまい込むだけなのだが。洗濯機と冷蔵庫の到着が遅くなったおかげで空きスペースが確保できたわけだが、ここが使えるのもあと4日である。その間に本を片づけなければならない。出来るだけ効率よく本をしまい込み、かつ探すときには一発で見つかる配置を考えながら、ひたすら作業をする。


11月25日
今日もガス管の口は見付からず。『ゲッターロボ號』1、2巻とSFマガジン99年1月号を購入。

『ゲッターロボ號』は期待通りの出来。主人公メカのカッコ悪さは気になるが、キャラの暴走ぶりは健在で今後(まだ購入していない3、4巻)が楽しみだ。

SFMは誌面の大幅刷新があった。おおまかな構成は変わっていないのだが、連載コラムの陣容とレビューなどの配置が大きく変わっている。良い悪いはちゃんと読んでないので判定できないが、ざっと眺めた感じではゴチャついているという印象が強い。慣れるまでの辛抱かなあ。
ただ、中カラーのメディアショーケースの文字色にはさすがに納得できない。いくらなんでも、はないんじゃないかは。


11月26日
今日は筑波で仕事。宇宙開発事業団の職員を見るたびに羨ましく感じることが一つある。仕事内容や環境には(雲泥の差があるとはいえ)別に羨望を感じないのだが、スーツを着ないですむという点だけは羨ましい。まあ、うちの会社が技術職にスーツを着せているのが変なんだけど。これから就職活動をするオタクの人々は「スーツを着る必要があるか」もチェックするべきだろう。毎日着ていると本当に嫌になるぞ。

早く帰ってきたので、ガスの接続具を探しに行く。中葛西のホームセンターに向かおうとしたのだが、この店が行けども行けども見つからない。結局1時間ほど夜の葛西を散歩しただけに終ってしまった。うーむ、どこにあったんだ、あの店?


11月27日
『ゲッターロボ號』3、4巻を購入。大迫力のアラスカ戦線編から、急展開で恐竜帝国が復活したかと思ったら、あれよあれよという間にとんでもないラストになだれ込む。期待以上の傑作だった。確かに、田口さん(9)から凄いとは聞いていたが、これほどとは。石川賢は追ってみようかな。


11月28日
やっと届いた冷蔵庫と洗濯機のセットアップを中心に部屋の片づけをして一日を過ごす。作業量の割には充実感の無い時間の使い方だ。
あまつさえ、夕方からは会社の同期と飲み会。必要なことだと思っているし、それなりに楽しんでもいるけどどこか空しさの残る時間である。

やはり、本を読んだり、データを入力したり、ゲームをしたりする以外の時間は無駄としか思えないな。

ただ、収穫もあった。ひとつはついにガス口を発見したこと。もうひとつは噂の明和書店を発見したこと。
ガス口はなんとダイエーに売っていた。はじめからここで探していればなんてことはなかったらしい。というより最初に行った店はここなんだから探しかたが悪かったということになる。現場百遍の大切さを痛感する。
明和書店は先週のユタで話を聞いて、アメコミが売っている店なんて西葛西にあったっけと思いつつ探していたもの。色々歩き回った末、Internet Townpageでやっと発見。最初に却下した高架下の本屋であることが判明。だって、脚立を使って本を取る店と聞いてたんだもん。ここの棚なら脚立を使わなくても全部手が届くじゃん。
あ、そういえばホームセンターも見つかった。線路の南側を散々探しても見つからなかったのだがどうやら北側にあったらしい。世の中というものは色々奥が深い。


11月29日
昨日の酒が効いたのか大体寝て過ごす。ついでに「ガサラキ」の録画を忘れてしまったり。第1話からとるだけはとってあったんだが。


11月30日
2週間近く前から書こうと思って暖めていたネタを再発見、ってそれほどのネタではないんだが。

2週間ほど前、高田馬場芳林堂で鈴木光司の宣伝文も鮮やかな『まぼろしのインターネット』なる本を発見した。タイトルだけでも腰くだけなのだが、見るべきは帯の惹句の素晴らしさ。「未来からのインターネットと彗星の地球衝突」ですぜ、お立ち会い。なんだろう、「未来からのインターネット」って。

2週間ほど前、西葛西文教堂で五島勉待望の新刊、『ザ・ラストイヤー』を手に取った。予言のときを間近に控え、五島先生がどんな言い訳を繰り広げるかというだけでも興味深かったのだが、帯を見てびっくり。「アインシュタインの大予言」がテーマらしいのである。
アインシュタインがノストラダムスとどう係わるかには大変興味があったので中を見てみるとこれがまた。イスラエルの文書館に眠るアインシュタインの秘密の予言ってのが「第3次世界大戦がどのような武器で戦われるかはわからない。しかし、第4次世界大戦は石と棍棒で戦われるだろう。」という言葉とは。
こんなありがちな警句からどうやったら予言を導くことが出来るのかについては原文に当っていただくことが一番だろう。こころゆくまで腰くだけな気分が味わえることは保証する。ああ、すごいよなあ五島先生は。

江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』(春陽堂)読了。乱歩を読むのはさすがに初めてではないと思うが、明智小五郎の登場する作品を読んだのは間違いなく生まれて初めてだな。
その表題作にはさして感心しなかったが、全体的にはかなり楽しく読めた。「鏡地獄」「火星の運河」「虫」などに描かれた狂気はすばらしく、特に「虫」の主人公が絶対の必然によって狂気に陥っていく姿はまさに絶品だ。この作品、冒頭は状況設定が続きやや退屈になりかけたが、物語が加速しはじめるタイミングが絶妙で、読み終わったときにはこの構成しかないとすら思ってしまった。
ただ残念なのは全般に思ったほどはグロテスクじゃなかったこと。大槻ケンヂの歌詞から想像していた世界はもう少しグロテスクだったのに。


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