過去の雑記 99年 2月

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2月11日
某掲示板を発端とするイベントのスタッフ会議で新宿へ。具体的な話はもう少し発表できる形になってから。
しかし、あれですね。イベントの骨組みを決めるはずの会議だったのに、半分以上はただのSFファン/Webページ管理者同士の会話ってのは効率悪すぎますね。いや、とても楽しかったんですけど。

やっとこさK・S・ロビンスン『レッド・マーズ』(創元SF文庫)の上巻を読了。うわさどおり、視点人物がナディアに移ってからはかなりさくさく読めた。この作品の美点も欠点もだいたい見えてきたんじゃないかという気はするけど、とりあえず判断は保留しといて、下巻を読むことにしよう。ああ、もうマヤだけは視点人物になりませんように。


2月12日
午前中、ディスプレイに向かって作業をしていると突然、目が霞む。どう画面との相対位置を調整してもエディタ上の文字に焦点が合わない。突然の事態に驚愕するが、ぎりぎりどの文字かの類推はついたので、勘を頼りに作業を続行。なんとか昼休みとなった。

眼に障害でも起きたのかと思ったが、昼休みにマクドナルドで『レッド・マーズ』を読んでいるときにはなんともない。どうやら、視力障害ではなく、疲れ目が原因らしい。ブラウン管を見るときにだけ発症するのだから、照度か何かが原因なのだろう。と、問題を切り分ける。まあ、とりあえずは何とか作業できるので問題はないだろう。午後はしばらく紙の切り貼りだし。

などと思ったのが甘かった。午前中の残り作業でブラウン管を見ていると、右目奥に強い疼痛を感じた。しばらくは右目をつぶって作業をするなどして、なんとか切り抜けていたがそのうち、後頭部に鈍痛まで感じ始めてしまった。一瞬、かなりの恐怖感を覚えた。
結局、肩や首の凝り方、痛みを感じる部分の分布などから、疲れ目とひどい肩凝りの複合原因による頭痛と推定。休息、特に目を休めることで症状は治まるだろうと判断し、定時で作業を切り上げて帰ることにした。かなりの作業を来週に積み残しである。

しかし、ただ定時で帰るというのも芸はない。つい先日、Hybrid Cityで『カチアートを追跡して』が新宿古書センターにあることを知ったばかりでもあるし、ここはひとつ大久保に向かって本を入手してから帰ることにしよう…、ここまでは常識的な反応だ。
しかし、ここからがまずかった。つい大久保までの電車賃150円を節約しようなどと考えてしまったことが。「大久保・中野間はJRで2駅、同じ2駅の池袋・高田馬場はたいした距離じゃないのだから、大久保・中野だって歩けるはずだ。」この一見、正当に見える類推は、池袋・高田馬場が130円であるのに、大久保・中野が150円であるという事実を無視しているのだ。果たして…。

まだ東中野にもつかないうちに自らの行為を後悔し始めた。ただ遠いというだけではなく、道がよくわからないのだ。中央線沿いに歩けば嫌でもつくだろうとタカをくくっていたのだが、この「中央線沿いに歩く」というのがかなり難しい。油断していると道が線路から離れていくので、定期的に進路を修正しなければならない上に、東中野一帯に袋小路がたくさんあるのでよく道に迷いかける。結局、大久保まで直線距離ではたった3kmの道のりを50分近くかかって歩く事になった。はっきりいって馬鹿である。

新宿古書センターで無事『カチアート…』を入手し、帰りかける段になって、再び悪魔が囁いた。理性は新大久保に出て山手線に乗れと言っているのだが、130円がどうしてももったいないと感じてしまったのだ。悪魔の命じるままに高田馬場まで1.5kmの道のりを歩き始めた僕には、すでに理性は残されていなかった。

そう、理性は残されていなかったのだ。高田馬場についた瞬間、早稲田通りのCoCo壱番屋に行こうとしていた僕には。早稲田までの道のりを1/3踏破し、カレーを食いおわったときには、すでに早稲田駅に向かうしか道は残されていなかった。結局、中野・早稲田間、道のりにしておよそ10kmを踏破した僕は心地よい徒労感に浸りながら早稲田の書店で立ち読みをしたのであった。

ああ、ぜんぜん疲労がぬけてないぞ。どうしよう。


2月13日
寝て起きて、『レッド・マーズ』を読み進めてまた寝た。筋肉痛におのれの年を感じつつ一日が過ぎ去った。

「みーふぁーぷー」の後番組を見る。この時間帯の伝統に従っての変身ヒロインもの。設定説明が多すぎて、とてもじゃないが作品として評価できない。次を見ることがあれば、そこで評価しよう。


2月14日
なんとかK・S・ロビンスン『レッド・マーズ』(創元SF文庫)を読了。美点も多いが同程度に欠点も多い作品であった。
最大の美点は志の高さ。火星を舞台に科学と政治と経済と人間をすべて描こうとするその意図は褒められてしかるべきかもしれない。テラフォーミングの過程、火星社会が次第に崩壊していく様子、火星経済が地球に取り込まれていく描写、ナディアのキャラクター造形など個々には見るべきところもある。クライマックスの描写も壮大で、傑作として褒める人がいるのも納得がいく作品ではある。
が、欠点もまた多い。なにより全体から受ける印象がかなり悪い。第2章、火星までの道のりを扱い実質的な導入部ともいえるこのパートが、あまりにも退屈なのがその原因だろう。視点人物のマヤに魅力を感じなかったことが大きく影響している。が、マヤの性格設定が悪いということではない。マヤのキャラクターは後段のエピソードでそれなりに生きてくるのだ。問題はむしろ、そのようなキャラクターを必要とする構成にしたことだ。
『レッド・マーズ』の主要キャラクターたちはそれぞれ単純な役割を背負わされている。フランクは政治、ジョンは理想、ナディアは技術、アルカディは革命、アンは科学、フィリスは経済、そしてマヤは恋愛だ。マヤがいなくても大枠としてのストーリーを動かすのに支障はない。彼女は、あくまでロビンスンが「すべて」を描く際に、恋愛を描くための道具として存在するのだ。このパートも読者によっては興味深いのかもしれない。僕がこのパートを必要としないのは恋愛に興味が無いというだけかもしれない。が、マヤ・パートに興味を持つものがフランク・パートに興味を持つだろうか。あるいは、ナディア・パートに。
そう、この作品の最大の欠点は「すべて」を書こうとしたことだ。

意図の壮大さは認めよう。アメリカ人以外の描写があまりにも類型的だ、などという欠点はあるが、よく調べて書いているという点は評価しよう。だが、「すべて」が書かれた小説は、「すべて」に興味を持つ読者以外には退屈を強いるだけだ。
マニアに薦めるぶんにはともかく、部外者に薦めることだけは決して許してはいけない1作。

勢いを駆って、上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』(電撃文庫)読了。よくできたヤングアダルト的設定の青春小説であり、それ以上でもそれ以下でもない。各キャラはYA的に立っておりそれなりに魅力的である。が、彼らのメンタリティに共感できなかったのでわりとどうでもいい。
中学・高校時代に一度たりとも恋愛を経験しなかった僕にとっては、エピソードすべてに恋愛が絡むこの作品は理解出来ないのだよ。だいたい内面描写のあるキャラの誰一人として、勉強のことをまともに考えないというのが信じがたい。
同じ学園ものなら、受験に関するリアリティのある描写がある『六番目の小夜子』の方が100倍共感できるな。

いくつか積み残しもあるが、タイムリミットが来たので森下ページのベスト投票に投票する。内容はこんな感じ。
ラッカー『時空ドーナツ』4点
<異形コレクション>1点
ラッカーへの大量投票はこの作品が『レッド・マーズ』に負けたりしないようにという意図しかない。本来なら、カリスマ性はないが読んで面白い『スノウ・クラッシュ』、はったりのきかせは天下一品の「GOLEM XIV」あたりにも投票したいところだが、すでにふさわしい点を得ていたので、投票するのはやめることにした。<異形コレクション>は内容には若干の不満もあるのだが、その存在価値の高さから投票。できれば5点投票したいほどの作品なのだが、ラッカーを海外2位にするという計画の前には涙を飲んでもらうしかないだろう。

さて、結果はどうなりますか。


2月16日
先月に続いて赤字会計が決定。何とかしないとまずいな、こりゃ。
ちなみに駱駝の背を折った最後の藁はジグソーハウスで見つけたSFM87年7月増刊号。いや、まだ注文が通ってないかもしれないんですけどね。

不意に読み始めたホラー・アンソロジー『舌づけ』(祥伝社ノン・ポシェット)を読了。ホラーと銘打つわりにはサイコ物が多くてちょっと辟易。好きなタイプの話は出来がいまいちだし、出来のいい話は苦手なテーマなんで評価しづらいな。多分、乃南アサ「口封じ」が一番出来が良いんだと思うけど、苦手なネタなんでよくわから無い。

SF Onlineの投票規定を眺めて、雑誌の扱いが発行日であることに気づき愕然とする。そうなると、SFM99年2月号を読まなきゃいけない。ああ、気づいたのが間際じゃなくてよかった。とりあえず読書予定はSFM99年2月→『スロー・リバー』→『魔法の猫』→『グランド・ミステリー』→(気が向けば)『ホーリー・ファイア』というところか。先は長い。

YANECONのプログレスが届く。参加証の類が見当たらないが、これは待ってりゃいいのかな?プログレスの中身についてはさほど驚くべきことはないが、登録ナンバーが972である点は多少気になった。定員って確か1000人弱と聞いたような。

と思ったら既に定員らしい(笑)。

つい油断して亀山さん(6)もお勧めのボイスラッガーを見てしまう。ラジオドラマを特撮でやっているんだが(いやもっと自主制作臭いか)、スタッフはなんだか豪華。音楽が菊池俊輔で唄が水木一郎ってのはまだともかく、原作が石ノ森章太郎ってのはなんぼなんでも。

って、次回のゲストも凄すぎ。なんなんだこれ。


2月17日
つい、油断してしまった。いや、魔がさしたという他はない。こんなことにだけはなるまいと固く誓っていたはずなのに、こんなものに手を出してしまうとは…。

というわけで、自らに固く科していた禁を破り、バンダイのガシャポンを回してしまう。まったく、穴があったら入りたいくらいに恥ずかしい。 しかし、仕方が無いのだ。今回の「東映ヒーロー列伝2」の内容が凄すぎる。快傑ズバット、アクマイザー3、超人バロム1ってそれは僕の幼児体験そのまんまだ。ああ、この調子で宇宙鉄人キョーダインとか、トリプルファイターとか、忍者キャプターとか出続けたらどうしよう。(注:東映かどうかは確認していません)。
それは、さておき。「1回だけだ、1回だけ。たまたま100円玉をたくさん持ってただけなんだから、二度とこんなことはしないんだ。」と自分に言い聞かせながら、回したその結果は…早川健

…それは僕に、V3とアオレンジャーとズバットを手に入れろということか?

まあ、ガブラが出なかっただけ良しとしよう。

早く帰ったので自炊。いや米は炊いてないが。
調味料がバターと醤油しかない環境で出来得る限りのことはした、と自分には言い聞かせておこう。


2月18日
先週ちょっとしゃれにならなかった目の方はわりと問題無し。視力が落ちているのは否めないが痛むということは無いようだ。というわけで、ご心配かけました。 > 細木さん(8)

長篇を読むだけの体力が無いのか『スロー・リバー』が進まないので、短篇に浮気。大原まり子「Je te veux」(SF Online)と西澤保彦「テイク」(SF Online)を読了。
前者はどうSFなんだかわからないお話。<エイリアン刑事>の外伝なんだそうだが、キャラに思い入れが無いのが悪いのか、いまいち乗り切れなかった。ただ、痛みが直接伝わるような文章はさすが大原。っつーわけで批難はしないが趣味じゃないので評価もしない。
後者は如実にSFミステリ。記号の使い方だの、慣用表現のミスだのという細かいところに躓いて入り込めなかったんで読むスピードが遅くなり、おかげでオチはまる分かり。全然駄目っす。出来自体が致命的に悪いわけじゃないと思うんだけど(SF的に悪いのは確かなんだけどね)、文章がもたつくのと、細かいミスを見逃すのは何とかして欲しい、ってゆーかこんなことは編集レベルでチェックして欲しいところだ。
とりあえず、ダブルクォート(“”)の使い方が変だよ。縦書きなら名前は知らないけどこれ(∞)だろう。



2月19日
不可抗力で会社を出るのが遅くなったので、芳林堂によらず帰宅。帰りがけについ我慢できずきガシャポンを回してしまう。だから、最初の一回を回さないように気をつけていたのに。

ここで出てきたのが「バロム1」なら納得して止めていたかもしれないが出てきたのが「快傑ズバット」というあたりで完璧に敗北。「早川健」「ズバット」が揃ったという事実を考えれば、おもわず目の前の「ライダー3号 その名はV3編」を回し始めた僕を非難できるものなどいるわけが無い。
しかし、それで「V3」が出てくるほど世界は優しく出来てはいない。また、いっそ「カメバズーカ」でも出てくれば「そういうものか」と笑って諦めることも出来たのだろうが、「新1号」が出てくるという最悪の結果。これでは「V3」だけではなく「新2号」まで欲しくなってしまうではないか。7人ライダーを揃える気になったらどうしてくれる。

家につくとSFマガジン87年7月増刊号「Horror Magazine」が届いていた。表紙がSFMとは思えないデザインなんでびっくりだ。ラインナップはピーター・ストラウブにディーン・R・クーンツ、ダン・シモンズにチャールズ・L・グラント、果てはスティーヴン・キングに夢枕獏ととんでもない豪華メンバー。モダンホラー・セレクションの宣伝用の増刊らしいが、これだけのものが出せるとはバブル期の出版状況というのはすごいもんだなあ。


2月20日
宿も開催日も決まってGOサインがやっと出ました。ってわけで、ここしばらく一晩中メールを書いていた(誇張あり)理由はDASACONのスタッフになっていたからなんですね。まあスタッフと言っても、おまけのようなメンバーなんでチャチャ入れ以上の発言はしちゃいないんですが。
書物の帝国系の人脈を中心としたOFFとコンベンションの中心くらいのイベントを想定。3月13日の夜中に本郷でやる予定なんで気が向いてしまった人は、ぜひ上記リンクを見に行っていただきたい。

夕方から例によって高田馬場へ。芳林堂で山尾悠子復活で話題の「幻想文学54」、フローベル『紋切型辞典』、ガードナー『プラネット・ハザード』(上・下)を購入。ガードナーの『プラネット・ハザード』は普通なら買わないタイトルなのだが、カバーの胡散臭さに負けてしまった。まあ薄いからリンダ・ナガタを買うよりもマシだろうし。関口幸男・訳なのは気になるが。

6時過ぎにユタへ。店主から、「これは映画のサークルかなんかですか」と聞かれてしまいましたが、妖しげなことを言って誤魔化しておいたので安心して下さい。 > いつもの方々
とはいえ、今日はいつもの方々が来ない。9時までいて参加者は藤元直樹さんと福井健太さんと僕の3名。なるほど、そういうこともあるだろう。
3人しかいないので話題はちょっと閉じた方向に流れがち。今シーズンのセ・リーグ展望だのはともかく、80年代半ばのパソコン誌の話なんてのは他の世代の方もいる場所で交わす会話じゃないかも。すみませんでした、藤元さん。
とりあえず聞いた話の中で一番興味深かったのは福井さんの年間書籍費と読破率。詳しい数字を挙げるのは憚られるので避けますが、それだけ本を買ったら人としてそんなに読んじゃいけないと思います。 > 福井さん
プロの人というのはなるべくしてプロになってるんだなあと痛感。


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