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「古典派からのメッセージ・2001年〜2002年編」目次へ戻る
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永平寺

 

 NHKで朝偶然「永平寺―修行に励む若者たち」という番組を見ました。若い雲水たちが、厳しい生活に戸惑いながらも、初心を思い出しながら誇らしく修行に励む姿に感動しました。

 永平寺の開祖、道元は、自らの若い頃の中国での禅修養の経験から、仏は人間自身の中に必ず存在すると考え、人間内部の仏性を発露するためには自らの姿、立ち居振舞いを仏に似せるようにすべきだと考えました。足を組んだ座禅の姿というのも、釈迦が悟りを開いた時の姿なのです。こうした開祖の考えにもとづき、永平寺では生活のすべては仏に近づくための修行とされ、顔の洗い方から、食事の作法、就寝の方法まで事細かく定められています。

 自然の恵みへの感謝と他の生き物を殺さなければ生きられない人間の業を思って食事をとる、という、あらゆる宗派に共通する仏教の「共棲思想」は、禅においてももちろん重要視されています。

 小生も、こうした心構えで生活すれば、人生は随分深く豊かなものになるだろうな、と思いました。

平成一三(二〇〇一)年五月一三日