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「古典派からのメッセージ2001年〜2002年編」目次へ戻る
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人生の年輪を感じさせる曲

 

 僕と同世代の大衆音楽家たちが、近年、胸に沁みる良い歌詞を作っている。例えば、山下達郎の「ヘロン」に、こんな一節がある。

   「流れる時に抗(あらが)い 命を燃やし続ける

    全ての孤独な人よ 涙は言霊になる…」

これは、流行り物の奔流に躍らされまいと、必死で伝統や歴史から学び、自己のスタイルを守ろうとする、孤独だが凛々しい日本のビジネスマンには、ツンと来る歌である。孤独や労苦の涙が言霊に化するというのは、とてもいい表現だ。

 また、桑田佳祐率いるサザンオールスターズの大ヒット曲「TSUNAMI」には、こんな歌詞が出てくる。

   「人は 涙見せずに 大人になれない」

これは、様々な経験を経た、人生の年輪を感じさせるメッセージである。四〇代半ばに差しかかった男で、この歌詞にジンと来ない人がいるだろうか。

平成一三(二〇〇一)年六月三日