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「古典派からのメッセージ2001年〜2002年編」目次へ戻る
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国柱(くにばしら) 太しくあれ

 

 元旦の新聞に、天皇陛下ご夫妻が昨年詠んだ和歌が紹介されていましたが、その中で、皇后陛下が、明治天皇を祭った明治神宮の八〇周年にあたって、明治帝をしのんで作られた歌に感銘を受けました。それはこんな歌です。

 

  外国(とつくに)の 風招きつつ国柱(くにばしら) 太しくあれと守り給ひき

 

明治帝に事寄せて、開明的である一方、自らの国柄をも大切にしようと、私たちに呼びかけているとも思える、率直で骨太な調子が何ともさわやかです。

 このように、折節に和歌を詠む伝統は皇室に生きています。そして、歌会始めへの一般からの応募も、昭和天皇ご逝去の後は数が減っていたのが、最近は、若い人が作る俵万智風の「現代口語調」和歌も含め、徐々に応募数が増えているといいます。たとえ姿は変遷しても、国民の間に和歌を詠むという万葉集以来の風雅はぜひ残してゆきたいものです。

平成一四(二〇〇二)年一月六日