人生の晴れ舞台
貴花田―この二〇歳の若者のりりしさ、闘志は、まぶしいほどだ。人生の晴れ舞台たる土俵での自然な「華」が感じられる。僕自身も、当行名古屋支店の営業二課長という与えられた舞台を、もっと華やかに、ドラマティックに、そして闘志あふれるものにしたい。原辰則(巨人の四番)ではなく、貴花田を目指せ!
見ていて今一つカタルシスを感じさせない巨人の原よりも、カタルシスにあふれた貴花田こそ、我が目指す方向だ。誰にも人生の中に「舞台」が用意されている。愚痴を言ったり、組織に甘えたりすること無く、自らの信念を実行してゆく場としたい。さて、今の名古屋支店が置かれている環境と事業法人担当課としてとるべき戦略を考えると、まずは、もっと外へ打って出なければならないだろう。行内の兵站部門の力を活用しつつ、CP引き受け業務、デリバティブ業務、M&A業務などを前面に出して、管内有力企業に積極アプローチすべきだ。地域柄、貸出開拓を優先する考えはいったん外した方が良い。効率や後の管理を考えると、ライバル某行のように、飛騨や志摩の果てまで資金需要を追いかけるのが良い戦術とは思われない。有力企業の余資運用やオフバランス取引の捕捉から入って、子会社や仕入先の資金需要を掴むというやり方もあるのではないか。
(一九九二年一二月一九日)