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近況メモ(平成22[2010]年7月〜8月)

 

平成22(2010)年〜「朝の観蓮会」から「かき氷が恋しい長い夏」へ

 

7月9日(金)曇りのちにわか雨

 東京多摩地方は雨がよく降り、蒸し暑い日が続いています。幸い小生は体調もよく、先日受けた人間ドックの結果も大きな異常はありませんでした。皆さんも体調管理にはご注意下さい。

 今月初め、立川の少し先、多摩川上流の拝島から車で10分ほどの所にある「燈々庵」という懐石料理屋へ行く機会がありました。江戸時代から続く古民家が、懐石料理とギャラリーのお店に改装されて昔のままの姿で使われています。昔の民家らしく広々と開放的な空間は風をよく通して蒸し暑さを感じさせません。左写真は「燈々庵」に活けてあった白い紫陽花(あじさい)です。光の具合もほどよく、清楚な白紫陽花の花が引き立てられていました。この日は、観世流能楽師の中所宜夫さんと面打師の新井達矢さんによる「能へのいざない」という催しもありました。中所師は、多摩地区で能を広めるために幅広く活動しておられます。写真中と右は、新井さん作の能面。ギャラリーに展示されていたものです。新井さんは、知る人ぞ知る27歳の天才的な面打師です。中所師も新井さんの新作面を能舞台で使っておられるとのこと。写真中の「泥牙飛出(でいきばとびで)」は、小生が仕舞を舞わせていただいた「嵐山」の後シテなどで使う猛々しい神の顔ですが、何と新井さんが13歳の時に打った作品です。生命力にあふれています。右の「深井」の面も、ジッと眺めていると、こちらに何かを訴えかけようと「生きた人間」が迫ってくるような迫力を感じます。若き面打師の今後の活躍に期待したいと思います。

 7月4日(日)には、家族三人で早起きして、府中市「郷土の森公園」で毎年この季節に催される早朝の「観蓮会」に初めて出かけました。この公園では、二千年前の地層から発見された蓮の種を、昭和40(1965)年に大賀一郎博士が発芽させ翌年に開花させた「大賀蓮」を中心に、数多くの種類の蓮が育てられています(下段写真をご覧下さい)。新鮮で神々しい色とりどりの蓮の花を楽しむことができました。やはり早起きは三文の得ですね。


        
清楚な感じの白い紫陽花(あじさい)     「泥牙飛出(でいきばとびで)」と「深井」の面(おもて)/新井達矢さん作


府中市「郷土の森公園」に咲く蓮の花

 

7月24日(土)晴れ夜時々にわか雨

 昨日は暦の上で「大暑」、その通り猛暑が続きますが、お元気にお過ごしでしょうか。先週はじめ、入道雲がもくもくと沸き立つ夏の空気を感じて写真にしておきました(右)。

 さて、元日銀マンで金融検査マニュアルの作成などを通じて金融行政に関わっていた木村剛氏が会長を務めていた日本振興銀行の失敗が明らかになってきました。日本振興銀行は、新銀行東京と同じく、竹中平蔵氏が金融担当大臣の頃に、中小企業融資を専ら担う金融機関として設立されました。この失敗の原因は、新銀行東京と全く同じで、そもそもビジネスモデルが間違っていたのです。このことは既に 新銀行東京の失敗で詳しく論じました。要するに、両行とも、「金利14%の商工ローンと金利3%の銀行貸出の間に巨大な中小・零細企業向け貸出の潜在市場が残されており、この市場をいかに開拓するかがこれからの金融業の課題だ」という誤った認識に基づいて作られた銀行だったのです。


 日本の企業向け貸出が金利14%の市場と金利3%の市場に二極分化しているのは、金融機関がさぼっていることが原因ではなく、事業者の構造が二極分化していることが主原因であり、また、日本では銀行貸出の金利が低く、民間銀行の収益力が弱い原因のひとつは、政府系金融機関のプレゼンスが大きすぎ、彼らの政策金利が企業の信用力を無視した低利であることです。その低金利と本来あるべき貸出金利との差は、広く薄く国民が負担しているわけです。政府のやるべきことは、成り立ち得ないビジネスモデルを標榜する新銀行を認可することではなく、政府系金融機関の機能を大幅に縮減し民間と市場に任せて、日本の貸出市場を正常化、活性化することです。さらに言えば、二極分化した片側のゾーンの零細事業者を支えている商工ローンや消費者金融業を、6月に改定された貸金業法で「とり潰し」に近い形で規制強化するのも間違っていると小生は考えます。改正貸金業法については、今回からの掲載(世論応答と専門知の相克―鳩山政権の金融行政をめぐって(第四回))をご参照下さい。

 ところで、今まで金融庁は、何かと問題があった木村剛氏の日本振興銀行をあまり咎めてきませんでしたが、ここに来て急に厳しく(正しく)対応するようになった理由を、「ZAITEN」8月号の「みずほ3会長をクビにした畑中・次期金融庁長官の『剛腕の源泉』」という記事が興味深く解説してくれています。金融庁と財務省の複雑な関係が背景にあるとのこのレポート、非常に説得力があります。

 

8月7日(土)晴れ

 日差しの強い真夏日が続きますが、暦の上では今日は立秋。昨日、国立(くにたち)市内の大学構内で、秋茜(赤とんぼ)が群れを成して空中に漂っているのを見かけました。秋はもうすぐそこです。暑さに負けずにもう一がんばりしましょう。

 先週末、府中宝生会のお仲間数人と佐渡島へ行ってきました。会に佐渡の相川町出身の方がおられ、その方の実家近くの民宿に泊まったものです。佐渡へ渡ったのは小生初めてでした。自然の豊かなところでした。佐渡は世阿弥が島流しになった場所で、島の神社仏閣には能舞台が設えられたところが多いのです。また、佐渡金山など名所旧跡も巡りましたが、何と言っても自然の豊かさが一番胸に染み入りました。左写真は、佐渡島西海岸の尖閣湾の風景です。切り立った海岸線が複雑な地形を成しています。このあたりで東京ではあまり見かけない紅色の色鮮やかなトンボ(後で家で調べると「夏あかね」という種類でした)や、小型のニイニイゼミを見つけました。ちょうど一面に広がる田んぼの稲もすくすく育っているところでした。よく整備された美しい日本の田んぼが目に染みました。


 

8月22日(日)晴れ

 残暑お見舞い申し上げます。今年は立秋を過ぎても朝夕涼しくならず、東京多摩地方でも最低気温25℃以上の日が続いています。寝苦しいのは体に応えますね(++;)
 都内の四ツ谷駅から上智大学の脇を通る並木道では、先週もまだミンミンゼミとアブラゼミが大合唱していました。そろそろ夏の終わりを告げるツクツクボウシが鳴いてもよさそうですが、今年はまだ出番ではないようです。

 今日の午後は、あまりの暑さに、最寄り駅前の喫茶店に出ていた垂れ幕「天然水のかき氷あります!」に惹かれて、家内と二人でこの喫茶店に飛び込み、宇治金時とコンデンスミルクのかき氷を注文しました(右写真)。この夏初めてのかき氷、天然水のせいか(?)とてもおいしく感じました。
 夕方、近所の公園で盆踊り大会をやっていました。この近所の夏祭りはなぜかお盆過ぎで、時期が遅いのです。そこでまた、焼き鳥と焼きそばを買ってビールを楽しみました。これも夏の風物詩です。


 

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