白鳥の歌が聞こえる - 補遺2

白鳥「復活」 〜 伝統の名列車・思いもよらぬ「新生」 〜

いやあ、まさか後日談を「また」追加することになろうとは。ニュースリリースを見て、正直「やられた!」と思ったくらいで。


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大勢のファンに見守られ北へ旅立つ旧〔白鳥〕 あれから1年…… (高槻-山崎 2001.2)

整備新幹線のうち、東北新幹線(盛岡〜八戸)の2002年12月1日(日)開業が決まった。これに伴って東北本線の並行区間が経営分離され、また北東北・青函地区の列車体系が整理される。

これまで東北新幹線に連絡して盛岡〜青森・函館を結んできた特急〔はつかり〕は、八戸〜函館間の新しい特急列車に生まれ変わる。快速〔海峡〕もこれに合わせて特急に編入される。

その新しい特急の愛称が〔白鳥〕に決まった。(またその後、JR北海道の789系を使用する列車は〔スーパー白鳥〕とすることに)

公募された愛称中では第11位。(第1位は「海峡」、第2位は「つがる」) しかし「本州と北海道を結ぶ列車のイメージにふさわしい」と大抜擢。確かにそうかもしれないが、選考者のなかには旧〔白鳥〕のイメージがあったのではないかと思えてくるのだ。まあ、廃止前に見え隠れした「修学旅行など多客時に臨時運転」という話も結局具体化していないわけで、このまま眠らせてしまうには惜しい愛称だとは私も思うけれど。


さて、実のところ東北線と〔白鳥〕は全く縁もゆかりもないわけではない。

〔白鳥〕の名称は、元をたどると鮫〜(八戸・東北・奥羽線)〜秋田間を走る準急列車(1960年12月運転開始)にさかのぼる。この愛称は青森県・夏泊半島は小湊(こみなと)の飛来地 (国指定天然記念物) に由来するという。登場からわずか1年たらずで日本海縦貫特急に大抜擢された愛称が、40年ぶりに故郷へ帰ってきたということになろうか。なお、既に記している通り、旧特急〔白鳥〕の由来は新潟県の(ひょう)湖ということになっている。

旧特急〔白鳥〕はまた、名目上 (たとえ形骸化していたとしても) 一貫して北海道連絡を担ってきたわけで、役割としても元の姿に戻ることになる。それも、旧時代は踏み込むことのできなかった北海道に自らの足で到達して、だ。

また、東北を代表する急行列車でもあった〔津軽〕、その名前が消えて久しかったが、こちらも八戸〜青森・弘前間の特急〔つがる〕として息を吹き返すことに。敗者復活戦で救済された感じがしなくもないけれど。


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ED79率いる〔海峡〕 ED79も客車廃止とEH500の増備で活躍の場を追われることに (津軽今別 2001.5)

消え去るほうとしては、快速〔海峡〕。「特急格上げ」→「値上げ」という印象を拭いたかったためなのか、公募第1位を獲得しながら栄冠の座を逃してしまった、ついてない名前というべきかもしれない。個人的にはあまりにもストレートな名前で (本四連絡が〔マリンライナー〕だったから余計に) 印象のないものだが、しかし次々と消えてしまったJR線昼行客車列車の正真正銘「最後の砦」であった。

昨今は輸送の落ち込みで基本4〜5両編成と身軽になってしまったが、連休や盆暮れには12両まで増結する、客車ならではの柔軟な運用ができるものだ。電車化するとその柔軟性がかなり失われてしまうのが、すこし気にかかる。


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「スーパーはつかり」登場以降はめずらしくなった国鉄色485系の〔はつかり〕 583系とともに消えるか (盛岡 2001.1)

そして東北初の特急列車(1958年登場) であり、看板列車であり、北海道への連絡を長い間担ってきた〔はつかり〕。日本海側からサポートしつづけてきた〔白鳥〕にその役割を譲って、愛称が消えることになる。(東京〜八戸間の新幹線は〔はやて〕と決まった) 旧特急〔白鳥〕は1961年誕生だから、歴史はこちらのほうが長いのだ。

〔はつかり〕は客車特急として登場し、ほどなくディーゼル車キハ81系に置き換えられた。国鉄最初の「ディーゼル特急」だった。登場初期はトラブルが相次ぎ「がっかりはつかり事故ばっかり」などと言われ、〔白鳥〕等向けに新製したキハ82系は営業開始前に徹底的に走り込んで不良を洗い出したという。そんな所でも遠くない縁というべきか、いいところは〔白鳥〕に持って行かれているというべきか。

ところで車体に「HATSUKARI」と直書きしているE751系はどうなるのだろう。「HAKUCHO&TSUGARU」とか?


それにしても、しみじみと話をして(?) 見送ってあげたのに、こんなに早く復活されてしまっては……と、なんだか戸惑うところでもあるが、ここは新生〔白鳥〕の活躍に期待したい。あれ、新幹線が北海道へ到達したら、また変わってしまうのか?

……ところで誰ですか、新幹線の愛称に「いかさし」と投じたのは(笑)

(2002.5)