白鳥の歌が聞こえる 〜 伝統の名列車、その終焉によせて 〜


新しい車両、列車の運転があるとか、特別な運転がされるとか、そしてまた、車両が引退するとか列車や路線が廃止されるとか……。ファンをやっていると、どうしてもそのあたりのニュースには敏感に反応してしまうもの。それは鉄道趣味に限らず、ある程度自然な成り行きであろう。

ただときどき、ふと考えてしまう。普段は見向きもしないのに、そういうときだけ注目するばかりで構わないのか? ただ単に沿線の有名撮影地に行って、撮ってきました、だけでいいのだろうか? フィーバーに乗じて普段の姿を破壊してしまうおそれはないのか?

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2年ほど前になるが、小田急線からNSEが引退したときもそんな感じだった。沿線が騒がしくなったのは、引退のほんの数ヶ月前になってからのことである。直接見たりしたわけではないが、いくつかトラブルやゆきすぎた行為があったとも聞き及ぶ。それなりにしっかり撮りためていたつもりの私は最終期、その過熱ぶりをすこし離れた場所から眺めているような感じもあった。

2001年3月2日を最後に、伝統ある一つの列車名が消えた。国鉄から続く長距離列車の廃止だけに注目度も非常に高かった。私も結局撮影に出かけ、さらに乗り通しまでしたのだが、これを機会に趣味のあり方を少し振り返れるかな、と、このページを作りながら考えていた。


白鳥の歌 = 白鳥は死ぬ間際に流麗に歌うといわれる。そこから転じて、ある人の残した最後の作品、楽曲のことを指すようになった。