能登半島ちょっと涼
上野 23:03-(3011〜3001:北陸)-6:30 金沢 7:12-(829M)-8:40 七尾 9:25-(129D)-10:12 穴水 10:14-(327D)-11:50 蛸島 -(西日本JRバス)- 鉢ヶ崎
ふと目を覚ますと午前3時。寝台特急〔北陸〕は長岡に運転停車している。
後部のデッキに出てみると、ここから牽引するEF81が前に停まっていた。ここ長岡で進行方向が変わる。操車掛のカンテラを合図に「ピッピッ」と汽笛を鳴らして前進、連結……あれ、連結器のナックルが開いてません。
2001年7月20日。〔北陸〕は定刻に金沢到着。
七尾線に走るのは415系。415といっても常磐・九州のそれとは縁もゆかりもない。近畿地区の485系から交流機器を降ろして、113系に載せかえたものだ。窓の四隅が丸い、ユニットサッシになっていないかなり初期の車両たちだが、車内はボックスシートの間隔を広げるなど手を入れている。
津幡で七尾線に入るとただちに交直セクションを通過。JR西日本に6ヶ所ある交直セクションはすべて北陸本線絡みである。
金丸で〔サンダーバード〕良川で〔能登路〕の通過を待つ。〔能登路〕はキハ58系、数少なくなった気動車急行。
七尾からのと鉄道。JR西日本が第3種鉄道事業者として引き続き保有しているが、実質的にはのと鉄道の路線として扱われている。JR線と直通する場合は和倉温泉が運賃計算の区分であるが、七尾からは同駅を起点としたのと鉄道の運賃計算となる。区分駅の和倉温泉は駅前にこれといったもののない野中の小駅だった。
架線が途切れて、車窓には海が見えだした。50分走って穴水でのりかえ。輪島へ向かっていた路線は3月末限りで廃止となり、レールは草生した築堤の中に埋もれていた。
能登半島の海岸線をたどるようにみえるのと鉄道能登線だが、海に近いところを走るわけでもない。有名な「いろは」トンネルをつぎつぎと通過して行く。「ゐ」「ゑ」はもちろん「ん」まで使い切って、49番め・最後のトンネルは珠洲駅を目前にした「すず」トンネル。その珠洲で、駅員がタブレットキャリアを持ってくる。
終点の蛸島は一本の線路で行き止まりの無人駅。乗客を降ろした車両は珠洲へと回送され、乗客もどこかへ散ってしまった。さてこのあとどうするか……と思案する間もなく、JRバスがやってきたので、とりあえず鉢ヶ崎海岸へ行くんだろうと思って乗り込む。その鉢ヶ崎には海水浴場があり、夏休みがはじまったばかりとあって家族連れで賑わっている。海風が心地よかったのは気のせいではなかった。能登半島の気温は金沢・富山より2〜3度低いことを翌日金沢で見た天気予報で知った。富山湾に面して対岸は立山連峰だが、夏なので見えない。
珠洲鉢ヶ崎 13:45-(北鉄バス:珠洲特急)-16:06 向陽台…内灘 16:24-16:41 北鉄金沢…金沢 16:55-(446M)-16:59 西金沢…新西金沢 17:03-17:34 加賀一の宮 17:41-18:10 野町
金沢からここまで5時間かかった。このエリア、周遊きっぷの「能登・石川ゾーン」に入っており、往復であれば元が取れる。しかし単純に普通列車だけで帰ると金沢着は19時、急行・特急を使っても18時。バスなら一本で金沢に16時半、しかも若干安い、というわけで普通にきっぷを買っての片道乗車となった。
始発からの乗客は私一人。珠洲で5〜6人、その他で数人を乗せて、バスは山中を走る。穴水此の木から能登有料道路へ。半島のちょうど中央付近を走っていることになろうか、起伏が多く、時折かなり下方に海が見える。
羽咋付近で山が果て、あとは日本海を右に海岸線を走る。バスの旅にもそろそろ飽きてきたころ、有料道路が終わる内灘町の向陽台バス停で下車。日差しが強い。
歩いて5分の北陸鉄道内灘駅へ向かった。浅野川線は金沢駅の地下化を機に車両をもと京王3000系に一新、7色のFRPマスクは北鉄のシンボルカラーであるオレンジに統一された。狭幅の第一次車も車庫内に見える。
金沢駅にむかって発車。弱い軌道の上、ときおり空気バネの弾性を超えた上下動があり、台車をがっこんがっこん言わせてゆっくり走る。20分で地下ホームの北鉄金沢に到着。乗客は改札の外で待っている、いまどきめずらしい列車別改札だ。まだ駅前の再開発中で、北鉄の駅前は非常に殺風景。
石川線は金沢市街の野町から発車するが、新西金沢は北陸本線の西金沢に近接している。時刻を調べると、4分で移動すれば乗り換えができるらしい。すこし小走りに西金沢の駅前に出ると、すぐ左に北鉄の駅が。ラッシュ時以外は無人で、きょうは夏休みで終日無人。
石川線の車両はもと東急7000系。ただし電圧600Vのため台車が取り替えられており、東急時代の独特のモーター、歯車音や加速度は感じることはできない。
狭い町並みを抜けると田園風景が広がった。近くの山にパラグライダーが多く見えてくる鶴来は車両基地もあり、古びた構内にもはや希少価値ともいえる純粋な「発車ベル」が鳴り響く。ここからさらにローカル色が濃くなって、ゆっくり走ること数分で加賀一の宮。近くの一宮を模した神社風の駅舎は無人。