2002〜2003私鉄まだまだ走破中

JRになれなかった鉄路、なり切れなかった鉄路 - 井原鉄道・錦川鉄道 -


倉敷 7:45-7:56 総社 8:08-9:10 神辺 9:13-9:26 福山 9:34-10:06 三原 10:22-(こだま609号)-11:19 新岩国=錦帯橋…川西 13:20-14:13 錦町 14:26-15:15 御庄/新岩国 15:50-(こだま629号)-16:58 小倉
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井原線は総社から発車

倉敷から伯備(はくび)線に乗りこみ、高梁(たかはし)川沿いに走っていくと、前方に大きなトラス橋の姿が見えてくる。これから乗る井原(いばら)鉄道の線路だ。

分岐点の清音(きよね)はいったん通り越して総社(そうじゃ)で乗り換え。井原線への列車は別の改札口から入ることになる。清音までは伯備線の線路を走るが、営業区間は総社〜神辺(かんなべ)となっている。現状では全定期列車が総社発着だが、JR乗り入れのための線路使用料が負担になっているらしく、乗り入れを縮小する方針だという。総社にしても中途半端な感じがするし、倉敷に乗り入れるか、吉備線と直通すればいいようにも思えるが、無理?

清音では専用のホームに入り、そのまま井原線へ。さっき見た立派なトラス橋を1両で渡って、その先もまだ新しい高架橋を突き進む。ローカル新線にはよくある光景で、ハイパワー気動車の投入で最高速度・表定速度も高い。しかしまわりは田園地帯で、国道もすでに整備されており車も決して遅くはない。

沿線の矢掛(やかげ)・井原は軽便の井笠(いがさ)鉄道が神辺・笠岡 (山陽本線) へ伸びていた経緯もあり、国鉄井原線として整備される計画だったのが再建のあおりで工事凍結され、第三セクター化してようやく開業にこぎつけたところ。山陽本線のバイパスとして使える風には見えず、整備が遅きに失した感も否めないのだが、どうだろうか。地域活性化を狙う地元では福塩(ふくえん)線と連動した案内パンフレットなどを作るなど努力は見られるのだが。井原〜神辺間は旧井笠線に沿っているようで、住宅地も増えてきた。


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糸崎付近・瀬戸内の海岸線を走る 「ひかりRailStar」通過

新幹線で新岩国へ向かうのだが、福山で〔こだま609号〕へは接続時間が余りすぎるので、三原まで在来線で行くことにした。福山からでも特急料金は変わらないのでお金の節約にはならないが、尾道など海沿いの眺望は新幹線では得られないから。

三原駅に入線してきたのは、山陽路でもだいぶ数を減らしてきた0系。「レールスター」に続いて、これまたわずか1往復にまで減った「100系ひかり」〔ひかり179号〕が追い抜いた。この光景も秋以降は見られなくなるだろう。

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「時速200km」――0系ビュフェの片隅でいまも速度を示しつづけている

乗客はそこそこ多いし、広島でたくさん入れ代わった。昨今は主要駅まで〔のぞみ〕〔ひかり〕を直行させ、〔こだま〕に乗り換えることでトータルの時間を短縮させようという動きが強い。一時は京都〜博多間を各駅に停車する〔ひかり〕、「ひだま」と言われた列車もあったが、現在は新倉敷・三原・新岩国には〔こだま〕だけしか停まらなくなった。(追加新設の新尾道・東広島・厚狭は最初から停車していない) 16両対応の堂々たるホームも持て余しぎみである。


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錦帯橋は架替工事中川中で獲物を狙うサギ

新岩国の駅を出るとバスが待っていた。乗り込むとすぐに発車、錦帯橋(きんたいきょう)に向かう。五連の太鼓橋で有名な錦帯橋は「平成の架け替え」として、去年から順番に新しい橋に作り直されているところだった。古そうな橋だが、戦後になって流失した橋を架け替えたもので架橋後50年だと知った。

橋のたもとに「巌流つばめ返しの柳」がある。岩国は佐々木小次郎の出身地で、近畿から九州にかけて今年は「武蔵」に染まっている。

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〔有明〕(小倉・博多-熊本・水前寺)で運行されている「武蔵」ラッピングトレイン
(東福間-東郷 2003.1)

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川西駅ホームに立つ錦川清流線の0キロポスト 御庄駅と錦川清流線 うしろに新幹線高架

岩国に出るにはバスなどに乗らねばならないが、川西なら遠くないのは事前に調べて知っていたので、錦川沿いに歩いて行く。錦川(にしきがわ)鉄道・錦川清流線 (JR西日本・岩日(がんにち)線) の始発駅は、これといった特徴もない小さな駅だった。20分ほど何もすることもなく、高校生を横目で見ながら、さっき岩国へ発車した列車が戻ってくるのを待つ。

しばらく岩徳(がんとく)線を走り、トンネルを抜けたところで右手に分れた列車は、錦川ぞいにゆっくりとさかのぼって行く。そういえば踏切がなかった。岩国から錦町(にしきまち)まで1時間。起点がある程度の都市で、道路があまり整備されてなくて、全線所要がこのくらいで、1時間ごとの運行。これが鉄道を維持して行けるラインのように思える。

岩日の「日」は、山口線の日原(にちはら)である。錦町から先は「岩日北線」として六日市方面へ工事が行われた未成線があり、その軌道上を「きららトレイン」という列車に見立てた車が2002年7月から走りはじめた。鉄道ではないが、おもしろいので見てみたいと思う。しかし残念ながら年内は11月で終了していた。駅窓口で「錦」の金文字が入った入場券を買い求めて折り返し、川西の一つ手前・御庄(みしょう)で下車。新幹線駅のたもとにあることはよく知られていて錦川清流線でも案内されるが、良好な接続が取られているわけでもない。新幹線の立派な駅にひきかえ、こちらは貨物列車の車掌室(コキフx2)を待合室に仕立てた1面1線の駅。

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もと「グランドひかり」の〔こだま〕が入線 駅員が迎える (新岩国)

本線を「ひかりレールスター」が轟音を立てて通過した後、〔こだま〕が入線。100系のもと「グランドひかり」だった。「2列シート&2列シート」と称する客室は編成によって若干仕様の差があるようだが、今回はグリーン車の座席を並べた豪華版だ。