クラシック音楽の老舗テレビ番組「題名のない音楽会」に、新国立劇場バレエ団のダンサーたちが出演しました。6月12,19日の2回で、タイトルは「バレエ人気作品ランキング」。「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「ジゼル」など14作品を取り上げ、真忠久美子さん、さいとう美帆さん、厚木三杏さん、寺島ひろみさん、本島美和さん、西山裕子さん、志賀三佐枝さん、山本隆之さん、貝川鐵夫さん、マイレン・トレウバエフが出演しました。1週目は人気ランキング16(20位〜5位)まで、2週目はトップ1〜4位まで。20位から順に人気バレエのランキングは、以下の通りでした。
出演のダンサー達では、まず、19位の「レ・シルフィード」を踊った本島美和さん。新国立劇場バレエ研修所第一期生。2005年3月「カルメン」で主役デビューしたばかり。今回は貝川鐵夫さんと組みました。足が長いなぁと感心してしまいました。軸がとても安定し、かつ余裕のある踊りでした。
11位の「ラ・バヤデール」を踊った、志賀三佐枝さんは、2001年より新国立劇場バレエ団の契約ソリストでしたが、まもなく引退とのこと。ややリズムに乗り切れていない感じでしたが、ここぞという場所での表現力はさすがです。「ラ・シルフィード」のシルフには定評があるので、踊って欲しかった。
寺島ひろみさんは、ワガノワ・バレエスクール出身で、ドレスデン・バレエを経て新国立入りしたダンサーです。小さな顔、すらりと背が高く、手足も長くプロポーションに恵まれています。ひとつひとつの振付を丁寧にこなしていました。しかし、まだライモンダという女性の内面の描写までは、手が回っていない様子でした。
第9位の「ラ・シルフィード」を踊った西山裕子さんは、ペルミ・バレエ学校(ロシア)に留学し、1997年新国立劇場の開場時よりの契約ソリスト。貝川鐵夫さんと組んで、ラインは美しいし踊りも軽やかで華やかでした。ただ妖精シルフにしてはかわいすぎて、少女のような印象を受けました。もうすこし優雅さを強調したら良かったと思います。
3位の「ドン・キホーテ」〜アダージョを踊った厚木三杏さんは、スターダンサーズ・バレエ団を経て、'03年より新国立劇場の契約ソリスト。
プロポーションが良く、美しい踊りでしたが、貝川鐵夫さんとの気合いが今ひとつでした。真っ逆さまに落ちるフィッシュダイブであわやと思ったように、サポートにヒヤッとさせられることが多かったです。二人ともガチガチだったような?
さいとう美帆さんは、新国立劇場バレエ研修所第一期生。2003年契約ソリスト。5位の「ジゼル」のパ・ド・ドゥと2位の「くるみ割り人形」のパ・ド・ドゥとヴァリエーションを踊りました。2004年「眠りの森の美女」に挑戦、素敵なオーロラ姫でした。
最後に、真忠久美子さん。前半に「パキータ」、後半に「白鳥の湖」から黒鳥のパドドゥを踊りました。目が大きくかわいらしく、繊細なやさしい雰囲気で、伸びやかな手足を生かしたアラベスクが美しいダンサーです。'99年契約ダンサーで、新国立劇場では長い方ですが、気の弱いところがあるのでしょうか、毎回のステージに、不安定さと緊張を感じます。これが彼女の初々しい魅力でもあるのですが・・・。パキータは楽しげに踊っていましたが、黒鳥では、トリの重圧と戦う気持ちがヒシヒシと伝わってきました。笑みを忘れて、汗びっしょりになって懸命に踊る彼女に、思わず「落ち着いて!!」と声をかけたくなりました。
こんな彼女を力強くリードするトレウバエフに、ダンスールノーブルとしての優しさを感じました。
バレエの人気作品のランキングも興味ありましたが、これだけ多くの新国立劇場のダンサー達を一度に見ることが出来たことがとても嬉しく思いました。牧阿佐美さんのバレエ解説までついて、良い勉強になりました。
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