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ムカつくモーツァルト、でも素敵なモーツァルト
モーツァルト! お前は私にとって、何て煩わしい存在であることか!

私は、お前を知ったばかりに、他の人の作ったあらゆる曲を見向きも出来なくなってしまった。 もし、お前を知らなかったら、ベートーヴェンでもブラームスでも、もっと楽しめただろうに。
他の作曲家の曲を聞いている途中で急にモーツァルトが聞きたくなり、レコードを取り替えてしまったことが何度あったことだろう。

私がモーツァルトを大好きになったのは、ふとしたきっかけでした。
20代の初めの頃、テレビ中継されたバレエの中の1曲が、私をすっかり虜にしてしまったのです。このバレエのタイトルロールを踊ったのは、森下洋子。 なぜこんなに印象に残ったのか判らないけれど、とにかくこの曲のレコードを買い求めるためにレコード店へ走った。 この曲は、レ・プティリアン(K追加10)の中の小曲でした。

私が疲れている時、また逆に嬉しい時、いつも無意識に取り出すレコードは、モーツァルトの1枚です。しかも、たいてい、ヘブラーのピアノ、ガリエラ指揮ロンドン交響楽団のピアノ協奏曲第27番K595のLPレコードの第2楽章。
ピアノが独り静かに主題を歌うとオーケストラがそれを繰り返しす。ヘブラーの演奏は、あくまでつつましやかで清楚です。(LPレコードは、CDに比べ、スクラッチノイズは有るものの、何故か、弱音でのニュアンスは美しく豊かに聞こえます。) レコードジャケット

煩わしい存在、モーツァルト!
お前は、私にお前の音楽を聴くためにオーディオセットを買わせ、曲の整理のためにパソコンを買わせた。
私は、お前の為に、他の幾枚のレコードを途中で放り出してしまったことか。
私が数多くの他の美しい曲に見向きを出来なくなってしまったのは、お前の責任だ。

ムカつくモーツァルト! でも、お前は何て素敵なんだろう!

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