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誰も知らないオードリー・ヘプバーン    (2007.1.20)
アンネ・フランクへの想い、愛と苦悩の生涯

BSディジタル放送のBS朝日でUNICEF創設60年の「誰も知らないオードリーヘプバーン」という番組が放送されました。 「アンネ・フランクへの想い、愛と苦悩の生涯」という副題のついたこの番組、「ローマの休日」などに見られる、 妖精的な魅力とは違ったオードリーの素顔を知ることができた興味深い内容でした。
女優の美波さんが「アンネの日記」とオードリーとの接点を見つけるために、その生涯をたどるという設定ですが、 「私を打ち砕いた」とオードリーが語る「アンネの日記」が彼女の心に及ぼした影響がどんなに大きなものだったことか・・・、とても考えさせられました。
オードリーはオランダ系イギリス人で、アンネ・フランクとは歳も同じそうです。ユダヤ人のアンネのようにナチスの虐待は受けなかったものの、敵国のドイツに捕らわれる危険の中、レジスタンス活動にも参加したとか。
女優になる前、オードリーはバレリーナを目指していました。まだ無名の頃の映画「初恋」では、バレエを踊っています。しかし彼女は、当時既に20歳を超えていた年齢と、175センチもの背の高さから、 バレリーナとしては芽が出ないというバレエの先生(ソニア・ガスケル)の助言で女優に転向します。そしてウィリアム・ワイラー監督の目にとまり、「ローマの休日」で一躍ハリウッドのスターに・・・・・・。
オードリーはアンネの日記の出演依頼があった時、女優は自分でない空想の姿を演じるもの。幼い時の自分の事実を演じることは出来ないと断ったそうです。
私は、オードリーの出演した映画の中で、「尼僧物語」こそ彼女の映画の中で最高の作品と思っています。 シリアスな内容故に目立たない地味な作品ですが、尼僧に限界を感じ、戒律の枠の中にこもった生活より、現実の困難な生活の中に身を挺することにこそ、 自分の人間としての本当の生き甲斐があるということを知り、レジスタンスの活動に向かう為に、一人修道院を出ていくラストシーン・・・。 これこそオードリーの幼少の姿そのものだったのでしょう。
華やかな女優としての人生を捨て、癌に冒されながらも、ユニセフの親善大使として、世界中どこでも苦しむ子供逹のいる場所へ駆けつけるオードリー。 女優という名声を最大限に活用してユニセフの資金集めに飛び回る彼女。この献身的な福祉活動は少女時代に救援物資をくれたユニセフ前身の国連救済復興機関(UNRRA)への恩返しとか。 物質的に満ち足りたからこそ、自分の幸せを、苦しんでいる世界中の子供達に分け与えたいという、彼女の切なる思いだったのだと思います。
 
民放のBSディジタル放送は、今まで、これといった良い番組がなく、NHKのBSハイビジョン以外はめったに見たことがなかったのですが、 この番組はとても良かった。「民放のBSディジタルも捨てたものではないな」と、見直した次第です。

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