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オードリー・ヘプバーンはバレリーナ志望   (2009.11.15)
オードリー・ヘプバーンはバレリーナを目指していたそうです。 オードリーは、1953年、ウィリアム・ワイラー監督の「ローマの休日」に主演、一躍トップスターになったのですが、この少し前、英国で準主演のような形でバレエ・ダンサーを目指す娘を演じています。 ソロルド・ディッキソン監督、ヴァレンティナ・コルテーゼ、セルジュ・レジアニ主演の「Secret People」(日本名「初恋」)という映画です。オードリーはコルテーゼ演じるマリアの妹ノラで出ています。 DVDも発売されています。

マリア(ヴァレンティナ・コルテーゼ)とノラ(オードリー)は政治家の娘。 姉妹の身を案じた父の計らいでカフェを営む友人に預けられた二人。しかし「父死亡」の連絡が届きます。 その数年後、姉妹は父の同志のルイに再会。バレリーナを目指すノラは彼のおかげで上流階級のパーティーで踊りを披露する機会を得ます。 しかしルイはそのパーティーの席で将軍殺害計画を企てており、姉妹も危険に巻き込まれていきます・・・。

映画の内容は、日本語のタイトル「初恋」には程遠いのですが、モノクロの、いかにも50年代のイギリス的といった感じの しっとりとした映画です。 オードリーは脇役でありながら、そのバレエシーンは眩しいくらいに輝いています。 オードリーはとてもういういしい。多分まだ20歳くらいでしょう。 彼女は、3ヶ所で踊っています。最初はオーディションの場面、次いでパーティーのアトラクションで、そして最後は舞台で、 プリマ・バレリーナとしてです。

オードリーはバレエを踊る役で出ていながら、この頃バレエを半ば、あきらめていたということです。 彼女は背がとても高い。多分175センチくらいあると思います。これがバレリーナとして生きていくのにためらいに繋がったようです。 確かにトゥを履いて爪先で立つと、もう20センチは高くなります。195センチもの女性を支える大きなパートナーはなかなかいない。 丁度よいパートナーを見つけるのは辛いものがあったのかもしれません。そんなとき、ウィリアム・ワイラーの目に留まり、「ローマの休日」が大ヒット。華々しくハリウッド映画界にデビューを飾ったのです。
これ以降のオードリーの映画の中では、バレエを直接踊ったものはありませんが、「麗しのサブリナ」、「パリの恋人」、「戦争と平和」、そして「マイ・フェア・レディ」の中でダンスを軽快に踊っています。バレリーナを夢見ていた頃の経験が役立っているのでしょう。 マイ・フェア・レディの衣装担当としてアカデミー賞を受賞した写真家セシル・ビートンは、 「目を見張るほどほっそりとしたまっすぐな長い首、垂直ラインを描くうなじから 若枝のようなしなやかな弾力を感じさせる背中。オードリーのポーズは 最先端のファッション写真にバレエの要素が混ったものだ。」とヴォーグ誌に寄せているそうです。
  映画「初恋」(1951年/英)
   監督 : ソロルド・ディッキソン
   脚本 : ソロルド・ディッキソン、ウォルフガング・ウィルヘルム
   (キャスト)
    マリア - ヴァレンティナ・コルテーゼ
    ルイ - セルジュ・レジアニ
    ノラ - オードリー・ヘプバーン
ところで、バレリーナ志望だったオードリー・ヘプバーンの憧れの人は、マーゴ・フォンティーンだったそうです。 オードリーは、10歳の頃からオランダ アルンヘルム音楽学校でバレエを学び、アムステルダムで学んだ後、イギリスで 奨学金を得て、マリー・ランバートバレエスクールでバレエを学びました。 第二次世界大戦中、灯火管制や集会禁止令の下でレッスンが困難となっても、家に練習バーを取り付け、 シューズの代わりにフェルトのスリッパを履き、友人達とレッスンを続けたということです。 英国サドラーズウェルズバレエ団(ロイヤルバレエの前身)のマリー・ランバートの門下生だったということですから、 そこいらのバレリーナを夢見る少女とは違い、本格的にバレエに取り組んでいたわけです。
1940年、オランダで行われたサドラーズ・ウェルズ・バレエ団の慰問公演の時、オードリーは、 アルンヘルム音楽学校生徒代表として、憧れのマーゴット・フォンテーンに花束を贈呈するという、幸運に恵まれたということです。

マーゴ・フォンティーンとオードリー・ヘプバーン、私は、この二人は、類まれなエレガンスで共通していると思っていましたが、 あるサイトで、「この二人を知る人が、二人は、とてもよく似ていて、立居振舞いの落ち着き、穏やかで礼儀正しい仕草、柔らかく 軽やかな話し方で、二人とも、誠実で魅力に溢れた人柄が滲み出ていたと言っていた」と書かれた文章を見て、なるほどと思いました。

(注)文中の記述の中には、バレエ*パラダイスショップのサイトの店長日記から、引用させて頂いた部分がございます。
  この場をお借りして、お礼を申し上げます。

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