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「千葉県暴走族及び暴走行為者等の追放の促進に関する条例」反対討論

2001.12.18 

 市民ネットワークの岩橋でございます。
 今議会に上程されました他のすべての議案に賛成し、発議案第1号  千葉県暴走族及び暴走行為者等の追放の促進に関する条例について反対討論を行ないます。
 もちろん、暴走行為者による犯罪や騒音などの迷惑行為について、決して容認するものではありません。また、暴走行為を行なう若者たちと実際に向き合っておられる警察官や学校の先生方、地域で、少年やその親たちの相談にあたっておられる市民団体や民生児童委員さんなど、ボランティアのみなさんのご努力に敬意を表するものです。
 さらに、この条例は議員提案であり、地方分権の中で議員の本分たる立法活動に取り組まれた先輩議員に敬意を表します。しかし、私はこの条例制定に賛成できませんし、少数意見を自由に述べることのできる社会が望ましいと考えておりますので、以下にその反対理由を述べて討論に参加いたします。

 まず基本的には、追放という言葉を冠したこのような条例は非行少年の更生のためのプログラムである少年法の理念と相反するものである点です。なぜ少年がこうした行動に走るのかという根本的な原因を解決する視点に欠けている点です。家庭にも地域にも、学校にも自分の居場所が無いと感じる少年が、こうした場所でかろうじて自分を認めてもらえると感じればこそ参加する、また専門家によれば、自信を持てず自己肯定できないことが他人への暴力につながるといわれます。そうした少年のおかれた現状に総合的に対処していくことが重要です。実際、ボランティアや施設、学校関係者で、何故彼らがこうした行動をするのかというところから非行少年と直接向き合って地道に活動しておられる方々のお話をうかがい、排除の論理で対症療法的に対処することは解決につながらないと感じています。条例の必要性についてですが、市民や県民に責務を課す条例の制定にあたっては、現在関係する法令では目的を達することができない場合に限定的に制定されるべきですが、本県では刑法はもちろん、共同危険行為の禁止や罰則を盛り込んだ改正道路交通法、不正改造是正に従わなかった場合には使用停止命令ができる道路運送車両法などを適用した数多くの検挙が行なわれ、協議会の発足、関係者への働きかけなどにより、暴走族といわれるグループは減少しております。県議会議事録を見ますと平成4年には2600人と把握されていたものが平成13年には660人となっております。
 また新たな危険行為に対処するのなら、道交法細則に位置付けることも可能です。今議会に交通安全条例も上程されており、この中で対応ができるものと考えます。
さらに条例の実効性は市民県民の納得が得られることが第1条件ですが、この条例に盛り込まれた、刺繍業者、インターネット事業者などの理解は得られているのでしょうか、条例作りの過程に当事者をふくめ県民が参画することなく上程されたことは残念です。
また、条例に盛り込まれたような努力義務に協力しているかいないか、どのように把握するのでしょうか? こうした規定はそれらの確認に要する行政コストの増大を招きます。強制にはなじまないので、努力をお願いするしかないということですが、条例に盛り込まれたことが実行されなければ、モラルハザードを招くことになります。
 宮城、広島など、先行して条例を施行した自治体では、条例制定以前に地域の中での様々な努力がされております。広島の例では学校と連携した指導や、少年たちの家族へのサポートのため保護者会を結成するなどして家族と連携した脱会活動をマンツーマンで行い、少年を家庭に呼び戻す夜鶴の会、少年をはぐくむ安佐南区民の会など地域のボランティア団体との連携を進めてきたとのことです。

 以上述べましたように、基本的理念、必要性、有効性、条例制定の経過の観点からこの条例の制定に賛成することはできませんが、圧倒的多数のみなさまの賛同で成立するこの条例がその運用にあたって、少数意見を反映したものとなることを願って討論を終わります。

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