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千葉県6月定例県議会(本会議)における一般質問全文&答弁要旨

1.若者の雇用とNPO
2.精神障害者の福祉
3.ホームレス問題について
4.農村総合整備事業について
5.産業廃棄物行政について
6.男女共同参画条例
7.公共事業の見直しについて

質問全文
答弁要旨

1.若者の雇用とNPO

 若者の雇用とNPOについて伺います。
『どうする、どうなる千葉の雇用』という6月5日号の県民だよりは大変インパクトのあるものでした。県の雇用支援に力が入っていることを示しています。他の議員も触れられましたが、この春卒業の高校生で、就職先が決まらなかった人が文部科学省の調査では3万5千人、千葉県内でもマイナス1%と若者の就職の厳しさを示しています。しかも、日本労働研究機構の『大都市の若者就業行動と意識』という調査によると、高卒直後の男子の46%、女子の30%がいわゆる新卒パートであるという驚くべき調査結果が示されています。
 私はこの1月にイギリスのNPOや社会起業家の活動について視察してまいりました。新労働党を率いるブレア首相は若者25万人の雇用を公約に掲げており、現場で若者の就職活動を支援しているのは社会起業家やチャリティと呼ばれるNPOでした。イギリスは300年のボランティアセクターの歴史を持ち、50万あるボランティア団体のうち半分がチャリティとして認証されています。その一つプリンシズトラストは83年にスタート、18歳から24歳までの若者を対象に教育から起業支援まで12のプログラムを提供しています。800人のスタッフと、12000人のボランティアが活動し、職につけない若者や、障害のある若者、犯罪暦のある若者などこれまで4万人の若者を支援してきました。資金の3分の1が私企業からの寄付、同額が政府の補助金、そして残りが個人からとEUからの寄付です。
 日本では税制も整わず、NPOはまだまだ厳しい経営状況を強いられていますが、企業が寄付をした時の優遇や個人からの寄付が集まりやすくなれば、イギリス同様、社会のニーズに効果的に応えられる存在になるものと思います。 ヘルパー派遣、福祉給食、リサイクルショップなどを、働く人自らが出資して運営するワーカーズコレクティブやNPOへの支援は雇用対策の上からも重要と考えます。
 イギリスで、雇用支援にあたるNPOや行政、そして、中間組織である地域開発公社などではそのきめ細かいデータに感心しました。たとえば、人口61万のグラスゴー市では、93年から4つの地域開発公社が作られましたが、そのひとつグレーターイースターハウス地区の地域開発公社では、その地域の貧困について、失業世帯46%、車の無い世帯72%、障害や病気で働けない世帯27%、過去5年間就職活動すらしていない62%、何の資格もない人が80%などとデータを示してくれましたが、このような現状分析が、訪れた民間、行政を問わず、ほとんどの団体でなされているのが印象的でした。日本では、労働や雇用分野は長年国の仕事であり、データも自治体が持っているわけではありません。しかし、少なくとも、雇用支援を打ち出す以上、自治体として独自データを持つ必要があるのではないかと感じました。以上イギリスの報告ですが、日本では、パートタイム労働の問題が、大きくなっています。パートといえば主婦という状況ではなく、パートタイム労働に、正規雇用につけない男女の若者、高齢者そして、壮年男性も不況の中で参入してきている実態があります。総労働者に占めるパート労働者の割合は2割を超えており,パート労働法の徹底はもちろん、ILOの勧告を受けているパート労働者の均等待遇の法制化が必要だと思います。
 そこで質問ですが、今年度予算のフリーターの若者の実態調査、若者向けのセミナーを高く評価するものですが、

 

1. 若者向けセミナーを実施してどのように仕事と結びつけるのか

(答弁者:商工労働部長)
1.今年度、千葉・東葛飾の2箇所で行う若年者就職支援事業のセミナーは、参加者に働くことの意義を考えてもらうとともに、就業意識を高めることを目的としています。

2.したがって、このセミナーでは、自分に合っている職業は何なのか、また、就職の方法がわからないなど戸惑いを持っている若者に対し、その不安を解消するため、職業適性についての自己分析及び就職先の見つけ方や模擬面接による実践的な面接の受け方など、求職活動に役立つ情報や知識を提供します。

3.更に、実際の就職に結び付けるため、このセミナー終了後に、できる限り多くの企業の参加を得て、働く意欲のある若者と企業との出会いが実現できる合同面接会を開催し、一人でも多くの若者が自分にあった仕事につけるよう支援してまいります。

2.フリーター及びパートタイマーに関する実態調査はどのような内容か。

 

 

 

 

 

(要望)
 女性パートタイマーの調査については、男女共同参画の理念から、壮年男性、高齢者、若者などを含めた、女性に限らない調査となるよう要望します。

(答弁者:商工労働部長)
1.全国で193万人とも言われている、いわゆるフリーターは首都圏でその比率が高くなっていることから、県内の状況を把握するために、その調査を実施するものであります。
 調査内容としては、現在の就業状況、職業歴、定職に就くことへの意向など34項目を設定しており、フリーターの労働に対する考え方などを明らかにしようとするものです。

2.なお、調査を行った方の中から、グループインタビューを実施し、フリーターで不利や不安を感じることがないのかなど、生の声を調査結果に反映させることとしています。

3.次に、パートタイマーにつきましては、県内の6,000事業所に勤務する女性勤労者に対するアンケート調査から、パートタイム労働を選んだ理由、税金の配偶者控除を年頭においた年収調整、正社員への登用の有無など、パートタイム労働者の実態を明らかにするものです。

3.新たな雇用の場としてのNPOに対する支援をどのように進めていくのか

 以上伺います。

(答弁者:環境生活部長)
 県では「NPO立県千葉の実現」を県政運営の重点施策の一つとして掲げ、市民活動が最もやりやすい千葉県にすることを目標に、本年度から本格的にNPO施策をスタートさせました。
 具体的には、NPO活動支援事業として、
(1)NPOの自立促進を支援する活動費補助金事業
(2)NPOからの事業提案を募り委託して実施する活動提案募集事業
(3)市民活動による公的福祉サービス以外の在宅福祉サービスを支援する事業
をスタートさせたところであり、このほか人材育成、情報提供等の関連事業も推進することとしています。
 こうした施策を展開することによって、新たな雇用の場としても期待されるNPOの活動が活発化するものと考えており、今後とも、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

2.精神障害者の福祉

 現代社会の中では、子供から大人までが様々なストレスにさらされて生活をしており、心身のバランスを崩したときには、誰でもが心の病になる可能性があります。WHOによれば、人がその生涯の中で1回でも精神疾患にかかる可能性は25%とされています。日本では医療機関にかかっている精神障害の患者数が全国で217万、糖尿病や心疾患と同じくらい多い病気です。
 国連「障害者の10年」後、ノーマライゼイションからユニバーサルデザインへ、『障害のある人とない人も共に生きる社会』という考え方が社会に浸透してきています。しかし、精神障害については、平成5年の障害者基本法施行、7年の精神保健福祉法施行で福祉の対象と位置付けられたにもかかわらず、残念ながらまだまだ偏見が強く、ノーマライゼイションを妨げています。日本でまだまだ偏見がなくならない理由は、いくつもあると思いますが最大のものは精神病院のあり方でしょう。他の科に比べると、形を変えたとは言え精神科特例があり、医師の数が3分の1、看護師の数も3分の2でよいとされ,そのマンパワーの少なさが1984(昭和59)年に入院患者が看護職員の暴行によって死亡した宇都宮病院事件のような精神病院における数々の不祥事につながってきたと思います。多くの精神病院に今も装備してある鍵や鉄格子は、医師や看護師等のマンパワーの少なさを補うものであり、中にいる患者の人権を侵害し、精神病患者に対する国民の偏見や差別を生み続けています。精神科特例を40年間も放置してきた厚生省の責任を問い、ライ予防法や薬害エイズのように障害者や国民に謝罪すべきという声も出されているところです。多発している中高年の自殺等“心の病”や、“精神の病”の問題が世間で重要視されている今日、精神科医療の改善は国民的課題ともいえます。
 また、いろいろな事件で、直接の関係があるかどうかわからない段階から犯人に精神病院への通院歴があると報道するなどマスコミの報道も差別を助長する結果につながっています。大きな事件のときに一番不安を感じるのもこれら、精神障害をもって地域で暮らしている人たちだと言われています。
 日本は世界の「病院から地域」へという精神障害者福祉の流れに逆行するように精神病院への長期入院者を増やしてきました。その数は34万人、厚生労働省ですら、そのうちの7万人は地域の受け入れさえ整えば、退院できる社会的入院者であるとしています。しかし、その受け入れは地域生活支援センターや作業所など地域の社会資源の不足や偏見のため、なかなか進まない状態があります。千葉県では、全国初の1985年に緊急時24時間対応の精神科救急医療センターを開設、専門家による電話相談など全国的にも高い評価をえております。

 そこで千葉県の精神障害者問題について、質問いたします。

 

1、千葉県の精神障害者福祉についての知事の基本的な見解を伺います。 (答弁者:知事 堂本暁子)
 明治初年、旧東京帝国大学の医学部の精神科の最初の教授になった呉修三が、ドイツの留学から帰って、日本の精神障害者に対して言った言葉は「この病を得た不幸のほかに、この国に生まれた不幸を併せ持つ」というものでした。以来100年、一世紀近い歳月を経ても、この状況が大きく変わったとは言えません。障害者といっても、身体障害者や知的障害者とは別扱いを受け、議員も指摘されましたが、ノーマライゼーションや福祉サービスの面では差別を受けていました。確かに、病院の在り方、精神病院の在り方やマスコミの報道の仕方が更に、それを助長してきたと言っても過言ではありません。
 平成5年に障害者基本法が施行され、精神障害者も身体障害や知的障害と並んで、明確に障害者と位置付けられるようになりました。施策の展開についても「入院治療中心から地域の中でのケア」との考えに変わって、そのための体制整備が求められております。
 こうした流れに沿って本県では「ちば2002年アクションプラン」では、障害を持っている方も、住み慣れた地域で、自分らしく、豊かな生活が送れる社会の実現、をめざしていくことにいたしました。
 それでも根強く残っている偏見の是正、グループホームなどの住む場所や働く場所等、社会資源の整備・充実をはかる必要が多く残っています。地域での生活を支援していくことが大変重要だ、と考えています。
 ケネディの解放政策を手伝った弁護士、アメリカの弁護士ですけれども、日本にきた際、言いました。「日本が経済大国であっても、精神障害者が大事にされる社会でない限り、世界は日本を認めないであろう。精神障害者が大事にされる社会は、世界に誇れる社会、人間の尊厳を大事にする社会である」と彼は言って帰っていきました。今でも、その時のことを覚えておりますけれども、私は、千葉県がそういった視点から見た場合に、世界に誇れる県であるということに、そういう県になるように努力、そうなるための制度を整えたらと考えています。
2、退院した精神障害者が困った時に相談したり、仲間と出会えたりする生活支援の場、地域生活支援センターは人口30万人あたり1箇所設置が障害者プランで目標とされていますが,千葉県では現在9個所に過ぎません。また生活の場であるグループホームについて、県独自のふれあいホーム制度を施行されたことを高く評価するものですが、まだ十分とはいえません。今後の推進計画について伺います。 (答弁者:健康福祉部長)
 精神障害者が地域で自立生活するうえで、「地域生活支援センター」や、地域において共同生活営む「グループホーム」などの果たす役割は、きわめて重要であると認識しており、県においては、その整備促進に努めてきたところであります。
 さらに、本年度からは、千葉県独自に「(仮称)精神障害者ふれあいホーム」を設け、国の制度である「グループホーム」の対象とならない、個人が設置主体となるものや、利用人員が少ないものに対し、解説費用や運営費を助成することとしたところであり、今後とも精神障害者の自立支援に努めてまいりたいと思います。
3、神障害者保健福祉手帳についても、その手帳を示すことによって得られるサービスが他の障害に比べて少ないと聞いています。JR、私鉄などの運賃割引などがそうですが、県の施設利用料金についてもいくつか,身体障害者の方や知的障害者の方には割引があるのに精神障害者の方が対象になっていないものがあります。他の手帳とバランスを取るべきと思いますがいかがでしょうか。 (答弁者:健康福祉部長)
 精神障害者保健福祉手帳については、身体障害者手帳及び知的障害者の療育手帳と比べて、取得によるメリットが少ないことから、その改善が必要であると認識しております。
 このため、旅客運賃の割引や、NHK受信料の減免など、公共公益機関が所掌している分野について、引き続き改善を働きかけるとともに、県有施設についても、利用料の減免など、施設を利用しやすくなるような環境整備に努めてまいります。
4、複数の市町村からの障害者を受け入れている作業所などではそれぞれの市町村の定める人数に達していないため補助が得られず、市町村補助を条件にしている県補助も受けられないということがあるようです。そのような作業所への県単独補助は考えられないか、伺います。 (答弁者:健康福祉部長)
 精神障害者共同作業所は、作業訓練、生活指導により、精神障害者の社会的な自立を促進するため重要であると考えておりますが、家族会等が運営する小規模のものが多く、地域に密着していることから、作業所の所在市町村を通じて、補助金を交付しているところです。
 複数の市町村から精神障害者を受け入れている共同作業所のうち、県の補助金交付の対象となっていない作業所についても、関係市町村の協議により、補助金を交付できるよう、市町村を指導してまいります。
5、また精神科だけの単科の病院が多いことも精神医療への理解を妨げるものとなっているという指摘もあります。一般の県立病院には精神科があるべきと思いますが、今後の計画について伺います。 (答弁者:健康福祉部長)
 誰もが精神科医療を受けやすくするため、また、精神障害と内科や外科など他疾患との合併症を有する患者さんに適切に対応するため、一般病院に精神科外来を設置して総合的に治療することが、必要なケースもあると考えています。
 一般の県立病院への精神科外来設置については、精神科医療に対する県民のニーズや民間医療機関の動向を把握しながら、今年度、県が進めている県立病院将来構想策定の中で検討してまいりたいと考えております。
6、痴呆性の高齢者が精神病院に入院している実態もありますが、本来特養の個別的福祉ケアが望ましいと思いますが見解を。 (答弁者:健康福祉部長)
1.痴呆性高齢者の方々については、専門的な精神科医療を必要とする場合を除いて、介護保険等による福祉サービスにより、一人ひとりの尊厳を保ちながら、穏やかに生活を送ることが大切であると考えています。
2.このため、本県では、入所者一人ひとりの家庭における暮らしが継続できるよう、全室個室・ユニットケアによる特別養護老人ホームや痴呆性高齢者グループホームの整備を積極的に進めていきたいと考えています。
7、今年からは精神障害にかかる在宅サービスの事務が市町村で行われることになり、各市町村では、手帳の発行やホームヘルプサービスの提供、グループホームへの助成等をはじめることになりました。ホームヘルプサービスは、一人のヘルパーが一人の人間として当事者と出会い、一緒にその人の持てる力を利用しながら自立へと結びつけて行く大切な仕事ですが、「精神障害者」と呼ばれる人たちは病気の苦しみとともに、社会的な誤解、偏見から自分を大切にされることに慣れていない面もあり、ヘルパーの気長で、継続的な、あたたかい支援によって自尊意識が芽生え、初めて“ニーズ”が表われ出てくるものかもしれません。期待されているこれらの新たな福祉サービスの提供について市町村の実施状況について伺います。 (答弁者:健康福祉部長)
 精神障害者の福祉に関する相談業務、精神障害者保健福祉手帳に関する受付業務については、すべての市町村で開始されております。
 また、居宅生活支援事業について、5月時点で調査したところ、ホームヘルプサービスは45市町村、ショートステイは43市町村、グループホームは24市町村で事業を行うこととなっております。

3、ホームレス問題について

 平成13年9月30日の国の調査によりますと、千葉県のホームレスといわれる方々は千葉市をふくめ、594人という数字が出ています。平成11年には279人だったということですから、2倍以上になっています。かつては、日雇い労働など不安定な仕事をしていた人が、建設現場などの仕事が減り、ホームレスになる割合が高かったといわれますが、最近は会社常勤や自営業など比較的安定した職についていた人が解雇や倒産、資金繰りの悪化をきっかけに路上生活にいたる例もふえていることは99年の東京都の路上生活者実態調査でも示されています。女性のホームレスもふえています。昨年6月には民主党によるホームレス新法案が上程され、与党3党も特別措置法案をまとめ、上程を目指しているようです。不況とはいえ、物にあふれ、使い捨て・飽食の日本において、公園や路上で、生活せざるを得ない人たちが存在していることの矛盾を感じています。このまま放置することは少年などによる襲撃などの犯罪被害者になる危険性、社会全体のモラル崩壊につながり、地域社会や政治の無力を示し続けることでもあると考えています。毎回健康福祉常任委員会でホームレス対策を取り上げて質問してきましたが、今回は本会議場で県議会共通の問題にしていただきたく質問いたします。

 
1、千葉県のホームレスの実態はどうか (答弁者:健康福祉部長)
 本県においては、公園、道路、駅周辺、河川敷等で594人のホームレスの方々が把握されております。
 地域的には、市川市141人、船橋市100人、浦安市52人等、東京に近い東葛飾支庁管内で約6割を占めております。
 次いで、千葉市123人、市原市47人等、千葉支庁管内で約3割強となっております。
2、ホームレス問題に対する県の支援策は (答弁者:健康福祉部長)
1.保護の必要性のあるホームレスに対しては、生活保護制度に基づき、生活扶助、医療扶助、住宅扶助等の保護を行うとともに、ケースワーク活動を通じて自立を支援しているところです。
2.ホームレス問題の解決には、社会復帰に向けての自助努力を基本として、福祉、保健医療、就労、住宅等の各分野にわたる対策が必要です。
3.県としては、現在国会に提案されている「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」の審議状況等も踏まえ、総合的な支援策を検討してまいりたいと考えております。

3、平成13年11月30日には対策協議会が発足しているがその概要はどうか

 以上うかがいます。

(答弁者:健康福祉部長)
1.昨年11月、県及びホームレス問題を抱える18市とで、主に社会福祉分野において連携して対策に取り組むことを目的に「千葉県ホームレス問題県・市町村連絡協議会」を設置し、ホームレスに対する生活保護の取り扱いや、各市におけるホームレスの実情に関する情報交換等を行ったところです。
2.本年度は、関係機関とも連携し、ホームレスに対する健康や安全の確保、自立支援策のあり方等について検討してまいります。

(要望)
 東京都は実態調査を行い、自立支援のための第1次、第2次、第3次という形で系統的な支援策を行っています。
 千葉県でも法律の施行を待つのではなく、積極的に、まず、バードウォッチング方式ではない実態の調査をしていただくことを要望いたします。

 

4、農村総合整備事業について

 農業はまさに地場産業であり、全国2番目の農業県千葉に住む消費者として、千葉の農業が持続可能な産業として発展することを願っております。農業に投じられる税金すなわち補助金が有効に使われて欲しいと望んでおりますが、前回質問させていただきましたように一部には農業補助金を私的に利用したり、税金であるということを忘れ、ずさんな計画や報告がまかり通るような例もあり、昨年県監査委員会が補助金の返還を命じる画期的な対応をされたことに敬意を表するものです。

 今回は農村総合整備事業について伺います。農村総合整備事業とは総合の名前のとおり、農用地の改良または保全、ほ場整備、農道整備や集落道整備、近代化施設等の用地整備、集落排水事業、農村公園緑地整備、集落農園整備などが含まれ、農村の公共事業のあらゆる分野が対象になるような感じさえあります。
 平成7年に、関東農政局管内では7地区が採択、千葉県では山武町が採択されております。事業費は、10億6千万円、平成7年から14年度にわたって継続中の事業であります。この事業については、地元でも問題ありとして、議会で議論されています。そこで伺います。

 

1.農道3号の拡幅整備完了直後の平成8年6月に隣接の水田が埋めたてられ、事業者の駐車場として貸出され、農地転用の許可を受けないまま使用されたことが問題となりました。県は平成11年に一旦原状復帰させた後、平成12年に転用を許可し現在も駐車場として使われています。農業の振興を目的としながらまるで民間事業者の駐車場のために道路を拡幅したような結果となっています。駐車場への直後の転用は問題です。計画そのものにも疑問を感じますがこのことをどのようにとらえているのか、県の対応に問題はなかったのかおたずねします。

(答弁者:農林部長)
1.農道3号は、平成7年度に山武町が拡幅工事を実施いたしました。
 その後、農道に隣接する農地の一部が駐車場として整備されましたが、その面積は0.27ヘクタールで、受益面積の21パーセントとなっております。

2.農道3号は現在でも農業機械の運行や農産物の運搬などの農業生産活動に利用されておりまして、農道としての機能は十分に発揮されており、県の対応に問題はなかったものと考えております。

2.農道3号の用地公有財産取得手続きをすみやかにしなかった為、道路用地として提供された農地が第三者に差し押えられ、分筆登記がこの6月までできなかったときいています。何故このようなことになったのか、またこの間の固定資産税は誰の負担となっているのか伺います。

(答弁者:農林部長)
1.農道3号の拡幅用地は地権者が7名・11筆ございます。そのうち1名・2筆については抵当権が設定されていたため、登記が遅れておりました。
 その後、所有者が変わり抵当権が抹消されたため、山武町では所有者の承諾を得て、平成14年6月20日付で所有権移転の登記を完了しています。

2.また、固定資産税については、地方税法に基づき市町村に課税権があるため、県としては確認をしておりません。

3.この事業は昨年見直しを図り当初予定していた排水路1号、農道5号、集落道2、6号、農村公園整備3ヵ所、集落農園1箇所を廃止しています。何故このような変更が行なわれたのか、それぞれの変更理由について、県にはどのような報告があったのかお尋ねいたします。 (答弁者:農林部長)
1.事業主体である山武町は、平成6年度に実施計画を策定し、平成7年度から関係者と協議調整を図りながら事業を推進してまいりました。
2.その後、
(1)排水路、農道、集落道、集落農園につきましては、地権者の協力が得られなかったこと
(2)農村公園については、、山武町が建設した「さんぶの森公園」の整備内容と農村公園との機能が重複することとなったこと
などを理由として、町から県へ平成14年1月に計画変更の申請があり、県としては、審査のうえ、4月2日付けで承認をいたしました。

(再質問)
 
農道3号の21パーセントの埋め立てについては、現状ではもっと広がっている。なぜここに農道が必要だったのか、県の採択に疑問を感じる。農転の許可にも疑問を持たざるを得ない。「さんぶの森公園」はこの事業と同じ時期に始まっていた事業であるのに、「農村公園」などがなぜこの事業に含まれ、また昨年に中止になったのかも疑問である。事業については、事後の評価も大切であるので、この事業について徹底した調査をお願いした。

 

(要望)
 県は補助金を交付した責任がある。現地では、青道が埋め立てられて駐車場となっているという実態があります。きちんとした事後評価をお願いしたい。

(答弁者:農林部長)
 事業主体が山武町であり、その事業が終了いたしますと、実績報告書に基づき検査をしており、必要に応じて現地検査も実施しておりますので、現時点での調査は考えておりません。
 その必要が出てきた場合には、その時点で考えてまいります。

5.産業廃棄物行政について

 廃棄物行政について、うかがいます。
今年、3月議会で「千葉県廃棄物の処理の適正化等に関する条例」が成立し、現在施行規則が作られています。市原市の海保地区で野焼きや不法堆積などをくり返し、火災を何度も起こした事業者が、燃焼能力190kgとして届出をしていた炉が実は最大能力326kgもあり、本来は許可が必要な炉であったということがわかりました。この炉は県の外郭団体である財団法人・千葉県産業振興センターからの設備貸与を受けていました。
 現在は、地元の運動と県の対応により、搬入、燃焼ともに止まっていますが、地元の皆さんが振動や悪臭、煤煙などの被害を受けつづけてきたその炉が県の外郭団体の貸与を受けたものであったことに地元は怒りと驚きを感じております。そこで以下について質問いたします。

 

1、産業振興センターの貸与に際しての設備導入資金貸付は貸付審査委員会の意見を聞いて決定されていますが、当時すでにこの業者の処分場は野積みや野焼き、不適切な処理などが問題化していたわけですが、この委員会ではどのように審議され、決定されたのでしょうか。 (答弁者:商工労働部長)
 産業振興センターが中小企業に設備貸与をするに当たっては、県商工労働部の関係機関、金融機関等で構成される貸付審査委員会の意見を参考にして、貸与の可否を決定しています。
 この焼却炉を貸与するに当たっては、貸付審査委員会から一般的な経営面の意見のほか、「この設備は、野焼きの防止などの観点からも必要不可欠であり、妥当性は認められる」との意見が出されており、貸与を決定したものです。
 しかしながら、今後は、産業振興センターに対し、許認可が必要な設備貸与に当たっては、関係機関と密接に連携を図るなど、事務処理を改善するよう指導してまいりたいと思います。
2、その貸与に際しては事前の現地調査が必要とされていますが、実際には現地の状況は確認しなかったということです。確認する必要はなかったのか、また、届出の処理能力は虚偽であったにもかかわらず、何故それがわからなかったのでしょうか。県がしっかりと確認をしていいればそれ以降の被害は防げたのではないかと思いますがいかがでしょうか。また、虚偽届出に対する罰則がまったくないのは問題ではないでしょうか。 (答弁者:環境生活部長)
 処理能力が、廃棄物処理法の許可施設となることがわからなかったのかとのご質問ですが、
1.この施設は「ダイオキシン類対策特別措置法」に基づき「処理能力 時間あたり190キログラム」の施設として届出されたものです。
 同法では、処理能力についての確認を求めているものではなく、ダイオキシン類の排出基準適合状況を審査するものです。
2.また、この施設は、廃棄物処理法の許可対象施設の規模以下とされていたことから、設置許可申請がなく、処理能力についての確認はしておりません。
3.なお、「千葉県廃棄物の処理の適正化等に関する条例」施行後は「処理能力 時間当たり50キログラム」以上の施設は、許可が必要となりますので、確認が可能となります。
3、この事業者は、炉を改善して操業を続けるとして、この6月に県に対し、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく届け出を提出したと聞いています。県では新条例をを制定、悪質な事業者に対する指導を徹底することになりましたが、この事業者に対して今後どのように厳正に指導していくのか、お答えください。 (答弁者:環境生活部長)
 事業者に対し、今後どのように厳正に対処していくかとの質問ですが、
1.現在は、焼却炉の使用を停止させているところであり、今後とも引き続き監視・指導をしていきます。
2.また、「千葉県廃棄物の処理の適正化等に関する条例」が本年10月から全面施行されることにより、この焼却炉を改造して使用する場合には県の許可が必要となります。
3.そこで、県では許可に当たって、条例の施行規則で定めることとなる許可基準に適合しているかどうかを十分に審査するとともに、維持管理基準及び煤塵などの排出基準に従って適正に処理されるよう立入検査等により、監視・指導していきます。

6.男女共同参画条例

 全国で男女共同参画条例を持つ都道府県が35となりました。3年前当選直後には「千葉県として条例を作る計画はない」、との回答でした。今思うと隔世の感じがいたします。その後、前沼田知事の議会答弁の中で男女共同参画条例の策定を明言され、堂本知事になって、意見募集、意見発表会、審議会傍聴などを経て、県民参加のもと、条例がその姿を現し始めていることに深い感慨をおぼえます。
 県議会でも、平成12年3月、男女共同参画推進議員連盟が活動開始、今年6月5日のなのはなサミットは首都圏議連主催のサミットのなかで最大の参加者となり、その内容も大変高い評価を頂きました。篠田会長をはじめ、千葉県議会68名の議連参加議員の皆さまに感謝と敬意を表したいと思います。 
 さて、すこし前なら、全国で何番目ということにニュースバリューがありましたが、現在、千葉県条例の場合はまさにその質、内容が、全国から注目をされています。それはもちろん堂本知事が全国で3番目の女性知事であり、国会議員時代に政府代表として北京女性会議に参加、男女共同参画社会基本法、 DV防止法などに関わってこられた経過を多くの人たちが知っているからであります。
 なのはなサミットの知事の基調講演では男女共同参画なくして、地方分権も国債の格付け上昇もないと、説得力にあふれたご講演でした。また自民党の阿部議員も言及されたように、私もこの男女共同参画社会づくりが少子化を防ぐ鍵を握っていると考えております。
 今月発表の厚生白書によりますと、日本の合計特殊出生率は1.33、千葉県はそれよりさらに低い1.24となりました。夫は仕事、妻は家庭というこれまで標準とされてきた世帯は激減、実態が変わっているのに、性別役割分担の意識がなかなか変わりません。とくに企業の勤務形態は男性の長時間労働とそれを支える主婦の存在を前提にしているため、働く男女の生活は厳しいものとなっています。また子どもたちをはぐくむ社会的環境も十分とはいえません。とくに働く女性は、結婚すれば家事、育児の負担を負うことになるという構造(男性の家事時間は36分、女性の家事時間は3時間強)の中で、25から29歳層の未婚化が進み、結婚はしても子どものいない世帯がふえています。調査では、子育て世代の男性には子育て意識の変化が見られ、私のまわりでも若い夫婦の関係は着実に変わリはじめていると感じていますが、労働時間の短縮や育児休暇を取るなど実際の行動変化は少ないようです。父親の育児休業取得者割合は平成11年で0.42%(平成8年0.12%)、子どもの誕生によっても9割が生活の変化なしとしています。こうした固定的な性別役割分担意識は、働く女性にとって「女性は仕事も家事も」と大きな負担を強いるかたちになっており、男性にとっても「男性は仕事」という役割分担を前提とした長時間労働により、家庭生活や育児を楽しむことができない状況を作り出しています。こうした意識を解消し、家庭や職場で、男女がともに仕事と子育ての両立が可能となるような風土をつくっていくことが少子化にブレーキをかけるために最も必要です。子育て期の男性が仕事と子育ての両立が可能となる柔軟で多様な働き方ができれば、男女間、世代間でのワークシェアリングにつながり、雇用確保や社会の安定化にもつながります。保育所などの整備ももちろん必要ですが、社会的保育の長時間化をどこまでも推し進めるのではなく、男性の長時間労働を是正し、男女が子育ても仕事もそして、地域社会作りにも共に参加する人間らしい社会こそが求められています。そのためにこの条例ができるだけ早くかたちとなるように願っておりますが、知事は少子化について、どのようにとらえ、この条例をどのように役立てたいと考えておられるのか伺います。

(答弁者:知事)
1.先に発表された、育児期にある30代の助成の労働力率(女性人口に占める女性就業者等の割合)と、出生率をみてみると、労働力率が高い都道府県ほど出生率も高い傾向にあり、出産、子育てをしながら働き続けられる環境が出生率の高さに結びついています。
 本件は、労働力率は全国第42位、出生率は第40位といずれも低い状況です、この状況を改善することによって出生率を上げることができるのではと思っています。
 なぜ労働力率が低いかというと、女性が子どもを産み育てやすい環境が十分に整っていないからだと思います。自分が仕事をしたいと願っている女性や、働かなければならない状況にある女性が、働きやすい状況をつくることが、なによりも大事だと思っています。

2.この条例では
(1)妊娠、出産しても働き続けられるよう、また、子育て後の再就職が容易となるような雇用環境をつくること。
(2)多様な保育支援、子育て支援の整備をすること
(3)さらに、女性への過重な負担となっている家事をどうやって減少させていいくのかということ
も大きな課題です。
 家庭でも、地域社会でも、そして職場でも、男女が共に協力していく男女共同参画を実現しなければならないと考えます。
 このような女性が働きやすい社会を目指すことによって、女性が子どもを産み育てやすい環境、それはとりもなおさず、男性と女性のいい関係性が構築できること、共に豊かな人生をその地域で、そして千葉で送れるということが大事だと考えています。
 男女が、お互いに協力しあいながら、社会の支援のもとで、安心して子どもを生み育てられる千葉県づくりにこの条例を役立てたいと考えています。
 21世紀は、地域住民が主役となる、男性も女性も、一人ひとりの能力あるいは個性が発揮される、そういった社会を目指しているわけですが、これは分権型社会の創造ということもできます。
 そのために、なによりも大事なことは、中央からだけの考え方ではなく、千葉主権の確立によって分権をきちっとやりおおせることと、その中で、男女共同参画と地方分権というこの2つの車の両輪がそろったときに、分権型社会の構築ができるのだと思っています。

7.公共事業の見直しについて

堂本知事就任以来、本格的な行政改革が県民に見える形で推進され。期待されています。現在、来年度予算に向け継続されてきたあらあゆる事業を見直すスプリングレビューが行なわれているとのことです。これは、これまで継続してきた各事業について、行政、民間、NPOの役割分担の観点から何千という継続事業を対象に見直されているとうかがいました。総力をあげてやっていただきたいと思います。しかし、このスプリングレビューではダム事業や、高速道路、首都圏第3空港など国庫事業については対象にならない、また、県の道路事業についても、ひとつひとつの道路を取り上げるわけではないと伺いました。しかし、私はこれらの事業の中にも見直しが必要なものはあると思います。例えば、八ッ場ダムや思い川開発からの撤退、常磐新線の区画整理事業の見直しも必要と考えます。道路事業の中にもバブル時代を反映したような(高盛工法をとっている国道297号松野バイパス工事)ものもあり、見直しを検討すべきと思うのです。見直せるところは、聖域なく、見直すべきです。

(答弁不要)