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岩橋百合の県議会レポート 2002年春号 (2002年4月25日発行)

“住民が選択した町の福祉”鷹巣町では今

『住民が選択した町の福祉』『問題はこれからです』(監督・羽田澄子)というドキュメンタリー映画があります。秋田県鷹巣町が舞台で、福祉を公約に当選した若い町長を中心に、住民の活動に支えられながら、ケアタウン構想の実現など町の福祉が充実していく様を捉えた映画です。映画を見て以来一度は行ってみたかったその鷹巣町を3月31日に20人の有志と共に訪れました。
 
補助器具センターにて
 
 
げんきワールド

 *映画のラストシーンから
 『ケアタウンたかのす』は平成4年から始まった「福祉の街づくりワーキンググループ」から生まれた居住型老人保健施設で、平成11年4月にオープンしました。映画はそのシーンで終わっていたのですが、平成12年には『補助器具センター』が完成、利用者の体に合わせて調整されるさまざまな車椅子の見本が30台以上も並び、自分に合ったスロープの高さを試せるコーナーもありました。
 商店街の中心部の空き店舗を改装した『げんきワールド』は、総合福祉相談窓口であり、住民誰でもが集える場となっていました。

 様々なワーキンググループ
 デンマークの福祉に学んだ高齢者福祉で日本の最先端を走る鷹巣ですが、福祉にかぎらず、町営ヒュッテ建設、児童公園の遊具作り、ふれあい通院バス、ごみ、歩いて暮らせる街づくりなど合計14のワーキンググループに2000人という、2万2千人の鷹巣町住民の1割もの人が参加してきたそうです。

 日本初 高齢者安心条例
 今年4月には、痴呆の高齢者を縛ったり、鍵をかけて閉じこめたり、薬漬けにしたりすることを規制する高齢者安心条例が施行、福祉のサービス提供責任者はお年寄りの体にじょくそうができた場合は町長に報告する義務があるなど、徹底的に弱い立場の人たちの人権を守る条例です。

 若者の雇用も確保
 福祉介護関係の若者の雇用が300人と、福祉が最大の元気な産業であり、公共事業も土木から福祉にシフト。今後は子供たちが障害の有無にかかわらず互いを認め合い尊重しあえる学校『鷹っ子スコーレン』を作っていく計画とのことでした。これも、日本初ということになるのでしょう。

 *私たちも自分のまちで
 鷹巣は65歳以上の高齢者の比率が26.53%と千葉市の約2倍ですが、在宅介護支援センターの数は4倍強、グループホームでは5倍強となっています。千葉市でもどこかの誰かがやってくれるのではなく、自分たちが参加し選択していくことで福祉の町は作られていくと信じます。どうぞご一緒に。


本 当 に 必 要 な の ?

八ッ場ダムはもういらない……

 水道のレバーを回すと出てくる水、千葉市民の飲む水道の原水は印旛沼と利根川流域の水です。その水道料金が高くなりしかも水がまずくなる、そんな可能性の高い計画が着々と進行中です。シンポジウム『八ツ場ダム問題を考える in 千葉』を3月25日千葉市で開きました。

 
地元川原湯温泉の方もパネラーとして参加
 

 水道料金には水道管の敷設や浄水場の建設維持、水道局職員の人件費などの諸費用に加え水資源の開発つまりダム建設費用などが含まれています。群馬県の八ッ場(やんば)ダムは全体の建設費が5000億円くらいになるといわれていますが、その建設費を東京・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の県民が受水割合に応じて負担することになっています。(千葉県は約1000億といわれている)このダム計画にはいろいろな問題があります。

 
 

 水は本当に足りない?

 田中長野県知事の脱ダム宣言が話題を呼びましたが、膨大な建設費や自然破壊などの公共事業としてのダムの問題に加え、ダムの建設費用は水道料金にはねかえるシステムとなっていることはあまり知られていないようです。水がどれだけ必要かという需要予測は人口の伸び、産業の発展などを予測して作られますが、他の多くの長期計画と同じように過大予測を指摘されています。利根川流域の人口も2007年頃からは減少の見込みであり、工業用水も生活用水も、また、農業用水も増える見込みはありません。しかし、千葉県が予定しているダムへの参加は八ツ場に限らず、南摩ダム、思川開発など続いているのです。

 
「積極的な地下水の利用を」
と楡井さん
 
佐倉の地下水について語る
ネット市議中村春子さん

 地下水はふえている
 シンポジウム会場で、もっとも注目されたのは土壌汚染の専門家、茨城大学の楡井久さんの発言でした。千葉県では、京葉工業地帯で多量の地下水が汲み上げられ、地盤が沈下したため、現在でも、東京湾を取り囲む地域では、地下水の汲み上げが原則的には禁止されています。そのため、佐倉市のようにおいしい地下水を水道水にしていたところでも、まずくて高い川の水への転換が進んでいます。しかし、楡井さんによれば、地下水は適当に飲用に使って行くほうが望ましい、千葉県の地下層にはいわゆる地下水盆が存在し、地下水は供給され続けている。あまり地下水位が高くなると、地震のときの液状化などが心配されるということでした。

 
この美しい吾妻渓谷も水没する
 

 表流水(川の水)への転換はダム建設推進とセット?
 川の水への転換をするためには水利権を獲得しなければなりません。ダム建設への参加を表明すると暫定水利権が生じます。まだできていない八ツ場ダムの建設計画に千葉県が参加しつづける背景にはこの暫定水利権があります。

 丁度50年前に計画され、やっと昨年補償基礎額が合意された八ツ場ダムで、ダム底に沈む予定の川原湯温泉はダム計画に翻弄されつづけてきました。改築してもムダと昔の面影そのままの温泉の鄙びたさまは派手さのない景色で安らぎを与えてくれます。ダム反対からやむをえない補償交渉まで住民の苦悩の半世紀が続いてきました。水を使う都市部の住民のためならまだしも、ダム建設そのものが目的となってきたのではないか、シンポジウムでは、そんな声が多く聞かれました。首都圏で八ツ場の水はもういらないと言う声を上げなければ、ダムは止まりません。次のシンポジウムは東京で行なう予定です。(主催・首都圏のダムを考える市民と議員の会)。


いよいよ千葉県にも男女共同参画条例が

 でもちょっとまって。中味は? そして条例はどんな風に私たちの暮らしに関係してくるのでしょうか? 千葉県の条例作りとしては、これまでにない県民参加で準備されてはきましたが、使う側の私たちに十分な準備はできているでしょうか?
 というわけで、私たちのものといえる条例にするために積極的な参加をしていきたいと思います。男女共同参画課では、県民の自発的な学習会に、職員を講師として派遣します。小さな集まりでもぜひ呼んでください。日本一の条例を作っていこうという知事や、懇話会を外からも応援していこうという県民のネットワークが作られようとしています。「(仮称)女と男が輝く千葉県条例ネットワーク」がそれです。問い合わせは県ネットまで。


初めての知事公舎 〜堂本知事誕生から一年〜

 知事当選1周年を記念して、知事選挙に当初から関わった50人ほどの人たちが知事公舎に招待されました。
 とはいえ、私の知っている顔は市民ネットワークの10人ほどと、「21世紀の千葉を作る県民の会」の数人、生活クラブ有志の数人、あとは堂本さんの親戚の人たちくらいでした。壮年のたくましい男性たち10人ほどは堂本さんの山仲間、六大学の山岳部OBの皆さんでした。劇団女優の七尾玲子さん、それから多分東京女子大の同級生の方々、ファムポリティクス編集長田中美喜子さんなどの顔も見られ、知らない人も多くいらっしゃいました。ことほどさように、あの選挙の全体像を把握している人はひとりもいないといっても過言ではありません。

 
知事公舎の庭にて
 

 この1年の千葉県政の変化を生み出した動きに最初に参加した50人がそこにいました。ただ、木更津市長選真っ只中の高橋さん、天野さんがいなかったのが、残念でした。
 さて、初めての知事公舎の印象は歴史的建造物というには新しい中途半端な古さの建物ということでした。しかし、林業試験場だったというその庭はすばらしく、成田の平行滑走路開業をひかえ、ゲリラ対策で、散歩もままならない堂本さんはこの庭をよく歩くといっていました。花を見ようと近づきすぎて警備システムが作動してしまい、ガードマンの人が駆けつけてきたことも2回ほどあったそうです。
 ともあれ、大変な激動の時期に千葉県知事を引き受け、古いシステムを一新する役割を背負ってくれた堂本さんに感謝したいと思います。

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