岩橋百合の県議会レポート 2002年秋号 (2002年11月11日発行)
政 治 不
信 を 超 え て い こ う
参 議 院 議 員 補 欠 選 挙 を 終 え て
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*千葉 24.14%
参議院補欠選挙の投票率です。政治そのものに対する市民の批判であり、政治不信であることは間違いありません。また、誰を選んでも状況は変わらない、自分ひとりが投票しなくても同じ、という市民の無力感が現れた数字でもありましょう。
大勢の人が選挙に行かず、結果的に公明票に支えられたとされる自民候補の勝利となりました。白紙投票した人は何らかの批判の意志を示したわけですが、今の選挙制度では、白紙投票が何パーセントかを超えたら選挙をやり直す、などの制度はありません。
*マスコミは何を報道したか?
市民ネットワークでは、『反自民』で一致する政党、団体とともに、『クリーン政治ちば円卓会議』を作り、候補者を選考し、選挙をともに支えました。わたしたちにとっても初めてのケースでした。市民団体や政党、労働組合が対等にテーブルにつき一つの目標に向かって力を合わせるこのやり方を一番理解しなかったのがマスコミでした。
記者からはくり返し「政党と一緒になってやりにくい点はなんですか? ネットにも不満がたまっているでしょ」などの質問がありました。そんなことは最初からわかって始めたことでした。それがはっきりと現れていたのは、告示の日のニュースで街頭あいさつなどから3党首以外の人…もちろん私もです…の姿も、発言もくっきりと切り取られていたことです。あれでは、ニュースを見た人に【自民党VS野党】の構図しか見えません。その報道姿勢は最後まで同じでした。
*新たな市民の選択も…
残念な結果になり、低投票率の印象のみが強い選挙になってしまいました。しかし美浜区や千葉市全体、佐倉市などの結果を見ると、新しい市民の選択が見えているような気がします。『市民の政治』を実現することです。政治不信を超えていきましょう。
クリーン政治ちば円卓会議若井候補へのご支援ありがとうございました。
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若井康彦
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自民党候補
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共産党候補
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美浜区
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13001
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8228
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5703
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千葉市
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67015
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59924
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31484
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佐倉市
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15501
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11450
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5468
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この数字を明日につなげよう
こ ん な こ と が
あ っ て よ い の か !?
どうなる千葉県男女共同参画推進条例
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★ 男女平等の理想と現実
戦後、日本国憲法に両性の平等がもりこまれました。戦前の無権利状態に比べれば、参政権を始めとした法的権利は大きくなり、今では家庭でも社会でも女性が男性と同様の権利を持っているという建前に反対する人はいないでしょう。しかし、男女平等は達成されたか? ときかれれば、達成されていると答える人はまだ少ないと思います。
国連のレポートによれば世界の収入の十分の一、そして世界の財産の百分の一しか女性は持っていないとのことです。欧米や日本などの先進国ではあからさまな差別は姿を消したと思われていますが、議員や企業の経営者など、政策決定の場への参加はまだまだであり、とくに日本では北欧などと比べてずっと低い状況です。
★ 世界の潮流は
1975年、国連の国際婦人年にあたり、第1回世界女性会議がメキシコで開かれました。以来ほぼ5年に一度、最近では1995年に北京女性会議が開かれ、日本からも5000人を越す人たちが北京に集いました。
参加した各国政府は共同で作った行動綱領に沿って国内法の整備を行なうこととなり、日本でも1999年に男女共同参画社会基本法が制定されました。男女平等ではなく共同参画となっているところに日本の現状が現れています。国会の女性議員比率は1割程度であり男女平等に違和感を示す男性議員が多いため、この共同参画という言葉が使われたといわれています。そして、2000年3月には埼玉県、東京都で全国初の県条例が作られ、2002年10月までに全国の38の都道府県と73の市町村で条例が作られています。
徹底した情報公開・県民参加
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- 平成13年3月 条例専門部会発足。今年6月まで11回、議事録は完全公開
- 104名の有識者団体等からのアンケート、 県民意見陳述を受ける
- 平成13年12月中間とりまとめを発表
- 県民説明会4ヶ所開催
- 意見募集434件
- 公開会議での傍聴者212人
- 平成14年7月骨格の発表。骨格のシンポジウムを3箇所で開催
- 9月3日条例案を男女共同参画推進議連に 提示
- 9月11日各会派に説明
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★ 知事が目指した日本一の条例
条例とは何か、それは、自治体の法律であるといえます。堂本知事は国会議員時代に男女共同参画社会基本法の制定に関わってきました。だからこそ、自治体という場で県民が利用しやすい、役に立つ条例を作りたいという意欲をもって条例に取り組みました。
千葉の女性たちの現状に合わせ、農業、水産業などで働く女性たちに思いをはせ、また家庭や職場での男女平等が進むように工夫をしたものでした。『DV対策』もきめ細かく取り上げられ、全国で初めて両親のDVの現場にいあわせ心にキズを負う子どもを被害者としてとりあげました。また、千葉県が他に先駆けて実施して好評を得ている女性専用外来を法的にも裏付ける『女性の生涯にわたる健康支援』をもりこみました。策定手法も千葉県で初めて、多くの県民参加の機会を作って1年半をかけました。またその経過は徹底した情報公開で進められました。
★ 自民党の理不尽な抵抗
しかし、自民党は数多くあった機会に意見を述べることもせず、上程される10月議会間近に4項目の削除を申し入れました。98人中67人を占める自民党が賛成しなければ、条例は成立させられません。知事はやむなく『県の物品購入や建設工事に参加する入札事業者の男女共同参画状況を参考にすることができる』という画期的な条文を全文削除しました。また、農業後継者支援のための家族経営協定の文言も削除して議会に上程しました。
しかし自民党は残る2点の削除もさらに強く求めました。その2点とは男女共同参画社会基本法にすでに入っている、教育における『性別に関わらず』という言葉と、性教育の充実を図る『自らの意志で決定することができるよう』という言葉を削除せよというもの。その理由としては、男らしさ女らしさを否定するものである、妊娠中絶を女性だけで決定するものであるとしています。この条文からどうしてそんな読み方ができるのか不思議でなりませんが、これらの背景には、自民党の支持者として神社本庁など宗教団体が力を持っていること、男女共同参画は伝統的な価値観を壊すものであるというような主張をしている団体(新しい歴史教科書を作る会など)の存在があります。全く同様の主張がものすごい量のチラシや新聞として自民党議員に届けられ、その一部は私たちの地域のポストにも配られました。
★ 全面対立……継続審議へ
知事はこれら2点ははすでに基本法にもりこまれたものであり、基本法の要とも言うべきものであるからこれを削除することはできないと全面的に対立、10月議会は男女共同参画条例を巡る攻防の議会となりました。連日の論議のすえ、最終日に自民党だけが採択せず、継続となりました。
継続というと単に決定が延びただけと思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。県議会の歴史の中で、知事から提出された条例が継続にされた例は1回もありません。その上、採決にあたっての自民党討論では条文の中味から全体の構成にいたるまで20項目以上も異議を唱え、全く違った中味の条例を12月議会に議員提案することも視野に入れていることがうかがえました。
自民党の数の横暴に女性県議の会・多くの人が抗議の声を挙げました
★ 数の横暴を許すな
知事と県民が1年半かけて作った条例、女性議員全員を含む他の議員がすべて賛成している条例を自民党が数の力に任せてずたずたにしようとしています。本来この10月議会は知事が提案している行財政改革プランについての論戦が期待されるところでした。また、すでに始まっている来年度予算編成では道路などの県事業予算の削減などが論議されるはずでした。実はこれらこそが自民党の本当の攻撃対象だったのではないかと思います。県民の支持が高い知事と予算面で衝突せず自民党の存在感を示したいという、その犠牲になったのが条例だったのではないかと思うと、二重に怒りが湧いてきます。
条例をともに作ってきた県内の女性たちのグループや女性県議の会、条例に賛成している県民の動きも活発化しています。12月議会はすぐにやってきます。どうぞ注目してください。
10月30日、岡山県笠岡市にある「きのこ老人保健施設」を視察してきました。
この人の職種はなんだと思います? と施設長にきかれました。すごく小さくなった高齢のおばあさんと笑顔で何か話しながら、寄り添って廊下の長いすに座っているひとは、栄養士さんでした。栄養士も、食堂の調理員も高齢者とともに生活するひとである、食事を作るだけ、献立を考えるだけではないというのがきのこの考え方です。かつて、痴呆性高齢者が徘徊できるようにと作られた回廊がかすかに痕跡を残していますが、すっかり改装されて、10人ずつのユニットに。職員の人が食事テーブルで、カルテのようなものを記入していたのが印象的でした。ケアすることは独立した仕事というよりは『一緒に生活する』ことなんだなと感じました。
ユニットの台所はどこにでもある家の台所、冷蔵庫の中身も変わりません。それぞれのユニットで食事作りをするので、大きな調理室は必要なくなってしまったのです。
なつかしい箪笥や書棚など(実は我家にもある)がたくさん並んでいました。高齢者の方の持ち込んだ物ではなく、職員の方が古道具やさんで探してくるものだそうです。
逆デイサービスという新しい試みは、街中に普通の2軒の民家を借りて、数人が施設から通います。施設ではまったく表情がなく、歩くこともしなかった男性が草花の世話をし、土を運んだりする姿をビデオでみせてもらいました。同じ人がこうも変わるのかとおどろきました。
この施設長武田和典さんこそ、ユニットケアを日本で始めたひとのひとりです。昨年千葉県で行なわれた全国ユニットケア大会も企画運営に大きな力を発揮。その情熱的なしゃべり、いたずらっ子のような目が印象的でした。ちなみに「きのこ」というのは地名(木之子)です。
?どこかおかしい?〜
議員定数検討会
4年に1度の統一地方選が来年4月に行なわれます。私の初当選から早いもので4年が経ちました。今、千葉県議会では、議員定数等検討委員会が開かれています。来年の選挙の定数を決めようというものです。各会派がそれぞれの案を持ち寄り協議が始まりました。しかし、最大会派の自民党はもう3度も開かれた会合に案を出してきません。公明党も現在の定数のままで良いとしています。私は
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特例区の廃止(当分の間特例区をおくことができるということだったのが、20年以上もそのまま、1票の格差5倍を生んでいます)
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定数は法定定数とし(千葉は減数条例を施行しており本当は117人です)議会費は現行どおりとする(つまり議員一人当たりの報酬を減らす)
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定数は議会でその都度決めるのでなく、第3者機関で決める
という案を提出しました。といっても、一人会派の意見はこの委員会では《参考》扱い。自分たちの選挙の定数を自分たちで決めて当然という、その考えがおかしいと思います。。
待ったなし!!〜行財政システム改革
危機的な状況にある千葉県の財政状況ですが、堂本知事の大胆な改革が打ち出されています。抵抗は強いと思いますが、県民の皆さんの後押しがあれば進めていけます。
★行財政システム改革行動計画
ずっと県が行なってきた仕事を見直し、行政のやるべき仕事(県・市町村)、企業の仕事、市民NPOの仕事に分ける。今回の計画の中には県立博物館の統廃合、市町村への移管、各種研修の委託化、母子休養ホーム、老人休養ホームなどの廃止、共済組合の保養所廃止、水道局・企業庁のあり方を検討、公社の統廃合、県からの派遣ゼロに、定数削減660人
★財政再建プラン
知事を始めとした特別職の報酬カット、一般人件費の削減、外郭団体への金銭的関与30%削減、県単独任意の補助金全面廃止、新規事業には終期を明示するサンセット化、超過課税・法定外税の検討、無料施設の有料化、老人大学校等の授業料有料化、等
詳しい中身は県ホームページ(行財政システム改革行動計画・財政再建プラン)、あるいは県ネットへ。
11月は平成13年度の決算を審査する決算特別委員会が6日間開かれています。誰でも傍聴できますが、市民に公開される資料はほとんどなく、行政の説明の部分は聞くだけではわかりにくい。議員が質問する段になると俄然おもしろくなります。しかしすでに使われたものを審査する決算特別委員会があって予算特別委員会がないのはやっぱりおかしいですね。 |
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