堂本県政1年目を終え、マスコミ紙上でもその検証が盛んに行なわれている。私たちネットでも、出した立場からの検証を行なうのは義務だと思う。この1年の堂本県政を振り返りつつ、新年度予算について報告したい。
産業廃棄物対策の徹底
昨年当選後すぐに自社処分場と称する不法な産廃処分場で火事が起き、そのことをきっかけに県職員にしかなかった立ち入り権限を市町村に分権。その後、国に対し規正法の必要性を訴えた。しかし、国が積極的に対応しなかったため、県独自の条例を3月議会に上程した。県射撃場の鉛汚染対策に手をつけ、2年目には23億の予算措置を行なった。ディーゼル車による大気汚染、特に粒子状物質の規制条例を東京都と同じ基準でスタート。廃食油のリサイクルと農業を結びつけた菜の花プロジェクトを推進。
女性と子ども、高齢者、障害者の福祉
何といってもこの分野での変化はめざましかった。県立病院における女性専用外来の開設、あまりにも好評で、予約が受けきれないため、2年目もさらに数を増やし、保健所においても女医による相談事業を始めた。児童虐待や障害児の問題を担当する児童相談所に職員を増やし、女性サポートセンターでは、DV被害者の駆け込めるシェルターとして、3つしかなかった室数を一気に20増やし、24時間の電話相談も始まった。新年度予算では、保健士・保育師なども配置。
市民活動支援、市民参加
本格的なNPO支援がはじまった。県庁内に市民活動支援サポートセンターが開設され、NPOフォーラムが開催された。2年目はNPOへの活動支援費が予算化され、NPO自身がプレゼンテイションによって審査して、活動費の支援を行うことになった。三番瀬の再生計画検討会がスタート、すべての会議が公開され、事務局を公募するなど新しい千葉方式が生みだされつつあるといえよう。
行政改革、情報公開
知事自身の交際費を100%公開した。しかし10000件をこえる不服審査請求に有効な手段はまだとられていない。モノレール株式会社などを含めて外郭団体を情報公開の対象としたことは評価できる。また、すべての外郭団体の経営調査とその結果を発表、これが今年度から作られる行政改革プログラムに生かされることを期待したい。血清研究所の廃止は強引とも言われているが、しがらみのない強さで押し切った。外郭団体はその廃止を恐れ抵抗は非常に強い。今年も部長クラスの退職者が外郭団体に天下りした。
公共事業
就任早々、成田問題を解決するための4者会議を立ち上げ、行動力を示した。つくばエクスプレス、成田新高速など、道路網整備には積極的。しかし、従来型の県道予算については、供用実現性の高いところから配分した。八ツ場ダム、思川開発、それから第2湾岸道路など、国の事業に対して見直すなどの強い姿勢は見せていない。柔らかく対応しつつ、機を見、行動するということなのか、知事を送り出した環境派の人たちの中にはとまどいもあるようだ。
教育、子育て
小学校の1・2年生38人学級が実現。しかし、1学年115人以下の学校には適応されないことは残念。空き教室の福祉利用も教育委員会の抵抗を崩せていない。しかし、男女混合名簿の積極的導入の働きかけは大きな効果をすでに現してきている。不登校や引きこもりなど子どもの問題をサポートするセンターを設置し、奥地圭子さん、山下英三郎さんなど日本のそうそうたる実践家を委員にするなど新しい取り組みは高く評価できる。
新年度予算
新年度予算では、福祉・環境・NPO・市民参加・雇用創出などに新規の事業が多く、予算もつけられた。その結果総額1兆6570億円は前年度比マイナス4%だが、福祉・医療などについては、9.6%増の予算となった。歳出については、福祉の充実・環境重視・人権の問題にも感度が高く評価できる点である。
県債増加は要注意
しかし一方で問題もある。表面には見えないが県債(借金)も実はふえている。平成11年に2025億8300万だった県債が12年には1621億700万、13年には1206億6100万と減らしてきていたものが今年は再び2109億6200万円と前年度比174%と増加している。この結果今年度末には県債の残高が2兆417億円になると見込まれている。この原因はもちろん景気の低迷による法人税を中心とした県税の減少とそれに伴う県債の活用なのだが、成田新高速、つくばエクスプレス、BSE問題など様々な財政課題があるなかで、全体の膨張に歯止めがかかりにくかった点があげられよう。
県単独公共事業には、当初マイナス30%のシーリングがかかっていたが、当初予算では10%のマイナスにとどまっており、自民党などの道路要望の高さを考えると、引き続き注意が必要だ。知事を支援する県民の声を高めていくことで、知事のリーダーシップを高めて、長期的公共事業の見直しにも踏み込めるようにしていきたい。