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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【アウトラインを掴む】

「アウトラインを掴む」
「逆鱗には触れるな」
 人間の思慮ほど千差万別で複雑なものはありません。問題点を単純化させ的確な解決ポイントを掴もうとしても、単純に論理的な筋道を探すのは容易ではないからです。

 ビジネス組織の中においてその事業環境、仕事の立場々々において遭遇する問題点の解決に、論理的に正しい答があったとしても、それが決して最良の問題解決にはならない場合が多いのです。

 企業計画の遂行という活動には、丁度、囲碁、将棋と同じように定石があります。つまり、ストレートに行動するのではなくときには、方法を研究する理論が必要になります。

この理論による行動項目の組み立てによって成立している活動の方法とは、単に自然の流れになるものもあれば、必然性的なものもあります。そして、当然な結果が出るようにもとめています。

 問題点の本質の掴み方は、「アウトラインを素早く掴む技量」が、ことの成否を精度的に、時間的に左右することになります。

問題の概要であるアウトラインを、5W1Hなど問題解決のスキルで詳細を把握する手法なども時には必要です。

けれども、もし、職務担当の権限外の領域に、そのツールを適用して使うとしますと問題は、益々複雑怪奇になります。そのため、ツールの適用を最適化させるためには、人間行動の「科学的な考察手法」等を併用するようになります。

 対象となるのは人間の感情です。年齢性別を問わず、例え親であっても踏み入れることを許さない縄張りで「心の芝生」ともいわれる心の占有領域のことです。

このテリトリーの仕組みは、プライドとか、尊厳などの権威、あるいは自信などで成り立っているとされます。その上デリケートな性質をもち複雑な働きをしております。ですから、心の芝生は自分自身で保護をし他者の侵入を防いでいるのです。

 ビジネス社会では、このテリトリーを人権と称して、尊重していますが、日々の行動の中には、テリトリーを見下す言葉遣いによって、労働意欲の低下を引き起こす例が少なくありません。

特に代表的なのは問題点解決の場合などに発生する例です。
職務分掌の範囲の問題、能力の問題、責任の問題、自信やプライドの問題などで人権問題つまり、心の領域侵害が問題点解決を大きく妨げております。

 昔、中国に、伝説の動物「竜」がすんでいたといわれます。この竜は、地をくぐり天を駆け、ときには雲を呼び嵐を起こす超能力を備えていました。

性質は温順で人になれやすく、飼い主には従順で忠節を尽くす吉兆の動物だと言われます。その竜の喉もとには 鱗の向が逆になった逆鱗とよばる三枚の鱗があります。

 この鱗は、例え帝王に素直に従っている場合、帝王が間違って触れたとしても、たちどころに帝王をかみ殺して仕舞うと言い伝えられております。逆鱗は誰人も触れることはできません。

 中国の兵法書に伝わる竜とは、心の芝生のことでした。

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