歯磨きの重要について

 歯垢や歯石の付着程度についても、健診で判定されます。歯科医院を受診すべき状態であれば判定「2」となります。

 なぜ、このような診査項目があるのか、説明しましょう。

 健康な人の体の皮膚や口腔内や腸内などには常に微生物が存在し、これを常在菌と呼びます。これらは体の健康を維持する上で重要な役割を果たし、病原菌から体を守る「善玉菌」、病気の原因となる「悪玉菌」、状況によって役割が変わる「日和見菌」に大別されます。常在菌のバランスが崩れると、皮膚トラブルや病気につながる可能性があります。口腔常在細菌は750菌種ほどの菌種が知られていますが、人それぞれが固有のバランスをもって生息しています。

 善玉菌には乳酸菌やロイテリ菌などがあり、悪玉菌には虫歯菌(代表的なものはミュータンス菌)や歯周病菌などがあります。理想的なバランスは善玉菌:日和見菌:悪玉菌が「(2:7:1)」とされています。

 ☆口腔常在菌の主な種類と役割

 1) 善玉菌:役割::口内環境を健康に保ち、悪玉菌の増殖を抑える。例::ロイテリ菌、乳酸菌::口腔環境を整える。ストレプトコッカス・サリバリウス::抗菌作用のある物質を作り、悪玉菌の増殖を抑える。ストレプトコッカス・ミティス::口腔粘膜の健康を保つ。

 2)日和見菌:役割::通常は無害だが、口内ケアが不十分な場合に増殖して悪玉化する。例::肺炎球菌、ブドウ球菌、大腸菌など。

 3)悪玉菌:役割::増殖すると虫歯や歯周病の原因となる。例::ミュータンス菌(ミュータンスレンサ球菌など)::虫歯を引き起こす代表的な菌。歯周病菌::ポルフィロモナス・ジンジバリス、トレポネーマ・デンティコーラ、タンネレラ・フォーサイセンシスなど、歯周病を引き起こす菌群。

☆ 口腔ケア(歯磨き)の重要性

  口内フローラ(善玉菌、日和見菌、悪玉菌が形成するかたまりのこと)のバランスの維持:口腔環境を良好に保つには、悪玉菌を排除するだけでなく、これらの菌のバランスを整えることが重要です。不十分な歯磨きによって食物残渣(食べカス)が日和見菌や悪玉菌のエサとなり、その増殖を招き、バランスが崩れて虫歯や歯周病の原因になります。

 学童も歳を取れば高齢者になります。高齢者の肺炎の何%かは口腔ケアがあれば防げます。学童のうちに歯磨きの習慣を付けるのは良いと事だと思います。

☆まとめ=健康を保つためのポイント

 1)適切な口腔ケア: 日々の歯磨きなどにより、細菌の繁殖を適切にコントロールすることが重要です。

 2)全身の健康維持: 健康な口腔状態を維持することは、全身の健康維持にもつながります。

 3)専門家との関係: 口腔内の状態は人それぞれ異なるため、定期的な歯科検診を受け、専門医と相談することが大切です。自己流の歯磨きだけでなく、定期的なプロフェッショナル・ケアも必要です。歯科治療費の高額なアメリカでは、定期的なプロフェッショナル・ケアで予防し、むし歯や歯周病のリスクを減らしています。

※ご家庭で歯磨きの状態をチェックするために歯垢染色剤や歯垢染色液を利用されるのも良いでしょう。AMAZONで調べると以下のような商品がありました。デンタルミラーも合わせて購入して、ご家族でチェックされるのも良いでしょう。ちゃんとキレイに磨けているか、そうでないか、チェックするのも大切なことだと考えます。

 歯垢染色剤(錠剤)=クリアデント、カラーテスター(サンスター)

 歯垢染色液(液体)=プラークダブルチェッカ-(Ci)

 

 2023年の全豪オープンテニス大会で優勝したノバク・ジョコビッチ氏がインタビューで、「勝ち続ける秘訣は?」という問いに、「歯磨きのような良い習慣を続けることだ。」と答えてました。歯磨きは良い習慣なのです。